※この作品はR-18です。

メアリスケルターカップリング集(R-18)   作:サイエンティスト

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 『浄化と魂血』のR-18話です。エロい方……もとい聡明な方はある程度予想していたと思いますが、全年齢の方のペロペロシーンから続きます。どこをとは言いませんが、女の子がペロペロ舐めてくれている姿って凄くエッチだと思います。



浄化と魂血(R-18)

「ちゅ……ふぁ……ん、ぅ……」

 

 まるで深い口付けの最中に似た吐息と水音を零しながら、ジャックの手の平に吸い付き舐め上げてくる親指姫。その様子は少し前、転んで手の平を怪我した時にしてくれた消毒の様子とは全く違う。

 流れ出る赤い血が尊いものであるかのように、指先から零れ落ちそうになる血までも指を咥えて余さず吸い上げていく。どこか恍惚とした面差しで、丹念かつ一心不乱に。

 ちょっと危ないヤキモチを焼いていた親指姫に対する、せめてものお詫びと妥協案。それは親指姫が望んだ時、好きなだけジャックの血をあげることだ。ジャックは親指姫のものなのだから当然その血も親指姫のもの。しかしその血の性質上、皆に自分の血を使うのを止めることはできない。だからせめて誰よりも自由にその血を得られるくらいにはしてあげなければ示しがつかない。

 だからこそジャックは今正に血を捧げている。下心など一切無い、真剣な思いから。

 

「んっ……ぁ……ちゅ……」

(どうしよう、もの凄く変な気分になってきた……)

 

 しかしそこはケダモノのジャック。夢心地の表情で手の平と指に吸い付き小さな舌で舐めてくる親指姫の姿に、現在進行形でとんでもない劣情を催していた。

 楽に血を舐められるように親指姫をベッドに座らせ、ジャックは正面に立って右手を差し出しているのだが、そうしていると親指姫の顔がジャックの下腹部くらいの高さに来る。

 その状態でたっぷりねっとり吸い付かれているため、まるで下半身に顔を埋めて吸い付かれているかのように錯覚してしまったのだ。親指姫の表情が恍惚としていて妙に悩ましく映るせいで余計に。

 

「ふあ……じゃ、ジャック……?」

「どうしたの、親指姫……あっ」

 

 不意に舐めるのを止めて顔を上げたので尋ねたのだが、理由は聞かなくともすぐに分かった。戸惑い気味の視線がジャックの顔と、抑えられない興奮を示している下腹部に交互に注がれていたから。

 

「ご、ごめん。少し変な気分になっちゃっただけだから、気にしないで続けて良いよ……」

 

 ちょっと前屈みになって何とか隠そうと試みる。今は複雑な想いを抱えさせてしまったお詫びもかねて血を捧げているのだ。それで興奮を催していては誠意も覚悟もあったものではない。

 しかしズボンの変な盛り上がりを見て興が削がれたのだろうか。親指姫はしばし眉を寄せて悩む様子を見せた後、ジャックの手の平を優しく包み込みながら傷を治してくれた。

 

「あ……もう良いの、親指姫?」

「え、ええ、私はもう十分よ……ジャック、ちょっとここ座んなさい」

「う、うん……?」

 

 何故か顔を真っ赤に染めながらの言葉を疑問に思いながらも、素直に従い隣に腰を降ろす。隣にはジャックの手から自分の手に伝わり残った血を舐め取る恋人の姿があったものの、あまり見ているとまた変な気分を催しそうだ。なのでジャックは反対側へ視線を逸らし、落ち着くために深呼吸を繰り返した。

 

「わっ……!? な、何してるの、親指姫!?」

 

 だが視線を逸らしている間に事態は予想外の方向へ進んでいた。

 腰かけたジャックの正面にいつのまにか親指姫が跪いていたのだ。両脚の間に身体を捻じ込み、ジャックの下腹部に顔を近づける形で。

 

「あ、あんたの血を好きな時に好きなだけ舐めて良いのに、私が何もしないなんて不公平でしょ。だから今度は、私の番よ……」

「えっ……で、でも、そんな不公平とか気にしなくても……」

「良いから大人しく座ってなさい! あ、あんただって、本当はして欲しいんじゃないの……?」

 

 有無を言わさぬ口調で命令したかと思えば、途端にジャックの反応を探るかのような不安げな瞳で見上げてくる。いつもは強気で小生意気な親指姫にこんな顔をされてしまえば、否定などできようはずもなかった。

 

「……そう、だね。できれば、して欲しいかな……」

 

 それにして欲しいと思ったのは間違いではない。

 ジャックだって年頃の男だし、女の子から色々エッチなことをしてもらうというのにもしっかり興味がある。ましてただの女の子からではなく、愛する少女からなのだからなおさらだ。

 

「だ、だったら、やってあげるわ。あんたの好きな時に、好きなだけやってあげる……だからあんたもさっきの約束、忘れんじゃないわよ?」

「……うん。いつでも好きな時に好きなだけ、僕の血をあげるよ」

 

 血を捧げる程度で色々エッチなことをしてもらえるのなら安いもの。故にジャックは躊躇いなく頷いた。これから親指姫に性的な奉仕をされるという事実に、どうしようもない胸の高鳴りを覚えながら。

 

「じゃ、じゃあ……始めるわよ……」

 

 しっかりと互いに危ない約束を結んだ後、親指姫はジャックのズボンに手を伸ばしてきた。

 その手が若干震えているのはやはり緊張によるものだろう。ジャックと幾度も身体を重ね合ってはいるが、自分からこんなことをするのは初めてなのだから。

 

「っ……!」

 

 そして目と鼻の先で男の下腹部を目にするのも初めて。

 故にジッパーが下ろされ下着の中から飛び出てきたものに、嫌悪感丸出しの表情をするのも仕方の無いことだ。血を味わうどこか卑猥な姿に欲情した結果だいぶグロテスクな有様になっているし女の子なら正しい反応とはいえ、いつも身体を重ねあっているのにそこまで嫌そうにされるのはちょっとショックなジャックだった。

 

「え、えっと……確か、手で握って動かせば良いのよね……?」

「う、うん……」

 

 しかし親指姫は愛するジャックのために健気に尽くそうとしてくれる。戸惑いがちに尋ねてくる翠の瞳はその想いを如実に語っていた。

 少し躊躇いを覚えつつも頷きを返すと、こちらも同様に若干の躊躇いを見せた後その手が下腹部へと伸びてくる。

 

「……っ」

 

 そうして軽い力で握りこまれ、生じる得も言われぬ快感に息を呑むジャック。

 普段なら心地良い温もりを感じるその小さな手も、今はこちらが熱を持っているために冷たく感じてしまう。とはいえその冷たさが心地良いのも確かだ。

 

「熱いわね、これ……凄く、硬いし……」

「そ、そんな風になってるのは君のせいだからね? 君がエッチな顔で僕の手を舐めたりするから……」

「……な、舐めて欲しいわけ?」

「え……そ、それは……」

 

 ジャックとしては別にそういうつもりで言ったわけではなかったのだが、親指姫は微妙に勘違いしたようだ。

 しかし興奮を催してしまった理由を考えればその発想に至るのも仕方の無いことだし、して欲しいかどうかで答えれば間違いなくして欲しい。

 

「……うん。お願い、できるかな?」

「し、仕方ないわね。特別、だからね?」

 

 なので正直に答えると仕方なさそうな顔をしながらも頷いてくれた。

 そして覚悟を決めるように一つ深呼吸してから、静かに下腹部に顔を寄せてくる。

 

「……っ、く!」

 

 小さな舌先が敏感な箇所に触れた瞬間、全身に怖気の如く快感が走る。それが二度、三度と続き、思わず変な声を出しそうになり何とかそれを噛み殺す。

 そこへ舌だけでなく手もしっかりと用いて更に攻めてくる親指姫。加減が分からないのか握りこむ強さは少し過剰なものの、緩やかに上下へと扱き刺激を加えてくる。

 

「……ど、どう、気持ち良い? それとも私、何か間違ってる?」

 

 ただ初めてのことだからか上手くできている自信が無いらしい。手を動かしながらも不安気にこちらを見上げてくる。その様子がとても愛らしく、それだけで先ほどの血を舐める光景以上に興奮を煽るとも知らずに。

 

「う、ううん、すごく気持ち良いよ。できればそのまま、続けて欲しいな」

「なら良かったわ。勉強した甲斐もちょっとはあったってことね……」

「……勉強、してたの?」

「っ……」

 

 一瞬安堵の笑みを見せたのも束の間、疑問を投げかけると小さな手の動きはぴたりと止まった。安堵の笑みも少々居心地悪そうに歪む。どうやら教えてくれたのではなく純粋に口を滑らせてしまっただけらしい。

 

「だ、だってあんたはケダモノだし、いつかこういうこと求められるって思ってたのよ! だからいつ求められたって良いように勉強しといたの! わざわざグレーテルからその手の本借りるのはとっても恥ずかしかったんだからね!」

「そうなんだ。僕のためにわざわざ勉強してくれてたんだね」

「そ、そうよ、感謝しなさい!」

 

 それだけ言うと顔を伏せて再び奉仕を再開してくれる。

 顔が真っ赤なのは今性的な行為に勤しんでいるからだけではないはずだ。ジャックを喜ばせるために性的な勉強をしていた事実が知られて恥ずかしいに違いない。

 

「……うん。ありがとう、親指姫」

 

 嬉しさと愛しさに手を伸ばし、下腹部に顔を埋める親指姫の頭を優しく撫でる。

 こうなったらジャックも覚悟を決めなければならないだろう。その手の本を借りるのが恥ずかしいからと言って躊躇っていればいつまで経っても進歩が無いし、何よりできればもっと色々な知識を身に付けて親指姫を気持ち良くさせてあげたい。大体ジャックの愛の方が親指姫の愛より大きく強いのだから、向こうがやったならこちらもやらなければ負けてしまう。

 

「ん……ちゅ……ぁ……」

「うあっ……!」

 

 頭を撫でられ機嫌を良くしたのか、舌の動きがより大胆になっていく。剥き出しの肉の部分を舌先で小突く程度の動きから、舌を這わせて舐め上げる動きへと。

 可愛らしい舌先から唾液が流れ落ち、舐められることで先走る透明な興奮と混ざり合っていく様子はとても卑猥で官能的だ。それなのに親指姫は舐める合間に愛しそうに口付けてくるのだから堪らない。

 

「他の女に……んっ……こんなこと、させたりしたら……許さないん、だから……」

「く、あぁ……!」

 

 おまけにそんな嫉妬なのか独占欲なのか分からないことを口にすると、今まで舐めていたジャックの半身を口いっぱいに咥えこんできた。生暖かい湿りに纏わりつかれる感覚は何度も経験しているが、それを親指姫の口の中で味わうのは初めてのこと。故にこの状態で吸い付かれ舐められる初めての感覚は未曾有の快感であった。

 これだけでも十分な快感だというのに、見下ろす先にあるのは愛らしい少女が自分のケダモノな部分を両手で包み咥え込んでいる姿。不安気に上目遣いに見上げてくるしおらしい様子も相まって、ジャックはすぐに堪えきれなくなった。

 

「だ、ダメだ、親指姫……僕、もうっ……!」

「っ……!」

 

 快感に身を任せた瞬間、舌先の触れる半身から血とは異なる体液が噴出す。強い脱力感を伴う快感を覚え、ジャックは恍惚の吐息を零してしまう。

 だが親指姫の方は突然の出来事に対処が間に合わなかったのか、ちょうど咥えていたジャックの半身から顔を遠ざけようとしていた所だった。そのため溢れ出した白い体液は、結果的には親指姫の顔と口の中にぶちまけられることとなってしまった。

 

「うぇっ……に、苦っ……」

「あ……ご、ごめん、親指姫! すぐに拭いてあげるから……!」

 

 全身を巡る快感の余韻から引き戻され、目にしたのは顔も口も汚され涙目で眉を顰める親指姫の姿。一瞬そんな姿に興奮を覚えてしまったジャックだが即座に煩悩を振り払い、ティッシュで拭き取ってあげようとした。

 

「ちょっ、ダメよ!」

「えっ!? ど、どうして!?」

 

 しかし当人は何故か慌てて飛び退り、明確な拒否さえ示す。

 前髪から頬から汚らしい白濁に汚されているというのに、拭き取って綺麗にしたいという意思は微塵も感じられない。ジャックの目が狂っていないのだとしたら、むしろ嬉しそうにさえ見える瞳をしていた。

 

「だ、だってこれ、いくらあんたでも他の女にかけたり舐めさせたりしたこと……ないのよね?」

「あ、当たり前じゃないか。こんなの君が初めてだよ……」

 

 赤い体液に関してはともかく、この白い体液に関しては間違いなく初めて。つまりはヤキモチ焼きの親指姫にとっては非常に嬉しい事実だと言うことだ。嬉しそうに見えるのはきっとそれが原因なのだろう。

 もしかすると先ほども対処が間に合わなかったのではなく、自ら顔にぶちまけてもらおうとしたのかもしれない。血みどろなヤキモチを焼く親指姫ならありえないことではなさそうだ。

 

「ふーん……私が初めて、ね……んっ――」

「うあっ……!」

 

 その証拠に幸せそうに頬を緩めると、再びジャックの半身へと口付けてきた。

 吹きだした精で汚れた所を小さな舌で綺麗に舐め取り、まだ中に残っている分も先端に吸い付き丁寧に掃除してくれる。自身の前髪や顔の汚れはそのままという、大変嫌らしい姿のままで。

 どうも本当にジャックに自分の体液を浴びせてもらった事実、そしてその体液は自分しか浴びせてもらっていない事実が嬉しいらしい。

 

「ふぁ……不味いけど……やっぱり、嬉しいかも……」

 

 ジャックの半身の掃除を終えたところで、やっと自身についた汚れを拭い取っていく親指姫。

 ただし使っているのはティッシュではなく自らの指先。拭った白い汚れはそのまま口元へと持って行き、小さな舌で綺麗に舐め取る。ちょうど先ほどジャックの血を舐めていた時と同じく、夢心地の淫靡な表情で。

 愛する少女がそんな堪らなく興奮を煽る表情で、自分が放った体液を愛しそうに味わっている。そんな背徳的な姿を見せつけられてはジャックもさすがに我慢できなかった。

 

「……親指姫っ!」

「ひゃっ!?」

 

 辛抱堪らず親指姫へと襲いかかる。

 本人が元々小さい上に開いた脚の間に座り込んでいたからこそ、押し倒すのはとても簡単なことだった。可愛らしい悲鳴を一つ上げさせただけで、あっという間にジャックは親指姫を床に組み敷いた状態になっていた。

 

「……ジャック、もう良いわけ? 私、あんたに血を流させたんだし……もっといっぱいして欲しいなら、特別にしてあげたって良いわよ?」

「本当はもっとして欲しい気持ちもあるんだけど、もう我慢できないんだ。今は早く、君と一つになりたくて……」

「……ほ、本当にケダモノね、あんたは! がっつきすぎよ!」

「うわっ!?」

 

 親指姫が真っ赤な顔で言い放ったと思った直後、突如身体が横に回転する。

 驚きに見開いた目にはいつのまにか天井を背にする親指姫の姿が映っていた。どうやら二人一緒に床を転がり、立場を逆転させたらしい。今は押し倒しているのが親指姫で、押し倒されているのがジャックだ。

 

「だったら、今回は最後まで私がしてあげるわ! そ、それなら、あんたも文句ないでしょ!?」

 

 そんな状態で口にしてきたのは極めて魅力的な提案。

 普段は強気な親指姫だがこういうことをする時は基本的には受身でされるがままなので、これはなかなかに珍しい展開だ。にも関わらず自らこんな提案をするとは、やはり血を舐めさせるために自傷させたこと、そしてこれからもさせるであろうことを気にしているに違いない。となるとここは従った方が親指姫のためにもなるし、ジャックも良い夢を見られそうだ。

 

「……うん。じゃあ、お願いして良いかな?」

 

 心を決めたジャックはあえて自分からは何もしないことにした。親指姫を抱いていた腕も離し、下腹部に跨るその小柄な姿をただ下から眺める。

 実際、親指姫がここからどうするのかには興味があった。そういうことをする時は大体いつもジャックが脱がせていたので、自分で脱ぐのならその様子をじっくり鑑賞させてもらえる。本当はケダモノなジャックとしては大変興味がある光景だ。

 

「わ、分かったわ……でも、これだけは覚えときなさい! 言っておくけど、こんなこと毎日なんてしてやらないんだからね! 頼まれない限りは絶対やんないわよ!」

「……つまり、頼んだら毎日でもやってくれるってこと?」

 

 思い浮かんだ疑問を口にすると、一瞬親指姫はぽかんとした顔をする。頼まれたってしてやらない、ならともかく。頼まれない限りはやらない、だ。そう解釈してしまったっておかしくないはず。

 

「……や、やってやるわよ! でもそんなに頼むなら私だって毎日あんたの血を舐めさせてもらうからね!」

(あ、本当にやってくれるんだ……)

 

 自分の言葉を取り消す気は無いらしく、決意漲る真っ赤な表情で頷く親指姫。頼めば対価として同様の頻度で血を求められることになりそうだが、それくらいで済むなら明らかに安い。

 ただジャックの血は親指姫だけのものではないので、さすがに毎日頼んで無駄に血を流すのは許されない行為だろう。そんな頻繁に頼むわけには行かないし、親指姫自身が血を求めている時に貧血で捧げられなかったら笑えない。非常に残念だがジャックは諦めることにした。

 

「冗談だよ、冗談。それよりも親指姫、そろそろ始めてくれるかな?」

「わ、分かったわ。でも……服、脱がないとダメ?」

「うん。できれば脱ぐ所も見せて欲しいな。親指姫の身体は凄く綺麗だから」

「うぅ……!」

 

 自分を見下ろす親指姫の顔が途端に真っ赤に染まり、何やら悔しげな色が見え隠れする。そんな反応をされても事実なのだから仕方ない。

 親指姫の一糸纏わぬ姿は何度見ても飽きないくらい綺麗だ。以前は見た目の幼さからか多少複雑な気持ちがあったものの、今ではすっかり気にならなくなっている。というかむしろのめり込んでいる気もする。慣れとはとても恐ろしいものだ。

 

「ぬ、脱げば良いんでしょ、脱げば……!」

 

 若干自棄気味に言い放つと、親指姫はまずネクタイを解きにかかった。こういった場面で自分から服を脱ぐのは初めてなせいか、緊張と羞恥のせいで指が震えてタイを解くのにも四苦八苦している。

 そんな生娘のような愛らしい姿を目にしてジャックは微笑ましさを抱き、同時にちょっとしたイタズラ心を抱いた。その悪い心に突き動かされるまま、両手を静かに親指姫のスカートの中へ挿し込むと――

 

「――ひあっ!?」

 

 ――薄布に包まれた柔らかな肉を軽く一撫でした。タイを解くのに夢中になって隙だらけだった親指姫は、当然のことながら不意の狼藉に飛び上がりそうになるほど驚いていた。

 

「ちょっ、い、いきなり何すんのよ!?」

「何って、親指姫が痛くないように準備させてあげてるんだよ。君が服を脱いですぐに僕と繋がれるようにね?」

 

 前戯も無く事に及べば女の子は痛い思いをしてしまう。まして親指姫はだいぶ身体が小さい女の子、準備をさせてあげるのは当然のことだ。これはジャックでも罪悪感無く行える、優しさを存分に含んだイタズラである。

 

「は、はあっ!? 全部私がしてあげるって言ったじゃない! 余計なお世話よ!」

「……それじゃあ、自分の身体の準備も自分でするってこと? 僕の、目の前で?」

「なっ……!?」

 

 その指摘に今日一番の赤面を見せる親指姫。

 今では毎晩のように身体を重ねる関係になったとはいえ、基本は恥ずかしがり屋の親指姫だ。ジャックの目の前で自身を性的に慰めるというのは絶対に刺激が強すぎる。少なくとも予め心の準備を済ませておかなければ不可能だろう。

 

「いくら僕でもそこまで求めたりはしないよ。それにさっきは君に気持ち良くしてもらったから、そのお返しをしてあげたいんだ」

「あっ……ん、ぅ……はっ……!」

 

 言って、ジャックは小さなお尻を何度か下着越しに撫でる。手が柔肉に触れるたび、親指姫は小さな喘ぎを零して微かに身を捩っていた。しかし喘ぎながらもその深緑の瞳は憎々しげにジャックを見下ろす。どうしても今回は全部自分でやりたいに違いない。

 

「……も、もう、好きにしなさいよ!」

 

 だがさすがにジャックの前で自身を慰めることは恥ずかしすぎてできないらしく、若干不服そうにしながらもお許しを出してくれた。そうして解いた赤いタイを脇に放り捨て、今度は黎明の制服の上着部分に手をかける。

 

「っ、あぁ……!」

 

 その瞬間ジャックが柔肉を軽く握りこんだため、小さく喘いだ親指姫の上着を掴もうとした手が空ぶる。

 手の動きを止めると酷く不機嫌そうな瞳が見下ろしてくるが、もちろんジャックに止める気はなかった。何故なら親指姫は怒りや恥じらいとは別の赤みで頬を染めているし、呼気も荒く甘いものへと微かに変化している。続けていけばしっかり準備が出来るだろうことが分かったからだ。それに何より、手の平に伝わってくる柔らかさが堪らない。

 

「んっ……っ、くぅ……!」

 

 不埒な行為は無視することに決めたらしく、再び上着に手をかけ袖を抜いていく親指姫。

 ジャックはその様子を下からじっくり眺めつつ、スカートの中へと忍ばせた両手で下腹部を弄っていた。下着の中に手を挿し込んで小さなお尻を直に撫で回し、揉みしだきながら。

 必死に無視を決めこもうとしているものの、ジャックが両手を蠢かす度に小柄な身体は悶え口からは甘い喘ぎが零れていく。

 

「っ、あ……! ん、うぁ……ぁ……!」

 

 上着が脱ぎ捨てられ、今度は幅広のスカートに手が伸びていく。できる限り喘ぎを抑え込む様に唇が噛み締められ、快感と羞恥を堪えるためか目蓋を固く閉ざした表情で。

 その様子はとても可愛らしく、そして興奮を煽る堪らない姿であった。ジャックも思わず息を呑み、両手の動きに明らかな邪念が混ざり柔肉を乱暴に握りこんでしまうくらいには。

 

「いっ……!」

 

 途端に閉ざしていた瞳を見開き、びくりと身体を震わせる親指姫。やはり乱暴にお尻を触られて痛かったのだろう。瞳の端にはうっすらと涙が滲んでいた。

 

「ご、ごめん、親指姫。痛かったかな……?」

「ふ、ふん! この程度痛くも痒くもないわよ! 煮るなり焼くなり好きにすれば良いじゃない!」

 

 しかしそこは強気で小生意気な親指姫。気丈に言い放つと再度スカートに手をかけ、そのまま上へ捲り豪快に脱ぎ去った。その下から表れたのは可愛いピンクのブラウスと、清潔感漂う純白のショーツ。

 そこまではジャックの予想の範囲内の光景であったが、ショーツの一部分に若干の染みができているのは予想外だった。僅かな間お尻を弄っただけでここまで濡れるとは、もしかするとジャックに奉仕している時から興奮を覚えていたのかもしれない。

 

「……そっか。じゃあ、好きにさせてもらおうかな?」

 

 許可が出たので強がる愛らしい恋人に笑いかけ、お尻を弄っていた手を別の場所へと滑らせる。右手はショーツの染みができている部分に、左手は細めの太股の内側へ。そうしてどちらも指で優しく擦り、軽く撫でて刺激を与えていく。

 

「う、あ、あぁ……! ん、くっ……!」

 

 喘ぎを抑えこもうと頑張りつつも、先ほどまでより大きく身体をくねらせる親指姫。快感を感じて悶えてしまっているのはその動きと、黒のリボンで結われたツインテールが激しく舞い踊る姿を見れば疑う余地も無い。ただ冷静に考えると感じているのは快感なので、痛くも痒くもないというのはある意味強がりではなかったわけだ。

 ゆっくり脱ごうとしていては埒があかなくなると思ったのか、親指姫はいっそ男らしさを感じるくらい潔くブラウスを脱ぎ去った。これで残りは上下の下着に加え、黒のソックスのみの姿。期待に胸を高鳴らせつつ、ジャックはショーツの中へと指先を滑り込ませ直接肌を弄っていく。

 

「あっ、やっ……! ん、あっ、あぁ……!」

 

 また一段と強くなった刺激に身体をくねらせ、喘ぎながらもブラのホックを外そうと背中に手を回していく。下から見上げる形になっているジャックには胸を突き出し強調しているように見えたため、正直かなりドキっときた。具体的には弄る手を止めてじっくり眺めたくなるくらいに。

 身体の敏感な部分を弄る動きが止まり邪魔が無くなったせいか、ホックは楽々外され細い二の腕を肩紐が擦り落ちて行く。当然ながら露となった仄かな膨らみにジャックの目は釘付けとなった。特に性的な興奮を示すようにツンと突き出た小さな桃色に。

 

「ほ、本当にあんたはロリコンね! 何でいっつもこんな小さいのをそんな凝視すんのよ、変態!」

 

 下から眺めるのは初めてなのでよほど凄い目で凝視してしまっていたのか、親指姫は裸の胸を両腕で覆って隠してしまう。しかしそんな反応もまた可愛らしい。

 

「だ、だって、親指姫の身体は綺麗だから、じっと見ちゃうのは仕方ないよ……」

「……っ!」

 

 正直に答えるジャックに対し、声にならない唸り声を返してくる。とはいえ怒っているわけではないのは真っ赤ながらも緩んだ頬を見れば一目瞭然であった。見た目幼い身体の自分でも愛してくれるというのが、どうも途轍もなく幸せなことらしい。

 そんな表情で親指姫は自身の身体、正確には下半身を見下ろす。そこにあるのは零れそうなほどに濡れそぼったショーツだ。この一枚を脱ぎ去るのが今までとは段違いに恥ずかしいのか、それとも脱ぎ去るためには胸元を曝け出さなければいけないせいか、しばし視線が胸元と下腹部を行き来する。

 

「わ、私が満足させてやらないと、こいつ絶対ラプンツェルとか襲うに決まってるわ! それにさっきまであれだけ意地の悪い真似されたんだし、仕返ししなきゃやってらんないわよ!」

 

 しかし無理やり理由を捻り出して自分を焚きつけると、覚悟を決めた表情で手を動かす。仄かな膨らみを曝け出し、ショーツの横紐を解くことでジャックに跨ったまま脱ぎ去る。下から表れたのは当然ながら濡れそぼった綺麗な恥丘であった。

 これで繋がりあうのに邪魔になる衣服はどこにもない。ソックスはまだ残っているが、何だかあった方が嫌らしい気がするのでそのままでいてもらうことにした。細めの太股に食い込み柔らかさを強調する様子は何だか無性に嫌らしい。

 

「さ、さあ、こっからは私の番よ! さっきは良くも好き勝手私の身体を弄んでくれたわね! 覚悟しなさい、ジャック!」

「あっ、は、はい……!」

 

 上から見下ろし自棄気味に言い放ってくる迫力、そして未成熟な肢体の魅力に飲まれ、思わず丁寧な返事を返してしまう。

 身体を重ねる時の親指姫は普段なら大人しいのだが、今回ばかりは妙に強気でどこか迫力を感じる。痛くないようにさせたかったとはいえ、やはり少々イタズラが過ぎたのかもしれない。

 ジャックの反応がお望みのものだったのだろう。親指姫は真っ赤な頬を満足気にニヤリと歪めると、膝立ちになるかのように腰を上げ――

 

「――っ、くぅぅ……!!」

 

 ――未だ滾ったままのジャックの下腹部へと、静かに腰を降ろした。唇を噛み締めて堪えているのは快感か、それとも苦痛か。いずれにせよジャックは半身を襲う絞り上げあるような圧迫感に快感を覚え、恍惚の吐息を零しかけてしまった。

 

「っ、あ……! ど、どう、よ……!? 気持ち、良くて……あ、あぁ……! 我慢、できないでしょ……!」

 

 そんなジャックの様子を見下ろしながら、自ら腰を上下に動かし身悶えする親指姫。強気と取れる表情はかろうじて残っているものの、半分以上はすでに至福と喜びに占められていた。

 しかしそれも当然のこと。ジャックが自分の血を他の女の子に使うのを感情では納得できず、血みどろのヤキモチを焼くほどジャックを愛していてヤキモチ焼きの親指姫だ。今自分たちが間違いなく一つになっている事実に喜びを抱かないはずがなかった。

 

「あ、あんたの、血は、ともかく……っ! こ、こっちの方は、全部……! 私の、なんだからね……!」

「うん……僕は、君としかこんなこと、しないよ……」

「あっ……!」

 

 浮気はしないと伝え、遊ばせていた両手をその胸元に伸ばす。微かな膨らみを指で撫で擦り、手の平で転がし愛情を以って愛でる度、不安に曇っていた親指姫の表情は蕩けていき快感による涙が零れていく。

 今や表情も喘ぎもぞっとするほどに艶かしく、普段ならこのまま押し倒してしまいそうなほどだ。しかし今は親指姫が自らジャックの上で腰をくねらせ、快感を与えようと頑張ってくれている。その邪魔をする気は起きなかったし、今は押し倒すよりもこのまま楽しみたい気持ちの方が強かった。

 

「じゃ、ジャック……っ、あぁぁ! あ、や、うあぁぁ……!」

 

 声音に確かな喜びを滲ませた所で、固さを帯びた二つの桃色を指で摘んでくりくりと解す。頭を振り乱し悶える動きにつられ、赤いツインテールも宙を舞う。眺めていると思わずその尻尾を捕まえたくなる動きであったが、さすがにそんな乱暴なことはできない。

 それに何より、いつの間にかジャックの両手は自由が利かなくなっていた。親指姫が正面から手の平同士を重ね、指を絡めてきたから。

 

「じゃ、ジャック……! わ、私っ……わた、し……!」

 

 呂律の回らない甘ったるい声でジャックの名が呼ばれる。

 その口から零れる瑞々しい喘ぎと幾度も震える身体の様子から、限界が近いのは容易に察することができた。何故ならジャック自身も限界が近いから。

 

「ぼ、僕も、だよ……親指姫っ……!」

 

 故にジャックは手を固く握り返し、その気持ちを伝える。もっとも言葉が無くともその行動だけで伝わったかもしれない。

 同様に固く手を握り返してきた親指姫は一段と腰の動きを激しく変化させた。深い口付けや血を舐め取る時に生じるものよりも、繋がりあう箇所から淫らな水音を響かせるほどに。

 

「っ、く……親指姫っ!」

「じゃ、ジャックっ! あ、愛して、るっ――あああぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ついに限界を迎え、堪えていた突き抜けるような快感が全身に広がっていく。同時に溢れ出る熱いものを身体の中に注がれ同じく限界を迎えたのか、親指姫は身体を痙攣させつつ甘い嬌声を上げた。

 愛する人と共に迎えた快感の絶頂。最高の快感と幸せを同時に味わい身体に力が入らなくなったらしく、ジャックに跨っていた小柄な身体が前のめりに倒れてきた。

 

「はぁっ……はぁっ……! じゃ、ジャックぅ……!」

「僕も愛してるよ、親指姫……」

 

 ジャックはそれを優しく抱き止め、耳元で愛の言葉を返す。ジャックの方が愛は大きいのだから言われたら言い返すのは当然のことだ。ただしそれだけでは何だか負けた気になったので軽くキスもしておいた。

 

「……ど、どうよ? こんなことしてもらえるなら、血を舐めさせるのに十分釣り合う対価でしょ?」

 

 乱れた呼吸が落ち着いたところで、親指姫が口にしたのはそんなこと。傷はちゃんと治すにしても、自分で傷を付けさせ血を舐めさせてもらうことにはやはり罪悪感があるらしい。もうそんなことは気にしなくても良いくらい、過剰なまでの対価を払ってくれたというのに。

 

「うん、十分すぎるくらいだよ。だからここからは……対価とか関係なく、続きをしても良いかな……?」

 

 しかしジャック自身の欲望はまだ満たされていない。だからこそそんな恥知らずなお願いを口にした。

 とはいえ親指姫はジャック自身がどれだけケダモノなのか身を以って理解している少女だ。そして理解しながらも受け入れ、愛してくれている少女。

 

「本当にケダモノね、あんたは……ちゃんと優しく、しなさいよ?」

「……うん」

 

 故に特に驚いた様子は見せず、僅かに呆れただけで許しを出してくれる。

 そんな愛しく優しい少女にお礼の口付けをすると、ジャックはその身体を抱え上げながら身体を起し、ベッドへと移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……冷静に考えるとアレよね。あんたは私としかこういうことしないんだし、血がどうこうとかするまでも無く私が特別なのは分かりきってることじゃない?」

「それは一時的に冷静になってるだけだと思うよ。だって親指姫、最初からそれが分かってるのにヤキモチ焼いてたよね?」

 

 熱く愛し合って心が穏やかになり過ぎたせいか、隣に横たわる親指姫がかなり的外れなことを口にする。たぶん今は幸福感に満たされているせいで感情の問題だということを完全に忘れているらしい。

 ちなみにそれが分かるのはジャック自身、今は欲望が満たされて大変清々しい気持ちになっているからだ。今ならシーツの隙間から見えそうな親指姫の胸の膨らみにも目を引かれない。ただし、あくまでも普段よりはという意味でなのだが。

 

「そ、そういえばそうだったわ……んー、分かってても何かムカつくのよね。で、分かってるのにムカつく自分にまたムカつくってわけで」

「うん。凄く面倒くさい子だね、親指姫」

 

 難しい顔をしてどうしようもないことを言う親指姫に、はっきりとその事実を突きつけた。

 とはいえジャックはそんな面倒な子を愛しているし、親指姫だってそのことを知っている。そして愛し合った後の親指姫は妙に上機嫌だし、やたらにくっつきたがる。

 

「何よ、でもあんたはこの面倒な私を愛してるんでしょ? ほら、いつもみたいに言ってみなさいよ。もちろん愛してるって、いつもみたいに笑顔でよ? ほらほら!」

 

 そのため、ニヤニヤ意地の悪い笑みを浮かべながら擦り寄ってくる。笑顔で答える様を間近で見たいのか、お互いの吐息がかかりそうなほど近くまで。

 ただこれに関してはずっと前から好意を伝えまくっていたジャック自身にも問題がありそうだ。

 

「何かそんな風に催促されるとちょっと恥ずかしいなぁ……もちろん愛してるよ、親指姫」

「うん、やっぱその笑顔ね! 私も愛してるわよ、ジャック!」

 

 お望みどおりの答えを返すと、満足気に笑いつつ抱きついてくる。

 裸で抱き合うのはお互いの温もりが直に感じられ、とても心地良い気分になれるので大好きだ。それに最近は恋人の様子のおかしさから純粋に幸せに浸ることができなかったため、久しぶりに心から楽しむことができる温もりだった。

 

「ふふっ! あんたはずっと私のもんよ!」

 

 そしてそれは血みどろなヤキモチを焼いていた親指姫も同じらしい。

 いつになくご機嫌な様子で胸に縋りつき、頬擦りしてくる姿は悩みなど微塵も無い最高に幸せそうな表情だった。

 

「うん。やっといつも通りの親指姫に戻ってくれたね。やっぱりもう前ほどはヤキモチを焼かなくて済むから?」

「んー……それもあるだろうけど、一番はたぶんあんたの血を舐めたからだと思うわ。あれのおかげで憑き物落ちたようにすっきりしたしね」

「そうなんだ。もしかしてヤキモチがストレスになって穢れが溜まってたのかな?」

 

 その答えに良く思い返してみると、確かにここ最近の探索では親指姫を浄化した回数が多かったような気がした。前衛で戦う赤ずきんやアリスなら誤差の範囲かもしれないが、後衛で戦う親指姫の場合はまた違うはずだ。

 愛されているのは非常に嬉しいものの、穢れにまで影響してしまうほど依存されているとさすがにちょっと複雑だった。

 

「たぶんね。あー、本当にすっきりしたわ。このまま朝までぐっすり眠れたら最高なんだけど……」

「……そもそも真夜中でもないし、もうすぐ夕食の時間だしね。皆の前に出られるようにちゃんとシャワーを浴びないとダメだよ?」

 

 今回のエッチは親指姫がやたらにキスをねだってきて堪えきれずに行ってしまった時と同じく、時刻的には比較的まだ早い内のものだ。仮にこのまま二人でぐっすり眠っていたら、夕食時には絶対に誰かが様子を確かめにくるだろう。

 一応そっとしておいてくれそうな人もいそうだが、興味を持って覗きに来そうな人もいるのであまり賢い選択とは言えない。

 

「分かってるわよ。だったらあんたこそ一緒にシャワー浴びてる時に襲ってきたりすんじゃないわよ?」

「別々にシャワーを浴びるっていう発想は無いんだね。まあ良いけどさ」

 

 上目遣いに念を押してくる可愛らしい姿に拒否は出来ず、結局頷いてしまうジャック。まあ一緒にシャワーを浴びる時間も不埒なことを考えなければ楽しいので、特に問題は無かった。我慢できなくなったらその時はその時だ。

 洗面所へと向かうため、お互いに身体を起して軽い身支度をする。身支度とは言っても何か軽く羽織ったりする程度だ。尤もベッドのシーツはやたら無防備な親指姫の身体にかけてあげたため、ジャックはやむなく脱ぎ散らかしていた下着を拾って穿く事にした。

 

「……そういえばあんたの腕の傷って、捕まってた時アリスに血をあげるためにつけた痕なのよね」

「うん、そうだよ。前にも言わなかったっけ?」

 

 下着を穿いている最中、その様子を隣でじっと眺めていた親指姫が不意にそんなことを口にする。

 メルヒェンに捕まっていた頃はアリスの謎の発作――その時は知らなかったが、実際にはブラッドスケルター化――を防ぐため、ジャックは自身の腕に傷を付けて血を舐めさせるという行為を度々行っていた。当然メアリガンなどという便利なものは無かったので、今ジャックの腕には無数の傷跡が残っているのだ。

 

(……うん、確か言った筈だよね。それもだいぶ前に。それを今また聞くっていうのは……)

 

 何だか嫌な予感がして、シーツを後ろから羽織っただけで正面はがら空きな無防備極まる恋人の姿に視線を注ぐ。

 だが親指姫は視線など気にした様子も無く、真剣な表情で近寄って来るとジャックの腕の傷を治そうと試みていた。腕が治癒の光に包まれるものの、残念ながら傷は消えない。すでに塞がった傷を治せないのは、以前にも親指姫が治そうとしてくれたので分かっていることだ。

 にも関わらず、親指姫は何度も何度も治癒を試みる。その様子は真剣というよりも、意地になっているという表現が相応しい。ここまでの話やヤキモチに関してのことを考えれば、意地になる理由は容易に想像がついた。

 

「……念のために聞くけどこれよりもいっぱい、親指姫のために消えない傷をつけろ――なんて言わないよね? さすがの僕でもそれはちょっと躊躇いがあるよ?」

「い、言うわけないじゃない!? 私だってそこまでの危ない女じゃないわよ!?」

「本当に? 正直に言ってくれたら一つ二つくらいなら考えなくも無いよ?」

 

 顔を真っ赤にして頑なに否定する親指姫に対し、ジャックは優しく微笑みかけてそう伝えた。すると怒りにも似た表情がぴたりと凍りつき、徐々に激しさが消えてしおらしくなっていく。

 

「……す、少しは、考えたわ」

「親指姫……」

 

 そして呟くように紡がれた言葉は、血みどろなヤキモチと同じかそれ以上に危ない言葉。これにはさすがのジャックもちょっと身を引いてしまった。

 

「し、仕方ないじゃない! だって私の男の身体に他の女のためにつけた傷が残ってんのよ!? 嫉妬深い私が笑顔で流せるわけないに決まってんでしょ! だからそんな可哀想な奴見る目でドン引きすんじゃないわよ!」

 

 すると逃がさないとでも言うように素早く抱きつきしがみついてくる。

 正直なところ、かなり必死な表情で縋り付いて来るその姿はとても新鮮で味わいがあった。シーツは完全に置き捨てられ、一糸纏わぬ姿で縋り付いて来るので余計に。できればこのままもうちょっと楽しんでいたいくらいだ。

 

「あははっ。冗談だよ、冗談。この程度で引いたりはしないから心配しないで、親指姫?」

 

 しかし親指姫に苦しい思いをさせたままなど以ての外だし、やはりその気持ちも分かる。

 だからこそジャックは優しくその身体を抱き返し、軽く頭を撫でてあげた。やがて固く背中に回されていた腕から安堵を覚えたように力が抜けていく。

 ただし、鼻先が触れ合うほど近くにあるその顔は酷く不満げであった。

 

「全く……あんたやっぱり顔に似合わずSね。私の好きになったジャックはこんな奴じゃなかったはずなんだけど……」

「ごめんね。でも今は何だか君に似てきてるんだし、そんな風になったって仕方ないよ」

 

 ジャックが変わったのだとすれば、それは恋人の影響を受けてきているから。

 許しを請いつつ親指姫は意地悪だったと遠回しに言葉を返したのだが、どうも本人は気が付かなかったらしい。むしろ心底嬉しそうな微笑みさえ返してくれた。

 

「そ、それなら仕方ないわね。特別に許してあげるわ」

「うん、ありがとう。じゃあそろそろシャワー浴びに行こうか?」

「そうね。ジャック、私のこと運んでいきなさい! もちろんお姫様抱っこで丁寧によ!」

 

 そう言って首に手を回し、しっかりしがみついてくる。

その表情はいつも通りのご機嫌な笑みで、最高に幸せそうに輝いている。やはりジャックが血を捧げたことでヤキモチには折り合いが付けられるようになったのだろう。やり場の無い気持ちに苦悩する様子など最早欠片も見当たらなかった。やはり親指姫にはこんな風に感情を素直に表わした表情がぴったりだ。

 

「もうっ、親指姫はわがままだなぁ……」

 

 色々と面倒なところはあるが、そんなところもまた可愛らしい。それはもちろん、血生臭いほどのヤキモチ焼きなところも含めてだ。

 なのでジャックは幸せに緩む頬を隠しはせず、命じられるまま小柄な身体を抱き上げて洗面所へと向かった。二人でイチャイチャしながらシャワーを浴びて、汗や血やその他の体液を洗い流すために。

 

 

 

 





 前二つのエロ話とは違い、親指姫の方が攻めのエッチ話でした。微妙に攻めきれていませんでしたがそこはご容赦ください。
 しかし何故か赤髪ツンデレツインテールばっかりエロ話が捗る不思議。デアラの方で書いてる琴里のエロ話の方もそうだし、親指姫もそうだし……もしかして赤髪ツンデレツインテールはかなり私好みの属性なのだろうか……。
 次に投稿するのは全年齢の方の親指姫のお話か、赤ずきんのお話です。やっぱりイチャラブものを書いていると癒されるなぁ……。



 それから最近ツイッターを始めました。ここで語ることでは無いと思うので、興味がある方はプロフィールに書いてありますのでそちらを覗いてみてください。


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