今回は短めです。
「ただいま」
一組の男女が玄関をくぐり、異口同音に声が響く。
家の中はむっとした熱気に包まれていた。
真夏日の熱気がこもる家屋、太陽の光が暴力的に殴り付けてくる屋外、さてどちらがマシなのか。
女の髪は長く豊かで美しき漆黒、肌は雪のように白い。
人間としては病的と言ってもいい白さだが、肌に張りも艶もあり、健康的なそれだ。
まるで話しに聞く、雪女を思わせる。
いや、思わせるどころではない。
彼女は真実、雪女なのだ。
女がフーっと息を吐き出すと、冷気により空気が白く輝きを放ち、室温は一気に低下していく。
程よく室温が下がったところで、男は靴を脱いで中に上がると雪女に向き直った。
「お帰り、六花」
「はい、ただいま帰りました。あなた」
二人は夫婦であった。
だが六花と呼ばれた雪女がこの家の敷居を跨ぐのは、実に一年ぶりになる。
話はそう難しいものでもないのだが、夫に雪女であるとバレたのが原因だ。
そのせいで新婚ほやほやの二人は離れ離れにされてしまった。
雪女というのは、各地に伝承があり、それぞれ様々な逸話が伝わっている。
人間に友好的な者、害を為す者、時に正反対とも言える性質を伝えるものもある。
この六花なる雪女の一族は、正体を知られたならその者の元を去らねばならぬという掟があった。
いや、元々はそんな穏当な物ではなかった。
正体を知られたなら、その相手を殺せ・・・・・・本来はそんな過激な掟だったのだ。
近年に入って陰陽師や密教僧、道士に呪禁師を始め各分野の術師達、さらには人間に友好的な妖怪達が取りまとめられ組織だって動くようになり、人的被害に五月蝿くなったので穏当な方向に進みはしたのだが。
それでもそういう因習というのは人であろうと、妖怪であろうとも簡単になくなるようなものではないのだ。
愛し合う夫婦は引き裂かれるのを良しとせず、苦労を乗り越え再び一緒に暮らせるようになるのに一年の月日が必要だった。
雪女一族の説得に東奔西走してくれた役所の方々には頭が下がる思いだ。
長い一年だった。
どれだけ男は妻の帰りを待ち望んだことか。
どれだけ女は夫の元に帰りたいと望んだことか。
再び暮らせる日をどれだけ願ったことか。
恋しく請い濃く願い続けたことか。
問題が片付き、笑顔で見送ってくれた役所の雪女さんや妖狐さん。
こちらも笑顔で謝辞を返した。
そこに嘘偽りはなく、心から感謝してはいたが、彼女達には悪いが二人の気持ちはもう一刻も早く家に帰ろうという想いで一杯だった。
まあ、なんだ・・・・・・ご無沙汰の夫婦は燃え上がってしまったのです、玄関先で始めるくらいに。
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
きつく抱き合ったまま、男が六花の口を貪るように吸い、口を抉じ開け舌を侵入させる。
六花も自分の舌を絡めて、夫を迎え入れる。
ひんやりとした舌はぷるぷるとした弾力があり、わらび餅のように心地良かった。
舌を絡めては離し、吸い上げてはしゃぶり、濃厚な唾液交換が延々と続く。
その間に、男の手が程よく大きく形の良い乳房に触れる。
「ふぅ・・・」
真っ白な肌と低い体温が相まって、雪見大福を思わせるその胸を愛撫し、指を沈ませる。
すでに固く尖っている乳首を親指と人差指で軽くつまみ、くりくりと転がしてやる。
六花の全身から力が抜けていく。
いつの間にか足がガクガクと震え、支えるために夫の肩を掴んでいる。
やがてそれさえも出来なくなり、夫の身体にしがみつきながらゆっくりと体重を預けていった。
「あ、あなたぁ❤」
甘く啼きながら、されるがままに体を横たえられた。
乱暴に下着を剥ぎ取られ、その真っ白な裸身を晒し出していく。
漆黒の長い髪と雪のような純白の肌が織りなす、黒白の美しいコントラスト。
つんと尖った乳首はキレイな桜色。
体毛は薄く陰部の淫らな緋色を隠すものはほとんど無かった。
男の舌先が六花の小さな肉の突起を捕らえた。
「ひぅ❤」
六花の朱をひいた唇から嬌声が漏れる。
陰核を舌先で転がしながら、その手で胸の感触を味わい、気まぐれに突起を摘み扱きいじり回す。
「ん、ふふふ、ほら六花のクリトリス・・・・・・真っ赤になってる」
「やぁ❤ 」
「六花の肌、すごく白いからさ。充血して勃起したクリトリスの根っ子がうっすらと見えるよ」
クリトリスは体外に露出しているのは先端のほんの僅かの部分。
陰核亀頭と呼ばれる部分のことを一般には指している。
だが実際には体内に隠れている部分は数センチ、それに繋がる海綿体組織も含めれば十センチ近い性器、女だけにある、性的快楽を得るためだけの器官なのだ。
あまりにも白い純白の肌の下で、真っ赤に充血して膨れた陰核が、その存在を外部に主張していた。
「あ、やぁ、いやぁぁぁ❤」
うっすらと皮膚下に浮かび上がっているクリトリス。
肌越しに触ってみると、コリコリとした触感が返ってくる。
「そ、それだめぇ、おかしくなるぅ❤」
左手で体内のクリトリスの根を揉むように愛撫しながら、右手をその陰唇にそって動かした。
秘裂はすでに充分に愛液を吐き出し潤っている。
秘唇は簡単に口を開き、自分から吸い付くようにその指を迎え入れていった。
中指が膣腔を擦り上げながら、ゆっくり上下に動く。
指によって押し広げられた婬肉が離すまいとするように指に絡み付いてくる。
六花の息づかいが、さらに荒くなっていく。
充分に潤っている秘所から、さらに蜜が溢れ床を汚している。
溢れる蜜がぐちゅぐちゅと音を立て、綻ぶ割れ目へ沈んだ指が何度も往復する。
ひんやりとした六花の肌が熱を帯び、湯気が立ち上っている。
「あなたぁ! ひぃぃいっ! ふぅぅぅいぁ! は・・・・・・ぁっ・・・・・・は、激しっぃあぁぁあ❤」
ガクガク腰を揺らし、快感を貪ろうと秘所を押し付けてくるのは無意識の動きか。
淫らな興奮に男の一物も、布の下で突き破らんばかりに膨れ上がっている。
体勢をシックスナインに変えてやると、六花の手がベルトをもどかしげに外し、ズボンをずり下しにかかる。
何度も陰核を吸い上げ、摘まれ刺激される度に、体が震えその動きを止めたが、ようやくその手が男のパンツにかけられた。
「は、あぁ・・・す、ごい❤」
ぶるんっと飛び出した夫の逞しい逸物に、色の混じった六花の声が漏れる。
そっと添えられた指先が男根を這うと、迷うことなく唇を近付けていく。
一年ぶりの感触を期待して、男の全身がカッカッと火照り、興奮でさらにペニスが一段と大きく膨れ上がり、痛いほどに充血する。
ちゅ、ば・・・れろっと舌が這い回る。
ぴちゃ、ぴちゃと水音が響き、妻の舌が亀頭を徘徊して回る感触に、心臓が跳ねて、全身に得も言われぬ快楽のパルスが緩やかに広がっていく。
堪らずに、腰を押し付けてしまうが、六花は構わずにそれを呑み込んでいく。
ねっとりとして、冷たい舌の感触が、ぬぷぬぷっと竿を刺激し、喉奥の粘膜が亀頭を包み込んでくる。
あっという間に射精欲求が込み上げて、身体が震える。
久しぶりの性交に、かつてないほどの興奮と享楽を味わいながら、自分の女に体液を注ぎ込む男の喜びを思い出せという本能の囁きに、一切逆らうことなく欲望を解き放つ。
脈打ちながら精液を注ぎ込む度に、気が遠くなるほどの快感を感じ息を荒げる。
「んぅ、ぶ、んぐ、ん、ぎゅ」
苦しそうに喉を鳴らし精汁を嚥下する六花の花弁は、こんこんと愛液が吐き出していく。
精を解き放っても、まったく収まらない剛直を喉奥から引き抜いてやる。
「んぶぅ、うぇ・・・・・・げほ」
塞がれていた口が自由になった六花は嘔吐きながら、それでも快楽の交じる声と、性臭の混じる白い息を吐きながら夫にせがんだ。
「ねえ、あな、た・・・・・・も、もう」
男は残った衣服も全て脱ぎ捨てると、愛妻に見せ付けるようにその裸身を晒した。
股間には、はちきれんばりに膨張した、喉を犯していた時と変わらず主張を続けている、ぬらぬらとした剛直が見える。
思わず息を呑む六花の目の前で、夫の男根は全ての血液が海綿体に集中しているのでないかと思うほどにギンギンに硬さを誇っていた。
六花はそっと両手でその硬さを確かめると、夫に物欲しげな視線を送る。
それに対し、男が何事か耳元で囁くて、六花の頬に朱が差した。
「ほら、言った通りに、おねだりしてみせて」
「あ、あなたぁ・・・・・・い、意地悪だぁ」
「ほら、早く」
おずおずと足を開くと、六花の手が自らの秘裂を押し広げていく。
ぐぱぁっとその子宮の入口まで露わにするほど、いやらしく広げられた陰唇から覗く膣道がひくひくと誘うように蠢いている。
純白の肌の合間に、赤く色付いた花が咲くように。
朝露に濡れた花のように、愛液で妖しく光り、大きく咲き乱れている。
「あ、あなたの、に、煮え滾ったオ、オチンチンせ・・・せっくす・・・お願いします・・・り、六花のオ、オマ、ンコ、たくさん可愛がってください」
その白の丘陵の狭間にある、朱色の谷に灼熱に滾った陽根を近付ける。
体温の低い雪女にとっては焼けるほどに熱く感じる肉槍の感触、久しぶりに味わうそれへの期待に六花の心臓は早鐘のように脈打っていた。
手を添え、二度三度と上下に動かし秘裂をなぞり、膣口の位置を確認すると一気に貫いていく。
「ん、あぁぁ❤」
ずっと待ち望んでいた、体の内側から焼かれるような熱棒の蹂躙に、六花が嬌声を上げた。
いったん根本まで埋め込まれた一物を、ゆっくりと引きずり出してやり、そして再びゆっくりと埋め込んでいく。
六花の体を抱きしめると、火照った体に雪女の冷たい皮膚の感触と温度が心地良く染みこんでくる。
ひんやりとした寒天のようなジェル状のツブが密集した膣を掘り返す度に、結合部の神経が全身に甘い悦楽を伝えていく。
「六花、六花ぁ」
「いぃぃぃぃ、ひっ、ひん、あぅぅ❤」
二人の荒い息遣いと、ずにゅ、ずちゅ、ぐちゅ、と愛液に濡れたペニスとヴァギナの粘膜がこすれ合う音が響く。
一物が膣肉を突き上げる度に、新たな快楽が背を走り、その度に膣が肉棒を締め上げ奥へ奥へと誘うようにうねる。
口を吸いあい、胸を吸われ、陰核を弾かれ、灼熱した陽根で膣を抉られ、六花は何度も絶頂を迎えながら、それでも休む間もなく抽挿が繰り返されていく。
「あ、なたぁ・・・・・・な、かぁ、膣ぁ、出ひてぇ❤」
「ああ、六花、いくよ」
先程口に放ったモノより、さらにどろどろとした雄汁が子宮へと注がれていく。
「あ、熱いぃぃぃひぃいっ、あぁぁ、灼ける、灼けちゃうぅぅっ、ひ、ひぃぃぃん❤」
ドクンドクンっと精液が注がれる度に、身の内が灼かれるような熱を感じ、その熱がさらに快感を押し上げていく。
ガクガクと体を揺らし、エクスタシーを堪能して。
しばらく抱き合いながら、お互いに放心していたが、やがて息が整うとどちらからともなく、唇を寄せてついばむように口付けを交わした。
六花の心が暖かいもので満たされていく。
夫の黒い髪を愛おしげに撫ぜながら。
熱く、蕩けそうな口付けを交わして。
これが雪女の求めているもの。
欲して止まぬもの。
この温もりが欲しい。
この熱いものが欲しい。
この人が欲しい。
この人の全部が欲しい。
この人の、生命が欲しい・・・・・・
六花の心に雪女の性が甘く囁きかけていた。
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
永遠に続くように思えた、永い永い口付けを終え、そっと唇を離す。
甘美だった。
この上もなく至福の時間だった。
徐々に消えていく体の温くもり。
雪女が欲して止まぬ熱い魂を吸い尽くし、この人の全てを自分のものにしたのだという達成感。
引き離そうともせず、全てを受け入れて、背中に回されきつく抱きしめていた手から力が抜けていく一瞬。
浅ましくも、かつてないほどの快楽を感じていた。
愛する者を殺めるのが、たまらなく甘美だった。
そんな事を感じる自分にどうしようもない嫌悪感も感じてしまう。
死の象徴とも言える凍てつく雪。
その雪の妖としての歓喜と悦楽、女としての寂寂とした哀傷。
冷たくなった夫の体をかき抱き、その耳に囁きかける。
「ずぅっと、ずぅっと一緒よあなた・・・・・・さあ、一緒に逝きましょう」
この人がいない世界では、私は生きていくことなど出来ないのだから。
すっかり白くなった夫の髪を優しく撫でながら、その頬に愛おしげに自分の頬をすり寄せる。
轟々と呻くような、泣き叫ぶような鋭い音を立てて、風が吹き通って行く。
樹々を揺らし、憐憫を誘う吐息のように。
「雪? こんな真夏にか。親父達、大丈夫かな」
車を走らせる、初老の男が呟いた。
フロントガラスに白い綿のような雪がぶつかり、視界を染めていくのをワイパーで拭い去っていく。
こんな真夏の季節に雪とは、と驚く。
初老の男は子供の頃から、この歳になってさえ雪というのが好きで、いつだって心が沸き立ったものだ。
だというのにこの雪を見ていると、何故かひどく物悲しい気持ちが沸いてくるのだ。
どうも胸騒ぎがしてならない。
脳裏に浮かぶのは、金婚式を過ぎても暑苦しいくらい仲の良い両親の姿。
髪が真っ白になった父、年齢よりもずっと若く見える母。
虫が知らせたとでも言うのだろうか。
何かが騒ぎ立てるように、胸がざわついて仕方がなかった。
仕事が終わると実家に向けて車を走らせていた。
久しぶりの実家に着き、玄関を開けると異様な冷気が中から溢れだしてきた。
まるでこの真夏の雪の源がココなのだと言うように。
「親父!! お袋!! 無事なのか!?」
男が両親を求めて声を上げ、見たものは。
縁側でひなたぼっこでもしているように微笑みながら冷たくなった父と、それに寄り添うように、まるで抱きしめるように、うず高く積もった雪の塊であった。
母の姿はどこにも見えず、行方はようとして知れなかった。
雪女さんでした。
六花は雪の別名から。
中々難産なお話でした。
寿命ネタで後追い自殺か、夫の今際に心中かってのが当初のネタで、このままいくか迷ってました。
真夏に雪が降るのは雪女が心中するからなんだ!!なんだってーー!?
あのまま殺っちゃったみたいに思えるように書いてみました。
まあ時間はかなり経ってるってのは、新婚→金婚式過ぎて辺りで把握できるかなっと。
こういう手法はもっと勉強が必要ですね。
次はゲドガキの化け物か、バーバ・ヤガーか、タンタンコロリン辺り。