TV中継車から2台の巨大なカメラを抱えたカメラマン達がおりてきた。
その姿を確認した俺はやや緊張の面持ちで壇上にあがる。
そう、俺はついにやったのだ。
やがて全国大会限定の司会者、滋賀さんからコールがかかる。
『赤コーナー、五反田一さんの優勝です!!』
「や、やった!」
俺は感無量に極まって涙を流しながらトロフィー片手に渾身のガッツポーズを決めた。
全国大会優勝だ!
全国大会決勝戦は5時間にも及ぶ長丁場になったが俺は野球で鍛えた忍耐で辛抱強く戦い抜くことができた。
今までの対戦者は実に的外れ的なことを言ってきた。
包茎だの童貞などニート、無職、社会不適合者、根暗、オタク、うんこもらし、女たらし、バカ、死ね...などなど。
中にはちょっとだけ当たっているものはあったが俺のサイコメーターを0にするほどのことではなかった。
苦労したのは相手のサイコメーターを減らすことだった。
俺はこの3回目の全国大会を迎える為に十分な準備をしてきた。
日本全国の探偵事務所や興信所を訪ねて金を積み協力をお願いした。
報酬は調査費用の交通費と日当の別に優勝できたら100万円。
数多くの事務所が協力を申しでてくれたが俺は関東で2社、関西で2社の良さげな事務所にお願いした。
全国の出場者と出場者のことを徹底的に調べてもらった。
おそらく敵も同じようなことをしてくるだろう。
だが、俺には死角はもはやない。
過去のトラブルも解決済みだ。
そして興信所や探偵事務所が調べてくれた情報を俺は試合であてずっぽうに言うだけでいい。対戦途中から編み出した、変顔も通用した相手もいた。
自分の部屋に帰り『第3回アストディアラー優勝トロフィー』を飾りそれを眺める。
幼いころ『アメリカ横断トラトラクイズ』『人生ゲームエンジェル&デビル』『パネルクラッシュ256』などを見て優勝者のガッツポーズを見て憧れたものだ。
いつかは自分もそんなふうになりたいと思っていた。
肩や肘などを故障しプロ野球選手としての夢が絶たれた俺にはもうそれしかなかった。
それが今、現実となったのだ。
なんとも言えない優越感に浸っていたがそれもしばらくの間だけだった
その後は物凄い虚脱感に襲われた。
「はあ、もう、俺には何もないし何もやる気がおきない・・・」
非合法に手に入れた睡眠薬を大量に呑み、俺は永遠の眠りについた。
「俺と関わってくれた皆さんが全員、幸せになりますように。そして感謝を。...おやすみなさい…zzz
-終演-