ティアマトがキアラに倒れこむ形で縺れ合った二人は、長い間お互いの舌を貪っていたが、やがてどちらからともなくゆっくりと口を離した。
ティアマトが体を起こすと、僅かばかりの間二人の唾液が混ざり合った糸が、唇の間に細い橋を架ける。
だが、それも直ぐに自重でプツリと切れて、細長く伸びたそれは、キアラの紅潮した頰にダラリと垂れた。
薄く微笑みを浮かべたまま息を荒げているキアラの口の端からは、お互いの液が混ざり合った涎が線を描いている。
ティアマトにはそれが酷く美味しそうな甘露の様に思えて、彼女の頰に付いているそれを舐めとった。
「いやん、擽ったいですわ」
キアラは、自身の顔にティアマトの舌が触れると、クツクツと楽しそうに笑う。
ティアマトにはその様子がとても愛おしく思えて、そのまま顔全体を舐めとっていった。
「はぁっ…」
息を一つ吐きながら、丹念にマーキングする様にねぶっていく。
赤く紅潮した頰。
綺麗な二重を描く瞼。
皺一つない眉間。
整った造形の鼻。
ぷっくりといやらしい唇にも押し込むようにして舌を這わせた後、今度は穏やかな鋭角を描く顎へと降りていく。
すると、キアラはビクビクと体を震わせる。
「んっ…あ…」
キアラの口から、耐え切れない様に小さな声が漏れる。
顎から喉へと舐め取る場所を変えていたティアマトは、その喉の震えを感じとって、喜悦を感じた。
自身は今、彼女をよがらせているのだという、圧倒的な支配感。産まれながらにして母である彼女には、それは未知の快感であった。
はむと、キアラの微かに震える喉を唇で咥えて、その喉仏を軽く吸い上げる。
ジュッ、とはしたない吸音がティアマトの唇から漏れ、キアラは僅かに苦しそうな声を上げる。
「ん…少し、息苦しいですわね。でも、これもこれで…」
心地よいものだ。
と、キアラは最後まで言葉にしない。そも、ティアマトには言葉は既に通じないのだ。
だが例え言葉が通じなくても、今この瞬間の二人はもっと深い所で繋がりあっていた。
やがて、ティアマトが吸うのをやめて口を離すと、キュポッと小さく音がなる。
口が離れたキアラの喉仏は赤く痕が付いていた。
少しの間、二人ははぁはぁと、息を荒げお互いを見つめ合う。二人の間で蕩けた眼差しが交差し、絡み合う。
ティアマトは息を整え終わると、再開とばかりに、今度は喉の下へと舌を這わせていく。
右肩の鎖骨の部位をレロレロと往復した後に、肩関節の頂にチュッと小さけ口づけをする。
そして体勢を低くすると、キアラの大きく開かれた脇へと顔を差し込んだ。
「ん…」
むわっとした汗の臭いがティアマトを出迎え、鼻腔を刺激する。
無駄毛一本無いなだらかな脇は、本来であれば白く透き通った滑らかな肌であったのだろうが、今は汗とティアマトの泥が混ざり合って、キアラの肌を穢し尽くしていた。
脇の僅かな窪みに溜まったそれを、ティアマトは舐めとり、ずぞぞと音を立てて啜る。
「あっ…やあ、ん…」
キアラの口から堪らず声が出る。
決して甘くは無い。むしろむせ返る様な臭気と酸っぱい味にえづきそうになるが、その生々しい芳しさに、ティアマトはますます興奮を掻き立てられた。
執拗にキアラの脇を舐め、しゃぶり、泥と汗が混ざり合っていたそこを、今度は自分の唾液で上書きしていく。
「そこ…ん、はぁ。気に入りましたの?いささか恥ずかしいですわね」
キアラは声を掛けるが、ティアマトはまるで意に介さない。
今、自身の体液が彼女を侵食しているという事に、強い昂りを覚えているのだ。
今まで自身から排出される泥で多くの眷属を作り出してきたティアマトであったが、これは全く別の意味があるように思えた。
やがて暫く脇をねぶり続けると気が済んだティアマトは、そこからゆっくりと顔を上げていく。
その先にあるのは勿論、二つの大きな乳房だ。
先程は欲望のままに噛み付いてしまったティアマトだが、今度はその様な乱暴な事をしない。
今はもう、その味わい方を知っているのだ。
右側の乳房には先程噛み付いた歯型からうっすらと血が滲んでいた。
ティアマトは、乳房の輪郭をなぞる様にしてその血をゆっくりと舐めとっていく。
鉄の味がティアマトの口の中にじんわりと広がっていく。その後に、キアラの血液に含まれる魔力が、身体の中に広がっていくのを感じる。
キアラの血液から抽出された魔力はティアマトの体を熱く燃えさせる。
その熱に当てられたティアマトは、更なる血を求めて、歯型一つ一つに丹念に吸い付いっていった。
…ジュッ、チュパ。
ジュルルル…キュパ。
ゾッ…ゾゾゾッ…ジュプ。
歯型に吸い付くたびに、はしたない音がティアマトの口から漏れ出ていく。
それに併せて、キアラもティアマトの興奮を促す様に息を荒げていく。
「はぁ…あ、ん。ふう、、んっ、あん。
これは…はぁ…随分と手荒いのですね。わたくしの血は、それ程にお気に召しましたか?」
それまでされるがままにしていたキアラだったが、そこで初めて自ら動き出した。
ティアマトの頭を、髪を整える様に撫で上げ、一度乳房から顔を上げるように促す。
そして、ティアマトが不思議そうに顔を上げると、煽情的な笑みを浮かべて、自身の乳房を揉みしだいて、その頂点をティアマトの前にせり出した。
「…こちらも、いかがですか?」