陣幕に薄っすらと透けて見える人影がふたつ。どうやら片方は上になっているようであり、しばしばそれらは重なり合うように揺れ動いている。まさに月光だけが大地を照らしている中で、上に乗った少女の銀髪が艶めいて波打っていた。
ぼそぼそとした話し声の間に、なにかを啜るような音が聞こえる。それは少し水っぽくもあり、聞きようによっては淫靡な雰囲気を醸し出しているようでもあるのだ。
「凪、部隊の方はどうだ。俺から見ている分には、上手くいっているようだが」
「んっ……、ふぁい…………ずるるっ。いまのところは、なんとか。これが戦となればどうなるかわかりませんが……ちゅるっ……、任されたからには、やってみせましょう……じゅるぅうううう……」
一刀からの質問に答えながらも、楽進は律儀に肉棒をしゃぶることを止めない。全裸となった二人の肉体は絡み合い、互いの熱を求めあっている。
いま楽進の潤んだ割れ目は一刀の眼前にあり、ひくつきながら男を誘う。そこは引き寄せられた彼の指を水気のある肉で吸い付け、離そうとはしない。
「ちゅ……う……。やっぱり、凪に背中を守ってもらえるのは……んっ、安心できるからさ。だから、任せたよ」
楽進のしっとりとした肌に興奮を覚えながら、一刀はその秘肉にむしゃぶりついた。幾度も交わったことによって、彼女のそこは男の愛撫を敏感に感じ取るようになってきている。いまも舌で壁をノックされただけだというのに、一刀の口へ淫らな蜜をたっぷりと滴らせているのだ。
「凪のここ、ちょっとしただけなのにもうぐちょぐちょだ。そんなに、気持ちいいんだ?」
「ふうっ……!? 一刀さんとこんなことをしているんですから……、当然でしょう……? ひゃ……、そこっ……!」
彼女の忠犬ぶりに感謝の意を示すように、一刀は指で小ぶりな肉芽の包皮をめくりあげる。まだまだ未開発なそこを強く刺激された楽進は腰を震わせ、肉棒をぎゅっと握りしめた。
「ほんと、凪は嬉しくなるようなことを言ってくれるね。……色々な部分で、これからも頼らせてもらうよ」
「んんっ…………じゅぽっ……ずるるるっ……! はい…………はむっ、自分も…………れろぉ……努力しますからぁ……」
濡れそぼった割れ目を舌でなぞりながら、一刀は楽進の言葉に耳を傾けている。やはり初めて交わった女体というのは特別なものであり、彼女の献身さと合わせて一刀には期するものがあった。
早くもどこに触れられようが楽進の肉体は悦んでいるようで、ざわめき立つ獣心を一刀はなんとかセーブしている状態である。
「ふわぁ…………んっ、一刀さんのおちんちん、すごく硬くなっていますね……。いつ見ても、ここだけは必ず雄々しいんですから……ちゅぷ」
進軍中の気疲れもあって一刀の身体には疲労が蓄積されているものの、下半身だけは別といわんばかりに猛り狂っている。そんな太い肉竿に頬ずりをしながらも、楽進は一刀の太腿を癒そうと揉みほぐす。
しかし予想外に肌をくすぐるような微妙な刺激が生まれ、ほぐすどころか逸物はさらに硬度を増していくばかりである。
「すんすん……。あなたの、せいなんですから。このいやらしい匂いも、味も、全部大好きになってしまったんですよ? だからぬるぬるのお汁、たくさん…………ちゅぱ……わたしにくださいね…………ちゅううううぅううう」
そう言うと楽進は、恥ずかしげもなく音を出しながら先走りを吸い上げていく。無論そのほうが一刀が喜ぶということがわかっているからであり、あくまでその姿勢は彼を優先してのことであった。
「ああっ……、すごいな凪。口の中が熱くて、溶けてしまいそうだ」
性器に見立てた口内で肉棒を絞られ、一刀は苦悶するような声をもらす。その内部では舌が縦横に亀頭へ纏わりつき、表面をこそぎとって掃除するように舐められている。
楽進の奉仕はどれも的確であり、一刀のよい部分をここぞとばかりに責めていく。さすがにされるがままでは情けないという意地がもたげ、一刀は尻を掴んで彼女の腰を引き寄せた。
「凪の肌、きれいで見ているだけで興奮してしまうな。んっ……」
「そんな……んっ……こと……。でも…………ふうっ……んんっ……ありがとうございます」
陰部を指を使って愛撫しながら、一刀は尻肉を舌で味わっていく。それだけでも肌理の細かさが伝わってくるようでもあり、もっとしたいと思わせる魅力があった。
楽進は傷があるからと普段謙遜しているものだが、その素晴らしさを知る彼からすればそれは大きな間違いであると断言できる。
そして一刀は張りと柔らかさを兼ね備えた肉をたっぷりと己の唾液で濡らし、自分のものであることを主張するように甘噛していく。楽進はその行為に悦びを表し、より淫らになって肉棒を快楽で包み込むのである。
「一刀さん、もうすぐ出そうなんですか? もしそうなら、どこでもお好きなところへ……」
「ん……、よくわかったね……。それなら、飲んでもらおうか」
射精の兆候すらばれてしまっているのでは、一刀も観念するほかない。彼は精管を戒めていた筋肉を段々と緩めていく傍らで、楽進の肉壺をじゅぽじゅぽと責め立てる。
既にくらくらしそうになるほど雌の匂いを浴びてしまっているが、なおも快感を引きずり出す手を止めようとはしない。次第に楽進も限界が近づいて来たようで、子種を欲する動きが動物的になってきている。
彼女の手はごしごしと竿をしごき、それと連動するように上下する口内が敏感な先を捻るようにしゃぶっていた。
「くうっ…………凪っ」
「んぶっ!? ふうぅうううう………んぐうぅううううううう…………!!!!!」
精液を吐き出すと同時に、一刀は少女の勃起した肉芽を指で潰す。そのため楽進は絶頂と共に数度潮を吹き出し、恍惚に震えながら雄の汁を受け止めているのであった。
そして煮えたぎった粘液を充分に口内で味わうと、彼女はゆっくりと喉の奥へとそれを運んでいく。
楽進にとってはたまらない瞬間であり、至福の時であるともいえる。もっと言えば胎内で精液を受け止めたいというのが本音ではあるが、恋人をあの手この手で楽しませることは嫌いではない。
「ふふっ……、こんなにたくさん子種を出していただけて嬉しいです……。それなのにまだこんなにかちかちだなんて……素敵です、一刀さん」
射精したばかりでさざめき立つ亀頭の先を、悪戯をするように楽進は一息に吸う。一刀の肉棒はびくびくと全体を震わせながらもいまだ勢いは健在なままであり、すぐにでも連戦ができそうなほどである。
「こんなに濡らして……。凪のおまんこも、入れてほしいって言ってるみたいだね……」
弛緩して開いた膣口からは、次々に新しい愛液がにじみ出していた。それはまるで好物を前によだれを垂らしているようでもあり、一刀はぬかるんだ中を指でかき混ぜてねっとりとした感触を楽しんでいる。
「……ください。まだまだ、足りないんです」
そう言って楽進は体勢を入れ替え、一刀と視線を交差させながら唇を重ねた。
少々自分の出したもののしょっぱさを感じつつも、一刀は楽進の舌を迎え入れている。こうして交わりをねだる彼女は子犬ばりのかわいさであり、一刀の征服欲をより増大させているのだ。
「ああ……、俺もこんなもんじゃ物足りないよ。凪のかわいい姿、もっと見せてほしい」
一刀の体内では新たな火種が燃え始め、女を強く求め出す。馬乗りになった楽進の内ももを、触れるか触れないかといったような微妙な力加減でくすぐり、肉竿を使って秘裂をぞりぞりとなぞる。
挑発的に一刀が小さく笑うと、楽進は獲物を前にした肉食獣のように目を細めていく。そして柔らかでありながらも淫靡さを内包した微笑みを見せると、束ねていた銀髪を流れるようにほどいていった。
夢の中とも思えてしまうような幻想的な光景。一刀は言葉では表しきれない美しさを前に、ただ息を呑んで期待をふくらませていく。
「愛しています、一刀さん」
彼女の抱擁は熱く、そして切ないのだ。この瞬間だけは、他の誰にも割り込まれずに想いを遂げられる。
楽進が繋がりを求めて腰を上下させると、一刀はさらに感情の奥深くを知りたいとばかりに突き返す。そんな熱に浮かされたような二人の交わりは、ひとまず開始線を割ったばかりであった――。
「――旗立てい! 我らが主、北郷一刀さまが十文字旗の初陣である、みな励め!」
関羽の号令ひとつで、関家軍の旗持ちがこれまで伏せていた軍旗を掲げる。彼女の「
漢土に姿を現したそれら十文字の旗は、まるで新たな戦場に高揚しているかのように長方形の全身をばたばたと翻している。その隣には一刀から聞いた天の英雄たちの勇姿すら浮かんでくるようであり、関羽は紅潮を隠せずにいた。
「おお、なんと心の踴ることか」
丸に十字が染め抜かれた旗を見上げる関羽の表情は、いかにも嬉しげである。一度は別離した一刀にこうして先陣を任され、彼の人
そうして関羽は歓声を上げる兵らに目をやりながら気力を高めると、おもむろに周倉の引いている赤兎馬に飛び乗った。
「いよいよですねー、雲長さま。御大将の先陣、わたしたちで見事果たしてみせましょう!」
戦を前にして、帽子の少女は小さな身体に闘志を蓄えている。始めはただ鬱陶しいだけだと思っていた周倉が、いまでは欠かせぬ右腕となっていた。そのことを可笑しく思いながらも、関羽は「それも悪くない」と納得している。
人と人との関係など、時間の経過や出来事によって良くも悪くも左右されてしまうもの。それを関羽は一刀や周倉とのことで、はっきりと実感しているのだ。
「応、周倉の働きにも期待しているぞ。北郷軍の中に関家軍ありと、存分に示してやろうではないか」
「はいっ! もちろんです!」
嬉しそうに声を弾ませながら周倉は目庇をくいっと持ち上げ、関羽の勇壮たる姿を目に焼き付ける。彼女が手綱をぱっと放すと、駆け足になった赤兎馬は集団の先頭まで飛び出していく。
その巨躯が跳ねるように走る姿を、兵たちは頼もしそうに見つめるのであった。
「往くぞ、まずは眼前の敵を我らの刃で分断してくれん。者共、今こそ吼えよ!」
関羽の声を合図に、関家軍全体から大地を震わすような咆哮が発せられていく。
そんな軍勢の中にあって張飛は突撃したくてたまらないようであり、しきりに馬上で蛇矛を振り回していた。
「愛紗、早く出陣しようよ! 一番槍は鈴々がもらっちゃってもいいよね!」
「ああ、好きにするがいい。あの分厚い壁に大穴を空けてやれ」
一番槍を得ることは、武人にとってなによりの名誉でもある。関羽の了承をとった張飛は関家軍の最前列で、堂々と胸を張りながら出陣の下知を待つ。戦いに未だ不慣れな兵たちからしてみれば、張飛のような一騎当千の将が最初に槍を交えてくれることはありがたかった。
いよいよ、北郷軍としての最初の戦が始まろうとしている。一体なぜ、このような仕儀に相成ったのか。それは、少し前にまで遡る――。
北平へ向けての進軍を続ける北郷軍。ついに幽州が目と鼻の先のところとなるに従って、一刀は斥候を何組か選抜して先行させようとしていた。
いまになって情報収集をするのには事情がある。そのひとつが、実際の任務を遂行させることによる練度の上昇。これは郭嘉と程昱が前々から考えていたことでもあり、特に
なので今回斥候を出そうとしているのは、主にもうひとつの理由からであった。
「
そういう劉備の言葉には、珍しく元気がない。乗り手の気分を感じ取っているのか、その乗馬さえも足取りが重たげになっている。
彼女のイメージする公孫賛はいつまでも私塾時代のままであり、民を守る責務を負っている現実から
「そうですねー。星ちゃんからのお手紙によれば、今回の攻撃はそれほど大規模なものではないようです。なのでせいぜい、店先をうろちょろする冷やかしを追い払うといったようなものではないでしょうか」
飴をひと舐めしながら独特な言い回しで表現をする程昱であったが、その裏には劉備への気遣いがあった。
彼女が言うように、現在北平の主である公孫賛は烏丸退治のために城を留守にしている。そこで守将として置かれたのが趙雲であり、彼女からの知らせによって一刀たちは念のために警戒網を張ろうとしているのだ。
烏丸というのは元々、始皇帝の築いた長城の外で暮らしていた騎馬民族である。彼らは馬を操ることを得意とし、騎乗しながらでも易々と弓を射ることができた。その戦闘力は漢からしてみれば脅威であり、過去には度々長城を越えて侵攻をしてきた歴史がある。
いまその多くは幽州に居しているのだが、その態度は上辺だけ漢に従ったふりをしているといっても過言ではない。王朝の力の衰えとともにそうした勢力が伸長してきているのは、紛れもない事実。時として反抗を見せる烏丸は統治者にとって厄介であり、公孫賛も手を焼いているひとりであった。
「ありがとう、風ちゃん。白蓮ちゃんは頑張って太守のお仕事をしてるんだから、わたしも応援してあげないといけないよね!」
友人が異民族との戦いに出張っているのだから、心配してしまうのは当然のことである。それは特に、劉備のような心根の優しい少女にとっては尚更のこと。
「ふふふー」
相も変わらず同乗されている一刀だが、その心配りへの礼として程昱の頭をぽんぽんと撫でる。彼女は澄ました顔で旨そうに飴を咥え、特等席の居心地のよさを満喫しているようでもあった。
「星がそう言ってきているとはいえ、探りを入れておくことは必要でしょう。一刀さま、わたしのほうで何人か
郭嘉はあくまで冷静である。状況を分析するためには、核となる情報がなければ話にもならない。なにもなければそれでいいし、備える必要がある事態なのであればそれに当たる。彼女の思考というのは、そういうものであった。
「わかった、そのあたりは稟の好きなようにしてくれればいい。……そのうち俺たちの軍にも、
「さいさく、ですか」
一刀は参軍のふたりと、ついでとばかりに聞き耳を立てている劉備に向けて説明をしていった。その脳裏にイメージするのはテレビや映画の世界を彩る忍者ではなく、もっと地に足の着いた泥臭いもの。
かの
「細作っていうのは、忍び働きをする間者のことだよ。もっというと、修行僧や行商を装ったりして必要な情報を取ってくる人かな」
そう言ってくれれば話は早いといわんばかりに、参軍の少女らは頷いて理解を見せる。ただの物見や偵察部隊ではなく、それを専門とした人材の養成。その重要性は郭嘉と程昱もわかっていることで、一刀の方から提案されたことで編成もやりやすくなる。
現状では人材も乏しくすぐにとはいかないが、機会が訪れれば細作部隊を立ち上げることを三人は頭の片隅に置く。
「ご主君さまがそういうお考えを持ってくださっているのは、風たちにはありがたいことなのですよー。ねえ稟ちゃん?」
「まあ、そのことについては認めましょう。……それと風、今回派遣する兵の選定はあなたにも手伝ってもらいますからね?」
「……………………………………ぐう」
いきなり舞い込んできた仕事を面倒に思ったのか、程昱はいつもの狸寝入りで誤魔化そうとする。当然そんなことで郭嘉の矛先はそれるはずもなく、進軍を大休止した後に引きずられるようにして程昱はどこかへと消えていった。
「あはは……、風ちゃん大丈夫なのかな……」
「やる時はやるのがあの子のいいところだよ。なんだかんだ言いながらでも、きっちりこなしてくれるんだから」
見上げればちょうど日も高く、昼餉をとってしまうにはいい時間帯である。一刀は思い思いに身体を休める兵らに向けて、声を張り上げた。
「よーしみんな、兵糧を使っていいよ! もうすぐ幽州にも入ることだし、しっかり食べて体力をつけておくようにね。……ふらふらした足取りで北平に入城したんじゃ、あちらの人間に笑われちゃうよ!」
下知をしながら一刀が軽口を叩くと、ざわざわと笑いが起きる。初めての進軍中ではあるが雰囲気は
戦場では、普段からの信頼関係が勝敗に直結する。本能的にそのようなことがわかっているのか、一刀は努めて親しく振る舞っているのだ。
「ご飯はみんな楽しみだよねー。北郷さま、よければまた作ってあげちゃいますよ?」
「う……。そ、それはまた今度にしようかな……。俺だけ桃香の手料理を食べるわけにはいかないでしょ……!?」
顔をさっと青くしながら、一刀は悪夢のような出来事の再来を阻止すべく劉備を言いくるめようとする。彼女は不満そうに「ちょっとは上達したんだよー?」などと恨めしそうに言ってみせるが、一刀はさすがにこの場で倒れるわけにはいかなかった。
両手のひとさし指をこねていじけたような視線を送る桃香をなだめながら、一刀は目に映った制作途中の軍旗のことを思う。それは他のいわゆる幟旗とは違い、ひときわ大きな正方形をしている。
その旗はまさしく大将の位置を示すものでもあり、存在を誇示するものでもあった。そしてそれが地から起きる時とは、すなわち自身が戦場に立つ時でもある。
「――どうか俺たちを導き、お守りくださいますよう」
束の間の静寂は、さながら天よりの返答だったのであろうか。一刀は密かに北郷や島津の祖先に祈り、軍を守護してくれるように想いを捧げているのだ。
果たして、その願いは聞き届けられたのであろうか。まさしくそれは天のみぞ知ることであった。
「北郷さま、早く行こっ!」
聞こえぬ声をたどるよりも、いまは空腹に鳴く腹を満たすことの方が先決である。一刀は何事もなかったかのように笑顔の桃香が差し出す手を取り、食事へと向かう。
北平が