※この作品はR-18です。

北郷当代記   作:KKS

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十(凪)

 賊軍討伐を決めたその夜。一刀は楽進を連れ、薄闇の中を出歩いていた。代表格として立ってしまったゆえに、あまり身勝手をするのは申し訳ない気もしたが、どうしてもしておきたいことがある。関家軍の連中との顔合わせを中座した時に、楽進がなにやら郭嘉に目配せをしていたが、女性たちの繋がりは一刀の知るところではない。

 その去っていく背中を見送りながら、郭嘉は安心と羨望の入り混じった複雑な気持ちを抱いていた。

 

「うん、もうこの辺でいいかな。まだ腕は痛む?」

 

「少し。ですが、無茶をしなければ生活には支障ありません。それより、こんなところまで来てどうしたんですか?」

 

 緩やかな小川が流れる側に、木々が茂っている。その辺りで立ち止まった一刀は、楽進の負傷した左腕を労った。彼女は体内の気を操ることに長けているので、常人と比して回復は格段に早い。

 それはそうとして、楽進の疑問は尤もである。迂闊なことは一刀も重々承知しているが、二人きりで語りたいことがあった。

 

「ああ、ちょっとね。凪に言っておきたいことがあるというか……」

 

 頬を爪で掻きながら、一刀は歯切れの悪い言葉を並べる。ここまでの道中楽進にどう切り出すべきかずっと思案していたのだが、結局纏まらず終いであった。

 

「苦しかったら、すまない」

 

 ここまで来て回りくどいことはもうやめようという考えに至った一刀は、楽進の細身を痛めないよう抱きしめる。楽進は急なことで戸惑ったが、彼に体重を預けてその胸に顔を埋めた。そこから伝わる心音のリズムで、一刀が緊張していることを楽進は悟る。

 

「……凪。ここで言うことを止めたら絶対後悔すると思うから、しっかり聞いてほしいんだ」

 

 楽進は頭の動きで、それを肯定した。彼女も、己の心臓が早鐘を打ち出していることを感じている。男の体温を幸せに受け止めながら、楽進は一刀が口を開くのを待っていた。

 

「――これから先、俺たちはどうなって行くのかわからない。それでも俺は、凪にずっと一緒にいてほしいと思う」

 

 戦いに向かうことや、郭嘉とのこと。いくつかの葛藤はあれど、一番に伝えたいのはそのことである。

 これまでは、彼女が側にいることがなにか当たり前のような感覚で、踏み込んだ関係には発展していなかった。友達以上の存在になってしまっていた故に、好きだという思いをなかなかはっきりと口にできなかった部分もある。

 

「え……、あっ、そのっ!?」

 

 ずっと聞きたくて、期待すらしていたはずの言葉なのに、楽進は嬉しさのあまり舌が回らずにいる。じっと返答を待つ一刀は、改めて口にしたことで楽進への愛しさが増していくようにも思えた。

 

「いきなりこんなこと、ずるいです。嬉しすぎて、頭がどうにかなってしまいそうで……」

 

 楽進の紅潮っぷりは、月明かりの下でもわかるほどである。その頬に一刀は手を当て、形を確かめるように顎のラインを触れていった。

 最後に親指で乾いた唇をそっと開かせると、楽進はそれをぺろりと健気に舐め返す。彼女の熱を帯びた視線が、早く早くと訴えかけている。

 

「前の続き、しよう。凪とひとつになりたくて、我慢できそうにない」

 

「はい、一刀さん……。んっ……」

 

 命がけの戦いを前にして気が高ぶりつつあるのか、一刀は多少強引に少女を求めた。餌を待つ小鳥のように出す楽進の舌を吸い上げ、空いた手で乳房を服の上からまさぐる。

 キスをしながら一刀が銀髪に隠れた耳を愛撫すると、彼女は未知の快感に目を潤ませていた。

 

「下、脱がすね」

 

 もっと楽進の内側に触れてみたいと思った一刀は、彼女の短パンに手をかける。一刀が指を掛けて下着諸共それをずり下ろすと、楽進は自ら片足を抜いて恥ずかしがりながらもおずおずと足を開いた。

 

「ここに、一刀さんのお、おちんちんを、挿れてしまうんですよね」

 

 真面目な楽進からいきなり飛び出した淫語に、一刀は興奮を隠しきれない。女性を抱くなどこれが初めてではあるが、現代で仕入れた知識を総動員する決意で望むのであった。

 

「そう、だね。でも、凪が苦しくならないようにしっかり準備しておかないと。男のほうは、なんとでもなっちゃうと思うから」

 

 自分から急かしてしまったようで、楽進は気恥ずかしくなる。口付けだけで少し濡らしてしまっているが、そのことが一刀に知られてしまうのもなんともいえない気分であった。

 

「指でするけど、痛かったりしたら教えてよ? 俺も、これで結構緊張してるから」

 

 しっとりとした楽進の陰部は、男の指の来訪を歓迎している。二本の指をそのまま形に沿うように前後させると、楽進は快感にきゅっと口を結んだ。

 

「あっ、それ……、いいですっ。一刀さんの指、温かくて気持ちいい……」

 

 擦るほどに染み出す粘液が、さらに滑りを良好にして愛撫を補助していく。気を良くした一刀は、貝のように閉じた入り口をそっと開かせると、人さし指をゆっくりと侵入させた。

 くにくにと敏感な粘膜を直接触れられ、楽進はたまらず一刀の肩を掴んでもたれかかる。熱っぽい吐息が首元にかかり、より興奮した一刀は指の動きを加速させていった。

 

「くうっ、やあ……。んっ、ふぁ……」

 

 指を二本に増やして入り口を拡張するようにすると、そこから粘り気ある分泌液がしたたり落ちる。恥ずかし気に気持ちよさそうな声を発する楽進は、さらに強く一刀の身体を掻き抱いた。

 

「ちゅう、はむっ……、ぷあっ」

 

 刺激に驚く楽進の口を、被さるように一刀は塞いでしまう。濡れた入り口で指を締め付けられていると、そこにモノを挿れてしまえばどうなるのだろうと想像を膨らませてしまうのが性である。

 楽進の甘えるような舌遣いが、愛おしさをさらに上昇させていく。――凪と早くひとつになりたい。その気持で一杯になった一刀は、片手でベルトを外すと生殺し状態にあるモノの拘束を解いていった。

 

「――こう、ですか? すごく、ドキドキしますね……」

 

 木の幹に右手を付き、楽進は下腹部を突き出すように一刀の方へ向けている。月明かりの下で、門が淫靡にてらてらと輝いていた。

 限界まで勃起したモノを持ち上げ、一刀は先をぐりぐりと押し付ける。指では感じたことのない熱に、楽進は思わず喘ぎを漏らす。いよいよ、その時が差し迫っていた。

 

「んっ……、この辺かな。痛かったらごめん、できるだけゆっくりやってみるから」

 

 膣口に狙いを定め、亀頭を固定する。ぐっと腰に力を入れて前に進めると、きつい締りで挿入を出迎えられた。

 

「あぐっ……! 一刀さんの形、はっきりわかってしまいます……!」

 

 通過の痛みによる悲鳴を堪え、楽進は一刀そのものを感じることに専念する。大切な人に初めてを捧げられたと思えば、いくらか苦しみも喜びに変わっていった。

 

「凪、もう少し力抜けるかな? 思ったより、ぎゅうぎゅうで」

 

「は、はい。がんばり、ます……。くうっ……」

 

 一刀の太いモノが、楽進の最奥を目指して中をかき分けていく。処女を失った証拠に、溢れ出す粘液に血が混ざっている。表しようのない感動に、彼女は薄っすらと涙を浮かべていた。

 反対に、断続的にやってくる強烈な締め付けに一刀は耐え忍んでいる。僅かにでも油断すればすぐに射精してしまいそうな中、眼下にある白い尻を揉んで気を紛らわす。好いた相手に情けないところを見せたくないという、男の意地であった。

 

「もうちょっと……、あと少しで、一番奥まで届きそうだ……」

 

 じりじりと押し進める内に、一刀はモノの先が壁に当たったような感触を覚える。腰をゆるりと前後させて確かめると、膣壁が蠢動(しゅんどう)してそこが子宮の入り口であることを教えているようであった。

 

「ふあっ……。お腹の奥、一刀さんので埋められてしまっています……」

 

「凪の中、あったかくて気持ちいいよ。軽く動くね」

 

 彼女が呼吸する毎に、ゆったりとした締め付けが行われる。それに合わせて抽送を開始すると、楽進は色っぽい声で応えた。

 

「んっ、はあっ……。すごい、さっきまでと全然違ってぇ……」

 

 膣内が馴染んできたことによる快楽の共有。愛液の量も増えたことで、スムーズに打ち付けられる腰がお互いを高めていく。

 

「中、こつこつってされると、ふわってなって……。一刀さんもそれ、いいんですか?」

 

 奥を小刻みに突かれながら、楽進は腹の内側を(うごめ)く一刀のそれが、びくびくと反応していることを感じ取っていた。

 

「すごくいいよ。凪のここ、俺のことを捕まえてくるみたいだ!」

 

 肌同士がぶつかり、乾いた音が静かな木々の間に響く。求め合う二人には、川のせせらぎの音すら届いてはいない。

 心のままに相手を愛し、快楽を貪る。ただただそれだけのために、男女の汗は宙に消えていった。

 

(ほんとはいけないことかもしれないけど、このまま凪の中で出してしまいたい。抜くことなんて、考えられない……!)

 

 絞るように膣がうねり、男に精を放ってほしいとせがんでいる。まだまだ、この心地よい時を終わらせたくはない。その一心で、一刀は彼女の奥を突いた。

 

「ひゃうっ……、やあっ……! これ、まだ太くなるんですか!?」

 

 挿入時より一回りほど膨れたモノに大きな動きで突き上げられ、楽進は快楽でどうにかなってしまいそうになる。あの夜自身を染め上げたどろどろの液体をぶちまけられることを想像しながら、最後のピストンを甘受していた。

 

「わたし、もうっ……! ひゃあっ……ううっ……!」

 

「まだまだっ……!」

 

 絶頂した楽進の中は、一際強くモノを包み込んでいる。一刀は抗うように下半身に力を込め、せり上がってくる精液を食い止めた。

 

「だめ、です……。いいっ……ぐううぅうううううう!?」

 

 甲高く鳴く楽進の腰をがっちりと掴んでその状態で数度出し入れし、いよいよ限界を迎えた一刀は尿道を緩めた。自由になった多量の精液が、目的地を目指してひたすら進軍を開始していく。

 

「あっ、ぐうっ……! なんだ、これっ」

 

 溢れかえるほどの精で膣内を満たしたにもかかわらず、彼女のそこはいまだ淫らに種を求め続けている。

 しばらく腰を密着させたまま楽進に覆いかぶさるような形で、一刀は息を整えていた。

 

「ああっ、すごいです……。お腹の中で、一刀さんのものがじんわりと広がって……。これほどの幸せを、自分は感じたことがないかもしれませんね……」

 

 愛しげに腹を撫で、半裸の楽進は笑顔を見せる。子宮は一刀の子種によって満ち満ちており、たぷたぷとした音がしてきそうなほどであった。

 彼女が少し身じろぎすると、結合部から収まりきらない精液がぽたりと地面に落ちたほどである。

 

「凪のなか、まだきゅうって俺のことをつかまえてくるね。このままずっと、ここにいたくなってしまうくらいだ」

 

「もう、そんなことはできませんよ。でももう少しだけ、あなたの体温を一番近い部分で感じさせていてください」

 

 楽進を背中から抱きしめ、一刀は頬や首筋に軽く口付けていく。甘くとろけてしまうような時間は、ゆっくりと流れていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 ――余韻を楽しんだ後、落ち着きが戻ってきた二人は川の水を使って身綺麗にしていた。冷たい水が、火照った肌にほどよく心地いい。

 

「あはは……。ちょっと張り切りすぎたかな?」

 

「そうですよ。あなたの御身は、もう自身だけのものではないのですから。この意味、わかりますよね?」

 

 恋人の形をまだはっきりと記憶している下腹部に若干の違和感を覚えながら、楽進は下着を履き直している。行為の最中とは打って変わり、その物言いはどこか険を含んだものであった。

 のそのそとズボンを上げながら、一刀はその言葉の意味を重く受け止めている。皆を先導するリーダーとして。そして、自分以外にも愛する女性を持つ男として相応の覚悟を持てと、彼女の目が言っている。

 

「稟のこと、怒らないんだね」

 

「はい。その程度で嫌いになるような人に、自分は身体を預けたりはしませんから。先だって稟とも話しをしたのですが、こういう人を慕ってしまったのだから、そこはすっぱりと諦めましょうと」

 

 その時のことを思い出したのか、厳しくつんとしていた楽進の表情が少し崩れた。

 彼女と郭嘉が真名を預けるまでに打ち解けていることに、一刀はほっとする。同時に、彼女らには頭が上がらなくなるのも時間の問題かもしれないと心の中で自嘲したのであった。

 

「それは?」

 

 一刀がすっと差し出した左の拳に、楽進はきょとんとしながらも右手を丸めて突き合わせる。彼女の目をしっかりと見つめ、一刀はゆっくりと言葉を紡いだ。

 

「凪のこと、悲しませないって約束する」

 

「……絶対、守ってもらいますからね?」

 

 拳を何度か打ち合わせ、二人は生涯それを(たが)えないことを確認する。やがてどちらともなく開いた掌をぴたりと付け、離れてしまわぬよう指を絡ませあった。

 この日何度目かの口付けを欲しがる楽進の前髪を撫で、一刀は唇を重ねていく。

 ――今この瞬間は、凪だけに夢中になっているから。そんな気持ちを込めて、丹念に彼女の唇に愛情を刻み込んでいく。

 

「好きです、一刀さん……」

 

 重なる両者の影から、水音が響いている。二人の逢瀬は、まだまだ熱を帯び始めたばかりであった――。

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