超有名進学学校『
「はあ、私の初めてがバナナだなんて......」
「あはは、でもいいじゃない。その後、時哉さんにシテもらったんだし」
「......そうだけど、私の想い描いていた初体験と違う」
真子は顔を赤らめる。
「今日もお昼......4人でね?」
そう言いながら恵美は真子の顔色をうかがった。
「......今日もHなことするの?」
顔をうつむき加減に真子はそう言った。
「もちろん!」
「イヤだなあ」
「なんで?」
「だって痛いし......恥ずかしいし」
「回数こなせばそのうち気持ちよくなるよ?」
「......」
「いよいよ、来週から夏休みだね!」
真子が黙ってしまったので恵美は話題を変える。
「うん」
「真子は何か予定あるの?」
「別にないかな。あ、家族旅行が1回あるけど。......恵美は?」
「私はいろいろやることがあるなあ。まずお父様の機嫌をとってそれからお父様の機嫌をとって......」
「なにそれ?お父さんの機嫌をとってばかりじゃない?」
「あははは」
「なにか欲しいものでも買ってもらうの?」
「何かを買ってもらうわけじゃないけど......師匠を校長先生にしてもらおうと思って」
「え!」
真子は自分の耳を疑って恵美を見る。
「それで時哉さんを教頭先生にするの」
「えー」
「面白そうじゃない?」
「そんな簡単にそんなことできるの?」
「んー、何かきっかけさえあればね。......何かない?」
「そんな急にそんなこと言われても思いつかないよ」
「そうだよねー」
「というかなんで城之内先生を校長先生にするの?」
「んーなんか今の教頭先生が気に入らないんだって」
「そんなことで?」
「うん」
「やっぱりあの人怖い人なんだ......」
「......確かに敵にすると怖い人かもね。あの人は......でも真子は昨日、師匠にたっぷり可愛がってもらってたじゃない?」
恵美は城之内の正体を危うく話してしまうところだった。
「そ、そんなこと......」
真子は昨日の視聴覚室での出来事を思い出したようで再び顔が真っ赤になっていた。
◇
7月も半ばになると花粉症の影響でマスクをしている生徒の姿はほとんど見かけなくなった。
そんな中、夏休み前の一般的な学校では恒例の行事、校長先生のありがたいお話がある。
それはここ、『優明高等学園』でも例外ではなかった。
生徒からは『こっしー』と呼ばれていた。
彼は教職一筋、26年、非常に教育熱心な人間で他の先生や生徒達からも人望が厚い。
ただ、最近、体調が悪いらしく重要な案件がある場合しか学校には来ていなかった。
「で、あるからして貴方たちは『優明学園』の生徒であることを誇りに持ち高校生のお手本となるようにこの夏休みをすごしていただきたいと思っております」
「ふぁ、眠い。同じ『こし』でもこっちの話は超つまらないわね」
椅子に座って城之内はつまらなそうにあくびをしながらそう言った。
「違う『こし』ってなんだい?」
城之内の隣に座っている時哉はひそひそと城之内に問いた。
「『越川淳二』に決まってるでしょう。昨日は2回も新刊を読み直しちゃったわ」
「は、ははは。......昔から変なの好きだよね」
「変とはなによ。トキヤは淳二様の素晴らしさがわからないの?」
「うん、ごめん。全然、わからない。わかりたくもない」
「それだからダメなのよ」
「何が?」
「人間的に成長しないってこと」
「......越川を受け入れないくらいでそんなことを言われたくないかな」
「ちょっと、そこの先生達、私語は慎んでください」
2人は教頭に注意される。
「すみません」
「すみませーん」
時哉は素直に謝るが城之内はどこかふてぶてしかった。
◇
校長のセレモニーが終わった後の職員室で各教師達は夏休み前の雑務におわれていた。
自分の机の資料を無造作に引き出しに突っ込みながら城之内の隣の席の藤田体育教諭は城之内に話しかけた。
「城之内先生は夏休み、何か予定があるんですかい?」
「ええ、夏期講習をやります」
「は?なんで?」
「私が受け持っているクラスは3年生なので......」
「残業代とかでないんだろう?よくやるねえ?」
「こんなの教師として当たり前の事ですわ」
「はーーーー。な、でもさ、全部が全部、夏期講習ってわけじゃないだろう?」
「ええ、まあ」
「じゃあ、俺とドライブ行かね?新車、買ったんだCR-9!」
「はあ?なんで私があなたと?」
「俺があんたを気に入っているから」
「私は貴方を気に入ってません。むしろ気に入らないです」
「は、はははは。......ハッキリ言うね」
「そうですね。性分なので......」
「じゃあ、俺もハッキリ言おう!あんたが好きだ!」
「......頭も悪そうだし耳も悪いんですか?私は貴方を気に入らないと言ったんですが」
「俺を好きになれ!」
「ならないですねー」
そんな2人のやりとりに気がついた時哉は2人の席に間に割って入ってきた。
「ちょっと、藤田先生。やめてください。職員室で女性を口説くなんて教師として.....あるまじき行為ですよ」
時哉は視聴覚室で連日、教師としてあるまじき淫らな行為を繰り返している自分のことを棚に上げてそう言った。
「なんだ、北条?ほっとけや。それとも2人はもしかして付き合ってるのか?あ?」
藤田は時哉を睨んでそう凄んだ。
「.....つきあってませんよ。そんなことよりその言葉使いなんとかなりませんか?教師のあなたがそんなんじゃ『優明学園』の品位が疑われます」
「ケッ!教頭みたいなこと言ってんじゃねえよ」
「藤田先生!北条先生の言う通りです!言葉使いに気をつけてください!」
女生徒の体育教師、斉藤静香が時哉に加勢する。
「へーへー、どうせ俺は悪者ですよ」
捨て台詞を吐き藤田は職員室を出て行こうとした。
「あ、そうだ。城之内先生と北条先生よ。2人に見せたいものがあるんだわ」
藤田はおもむろに自分のジャージの胸ポケットからスマフォを取り出した。
「え?ま、まさか......」
時哉はうろたえた。
チラ見で静止画像ではあったが藤田のスマフォには生徒2人教師2人による淫らな視聴覚室での映像が映っていた。
「わっはっはっは!俺もぜひ仲間にいれてほしいな!」
そう言って藤田は職員室を出て行った。
「あわわわ、ど、どうする?城之内先生?校長先生になるどころじゃなくなったぞ!よりによって一番、やっかいな奴に......これが知れ渡ったら俺たち懲戒だよ!」
「あらら、序盤はかっこ良かったのに、終わりはヘタレ......まあ、トキヤらしいけど。......藤田......覚えておきなさいよ」
城之内さやかこと北条波香はそういいつつ邪悪な微笑みを見せる。
◇
波香はその後、廊下に出て人気のない場所に行き自分のスマフォを操作してどこかへ電話をかけた。
......ぷるるぷるる......ぷるる、ぷち!
「もしかしてネエさん?何かしら?よくわたくしの電話番号がおわかりになりましたね?」
「ふっ、あなたこそよく私からだってわかったわね?」
「おーっほっほっほ。それくらい朝飯前でございますわw」
「あんたとあんたの旦那に頼みたいことがあるの」
「おや、めずらし。ネエさんがわたくしに頼みごとをするなんて」
「......それにしても相変わらずキショイね。」
「......他に話すことがないなら切りますわよ?」
「マキオ、待てって!後で電話番号を教えるから前に私のスマフォのデータを消したようにあるスマフォのデータを消してもらいたいの」
「なんだ、そんなこと?いいですわよ。クソネエでも一応、わたくしの家族ですからね。協力いたしましょう」
「ええ、ええ、頼みましたわよ。クソ弟」
波香はぷちっと会話を終了し、職員室に戻っていった。