「――首筋まで真っ赤になってるね。気持ちよかったの?」
先ほどの射精で激しい衝動を発散させた俺は、やんわりと風の中を行き来する。わざとらしく聞く俺に対し、風は少しむすっとした口調で応えた。
「むー。お兄さんがあれだけがんがん突いてくるのがいけないのですよお。風は繊細なのですから、もっともっと労っていただかないと」
「悪かったって。でも、たまにはああいうのだっていいでしょ?」
桜色に染まった風の頬をぺたぺたと撫でていると、彼女も手を重ねてくる。こうして体温を身近に感じているだけで、愛しさが溢れてしまいそうだ。
「嫌いではないのですよお? ……でもやっぱり風は、このくらいのほうがお兄さんをしっかり感じられて……んんっ……好きですねえ」
ほんの少し力を入れて奥を小突くと、風の声に艶が混じる。猫撫で声の彼女が感じる様は、いつ見てもそそられるものがあって。
「お兄さん、お兄さん」
「ん、どうしたの」
風の小さな手が、シャツの襟元を掴む。表情から察するに、なにか言いたいことがあるように思える。
「せっかくなので、今度は風が上になってみてもよろしいでしょうか?」
願ってもない彼女からの申し出に、俺は心を躍らせる。少し緊張しているのか、風のアソコはきゅっとペニスを締め付けてきていた。
「よいしょ……んんっ……」
挿入はやめないまま、風が身体を起こす。僅かの間でも今は離れたくないのが自分だけではないとわかり、内心嬉しくなってしまう。
そのまま彼女は俺の胸に手をつくと、やんわりと力を入れて押し倒してきたのだった。
「こんな……感じでどうでしょうか? ひゃう……!」
腹の上に乗りながら、風は嬌声をもらす。きっと慣れない体勢ゆえに、思わぬ角度で入ってしまったのだろう。ぷるぷると身体を震わす風は、またしても軽くイッてしまったようだ。
「上になるというのも、なかなか難しいものですねえ。んしょ……」
ようやく座りのいい場所を見つけたのか、風は安堵の息を吐いている。
「少し、このままお話しましょうか」
「うん。なにからがいいかな」
「そですねー。……真桜ちゃんといい桃香さんといい、お兄さんはお胸の大きい女性に飢えていたのでしょうか?」
一体なにを言い出すのかと思えば、風は口を尖らせてそんな話しをする。そしていじけたように俺の胸にもたれかかると、指先でこちらの乳首をいじりだす始末だ。
「んっ……。そんなことないとは言わないけどさ、俺は大きさなんてあんまり気にしないよ?」
「ほんとうですかー? ……ちゅぱっ」
こちらに疑いの目を向けながら、風はシャツを捲って俺の肌を露出させる。彼女の一寸ざらざらとした舌で乳先を舐められると、どうしても感じてしまう。
髪をかき上げながら舌を使う風の仕草は色っぽく、俺は入れっぱなしのペニスを硬くしてしまった。そんな反応を楽しそうに伺いながら、風は乳首への奉仕を続ける。
「そうだって……。でなきゃ、風の身体でこんなに興奮するわけないだろ?」
「きゃう……! もう、お兄さんはずるいのですから」
誠意を込めて、ねっとりした風の中を一突き。彼女が感じた反動で少し乳首を噛まれてしまい、強い刺激が俺の背を駆け巡る。
「……くっ。それよりさ、あの物資云々はどうやったの」
名目上だけでも上に立つ人間として、あれについては聞いておかなくてはならない。風のことだから、汚い手で調達してきた物ではないだろうけど。
「あれはですねー、わたしの文通友達とでもいいましょうか。とにかく、その方々に根回しをしていただいたのですよ。れろぉ……」
「……根回し? 商人とかにってこと?」
奉仕をやめようとはしない風の話しをかいつまんで理解すると、彼女には各地の名士とのネットワークがあるらしい。それを動員して、俺たちのいない間に人やら物資やらを収集したようだった。もちろん、俺の出世払いで。
「なるほどねえ。まあ、先立つものがなければなにも成し得ないし、それもいいのかも……ねっ!」
「はう……! いきなりなんて、ひどいのですよお……!」
独断に対してちょっぴりお仕置きを加える気分で、風の腰を掴んで突き上げる。言葉とは裏腹に、彼女の声には悦びが混じりこんでいた。
「それでさ、そろそろここを離れようとも思うんだけど」
「はい。風もそろそろ頃合いかなー、と考えておりました」
以前にもこの事について議題になりはしたものの、ひとまず保留ということになっていた。ここへ帰ってくる途中に桃香からも色々な話しをしてもらい、それも含めて俺の中でひとつの方針が固まりつつある。
「せっかくですし、同時に意見を披露しちゃいましょうか。これだけずっぽりと繋がっているのですから、合致すること間違いないのですよ」
きゅうきゅうと膣内を収縮させながら、風はいつものように笑った。その顔には、「お兄さんの考えていることはお見通しです」とでも書いてあるようである。
ぐりっと一度円を描くように腰を動かすと、風は俺の顔にぴたりと頬をくっつける。しっとりとした感触が、なんとも心地良い。
動物のようにじゃれ合った後、俺と彼女は同時に息を吸い込み、心中に持つ方針を吐露していく。
「――幽州」
風は満足気にくすりと笑うと、ゆっくりと唇を合わせてきて。
俺はほんのりと甘い彼女の口内を存分に味わい、口伝いに降りてくる唾液を堪能する。
「あむっ…………ちゅる…………ちゅぱっ。ふふふー、やっぱり合ってしまいましたねー。お兄さんのおちんちんも、嬉しがっているのですよ」
こちらに上半身をつけたままの風が腰を揺すると、男女の汁が混ざり合ってぬちょぬちょと音が鳴る。
幽州の公孫賛ならば、風たちと別れて仕官している趙子龍から話を通してもらうこともできる。やはりというかなんというか、桃香も公孫賛とは旧知の仲のようだった。
「星ちゃんとも書簡のやり取りをしたのですが、お兄さんに会いたそうでしたよ? お兄さんが女性からのお誘いを断るとも思わなかったので、是非行きますと返事もしてあるのですよ」
全く悪びれもせずに、風はそう言ってのける。
俺はどこまでも先手を打ってくる風をなんとか困らせてやろうと思い、彼女の服の胸元をはだけさせた。
「きれいだね、風のおっぱい」
風に身体をぐっと上げさせると、遠慮がちに膨らんだ胸がはっきりと見える。その中心はしっかりと充血しており、触れてほしそうに主張していた。
「そこっ……、いきなり……い」
両手を使ってこりこりになった乳首を摘み上げると、風は気持ちよさそうに表情を蕩けさせる。シコっている芯を押しつぶすように愛撫してやると、その反応はより顕著になって。
「風のおっぱい、触って楽しいんですかあ? どうせなら、触りっこしちゃいましょう……あうぅ!」
快楽に喘ぐ彼女が手を伸ばし、俺の胸部をまさぐる。いじられているところからじんじんとした甘い痺れが広がり、乳首で遊ぶ指にも自然に熱がこもっていく。
「くりくりってされるの……あうっ……、いいのですよお。おちんちんも、ぴくぴくって動いてえ……!」
「このままもう一回、最後までいってしまおうか」
俺の言葉に、風はこくこくと首を縦に振る。そろそろ挿れたままで辛抱ができなくなってきたのだろう。胸への愛撫も加わって、白い肌が再び紅潮してきている。
「このまま戻ったら、おまんこの中に精液たっぷり隠してるの絶対バレちゃうね……!」
実際、風の下着はどろどろに汚れ、膣からは収まりきらない俺の精が垂れていた。このまま歩いて帰ったのでは、それが股ぐらから滴ってしまうのは確実だろう。
「頑張って締めますからあ……! だから、風の中にまたびゅーってたくさん出してほしいのですよお……! こうしたら、気持ちいいんですよね……っ」
はあはあと息を荒くさせて、風が懸命に腰を上下させる。俺が落ちてくるタイミングに合わせてペニスを突き出すと、風の反応は一層強くなった。
「ぎゅってされながらだと、当たるところがまた変わっちゃうのですよ……。ああああああああっ…………!」
風の細い身体をかき抱いて、ラストスパートをかける。密着した乳首同士がころころと擦れ、射精感を増幅させていった。
「ふあああっ……! くうっ……あああああっ! ひゃううううううっ…………!」
奥をごりごり亀頭の先で突いていると、風が何度も絶頂しているのが手に取るようにわかってしまう。彼女は唇を震わせながら俺の首元に舌を這わせ、早く射精しろとせがんでいる。
「風の中、すごくざわざわしてるね。もうすぐ、出してあげるから……っ」
「はい……、はいっ……! ご主君さまの精液で、風のおまんこ、もっとどろどろにしてえええええええええ……!」
感極まったように、風は大きな声で叫ぶ。冷静な時であれば誰かに聞かれてしまうのではないかとドキドキもするのだろうが、今はひたすらに腰を打ち付けることしか頭にはない。
「ぐうううう……、ふううううっ……! また、いっちゃうのですよ……っ!」
一段と大きな絶頂の波が、風に押し寄せているようだ。俺は出すならここだと思い、彼女の身体が浮き上がるほど腰をグラインドさせる。
そしてねとねとの膣内の奥にある狭い壁に引っかかった瞬間、最後の時は訪れた。
「ひぃああああああっ……! どぷどぷ、どぷどぷってえ……! おっきいの、きちゃってますうううううう…………!」
射精の熱に浮かされて、風はぐいっと背中を反らす。俺は尿道の中の一滴まで彼女の膣に注ぎ込んでやろうと、ぷりっとした尻を掴んでこちらに引き寄せる。
その間も膣壁は竿を絞るようにぞわぞわと動き、俺はさらに子種を吐き出すべくキツい中でペニスを出し入れさせるのだった。
「はうっ……、んくっ……! ほんとに、これだけでお腹いっぱいになってしまうのですよお」
俺の乳首で遊んでいた時の余裕はすっかり消え失せ、風は恍惚とした表情で息をしている。これでは、もうしばらくこのままでいる他ない。
いじらしく指を絡ませてくる風の体重を感じながら、俺は互いの昂ぶりが冷めるのを待つのであった――。
色々なものの後始末を終えて二人が陣地に戻ると、そこでは悲惨な光景が繰り広げられていた。
「あっ、お兄ちゃん! 鈴々、ちゃんとダメって言ったんだよ! それなのに周倉が食べちゃうから……」
「……周倉、ほんとに大丈夫?」
見れば、徐晃に抱えられて周倉がぐったりと倒れている。張飛はおろおろとしながら何か口走っているが、帰ったばかりの一刀と程昱には状況がわからなかった。
「えーっと、誰かこれを説明してくれないかな。まさか、食中毒ってやつじゃないよね?」
「……食中毒というのはよくわかりませんが、周倉はただ愛紗さんの手料理を試食しただけなんです」
「愛紗ちゃんの?」
楽進の話を聞いた一刀と程昱は、思わず顔を見合わせる。
なにがどうなれば、これほどの事態に発展してしまうのか。一切の冗談なく苦しんでいる周倉を見ると、情事の余韻が全て吹き飛んでしまうようであった。
「実は、先ほど助けられた礼を返したいと桃香殿が夕食を作りにいったのです。客人だけにさせるのはなんだからと、愛紗殿がそこに加わってしまい……」
思い出しただけでも辛くなるのか、話を引き継いだ郭嘉は頭を抑える。それほどまでに、関羽の料理の腕は壊滅的であった。
「愛紗はんの料理さっきちょろっと匂い嗅いでみたけど、あんなもん凪の作った唐辛子ビタビタの麻婆食べるほうが数倍ましやで」
「なんだと……?」
郭嘉の話しに李典は何気なく相槌を打ったのであるが、それはいらぬ怒りを引き出してしまう。激辛料理を食べたわけでもないのに李典は額に汗し、楽進が肩に手を置くと軋んだ音を立てながら振り返った。
「とはいえ、せっかく作っていただいたものを無碍にするのも気が引けますねー。ここは、ご主君さまに盾となってもらうほかないのでは?」
そんな漫才のようなやり取りを無視して、程昱は一刀に進言する。はっきり言ってしまえば遠慮したい気持ちが大きく勝っているのだが、調理者の気持ちを考えて一刀はうーんと唸りながら頭を悩ませていた。
「あ、北郷さまも帰ってたんだ! わたしの方も今作り終わったから、食べてほしいな……」
「ん……こほんっ。その……、ご主人様。もしよろしければ、どうかわたしの手料理もお召し上がりください」
二人の差し出した皿を見て、一刀は思わず言葉を失ってしまう。
(なんだかよく分からない山の中に、少しだけ肉や魚のようなものが見える……。これは非常にまずいのでは……)
一刀の眼前では、早くも劉備がにこにこ顔で皿を机に置いている。関羽も主君の様子をちらちらと横目で見ながら、料理のようなものが乗った皿を並べていく。残念なことにその目には、試食をして倒れた周倉のことは映っていなかった。
「一刀さま、ここはお覚悟を。誠心誠意、看病はいたしますので」
「隊長さん。骨は拾ってやるから安心しろ、なのー」
冗談とも思えないような郭嘉と于禁
の言葉が、一刀には恐ろしくてたまらなかった。しかし、彼が食べるのを楽しみにしているであろう二人の姿を見ていると、ここは気合でなんとかするのが筋なようにも一刀には思えてくる。
「わかったよ……、薩摩男児の男気を見せてやる。……桃香、愛紗、他のみんなはあんまりお腹が空いてないみたいだから、俺が全部貰ってもいいかな」
一刀の宣言を聞いて、それぞれ異なる様相を示した。劉備と関羽の二人は大いに喜び、早速席につくよう彼に促す。
その一方で、郭嘉らは死地に飛び込まんとする男の背中を悲しみをたたえた表情で見送り、周倉は気力を振り絞ってなにかうわ言を発していた。
「それじゃ……、いただくね。はむっ……」
意を決して、一刀は盛られた料理に手をつける。口にした途端襲い来るのは、言い表すことのできないような強烈な不快感。
彼の意識は、そこでぷっつりと途切れてしまうこととなった。
「――さま。ご主人様」
意識を取り戻した一刀は、ぼうっとする視界の中に黒髪の少女の姿を見る。その瞳は心配そうに揺れ、口では繰り返し「ご主人様」と呼び続けていた。
「…………ん。愛紗か」
「ご主人様!? よかった、本当に……」
正座した膝の上に一刀の頭を乗せ、関羽は彼の額を大切そうに撫でている。そこからじんわりと広がる温もりに、一刀はふうっと溜まった息を吐いた。
「すっかり、暗くなってしまったみたいだね」
「そう、ですね。かえって皆に気を使わせてしまいましたし、ご主人様にはなんとお詫びすればよいのか……」
一刀が首を動かして周囲を確認すると、天幕の内に灯りがたかれている。律儀な彼女のことだから、目覚めるまでずっとこうしていてくれたのだろうなと一刀は思う。
(それにしても、なくてほっとする記憶ってのもあるもんだな。はっきり覚えていたら、まだ悶えてたかも……)
鮮烈な不快感を、彼の脳が記憶することを拒絶している。そうでなければ、関羽の顔を正面から見据えるのも辛くなっていたであろう。
「いいよ。上達したら、また食べさせてね。……こうして見るまでもないけど、愛紗ってほんと綺麗だね」
少女の顔を見上げながら、一刀はぽつりと呟く。特に意識せずともそんな称賛が出てしまうほど、関羽は器量良しな女性である。もし程昱にたっぷりと欲望をぶつけていなければ、むっちりとした太腿の感触だけでも一刀の男の部分が高々と主張し始めていたことであろう。
「そんな……、よしてください」
恥ずかしがる関羽のことが、一刀にはひときわ可愛く思えて仕方がない。それと同時に、かねてより気になっていたことが口をついた。
「――あの日さ、愛紗はどうして村に来てくれたの?」
街で鉢合わせた程昱らはともかく、関羽の来訪はずっと引っかかっていたことでもあった。彼自身が最初は天の御遣いとなることを拒んで、関羽、張飛と別れたという経緯もある。
「――今まで黙っていたこと、どうかお許しください。おかしいと思われるかもしれませんが、また例の管輅と出会ったのです」
「管輅か。愛紗と鈴々に、天の御遣いの到来を教えた占い師だったよね」
記憶を辿って、一刀はその名を思い出す。
「はい。周倉たちを打ち破ったわたしと鈴々に、管輅は二つの道があると言ったのです」
額を撫でる手が止まっている。どこか寂しさを覚えつつも、一刀は「二つ?」と聞き返した。
「ええ。そのひとつというのが、大徳の翼となってその出世を助けること。もうひとつが、天の御遣いと共に新たな流れを生み出すこと。あの者は、そう言っておりました」
「そっか……。大徳、なあ」
管輅が何者であるのかは、興味の尽きない部分である。しかし、結果的に関羽を自分のもとに遣わせてくれたのだから、あるいは敵意のある存在ではないのかもしれないと一刀は思う。
「……この数日、ふと思ってしまうのです。桃香殿が、劉玄徳殿こそが管輅のいう大徳だったのではないのかと」
逡巡しながらも、関羽は劉備に対する思いを打ち明けた。頷きながら話しに耳を傾ける一刀に、はっとした表情で関羽は頭を振る。
「ですが、勘違いしないでいただきたいっ! 管輅の話しを聞いたわたしは、もう一度あなたの元を訪ねようと思いました。それはなにより、あの日ご主人様に感じた輝きが忘れられなかったからでもあるのです」
関羽の言うあの日というのは、一刀がこの世界に出現した日のこと。管輅に出会ってその時の感情を再燃させた関羽は、彼と対話することを望んだのである。
「俺が愛紗のこと、信じないわけがないだろう? だいたいあの日きみが助けてくれていなければ、こうして体温を感じることすら叶わなくなっていたんだから」
うつむく関羽の頬に、一刀が手のひらを当てる。心中で燻っていたことを吐き出してすっきりしたためか、彼女は優しげな笑みを浮かべていた。
少女の澄んだ瞳を見つめる一刀は、鼓動の高鳴りを実感していた。
「愛しているよ。これからもずっと側にいてくれ、愛紗」
「我が身、我が魂は、ご主人様とお呼びした日よりあなたに捧げる覚悟をしております。もし仮に……嫌だと言われても、離れてなどあげませんから」
一刀の招きに応じて、関羽はさらに身体を折る。すると双方の影が、惹き合うようにすんなりとひとつになっていく。
パチパチと弾ける篝火の音の中に、二人の吐息の音だけが聞こえる。ひとつになった影は、そうなっているのが当たり前のように重なり続けるのであった――。