※この作品はR-18です。

シルクロードオンライン¬(differentiam)   作:hachu

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メンヘラ彼女とラブラブキメセク ~超能力者の恋愛事情③~

 

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――気功家。

 

自然現象を操る超能力・気孔。

それを殺人技にまで昇華させた、『気功』を扱う者達。

 

様々な人種と文化が混在する中華においても、

にわかにその存在を信じられていない職業。

 

 

気孔とは、 “神隠し” と呼称された、

世界に点在する歪みを視る才能が無ければ、

体得が不可能とされている。

 

気功を修練する四つの『霊宮』と呼ばれる施設は、

それと繋がりの深い三つの武術門家が、共同運営で営んでいる。

 

入り口は同じく神隠しで隠蔽され、視えざる者には辿り着く事が出来ない。

 

辿り着いた者であっても、

定められた月謝を納めなければ、体得は許可されないが。

 

 

その力を一般人が目の当たりにしても、

『気功』は視えたとしても、『気孔』が視る事が出来ない。

その為か、にわかに信じられない『手品(トリック)』と言い捨てられてしまう。

 

その誤解は、気功家の技術隠匿に一役買っているとも言える。

 

 

だが、気孔を操る気功家達ですら、

自分が扱う力の正体を、科学的に解明してはいない。

 

科学という言葉すら存在しない時代。

 

 

 

 

気孔の実態は、時空を少しだけ操る力。

 

気功家の脳が体へ伝える信号。それは、

人のそれとは少し違い、ほんの少しだけ時空に干渉を及ぼす。

 

それらが体と周囲、自然に及ぼす影響。

 

 

時空をほんの少し早める。

過去の粒子が未来に衝突し、三次元世界で熱を発生させる。

 

時空をほんの少し遅める。

粒子が過去へ囚われ、三次元世界で分子の振動が弱まる。

 

時空をわずかに揺らす。

別次元の電子と干渉し、物質が際限無く電荷され、その逆も起こる。

 

 

 

刹那の間だけ、四次元に干渉する事を許され、

その副産物により、この世界で自然現象を操る。

 

 

 

 

ただし、性格がひん曲がっているせいか、

 

加減速させた時空が、体外に出た途端に反転し、

衝突した時空が、危険な暴発を引き起こす者もいる。

 

 

稀な気孔家の中で、更にその稀な体質を持つ者は、

過去に判明した事例では、全てが女だ。

 

四つの霊宮では、古くからその体質を持つ女に、

『気孔を伝授すべからず』という掟が設けられている。

 

理由は定かではなく、その理由を知る者はもういない。

 

 

 

 

 

 

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行商5日目、夜――

 

 

 

「ごっめぇ~ん先生!アタシぃ、今日は美鈴(ミーリン)ちゃんと天幕するの!」

 

 

 

簡易な夕食を済ませた後、

野営用の天幕を集積する、輜重班の遊珊(ユーシャン)に、

盗賊から護衛に転身した二十歳の女、呂晶(ルージン)が申し出る。

 

 

 

敦煌から長安への中間地点、蘭州。

花雪象印商隊は今晩、昨日と同様、この地で野営を行う。

 

黄河を越えたは良いものの、海抜の低い地域だけに、

この辺りの道は勾配が多い。

 

 

 

 

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森や竹藪に囲まれ、曲がりくねった街道では、

馬車の進みも遅くなり、商隊の速度が落ちる。

 

故に、まだ蘭州から出られていないのだ。

 

 

 

過酷な荒野を越え、気候も過ごし易いものになったが、

コチラはコチラで何かと大変だ。

 

 

 

「あら二人共、ずいぶん仲良くなったのね」

 

 

『あ、あの…は、はい。そうなんです…』

 

 

 

遊珊は、馬車の荷台をまさぐりながら二人に声を掛ける。

 

友人の呂晶を、さしずめ “夏休みの泊まり込みアルバイト” へ誘った身としては、

二人が仲を深め合う様子は、とても微笑ましい。

 

後輩の美鈴が、そういった状態では絶対にしない表情である事を除けば。

 

 

 

「はいっ、一番小さい天幕よ」

 

 

 

遊珊は二人分には小さい、ほとんど一人用のキットを差し出す。

夜はこれを各自が組み立て、軍隊と同様に夜営地を建設する。

 

見張りは体力自慢の夜勤組が交代で行い、

辛いが相応の手当が付く為、志願者には不足していない。

 

 

夜は疲れた体を癒す、安らぎの一時であるハズなのに、

差し出された天幕を見て、美鈴は顔を一層引きつらせる。

 

 

 

『(こんなに…小さい天幕なの…?)』

 

 

 

大きくても結果は変わらない、それは判っている。

 

それでも密着して寝るしかないであろう、頼りない支柱の長さは、

美鈴を絶望させるには十分だった。

 

 

 

 

通常は、大型天幕で10人程度が雑魚寝をしているが、

特に女性はそれが難しい場合もある為、一人用の天幕が常備されている。

 

『雑魚寝よりはマシだから』と、

体調や宗教的な理由を持ち出し、わざわざ一人用を借りる者もいる。

 

更に隊内には、

片方が一人用を借り、もう片方もコッソリ抜け出してきて、

一人用を二人で使う “恋仲のカップル” もいる。

 

 

輜重班にコネがあり、遊珊からも “公認の仲” である呂晶と美鈴は、

堂々と一人用の天幕を要求できる寸法だ。

 

 

 

「ありぃ~(ありがと)。あとさ、“アレ” 分けてくれないかな…?手持ちが切れちゃって」

 

 

「大丈夫だけれど…。アナタ、ちょっとやりすぎよ? 体を一番に考えてね」

 

 

 

アレとは、ケシの果汁を乾燥・精製した、つまりは阿片だ。

 

阿片はイスラム圏からシルクロードを通り、

医薬品として中華にもたらされ、各地で栽培も行われている。

 

 

傷つき、鎮痛薬として処方されている内、日常でも使用する者が現れ、

彼等は独自の吸引方法でこれを摂取する。

 

特に傷つき易い気孔家にはそういった者が多く、

呂晶もそれに漏れず阿片中毒である。

 

 

もっとも、呂晶の場合は戦いに身を置く前から、

本来と違う用途で使っていた阿片愛好家、いわゆる “アヘラ―” である。

 

実家が様々な美容品を扱っていた為、

その中に紛れていた阿片と、その使い方に、早くから精通していた。

 

蔵からくすねては仲間に勧め、

自分と同様に阿片中毒へと仕立て上げ、友人を悪友へと変えていった。

 

 

 

 

純度の高い阿片は、やはりイスラム圏から輸入される。

東のシルクロード、河西回廊を往来するこの行商隊は、

いわば中華に阿片を運び込む、最前線だ。

 

商売品としても、傷ついた者への薬としても、

“阿片が無ければ仕事にならない” という、困った者への迎え酒としても、

結構な量を常備している。

 

千年後であれば、立派な麻薬カルテルだ。

 

 

 

阿片は麻薬だが、この時代の法律『天聖令』では、

それを規制してはいない。

 

だからと言って、蔓延もしていない。

 

民間では、阿片中毒者の異様な形相を見て、

『阿片は塗るのは良いが、吸うと魂が抜かれてしまう』といった迷信が信じられ、

それを吸う者と、それ自体を忌避する者も多い。

 

そもそも、貴重な医薬品を無駄に炊くなど、

平民にとっては金を石に変えるような、無駄な行為である。

 

 

 

遊珊の古巣、遊郭では、

阿片を混ぜた香を炊き、客には判らないよう “媚薬” として吸わせたり、

日々のストレスを紛らわせたり、日常的に阿片と接した生活を送ってきた。

 

同僚の末期中毒者がどうなるかも見てきた為、

そうならないよう、呂晶を心配している。

 

言っても無駄と判ってはいるが。

 

 

 

「判ってる判ってるぅ!先生は優しいなぁ!」

 

 

 

天幕と阿片を受け取った呂晶は、

美鈴の手を引いて、スキップするようにその場を離れる。

 

隊とは少し離れた場所に、

手早く不格好な天幕を設営し、

 

もう我慢出来ないといった様子で、盛った犬のように美鈴を押し倒す。

 

 

 

「ふう…。じゃあ始めよっか?…ああ、美鈴。一日中アタシの下着履いてた気分はどうだった…?報告し合いっこしよう…?」

 

 

 

挨拶代わりに、首筋から腫れ上がった胸に向かい、

優しく手を這わせる。

 

がっつくように押し倒しても、焦らすような責めは忘れない。

 

自分であっても、そうして欲しいから。

 

 

 

『……。』

 

 

 

美鈴は昨日と同じように、なるべく反応はせず、

黙って、早く時が過ぎるのを願う。

 

呂晶もまた、昨日と同じようにそれを邪魔する。

まるで構ってもらいたがっている、子供のように。

 

 

 

「アタシは興奮したよ…。アンタの匂いが付いた下着がアソコに貼り付いて、そこを下から馬に擦り上げられて…」

 

 

 

自分が感じた刺激を表現するように。

美鈴が履いている自分の下着、その背部を引っ張り上げて食い込ませ、

左右に振って擦りつける。

 

自分の下着を美鈴に付着させ、美鈴の成分を自分の下着に付着させ、

二つを混ぜ合わせていく。

 

 

 

「こんな風に…一日中、アンタに愛撫されてるみたいだった。…えいっ!」

 

 

 

昨日の反省を活かして、イチャつく雰囲気を保ちながら、

お茶目に襟の中へと手を突っ込む。

 

美鈴が嫌悪で顔を背けた以外は、女同士では珍しくない光景だ。

 

 

呂晶には少し変わった癖がある。

胸を触る時でも、“服が邪魔になる段階” まで行為が進んでも、

最後まで服を脱がしきらない。

 

右胸を揉む時は左胸を隠し、

右胸の服を戻してから、左胸を顕にする。

 

袴を降ろして、股間に軽く触れてから戻し、

他の所を触ってから、また袴を摺り下げるといった、

“されている方も面倒になる” 行為を繰り返す。

 

 

服を脱がされ、大事な部分が空気に晒される瞬間、

女はどうしても体が一瞬、反応してしまう。

 

感じてしまう。

 

 

 

針で突付くような、小さい羞恥をしつこくしつこく繰り返し、

欲求不満では無かった体、欲求を拒否していた体を、

少しづつ発情させていく。

 

発情させられてしまうと、

今度はそれが、耐えられないような焦らしに変わる。

 

 

 

『あの…呂晶さん、私、ホントにもう…。痛ッ!!』

 

 

 

言いかけた美鈴の顔が苦痛に歪む。

乳首を強く抓られた。

 

言う事を聞かないと、必ずこれをしてくる。

 

言葉が判らない動物に鞭を打つように、

言葉が判るのに、動物のように扱う。

 

いつしか、これをされるだけで、

黙って言う事を聞く時の、合図になってしまう。

 

 

まだそうなっていない美鈴は歯を食い縛り、

意を決して意義を申し立てる。

 

 

 

『女の子となんて、嫌なんです…!本当に、本当にっ!』

 

 

 

昨日の自分と比べ、受け入れてはいけない理由が増えた。

だから今日は、昨日よりも、絶対に受け入れてはならない。

 

 

 

『ホントに、今日は…! そういう気分じゃないんです…!』

 

 

 

責められたせいなのか、

下着を交換して一日過ごした、変態行為のせいなのか、

 

ほんの少し愛撫されただけで、

美鈴の股は、それを待ち望んでいたかのように、

呂晶の行為を受け入れる準備を、必死に整え始めている。

 

昨日よりそうなるのが、ずっとずっと早い。

自分が絶対になりたくない自分に、変わっていく恐怖。

 

だから今日は、昨日よりも、絶対に受け入れてはならない。

 

 

 

ただし、今宵は呂晶も興奮しきっている為、

昨日のようなVIP待遇は行わない。

 

元々イチャつくようなプレイは得意ではないし、

本来の得意分野である “オラオラ系” で、自分を優先して慰める。

 

 

 

「うるせぇ、早く吸い付け。手抜きしやがったら、“お前の腹もアタシとお揃いにしてやる”」

 

 

 

袴を降ろして顔に跨がり、内股で座り込む。

目の前で半分脱げたそれを見て、美鈴は嫌悪の表情を浮かべる。

 

 

 

『(私の下着…ホントに履いてる…。気持ち悪いっ!!)』

 

 

 

闘争本能が満たされないと、性欲を満たしたくなる。

性欲が満たされないと、闘争本能を満たしたくなる。

 

一緒にいると身が持たない。

 

 

だから呂晶は恋人が出来ないし、出来てもすぐに破局する。

 

だから仮初の恋人を、自分で作る。

 

 

 

『(うぅ…。一日中馬に乗って、蒸れてて、お風呂にも入ってないのに…!私のもここに、少し混ざってるんだ…)』

 

 

 

美鈴が吐き気を堪えて奉仕する上で、

呂晶は片手を頬に当て、片手は美鈴の頭を股間へ押し付けながら、

体をくねらせて恍惚の表情を浮かべている。

 

 

 

「最高ォ~。やっぱ、するのもされるのも、即尺に限るわぁ~ん。これぇ…舌で洗い流されてく感じぃ…」

 

 

『(く、苦しい…!苦しいっ!締め付けないでっ!)』

 

 

 

太腿で美鈴の顔を強く締め付ける。

片手ではなく両手で頭を掴み、股間へ擦り付け始める。

 

相手にとっては最悪の体勢だが、いたわる気持ちなど微塵も持っていない。

 

快感が目の前まで来てしまえば、

美しい女性の顔も、愛玩具のそれへと基準が変わる。

 

叫びながら、腰を右へ左へこね回す。

 

 

 

「もっとぉ…!アタシが締め付けたら、ベロ突っ込むんだよ!馬鹿みたいに突っ込んで吸い付くんだよぉ…っ!!デカイ蛭ぅっ!デカイ蛭ぅっ!」

 

 

 

 

 

呂晶は人より頭が良い。

 

何事でも広く深く、様々な角度から追求し、

人よりずっと早く、物事の本質を見極める。

 

 

でも、

 

人より倍の早さで回転する頭が、次々に結論付けていく世界の真実に、

十代半ばで止まった未熟な心は、ついていく事が出来ない。

 

 

 

勝手に考え出しては止まらなくなる、早すぎる頭。

 

次々と明らかになる、辛い現実。

 

 

 

やるべき事は無限大に増殖し、

捨てたくない物まで、次々と火にくべなければならない。

 

 

立ち止まって休みたい。思い出との別れを惜しみたい。

 

 

思考はその時間を与えてはくれない。

 

理性はそれを許してはくれない。

 

 

 

 

 

動物のように快楽を貪り、全部忘れて馬鹿になりたい。

 

男でも女でも、馬でもいい。

 

 

 

そうしなければ、

挫けて立ち止まってしまう。

 

寂しくて、思い出に縋り付いてしまう。

 

 

 

 

 

「う…っ。はぁ、はぁ…!まぁまぁ良かったよ…。昨日より上手くなってんじゃん。頭はパーなのに、こうゆう事はすぐ覚えるんだな?」

 

 

『じゃ、じゃあもう…私、寝ますので…』

 

 

 

這い出て口を拭いながら、美鈴は背を向けて横になる。

呂晶はその髪を掴んでこちらを向かせ、額と額を合わせる。

 

 

 

「まーだそんな事が許されると思ってんのか?」

 

 

『ホントに…今日もずっと寝不足で、辛くて。毎晩こんなの…。最終日まで…保たない…っ!』

 

 

「いけない子だ。“嘘付きは泥棒の始り” だぞ?」

 

 

『嘘なんか…やめて!もう嫌なんです!いあ゛ぁっ!!』

 

 

 

乳首を抓る。

聞き分けの悪い雌豚への、服従の合図。

 

 

 

『ごめんなさい、ごめんなさい…。もう抓らないで…。これ以上抓られたら、伸びちゃう…うぅ…』

 

 

「残念、女には判っちまうんだよ。ホラ、これはなんだ?あぁん…?自分でしてたら、お前も欲しくなっちまったんだろ?」

 

 

『違う…。私は、私は…変態じゃない…っ! アナタとは違う!!』

 

 

 

美鈴の目から涙が溢れる。

出た後に自分で気付き、急いで顔を覆う。

 

男であれば罪悪感に苛まれ、相手を気遣ってしまう仕草。

鈍感な者でも『ここまでだ』と手を引くような、“萎える” 場面。

 

呂晶は鈍感ではないし、そういう場面ほど興奮する。

 

 

 

「最初は嫌な事ってね…?後で癖になるんだよ…。今からお前のココを、お前がしてたように “アタシがする” って考えたら、疼いてくるだろ? 頭を思いっきり締め付けて、好きなだけ腰振っていいんだぞ…?ほら、疼いてきただろ?」

 

 

 

太腿の内側に手を這わせると、

美鈴は恐怖からか、痙攣したように体を強張らせる。

 

 

 

『こなっ、いです…』

 

 

「馬鹿か?触ってんだぞ。ピクついたのがちゃーんと伝わってる」

 

 

『非道い…非道すぎる…。うっ…うぅ…っ!』

 

 

 

(いい具合だ。体力を削って体に染み込ませ、少しづつ洗脳してやる。最後の夜には、自分から股を開かせてやる)

 

 

 

“自分もそうされた事のある” 呂晶は、

経験から、到達可能な目標を定め、

 

自分の欲求を発散させつつも、必要なカリキュラムを施していく。

 

まともな人間を、変態に生まれ変わらせる行程。

 

 

手を這わされ痙攣した美鈴も、

それが恐怖からか、感じてしまったのか判らない。

 

現象としてはどちらも同じ事だから。

 

問題なのは、自分がどちらと思ってしまうか。

 

 

 

「ナメナメが欲しくなっちゃった、しょうがない変態ちゃーん。まずはこっちを吸い吸いしましょうねぇ~?アナタは泣き出すと五月蝿いでちゅからねぇ~?」

 

 

 

呂晶が取り出した “それ” を見て、

美鈴が目を見開き、狭い天幕の中で精一杯後ずさる。

 

“それ” に魂を抜かれる事を、恐怖している。

 

 

 

『お願いします…お願いします…!それ以外なら何でも…むぐぅうっ!』

 

 

 

美鈴の頭を素早く固定し、口の中へ押し込み、

指を擦って炎孔を発生させ、火を付ける。

 

一連の動作に一切の淀みが無い。

日常的に行っているであろう、手慣れた動き。

 

 

 

「はーい、吸って~…吸って~……止めて~…。頭を揺らして~…。おい、鼻から出してんじゃねぇよ」

 

 

 

大きな音がするほど頭を強く叩いてから、鼻をつまむ。

 

昨日の、朦朧とした状態でさせるのと違い、

二回目は、意識がハッキリした状態で行わせる。

 

”カウントしない” とか、”セーフ” といった言い逃れを、出来なくさせる為。

普通の人ではなくなる事を、強く自覚させる為に。

 

 

 

『げほっ!げほっ!いた、痛い…。や、やめて…。吸います…吸いますから…』

 

 

 

例え強要されたとしても、自分から摂取するそれと、

効果は何の違いも無い。

 

 

 

「いいんだよ~素直になりなぁ~?素直になるのは良い事だ。お前は最低最悪の変態になるんだ。アタシと一緒だ…嬉しいだろ?」

 

 

『(どうして私がこんな…この女のせいで、この女のせいで…)』

 

 

 

呂晶は耐え難い乱暴を施しながら、

優しく頭を撫でる。

 

人間は相反する命令を出されると、容易に精神が崩壊する。

倫理観や貞操観念を狂わせ、破壊し、洗脳を行っている。

 

肉体だけでなく、精神の陵辱も緩めない。

 

 

 

 

美鈴の体がゆっくり揺れ始め、

急に魂が抜かれたように、全身が弛緩する。

 

 

 

『(アレぇ?昨日と違う…フワフワして…シーン…ダメ。フワフワ…雲の上…ダメ。私…一度でいいから…ダメ。雲の上で…お昼寝してみたかったの)』

 

 

 

薬物が血管を通り、涙を流す美鈴の脳に到達すると、

瞳孔が開いて、目の焦点が定まらなくなる。

 

一時的に、知能が動物のように退化する。

 

 

 

「コイツはな、吸えば吸う程、このスカ頭を、もっとスカスカにしてくれるんだよ。少しづつ少しづつな…」

 

 

 

それは一時的なもので、

動物だった知能は、やがて元の人間に戻る。

 

一時間後には八割が戻る。

数日後には、“ほぼ” 十割が戻るだろう。

 

 

だが少しづつではあるが、

 

 

 

一回一回、確実に、着々と。

 

 

 

 

 

 

“脳に永遠に回復しないダメージを刻んでいく”

 

 

 

 

 

 

 

「末期の中毒者を解剖したら、脳が小さくなってたそうだ。萎縮した脳は二度と戻らない。今お前は、自分で自分を馬鹿にする為、一生懸命吸い込んでるんだよ、スカ頭」

 

 

 

頭を軽く叩く。

今何をしても、何をされたか考えられない。

 

ただの揺れにしか感じていない。

 

 

 

『(スカスカ…。憎い、気持ち良くて、嬉しい。…憎い、この女が…)』

 

 

「まぁ、今言っても判んねーだろうけどな。ほーら、無駄に張ったオッパイ揉んでやるからなぁ」

 

 

『(この女、嫌い…おっぱい、好き。アソコ濡れる。おっぱい…お前、嫌い)』

 

 

美鈴の虚ろな目が、

体をまさぐっている腕から、それを伸ばしている者へと、

ゆっくり向かっていく。

 

 

 

「アタシが憎いんだろう…? 憎いってのは最高なんだ。お前もすぐに判るよ…」

 

 

 

適当だ。

それらしい事を格好付けて言っているだけで、

特に意味はない。

 

意味の無い言葉をかけながら、

白黒の斑模様の化物が、美鈴の股間に顔をうずめていく。

 

 

 

『(憎い…から…? だからこんなに…。すごく、気持ち、良い…気持ち良いのは…憎い証)』

 

 

 

そういう言葉ほど、相手の心によく残る。

 

 

 

 

 

 

麻薬による脳への作用には、波がある。

 

朦朧とした意識の中、瞬間的に、

冷静な思考が戻る事もある。

 

 

 

 

 

 

『(気持ち…良い……、絶対に殺してやる……くものうえー)』

 

 

 

 

 

ただ、その時の思考は、

波に流され、破壊される脳細胞と共に、

 

二度と思い出される事は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――行商6日目

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