※この作品はR-18です。

シルクロードオンライン¬(differentiam)   作:hachu

38 / 47
奇譚収遺使禄.Ⅳ 「魔女と聖騎士」
お前が殺したんだよ


 

 

 

 

 

――消えない…っ!もっと雪をかけろ!

 

 

 

 

 

北欧の深い森にある、慎ましくも神聖な村。

 

 

 

 

月夜に照らされた、

 

 

真っ暗で、

 

 

真っ白な広場。

 

 

 

 

二人の幼い少女と、

 

何人かの大人。

 

 

 

 

そして、赤い光。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『熱…い…たすけ、て…』

 

 

 

 

 

一人の少女が

 

 

 

 

 

 

 

燃えている。

 

 

 

 

 

 

 

『どうしてだッ!?どうしてこの子を燃やしたッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちがう…!ワタシは…ワタシは…っ!」

 

 

 

 

 

 

 

『…ダメだ、もう死んでる』

 

 

 

 

 

 

 

「えっ…死んでる? 死んでるって…も、もう…動かないの…?」

 

 

 

 

 

 

 

『 “お前が殺したんだよ”ッ!! 』

 

 

 

 

 

 

「ひ…っ!」

 

 

 

 

 

 

大人が発した大声のせいか、

 

自分が犯した過ちに気付いたのか、

 

 

 

 

 

 

 

「うぅっ…ぅうぁあああああ…っ!!」

 

 

 

 

 

 

少女は泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さく弱々しいけれど、強い炎。

 

 

 

ギリシアの火。

 

 

 

 

燃えた少女は、日が昇っても燃え続けた。

 

 

もう骨だけになり、骨が溶けだそうとも、

誰も近付けなかった。

 

 

 

皆は消す事を諦めた。

 

 

 

燃え続けるそれを見るのはとても辛く、

話し合いをするという名目で、皆は家の中に入った。

 

 

日が高くなり、ようやく燃え尽きた時、そこには何も残っていなかった。

 

 

 

焦げ付いた後すら、雪が溶けて無くなった。

 

 

 

残ったのは、側に落ちていた、

 

火炙りになった少女が使っていた、杖だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が更ける頃、

大人達は、“燃やした方の少女”をどう処罰するか、話し合っている。

 

 

 

『あの子は自力で歩けなかったし、病もどんどん悪くなっていた。

グスタフの家には悪いが、どの道近い内に死んでいただろう』

 

 

『だからと言ってお咎め無しにはできん。

グスタフがどうかじゃない、村に示しがつかない。いくら神の子であろうと』

 

 

『ワイナミョイネンの生まれ変わり、ギリシア女神の再来か…二人は同じ子供だぞ?立場が逆なら、こんな話し合いすらしていなかっただろう』

 

 

『歩けないあの子は奴隷にすらなれないんだ。子供は全て同じじゃない』

 

 

『あの子には今後、狩りに同行してもらう。森の恵みを村に分け与え、罪を償わせる』

 

 

『あの子は女だぞ。掟を忘れたのか』

 

 

『いや、その話は前からあったんだ。もっと先の話だと思っていたが』

 

 

『あの子は神の力を授かっている。動物達だって、まるで自分を与するように寄ってくる。

仕留めるのは容易い』

 

 

『むしろ今まで、自然と共存させなかったのが間違いだったのではないか?』

 

 

『それでもまだ子供だ。付いて来れるとは思えん』

 

 

『出来るようになってもらう。それが出来なければ…』

 

 

『奴隷に出すのか。神の子まで』

 

 

『それが掟だ、本人の意思は尊重するが。…お前はどうしたい?』

 

 

 

 

 

 

 

「ワタシは…ワタシは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

――少女は夢を見ている。

忘れたくても忘れられない、遠い昔の記憶。

 

 

 

夢見がちな少女は、今日も夢を見る。

 

 

 

 

 

 

 

6歳の夢。

 

丁度10年前の、自分が狩りを始めた頃の夢。

 

 

 

 

神の子ではなくなってしまった日の夢。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。