※この作品はR-18です。

もう悪役令嬢なんて言わせない!   作:億田夢人

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第140話

 「ふっ......」

 

 今川伊吹はくすっと笑う。学校では風紀委員長、クラス委員まで務めているのにわざわざ隣の県まで行って全く別の顔を持つ自分を演じていることにだ。

 

 (でも、私はこうしなければ何も手にいれられない。食べていくことすら)

 

 伊吹がとあるマンションの一室のソファで佇んでいると中年らしき男性が風呂からあがってきた。

 

 「ふぅ、伊吹ちゃん今日も気持ちよかったよ」

 

 そう言いつつ脱いであるズボンのポケットから財布を取り出した。

 

 「はい、今月の分」

 「え?こんなに?」

 

 「うん、おじさん今月は給料が良かったんだ。ま、口止め料も含めてね。とっといてよ」

 「はい、それじゃあ......おじ様。私は決して裏切ったりしませんので安心してくださいね。私はできるだけ長くおじ様と一緒にいたいので......」

 

 「お!嬉しい事を言ってくれるねえ。伊吹ちゃん。こちらこそ宜しく頼むよ」

 

 伊吹は丁重にお礼を言うとマンションを出て外気に触れる。すると自然に涙が出てきた。

 

 (......あの女はこんなことをしなくても最初から全てを持っている。北条波哉香。あなたには絶対に負けない)

 

 伊吹は小学校在学中に一緒に暮らしていた祖父と祖母を亡くした。その後親戚の間をたらい回しにされ中学生となった現在は自分で生活費を稼ぎ一人暮らしをしているのだ。

 

 そんな状態の彼女がなぜ政府が運営している特別指定学校に入学できたのか定かではない。

 

 (このお金があれば一カ月は食費に困らないわ......良かった)

 

 中年男性から貰ったお金をぎゅっと握りしめ丁寧に折り畳み自分の財布にしまった。そして伊吹は走り出した。急いで自分の自宅に帰り試験勉強をしたいのである。

 

 

  ◇

 

 

 「.....」

 

 波哉香はボーッとしていた。いつもと様子が違う波哉香に美樹は朝の登校時からずっと気になっていた。

 

 「波哉香今日は静かだね?何かあった?」

 「え?え?なんもないよ?」

 

 波哉香は昨日の我那部野との行為を思い出していたのだ。一緒に試験勉強をするつもりが途中からそれどころではなくなり我那部野の思うが儘に胸を揉まれ乳首を吸いまくられたことを。

 

 「ふぅん」

 

 美樹は今度は自分の後ろの席を見る。我那部野は下を向いてただ黙っていた。

 

 「......ああ」

 

 美樹は察した。二人の間に間違いなく何かあったのだ。しかもそれは喧嘩ではない。自分には言えないような恥ずかしい事をこの二人はしたのだと。猛烈な嫉妬心が美樹の心の中に湧き上がるが美樹はぐっとこらえる。

 

 「期末試験まで後3日だね。今回も波哉香はトップかな?」

 「え?あ、うん。そうだね。でも最後まで油断はできないよ。2位の今川さんとの差は毎回10点差以内だし」

 

 「大丈夫だよ、波哉香なら」

 「うん、頑張るよ」

 

 波哉香は笑顔を美樹に向けるとその後、我那部野を見る。

 

 「ねえ」

 「な、なんだ?」

 

 「やっぱりテストが終わるまで自粛しよう。このままじゃ集中できない」

 「わかった」

 

 だが、波哉香は期末試験ではわずか2点差で学年トップの座を伊吹に奪われてしまう。波哉香が中学生になって初めてのことである。

 

 「......」

 「は、波哉香元気出して?今回は運が悪かっただけだよ!」

 

 掲示板の結果を見て落ち込んでいる波哉香を美樹は必死に慰める。我那部野に至っては声をかけることさえもできなかった。

 

 「......いいの。私も試験中、これはまずいかもって思ったし、取りこぼした予感はあった」

 「......ハヤカ、すまん!」

 

 頭を深々と下げ我那部野は波哉香に謝罪する。

 

 「タオ、別にあんたのせいじゃない。これくらいのことで平常心を失う私が悪い」

 「本当にすまん!」

 

 「......」

 

 3人は暗い雰囲気のままその日の授業を終えた。

 

 「試験も終わったし久しぶりに3人で駅前でパフェでも食べない?」

 

 自分のせいで2人に気を使わせてしまった波哉香は明るくそう言う。

 

 「お、おう!俺が奢るぜ?」「いや、私が出すから」

 「いいから俺に奢られるよ、な?」「ダメ、あんたにお金使わせたくないし」

 

 言い合ってる2人を見て美樹は笑う。

 

 「やっぱり2人は仲良いね。付き合ってるんだから当たり前か」

 「......」「......」

 

 「じゃ、じゃあ、割り勘ね!美樹の分は私が払う」

 「いや、俺が!」

 「いいよいいよ!自分の分は自分で払うし」

 

 3人で騒いでいるところに伊吹が部下を5名連れてやってきた。

 

 「お話し中ごめんなさい」

 「げっ」

 

 「北条さん試験の結果ご欄になった?」

 「......見たよ」

 

 「では、約束は守ってもらえるのかしら?」

 「我那部野くんと別れるってことでしょ?うん、さっき別れたよ。恋人から友達になった」

 

 「あら、そう。じゃあ、行きましょうか?我那部野くん?」

 「あ?なんでだ?」

 

 「私と付き合うのだから私と行動を供にするのは当然でしょう?」

 「なんだそりゃ!」「そんなの聞いてないよ!」

 

 「聞いてないも何もこの勝負に負けるということはそういう事でしょ?別れて友達になったって言ってもまた付き合うことになったでは意味がないと思わないのかしら?」

 「そうだけどよ!それなら最初に言えよ!」「そうよ!」

 

 「困りましたわね。北条家の当主の娘ともあろうものがこの勝負の意味すらわからず駄々をこねるばかりとは。北条家もあなたの代で終わりですね」

 「......さっきから聞いてれば変な言いがかりばかり!」

 

 「あら?勝負の条件に不服があれば最初から受けなければ良かったのに」

 「だから!私が負けたらタオが今川さんと付き合うことになるなんて聞いてないから!」

 

 「それはあなたの都合の良い解釈でしょ?私はあなたが私との勝負に敗れて我那部野君と別れるということは私の物になるというニュアンスを含めてお話ししたつもりです。.......ま、あなたが温室育ちのお嬢様でそこまで考えが及ばなかったというのなら私のミスですね。だけど仮にも学年トップを今まで維持し続けてきたあなたなら当然ご理解いただけると思っていましたのに」

 「それこそ今川さんの勝手な解釈でしょ」

 

 「とにかく私は勝った。あなたはこの私に負けた。勝者の解釈に従うべきではないのかしら?」

 

 伊吹も波哉香も一歩も引くつもりはなく話し合いは永遠と続くかに思われた。

 

 「もう!......このまま話し合っても埒があかないね。わかった。今回は今川さんの要求に従うよ。だけど次回の試験で私が今川さんに勝ったら返してもらうからね!」

 「まあ、いいでしょう。我那部野くんはそれでいいかしら?」

 「さっきからお前ら俺の気持ちとか全然無視じゃねえか。......ハヤカがそう言うなら俺はハヤカに従うよ。俺はハヤカを信じる」

 

 「そう、じゃあ一緒に帰りましょうか」

 

 伊吹はニヤッと我那部野を見て次に波哉香を見る。

 

 「ねえ!今川さんてタ......我那部野くんの事好きなの!?」

 

 波哉香は我那部野を連れて行く伊吹に慌てて尋ねた。

 

 「そうね、好きよ。一目惚れだったみたい」

 

 嘘である。伊吹はただ波哉香から我那部野を奪いたかっただけなのだ。

 

 「今川。言っとくけどな。俺はハヤカの事が好きだからな。この気持ちは変わらねえ!」

 

 伊吹たちと一緒に教室を出ながら我那部野は大きな声を出して去って行った。その行為は次の試験で必ず波哉香がリベンジを果たすことを俺は信じてる。だからお前も俺を信じてくれと波哉香に伝えているのである。

 

 全く動じずに伊吹は振り向いて我那部野の目を見て話す。

 

 「今日、私の家に来てくれるかしら?」

 「あ?なんでだ?」

 

 「あら彼女の家に彼氏が来るのは当たり前でしょ?」

 「何をする気だ?」

 

 「別に何もしないわよ。ただくつろぐだけ。......あなた達はここでいいわ。お疲れ様」

 

 伊吹は5人の部下に命じると部下達はその場を去って行った。

 

 「......あいつら、どうやって手懐けたんだ?」

 「私と供に高みを目指す同志よ?手懐けるとか人聞きの悪い事を言わないでくださる?」

 

 「......高みね」

 「着いたわ。ここが私の家です」

 

 「え?もうか?」

 

 伊吹の住んでるアパートは学校から歩いてわずか10分のところであった。

 

 「......俺の住んでるところよりボロっちいところだな。お前の父ちゃんとか母ちゃんもここにいんのか?」

 「いません。私は一人です」

 

 伊吹に案内されるがままに我那部野は伊吹の部屋に入った。

 

 「ちゃんと掃除してるな。俺と同じだ」

 

 部屋の中を一通り見渡すと我那部野は感心してそう言う。

 

 「ええ。いつあなたを部屋に入れてもいいように」

 「......俺と同じだ」

 

 伊吹は台所で手を洗うとコポコポとやかんに水を入れお湯を沸かし紅茶を我那部野に淹れた。

 

 「俺はコーヒーのが好きなんだけどな」

 「ごめんなさい。今度までにはコーヒーを用意しておきます」

 

 「ま、まあ、いいけどよ」

 

 教室内で言い争っていた時とは違って素直な伊吹の態度に我那部野は調子が狂いガブッと紅茶を飲む。

 

 「お、うまいな、この紅茶」

 「そう、良かった」

 

 我那部野がおいしそうに紅茶を飲む姿に伊吹はほくそ笑む。この紅茶には伊吹の交際相手である中年の男性から貰い受けた媚薬が入っているのだ。身体が火照り出したと思われる我那部野の横に伊吹はすかさず座る。

 

 「お!?な、なんだ?」

 「変かしら?私達は付き合ってるから当たり前だと思うのだけれど?」

 

 「そ、そうだな」

 

 そして伊吹は我那部野の手を握り自分の胸へとあてがう。

 

 「おい!?」

 「北条さんともこういうことしたんでしょ?」

 

 「ま、まあな。......でもハヤカのがでかいけどな」

 「くっ......いくらでも比べて頂いて構いませんわ。......でしたらあなたのその手で私が北条さんを超える手助けをしてもらえるかしら?」

 

 伊吹は自分の胸を押さえている我那部野の手に自分の手を添え激しく揉みしだきだした。

 

 「や、やめろ!俺はハヤカ以外のおっぱいを揉みたくはない!」

 「ふふふ、これでどうかしら?」

 

 伊吹はすばやく我那部野のズボンのチャックを下ろし我那部野の陰部をまずはぎゅっと鷲掴みにした。

 

 「や、やめろ!」

 

 我那部野のパンツの窓のボタンを外しリトル我那部野を取り出すと伊吹はそれに吸い付いた。

 

 「ほほひくなってひてますね(大きくなってきてますね)」

 「うお、ぉぉ......」

 

 我那部野は初めての経験に目はうつろになり快楽に身を委ね呆然としている。

 

 ズチュ!ズチュ!ズチュ!

 

 伊吹は激しくフェラを続ける。我那部野の顔を見るとイクのも時間の問題と判断し一気に勝負を決めるつもりなのだ。

 

 「......う、う!!」

 

 やがて我那部野は伊吹の口の中におびただしい量の白濁液を放出した。

 

 「......ごくぅん。たくさん出ましたわね。相当溜まってらしたのかしら?」

 「......」

 

 「もしかして北条さんとはしてなかったのかしら?」

 「ああ、してない。ハヤカとはキスと胸だけだ。俺たちはまだ中学生だからな」

 

 「あらそう」

 

 だがそんな話とは裏腹に伊吹は満面の笑みで我那部野の上にまたがる。

 

 「なら、私が我那部野君の初めてをもらい受けますね」

 「お、おい!やめろおお!!」

 

 ズヌヌヌヌヌ....

 

 「はぁ......おっきい」

 

 伊吹は腰を振り続ける。我那部野はあまりの気持ちの良さに抵抗することを忘れ、ただただ伊吹に身を委ねていたがやがて自らも腰を振り始めた。

 

 「はぁっ!やん!」

 

 伊吹の可愛らしい声に我那部野はますます興奮し激しく腰を振り続ける。

 

 「あん!あん!」

 「ああああ!!」

 

 この後2人は朝までその行為を続けるのであった。

 

 

  ◇

 

 

 病院の屋上で中年の女性は一人佇んでいた。正確に言うとここは病院ではない。お屋敷の一部の屋上である。

 

 その女性は数年前にがんに侵され摘出手術は成功し抗がん剤の治療を続けてきたが最近の検査で転移が発見され余命は後わずかと宣告されたばかりであった。だがこのお屋敷に来て新薬投与の治療を受け見事、がんは死滅し命を取り戻したのだ。

 

 「......風が心地いい......ん?」

 

 背後に人の気配がしたので振り返るとそこには背の高い大柄な中年男性が立っていた。その顔は優しい笑顔でとても懐かしく感じられた。

 

 「こんにちは。今日はとても天気がよくて風も暖かく気持ちがいいですね!」

 

 その女性は思い切ってその男性に笑顔で話しかけてみた。

 

 「ええ、本当に。......ううう」

 

 女性に話しかけられるとその男性からは一転して笑顔が消えその場で泣き崩れた。

 

 「ど、どうしたんですか!どこか痛いところでも!?」

 

 その女性は男性の傍に慌てて駆け寄る。そして上着のポケットからハンカチを男性の為に取り出しそれを差し伸べた。

 

 「あ、ありがとう。......俺は井川光一」

 「え?うん、えと私は.......あれ?」

 

 「君は永井小百合。俺の奥さんだった人だよ」

 「私があなたの奥さんだったの?」

 

 「うん、君はがんで後わずかの命だったんだけど昔の知り合いの人のおかげで完治したんだ。そのかわり記憶は失ってしまったけどね」

 「!!そうだったんだ!」

 

 「うん、そうだよ。もう一度俺と結婚生活をやり直そう。俺と結婚してください」

 「なんだかわからないけど、ハイって言えばいいのかな?」

 

 「ははは、ありがとう。今度も絶対に幸せにするよ」

 

 二人は手を取り合い外の景色を日が落ちるまで眺めていた。

 

 「いいなあああああああ!!」「......」

 

 その二人の様子を美菜と波香はこっそりと物陰に隠れ見ていた。

 

 「......良かったわね。光一さん。さ、いきましょう」

 「うん、あの波香様」

 

 「何?」

 「私も、もう40近いんだけどこの服は.......」

 

 「歳は関係ないんじゃない?よく似合ってるわよ、みなりん」

 「はぁ、そうですか」

 

 「その制服、ここから外出しても着てていいから彼氏にそれ見せて悩殺すれば?」

 「そしたら結婚渋ってる彼も結婚してくれるかなっ!?」

 

 「さあ?それはどうかわからないけどね」

 「ぶっーーーーー」

 

 波香と美菜はこれから先訪れるであろう光一と小百合の明るい未来を祝いつつ、その場を去って行くのであった。

 

 

 (続く)

 

 

 

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