「あなたにセクハラの疑いがかけられてるのだけれど?」
「はい?セクハラですか?」
波香は誠を朝一番で校長室に呼びだした。
「ソフトボールの練習中に長谷川真子の胸を激しく揉んだという目撃情報が多数の生徒から報告がありました。それは本当ですか?」
「はい、確かに。でもそれはあくまでも練習の範疇であります」
誠は弁明をする。
「はあ?」
「長谷川はソフトボール初心者であり見たところ極度のあがり症でもあります。筋肉の緊張をほぐす為と打撃のインパクトの瞬間に両脇を引き締める、つまり胸を引き締める効果を狙ってあえて胸を素振り中に揉みしだきました」
「......そうですか、ただその方法は他の生徒の誤解を招きます。今後は控えてください」
「はっ!」
「もう、行っていいですよ」
「はい!失礼します!」
ばたん
「......まるで私ね」
波香は誠に自分の欲望達成の為にもっともらしい弁明をする誠に自分を重ねていた。
ばたん!
まもなくして校長室の扉が勢いよく開く。
神崎恵美のおでましだ。
「はあはあ、失礼します!師匠!」
「あはは、どうしたの?メグミちゃん、そんなに急いで?」
「時哉さんが見つかりました!」
「え?そうなの?」
「M県のビル工事現場で働いてましたよ!」
「工事現場?トキヤが?」
「はい!」
「へえー」
「それで私、父をなんとか説得して時哉さんをこの学校に雇用してもらうことに成功しました!」
「へ、へえーーー。よくお父様が許したわね?」
「はい!どれほど私が時哉さんを愛しているか、認めてくれない場合は神崎家を捨ててまで時哉さんと一緒になる決意を延々と......ですね!」
「なるほどねえ、喜一郎様もメグミちゃんには甘いわね」
「えへへ」
「.....そうすると数学の教師が2人になるわね。......贅沢を言うようだけど他の教科の先生は見つからないのかしらね」
「んー......来年の4月まではちょっと、無理ですかね......」
「......真鍋先生はクビにしちゃおうかしら.......」
「え?何かあったんですか?」
「......部活の練習中にマコちゃんが胸を揉まれたらしいわよ」
「え?真子が?」
「うん、マコちゃん以外のソフトの部員たちが私に報告しにきたの」
「そうなんですか......」
「まあ、私もソフトの練習をたまに見に行くから心配しないで」
「はい、お願いします」
「それでトキヤはいつから来るの?」
「はい、今の工事現場が今年一杯かかるので新年からですね」
「そう、わかったわ」
こんこん
校長室の扉を叩く音がする。
「は~い?」
がちゃ
「校長!俺に勉強を教えてください!」
真鍋瞬が教科書やノートを持って来た。
「え~?ん~。今は忙しいから学校が終わってからね」
「え~」
「文句言わない!」
「じゃあ、放課後絶対ですよ!?」
「ええ」
「じゃあ、しんつれいします!」
「......」
「師匠、今の誰ですか?」
「ああ、真鍋先生の弟くんよ」
「へー」
「最近つきまとわれて.......ね?」
「......師匠、何かしたんですか?」
「え?別に何もしてないわよ......あなた、私をなんだと思っているの?」
「師匠は師匠ですよ!あははは」
「もう」
「師匠は誰にでも優しいですからねっ」
恵美はにっこりとそう言った。
「え?私が?誰にでも優しい?......優しいっていうのははじめて言われたわ」
波香は恵美に言われた言葉に猛烈な違和感を感じていた。
「そうですかあ?少なくとも私にはそう思えるんですけど」
「そ、そう」
戸惑いながら波香は授業の資料の整理をするのだった。
◇
その後、特に何事もなく毎日が過ぎてゆき、学園は冬季休みとなった。
波香は補習授業を終え、学校の帰り道に書店に寄り越川淳二の新刊の予約をしてあったのでホクホク顔で取りに行く。
「『クリスマスイブ』に新刊発売なんてこ洒落たこと。さすがは淳二様だわ。」
書店で新刊を受け取ると『不三家』に行き適当なケーキを買って自宅のアパートに帰った。
20代の女性のクリスマスイブにしてはなんとも寂しい限りである。
「......うふふ。......あはははは..............ぎゃはははははは」
一人ソファでもんどりうって笑い転げているとやがて静かになった。
どうやら読み終わったようである。
「はあ......トキヤは今頃なにしてるのかしら......マキオは......どうせキモイことしてんでしょうね......こ、光一さん......」
波香は『海の男』こと光一との情事を思い出していた。
「んっ......はあ、こういちさん......はあ......んっ!」
波香は自分の指で自分を慰めるがどうにも足らない様子であった。
「......」
波香は下半身に何も履かないままキッチンの冷蔵庫に向かって歩き出していく。
野菜貯蔵庫から冷えたナスを取り出すと両手でこすり摩擦熱を加えて行く。
ちょうどいいあんばいになったところで波香はナスを突っ込んだ。
「うあ!」
そのナスの太さに思わず声をあげてしまう波香。
ナスで何回もイキ、満足した波香はそのまま熟睡した。
◇
波香たちがいなくなった『優明学園』では田中教頭が校長代理を務めていて不登校を続けていた生徒達も『天晴学園』に編入した48人以外はほぼ全員、学校へ登校するようになっていた。
「『天晴学園』に何人かの生徒は移ってしまいましたが、ようやく我が校も落ち着きを取り戻してきましたね。では諸先生方、これからも『優明学園』の伝統と格式を損なわないよう宜しくお願いします」
「はい!」
「はい」
先生方はおのおのの準備に取り掛かる中、斉藤静香は藤田俊彦にべったりとしている。
「俊彦さん、今日のお昼はどこで食べます?」
他の先生方に気取られないよう静香は藤田の耳元でささやく。
「静香ちゃんがいるのなら僕はどこでもいいよ」
藤田はにこっと静香に微笑みかける。
「そ、そんなこと言われたら......嬉しいです」
どうやら静香はいまだに藤田に騙されている様子であった。
「じゃあ、視聴覚室はどうですか?」
「うん、いいよ」
藤田は笑顔で答えると静香に背を向けて不敵に笑うのだった。
そして昼休みを迎えると藤田は静香のお手製のお弁当を味わうと今度は静香の身体を存分に味わっていた。
「あっ!あっ!んっ!はん!あん!あん!と、俊彦さん激しぃ~!」
ずちゅずちゅずちゅ!
「はっ!あん!ダ、ダメ!こわれちゃう~~」
そんなことを言う静香だが一切構わずに藤田は腰を振り続けた。
(城之内先生、い、いつかはこの女みたいに俺に屈服させてやる!)
「はん!はん!はん!.......だ、だめぇ~~~!」
視聴覚室の床は2人の愛液でべちゃべちゃになってしまった。
◇
「ナミカ、ナミカ」
フカフカのベットでウトウトしていた波香は父の声で目を覚ます。
「ん?お、お父様?」
「すまないね、遅くなってしまって。ほらこれ、クリスマスプレゼントだよ」
波香の父らしき人物は波香の目の前で洋服が入ったケースを開けた。
「わああ!これ、前から私が欲しかったシルクのドレスですか?」
「うん、そうだよ。今日中に渡したくて......寝ているところを起こしてしまってすまないね」
「ありがとうお父様!」
若き日の波香は父に抱きついた。
「......ハッ」
ここで現在の波香は目を覚ます。
しばらく困惑していたが先ほどの出来事が夢だとわかり我を取り戻した。
「クソがクソがクソがああああ!!!」
バゴン!
枕を思い切り部屋の壁に叩きつける。
そして波香の表情は憎しみの表情に変わっていった。