祖父が亡くなってから空き家になっていた、古い数寄屋造りの日本家屋。
大学への通学に便利だからと、そこに住み始めたのはもう二年も前の事になる。
久しぶりにやってきた祖父の家は、荒れ果てていた。
正直・・・・・・甘く見ていたと白状しなければならない、そんな荒れっぷりだった。
小さいながらも、品のいい温かみのあった庭は雑草により侵略。
雨戸を閉めていなかったせいか、台風の影響だろう、ガラス戸は倒れ風雨が屋内を侵蝕。
畳はおろか、床板は腐り、ガラスは散乱し、黴や蟲の蠢く腐海へと変貌。
ちょっとした日曜大工が趣味とはいえ、流石にげんなりとした想いを殺しきれない惨状だった。
風呂場だけは不思議とそこまで荒れちゃいなかったが。
その理由はしばらくしてから判明することになるのだが・・・・・・
それから二年の月日が流れ、いまでは我が家はいつも綺麗に片付いている。
ほとんど毎日のように掃除しているので当然ではあるが。
今日も今日とて洋間に改装した一室で、はたきをパタパタ振るっている。
「主様はほんに掃除が好きでありんすねえ」
そんな俺を、からかうような事を言いながら見物している女。
この家の同居人であり、そして俺の恋人、名はアカナと
背は低く、残念ながら胸も無いため、一見すると子供のようにも見えるが、くびれるところはしっかりとくびれ、生々しい女の色気をしっかりと内包している。
そう、女の色気だ。
俺の浴衣のお下がりを着て、ベッドの上で足をブラブラと揺らしながら・・・・・・それを見せつけているのだ!!
帯は緩め、浴衣は肌蹴て、赤味がかった肌をわざと魅せている。
揺れる足の間、その付け根が見えそうで見えない。
明らかに履いてないし。
惑わされるな。
いつも見てるじゃないか、昨日も一昨日も。
惑わされるな。
あ、今足組んだ!? チラっと桜色の割れ目が・・・・・・惑わされるなっつってんだよ俺ぇ!!
そんな俺の様子にくすくす笑うアカナ、くそう可愛いな。
昨日も一昨日も、ちょっと頑張ってイジメすぎたからって、意趣返しのつもりか。
まあ掃除をしてる時点で、誘惑に敗北宣言してるってことなんだが。
「ところで主様、今日は
アカナは古い言葉をよく使うので時折戸惑うことも多い。
だが、髪という以上は髪型のことだろう。
初めて会った時は散切り頭だった彼女だが、この二年で肩にまで伸び、今日はその艶やかな黒髪を束ねてポニーテールにしている。
つまり「そうがみ」とやらはポニーテールのことなのだろうと察しを付ける。
「・・・・・・まあ、可愛いぞ」
ちゃんと褒めてやらないと拗ねるからな。
いや、可愛いのは事実だが。
いやいや、拗ねたアカナもそれはそれで可愛いんだが。
「嬉しいでありんすねえ。いつもの尼削ぎの方が良いと言われたらどうしようかと心配してんした。主様はちゃんと褒めてくれるから甲斐があるというものでありんす」
そりゃな、毎回そんな喜色満面の可愛い顔されたら、こっちも褒めたくなるってもんだ。
そういや尼削ぎって何だ? いつものってことはセミロングのことでいいのかね?
などと考えていると、首筋を舌でねろんと舐められて、妙な声を出してしまった。
チロチロと首筋を
軽く首を一巻きした舌の先が、今度は喉元から顎にかけてをれろんと舐め上げていく。
舐める時に痛いと言うので、毎日ツルツルに剃りあげた顎を舐め這う舌が視界に入る。
赤ん坊を思わせる赤味がかった肌を除けば人間のように見えるが、この長い長い舌を見るとやはり妖怪なのだと実感する。
垢嘗、
あかなめ、だからアカナ。実に安直な名前を付けてしまったのを少し後悔している。
妖怪に名前を付けるというのは、その存在を縛ることになるらしい。
妖怪と名前というのは非常に重要な関係があるのだと。
名付けるというのは婚姻にも等しく、訂正の効かない一大事なのだと。
「もしへ主様、そう綺麗に掃除されては、あちきは飢えてしまいんすよ」
「・・・・・・・・・じゃあ俺の垢でも直接、舐め取ればいいんじゃないかな?」
「我が背の君様は変態でありんすねえ」
クフフフと喉を鳴らすように笑うアカナ。
幼く見える身体付きに反して、その顔は、怪しく妖艶な、男を誘う女の顔だった。
いつしか俺達の間で行われるようになった、睦言、褥を供にしようというサイン。
ぶっちゃけるとセックスしましょうというお誘い、掃除をするというのがそれだ。
風呂場の垢を舐めとる妖怪であるアカナは、別にそれ以外の場所を掃除したからといって飢えることはないのだが、まあ建前だからそんなのは些細な問題である。
そしてこの場所でしたいですという部屋を掃除するのも、いつの間にか暗黙の了解になっていた。
昨日と一昨日はアカナが、風呂場と和室を掃除してたわけだが。
「さあさあ、主様~、おしげりなんしょ~」
巻き付いた舌がこっちにきてと、引っ張る力に逆らわずアカナに近付いていく。
全力でもそんなに大した力は入らないので、くいくいと肌にかかる舌の圧力はこそばゆいような心地良さがある。
ベッドに腰を下ろすと、舌を口内に戻し、嬉しそうに抱きついてきて、服越しに温かい体温が伝わってくる。
自分で上を脱ぐと、アカナがズボンのベルトをすっかり手慣れた感じで外しにかかる。
・・・・・・エッチな
特にこの廓言葉が、下半身に響いてけしからん。
赤嘗という妖怪は家に憑くモノ、家とは土地にある物、家屋や土地に居憑く妖物は土地の影響を強く受けるとアカナは言う。
まあ要するに方言に染まりやすいということで、物凄く方言がキツイ。
しかもアカナは長く感得され(人生ならぬ妖怪生みたいなものか?)あちこちの土地を渡ってきたと言うので、方言がチャンポンになってて、一度素の口調を聞いたら何を言ってるのか理解できないレベルだった。
通訳が必要だったり、戦時中に暗号代わりに使われたと聞く島津弁に匹敵するか凌ぐかもしれない。
島津弁聞いたことないけどさ。
直そうにも現代のように人の移り変わりが激しくなると、土地に篭もる人の情念は薄くなり、標準語で上書きしにくいのだそうだ。
「そういう生まれでおすもの」
とはアカナの言だ。妖怪の本能的な部分なので直すのが難しいと。
まあ遊女が方言を隠すのに生まれたのが廓言葉だし、方言がキツイのを隠すのにはうってつけだろう。最近は現代風に近付いてきてるし。
あとこの言葉使いが妙にそそられるのもそういう人達の言葉だから仕方ない。
うん、仕方ないんだ、俺の性癖とは無関係だ、たぶん。
「うおう!?」
そんなこと考えていたら、もうズボンも脱がされ、アカナの舌が耳を這う感触で我に返った。
耳の裏をなぞりあげ、それからゆっくりと耳たぶの下から回りこむように、耳介の溝に細い舌先が潜り込み、チロチロと舐め取っていく。
それが済むと、耳の穴、専門的に言えば外耳道の入り口を優しく拭うように。
性的快感よりも心地良さが先立つが、それでもちらりちらりと、肌蹴た浴衣から見えるアカナの肢体が興奮を引き出していく。
片耳が終わり、もう片方に舌を這わせ始めた頃合いで、トランクスが下げられ、下半身を剥き出しにされた。
「・・・・・・今日も元気でありんすな。いつもあちきをイジメて泣かせるこのイジメん棒は」
いつもながら舌を伸ばした状態で、器用に喋るものだと思いながら、アカナの小さな手が俺のモノを扱く感触に股間から背筋にかけて言い知れぬ感覚が走る。
やがて両耳の耳垢を舐め終わると、次は恥垢とばかりに一物を咥え飲み込んでいく。
「ん・・・んぶぅ! ふ、んぐぅ! ん、んぶぅ、ん、んふ!」
アカナの長い舌が、口内で根本まで絡みつき、じゅぼじゅぼと音を立てて、ストロークを繰り返す。
「ん、ぷぁ・・・・・・あちきの口は小さいので、主様のをしゃぶるのは大変でありんすよ」
そう言って口を離すと、今度はその舌を蛇がトグロを巻くように、根本からゆるゆると巻き付けていく。
そうして舌が一物全体を擦り上げていく感覚に思わず唸る。
「これは・・・ん、どうでありんすか?」
巻き付いた舌がゆっくりと
正直、これは凄い。あんまり持たない。
「う、ん・・・・・・上手くなったよな、アカナ」
「散々仕込んだのは主様でありんしょう。
「・・・・・・誘ったのはお前だろ」
「本当に襲われるとは思わなかったでありんす」
これはもう一生言われ続けるだろうな、もう諦めるしかない。
事実だし、言い訳ができない。
「主様は、妖怪に欲情して手を出す変態でおすものな」
舌の動きがだんだん激しさを増して、射精感が込み上げてくる。
それに逆らわず精を放つと、アカナがその小さな口で先端を咥え、それを受け止めていく。
「ん! ん、ぐ、ふぅ・・・・・・んむ、んんっ!! んっんっ! んっ! んんんっ!! んぐ!!」
喉を鳴らして嚥下していき、やがてちゃぱっという音とともに、アカナの口が離れるのに一抹の寂しさを覚える。
「は、あ・・・・ほんに、主様のこれは相変わらずのきかん棒でありんすな」
その長い舌を垂らして、浮かべる笑みは妖艶そのものだった。
「あ・・・・・・も、もう主様、またこんな、すぐ熱り立たせて、仕様のないお方でありんすな。じゃ、じゃあもう一度してあげるで、ひゃあ!?」
と、言いながら舌を一物に伸ばそうとしたアカナを抱えて、顔の上に跨がらせシックス・ナインの態勢に持ち込む。
まあ背丈が少々足りないので、アカナの口は微妙に届かないんだが。
「ぬ、主様!? あ、あちきはいいでありんすよ!! 今日はあちきがご奉仕しんすから!」
「いやいや、俺もアカナを可愛がってあげたいから、気にしない気にしない」
「ちょ、ぬ、主様、おぶしゃれんすな~~!!」
目の前にある可愛らしいアカナのおまんこは、すでにぐっしょりと濡れそぼって蜜を滴らせている。
その割れ目を両手で押し広げてやると、大陰唇に隠されていた桃色の小陰唇と膣口が目に入る。
小さいながらも熟れたそこに、舌を伸ばして大陰唇と小陰唇の間の溝に割入っていく。
「うああ!? だ、だめでありんす、そ、そんな広げちゃだめでありんす。あ、あちきの
逃げようと足掻くが、力ではこちらが上なので、ぐいっと腰を抱えて顔に押し付け、なおも執拗に舐め上げていく。
舌で小陰唇を割り開いて、膣口の淵周りをなぞって舌をぐるぐると這わせると、がくがく腰を震わせ始める。
「ぬ、主様! 主様ぁ!! な、舐めるのはあちきの仕事でありんすよぉ!」
「ん~、エッチな垢嘗は舐められるのも大好きなんだよね?」
くにくにと小陰唇を唇で挟んでこりこりと刺激したり、引っ張ったりするたびに可愛らしい鳴き声を上げるので、人間の俺でも舐めるのが好きになってしまうというものだ。
「そ、そんなこと、言わずにおいておくんなんし!!」
否定は・・・・・・しないんだよなあ。
と思いつつ、舌を膣の中に侵入させて、啜り上げてやると、舌と空気が振動して膣道を刺激していく。
「あうぅぅぅううぅ!? うぅぅぅううう~~~主様、イジメないでおくんなしぃ、あ、あちき、もっと主様にご奉仕してあげたいでありんすよぉ!!」
か、可愛いことを言う・・・・・・
少し性器への責めを緩めて、太股やお尻などをさわさわと刺激してやる。
ううむ、この大腿部から臀部へのラインが、しっかりと成熟した括れがあってまた素晴らしい。
形の良いお尻を掴み優しく揉みほぐしてやると、成熟した女の柔らかさを持った肉の感触が指を楽しませてくれる。
「ん、あ・・・・・・ん、む、ふぅっ、んじゅ」
口は届かずともその舌ならば届くとばかりに伸ばされた舌が、そそり立った男根に巻き付いていき蠕動運動を開始する。
陰茎、裏筋、鬼頭、カリ首、敏感な部分を満遍なく舌が蠢き回り、舌尖が鈴口を責め始める。
アカナのすべすべした太股の感触を頬で感じながら、下腹部からの快楽を味わっていく。
時折、膣道に指を入れてざらつきのある部分を擦り上げてやると、びくんと身体と舌が震えるのでこれがまた心地良い。
「あ・・・? 主様のお珍宝がびくびくしてきんした」
「うん、射精るよアカナ」
「あい、主様の精、たくさん出しておくんなし、あちきが全部、受け止めてあげるでありんす」
さらに舌を伸ばし、鬼頭周りに巻き付かせていき、器用に筒を形作っていく。
そうして形成されたアカナの舌の器に、込み上げる射精感に任せ欲望を解き放った。
「ん、はぁ、あぁああ・・・・・・主様の子種、熱い」
舌の器に放たれたそれを、零さないように口に運んで嚥下していく姿は実に卑猥だ。
さて、気持よくしてもらったお礼に、こっちも気持ちよくしてあげないとな。
小陰唇を指で押し広げて、膣前庭部・・・膣口、尿道口、クリトリスのあるイヤラシイ肉ビラの部分を露出させてやる。
ふっふっふ、今アカナの大好きなのをしてあげるからね。
「あ、あぁぅっ!? ぬ、主様、そ、そこはお小水の、あ、孔で、ひぅん!? お、お豆まで、そ、それされると、すぐ気をやってしまうからぁ、い、いつも、イジメないでおくんなんしとおねがいしてるではありんせんかぁ」
分かっているけど、尿道を舌先で優しくほじり、クリトリスの皮を剥いて出てきた豆をふにふにと指で揉んでやる。
そしておまんこの中に侵入させた指を、お腹の方に曲げてにゅぐにゅぐと壁を撫でてやると、ビクビクと痙攣してすぐにイッてしまうのが可愛いのだからやめられないだろう。
「あ、あぅうぅぅうううぅぅううぅうううう~~~~~~!!」
イッてしまって息を荒げるアカナを、体勢を入れ替えてベッドに横たえてやる。
そしてその足を抱えて、M字型に開いてやると、ぐっしょりと濡れそぼった桃色のおまんこがぱっくりと口を開けているのが否が応でも目に入る。
「あ、あぁぅ・・・・・・・ぬ、主様ぁ」
女としての一番淫らな部分を曝け出されているのだ。
赤い肌が一掃赤みをましたのは錯覚ではないだろう。
「アカナ、いくよ」
「あ、あい、主様、あちきに、お情けを下しんせ」
膣口に男根をあてがってやると、すっかり解れた柔肉が吸い付いてくる。
そのままゆっくり慎重に沈めていく。
小ぶりなアカナのおまんこだと、激しくすると痛がるからだ。
俺もゆっくり抽挿するほうが、ひだの感触や、体温をよく味わえるので好きだったりする。
そうした感触味わいながら、腰を押し進めていくと半分ほどでこつんと奥に突き当たる。
コリコリした子宮口の感触を感じ、小刻みに軽く抜き差ししてやると、途端に可愛く震えて鳴き出すアカナはいつ見ても最高に可愛い。
そうして主様、と甘く鳴きながら、その舌を結合部に伸ばしてくる。
いつもは全部入らない部分をカバーするために舌を使うのだが、今日はどうしてもしたいことがあったので、その舌を指で摘み上げてやる。
途端にびくんと震えて、アカナの戸惑いの視線と声が俺に向かう。
「舌、吸っていいかアカナ?」
「な!? な、に、言ってるでありんすか、だめでありんすよ主様」
何度も何度も体を重ねてきた。褥を供にしてきた。
だけどいまだに、キスをしたことがない。
いつもそれは避けられてしまう。
だから不安になる。俺と交わっているのは、名前を付けてしまった。
妖怪としての存在を縛ってしまったから、それだけの理由なのではないかと。
だから口付けだけは避けているのではないかと。
「駄目か?」
「だ、だめでありんす!! 主様は何を考えているでありんすか!?」
「アカナとキスがしたい、舌を絡めたい、そうやって愛し合いたい」
その言葉を咀嚼し、理解したのか、顔が茹だったようにみるみる染まっていく。
「あ、あああああ、あちきは垢嘗でありんすよ!?」
「いや、知ってるけど」
「こ、ここここの舌は、あ、垢を舐めとるもので、ばっちぃでありんすよ」
「ばっちくはないだろ」
「そ、そそそそそそれに、今、主様の精を受けたばかりでありんすよ」
「・・・・・・別に気にしない」
本当は気になるけど・・・・・・それ以上にアカナとキスしたいという衝動の方が強い。
舌を引っ込めようと抵抗するが、力では俺に勝てないのだ。
うにうにと指から逃れようと蠢く舌を口元に運び、それを舐め上げる。
「ひぅん!?」
その長い舌を丹念に
紅色でてらてらと濡れた、ぐにぐにと蠢く長い舌。
いつも俺の体を舐めるたびに恍惚とした表情をしていたし、あそこもぐっしょり濡れるから、そうだと思っていたが。
間違いなくアカナの舌は敏感な性感帯だ。
じゅるじゅると音を立てて啜ってやると、たちまち気をやって、おまんこがびくびく痙攣しだす。
色といい形といい・・・・・・性感帯なところといい、でかいクリトリスみたいだな。
そう思うと、いっそうこの舌が淫靡なものに思えて興奮してくる。
「やっぱりアカナは舌が一番感じるんだな、今まで出来なかった分、たくさんしてあげるからな」
「ぬ、主様!? あ、あちきは充分気持ち良うしてもらってるでありんすよ!」
「いやいや、もっと気持ちよくしてあげるから」
「こ、これ以上なんて、あちきおかしくなってしまいんす。ご、後生だから堪忍しておくんなし!!」
これが返事とばかりに、黙って腰を動かし、舌を舐ってやる。
アカナの舌の裏側を先端に向けて俺の舌を這わせていく。
その先端、舌尖と呼ばれる部分を指でコリコリと弄るとガクンガクンと腰を震わせてイッてしまう。
「ぬひひゃま、ゆ、ゆうしとーせ、あがはばしか、にすぃへっちゅぅ」
呂律も回らなくなってる上に、廓言葉を使う余裕もなく素のチャンポン方言が出て、もう何を言ってるか分からなくなってる。
もう抵抗もなく、アカナの方から舌を口内に侵入させ俺の舌に絡めてくる。
何度も何度も、舌を吸い、性器を擦り合わせ、何度も膣に注ぎ込んで、何度も唾液を呑み、何度も唾液を呑ませ、何度も互いの名を呼び合って。
気付いた時には、お互い精根尽き果て、ぐったりしたまま抱き合っていた。
総髪、と言っていたそのポニーテールを手櫛で梳いて、髪の手触りを味わう。
愛しい女の温もりを感じながら、その匂いを鼻孔で感じながら。
確かにここにいるのだと、それを感じるためにこそ五感があるような気がしてくる。
アカナは妖怪だ。いつか消えてしまうのではと思うと、不安で堪らなくなる。
ずっと一緒にいられるだろうか? ずっと俺のところに居てくれるだろうか?
あの日、この家で、あの風呂場でアカナに出逢って一目見たあの瞬間から、俺は魅入られてしまったんだと思う。
この妖怪に、この垢嘗に、いや、この愛しい女に俺の心は憑かれてしまったのだと。
なあアカナ、俺を愛してくれるか? できるなら俺の子供を産んでくれるだろうか?
俺の・・・・・・妻になってくれるか? 否定されるかもしれないと思うと、怖くていまだに口にしたことはないが、いつかきっとこの想いを伝えようと思う。
なあ、・・・・・・俺の、俺だけのアカナ。
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
「ん、主様? まだ寝ているでありんすか?」
あれから、どれだけ経ったのか。
まだ外は暗く、夜明けまではまだかかるだろう。
体は拭われ、着物はちゃんと着せられているが、主様がやってくれたのだと思うと気恥ずかしくなる。
「はふぅ、きょ、今日はたくさん愛してもらいんしたが・・・・・・主様にはすぐ手玉に取られてしまいんすね。あちきもこの世に感得されて長くなりんすが、床の経験はほんにまだまだでありんすな」
舌を出して、寝ている主様の頬をつんつんと突いてやる。
本当にいつもいつもイジメられて、泣かせられてしまう。
「口を吸い合うというのは、実に甘美なものでありんした、ばっちくないと言ってくれて、あちき嬉しかったでありんすよ」
言葉にしてくれないので不安で仕方ないが、ちゃんと主様は自分を受け入れてくれていると思うと、胸が暖かくなる。
妖怪なんかとずっと一緒にいてくれるだろうか? ずっと私の側に居てくれるだろうか?
「髪も伸びるようになりんした、名前で縛られて、主様の子種を注がれて、少しづつ人間に近付いていんすよ。完全な人間にはなれないけど、主様と同じ時を生きて、死ねんすよ。主様の子もたぶん孕めるようになりんす。あちきの知己だった妖怪たちもそうやって、人と番うて子を産んで老いて死んでいきんした。あちきもいつかそんな風になりたいとずっと夢みていんしたよ」
この妖怪を、この垢嘗を、いや、こんな女を愛してくれるだろうか?
「言葉も、少しづつ今風に、喋れるようになってきてるんですよ。ねえ、私の背の君。私の夢叶えてくれますか? 私を幸せにしてくれますか? 私の、私だけの愛しい主様?」
否定されるかもしれないと思うと、怖くていまだに告げることが出来ない。
でも、でもいつか。
「いつか、起きている時にちゃんと、伝えますね」
END
今回は男側の一人称で進行して、垢嘗ちゃんの心理描写は一切排除するという構成で最後にという展開にしました。
愛がちょっと重いけど、お互い様の似たものバカップルだったというオチです、はい。
洋間での情事なのは、ベッドのスプリングよく弾みます、むしろそのために買いましたみたいな描写も入れたかったからなんですが、どうも邪魔かなと思うので削ちゃったりして、少々難産な話でしたね。