「部長、これ今日の日報です」
「おお、おお、五反田くん、すごいねキミは!初日から30件も点検予約取ってくるなんて初めてだよ!」
「ありがとうございます!」
「キミはもうすでに正社員になる条件をクリアしてしまったがモチベーションを落とすことなく頑張ってくれたまへ」
「はい!頑張ります!」
この会社の営業は試用期間中は1カ月だがその間に30件点検予約を取ると社員になれる仕組みだった。
「あ!五反田さ~~ん!」
俺が事務所を出ようとしたら20代と思われる女子事務員に呼び止められた。
「はい?」
その子はタタタッと俺に駆け寄ってきた。
「はあはあ、呼び止めちゃってすみません」
「いえいえ」
その子の胸のネームプレートには『経理課・
「私、経理の柴原っていいます。五反田さんは社員になる気はありますか?」
「え?もちろんです!」
「じゃあ、これ給与の振込口座の手続きの書類なんで書いたら私のところに持ってきてもらっていいですか?」
「え?随分と早いね?」
「はい。本当は社員になる時にまとめてもろもろの書類を渡されると思うんですけどいっぺんにやるのは五反田さんも大変だと思って」
「なるほど、先に出来ることは前倒しってわけですね」
「はい!」
「いやあ、この会社、結構すごい人材いますね!営業は鈴木主任、事務は柴原さん」
「え?私なんて全然すごくないですよ」
「いやいや、事務で柴原さんみたいによく気が付く人がいるとみんな助かっていると思いますよ!」
「...私、仕事が出来る男の人が好きなんです。だから私もその人に釣り合うように仕事できなきゃダメじゃないですか」
「へえー。柴原さん、真面目なんだね」
「・・・普通だと思いますよ」
「じゃあ、さ。俺なんてどう?」
俺は度重なる成功に調子こいて冗談まじりにそんなことを言ってみた。
「・・・いいと思います。五反田さん、彼女はいないんですか?」
「残念ながら・・・いません。いたこともないんだ。ハハハ」
「え?うそっ?」
「本当です。25にもなってね。俺、今まで仕事はコンピューター、趣味はTVゲームっていう結構引きこもりだったからね」
「へえー、そうは見えませんが」
「だからさ、今までに女の子と食事とか映画とかしたことないんだよね」
「...じゃあ、私で練習しますか?」
「え?いいの?柴原さんは彼氏いないの?」
「いましたが、今はいません。2年前に別れてからいいと思う人はみんな彼女持ちでしたね」
「へえー。じゃあ、今日、終わったら夜メシでも一緒にどお?」
「いいですよ。じゃあ、駅の反対側の本屋で7時に待ち合わせでいいですか?私、ちょうどいってみたいお店があるんです」
「うん、それでいいよ」
「はい!楽しみにしてます!」
『おお~~~~い!シバちゃん!この書類はこれでいいのかな?』
「あ、はい!部長!今行きます!...じゃ、五反田さんまたあとで」
「おう!」
柴原さんか...結構、可愛かったな。
ショートカットで胸も結構あったし。
今日、食事が終わったら...
あらぬ妄想でニヤニヤし廊下を歩いていると霧島部長に呼び止められた。
「あらあら、随分と羽振りがよさそうね?」
「え?いえ、そんなことはないっすよ!」
「...今のは柴原さんね、何、話してたの?」
「今夜食事に行くことになりました!」
「へー、あの子のお眼鏡にかなうなんてすごいわね。あの子結構、人気があるのよ」
「そうなんですか」
「五反田くんが初日でいきなり30件もとってきたからじゃない?」
「いやいや、まぐれですよ」
「はじめは自信過剰のただのバカかと思ってたけどなかなかやるじゃない!」
「ははは、ひどいっすね」
「ごめんなさい、私もびっくりしちゃって。...今度、飲みにいかない?」
「え?部長とサシでですか?」
「イヤ?」
「とんでもないっす!超ウレシイっす!前から霧島部長のこといいと思っていたので!」
「ほんと調子いいわね!...そんな調子で今日も他の家で奥様達を相手にしてきたの?」
「大当たりっす!」
「あはは、しょうがないわね。でも、問題だけはおこさないでね」
「わかりました!」
霧島部長と別れた俺は待ち合わせの7時まで時間があるのでゲーセンに入ってみた。
「なんだ、プリクラとメダルゲームとUFOキャッチャーしかないや」
「あれ?五反田さん!」
「ん?柴原さん、キミもいたんだ」
「はい、待ち合わせまで時間あったので暇つぶしに」
「ははは。おれもそう。じゃあ、行こうか。案内してくれますか?」
「はい!...こっちです!」
柴原さんに案内されたお店は高そうな和風の料亭だった。
「うあーーー。高そうなところですね」
「あ!代金のほうは心配しないでください。会社から経費で出ますので」
「え?どゆこと?」
「上司に接待で使えそうなところ探しといてくれっと言われてたので」
「なるほど。って2人分もいいのかい?」
「はい、1人では見えないところもあると思うだろうから同僚となるべく2人で行きなさいって言われてます」
「はー、なかなか太っ腹ですね、うちの会社は」
「でも、ネットなんかで入念に調べてから2カ月に1回だけにしろって」
「そうかあ、今日は本当に、俺ラッキーだな」
「え?そうなんですか?」
「キミみたいな可愛い子とタダで晩飯が食える」
「...うまいですね。さあ、入りましょうか」
俺たちは高そうな料理を満喫しながらうちの会社とか今までの人生の中での体験談などいろんな話をした。
「あはは。五反田さんって結構、面白い人なんですね!」
「そう?今までの人生すべってばっかりだったよ?」
「あはは。...いいなあ、五反田さん。仕事も出来て面白くて」
「なに?ほれちゃった?」
2人とも酒が入ってるせいか余計な気を遣わずに言いたいことを言っていた。
「...うん、そうですね」
「じゃあ、この後、いっちゃう?」
「え!?...いいですよ、...五反田さんなら」
俺たちは高級料亭を出た後すぐ近くのラブホに入った。
「あんあんあん!五反田さぁ~~~ん、ふっと~い!....いっちゃう~~~!」