※この作品はR-18です。

シルクロードオンライン¬(differentiam)   作:hachu

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死線と永炎

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

「クソッ……! 新手の賊かッ!?」

 

 

 

 

結盟『真夜中の旅団』結盟主、魏・圏(ウェイ・クァン)は、

二人の賊を撃退した直後だと言うのに新たな気配を感じ、

悪態を付きながら気配に槍を向ける。

 

同行する一人の商人、三人の護衛も、

その気配へ最大限の注意を払う。

 

 

 

 

「……。」

 

 

 

 

一人の女盗賊がコチラを ”じっ” と見つめていた。

 

 

 

 

「あれ……お前、呂晶(ルージン)じゃないか! なにやってんだ!?」

 

 

「あら、奇遇ね。元気にしてる?」

 

 

 

ウェイが最初に気付き、

馬に跨る商人、元・花魁の遊珊(ユーシャン)が様子を尋ねる。

 

 

 

 

『呂晶ッ!? ビックリさせるなよ~……趣味が悪いぞ?』

 

 

 

 

呂晶は盗賊の黒衣装を着ているが、

口布を下げ、傘を後ろにかけて顔が見えていた為、

『顔見知り』だと判り、一同に安堵が広がる。

 

この子はよく訳の判らない事をする為、見かけたがてら驚かせようとしたのだろう。

ある意味いつも通りなので『一つの笑い話』として済まされる。

 

 

結盟『真夜中の旅団』では今、

呂晶を除き ”空前の行商ブーム” が起きている。

 

仲間と遠足気分で行商するのは楽しいものだ。

そして今回はその道中、唯一参加したことの無かった仲間が現れた。

 

ある意味素敵なサプライズだ。

 

 

 

 

『一瞬、”ドキッ” としたぞ! もうこんなイタズラするなよ?』

 

 

 

 

和やかな空気が皆を優しい気持ちにさせるのだろう。

タチの悪いイタズラにも大したお咎めはない。

 

それとは逆で、

盗賊衣装の『放蕩娘』は無愛想な顔をしている。

 

皆につかつかと歩み寄ってくる。

 

 

 

 

「お前、まだ盗賊やってんのか……あんまり真夜中の面子って、バレる素振りはするなよ?」

 

 

「……。」

 

 

 

 

ウェイが声をかけても何も言わず距離を詰めてくる。

なんだか、怖い。

 

この ”人でなし” も、さすがに結盟の行商は襲わないだろう。

所属するコイツも一部のような物なのだから。

 

むしろコイツが金を納めないから、

俺が一生懸命、活動資金を捻出してる訳で。

 

 

 

 

(いやでも、コイツなら…………もしかして……万が一……)

 

 

 

 

ウェイが身構えるか迷っている間に、

呂晶が間合いに踏み込み、そして

 

 

 

 

「――――……おっ、おい!?」

 

 

 

 

そのまま通り過ぎる。

 

 

 

 

「何してんの? いこ」

 

 

「お、おう……」

 

 

 

 

……ついてくる。

 

盗賊がピッタリと、まるで仲間のように。

いや仲間なのだが。

 

 

 

 

「お前も行商に興味が出てきたか。今日は天気も良いし、良い交易日和だろう?」

 

 

「――――……。」

 

 

 

 

無視される。

 

この女のワガママぶりは知っている。

いつもアレやコレや五月蝿いが、黙っていると逆に心配になる。

 

”なんでもいいから喋って欲しい” と、ウェイは思う。

 

 

 

 

(――――コイツら、盗賊が一緒に歩いてんだぞ……? 何ヘラヘラ談笑してやがる)

 

 

 

 

一方、呂晶は、

仲間の『危機感の無さ』にイラついている。

 

 

 

 

(みんな変わっちまったなぁ……前はもう少しこう、ギラギラしてたっていうか)

 

 

 

 

呂晶がやっと声を出す。

 

 

 

 

「――――襲われる?」

 

 

「ん? なんだって?」

 

 

 

 

ウェイは ”喋って欲しい” と考え込んでいた所に、

いざ喋られて動揺する。

 

 

 

 

「だから――――さっきみたいに、よく襲われるの?」

 

 

「ああ、見てたのか。そうだな、あの手の輩は結構来るぞ。まあ勝てないと判るとトンズラしてくが」

 

 

(勝たれたらオマエラどうするつもりだ……まあ荷を置いて逃げるんだろうな。結局盗賊ってのは荷を奪う事が仕事だし、コイツらもガチで利益を追求してる訳でも無いんだろう)

 

 

 

 

呂晶は『必要な情報』を集めるために、質問を続ける。

 

 

 

 

「儲かってる?」

 

 

「利益か? おう、ビックリするぐらい儲かるぞ。別のトコじゃあり余ってる物が、コッチじゃ死活問題だったりするからな。申し訳ないくらいの値で売れる」

 

 

「ふーん……」

 

 

 

 

再び沈黙する。

 

 

 

 

(コイツ、こんなに大人しい奴だったか……?)

 

 

 

 

相手が喋らずに不安なため、

コチラの方が饒舌になってしまう。

 

 

 

 

「しかしどうした、暇なのか? ”黄巾” も ”死線” も散って賊もバラバラになったからな。一人だと出来る事は少ないだろ」

 

 

 

 

――――『黄巾賊』

 

かつて朝廷に対して武装蜂起した農民達。

三国時代のキッカケとなったその彼等に ”畏敬の念” を込め立ち上げられた、

現代の盗賊集団である。

 

かつてと同様、現代でも鎮圧され消滅はしたが、

積荷の強奪方法や盗品売買の下地を作り、現代盗賊の元祖とも言える存在だ。

 

 

 

 

――――そして『死線』

 

黄巾賊消滅の後、すぐに頭角を顕し、国を揺るがす程に成長した盗賊集団。

その縄張りは『小国』とも言える程膨れ上がり、多数の武侠を輩出した。

 

残虐非道の限りを尽くし、

彼等のせいで交易その物の存在が危ぶまれた事もあった。

 

だが、美形の青年、風格ある中年、危ない女など、

彼等はワルに憧れる ”中華の不良娘達” にとって一種のスターとも言える存在であり、

対をなす武装護衛組織『旅渦武侠魂』と人気を二分する程であった。

 

 

呂晶くらいの年頃は皆、『死線』と『旅渦』の容姿や戦績を比べ、

どちらが強いか議論したり、好きな武侠の似顔絵を描いたり、

衝突する噂を聞きつけては戦場まで見物に行く、

命知らずの追っかけ(・・・・)すらもいた。

 

呂晶は死線の、特に自分と同じく大型の矛 ”大刀” を扱う、

『永炎』という盗賊の大ファンだった。

 

彼と肩を並べて戦場に出る事を夢想し、

修練と盗賊活動に精を出していた。

 

そして、いざ肩を並べられる頃になり

 

 

 

 

――――死線の頭領が一線から退く

 

それから死線はあっという間に散り散りとなり、

呂晶の憧れる永炎も、歴史の表舞台から姿を消した。

 

 

彼等の存在自体が、今では夢だったかのように語られるが、

呂晶にとっては夢ではない。

 

何故なら、彼女が今持っている大刀。

 

それは憧れの永炎が使用していたもので、

彼に頼み込み、お古を頂戴したからだ。

 

 

緊張を跳ね除けて声を掛けた時、頭角を顕してきたルーキー盗賊の一人として、

“最近頑張ってるそうだね” と、彼が自分を知っていたのがとても嬉しかった。

 

この譲り受けた大刀でこれからという時に、彼等はいなくなった。

その『もう遂げられる事の無い想い』が、未だに呂晶の中に燻っている。

 

交易ブームとなった昨今、結盟内で自分だけが頑なに盗賊を続けているのは、

それが理由なのかもしれない。

 

 

 

 

「――――うん、暇だからアタシも護衛する」

 

 

「おう、それはありがたいな。ありがたいんだが……その……」

 

 

 

 

言葉を濁すウェイに、呂晶はイラついた調子で返す。

 

 

 

 

「なに?」

 

 

「その格好が、な……」

 

 

 

 

黒い盗賊衣装――――

 

そもそも黒い必要はないのだが、

色々考えるとこの色に落ち着く、盗賊衣装。

 

商人と盗賊が仲睦まじく歩いているのもおかしい。

他人に見られたら、あまり良い噂は立たないだろう。

 

 

 

 

「ああコレ、もういらね――――……」

 

 

 

 

上に着ていた盗賊衣装を乱暴に脱ぎ、草むらに投げ捨てる。

 

初めて着る時はワクワクしながら袖を通し、

色んな思い出がある服だが――――もういらない

 

 

 

 

「その三輪いいね、アタシも付けようかな」

 

 

 

 

呂晶はウェイ達が背負っている、

三本の矢が扇状に開いたような『光背を模した装飾』を指差す。

 

 

 

 

「ああ、これは護衛の印みたいなもんだ。護衛会の行(ギルド)に行くともらえるぞ」

 

 

「ふ~ん。左右対象じゃなくて、片側に寄せるのもいいかもね。片羽もがれた蝶々的な」

 

 

 

 

呂晶が言ったような物を、

実際に思考兵器として運用する大型の人間型機械が、

遥か未来、一人の天才大尉の協力により製造される事になる。

 

 

 

 

「いやぁ……それはどうかと思うぞぉ……?」

 

 

 

 

コイツの趣味はどうしてこう、

”もがれた” とか、”血の色” とか、そんなのばっかりなのだろう。

 

耳たぶにはいくつも穴を開けてるし、

腿やケツの布はワザと破って肌を露出したりする。

まあ、好みは人それぞれだが……

 

 

 

 

「えー、絶対カッコイイよ~! ウェイはセンス無いなぁ」

 

 

 

 

――――まあいいか

 

コイツが仲間の輪に自分から入るなんて。

刺々しい奴だと思っていたが、少しは柔らかくなったようだ。

 

 

 

 

「よし、呂晶! お前、何運びたい? けっこう値の移り変わりが激しいから、先見眼がいるんだ。出発した時と着いた時で値段が全然変わってたりするからな!」

 

 

 

 

自分の趣味に、子供が興味を示した際の父親のように、

子供の興味を損なわないよう、子供の要求を聞きつつも、

自分の知識を自慢する。

 

 

 

 

「そうね……種籾(たねもみ)なんか、いいかも」

 

 

「種籾ぃ?? そりゃ初めて聞いたぞ。さすがにそれはどこも自作してるだろうし、なけりゃ国が貸し出すぞ。逆に、一番行商に向かん物じゃないか?」

 

 

 

 

”普通の解答は来ないだろう” と思ってはいたが、

あまりに意図が判らないため逆に質問してしまう。

知識をひけらかしたかったのに。

 

 

呂晶は邪悪な笑みを浮かべている。

 

 

 

 

「――――やれば分かるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前回に引き続き、脚色していますが実話です。暇だったのでしばらくギルメンの行商についていきました。
この時呂晶が捨てるのは挿絵の衣装ではなく、古い方の衣装です。
Ⅴ章ではなく、Ⅷ章あたりに新調する物ですが、なんとなくイメージで乗せています。


ギルド「真夜中の旅団」は私が初期(1番最初は神心会というギルドを自分で作りましたが、誰も入らないのでやめました)
から引退まで所属していたギルドです。
とにかく楽しいをモットーに色々とやりました。下記は私が作ったギルドの動画です。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1480181
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1219847
一瞬ではありますが、サーバー最強のギルドだった時期もあります。

私がこのゲームに出会ったのは2006年の1月、友人家に遊びに行った時プレイしていたのを見ました。
当時は一般的にはオンラインゲームの黎明期で、私は近所に出来たネカフェで初めてリネージュⅡをプレイし、
こんなに面白い物かと驚いた物です。
その頃で、友人からの勧めでPCを買って(18万のPCを友人が11万まで値切ってくれて、浮いたお金で焼き肉を振る舞いました)
最初はリネとシルクやってましたが、基本無料と友人に流され、シルク一本に落ち着きました。
フリーターだったので、とてもハマったものです。

「黄巾賊」は実際にいた盗賊ギルドです。
その友人がスゴイ強いというのですが、私がそれを見る前には散り散りになっていました。

「死線」のモデルも「Route.4」という盗賊ギルドで、これも友達が強いというのですが、
私はまだ低レベルだったのでその実力が判ってなくて、でも賊の頂点なんだな、とは漠然に思っていました。
4号線?なので、しせん、としました。

「永炎」とは「EtanalFlame」という実際にいたプレイヤーです。
彼は数少ない『動画制作者』でした。

2006年というとiphoneもない、PCは愚か、動画なんて聞いた事もない、そんな時期でした。彼の動画を見て、メチャクチャかっこいいと思いましたね。神動画というと古い言葉ですが、私にとっては正にそれでした。
今でも彼の動画は、ニコニコのこのゲームでは1位の視聴回数を誇っています。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm425326
(私はシルクロードオンラインで検索すると3位のようですね)

彼の大刀を受け継いだ、というのも実話です。LV64か68の大刀+5だったと思います。「印章」というレア装備でもなく、+5は当時最高峰ではありましたが、そこまで価値ある物ではないです。が、私にはとんでもないプレミア品でした。
まぁ露天で売ってらっしゃって、買えないのでべらぼーに安く売ってもらったのですが(笑)「最近頑張ってるね」というのも実際に言われた台詞です。
運営主催の交易イベントの際、たまたま戦場で顔を合わせ、「アナタは!」のように言ったら、そう返して頂きました。
といってもレベル差があったので、肩を並べるというには至らなかったです。

3日間のイベントの前半で、その際彼は「ウチは前半(たぶん)は手を抜いて、後半は本気出そうと思ってます。でないとイベントを潰しちゃうので」と言ってました。
運営主催のイベントを潰してしまう心配をするとは、恐ろしいもんだと思いました。

「旅渦武侠魂」というのも、実際にいた「旅渦侍魂」というギルドがモデルです。
中国には侍という概念がないそうなので、侍の所を武侠としています。商人&ハンターギルドについては知識が浅いのですが、多分1番有名なギルドだったと思います。史実的には、ギルドの事を「行」というらしいのですが、政治的な意味合いが強く、区別するため、ゲームのギルドは「結盟」と表しています。

私は挿絵にgif画像を使ったり、いわゆる「動画師」なのですが、その動画を始めるキッカケが、
エターナルフレイムさんに憧れ、彼や他の動画師が引退してしまい、

「動画が見たいな、じゃあ自分で作ればいい」と始めたのがキッカケです。
彼らの幻影を追っていた、その一環でしょうか。次回に呂晶が行うのも、私がそうやって行った物の一つになります。
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