※この作品はR-18です。

SEED-虹の向こう側-   作:星乃 望夢

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新星攻略後篇です。MSの動きが伝わればよろしいのですが。というか頭の中の動きを文章で再現するのってやっぱり難しいですねぇ。

バブみってヤバいというか。シャアの気持ちがわからなくもない今日この頃。


第十五話 C.E.70 7月12日 悪夢と傭兵

 

 一月に及ぶ戦闘により、L4はデブリの多い宙域になっていた。

 

 新星の破片や撃沈された艦艇、MA、MS、コロニーの破片に、ダメージが深く廃棄されたコロニーも幾つか存在した。

 

 そんなコロニーの残骸とデブリに隠れるように、ドロス級3番艦ミドロと、ムサイ級二番艦ペールギュントは控えていた。

 

 ミドロから伸びるケーブルに繋がれた長砲身の巨大な砲を白いMSが構えていた。

 

 Nジャマーの影響で、自機のセンサー類では正確な測距データは取れないが、データリンクしている僚機のお陰で状況は極めて良好に各種諸元データを収集し、狙撃に必要なデータが揃って行く。

 

 遥か彼方では光が点いては消えていく。それは一つ一つが命の散る輝きだった。

 

「焦るな。私は引き金を引けば良い」

 

 それだけが今回自分に求められている仕事だが、1発必中の覚悟で撃たなければならない。

 

 針の穴に糸を通すような作業だが。それを人の手ではなくMSの手でやるような無茶振りではあるが、やれない仕事は割り振らないのがユキだ。

 

 その人物が出来ると確信しているからこそ任せる。ならばその確信を信じてすれば良いだけだ。

 

 相変わらず、人を一方的に信じている。

 

 裏切られない様にすべてを擲つ危うさもかわらない。

 

 本当は弱いのを隠して強がっているところもだ。

 

「弱いのは、私の方だ」

 

 士官アカデミー時代。同室だったユキの内面というものを知る機会は、ルクレイツァには何度もあった。

 

 昼間は大人も顔負けの威厳と自信、カリスマに溢れる人物だが。唯一床の間だけが、彼が弱さを見せる時間だった。

 

 眠りながら魘され、人の名前を呼んで、泣いて、笑って、苦しんで、怒って。

 

 アムロ・レイ――。ララァ・スン――。ハマーン・カーン――。シャア・アズナブル――。

 

 それが誰なのかはルクレイツァにはわからない。しかしその人物たちがユキ・アカリという人間の骨格を作っているのだとルクレイツァは察せられた。

 

 その強さと甘さに惹かれて、そして恐くなって逃げ出したのだ。

 

 ナチュラルでありながらコーディネイターを超える実力を示す彼が。本質的に弱いことを知って、ならば自分が守ってあげれば良いと思い。

 

 喪った弟と重なって、恐くなって、自分は逃げ出したのだ。

 

 長女として、私が産まれてしまい、跡取りにする為に家は長男を求め、コーディネイターとして弟は生を受けた。

 

 その優しい気質に反して、貴族として家を継ぐ為に厳しく育てられて大人を演じなければならず、しかしコーディネイターの同級生に虐められて心が折れてしまい死を選んだ弟に重なって、失うことが恐くなって逃げた。

 

 友人であり級友であり、寝食を共にする戦友が弟にあまりにも似すぎていて、弟を重ねながらも、それをわかった上で自分を受け入れてくれるその優しさに溺れてしまう自分が情けなくて。

 

 だが彼は、そんな自分を必要としてくれている。

 

 目の前から去っても、彼は必要としてくれたのだ。

 

 ならばその信頼に応えるのが貴族として成す事だ。

 

 貴族として、剣を捧げるべき相手。

 

 ユキ・アカリという人物は、この想いを預けるに相応しい。故に彼の為に戦うのだ。今度こそは喪わない為に。

 

 彼の寵愛を賜らずとも良い……とは言い切れないのが女である自分の弱いところだ。

 

 誰よりも先に彼の弱さを知ったはずだが、逃げてしまった自分が悪いのだが。

 

 女の気配が増えていた。察するに、シホ・ハーネンフースだろう。

 

 彼の行き着けの店で二人揃って飲んでいた情報は耳に入っている。気に入った相手しか連れていかない店。他にはクルーゼとも飲む時に使っているらしいが、それでも女の連れ込みは自分以外ではシホが初めてである。

 

 酒に酔っ払うまで飲んだらしいから、その後にタクシーでシホがユキを送り届けたのならば、あの真面目な彼女の事だから部屋まで送ったはずだ。

 

 酒の勢い。そういう手もあったか。卑怯だとは思わない。ルクレイツァから見てもシホは譲れる相手だ。

 

 気立ても良く、ナチュラルとコーディネイターを差別しない。上司と部下として敬意を払いながら友人の様に対等で、ライバル意識も持っていて負けず嫌いの所がユキも壁を作らない遠慮なさという対応になるのだろう。しゃべり方こそ大人の対応でも心は既に開いていた辺り相性が良いのだろう。

 

 恋敵にすらならない。それでも構わない。時々構ってくれるだけでもいい。それだけで、騎士として戦うことは出来る。

 

「貴族の誇りに懸けて、必ず成功させますよ。ユキ」

 

 戦闘開始から10分が経過した。あと5分程で準備は整う。そしてそろそろユキたちの別動隊も新星の裏側から仕掛ける陽動を開始するだろう。ザフト軍本隊とユキの別動隊に気を取られている間に本命の此方が敵艦隊を撃つ2重の陽動を仕込んだ作戦だ。

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーによる攻撃から気を逸らす為、ユキはシホとハイネを率いて別動隊として出撃しようとしていた。

 

「出来れば、出撃の信号弾でも上げたいところだったがな……」

 

 暗礁宙域を少数のMSで抜け、敵本陣に奇襲を仕掛ける。そういう場面での出撃などいくらでもしてきたものだ。シャアが左遷されてからの衛星軌道哨戒艦隊編成までの間に所属した第302哨戒中隊での戦いもまたそうだった。

 

 敵の資源衛星があり、そしてその資源衛星を中心に敵は布陣している。陣形こそ異なるが、その光景、忘れたくても忘れられるものではなかった。ソロモンの悪夢。図らずも自分は連合では同じ様にザフトの悪夢という名も頂戴しているらしい。

 

 ならば見せてやろうではないか。本物のソロモンの悪夢には及ばずとも、その悪夢と共に駆け抜けた戦士として。

 

 そういう感情を抱くのは一重に自身の乗るMSがリープシリーズ以上にジオンの意匠を持つMSであり、コックピットのレイアウトやデバイスの類も一年戦争当時の物を再現した。だからなのだろう。自分の中の根底にあるジオンの戦士としての血が騒ぐ。

 

 この光景をかつて同じように自身が体験したからだろう。

 

 懐旧の宇宙とはいかないが、それでも心に浮かぶものはある。

 

「ガトー少佐……。そして、ジオンの遍く英霊たちよ。どうか見守っていてくれ。そして願わくば、我がもとに宇宙(そら)の天祐を導き給え…」

 

 それは感傷であり、或いは未練。今もなお宇宙に住む民の為に戦う己に、ジオンの兵士たちの魂が乗り移っているかのように。デラーズ・フリートに身を置いていた時の様に。己の中の戦士としての感覚が研ぎ澄まされていくのを感じる。

 

 魂の躍動が、煮えたぎる熱き血潮が、口を突いて現れ、その言葉が自然と零れた。

 

「ジーク・ジオン――!!」

 

 心積もりを固め、闘志として燃え上がらせる。

 

 ハンドサインでシホの乗るリープドム、ハイネのブレイズ・リフリートに出撃の合図を送り、先行して出撃する。

 

 シュツルム・ウィザードという、ブレイズ・ウィザードのミサイル格納部分をプロペラント・スペースに改造し出力も強化した完全な機動性向上用のウィザードを装備したシュツルム・リフリートは駆ける。ジオンの技術により蘇った炎の魔神は、蒼く輝く炎に戦士の悲しみを覆い尽くし、闇を突き抜ける。

 

 デブリや岩塊などの中を、適当に質量の大きな物を踏みつけて加速する。推進剤の節約、というよりかは、OSの実践でなければ調整出来ない部分の再調整を今のうちに行うためだ。それこそデブリを蹴って加速した時の機体バランサーの調整から立て直す時のモーション調整まで含めてやることは多い。

 

「機体が右に流れるな。こうもなると盾でも持ってくるべきだったか?」

 

 機体の操縦をしながらOSの調整を同時進行で進める。武器を握ればバランスはまた変わるだろうが、格納時でのバランサー調整は必要だ。シミュレーションでは平気でも、やはり実際の操縦で身体に感じる感覚というものは別だ。当たらなければどうということはないのだが、カウンターウエイトとして左腕にシールドでも次からは装備しても良いだろう。

 

「無理はするなシホ。ドムならばアポジの動きで充分回避できるはずだ」

 

『りょ、了解…!』

 

 後方のカメラで此方を必死に食らいつこうとするドムに声をかける。まともな慣熟飛行も済ませていないのによくも着いて来てくれる。

 

 今回シホがリープドムに乗っているのは、ドラッツェの機動性よりも運動性に優れるMSとして、リープドムに乗って貰っているのだ。このデブリの隙間を縫うように進むにはMSの方が効率は良い。ドラッツェでも抜けられるが、必要以上に機体を振り回す為にパイロットに掛かる負荷が看過できない。 

 

「ハイネもな。遊んでいるだけに過ぎないから気にするな」

 

 そもそもデブリは蹴って加速する必要などないのだが、それでもこれは戦艦を蹴って加速する事には必要になる上に、やはり自分は赤い彗星を継ぐものとして此くらいは出来なければならない。でなければ赤い彗星の再来に称号を返上しなければならなくなるからだ。

 

 ふたりの赤い彗星を継いだ今。自分はこの技を廃れさせるわけにはいかないのだから。

 

『了解了解。これが遊びって言われて遊びに見えないんだが、ゆっくりついて行かせてもらうぜ』

 

「そうしてくれ。敵の警戒網に入る前に疲れられては元も子もないからな」

 

 デブリを蹴って加速する。その移動スピードはシホやハイネの3倍のスピードに達する。

 

 ルウム戦役では同じ方法で、敵艦を蹴って加速するシャアについて行くのがやっとだったが、今ではこうして自分でも同じことを苦も無く行える。そうでもないと生き残れないのが宇宙世紀だった。そうでもなければフル・フロンタル相手に勝利はない。

 

 そして、そうであるからこそ、己はジオンでもエースパイロットとして名を馳せたのだ。

 

 そして、そうであるからこそ、自分はスペースノイドの自治権獲得の為に、宇宙を駆ける事が出来たのだ。

 

「くっ。思ったより軽いのに、追いつけないっ」

 

 リープドムを駆るシホは、その見た目に反して高い運動性を持つリープドムの性能に舌を巻いていたが、それでも先を行くユキのリフリートに追いつけないでいた。

 

 デブリを蹴って加速する。言うが易しだが、行うは難し。それこそ隠密行動中に派手に物を動かすような行動は厳に慎むべきなのだが、まるで柔らかく触れたかのように一瞬でデブリを蹴って加速を続けるリフリートが蹴ったデブリは僅かに動くのみ。そうでないものはほぼ微動だにしない。

 

 いったいどのような繊細さで触れているのか想像もつかない。なのに加速を続ける。

 

 スペック比較では瞬発力こそ負けるが、最高速度では勝るはずのリープドムで追いつけないのだ。

 

 作戦通達と同時に慣熟飛行する暇はあまりなかったものの、それはユキも変わりはないはずなのだが、毎回新しいMSに乗ってもすぐさま手足の様に扱ってしまうその才能は――。

 

「経験値の、絶対的な差……。それだけじゃ片付かないわよ」

 

 MSを操縦する為のセンスが並外れていて、そこに経験値が加算されているのだ。その経験値の分、彼は強い。だからザフトのトップガンとして君臨している。

 

 パイロットとしての格が違いすぎる。…それでも諦めるものかという思いだけでついて行く。

 

 追いつけなくとも、見失わない様には出来る。

 

「やれやれ。気張っちまってまぁ」

 

 適度に適当に。ユキの気遣いはそういう事だ。言葉が少なくてわかりにくいが、それでも少ない付き合いでもどういう人間かはハイネにも理解が出来始めていた。

 

 最近何処か気張り過ぎなところがあるシホに、ハイネはユキ共々共倒れをしてしまわないが心配こそあるが、それは戦場ではないという妙な確信がある。それこそ戦場で後れを取る時は此方が全滅する様な状況にでもならない限りやっては来ないだろう。パイロットという戦術で最小単位の兵力として戦っている限りは自分の身は自分で守れる立場であるからだ。

 

 ザフトトップガンのツートップ。トップはユキではあるが、実は2位はシホでもあった。それでも出撃する度に僅差で続くクルーゼと入れ替わり立ち代わりなのだが、その倍のスコアを持つユキは不動の一位である。

 

 そういう経緯もあって、MSに乗っている限りは余程のことがない限りは心配はない。むしろ心配は自分だ。

 

「お守りも大変だぜ? こりゃ」

 

 そう自分に問う。それでも、ここに居ることを選んでいる。空気の心地よさというか、安らぎというか。肩肘を張らなくても良い空気が気に入ったというか。コーディネイターもナチュラルもない。一人の人として故郷の為に戦える心の持ち様が問われるだけの職場に、ハイネは満足していた。

 

 その分ジャンを除けば前線では年上であり、気配りをしてやらないと危なっかしい年下のエースたちのお守りはしないとならないが。

 

「でもま、それも良いがな」

 

 それに余りある程の待遇も受けられるのだ。ジンを軽く凌駕する高性能MSに乗って戦える。そういう意味で興奮する程度には、ハイネもまた戦士であり、男であるという自覚があった。

 

「これより湾内に突入する。全周囲を警戒、センサー感度も最大にな。なにが隠れているかわからん」

 

『了解!』

 

『了解したぜ。っと、早速アタリだぜ? 敵の自動砲台衛星だ!』

 

『ロックされた!?』

 

「私がやる。駆け抜けろ!」

 

 デブリを進むシホのリープドムを狙って動き出す自動砲台。右腕のレールから競り上がってきた対艦刀の柄を握り、リープドムと自動砲台の間に入り込む。対艦刀を腕の固定レールから外しながら引き抜き、両手で改めて構えながら頭上に掲げて、接近した勢いを利用して振り下ろす。ビーム刃が装甲を引き裂き、背中で爆発が起こる。良い斬れ味だ。

 

『隊長!』

 

「最大戦速で駆け抜ける。遅れるな!」

 

 対艦刀を腕の固定ラックに戻し、シュツルム・ウィザードの推進力も合わせた機動力で暗礁宙域を駆け抜ける。

 

「またか!」

 

『オレが引き付ける!』

 

 再び現れる自動砲台衛星に、ハイネが前に出て自動砲台を引き付ける。ミサイルが次々と放たれるが、それをハイネのリフリートはショットガンと頭部バルカン砲を放ち、迎撃する。

 

 そのまま自動砲台を過ぎ去るハイネのリフリートの後ろから、自動砲台を蹴り抜き、反動を使って離脱する。

 

『敵警備衛星!』

 

「吹き飛ばせ、シホ!」

 

『了解! 戦艦を一撃で沈める火力よ。侮らないで!』

 

 岩塊を利用して作られた警備衛星に対して、リープドムがビームバズーカを撃ち込む。

 

 構造物や艦艇に対する攻撃力はリープドムがこの中で一番高いのだ。

 

 その火力を遺憾なく発揮し、高出力ビームは警備衛星に突き刺さり、破壊していくか、哨戒機が迎撃に発進している。

 

 武装ポッドのミストラルや少数はメビウスが発進している。

 

「っ、手間取っては、大事に障る!」

 

 左腰のヒートソードを抜き、向かってくるメビウスに対して振り抜き、両断されたブースターが爆発して本体も砕け散る。

 

 機関砲を撃ちながら突撃してくるミストラルに向けてヒートロッドを打ち込み、電撃を流したところで動かなくなったその機体を別のメビウスに向けて振り回し、衝突させて撃墜する。

 

『ここはオレに任せて、早く行け!』

 

「了解した。シホは着いてこれるな?」

 

『ええ! でも、もう一撃!』

 

 さらにビームバズーカを放ち、警備衛星の管制室辺りを撃ち抜いたシホのリープドムが離脱する此方に着いてくる。

 

「ビームバズーカを」

 

『了解』

 

 リープドムが背中に懸架していたビームバズーカを受け取る。

 

 既に暗礁宙域を抜け、新星の裏側に突入している。

 

『また新手!? けど、させないわ! 貴方は行って!!』

 

「頼む」

 

 暗礁宙域から追ってきた新手の部隊の対処にはシホがまわった。

 

 そのまま直進し、展開している警備艦隊がビーム攻撃で此方を迎撃してくるが。

 

「この様なピケットなど…!」

 

 それらを無視し、新星の真上へと上昇する。機体がGで揺れる。身体が軋むが構わずに新星の頂点へと到達する。

 

 タイムスケジュール通りならば、ハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーによる攻撃が始まる。

 

 それに合わせて行うのが、ビームバズーカによる敵艦隊の直接攻撃だ。

 

 陽動と見せ掛けた第二の本命。

 

 敵本陣に壊滅的な打撃を与えるには、長距離ビーム攻撃も有効だが、やはり有視界戦闘距離で直接攻撃を仕掛ける方が早い。

 

 ソロモン攻め。連邦軍のチェンバロ作戦、そしてデラーズ・フリートの星の屑の二重の作戦を織り混ぜたこの作戦は、新星の様な中規模資源衛星を攻略するには正しくうってつけであった。

 

「刮目するが良い! これこそ悪夢と言うものだ!!」

 

 ビームバズーカの最大出力で、頭上から連合主力艦隊へ向けて大出力メガ粒子ビームを撃ち込む。

 

 頭上からビームによって串刺しにされた艦が次々と撃沈する。

 

 そしてハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーによる攻撃が連合艦隊を突き抜け、新星の表面を焼く。

 

 集中的に狙うのはアガメムノン級である。迎撃機が上がってくる前に確実に数を減らす。

 

「五隻目! あと三隻はっ」

 

 悪夢を名乗ったのだから八隻は仕止める腹積もりではあるが。核弾頭による一網打尽というわけではなく、ビームバズーカによるロングレンジ攻撃であるため、反転迎撃する艦やその艦載機、或いは新星から直接発進してくる機体もある。

 

「ゴーグル頭? 連合のMSか?」

 

 ジムを彷彿させる風貌のMSが居る。その武装はジンのものだが、動きがぎこちなく機械的で、さらに鈍い。だが数は多かった。一個中隊規模はいるだろうか。

 

 バズーカを撃ってくるが、反動で機体がぐらつき、姿勢制御も機械的だった。

 

「そう動きが鈍くてはな!」

 

 頭部バルカンでバズーカの弾頭を迎撃し、左腕の3連装ビームガトリングガンを、向かってくるメビウスやミストラルの迎撃に使い、そしてまた一隻のネルソン級に向けてビームバズーカを撃ち放つ。

 

「六隻! っ、ええい、邪魔をするな!!」

 

 重突撃機銃やバズーカで弾幕を張ってくるゴーグル頭のMSたち。中にはバックパックから伸びる2門のキャノン砲を装備して撃ってくる機体も居るが、誰も接近戦を仕掛けてこない。

 

「なるほど。そういう機体か!」

 

 機械的な動作。だが人の気配は感じる。ならば有人MSなのだろう、観察すれば頭以外のパーツはジン系のものだ。

 

 連邦軍もザクを鹵獲して修理した機体を戦線に投入してきたものもあった。ということはそれの類だろう。だがジンのOSではナチュラルが操縦するにはあまりにもパイロット側に要求する負担が大きい。ならば機体制御はある程度機械にやらせ、パイロットはガンナーとして乗っているのだろう。

 

 ブライトが連合に居るのならばMSの有用性と言うのは嫌なほどに知っているはずだ。

 

 そういった、とにかく少しでもMSに対抗できる機体を欲するだろう。

 

「しかし。数合わせの機体で、この私は倒せん!」

 

 右手がビームバズーカを握っている為、左手で後ろ腰のヒートブレードを抜く。ヒートソードよりも短く細身の剣ではあるが、取り回しに優れる武装を抜き、敵のMS部隊へ向けて突撃する。

 

「私は義によって立っているからな!」

 

 近付く事で弾幕が激しくなるが、動きがコンピューター制御なのだろう。素直すぎる狙いに、脚部のスラスターやAMBACを織り混ぜた機動をするだけで彼方の狙いは外れていく。

 

「歯車となって戦うものにはやられはせん!」

 

 ビームバズーカで1機を撃ち落とす。

 

 3連装ビームガトリングガンで2機を蜂の巣に変えて、さらに1機の懐に飛び込み、ヒートブレードで擦れ違い様に胴体を横に切り裂く。さらにその切り裂いたMSの機体を足場にして飛び上がり、その後ろに居たMSをビームバズーカで撃ち抜く。流れる様に4機を仕留めた物の、手応えは全く感じられなかった。

 

「な、なんだよ、なんなんだよこいつは!!」

 

「蒼いMSだ! ザフトの悪夢って!」

 

「なんでそんな化け物が新星の裏から出てくるんだよ!!」

 

「MSでこんな動きが出来るのかよ!?」

 

「感じるぞ。怯え、竦み、ならばMSの性能も生かせぬまま果てるが良い!」

 

 ビームバズーカを持ち替え、右腕に固定されている対艦刀からビーム刃を出力する。

 

「ちくしょう! やってやる、やってやるぞ!!」

 

 構える姿勢のリフリートに向かってブーストで接近するMS。怯えながらも奮い立ち、射撃がダメならば接近戦を仕掛けるという気骨さに感心する。

 

「ほう。肝が据わっているパイロットも居るようだが」

 

「うおおおおっ」

 

 それに応える様に加速するリフリート。ゴーグルのMSに格闘兵装は確認出来ない。そのままショルダータックルの姿勢に移行したのを捉えながら、衝突の直前で右のアポジを噴かす。ぶつかる直前に左側に擦り抜ける様に機体を操り、その無防備な背中を蹴り飛ばす。

 

「なっ!?」

 

「フッ」

 

 そのまま蹴り飛ばした勢いで宙返りし、逆さまのままビームバズーカで突っ込んできたゴーグルMSの後ろに居た仲間を狙う。

 

「っ、ちぃぃっ!!」

 

 だがビームを撃つ直前に、何かかビームバズーカを貫いた。発射直前で縮退していたメガ粒子が貫かれた部分から漏れ出し、大爆発を起こす。

 

「く、左腕を…!」

 

 気づいた瞬間にビームバズーカを捨て退避したが、それでもリフリートの左腕が上腕から先が犠牲になった。

 

「このおれが敵意を感じなかった」

 

 ニュータイプとしての力を極力抑えて、ただの兵士として戦っていたものの。それでも敵意くらいは感じられる。それを感じなかった。仕立て人を探し、しかしすぐに見つけられた。

 

「完品状態のジンの改造機? それに変わったエンブレムだな。…サー、ペント…テール?」

 

 口を開けた、蛇の様なエンブレムに掛かれたネームを読む。

 

 サーペントテール――。

 

 フリーの傭兵で連合にもザフトにも依頼であれば組する。何方着かずの存在だが、確かなミッション成功率で両軍からことあれば依頼を受けるとユキは聞きかじった知識からその傭兵の情報を引き出す。

 

「叢雲 劾。コーディネイターかナチュラルかは不明とは言われているが」

 

 相手の出方を窺いながらMSを一通り調べる。ベースはジンだが、脚部にスラスターを増設し、背中にもプロペラントを背負っているのがわかる。その装備するレールガンでビームバズーカを撃ち抜いたのだろう。

 

「この動きがナチュラルというわけでもないだろう!」

 

 右腕からヒートロッドを打ち出すが、それをカスタムされたジンは軽々しく回避する。

 

「反応も良い!」

 

 脚部の6連装ミサイルポッドを全弾発射し、弾幕を張る。さらに頭部バルカンからも弾幕を追加するが。

 

 ミサイルはレールガンで迎撃され、バルカンは軽々しく回避される。中々機動性も強化しているらしい。というかベースは間違いなくアナハイムで開発されている高機動型ジンだろう。独自改造であっても限界はある上にザフト製のMSで高機動型MSを用意するならば、手を出しやすいのは高機動型ジンだ。

 

 だがそれでも――。

 

「瞬発力は此方に分があるぞ!!」

 

 一瞬で距離を詰める。カスタムジンがそのボディ上部に装備したナイフを引き抜いてくるが、それをこちらは腕の対艦刀で受け止める。

 

 一瞬ビーム刃が受け止められたのは対ビーム・コーティングか? しかし高出力のメガ粒子の刃の前にナイフは両断される。そのまま対艦刀をビームトンファーとして振りぬいた勢いで機体を回転させ、後ろ回し蹴りを叩き込むが、インパクトの瞬間に機体を退いたのだろう。手ごたえが浅すぎる。

 

「器用なことだ!!」

 

 しかし、回し蹴りの勢いで再び向き直った瞬間にヒートロッドを放つ。今ある武器で間合いが長く威力が見込めるのはこれしかない為に苦しいが仕方がない。それでも当たるタイミングでユキは攻撃を放った。

 

 しかしカスタムジンはそのヒートロッドを避け、更にワイヤーを掴んで引き上げた。

 

「なに!?」

 

 虚を突かれ、機体が流される。そして強烈なアッパーがリフリートのコックピットに突き刺さる。

 

「がはっっっ!!」

 

 物凄い衝撃で揺れるコックピットと、駆け抜ける衝撃のダメージが身体を突き抜ける。血を吐き出しながらもペダルを踏み込む。

 

 アッパーを受けた衝撃を利用してカスタムジンの頭上を飛び抜け、その背中側に回る。

 

「貰った!!」

 

 脚部から抜いたアーマーシュナイダーで背中のスラスターを突き刺す。

 

 突き刺したのは左側の背中のスラスターだ。後ろを向くには右のスラスターで左周りに回る方が速い。

 

 だがカスタムジンは脚と肩のアポジとAMBAC機動で素早く右回りに振り向いてきた。向けられる銃口。

 

「読めているさ!」

 

 常套手段ではこのカスタムジンのパイロットは来ないだろう。そうして油断を誘うだろう。何よりMSの一瞬の挙動から次の動きを勘で引き当てる。

 

 腕から引き抜いた対艦刀を横凪に振るう。それも読まれていたのか、振り向く瞬間にはカスタムジンは上方に向けて離脱していたが、振りぬいた切っ先は斜め上方に抜け、カスタムジンの右足を切り裂いていた。

 

 そして上方から向かってレールガンを撃ち放ってくる。装甲の一番硬い胸部の装甲で受ける。

 

 激震は伴ったが、ガンダリウム装甲によってレールガンの弾丸は弾かれる。流石に驚いたのだろう。一瞬動きが止まった。

 

 そのままカスタムジンの胴体を蹴り飛ばし、離脱する。

 

「ぐふっ、ごほごほ、くっ。…ああまでやって殺気が見事になかった。…プロフェッショナルというやつか。いつか顔を交えてみたいものだ」

 

 口の中から湧き出る血を飲み込み、そのまま離脱しつつ、帰りがけの駄賃に2隻のドレイク級を対艦刀で切り裂き、撃沈させる。

 

 追ってくるかとも思ったユキだったが、新星を離れて行くのに背中を向けていても追っては来なかった。

 

「背中を向ける者は撃たない主義か? それとも新星の防衛が仕事だからか? 或いは機体コンディションか?」

 

 あれだけ殴ったのだから、ジンの腕ならば中が過負荷でまともに作動できる時間は限られるはずだ。何しろガンダリウムの装甲なのだこちらは。

 

「フフ。楽しかったぞ、サーペントテール!」

 

 片腕とビームバズーカを失ったのは手痛い損害だったが、それでも対艦刀1本で艦隊の相手は可能だ。手応えを感じた。機体の性能差で勝てたが、反応速度で自分が負けた。その事実に嫌が応にも口元が歪む。

 

「レッドアラート? 緊急通信とはな」

 

 緊急回線での通信。相手はジャンだ。それほどに彼が慌てる様子が想像出来ないが、緊急事態だろうことは確かだ。

 

「私だ。何があった?」

 

『…たい…お……われ…』

 

「レーザー通信に切り替えろ! 何があった!」

 

 Nジャマーの影響で通信状況が芳しくないが、ジャンの乗るリープアイザックはミノフスキー環境下での運用を想定している偵察機だ。Nジャマーでは電波錯乱だけで、ミノフスキー粒子よりも通信手段は他にも取れる、ミノフスキー粒子は下手するとレーザー通信ですら妨害するほどだ。

 

『こちらジャン・キャリー。…本隊が襲われています。此方が苦戦している様子です』

 

「なんだと!? 映像を回せ!」

 

 こちらの作戦を看破した人間が居る? 二重の意味で欺瞞した作戦の上に、留守にはルクレイツァも残してある。早々苦戦する様な状況にもならないはずだ。

 

 だがその理由はすぐにわかった。

 

 リープハイザックから送られてくる映像を見る。ペールギュントが押されている。ミドロが盾になってビーム砲で弾幕を張っている。アンチビーム爆雷やビーム撹乱膜を惜しみなく使っているようだが、ドラッツェ部隊が敵艦隊に翻弄されている。

 

 ネルソン級1、ドレイク級2、そして――。

 

「ペガサス級だと!? バカなっ!!」

 

 正面に突き出た二つの脚の様に伸びるMSデッキ。後ろも二つ突き出たエンジン。艦の両脇のメガ粒子砲格納部とミノフスキー粒子散布装置。そして艦の上に伸びる艦橋。船体から伸びる翼。色も白と艦底部の赤。間違いない、ペガサス級の特徴を持つ船だ。

 

「やってくれたなっ。ブライト!」

 

 そう。この作戦を唯一看破できる存在が連合に居たのだ。

 

 此方がそれを読み切れなかった完全な読み負け。或いは慢心があったか。

 

「っ、あろうはずがない!」

 

 しかしあのブライトが相手ではアーサーでは荷が重すぎる。アーサーも悪くない艦長だが、それでもブライト相手はマズすぎる。

 

「ジャン。本隊に撤退指示を出せ。それとハイネを救援に、シホは此方に迂回して合流させろ。新星に厄介な奴が居る」

 

『了解しました。しかし、厄介なやつとは?』

 

「サーペントテールだ。連合は傭兵を雇っていたのさ」

 

『サーペントテール、ですか。それは、厄介ですね』

 

 技術畑のジャンまでも名を知るという所でその名は有名なのだろう。

 

 対艦刀を振るい、近づいてくるメビウスを両断し、ミストラルを蹴り砕く。更にレールガンを撃ち放って向かって来るメビウスに対艦刀を手放し、ヒートブレードを抜き、弾丸を切り裂いて弾き飛ばし、回し蹴りで対艦刀の柄尻を蹴り、蹴り飛ばした対艦刀はそのままメビウスに突き刺さり、対艦刀の柄にヒートロッドを巻き付けて振り回し、近づいてくるMA部隊を蹴散らす。

 

「ええい。手負いと見て寄って集ってくる!」

 

 それも仕方がない。MSは片腕を失うだけでもバランスが狂って動きが鈍るところもあるのだ。それくらいなら全く問題はないのだが、どうしても片腕では手数が減る。

 

『ユキ!!』

 

「待ち侘びたぞ、シホ」

 

 リープドムが胸部の拡散メガ粒子砲を放ち、周囲に残っている敵部隊を壊滅させた。

 

 だがまだやることがある。

 

「すまないが、ビームバズーカを貸してくれ。本隊を援護する必要がある」

 

『援護って…。それより早く離脱を』

 

「このままではペールギュントが退がれない。このままでは沈む」

 

『くっ』

 

 リープドムに対艦刀を手渡し、ビームバズーカを引っ手繰る。そして肩に担ぎ、意識を集中する。

 

「ジャン。これからペールギュントを援護する。敵艦隊の位置、大まかで良い。測距データを送ってくれ

 

『その位置から狙撃を?』

 

「やってやれないわけじゃない」

 

『分かりました。データリンク、開始します』

 

「シホ。悪いが30秒持たせてくれ」

 

『わかったわ。そのかわり、その後は真っ直ぐ帰るわよ』

 

「承知した」

 

 ビームバズーカのエネルギー放出を最大レベルに調節する。近接特化型MSであるリフリートではセンサー感度を上げる代わりに距離が短いが、ジャンの機体から測距データを送ってもらい。あとは己の直感で当てる。

 

「バイオセンサーで感応波は増幅できるはずだ。おれを感じてみるか? ブライト」

 

 戦闘宙域全体に己の意識を拡散させる。戦場の様子が漠然とだが拾える。雑念を断ち、ペールギュントを攻撃する艦隊の姿を捉える。

 

 周りでは拡散メガ粒子砲と対艦刀という癖のある武装でもMAや戦艦を相手に獅子奮迅の勢いで敵を倒すシホを感じる。暗礁宙域をショートカットで進むハイネの焦りを感じる。ペールギュントを落とすものかと奮戦するアーサーの頑張りを感じる。ペガサス級に取りつこうとするもその対空弾幕の前に足踏みするルクレイツァの歯がゆさを感じる。

 

「捕まえたぞ…。ブライト!」

 

 艦隊の最前線で旗艦が戦うのは相変わらずだ。アンチビーム爆雷でビームを通すのは難しい。となれば――。

 

 トリガーを引く。

 

 閃光は一直線に向かって行き。遥か彼方に小さな光を一つ生む。

 

『初弾直撃! 敵ドレイク級はエンジン直撃にて大破を確認!』

 

 とはいえそれでも遠い為か、撃沈には及ばなかったが充分だ。

 

 そのまま立て続けにユキはビームバズーカでの狙撃を敢行する。脚を止めて狙撃しているのにも関わらずにMAが襲ってこないのは、測距時には既にシホが粗方を片付けていたからだ。

 

 撃ち放ったビームはドレイク級とネルソン級のエンジン部を直撃し。これでペールギュントは後退しているし、ドロス級のミドロも居るのだ。単艦追撃を考える程ブライトもバカじゃない。

 

「読み負けの上に機体も中破。勝負に勝って試合に負けた感じだな」

 

 一発のハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーと、敵頭上からの強襲で混乱した敵連合艦隊は指揮系統が乱れ、それに着け込む形でザフトの本隊が艦隊を突破し、新星に取りつきつつある。

 

 そう遠くなく新星はザフトが制圧するだろう。ビグザムの様な大型MAが連合にあるとも思わない。

 

 勝敗は決したが。

 

「ぐっ。……っ、これは早々に治療が必要かもな」

 

 口から昇ってくる血を飲み込み、ユキはシホを伴って離脱する。ショートカットでペールギュントに向かうコース。その進路上にはあのペガサス級が居る。迂回も考えて、しかし確認することがある。

 

『ユキ!?』

 

 機体を翻し、ペガサス級に向かう。なるほど、あのジム擬きが直援に着いている。

 

 対空弾幕を形勢するMS部隊を軽く突破し、船の対空弾幕も見切ってブリッジに取りつく。

 

「私はザフト軍のユキ・アカリだ。この艦の艦長殿と話がしたい」

 

 ヒートロッドを撃ち、接触回線で呼び掛ける。この艦に居るはずだ。

 

『準アークエンジェル級一番艦、コーネリア艦長のブライト・ノアだ』

 

「やはりな。久しいな、ブライト艦長」

 

 接触回線で通信がつながり、映像回線を開けば互いに顔を確認できる。とはいえヘルメットを脱ぐまでもないだろう。

 

「まさかこちらの作戦を読まれるとはな。いや、貴方だからこそわかったのだろう?」

 

『初めは気づかなかったが。ビーム撹乱膜で察しがついたよ』

 

「なるほど。それは私の考えが足りなかったな」

 

 ビーム撹乱膜散布ミサイルは見かけは宇宙世紀のそれと同じで、見る人間が見れば察せるものだった。

 

『ソロモン戦での大敗。その原因を思えばここに何かを伏せている。君ならばそうするだろうという確信があった』

 

「互いに知り過ぎるというのも難儀なものだな」

 

『全くだ』

 

 それで会話が途切れるが、こちらはいつでも艦橋を攻撃できる。その為だろう。MS部隊も大人しいものだ。

 

「今度ゆっくり話せる機会があれば話そう。互いに積もる話もある」

 

『それは君が投降してくれれば今すぐにも出来ることだが?』

 

「フッ。私を誰だと思っている? 私は蒼き鷹だ。敵に堕ちたりはせんよ。今の私には大義がある。故に再び会うのは戦場だろう」

 

『そうか。それは残念だ』

 

 今はこれ以上は話せることもない。互いが元気ではあるという確認だけでも充分だ。

 

 ヒートロッドを回収し、艦から離れる。そのまま艦橋を盾にする様に移動し、最大戦速で離脱する。再び対空砲火が襲うが、それらをすり抜ければペガサス級――準アークエンジェル級から帰還信号が上がる。

 

 それでも追ってきそうなMSには速力だけで引き離し、こちらにやって来るシホと再度合流する・

 

『もう! あなたいったい何を考えているのよ!!』

 

「昔馴染みに挨拶しただけだ。大意は無い」

 

『昔馴染み?』

 

「艦長がな」

 

 そのままペールギュントに着艦し。機体は直すにはドロワかミドロでないと行えない為に最低限の整備を監督。そのままL1を経由して月に戻った。

 

 この日、東アジア共和国の資源衛星「新星」はザフトに制圧され、以後はL5に移動しながら軍事基地化を進め、「ボアズ」と名を変えてプラント本国を守る最前線基地として機能することになる。

 

 

 

 

to be continued…

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