ここのところ毎日のように波香と時哉の家で汐海、美菜、香織、小野寺の4人は晩飯を食べている。香織に至ってはそのまま泊まっていくこともあった。その場合、小野寺の部屋の4畳半で布団を敷いて、だ。成人した女性2人が4畳半に寝るとなるとそれだけで窮屈になるが小野寺はイヤな顔ひとつしない。むしろ香織を歓迎していた。
「香織さん、どうでした?昨日、会った人?」
「......運命の人っていうんですかね。彼に出会う為に私は作られたような気がします」
「え?作られた?」
「あ!言い方変ですね......彼に出会う為に私は生きてきたような気がします」
「え?そんなに!......イケメンですか?」
「いえ、最初会った時の印象はそれほどでもありませんでした。背は高いですね。パッと遠目から見るとかっこいいかもしれません」
「へえ~最初はどこに行ったの?」
「映画を見ました」
「あ!今、話題の恋愛映画?」
「私もそれを見るのかと思いましたけど違うのを見ました」
「何を見たの?」
「『マジック・ガール』っていうアニメーションです」
「へ、へえ~」
「面白かったです。最後大泣きしちゃいました」
「へ、へえ~」
「彼はその筋に詳しくて始まる前からそのアニメの世界観とか説明してくれてそれも決してネタバレせずにです。おかげで楽しめました」
「へ、へえ~」
「その後はちょっとお洒落なレストランでお食事をしてその映画の感想・解説で2時間もお話ししちゃいました」
「へ、へえ~」
「来週は彼の家に行って彼のおすすめアニメーションのDVD鑑賞をしに行きます!」
嬉しそうに香織は小野寺に言うが小野寺は心配になった。出会って2回目でいきなり男の人の家に行っていいものかと。
「あ、あの、出会って2回目でそれは早すぎません?」
「え?そうですか?でも、彼になら何をされても私は平気です。だから彼の家に行くのです」
「は、はあ、そんなにその男の人って信用、信頼できるんですか?出会ったばかりなのに?」
「......始めの映画は少し強引でしたけどそれ以降はずっと私の事を気遣ってくれてすごく優しかったし......信用、信頼できる人だと思います」
「へ~」
香織の目は誰が何を言っても届かない。完全に恋に落ちている目だった。それを察して小野寺はもうその人とのことにおいて否定的なことは言わないよう心がけようと思ったのだ。
「2人ともゴハンできたわよ~」
ちょうど会話が一段落したところで波香が2人を呼びに来た。
「あ、は~い!」「はい!」
2人はいそいそと着替え、みんながいるリビングに入った。みんなは香織の昨日のデートのことが気になって仕方がなく香織に視線が集中する。
「か、香織さんどうだった?昨日のデートは?」
「はい!もうとても楽しかったです!時哉さん、あんなにいい人紹介してくれてありがとうございました!」
「は、ははは、そうなんだ。それは良かったね」
「はい!それで会長」
「うん?なに?」
「来週、彼の家に行くのですがその時にゴハン作ってあげる約束をしたんです。それで料理を教えてくれませんか?」
「え?彼の家?もうその人と付き合うことにしたの?」
「いえ、正式にはまだ」
「そうなの、で、その彼の好きなものは聞いたの?」
「はい、カツ丼だそうです」
「あらま、簡単だわね。それなら簡単だからこの後、教えるわよ?」
「ありがとうございます!」
波香は香織の後に作られたクローンであることを香織は知ってしまった。香織にとっては波香よりも先輩のはずなのだがなぜか波香に対して謙虚の姿勢を今も崩すことはない。それは波香の方が人としての能力は高いと素直に認めているからなのか。それとも自分と同じクローン人間なのに時哉と結ばれ子供も身ごもり幸せそうにしている彼女が香織にとって目指しているものなのか。
「ふぁっ!?会長殿、私にも教えてください!」「私も!」「私も!」
汐海、美菜、小野寺も声をあげる。
「仕方ないわね。でもみんなでキッチンに立ったら狭くてやりにくいからみんなには私の料理してるところを音声解説付きでスマフォの動画で後で送るから、それでいいでしょ?」
「おお、それなら後で繰り返し何回でも見れますな!さすが会長殿!」
汐海も完全に波香のことをリスペクトしていた。汐海は3ケタの製造番号で性能は汐海のが優れているハズなのだが人としての経験は完全に波香のが上だということを認めている。なにしろこうして泊まるところとゴハンの面倒をみてもらっているので当然のことなのだが。
◇
「それじゃ、お世話になりました」
菊池は荷物をまとめその場にいる神崎電子の従業員に頭をさげた。その中には一里塚もいる。一里塚から告白され自分も昔、一里塚が好きだった気持ちをまた再燃されこのままでは自分の奥さんも裏切りかねない。親友の南には違う理由でケニーに戻ると言っていたが実は菊池の本心はそういうことだったのだ。
「......菊池さん、本社へ戻っても頑張ってくださいね!」
一里塚はそう言った。今の彼女に声をかけることと言えばそう言う言葉ぐらいなのだ。
「うん、小西さんもお元気で」
こうして自分の信念を貫き通す若きサラリーマンは神崎電子を去って行った。が、親友の南はしばらくここに残ることにした。そう、汐海がいるからである。彼は今日からまた日勤にシフトした汐海に声をかける。
「おはようございます。汐海さん」
「お、南殿。おはようございます」
汐海はちょっとだけ南を見るとふいっと視線をそらした。
「ん?どうかしました?」
南は珍しくもじもじしている汐海が気になった。
「......実は南殿」
「はい」
「本当はディスティニーランドへ行くまで黙っていようと思っていたのだが皆が私の行動が人を傷つける行動だと言うので......今、打ち明けたいと思う」
「はい?なんでしょう?」
「こないだ、小野寺殿の大学で知り合った男性とだな。付き合うことになってしまって......セックスもしてしまったのだ」
「え!?」
「......すまない、南殿の気持ちも傷つけてしまったかもしれん」
「は、ははは......そうですか......それなら仕方ありませんね」
「本当に申し訳ない!」
「いえいえ、むしろ正直に話してくれて良かったです。他の人と付き合ってるのに俺ともなんて......二股かけられるよりよっぽど良かったですよ!」
「......やっぱりそう思うのか......良かった、ちゃんと話して」
「ははは、それでディスティニーランドへはその彼氏と行くんですか?」
「いや、それがその彼氏はそういうのには興味がないようなのだ。私がそれとなく行きたいことを言ってみたのだが反応がない」
残念そうに汐海は項垂れた。
「じゃあ、行くだけ行ってみますか?俺と?もちろんその彼氏には内緒で?」
「ううむ、でも、それはひどいことで彼氏を裏切る行為だと言うからな......」
「誰が言ったんですか?」
「ん?ああ、同居人だ。今、私は会長の家にお世話になっている。同居人というのはその会長の恋人だ」
「え?会長と一緒に住んでるんですか!」
「うむ」
「そうなんですか......そう言えば遠い親戚みたいなこと言ってましたよね」
「うむ」
このことを知って南は完全に汐海とのディスティニーランド行きを諦める。会長の彼氏付きの親戚に対して強引な事はできないと悟ったのだ。
「じゃあ、その彼氏さんとなんとか行けるようにがんばってみてください。俺は仕事に戻りますね」
「ああ、南殿には本当に申し訳ないことをした。すまない」
「いいえ、いいんですよ、じゃあ俺はこれで」
去って行く南を見て汐海は思う。もしも進藤よりも南と早くデートしていたとして同じくらい楽しかったとしたら南とつきあうことになっていたのだろうかと。
「ううむ。早く出会っていた方とお付き合いをずっとしていくのか?なんだか違う気もするが......」
汐海は考えるが答えはでない。ただ、今回の事に関して言えば時哉が言うようにちゃんと相手に事の真実を伝え相手の気持ちを最小限に傷つけないで済んだ。このことはこれで良かったんじゃないかと汐海は思った。
「......ディスティニーランド、行きたかったな」
◇
都心の3LDKのマンション。そこに有働明は住んでいる。今日は美菜がその有働の部屋に訪れていてダブルベッドの上でお互い全裸になり若い情熱を弾けさせていた。
「あん!あっ!あん!」
「み、美菜、俺もう......」
「ダ、ダメっ、まだ早いよっ!もうちょっと頑張って!」
「う、う、う、うあ!」
美菜の願いは虚しく有働は先に果てる。
「もう~、早いよっ!」
「す、すまねえ、美菜が気持ちよすぎて......」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけどさ、私はこれじゃ満足できないっ!もう一回してよっ」
「お、おう」
美菜は完全にセックスにはまってしまっていた。それもそのはず彼女には仕事をしている時以外セックスしかすることがないのだ。これは主に有働の責任である。彼は最初のデートこそ遊園地に連れて行ったがその後のデートと言えば、自分のマンションに連れ込んだりホテルに行ってセックスをするのみだからだ。最初の頃は美菜の身体にはまってしまい思う存分中出しセックスを楽しんでいたが自分の想像を超える美菜の性欲に身体が持たなくなっていた。が、その身体の事情とは裏腹に有働の脳は美菜の身体を求め続ける。
「あっああっんあっ!.......イッチャう~!!」
ようやく美菜をイカすことができ有働はぐったりとベッドに崩れ落ちた。
「......はあ、気持ち良かった!ねえ、もう一回しよ!?」
「まじかよっ!今日はもう勘弁!」
有働の脳もようやくこれ以上はマズイと停止命令が発動されたようだ。
「え~!!」
残念そうに美菜は言い、しおれた有働のちんぽを掴み手でしごきだした。
「大きくな~れ、大きくな~れ」
シュッシュッ!
「ま、まじでこれ以上は......」
しかし、また有働のモノはムクムクと成長を遂げる。
「やった!大きくなったよん!」
有無を言わさず美菜は有働にまたがり有働のモノを自分に挿入れた。
「ひゃん!ちょっと硬さが足りないけどまあ、いっか......あん!」
__そして自ら腰を再び突き上げ動かす有働。午後7時から初めて二人のその行為は12時過ぎても続いていた。
(続く)