「おはようございます!」
「おはようございます!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「ごめんください!」
「ごめんください!」
「お客様は神様です!」
「お客様は神様です!」
「今日も一日がんばるぞ!」
「今日も一日がんばるぞ!」
「声が小さーーーい!今日も一日がんばるぞ!」
「今日も一日がんばるぞ!」
営業部長が音頭を取り『朝の気合入れ』がはじまった。
正直ドン引きしているがせっかく入った会社なのでやれるだけやったろうじゃないか!
「今日も一日がんばるぞぉおおお!」
俺はその場にいる誰よりもデカイ声を張り上げた。
「お!いいね!君は...五反田くんか。よし!みんな!五反田くんに続け!今日も一日がんばるぞ!」
「今日も一日がんばるぞ!」
『朝の気合入れ』の後、5人が辞めていった。
こんなことくらいで辞めるとは情けない奴らだな。
まだ、何も始まっちゃいないのに。
「今日はこの後、早速、外回りをしてもらう!先輩の後について要領を学んでほしい!」
「わかりました!」
いきなり初日から外回りかよ。
ま、最初はセンパイについて回るだけだからいいけど。
「よっ。お前が五反田?」
背後から30代くらいのおっさんが声をかけてきた。
「は、はい!」
「俺は鈴木な。このバックにチラシ50部とそこにある説明資料を入れて。2人分な」
「はい!」
「用意ができたら裏の駐車場にきて」
「わかりました。」
「じゃあ、俺は先にいってるから」
「はい!」
そういうと鈴木さんはそそくさと行ってしまった。
さあ、やるか。
バックにチラシを詰め込む。
「ふふふ、やってるわね。早速、飛び込みに行くの?」
霧島部長が声をかけてきた。
「あ、はい!でも今日はセンパイの見学らしいっす」
「キミは誰につくの?」
「鈴木っていう人です。」
「鈴木って言ってもたくさんいるからねえ。...30代くらいの人?」
「そうですね」
「じゃあ、鈴木主任ね」
「主任なんですか」
「ええ、そう。キミはラッキーかもしれないわね」
「何がですか?」
「鈴木主任の営業成績はトップクラスよ」
「へぇ~」
「いきなり課長昇進の話まででているわ。ウチの会社は一族以外、実力主義だからね」
「おお!まさに俺のためにある会社じゃないですか!」
「うふふふ、それはどうかわからないけど、ウチの会社は頑張ったら必ず見返りを与えますのでその辺は心配しなくて大丈夫よ」
「了解であります!それではいってきます!」
俺は霧島部長に敬礼し、駐車場へ向かった。
「ふふふ...彼はいつまでもつかしらね...」
駐車場へつくと喫煙所で鈴木主任はタバコを吸っていた。
「センパイお待たせしました!」
「おう」
鈴木主任は今、吸っているタバコをもみ消すと白い営業車と思われるワゴンに歩み寄っていった。
「お前、運転できる?」
「免許持ってません!」
「はあ?まじか、使えねえな」
「すみません!」
チッと舌打ちしながら鈴木主任は車に乗り込んだ。
ブロロロロッ!
車のエンジンをかける。
しかし、いきなり営業トップクラスの人について回れるなんて。
本当にラッキーだ。
こうなったらこの人の営業トークなりなんなり技を盗んでやる!
それで俺も営業成績を上げて給料ウハウハだぜ!
「お前、今日、いくら持ってる?」
「は?えっと、1万ちょっとです」
「おし!カジノいくか!」
「え!?」