「ね、私、五反田さんの彼女って思ってもいいんですか?」
俺の隣で寝ている経理課の柴原縁はぼそっとそういった。
「うん、構わないよ」
面と向かってそう言われたらそういわざるおえないだろう。
「ほんとに!嬉しい!」
そういうと縁は俺に抱きついてきた。
「でも、柴原さんは俺なんかでいいの?」
「・・・朝の『気合いれ』ってあるじゃないですか」
「ああ、アレね」
「あの場で物怖じせず大きい声張り上げてたの見ました」
「ハハハ、見たんだ」
「はい!で、なんか堂々としててかっこいいなと思って」
「そおかな?」
「他の人はやってられっか、って感じだったり恥ずかしそうに仕方なくやってる人だったりでしたからね」
「あれは狂気の沙汰じゃない?」
「ある意味そうでしょうけど私は一生懸命やってる男の人を素敵だと思っちゃうんです」
「なるほどね」
「前の彼氏も一生懸命に打ち込む人だったんですけど私のこと重く感じちゃうみたいだったので」
「なるほどね」
「私の気持ちも次第に冷めていきました」
「なるほどなるほど」
「もう!さっきからなるほどしか言ってないじゃないですか。真剣に聞いてます?」
「聞いてますよ!」
「・・・五反田さんって確か25歳ですよね?」
「はい」
「私もなんです。これからはタメ口でもいいですか?」
「はい、もちろん。てか、ごめんなさい。俺のほうが後輩なのに結構タメ口だったね」
「いえ、それは気にしてません。それから・・・あの」
「なに?」
「私のことを会社以外では
「うん、そうするよ!」
「ふふふ、うれしいなあ」
「じゃあ、俺のことも一(はじめ)って呼んでくれ」
「あ、私、男の人をたてるタイプなんで呼び捨てはちょっと・・・ハジメさんでいいですか?」
「ぷはっ!いいよそれで。てか、自分で男をたてるタイプとか言うか?」
「あはははは」
ぷるるるる。ぷるるるる。
H後の賢者タイムを楽しんでる俺たちをふいに俺の携帯の着信音が邪魔をした。
俺の携帯の小さい窓から見える着信宛は『浅野美津子(あさのみつこ)』だった。
昼間、俺とホテルに行ったあの主婦だ。
「浅野美津子って誰ですか?」
「昼間、俺が家を訪問して回った先のお客さんだよ」
「携帯の番号、教えたんですか?」
「うん」
「へー、そんなに仲良くなったんだ」
縁は少しむくれた顔をした。
「・・・でなくていいんですか?」
「だってせっかく縁とまったりしてるのに邪魔されたくないよ。今は寝たことにして明日にでも改めて電話するさ」
「そう、言われると嬉しいんですけど・・・何か怪しいっていうか・・・複雑な気持ちですよ」
「・・・あのさ、とりあえずあのお客さんの点検が過ぎるまで待ってくれないか?」
「え?」
「点検が終わったらあの客とはすっぱり連絡を絶つから。彼女ができたんでちょっと連絡はとれません。って言うよ」
「・・・何もそこまで・・・でも、そうしてくれたほうが安心はします」
「うん、そうするよ!」
「嬉しい!」
「あとそれからさ、霧島部長にも飲みに誘われてしまったんだ」
「ええ!?」
「それも断るよ」
「いいえ、それは断らないでください!」
「え?なんで?」
「だって社内で上司だし断ると多分、この先仕事がやりづらくなりますよ?」
「はあ、そんなもんなのかな」
「そのかわり私も連れていってください。もちろん霧島部長がいいと言ったらですけど」
「わかった」
「・・・ハジメさん」
「なに?」
「これからも私に今みたいに何かあったら話してくださいね?隠し事はイヤですよ?」
「うん、わかった!」
「・・・ハジメさんって正直で素直なんですね。私、ますますハマッちゃうな多分」
「俺は縁にもうハマッってますよ。てか、またハメたいです!」
「もう!オヤジギャ・・・あん!」
俺たちは次の日、会社は休みだということもあり外が明るくなるまでお互いを激しく求め合った。
翌日、俺たちは正午近くまで寝てしまった。
一緒に目覚めると一緒にシャワーを浴びることになった。
「なんか、明るいところで裸を見られるのって恥ずかしいな」
「ハハ、そうだね。でも、縁の身体はとても綺麗だよ」
「ありがとう、でもそのうち胸とかお尻とかたれ放題に・・・」
「はは、あはは」
「そうなってもハジメさんは私を愛しつづけてくれますか?あ!ごめんなさい、私、重いな」
「あははは、心配すんなよ、縁。大丈夫だ!」
俺はVサインを縁に示した。
「あは!嬉しい!」
縁はそう言うとぎゅうっと生乳を俺に押し付けてきた。
「はは、勘弁してくれ。さっきまでやりすぎてもう何も出ないよ」
「私も、あそこがヒリヒリします」
俺たちは、タハハってな感じでホテルを出た。
このまま解散っていうのもちょっと寂しかったのでショッピングモールに行き、そこのレストラン街でランチをとる事にした。
「ここからは全て俺がおごらせてもらう。いいね?」
「え?いいの?」
「うん、昨日、ちょっと臨時収入があったからね」
「え?昨日は外周りしてたんじゃないんですか?」
「実は昨日、鈴木主任と一緒にカジノへ行ったんだ」
「カジノへ?」
「うん、サボルのかと思ったらそれも仕事の一環でさ、お客さんとの駆け引きを俺に教えたかったみたい」
「へ~、そんな教え方があるんですね。それで役に立ちました?」
「うん、バッチリだった。鈴木主任はすげえよ」
「そうなんですか、鈴木主任って部下の育成もすごいんですね」
「・・・おいおい、鈴木主任に惚れないでくれよ?」
「大丈夫ですっていうか前彼って鈴木主任なんです・・・」
「ええ!?」