「それで、弊社を選んだ理由はなんですか?」
「はい、今までの自分の経験をいかし貴社に貢献できる働きができると思い、志望しました!」
「ん?業種がまったく違いますが?」
「はい!違った業種からならではの違った視点でアプローチをし貴社に貢献できると思います!」
「...何か具体的な案でも?」
「それは働いてから思いつくと思います!」
「...」
「...前の会社を辞めた理由はなんですか?」
「はい!正直に言いますと上司のパワハラに耐えられず、辞めました!」
「ほぅ、パワハラ。...具体的にどんなことをされたか聞いてもよろしいですか?」
「はい!毎日毎日、上司の趣味の釣りの話を聞かされました。それで仕事が忙しくて相手をしないと機嫌が悪くなり書類を提出するのが遅いとネチネチと説教が始まります」
「それだけですか?」
「いえ!他にも書類作成の為に残業をしていると残業代が出なかったり仕事が遅いと罵声を浴びさせられました」
「...それは、貴方の仕事が単に遅いだけではありませんか?」
「いえ、そんなことはありません!仕事のスピードは速いほうだと思っております」
「...わかりました。もう、退室なさって結構ですよ。結果は後日、電話でお知らせいたします」
「はい!宜しくお願いします!」
俺は深々と頭を下げ面接室を出た。
もうこれで10社目だが面接の感触は良かった。
さすがにこの会社で決まるだろう。
おっと、今日はもう1社面接があるんだった。
その前にシトバ(シットダウンバー)でコーヒーとハムサンドでも食べてくかな。
腹もふくれたし次の面接場へと俺は急ぐ。
「次の方どうぞ」
綺麗なオネエサンに呼ばれて俺は面接室に入った。
あれ?このオネエサンどこかで見覚えがあるぞ。
...こないだの罵倒ゲームの俺の対戦相手だった人だ!
「ん?キミ?この前会ったよね?」
「ああ!あの時の!あの後どうでした?」
「3回戦までいったけど負けちゃった」
「あーそうなんですか、残念」
「あの時、私の言ったこと図星だったの?」
「はい、全部大当たりでした」
「あっはははは」
「ハハハハハ」
「あ、いけない。とりあえず面接を始めるわね。私は総務の『霧島』です。よろしくね」
そう言うと綺麗なオネエサンは名刺を俺にくれた。
名刺には『総務・人事部長
すご、女で部長か!
「じょ、女性なのに部長ってすごいですね!」
「え?全然すごくないわよ」
「どうしてですか!?」
「だって、ここ父の会社だもの」
「あ!(察し)」
「ふふふ、んー、希望部署は情報システム...ね」
「はい!プログラミングには自信があります!」
「あいにく先日、欠員補充の人決まっちゃったのよね」
「え?...そう、なんですか」
「でも、営業職なら随時募集してるわよ。しかも、営業なら誰でも即採用!」
「...営業ですか、やったことないですし...」
「営業やったことないんだ。...ねえ、もうあの番組でないの?」
「いえ、また挑戦しようかな...とは思ってますが」
「だったら営業やってみれば?メンタル鍛えられるわよ」
「ははは。でも、実は今日、他の会社でも面接しててそれがとても良い感触でしたので」
「あ、そうなんだ。こう言っては悪いけど、もしダメだったらウチの会社の営業は誰でも入れるから検討してみて」
「アハハハ、わかりました。まあ、ダメってことはないと思うんですけどね!」
結局、霧島部長のいる『ミストコーポレーション』というリフォーム会社の営業部に俺は就職が決まった。