シルクロードオンライン¬(differentiam) 作:hachu
お前が殺したんだよ
――消えない…っ!もっと雪をかけろ!
北欧の深い森にある、慎ましくも神聖な村。
月夜に照らされた、
真っ暗で、
真っ白な広場。
二人の幼い少女と、
何人かの大人。
そして、赤い光。
『熱…い…たすけ、て…』
一人の少女が
燃えている。
『どうしてだッ!?どうしてこの子を燃やしたッ!!』
「ちがう…!ワタシは…ワタシは…っ!」
『…ダメだ、もう死んでる』
「えっ…死んでる? 死んでるって…も、もう…動かないの…?」
『 “お前が殺したんだよ”ッ!! 』
「ひ…っ!」
大人が発した大声のせいか、
自分が犯した過ちに気付いたのか、
「うぅっ…ぅうぁあああああ…っ!!」
少女は泣いた。
小さく弱々しいけれど、強い炎。
ギリシアの火。
燃えた少女は、日が昇っても燃え続けた。
もう骨だけになり、骨が溶けだそうとも、
誰も近付けなかった。
皆は消す事を諦めた。
燃え続けるそれを見るのはとても辛く、
話し合いをするという名目で、皆は家の中に入った。
日が高くなり、ようやく燃え尽きた時、そこには何も残っていなかった。
焦げ付いた後すら、雪が溶けて無くなった。
残ったのは、側に落ちていた、
火炙りになった少女が使っていた、杖だけだった。
夜が更ける頃、
大人達は、“燃やした方の少女”をどう処罰するか、話し合っている。
『あの子は自力で歩けなかったし、病もどんどん悪くなっていた。
グスタフの家には悪いが、どの道近い内に死んでいただろう』
『だからと言ってお咎め無しにはできん。
グスタフがどうかじゃない、村に示しがつかない。いくら神の子であろうと』
『ワイナミョイネンの生まれ変わり、ギリシア女神の再来か…二人は同じ子供だぞ?立場が逆なら、こんな話し合いすらしていなかっただろう』
『歩けないあの子は奴隷にすらなれないんだ。子供は全て同じじゃない』
『あの子には今後、狩りに同行してもらう。森の恵みを村に分け与え、罪を償わせる』
『あの子は女だぞ。掟を忘れたのか』
『いや、その話は前からあったんだ。もっと先の話だと思っていたが』
『あの子は神の力を授かっている。動物達だって、まるで自分を与するように寄ってくる。
仕留めるのは容易い』
『むしろ今まで、自然と共存させなかったのが間違いだったのではないか?』
『それでもまだ子供だ。付いて来れるとは思えん』
『出来るようになってもらう。それが出来なければ…』
『奴隷に出すのか。神の子まで』
『それが掟だ、本人の意思は尊重するが。…お前はどうしたい?』
「ワタシは…ワタシは…」
――少女は夢を見ている。
忘れたくても忘れられない、遠い昔の記憶。
夢見がちな少女は、今日も夢を見る。
6歳の夢。
丁度10年前の、自分が狩りを始めた頃の夢。
神の子ではなくなってしまった日の夢。