「あん!あん!あん!菊池係長いいわ!」
「はあ!はあ!はあ!...里中さん、僕ももうイクよ!」
購買部の里中のアパートの部屋で菊池と里中は何回も愛し合っていた。
「...里中さん、結婚しようか?」
「え!」
「...ごめん、こんなムードも何もなく突然に...」
「ううん、私凄く嬉しい!」
2人はその後、抱き合って眠った。
翌日、会社に出社した2人は衝撃を受けた。
なんと2人のセックス画像が会社のあちこちに貼られていたのだ。
「...な、なんてことだ。...これは昨日の僕たちの写真か?いつどうやって...。」
菊池は階段下の掲示板に貼られている写真を見て剥がすのも忘れていて見入っていた。
「きくちぃ!あらかた剥がしておいたぜ!」
菊池と同期の南がたくさんの写真らしきものを抱えてそう言った。
「ああ、南、ありがとう!」
「しっかし、これ誰がやったんだ?」
「...わからない。...まあ、いいさ、僕たちは結婚するし後ろめたいことは微塵もない」
「おお、そうなのか!おめでとう!」
「ありがとう南!」
「おお、俺たちは親友だからな!」
「うん!結婚式のスピーチには友人代表としてぜひ頼む!」
「おう!まかせとけ!」
2人はガシッと熱い握手を交わした。
◇
「お、おいしいね!このなんだかわからないけど魚のムニエル!」
一里塚はその女に社食のランチを頬張りながらそう言った。
「...そうね」
「...菊池係長はさ、後ろめたいところなんてないから無理だよ」
「うっさいわねえ!」
菊池係長と里中のH画像を里中の部屋の外から赤外線カメラで撮影して社内の掲示板などに貼ってバラ まいたものの大した騒ぎにならなかったのでその女は不機嫌そうにそう言い放った。
「ひっ!」
「...ないならやっぱり作るしかないわね。後ろめたいことを!」
じろっとその女は一里塚を睨んだ。
「む、無理だよぉ!誘惑も絶対無理だし~。」
「んー、そうね。例えば私たちで菊池を襲ってその淫らな行為の写真を撮ったとしても『わかってくれるまで里中さんに説明する』ってなるのかしらね」
「そうだねー。菊池係長はすごく真面目な人だから里中さんは菊池係長を信用すると思うよ~」
「ねえ、菊池係長と仲のいい人は他に誰がいるの?」
「そうだねえ、一番仲が良いのは南さんかな。同期だし」
「...南さんの役職は?」
「ん?ないよ。平社員」
「...菊池係長だけ出世して面白くないとか思ってないかしら」
「んー。ないと思うなあ。2人はすごく仲がいいからね」
「...一里塚さん」
「はい」
「南さんを誘惑して菊池係長の弱み情報をGETしてきてください」
「え~~~~!」
「イヤならいいの。イヤなら!そのかわり菊池係長のH画像が剥がされた場所に今度はあなたのナスが刺さった画像が張られることになるでしょうね」
「...はあ」
「やるのやらないの!?」
「やりますやります!」
女の指示に従うものの一里塚は以前よりも危機感というのを感じなくなっていた。
というのも杉本は脅しはするものの本当はそこまで悪人ではないんじゃないかと思えるようになっていた。
西川を誘惑した時にも挿入される寸前で場に現れて挿入を阻止してくれた。
行為が終わった後で現れても大勢に影響はなかったハズだ。
むしろ浮気の信憑性を増す為にも行為が終わってからのがいいくらいだった。
(あたしの新車は思いっきりキズつけられちゃったけどそこまで悪い人じゃないハズ。...お詫びにお昼ご飯奢ってくれたし。)
一里塚はそんな風にいろいろ考えているとふいに菊池の同期、南に遭遇した。
「あ!南さん」
「ん?なんだい?一里塚ちゃん?」
「...あの!今晩、食事にいきませんか?」
「え?俺と?」
「はい」
「なんで?一里塚ちゃん彼氏いるよね?」
「...今はいません」
「え?別れたの?」
「...まあ、そんなところです。だから南さんに話を聞いて欲しくて」
「マジで?」
「はい」
「そのシチュは俺、マジで期待しちゃうよ?いいの?」
「それはわかりません!とにかく牛丼屋の裏で7:00に待ってますから!」
一里塚はそう言い放つとタタタッとその場を去った。
「はあ、あたしもぺらぺらとよく嘘つくようになっちゃったな。...亮君、ほんと、ごめんね。...やっぱり亮君に全部話そう」
一里塚は今回の件が落ち着いたら彼氏に事の顛末を全部話す気になった。
一番信じて欲しい人に隠し事はしないで本当のことを全部話す。
これは菊池係長の影響であるのであろう。
しかし遅すぎた感はある。
◇
午後7:00。
例によって一里塚は帽子にサングラスにマスク着用といったいでたちで牛丼屋の裏で南を待っていた。
「よっ!一里塚ちゃん」
「あ、南さん、お疲れ様です」
「お疲れちゃん。どこいく?何が食べたい?」
「なんでもいいですよ?南さんが好きなところで」
「...そうだな、移動するのも時間がもったいないし、あそこでいい?」
南はフレンチレストランを指さした。
「いいですよ」
2人はこじゃれたフレンチレンストランの店内に入り着席する。
「南さんはここよく来るんですか?」
「いや?はじめてだけど」
「あはは、そうなんだ」
「...で?彼氏とうまくいってないの?」
「ええ、そうなんです。たまに会っても会社のグチばかりで...。」
「へえ」
「俺よりも早く同期の人が出世してなんでなんだ!とか。あいつは俺より仕事ができないのに!とか」
「うんうん」
「ゴマすり野郎め!とか。同期の人の悪口ばかりなんですよ」
「ほお」
「なんか付き合い長いとそういう甘え?っていうんですかね。そういうところがでてきちゃって」
「なるほど」
「あたしにそんなこと言われてもあたしがどうにかできるわけないじゃないですか?」
「んーそうだね」
「?何か、南さん言いたそうですね?」
「いや」
「言ってください!南さんの意見も参考にしたいから誘ったんです!」
「じゃあ、言わせてもらうけど、もちろん彼氏もさ、会社のグチを一里塚ちゃんに言ってもどうにもならないのはわかってると思うよ」
「はい」
「だけど聞いてもらいたいんじゃないかな?聞いてもらうだけで気持ちは少しは楽になると思うよ。彼女の一里塚ちゃんにさ。そしてできれば励ましてもらいたいんじゃないかな」
「そうなんですかね」
「そそ、男なんてのは好きな女の応援があればなんでもできる気がするのさ」
「はあ。...なるほどよくわかりました!じゃあ、南さん」
「うん?」
「今度はあたしが南さんの話を聞きますよ?グチでもなんでも」
一里塚は屈託のない笑顔を南に向けそう言った。
「うっ!」
その笑顔に南はクラッときそうになる。
「...ま、まあ、俺も一里塚ちゃんの彼氏と同じような事を思うことがあるよ」
「え?そうなんですか?」
「うん」
「その話、もうちょっと詳しく話してくれませんか?あたしの話を聞いてくれたお礼に南さんの力になりたいんです!」
一里塚はずずずいっと胸元の空いた服を強調させて南に食い入るように言い放った。
「...いや、やめとくよ。一里塚ちゃんに話したところでどうにもならないし、むしろ話したら何かが壊れそうな気がするんだ」
一里塚は南にそう言われてズキンと胸が少し痛かった。