北条のお屋敷の地下にある研究施設。そこの一角に簡易ベットが設置される。永井小百合ががんの治療の為ここに入院する予定になっているのだ。ほどなくして小百合は光一に付き添われ北条のお屋敷にやってきた。
「大貫さん......ではなかったえと、北条さん、小百合のこと宜しくお願いします」
光一は小百合と供に頭を下げる。小百合は度重なる抗がん剤の投与により憔悴しきっており言葉を発することができない。
「よく決心したわね。がんは必ず完治する。安心してください」
「はい」
「それで副作用のほうだけど......」
「それは小百合も納得済みです。もし俺のことを忘れてしまっても、お互いにもう一度恋をすることから始めればいい」
「なるほど......素敵ね」
波香はそう言って小百合を見る。小百合の表情からは少し微笑んでいるように見えた。
「では、はじめましょうか......大河原」
「はっ!」
波香は大河原に指示を出す。
「ナミカサマ。ワタシガサユリサンヲハコビマス」
後方に控えていたキーリアタイプのクローンがそう言って小百合を抱きかかえる。
「うん、キアちゃん、お願い」
小百合を抱えたキーリアを先頭に大河原、宗時、美菜がそれに続く。彼女、彼らはエレベーターに乗って地下施設へと旅立って行った。
「後は、医療介護チームに任せましょうか」
波香は香織の顔を見る。
「そうですね......こんな時に不謹慎だけど美菜さんの看護師の制服、可愛かったですね」
「あはは、似合ってたわね」
地下施設へと移動するエレーベーターの中で宗時はこそっと大河原に尋ねる。
「やはりリスクの方はどうにもできないか?」
「出来るかぎりの可能性は試してみたが......後は運次第だ」
「そうか......後ひとつ気になることがあるのだが......」
「なんだ?」
「がんが完治する可能性は100%ではないのだろう?」
「......いや100%だ。実は今回ある成分の比率を少し変えた。そのかわり......」
「よりリスクが高まったということか」
「そういうことだ」
「このことを波香様は?」
「......お伝えしていない。今回はがんを治すことが最優先だからな。余計な心配はさせたくない」
「うむ......私がお前の立場だったら同じことをしたよ」
「......宗時よ。この仕事が終わったら久しぶりに飲みにいかんか?」
「ほぅ、珍しい。お前が私を誘うとはな」
「古くから繁一様に仕えている者はもう私と宗時だけになってしまった。.....昔話を肴にどうだ?」
「......お、いいな。わかった。楽しみにしている」
◇
波哉香と我那部野の交際の噂は学校内に瞬く間に広がっていて、それをきっかけにあちらこちらで生徒間の告白シーンが見受けられるようになる。期末試験も近いと言うのに生徒間の話は誰と誰が付き合い始めたとか誰が誰に振られたとかそんな話でもちきりだった。
波哉香達も昼休みの話題でそんな話をしていた。
「隣のクラスの鈴木君が鈴木君と同じクラスの田中さんと付き合いはじめたんだって」
この鈴木とは波哉香にラブレターを出した生徒のうちの一人である。
「そうなんだ.....良かった」
「波哉香に振られて落ち込んでいた鈴木君に田中さんから告白したんだって」
美樹は楽しそうに波哉香達に言う。
「ちょっと、私を悪者みたいに言わないでよ」
「あはは、ごめんごめん」
「まあ、でも良かったな。これであいつもハヤカにちょっかいだしてくることはなくなる」
「いいなあ、私も誰かに告白されないかな」
波哉香が我那部野と交際が始まって美樹は少し吹っ切れていた。なのでそんなことを言う。
「美樹。いい加減美樹の好きな人教えてくれないかな?教えてくれればタオと一緒にうまくいくように応援するよ?」
「......言えないよ」
「なんでよ~?タオは知ってるのになんで私には教えてくれないの?」
「え?私、我那部野君にも教えてないけど?」
「んあ?」
ジロリと波哉香は我那部野を睨む。
「あんた私に嘘ついたの?」
「わ、わはは、でも大体検討はついてる」
「え?なんで?タオより私のが美樹との付き合い長いのになんで私が知らなくてタオが知ってるのよ?」
「まあ、世の中には摩訶不思議な事があるってこったな」
「......」
美樹は2人の会話を黙って聞いていた。というか何も言えないのだ。自分が波哉香の事を恋愛的な意味で好意を持っていたことが我那部野にはバレているのではないかと内心ビクビクしている。
「あ、あの、私の事はいいから」
「美樹もさ、誰かと付き合えば私達とWデートとかできるじゃん?」
「誰かとって......私、誰でもいいわけじゃない。さっき言ったのは冗談だよ」
「あ、ごめん。そうだよね、私、自分勝手な事言ってた」
「前田なんかどうだ?」
「前田君は前から告白されまくりで玉砕した女の子は数知れず......だよ」
「そうなのか。あんな女みたいなやつがな」
どすどすどす
波哉香達のクラスに大柄な女性が不意に入ってきた。武田美乃梨である。
「やっほー波哉香ちゃん」
「あ、美乃梨ちゃん」
と波哉香は挨拶するも視線は巨大なバストに釘付けだった。というか波哉香が座っている目の位置がちょうどそこなのだ。
「美樹ちゃんも久しぶりー」
「こんにちは武田さん」
「なんだ早瀬も武田と知り合いなのか?」
「うん」
「私も昼ご飯ここで食べて良い?なんか自分のクラス馴染めなくて」
食堂でパンを大量に買ってきたらしく紙袋を美乃梨は抱えていた。
「もちろんいいよ、ね?美樹?タオも?」」
「うん!」
「ちっ!」
「タオ、大人げないよ?」
「私も波哉香ちゃん達とお昼一緒に食べたかったんだけど我那部野はなー」
「武田!お前!」
「あはは、でも波哉香ちゃんの彼氏なら仕方ないね~」
「くそがっ」
「タオ、私の友達なんだから仲良くやってよ!」
「わかったよ」
「あ~?もう尻に敷かれてる~」
「いちいちうるさいな!お前は!」
「タオ!」
「......」
「ぷっ!くくくく」
「美乃梨ちゃんも!私の彼氏、煽らないでよ」
「ごめんごめん」
「まさかハヤカ、こいつもこれから毎日一緒に昼ご飯食うのか?」
「ん~?美乃梨ちゃんがよければ?」
「え?本当?嬉しいな!波哉香ちゃん大好き!」
そう言って美乃梨は波哉香を抱きしめ自分の巨大なバストの谷間に挟み込んだ。
「むぎゅうう、く、苦しいって!」
それを見て我那部野と美樹はむっとする。
「ぷはああ~死ぬかと思った」
「あははは~」
「美乃梨ちゃんお父さんは元気?」
「ん~まあ、元気だよ。今、失業中だけどね」
「へ?会社辞めちゃったの?」
「ん~なんだかね。辞めた原因は知らないけど。今、カモンワークで職を探してる」
「大変だね」
「ま~そうなのかな?大変なのかな?」
「ハヤカ、俺は将来ちゃんと働いて金でお前を困ったりさせないので安心してくれ!」
「は?う、うん」
「お!?二人はもう将来を約束しあった仲なんだ?」
ニヤニヤと美乃梨は茶化すように波哉香に言う。
「ち、違うよ!」
「あははは~」
「ぼ、僕もいいかな!?」
「えっ!?」
振り向くとそこには前田敦盛がコンビニ袋を持って突っ立っていた。
「前田君?どうしたの?」
「いやあ、この告白ブームの中で毎日のように女の子が僕のところに......君達の中にいれば少しは違ってくるんじゃないかと思って」
「私達はオリか何かですか!?」
「そういうわけではないんだけど、このままだとお昼ご飯もろくに食べさせてもらえそうにないんだ」
「なんだか可哀そう。いいよ。私達でよければ。ねっ!?」
波哉香は自分の彼氏と友人たちに了解をとろうとする。
「まあ、いいだろう。前田ならな」
「うん、いいよ」「おうけい、私と同じクラスだしね」
「デリーーーシャス!!」
そしてその前田の後ろには白石が控えていた。白石は高級そうな弁当箱を何個か抱えている。
「この僕もランチ、トゥゲザーOK?」
「白石!てめえはダメだ!わけのわからねえ英語使いやがって!」
「レディエンジェントルメン!僕と一緒にランチすればもれなく特上の幕の内弁当をプロデュースしちゃうよ?」
ぱかっ
白石が黒い弁当箱の蓋を開けると鯛やらなんやらの高級食材がみっちりとその弁当箱には詰められていた。
「この黒いの何?」
「フォアグラさ!」
「おほ!すげえすげえ!」
美乃梨の目は高級食材を目にランランとしていた。
「ちっ!金に物を言わせやがって!......まあ、俺はハヤカがいいなら構わんぞ」
我那部野はヤケになっていてもう投げやり状態だ。
「ん~そこまでされちゃったら断れないかな。みんなはどう?」
波哉香の問いに誰一人声を挙げるものはいなかった。
「よし!決まりだな!よいしょっと!」
「おい!てめえ!俺とハヤカの間に座ってくんじゃねえ!」
「ははは、お約束のギャクだったんだがどうやらスライディングしてしまったようだね」
「......てめえ、あのプールめがけてヘッドスライディングさせてやろうか?」
「オウノー!ノーサンキュウーさー!」
その我那部野と白石のやり取りに波哉香は大爆笑していた。声は上げないものの下を向いて右手で箸を持ち左手で口を押さえ目には涙を溜めていたのだ。
「......はぁ、楽しい。やっぱりみんなでお昼を食べるのっていいね!!」
波哉香は箸を持ちながら満面の笑みでみんなに言う。そんな波哉香を見てこっそりと我那部野は美樹に話しかける。
「......なあ、早瀬、今の面白かったか?」
「え?......私は波哉香が笑ってくれるならそれでいいよ」
「......そうだな」
◇
一日の授業が終わり各生徒は帰り支度をし始める。
「波哉香、今日、本当に私用事があるんだ。だから先に帰るね」
「うん、どうしたの?何かあった?」
「うん、お母さんが今、盲腸で入院してるんだ。だからお見舞い」
「そうなんだ。大変だね」
「うん、じゃあね、我那部野君もまた明日」
「おう!気を付けてな」
美樹はいそいそと教室を出て行く。
「じゃあ、俺たちも帰るか」
「うん!」
波哉香と我那部野も教室を出るがすっかり波哉香達をじっと見る生徒はいなくなった。我那部野の言う通りもう誰も驚かなくなったのであろう。
校門を出たところで我那部野は頭を掻く。
「今日はさ、俺んち来ないか?」
「タオんち?」
「ああ」
「え?どうしよう。お父さんとかお母さんいるの?」
「いない。俺は一人暮らしだ」
「え!?......うん、いいよ。行く」
「お!そうか!」
我那部野はすっかり機嫌が良くなりしまりのない顔をする。
「あ!でも、二人きりだね」
「おう!」
「変なことしないでよ?」
「しないしない!」
「......まあ、万が一襲われても私は護身術を学んでいるから大丈夫か」
二人は帰りがてらコンビニに寄り飲み物と適当なお菓子を買って我那部野が住んでいるアパートに着いた。
「ボロいけど俺の住んでいるところだ」
「うわあ、相当年季入ってるね」
我那部野の部屋に入ると部屋の中は割と綺麗だった。
「へー、綺麗にしてるじゃん」
「まあな」
我那部野は波哉香と交際を始めてからいつでも波哉香を自分の部屋に呼べるよう掃除を欠かさなかったのだ。
ガラステーブルを挟んでお互い正面に座ると思われたが波哉香は少し考えて我那部野の近くに座った。
「お!」
「なに!?イヤなら正面に座るけど?」
我那部野の言葉に少し驚いた波哉香は慌ててそう言うが我那部野はそれを制する。
「いや、そこでいい!」
「そう」
お互いしばらく無言のまま勉強を進めていくがやがて波哉香が口を開く。
「ここの家賃とかどうしてるの?」
「自分で払ってるぞ?」
「え?タオ、お金持ってるの?」
「いや、新聞配達とかしてバイトで払ってる」
「え?そうなの?」
「ああ」
「ごめん」
「なんだ?」
「前に学習量が足りないとか言って。バイトとかしてるんじゃ勉強する時間ないよね」
「いいよ、別に気してないし......それよりハヤカ」
「ん?」
「キスしたい」
「え?もぅ、変なことしないって言ったのに結局、目的はそれでしょ?」
「キスは変なことじゃないだろ?」
「そうだけど......」
わっしっ
「きゃっ」
我那部野は波哉香の両腕を掴む。咄嗟の事だったので波哉香は少しばかり声をあげてしまう。
「......んっ」
波哉香は観念し目を閉じた。
ちゅ......さわっ
我那部野は波哉香にキスすると同時に手を波哉香の左の乳房にそっとあてる。
「んん!!」
キスで口を塞がれた波哉香はそれに敏感に反応する。
「......ぷはぁ。ちょっと!やめっ......あっ!」
「すまん、ハヤカ。......我慢できない」
理性を保てなくなった我那部野は服の上から波哉香の両方の乳房を揉みしだき始める。
「あっあっあん!ちょ!......はぁ」
「ハヤカ好きだ!ハヤカ!!」
「わ、私も!す、好きだけどっ......む、胸だけだからね!」
「わかった!」
波哉香の了解で我那部野は調子に乗って波哉香の制服の上着とシャツのボタンを外しにかかる。
「ちょっと!何、脱がしてんの!やめって!......ああっ!!」
そしてブラジャーを荒々しく剥ぎ取り波哉香の右の乳首に吸い付いた。
......ちゅう
「ひやぁっ!」
白い肌に生える桃色の乳首を我那部野に優しく吸われて今まで経験したことのない快楽に波哉香の頭の中は真っ白になっていった。我那部野は自分の手にジャストフイットしている2つの乳房を交互に揉みしだき2つの乳首も交互に吸いだした。
「あっ!んぁ!」
__期末試験は目前に迫っている。
(続く)