※この作品はR-18です。

DQ8 勇者と寄り道の旅   作:ぽんぽんペイン

96 / 96
エイトさんの語りです。


最後の戦い

終わる。

ようやく終わる。

 

長い長い戦いが……。

 

神鳥の杖をかかげ、ラプソーンの結界を壊すところから始まった僕たちの戦い。

 

七人の賢者が次々に現れ、ラプソーンの結界を無力にしていった。

 

徐々にその姿がさらされるラプソーン。

 

魔城で見たラプソーンとは似ても似つかぬ巨大な暗黒の神は、にやりと笑って、僕たちに怪しげな杖を向けた。

 

 

「ククール、回復重視だよ。まず防御固めて。ヤンは、何の遠慮もいらないから、いつも通り思い切り攻撃して。ゼシカはヤンへの強化呪文お願い。そのあとは魔力続く限り攻撃してね。僕はみんなを守る。死なせないから!」

 

「兄貴っ! おまかせください!」

「うん、回復は僕に任せて。テンション上げていこう」

 

「エイト、わかったわ。あたしね、なんか今ものすごくカッカきてて、いい火が作れそう」

「頼もしいよ、ゼシカ。今までのお返しをしてやろうよ」

 

「負ける気がしねえ。なんだろうな、すげえ充実してるぜ」

「ククール、頼んだよ」

 

ククールがスクルトをかける。ゼシカがヤンにバイキルトをかける。僕とヤンは力をためる……。

 

僕らを乗せているレティスは、足元がぐらつかないように、羽ばたきを止めずに水平を保ってくれている。

 

しっかりと足を踏ん張って、僕らは力を使った。

 

 

魔城の時のラプソーンより強い。格段に強い。

容赦ない攻撃で体力を奪われる。僕は攻撃よりみんなの体力回復に努める。

 

「『瞑想』ってなによ、反則だわ」

ゼシカが思わずぼやく。

 

ラプソーンが力をためると、見る間に力が相当量回復していくのだ。

 

「大丈夫、根気よく攻撃していこう」

ゼシカを励まし、僕も力をためる。

 

永遠はない。

どんなことも、必ず終わる。

 

僕には見えている。

この戦いに勝利し、歓喜に震える僕たちが。

 

 

何度攻撃されても大丈夫。

僕はみんなを守る。

 

「トゲトゲもゼシカも踏ん張れよ! オレとリーダーが守ってやるんだから、攻撃の手を緩めんじゃねえぞ!」

ククールが叫ぶ。

 

僕とククールは防御と回復に魔力を惜しみなく使う。

 

「よし、リーダー、次は回復大丈夫だから、お前も剣を振れ」

「うん、わかった」

ククールの励ましで僕も攻撃の態勢に入った。

 

集中……集中……。

 

身体の中に熱い力が生まれる。

永遠はない……終わらせるんだ!

 

渾身の力をこめ、剣を振った。

 

ラプソーンの脇の下をめがけて飛び込む。

 

柔らかく見えていて、その実、打撃や炎を寄せ付けない表皮。僕は、剣を逆手に持ち、心持ち斜めに、野菜の皮かなんかを剥く要領で皮膚に斬り込んだ。

 

皮一枚、サクリと内側に入った手応えを感じ、刀身の4分の1を差し入れる。そして首の方向へ一気に斬り上げた。

 

ラプソーンは一瞬硬直し、ガクガクと震えた。

 

重い手応えが、びりびりと両手に残る。

 

「おい! やったぞ!」

「兄貴っ!」

「倒したわ、倒したのよ! エイト!」

 

みんなが抱きついてくる。

 

みんなの声が聞き取れないほど、ラプソーンは断末魔の叫びを上げ、収縮し、そして消えた。

 

「消えた……?」

空が明るくなる。

 

僕らを、いや、世界を包んでいた黒い空気が一瞬のうちに消え、まぶしいほどの光が注がれる。

 

 

 

空にぽっかり空いていた、闇世界を繋いでいた歪みが見えなくなる。

 

 

「さあ、帰りましょう」

レティス……。

 

多分、間の抜けた顔をしている僕に、ククールが近づいてきて、僕から剣を取る。

 

「あれ……?」

強く握りしめていた剣が、手から外されると、僕の両腕は、更にふるふると震えた。

 

肩をぽんぽんと叩かれる。

 

「ク……」

「……後でな」

声にならない声を聞き取って、そっと答えてくれたククール。

 

レティスが悠々と羽ばたきながら、ゆっくりと向きを変える。

 

ああ、勝ったんだ、僕たち。

 

 

「やったでがすね、兄貴。最後の攻撃は見事でがした」

ヤン。

 

「ヤンガスだってかっこよかったわよ。かぶとわり。斧が壊れちゃうんじゃないかと思うくらい」

ゼシカ。

 

「そうだな、ゲルダ姐さんに見せたかったぜ」

ククール。

 

「なんでそこでゲルダが出てくるんだ!」

みんなで大笑いして。

 

そうだよ、ヤン。僕たち4人だけの力じゃない。

 

ゲルダさんもそうだし、このレティスも、ラジュさんや不思議な泉の賢者さま、オークニスのグラッドさん、リブルアーチのハワードさん、ベルガラックのフォーグとユッケ、アスカンタの……。

 

「エイト……」

「兄貴……」

「リーダー……」

 

 

僕たちは歓喜にむせた。

強く抱き合って、笑顔で泣いた。

つぎつぎに涙が出る。

 

 

「みんな、みんな……! 僕たち、勝ったんだ! ありがとう……最後まで、僕と一緒にいてくれて……ありがとう!」

 

 

ありがとう。

 

 

本当に、ありがとう。

 

 

いろんな、いろんな、いろんなこと。

 

僕たちは乗り越えてきた。

 

みんなで。

 

たくさんの人の力を借りながら。

 

みんなの願いを、僕たちは果たすことができた。

 

ありがとう。

 

ああ、世界中の人々の笑顔が見えるよ!

 

幸せが、世界中に満ちあふれているよ!

 

 

絶対的な悪は、もう去った。

 

平和が、戻った。

 

僕たちは、また、幸せに生きるために、僕たち一人一人ができる、小さなことを始めよう。

 

 

 

 

「どこへ降りましょうか?」

レティスの問いかけに、王が大きな声で答える。

「そんなこと、決まっておるわ。いざ、トロデーンへ!」

 




お読みいただきありがとうございました。短い最終話となりました。この後のお話は別の作品になります。トロデーン城での宴が終わった後から始まります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。