メアリスケルターカップリング集(R-18) 作:サイエンティスト
ジャックと赤姉の初夜のお話。未だかつて無いくらいにジャックが童貞臭く仕上がりましたが、まああんなエッチな身体をした赤姉様がお相手じゃ仕方ないですね。えっ、親指姉様の時? いやだって、親指姉様は……ねぇ?
いただきます(R-18)
「んっ……っ……っあ……」
瑞々しい唇に優しく齧り付くたび、その隙間から悩ましい吐息を零す赤ずきん。これまで幾度も唇を重ねてきたジャックだが、ここまで劣情を煽る反応をされたことなど一度も無かった。
そのせいで否が応にも赤ずきんが女の子であると、そしてこんな声を上げさせているのが自分であると理解してしまい、征服感にも似た感情と共に興奮が更に加速して行く。
「っ、ちゅ……ぁ……っ、ん……!」
激しい興奮に突き動かされるまま、ジャックは重ねあった唇の隙間から舌先を滑り込ませる。
一瞬身体を震わせるも、自らの咥内へと侵入してきた異物を赤ずきんは受け入れてくれた。興奮に震えて落ち着かないジャックの舌に優しく自らの舌を這わせ、手を握り合うかのように絡めてくれる。ピリピリと伝わってくる赤ずきんの味わいに、最早ジャックは頭の中が真っ白になりそうだった。
「はぁ……はぁ……あ、赤ずきん、さん……」
しばしの間、熱に浮かされたかのようにただひたすら唇と舌を貪り、不意にジャックは顔を上げる。優しくない口付けをあまりにも好き放題してしまったため、唐突に不安を覚えてしまったのだ。
赤ずきんだって女の子。もしかしたら必死に怖いのを我慢してジャックのために応えてくれているのかもしれない。
だからその確認のために顔を上げ、赤ずきんの面差しを正面から覗き込んでみたのだが――
「ジャック……赤ずきんって、呼んで欲しいな……?」
そこに広がっていたのは、微かな羞恥に彩られた幸福に溢れる微笑みであった。先ほどの乱暴とも取れる口付けに対して何ら怯えなど抱いておらず、ただただジャックがそこまで自分を求めてくれるのが嬉しいという感情だけがそこにあった。
「うん。分かったよ、赤ずきん……」
だからジャックはもう遠慮はしないことに決めた。欲望と本能の赴くままに行動することで最も赤ずきんを喜ばせてあげられるのなら、理性を手放すことなど惜しくはない。どうせ手放す前から焼き切れそうなものなのだから。
「……それじゃあ、脱がすね?」
「う、うん……」
こくりと頷いた赤ずきんの身体に手を伸ばし、ジャックは黎明の制服を脱がしにかかる。真っ赤なタイを手早く抜き取り、制服の裾をゆっくり捲り上げていく。
その際に魅惑的なくびれを持つ腰元に大いに目を奪われるも、胸元まで行けば視線は自然とそちらへ釘付けになってしまった。何せとても女性らしさを感じさせる部位が、下着に包まれていながらも弾力を感じさせる動きを伴い制服の下から現れたのだから。
「っ……」
思わずじっくりと眺めながらごくりと唾を飲んでしまうジャック。きっと赤ずきんはそんなジャックの反応を間違いなく見ていることだろう。
しかし何も言わず、ただ赤い顔をして恥ずかしそうにしているだけ。身を捩って視線から逃れたり、腕を寄せて胸元を隠しもしない。むしろジャックが更に服を捲り上げていくと、自ら腕を上げて脱ぐのを手伝ってくれる。それはきっと、総てを曝け出すことでジャックが喜んでくれると分かっているからだろう。
そんな健気な反応にジャックは胸が熱くなるほどの幸福感を覚えながら、今度はハーフパンツをずり降ろしていく。
「あっ……!」
その最中に肉付きの良い太股に指が触れ、赤ずきんがぞくりとするほど艶っぽい声を上げる。驚いたのか、それとも感じてしまったのか。いずれにせよ今のジャックにはその理由を考えることより、赤ずきんを裸にすることが最優先であった。というしかそれしか頭に無かった。
逸る気持ちを抑えながらハーフパンツを脱がせてしまえば、大人の女性を思わせるウエストラインがはっきりと見て取れる。特に赤ずきんは鍛えているせいか腰元からお尻にかけての曲線は芸術的であり、ジャックは一瞬眩暈を起こしそうになったほどだ。
「じゃ、じゃあ……これも、脱がすよ……」
しかしここで我を忘れてはあまりにも勿体無いため、何とか強く意識を保つ。あと二枚脱がせてしまえば、赤ずきんの信頼に応えるために決して見ようとしなかった素晴らしいものが見られるのだから。
その素晴らしいものを拝むために、ジャックは再び手を伸ばす。下着のホックを外すため、仰向けの赤ずきんの背中側へと。
これを外してしまえば、後はもう捲り上げるだけ。ジャックはそう息巻いていたのだが――
「う……くっ……!」
――なかなかホックを外すことが出来なかった。
冷静に考えてみればジャックはブラジャーの構造をつぶさに観察したことなど無いので、ホックの構造も外し方も知らない。にも関わらず興奮と緊張に震えた手で、しかも見えない場所にあるホックを外すなど、今のところはまだ女性を知らないジャックにとっては明らかに荷が重かった。
「じゃ、ジャック……凄い、鼻息荒いよ……?」
「あ……ご、ごめん。その……気持ち、悪かったかな?」
ブラのホックに悪戦苦闘する情けない様子に加え、興奮に息を荒げた姿まで間近で見せてしまったことに気がつき、若干の冷静さを取り戻す。これでは良くて幻滅、悪くて軽蔑だろう。ジャックは不意にそんな恐れを抱いてしまったが――
「そんなことないよ。むしろ、安心したかな? てっきりジャックはあたしの裸なんてあんまり興味ないのかも、って思ってたからさ……」
――赤ずきんはただひたすらに優しく、愛に溢れた微笑みを浮かべていた。
そして自ら背中に手を回し、ジャックが苦戦していたブラのホックを自分で外す。更に片手でカップの部分を押さえながら肩紐から腕を抜き、後はブラをどけるだけでその下の膨らみが拝める状態にお膳立てしてくれた。
「だから……ジャックがあたしの裸を見たくてそんなに興奮してるなら……あたしは、凄く嬉しいよ……」
本当に嬉しそうに、にっこりと微笑む赤ずきん。ショーツの方にも手を伸ばしかけていたものの、こちらは普通に脱がせられると気が付いたのかすぐに両手を鎖骨の辺りに置いた。恐らくはジャックの視線を遮らないために胸の上の辺りなのだろう。
ここまでされて先に行かないのなら男が廃るし、何よりジャック自身はもう後戻りできない所まで来てしまっている。だからこそ迷いなど無く、ジャックは両手を赤ずきんの脱げかけのブラへと伸ばし――それを取り去った。
「う、わぁ……」
そして現れたのは、正に男の憧れであった。完全には手で包み込めそうにないほどの大きさを持ちながらも、自重に負けずに綺麗なお椀形を保っている白い膨らみ。更にはその頂上で桜色を主張している小さな突起。
思わずむしゃぶりつきたくなるジャックだったが、その美しさに当てられて欲望のままに噛み付くことはなかった。それに赤ずきんはまだ完全には裸ではない。まだもう一枚残っている。故にジャックは手を伸ばし、ショーツもまた脱がしてしまう。
その下の光景には上半身ほどの衝撃はなかったものの、美しい白い肌に存在する一筋の切れ目は無性にジャックの本能を揺さぶり、ズボンの中で痛いほどに興奮として現れていた。
「どう、かな……? あたしの裸……見れて、嬉しい……?」
完全に衣服が無くなったことで僅かな安堵を見せるも、今度は恥じらいと微かな不安を見せる赤ずきん。若干女の子としての自己評価が低い赤ずきんだからこそ、恋人の反応を不安に思っているのだろう。
「だ、ダメだ……もう、我慢できないよ、赤ずきん……」
しかしジャックには一体何を不安に思うことがあるのか分からなかった。こんなに素晴らしく魅力的な身体をしているのに、どうしてこれを見たジャックが嬉しくないと思うのか分からなかった。
「あははっ。ジャック、本当に凄く興奮してるね……いいんだよ。何も我慢しないで、あんたの好きなようにしていいよ……」
望んだ言葉ではなかったのかもしれないが、それで十分だったらしい。赤ずきんは慈母の如き微笑みを浮かべると、迎え入れるように両手を広げた。そしてジャックが自分を抑えられたのは、そこまでだった。
「あっ……!」
一瞬で理性が蒸発したジャックは、その両腕の中に飛び込む形で赤ずきんの胸に顔を埋めた。そして目の前の豊かな膨らみを両手で弄りながら、一心不乱にむしゃぶりついていく。今まで耐えてきた鬱憤と欲望をこの場で総て晴らすように。
「ひゃっ! あっ、や……じゃ、ジャックぅ……!」
そんな乱暴で一方的な愛で方にも関わらず、赤ずきんの口から聞こえてくるのは幸福と喜びに彩られた喘ぎ。適度な弾力のある柔らかな膨らみを鷲掴みにして揉み回しても、膨らみに齧り付いて桜色の突起を舌先で舐め尽くしながら吸い上げても、決して赤ずきんは苦痛の声は上げなかった。
ジャックのために我慢しているのか、それとも本当に感じているのか。いずれにせよ理性が焼ききれたジャックには自分の行動を止める術は無く、ただひたすらに赤ずきんの膨らみを堪能していく。
「っ、はあっ……赤ずきん……赤ずきん……!」
「うあっ、あぁ! ジャックぅ……!」
膨らみを味わう合間に愛しい赤ずきんの名を呼ぶジャック。その度に舌先に触れる桜色の突起が僅かに硬味を帯びていき、耳に届く喘ぎにも艶が増して行く。
きっとジャックに名を呼ばれることで赤ずきん自身も興奮を催しているのだろう。できればもっと名前を呼んであげたいと考えているものの、大部分が欲望に支配されている今のジャックには難しい相談であった。今は夢にまで見た赤ずきんの膨らみを味わうのに忙しく、他のことを考える余裕などなかった
「あっ……や……ふぁ、ぁ……!」
故に、欲望の赴くままにひたすら赤ずきんの胸元を蹂躙していく。
これではダメだという考えが頭の片隅に微かにあったものの、抑圧から解き放たれた欲望には逆らえない。ジャックは無我夢中で、それこそ得物を貪るオオカミの如く、欲求が満たされるまで赤ずきんの膨らみを味わっていった。
「――っ、はぁっ……はあっ……!」
それからどれほどの時間が経っただろうか。欲望の赴くままに齧り付き、舌を這わせてしゃぶりついた末、ようやく食欲を満たされたジャックは徐に顔を上げる。
「じゃ……ジャック……もう、いいの……?」
そうして瞳に映ったのは、真っ赤な顔でジャックの様子を窺ってくる赤ずきんの淫靡な表情。瞳の端にはうっすらと涙が浮かび、汗ばんだ肌が煌いて見える。
しかしその胸元はジャックの唾液でベトベトに汚れていて、自分が赤ずきんを穢したのだという事実を改めて認識させられた。それと同時に、優越感にも似た多大なる興奮も。
「うん……次はもう、君と繋がりたくて堪らないんだ……」
すでにジャックのケダモノな部分は、痛いほどに脈打って赤ずきんを求めていた。本当の意味で赤ずきんを襲い、喰らい、自分のものにするために。
「いいよ……あたしは、ジャックのものだから……」
その言葉に押され、ジャックは自らも衣服を脱ぎ去っていく。上も下も、余す所無く全てだ。
全て脱いでしまえば、当然ジャックの興奮に滾っている身体の一部が明らかになる。女の子に裸を見られる羞恥が無いわけではないものの、今のジャックは感じている興奮や赤ずきんを食べてしまえる喜びが強すぎてその感情はやや薄かった。
「でも、代わりにジャックもあたしのものだからね? あたしのこと、捨てたりしちゃ嫌だよ……?」
そして赤ずきん自身、羞恥よりも別の感情を強く感じているらしい。喜びが強過ぎて逆に不安を感じているのか、あるいはいつも感じていたものなのか。酷く不安気な顔で、ジャックの顔をじっと見つめてきた。
「……大丈夫。絶対にそんなことしないよ、赤ずきん」
しかしそんな不安は見当違いだ。こんなに可愛らしい生き物を一体どうやったら捨てられるというのか。今正に赤ずきんの魅力に呑まれているジャックには、むしろ捨てるどころか一生自分だけのものにしたいくらいであった。赤ずきんは自分のものだという証を、その身に深く刻むことで。
「ジャック……」
瞳を真っ直ぐ見つめて答えたおかげか、安堵の笑みを浮かべる赤ずきん。強くて頼りになる皆のお姉さんも、本当は甘えん坊で寂しがり屋な女の子。その上女の子としての自己評価が妙に低いため、きっとずっと不安だったのだろう。
しかしもうそんな不安は抱かせない。これから赤ずきんは一生ジャックのものだという証を、身体に刻み付けるのだから。
そのためにジャックは赤ずきんの両脚に優しく手を添えると、そのままゆっくりと左右に開いた。一瞬微かな抵抗を感じたものの、それは反射に近いものだったらしい。すぐに抵抗は無くなり、隠されていた滑らかな肌が明らかになった。
「……いくよ?」
本能的な興奮を覚える一筋の裂け目に息を呑み、ジャックは自らの下半身を近づけながら尋ねる。今更嫌だと言われても最早止まれないが、幸い赤ずきんは微かな怯えを見せながらもこくりと頷いてくれた。
ならばもう躊躇う必要は無い。ジャックは赤ずきんの下腹部に自らの下腹をあてがい、そのまま無理やり捻じ込むように先端を突き入れた。
「――っ、う……!」
さすがに相当な痛みを感じているのか、赤ずきんはぎゅっと目蓋を閉じて小さな呻きを零していた。
しかしそれも当然のこと。ジャック自身、半身が挟み潰されそうなくらいの圧迫感を感じているのだ。その上で赤ずきんの体内を押し広げるように、無理やり奥へ奥へと捻じ込んでいる。圧迫感に得も言われぬ快感を催してしまっているジャックはともかくとして、赤ずきんの苦痛は推して知るべしだ。むしろ微かに呻いただけで一切悲鳴を零さないあたり、本当に強い女の子である。
「っ、はぁ……赤ずきん……」
「あ、はは……あたし、これでジャックに傷物にされちゃった……」
根元まで無理やり捻じ込み、ついに赤ずきんを自分のものにした感動に打ち震えるジャック。
しかしそれは赤ずきんの方も同じらしい。涙すら零すほどの苦痛に見舞われていたはずだというのに、今や恍惚とした微笑みさえ浮かべていた。傷物と口にする割には欠片も悲しみを見せず、ただただ至福に満ちた微笑みを。
「ジャック……もっとあんたを、あたしの身体に刻み付けて欲しいな……?」
そんな表情を浮かべたまま、ある種猟奇的なお願いを口にしてくる赤ずきん。
幾ら強くて身体が丈夫でも、赤ずきんも経験の無い女の子。それは繋がりあった箇所から僅かに零れる破瓜の証を見れば、その手の経験や知識が皆無なジャックにも理解できる。
だが理解はしていても、先の表情と言葉はジャックの理性を再び焼き切るには十分過ぎた。
「――あっ! う、あぁぁ! ああぁぁぁっ!」
もう何も考えられず、ジャックは本能のままにひたすら腰を振った。優しくすることなど最早頭には無く、あるのはただ赤ずきんを犯すという暗い欲望のみ。その欲望に突き動かされるまま、激しく腰を打ち付けて行く。今やジャックの耳には赤ずきんが上げる悲鳴染みた喘ぎすら、興奮を煽る嬌声にしか聞こえない。
これでは幻滅され、嫌われたとしても文句は言えない。心の片隅にそんな思いが掠めたものの、今のジャックは自分を止められなかった。
「は、あぁぁっ! じゃ、ジャックうぅぅぅ!」
そして、止める必要も無かった。初めてだというのにこれだけ激しく攻め立てられながらも、赤ずきんは欠片も抵抗の意思を見せなかった。むしろ獣欲に支配されたジャックを受け入れ包み込むように、その両腕で抱きしめてくれた。豊かな胸の膨らみに、顔を埋めさせる形で。
しかし今のジャックは正しくオオカミ。突然目の前に現れた、とてもおいしそうな膨らみを前にして何の行動も起こさないわけがない。
「やっ、あ! うあぁぁぁぁぁ!」
激しく腰を打ちつけながら、容赦なく膨らみに齧り付く。柔らかな胸肉は歯ごたえもばっちりで、夢中で喰らい味わってしまうほどであった。それはもう、本当に噛み千切らんばかりに歯を立ててしまうくらいに。
「ん、く、うぅぅ……ジャックぅ……!」
だがそれでも、赤ずきんは抵抗の意思を見せなかった。まるで全て受け入れるとい言わんばかりに、ジャックの頭をかき抱きされるがままであった。
それは今まで我慢をさせてしまった償いなのか、それともジャックへの愛情がそうさせるのか。いずれにせよ理性の焼き切れた頭ではまともな推測などできるはずも無かった。
「う、あっ……! あ、赤ずきん……さん……!」
まして、今にも達しそうな頭では。
赤ずきんが初めてなせいか半身を襲う圧迫感は尋常ではなく、激しく動いているのも相まって余計に快感は凄まじいものと化していた。下腹部に生じた熱さは、気を抜けば今にも迸りそうなほどだ。
「じゃ、ジャック……ジャックぅ……!」
それを身を以って察したのか、赤ずきんは微かに怯えたような声を上げてジャックの背中に両腕を回してくる。未知の感覚に身体を内側から襲われているせいで力の加減が上手く出来ないのか、締め上げるかの如き強さで。
ただしそれほどの強さで締め上げられれば、当然ジャックと赤ずきんの身体は更に密着する。ましてや今のジャックは赤ずきんの裸の胸に顔を埋めている状態。そんな状態で更に強く密着すれば、最早暴発するのも仕方が無かった。
「――うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
堪えきれず下腹部から迸った熱さを注がれ、赤ずきんは悲鳴にも似た喘ぎを上げて仰け反る。それと同時にジャックの身体を締め上げる両腕が更に力を増すも、一番の快感を迎えたジャックには些細な問題であった。
むしろその痛みは快感による放心状態からジャックを現実に引き戻し、冷静な思考を与えてくれたのだから。自分がどれだけ赤ずきんに酷いことをしたのか、理解できる程度には。
「あ……あ、赤ずきん、さん……ぼ、僕は……」
身体を締め上げていた両腕が力を失ったように離れたことで、ジャック自身も赤ずきんの身体を離して距離を取る。抜くのにも苦心したお互いの接合部からは、痛々しい赤色の液体が粘性のある白い液体に混ざって流れ出てきていた。どうみてもこれは初めての証だ。
そんな初めての赤ずきんに対して、ジャックは全く優しさなど考えず欲望のまま乱暴に犯してしまった。快感が過ぎ去った胸の中は今や罪悪感でいっぱいであった。これでは赤ずきんに嫌われてしまっても仕方ない。そう思ってしまうくらいには。
「大丈夫だよ、ジャック……あたしは丈夫だから、これくらいじゃ壊れたりしないよ」
しかし赤ずきんはうっすらと涙を浮かべながらも、ジャックを安心させるようににっこりと笑いかけてくれた。きっとジャックの比ではないくらいに痛くて苦しかったはずだというのに。
「いいんだよ、もっとやっても……あたしのせいで色々我慢させてたんだから、とことんその責任を取ってあげるよ」
更には身体を起こすと、優しくジャックを抱きしめてくれる。そのふくよかな胸に顔を埋めさせるようにして。
罪悪感を覚えていようと、今までずっと我慢していた身体はその柔らかさにしっかりと反応を示してしまうのだった。
「だけど……あたし以外の子に、こんなことしちゃ絶対駄目だからね?」
優しくジャックを包みながらも、どこかヤキモチ染みた感情を見せる赤ずきん。お姉さんとしての溢れんばかりの優しさが、女の子としての可愛らしさが、ジャックにはもう愛しくてたまらなかった。
「……うん。分かってるよ、赤ずきんさん。僕が好きなのは――愛しているのは、赤ずきんさんだけだから……」
自然と口をついて出たその言葉に、赤ずきんの顔は文字通り赤く染まっていた。しかし徐々にその色は幸福に彩られていき、やがて至福に満ちた表情となっていた。これならもう一度、はっきり言ってあげるべきだろう。
「愛してるよ、赤ずきんさん……」
「……うん。あたしも愛してるよ、ジャック……さ、満足するまで、好きなだけあたしを食べなよ……」
そう言って、赤ずきんはジャックを抱きしめたまま再びベッドに身体を投げ出す。そして幸福に蕩けたような微笑みで以って、ジャックの全てを受け入れると語っていた。
ここまでされてはむしろ我慢するのは失礼と言うものだろう。都合よく解釈しただけかもしれないが、そう考えたジャックはもう一度赤ずきんの肉体に溺れていくのであった。肉を貪るオオカミのように遠慮も容赦も無く、ただひたすらに。
「……ジャックって本当は羊の皮を被ったオオカミだったんだね。あたし、ちょっとびっくりだよ」
激しい一時を過ごし、やっと落ち着きを取り戻して心穏やかに休む時間。
お互いに念願であった正面から互いに抱きあうという幸せな状態でいると、不意に赤ずきんがジャックの腕の中で意外そうな声を上げた。
「え? な、何の話?」
「何って、もちろんさっきのだよ。ジャック、すっごく激しくてさ……」
「ご、ごめんなさい……」
そこは素直に謝っておくジャック。積もりに積もった欲望のせいとはいえ、初めての女の子に優しさも考えずあれだけ激しくしてしまったのだ。幾ら相手が丈夫で体力のある赤ずきんであろうとやって良いことと悪いことがある。
まあそういった思考も吹っ飛んでしまうくらいに興奮していたため、結局自分を抑えることが出来なかったのだが。
「あははっ、怒ってなんかないよ。むしろジャックもあれくらい激しく動けるんだって感心したくらいだからね」
本人の言うとおり、腕の中の赤ずきんは全く怒りなど抱いているようには見えなかった。それどころかやっとジャックに正面から抱きしめてもらえたおかげか、未だかつて無いくらいご機嫌に見える。疲労の色すら見られないあたり、丈夫で体力があるという言葉はジャックを安心させるためだけのものではなかったらしい。
「それならいいんだけど……赤ずきんさん、身体は大丈夫?」
「平気だよ、これくらい。ちょっと痛むけどそれだけだしね。というかジャックの方こそ大丈夫? あたし、結構な力を入れてあんたを抱き返しちゃったような気がするんだけど……」
「あ、うん。それは大丈夫だよ。もう少しで骨が折れたかもしれないけど……」
行為の最中に赤ずきんに強く抱きしめられたせいか、ジャックは背中のあたりがずきずきと痛んでいた。もちろんそれは激しく動いたことによる腰などの痛みとは別口である。背中なので自分ではよく見えないが、たぶん手の痕くらいは残っていてもおかしくない。
「ご、ごめん……次からは、気をつけるよ……」
ジャックに怪我をさせたかもしれない事実に罪悪感を覚えているのか、赤ずきんは腕の中で縮こまってしまう。
しかしジャックにとっては怪我くらいは些細な問題であった。たった今、それよりも重要なことを赤ずきんが口にしたから。
「次、って……もしかして、その……また、させてくれるの……?」
次からは気を付ける、ということは普通に考えれば次があるということ。あれだけ気持ち良くなれて、幸せを感じられる行為の二度目が許されているということ。しかももしかしたら三度目や四度目もあるかもしれないのだ。その事実の前では身体の節々の痛みなど最早気にもならない問題である。
「えっ、逆に何で今回だけって思ったのさ? あたしとしてはジャックが求めてくれるなら、いつでも何度でも付き合うつもりだよ?」
「そ、そうなんだ……そっか……」
きょとんとした表情で見上げてくる赤ずきんに対し、心の中で溢れんばかりの喜びを覚えるジャック。あんなことがこれから何度でもできるとは、ジャックは途轍もない幸せ者らしい。まあ赤ずきんのような可愛さ、カッコよさ、強さと三拍子揃った素晴らしい女性が恋人な時点で、この上ない幸せ者なのは確かだろう。
「……ジャック、凄く鼻の下伸びてるよ?」
「ご、ごめんなさい……」
ただ内心の薄暗い欲望と歓喜が顔に出てしまっていたのか、ジトっとした目つきで指摘されてしまう。
否定するべきかとも思ったがすでにあれだけ欲望のままに行動した姿を見せてしまったのだ。最早赤ずきんの中ではジャックはケダモノというのは絶対に覆らない確定事項だろう。
「あははっ、別にいいよ。ジャックはそれだけあたしの身体に夢中ってことだからね?」
(うーん、別に身体だけってわけじゃないんだけどなぁ……)
とはいえ赤ずきんはジャックがケダモノであろうとオオカミであろうと問題ないらしい。蔑むどころかむしろ嬉しそうに笑っていた。
一応こちらも否定するべきかと考えたが赤ずきんの身体に夢中なのは事実だし、やはり否定しても信じてもらえるかは甚だ疑問である。なので信じてもらうにはこれからの日々でそれを証明して行くしかない。そう心に決めるジャックであった。
「――あ、そうだ! 実はジャックにプレゼントがあるんだ!」
そんな決意を固めていると、 不意に赤ずきんが思い出したような声を上げて腕の中から離れていく。その際に豊かな膨らみが柔らかく弾む様を目にしてしまい、ついさっき欲望の限りを尽くしたはずだというのに下腹部に妙な感覚を覚えてしまう。
「僕にプレゼント? 何だろう、楽しみだなぁ」
ショーツだけは穿きなおし、床に放る形になっていたお気に入りのフードを羽織る赤ずきん。その姿を眺めながら、ジャックはプレゼントへの期待と目の前の赤ずきんの半裸姿に胸を高鳴らせていた。コート一枚にショーツのみという姿はちょっと扇情的すぎる。
「ちょっと待ってなよ? えーっと、確かこの辺に……あったあった!」
そのままベッドを出るとタンスに駆け寄り、何やら中を漁り始める。
数秒の後、衣服のようなものを取り出した赤ずきんはそれを背後に隠すようにして振り返ってきた。ショーツ一枚にコートのみの状態なので下半身はだいぶオープンであるが、ギリギリで裸の胸が見えない状態なのが何とももどかしい。
「ジャック、プレゼントはこれだよ!」
「えっ……こ、これって……」
得意げな笑みで以って、ジャックの目の前に差し出されたもの。それは普段からよく目にしているものであった。膝の辺りまでありそうな長い裾と、モコモコのファーがついたフード付きのコート。赤ずきんのお気に入りそのものだ。
ただしそれは今現在赤ずきんが羽織っているし、こちらは黒と青の二色で構成されている色違い。つまりこれはジャックのために用意されたコートなのだろう。
「前にジャックがあたしのフードを着て嬉しそうにしてたからね。実はハルさんに頼んで色違いのものを仕立ててもらったんだ。ものがものだからいつ渡そうか迷ってたんだけど、今が丁度良いよね?」
「わぁ……! ありがとう、赤ずきんさん!」
あの時のことを思い出すのはちょっと気恥ずかしいものの、プレゼント自体は非常に嬉しいものなので躊躇い無くお礼を口にした。自分用の赤ずきんのコートを手に入れたようなものなのだから、嬉しくないはずが無い。ましてや大好きな恋人からのプレゼントならなおさらだ。
「えへへ、どういたしまして。ほら、さっそく着てみなよ」
「うん。それじゃ――あ、ちょっと待ってね」
受け取って早速着てみようとするが、自分も裸だったことを思い出してパンツだけは履き直す。どうせなら衣服を全部身に着けた方が良いかもしれないが、他ならぬ赤ずきんが下着一枚しか身に着けていないのだ。それならジャックだって似たような格好の方が良いだろう。
「よし……えっと、どうかな?」
「うんうん! 似合ってるよ、ジャック! カッコイイよ!」
パンツ一枚でコートを羽織った状態という一見すると変態のような格好だが、赤ずきんとしては問題なかったらしい。嬉しそうにはしゃぎながらべた褒めしてくれた。
そのせいで赤ずきんのコートと胸の膨らみが揺れ動き、可愛くておいしそうなピンク色がチラチラ見えて非常に心臓に悪かったが。
「そ、そうかな……でも、どうしてこれを渡すのを迷ってたの? 別に迷う理由なんて無いと思うけど」
「あー、それはさ……あたしのと色違いなだけだから、ペアルックみたいでちょっとね……」
「あ、そっか。それじゃあ確かに渡し辛いよね。皆からの目があるし」
ちょっと罰が悪そうな答えだがジャックは納得できた。
赤ずきんは皆のお姉さんという立場をとても大事に思っているのだから、恋人とペアルックをしていたら頼りになるお姉さんのイメージが崩れると思ったのだろう。
「あれ? でもそれならどうして今は渡せるの? どっちにしても皆の前じゃ着れないと思うけど……」
「それは……あたしたちの仲も深まったからね。とりあえず渡しておくだけならいいかなって思って」
「そっか。まあ、お互いにもっと仲が深まったのは事実だしね?」
ほんの少しだけ考える素振りを見せて答えてきたが、他にそれらしい理由があるわけでもない。何よりお互いの関係が深まったのは事実だ。なのでジャックは別段不思議には思わなかった。
「そういうこと。それにしても、こうしてると本当にカップルみたいだね。あははっ、ジャックとペアルックだ!」
本当はペアルックに憧れていたのか、ジャックの手を取って子供のようにはしゃぐ赤ずきん。
その様子は普段ならとても可愛らしく、そして愛しく映ったことだろう。そう、普段なら。
「えっと、その……赤ずきんさん……」
「ん? どうかしたの、ジャック――って、ま、また大きくしてる……もうっ、ジャックはやっぱりケダモノだなぁ?」
「ご、ごめん……だって赤ずきんさん、裸にコートっていう格好なせいか凄くエッチに思えて……」
今の赤ずきんはショーツ一枚とコート一枚という倒錯的な格好。そんな姿でぴょんぴょん跳ねてはしゃげば色々と見えてしまうのは自明の理だ。ついでに言えば両手を取られているせいでジャックが下半身を隠せず、パンツの上からでも分かる自己主張を目撃されてしまうのも。
というかあれだけ欲望を発散させたというのに、またしても欲望が湧き上がってくるのだから驚きだ。きっとそれだけジャックは赤ずきんに夢中になってしまっているのだろう。
「仕方ないなぁ……いいよ、もう一回やろう?」
「えっ? い、いいの?」
何でもないことのように口にしてベッドに座り込む赤ずきんを前に、思わず興奮気味に尋ねてしまうジャック。まさかこんなすぐに二度目ができるとは思ってもいなかったのだ。
「何度も言ったけど、あたしは丈夫で体力もあるからね。それにそんなんじゃジャックはあたしと抱き合って寝れないじゃんか。すっきりするまで、付き合ってあげるよ?」
「赤ずきんさん……」
「……それともあたしなんかじゃなくて、やっぱりもっと女の子らしい子としたかったり――わっ!?」
決して辛抱たまらなくなったからではなく、赤ずきんが何か自分を卑下するようなことを口にしかけたため、ジャックは容赦なく襲い掛かって途中で遮った。発情したオオカミか何かの如く飛び掛り、ベッドに正面から組み敷いて。
そしてまたしても欲望のままに身体を動かし、乱れに乱れた夜を過ごしていった。
「ん……うぅ……」
暖かいものに優しく包みこまれている心地良さを覚え、赤ずきんは目を覚ました。
何故か分からないが全身にそこそこの疲労感が溜まっていて、下腹部に僅かな痛みがある。体力にだけは自信のある赤ずきんとしては、それなりに珍しい重さの疲労感であった。まあこれくらいなら休む必要性も感じない程度なので問題はないのだが。
「わ……じゃ、ジャック……!?」
それより問題なのは重い目蓋を開けて瞳に映った光景。何とそこにはジャックの寝顔が目と鼻の先に存在した。
最近はジャックのベッドに裸でお邪魔して眠っている赤ずきんだ。寝顔が見えると言うことは、ジャックから見れば赤ずきんの裸が見えるということ。今までは絶対にこちらを向こうとしなかったはずなのに、一体どういう心境の変化があったのだろう。
(あっ、そっか。あたし、昨日ジャックと……)
そこまで考えた所で昨晩のことを思い出す。あの激しくも幸せな夜のことを。見ればベッドのシーツにはしっかりとその赤い痕跡が残っていた。そして赤ずきんの下腹部に残る鈍痛も、その証明として大いに主張していた。
(凄く恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しかったなぁ……まさかジャックが、あたしの身体にあんなに夢中になるなんてさ。やっぱりグレーテルが言ってた通り、初めては何もせずジャックに任せるっていうのは正解だったみたいだね)
昨晩の出来事を思い出し、赤ずきんは一人頷く。
昨日は性的な行為に対する相談をグレーテルに持ちかけたというのに、何の知識も授けられなかったのだ。初めてはただ全てをジャックに任せればいいという、適当な言葉だけかけられて。
正直なところ本当にそれで良いのかかなり疑問だったものの、実際にはそれで問題なかったらしい。ジャックがとても満足気だったのは、行為の最中にも終わった後にもはっきりと分かっていた。
「あははっ。ジャック、凄く気持ち良さそうな顔してるなぁ」
初めてこんな至近距離で見る恋人の寝顔に、頬を緩ませてしまう赤ずきん。本人はきっと喜ばないだろうが、とても可愛らしい寝顔だ。こんな寝顔を見ていると赤ずきんとしてはお姉さん心を刺激されてしまうくらいである。
「あっ、あたしのプレゼントしたフード着たままじゃん。汗だくだしさすがにこれは洗濯出さないとダメそうだね。せっかくこれからペアルックで皆の前に顔を出そうと思ったんだけどなぁ……」
昨晩の二回戦でも赤ずきんは早い段階でコートを脱がせてもらったので、赤ずきんのコートは無事だ。ただジャックの方はプレゼントしたコートを着たまま二戦目を走り抜けたため、確実に汗でダメになってしまっているだろう。これを昨晩プレゼントしたのは、今日の朝食の席で皆にペアルックを披露する為だったのだが。
「ま、いっか。そんな機会はこれから山ほどあるんだしね!」
「う……ん……」
(おっと、起こしちゃったかな?)
ちょっと独り言が過ぎたのか、ジャックがぴくりと眉を寄せる。きっともうすぐ目を覚ますことだろう。そうしたら二人で朝の口付けを交わし、幸せな一日の始まりである。
(あ、でも考えてみればこうやって二人でベッドに入ってる時、あたしの方が先に目を覚ましてるのって初めてじゃないかな? いつもジャックはあたしの裸を見てないって言ってるけど、本当に見ないかどうか確かめるのもいいかもね。よし!)
しかし唐突に悪戯心と興味が沸いてきたため、即座に目蓋を閉じて狸寝入りを敢行。
実際ジャックは今まで赤ずきんの裸を見ていないと言っていたし、嘘をついているようにも見えなかった。ただジャックがそれなりにずるい奴なのは今までの日々で理解しているので、もしかしたら本当は見ていた可能性もあるのだ。別に今更怒りはしないが、基本誠実なジャックが眠っている女の子の裸を見ようとするかどうかは赤ずきんとしても興味があった。
「ふあぁ……わっ!? あ、赤ずきんさん!? 何で――あっ、そうか。僕、昨日赤ずきんさんと……うわぁ! 何だか思い出すと凄く恥ずかしい……!」
(あははっ。ジャック、あたしと同じ反応してるよ。可愛い奴だなぁ?)
自分と似たような反応を示しているのが声だけでも分かってしまい、心の中で笑う赤ずきん。まあジャックは発情したオオカミのような状態になってしまっていたのだから、もしかしたら羞恥は赤ずきんより強いのかもしれない。
「……だけど赤ずきんさん、幸せそうに寝てるなぁ。あんまり可愛くてまた食べちゃいたいくらいだ」
(う、うぅ、顔がニヤけそう……我慢だ、あたし!)
愛しさに溢れた声と優しく頭を撫でられる感触のせいで、寝顔を装うのが非常に困難になってくる。気を抜けばだらしなく笑ってしまいそうで、赤ずきんはかつてない忍耐を強いられた。
「……本当に、寝てるんだよね?」
(うっ……もしかして、バレたかな?)
しかしやはり完全に笑みを堪えることはできていなかったのだろう。ジャックはどこか神妙な声音で呟くと、頭を撫でる手を止めていた。
数秒ほど往生際悪く狸寝入りを続けた赤ずきんだが、鋭いジャックのことだ。きっともう気がついているに違いない。なので諦めて目蓋を開けようとしたところ――
(……あっ、ジャックの奴。もうっ、本当にケダモノだなぁ?)
――赤ずきんの身体にかかっていたシーツが静かに持ち上げられた。具体的には胸の辺りを曝け出すような形で、気付かれたくないのか少しずつゆっくりと。
「……ジャックのケダモノ」
「っ!? あっ、わ、ご、ごめんなさい!」
目蓋を開けてそんな言葉をかけたところ、ジャックは飛び上がりそうなくらいに驚いて顔を赤くしていた。この反応からするとやはりシーツをかけ直していたというわけではなさそうだ。とはいえ別に赤ずきんとしてはどちらでもさほど問題は無いのだが。
「別に怒ってないよ。ジャックがケダモノだってことはもう身に染みて理解したからね?」
「よ、良かった……というか赤ずきんさん、寝たふりしてたんだね? 酷いなぁ……」
「酷いのはジャックの方だよ。見てないとか言ってたけど、本当はさっきみたいにあたしの裸をいっつも見てたなんてさ……」
怒ってはいないが、ちょっぴり複雑な気持ちである。具体的にはこっそり覗くくらいならいっそ襲って来い、と言いたい所だ。
まあ誰が悪いかと聞かれれば、それはアリスが言っていた通り赤ずきんの方なのだろう。あんなにケダモノなジャックのベッドに裸でお邪魔していたなど、今考えると初日に食べられても文句は言えない。
「い、いつもじゃないよ! さっきのは、その……昨日のことがあったからで……」
「本当にー? 正直に言いなよ、ジャック。怒ったりしないから」
「……………………ほ、ほんの、二回くらいなら……」
「うわー、本当に見てたんだ……改めて聞くと結構恥ずかしいなぁ……」
実は本当に見られていたという事実に、今更ながら羞恥を覚えて胸を隠す赤ずきん。昨晩は眠りに付くまで羞恥心が薄めになっていたものの、時間が経ったせいか元に戻ってきているらしい。
「ご、ごめんなさい……どうしても、その……我慢できなくて……」
罪悪感たっぷりの表情で俯き、謝罪してくるジャック。
まあ悪いのは赤ずきんの方なのだから、寝ている間にちょっと見られた程度で済んだことを感謝するべきだろう。実際ジャックがその気だったならもっと色々できたはずなのだから。
「いいよ、謝らなくて。というかあたしの方こそ、ごめん。ジャックがケダモノだってこと、全然気が付けなくて」
「別に僕が特別ケダモノってわけじゃないと思うんだけど……まあ、いっか。赤ずきんさん、身体は大丈夫?」
「全然平気だよ。というかジャックの方こそ大丈夫?」
赤ずきんは自他共に認める体力と丈夫さがあるが、逆にジャックは自他共に認める体力の無さがある。それに昨晩は初めてにも拘わらず二回戦も行ったのだから、ジャックの方を心配してしまうのは当然だった。
「うん。まあ、ちょっと身体の節々が痛むくらいかな。筋肉痛とか、色々と」
「おっ。ってことは、ジャックはこれで足腰を鍛えられるって事だね! うん、ジャックもあたしも気持ち良くなって、ジャックは足腰を鍛えられて、あたしはジャックを喜ばせることができる。それってお互いに最高じゃん!」
「やっぱり赤ずきんさんは赤ずきんさんだよね。何かちょっと安心したよ」
「むー、今何か失礼なこと言われた気がするなぁ……」
愛し合うことでお互いにプラスを得られることを口にしただけだというのに、何だかとても馬鹿にされた気がしていた。まあジャックの表情はどこからどう見ても馬鹿にするどころか、微笑ましいものを見るような笑みであったが。
「まあいいや。ジャック、一緒にシャワー浴びようよ。あんたもあたしもたっぷり汗かいたからね」
「い、一緒にシャワーかぁ……うーん……」
「大丈夫だよ。心配しなくても、また我慢できなくなったら付き合ってあげるからさ」
「あっ。そういうことなら、大丈夫かな?」
ちょっと乗り気でない様子を見せていたジャックだったが、赤ずきんがそう答えると笑顔で頷いてきた。どうもシャワーの最中に我慢できなくなり、赤ずきんを襲ってしまわないかが心配だったらしい。
「そうそう。ほら、行くよ?」
「あ。ちょっと待って、赤ずきんさん」
「ん、どうしたの――っ」
ベッドから出ようとした所を呼び止められ、振り向く赤ずきん。その瞬間、唇に柔らかな感触を覚えた。当然目に映ったのは目と鼻の先にあるジャックの面差しだ。
何をされたのかなど考えるまでも無い。赤ずきんからも応えるように唇を食み、しばらくお互いに感触を楽しんでから遠ざかる。
「おはよう、赤ずきんさん。愛してるよ」
「えへへ……うん。あたしも愛してるよ、ジャック」
そうしてお互いに笑いあい、二人で手を取り合って風呂場へと向かう。その最中、改めて赤ずきんは決意を固めるのだった。今日の朝、皆に本当の自分を見せてしまおう、と。
皆からのお姉さんとしてのイメージが壊れてしまうのはちょっと怖いが、もう我慢ができそうになかった。ジャックとより深い仲になったせいか、皆の前で自分を抑える事ができそうになかったのだ。皆の前でも二人きりのように甘えたいと、一夜を過ごして思ってしまうようになったのである。
とはいえお姉さんとしてのイメージが崩れてしまうようなら、要は皆の前でジャックに甘えても問題無いくらいにお姉さんとしての自分を磨けば良い話。今までもお姉さんとしての自分に磨きをかけてこなかったわけではないが、今の赤ずきんには恋人がいる。大きな幸せを与えてくれて、支えてくれる愛する男がいる。そんな男が隣にいるのだから、不可能なわけがない。
皆の前で甘え始めたら、ジャックは一体どんな反応を示すのか。そんな風に期待に胸を膨らませながら、赤ずきんはジャックとのシャワーに向かった。
ちなみにシャワーの最中にジャックがまたケダモノになってしまったのは、最早言うまでもないことであった。
初夜終了。リア充爆発しろ。
ちなみに親指姉様の時と違って皆にお楽しみになっていたことが気づかれていないのは、赤姉が声を抑え気味だったのはもちろんのこと、ドアを直すまで暇だったハルさんがついでに防音対策をしてくれたというどうでもいい設定があります。仕事しようね、ハルさん。あと人の事より自分のことも考えようね。くららとか……。
とりあえずこれでジャック×赤姉のお話は終わりですが、もしかしたら親指姉様の時と同じような余章が始まるかもです。でもハーレムの方もあるし、何よりツイッターの方で「もしも新作がメアリスケルターならお祝いにジャック×アリスでも書こうかな」とか言っちゃったんですよね……まさかメアリスケルターFinaleとか来るとは……嬉しいけど、どうしよう……。