――日の照らすなかを駆けに駆けて戻ってきたのであろう。斥候の役目を果たした兵は水でもかぶったのかと思うほど汗だくで、地に伏せってぜえぜえと苦しそうに息をしている。このままではさすがに、会話をすることもままならない。
その様子を見て他の兵が持ってきた筒の水を斥候は奪い取るように手にし、ぐびぐびと飲み干していく。そうしてなんとか一刀に向けて礼を正すと、目にしてきたことを語りだした。
斥候が言うには、北平に到達した時点で城は既に所属不明の軍勢に囲われていたらしい。その規模はざっと見ても、五千は下らないほど。遠目からでも黄で統一された装いであったようで、なにか異様な感じがしたという。
そして城方は門を硬く閉じて応戦をしていたといい、主将の公孫賛不在でも趙雲の采配によって持ちこたえてはいるようであった。
「ありがとう、慣れない中でよく見てきてくれた。細かいことを聞くことがあるかもしれないけど、後はゆっくり休んでおいてくれ」
話し終えた斥候の肩に手を置きながら、一刀はそう労った。こういった場合、なによりも伝える早さが重要である。その役目を無事務めた彼は称賛に値するものであり、目をかけていい存在ともいえる。
斥候は仲間の兵に支えられながらその場を後にし、残された一刀は参軍の少女らに真剣な眼差しを送った。
「これは一大事ですねー。他の皆さんにも集まってもらう必要もあるかと思いますが、お話を進めておいてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない。愛紗たちには後から説明するよ」
緊急事態とあって、程昱の目にも鋭さが宿っている。彼女の腹の内では大方針をさっさとこの場で決めてしまい、一刀の命として将たちに伝えるのが最も迅速に行動できるだろうという考えがあった。
いちいち誰々に意見を聞いていたのでは初動が遅くなり、それだけ対応が遅くなってしまうのである。一刀の承認を得た程昱は、拱手して意見を汲み取ってもらえたことを謝した。
彼女の提示した案とは、ともかく行軍の形を維持しつつも速度を上げて北平へと向かうこと。そしてその間も偵察の数を増やし、戦場の情報をより詳細に把握していかなければならないと付け加えた。
「北平を襲っているのは、一刀さまが以前仰っていた黄巾賊という者たちなのでしょうか。公孫賛殿が烏丸に気を取られている隙に本拠を襲うなど、気になるところも多いですね」
「このタイミング……時期に黄色い集団が暴れているとなると、黄巾賊の可能性は高いだろうね。烏丸と黄巾、もしかするとそのふたつが手を結んでいることもあるか……」
なかなか厄介なことになるかもしれないと思う一刀ではあったが、その細部を調査している時間は与えられていない。
軍の方針が程昱の案で決定したところで、そういえばと思い一刀は桃髪の少女のことを見た。これより先は、いつ戦闘状態になるかもわからない。劉備の身の安全を考慮すれば、ここで別れることが得策でもある。
しかし彼女の口から出たのは、そのようなことではなかった。
「あの、北郷さま」
心なしか、劉備の瞳には強い意思の力が宿ってきているかのようにも思える。いまの彼女は、いつものようにおっとりとした柔らかな雰囲気ではない。
その意思に応じるように一刀は拳を握り、劉備の紡ぐ言葉を待つ。
「みんなの迷惑にならないように頑張るから、わたしも一緒に連れて行ってほしいんです」
「桃香、それって……」
一刀の言葉を遮るように、劉備はぶんぶんと首を振った。その行動の意味するところは自分でもよくわかっている。しかし未だ、彼女の心中には確証がないのだ。
「……おかえりなさいって。白蓮ちゃんを、笑顔でそう迎えてあげたいなって思うから。それだけじゃだめ、かな……?」
劉備の願いはあまりにも無垢で、純粋であった。それを達成するためには無論、道中で血を流す必要がある。そのことをわかっていながらなおそう言えてしまうのが、桃香たる劉備のなにか底知れない部分の一端でもあろうか。
「……わかった。改めて歓迎するよ、劉玄徳殿。ただし戦闘になった時は、俺の近くを離れないように」
かの村で身体を張って少女を守ったように、劉備には暴走といってもおかしくない行動力が備わっている。次も以前のように助けてやれるとも限らないし、減らせるリスクは減らしておくのが鉄則なのだ。
そのことにしっかりと釘を刺すと、一刀は彼女に向けて右手を差し出した。劉備はその意図がわからず、平素のおっとりとした感じで一刀に視線を送る。
「えーっと、これって……?」
「握手っていうんだよ。色んな意味があるんだけど、今回はこれからもよろしくってこと」
「あっ……、うん! こちらこそよろしくお願いします、北郷さま!」
一刀がそのように説明すると、嬉しそうに劉備は自身の右手でその手を握りしめた。交差したそこを中心に熱が広がっていき、一刀はまるで劉備の思いを直に受け止めているような気分でもある。
「ご主君さま。桃香さんといい感じのところを申し訳ないのですが、みなさん集まられたようですので」
からかうように、ふたりの間から顔を出した程昱がそう告げた。誰の表情にも恐れるところはなく、士気は高い。友の守る城の危機と知って、徐晃も珍しく色めき立っているようであった。
一刀が先に決めておいたことを自らの考えとして命じると、そこからはあっという間であった。一本の槍の如く街道を走り抜けた北郷軍は、ついに北平を襲う軍勢をその視界に捉える。
そして一刀のいる本陣では、「
十文字旗を背にした関羽と徐晃は黄巾らしき敵軍を
「かかれい! 敵は所詮賊軍だ、恐れずに切り込め!」
まだ日の上がりきっていない時間帯。馬上から怒号を発する関羽に身体を押されるように、関家軍の兵士が城南方の敵めがけて突撃していく。相手に比べて関羽の手勢は少数であったが、蛇矛を唸らせながら突っ込む張飛に黄色い軍勢は明らかに気圧されている。
それには城を攻略することばかりに気を取られていて、北郷軍の存在をここまで接近されるまで気づけなかったことも大きく影響していた。
「――初手に関しては、稟の読みどおりってところかな?」
進軍中に斥候よりの報告を受けていた郭嘉は、敵軍の中に大した指揮官がいないことを見抜いていた。城攻めといってもほとんど数に任せた力押しをするばかりで、趙雲によって上手くかわされているという印象を持ったのだ。
そういうことであれば、一騎当千の将を有する自分たちが優位に立てると彼女は確信している。この戦場でしなければいけないことというのは、なにより城の包囲を崩すことであった。
そのために必要になってくるのは、敵を殺すことではなく敗走させること。すなわち、敵に恐怖を与えて持ち場を離れさせてやれば、それで目的を達成できるのである。
「なんだよあの旗の軍団は!? 公孫賛は出陣してるし、楽に城を奪えるって話しだったのによお……」
馬から飛び降りた張飛は手始めに周りの兵を一掃し、枯れ木の枝を折るように次々と蛇矛に血を吸わせていく。その様子のあまりの凄惨さに、黄色い布を巻いた男は震える手で槍を握った。
さらに張飛の後ろからは、赤兎馬を駆る関羽が炎の塊のように突進してくるのである。彼ら「黄巾軍」からしてみれば、この世にあるはずのない十文字旗と合わせて、彼女らは圧倒的な脅威となって映っていた。
「……行くぞお前ら。俺たちの手で汚え朝廷をぶっ潰してやるんだろうが。大方、数はこっちが上なんだからよ」
周囲が及び腰になる中で、ひとりの黄巾兵が剣を抜きながら叫びを上げる。その声に感化され、そのまま潰走してしまいそうだった黄巾軍はなんとか踏みとどまることに成功した。
彼ら黄巾軍の多くは、腐敗した朝廷や現地の官への怒りを爆発させた民衆である。不満を持つ民衆がいること自体は当たり前のことであり、大した脅威にはなりえない。
しかしそれらがひとつの切欠によってあれよあれよと徒党をなし、こうして軍団を形成するほどとなっているのだ。ある意味空虚な戦いともいえるかもしれないが、その熱量は凄まじいものがある。
そうして黄巾軍が反撃に転じようとした頃合いを見計らって、もうひとつの部隊が気炎を上げていた。
「――槍兵、構えて。そうだ、……先っぽで突くんじゃなくて、上から叩いてね」
南方から攻め上がる関羽らを見ながら、徐晃は敵軍の側面へと回り込んでいく。そして「
徐晃がいうように素人がいくら格好をつけて槍を突いたところで、そう簡単に戦果を上げられるものではない。長くて細い槍先で急所を狙うよりは、安全な位置から柄で相手を打つほうがよほど勝つ確率も高いのだ。
「香風、ウチはいつでもいけるで!
徐晃の隣で、李典は巨大な槍の絡繰を起動させている。今回の作戦にあたり、追い込み役に適任であろうということで彼女は徐晃の隊に配属となっていた。
「……うん、わかった。シャンたちも出るよ」
李典自慢の「螺旋槍」は、その名の如く槍先がドリルのような形状をしている。それがこの時代にそぐわない絡繰によって駆動し、グルグルと回り出しているのだ。
「よっしゃ、死にたくないやつはさっさとどくんやで!? 作ったウチが言うのもなんやけど、これに挽かれたら死ぬほど痛いんやからなあ!」
喚声鳴り響く戦場にあっても、けたたましく唸る螺旋槍は抜群の存在感を放つ。その姿を見た黄巾兵たちは恐れを露わにし、隙きを突いた槍兵隊によって地に伏せられていった。
さらに最前線には徐晃自身も参戦し、敵軍を東へと押し込んでいく。子供ほどの体躯で大斧を操る彼女の働きは関羽や張飛にも劣らず、まさに鬼神さながらである。
張飛を動と例えるならば徐晃は静であり、黙々としていながらも確実に敵兵を屠っていくのだ。
「くそっ……。馬鹿みてえにでかい馬に乗ってるやつといい、こうも化け物揃いじゃやってらんねえよ!」
そんな愚痴を飛ばす間にも、徐晃は得物を奔らせ敵を斬り伏せている。いくら黄巾軍の結束が固いとはいえ、こうまでされては恐怖心を抑えきれるものではない。
「――稟ちゃんのお考えのように、敵は東の方へ押されているようですねー」
参軍として戦略を示した郭嘉は、必ずどこか一方は逃げ道を作っておくように提言をしていた。それはどう工面しても包囲するほどの兵力を保持していないからでもあるが、同時に敵の性質を計るためでもある。
攻城に対して執念を持つ黄巾軍指揮官がいるとすれば、逃げ道があっても構わず戦い続けるであろう。統率能力のある指揮官であれば余計にそうなるであろうし、整然と退却するのならばさらに警戒する必要すら出てくるのである。
また、いかに弱卒であろうとも追い詰められることで死兵となり、強烈な反撃を行うことも考えられる。そうなっては元も子もないから、郭嘉は今回のような布陣を一刀に進言したのだった。軍としての初陣ということもあり、石橋を叩いてなんとやらといった感じである。
そんな殺し合いの応酬が続く戦場を、劉備は目を離さずにじっと見ている。彼女なりに思うところがあるのだろう。気にはしても一刀はあえて口を出さず、戦の展開を考えることに徹していた。
「子龍さん、こっちの思っているように動いてくれるかな。もう一面攻めれば決定打になりそうなんだけど」
「あの星のことですから、戦場をいつまでも静観しているということはないでしょう。合わせて凪の部隊も動かしたいと思うのですが、よろしいですか?」
趙雲が城門を開けて打って出ることを想定して、郭嘉はまだ戦闘をしておらず元気な天衛兵をぶつけることを願う。その頼みを、ふたつ返事で一刀は了承する。
「ああ、そうしよう。誰か楽進に伝言を」
すぐさま側にいる兵を呼び、一刀は楽進への命令を伝えた。それには隊を動かすことは勿論だが、「張り切りすぎないように」との忠告も付随してある。
普段の行動はもとより閨での姿勢を考えても、楽進が一刀のため一段と闘志を燃やすのは想像するに難くない。あまり前のめりになりすぎては視界が狭くなり、思わぬところで足元をすくわれる場合もある。
この辺りの
「――北平の将兵よ、客人ばかりに手柄を持って行かれるのは面白くなかろう。……今こそ参るぞ!」
城門が大きく開かれ、「
彼女の振るう槍の穂先は真紅であり、鮮烈な軌道を描いては獲物を赤く染め上げていく。公孫賛の誇る騎馬兵は精強で、趙雲に続いて久しぶりの城外を活き活きと駆けている。
「ようやく出てきたか、趙子龍。ここが正念場だ、気合を入れろ!」
敵兵の首を刎ねながら関羽は叫ぶ。後方からは楽進の隊がやって来ているのも確認できているので、もうひと踏ん張りといったところであった。張飛や周倉も檄を飛ばし、周囲の兵を鼓舞している。
さすがに兵力の多寡の差から
「――行くぞ、我らの一撃で勝負を決めるんだ。隊長の命に応えて見せろ!」
「おー、なの! きびきび動かないと、こわーい関将軍に赤兎馬で蹴られちゃうんだから!」
もうもうと砂塵を上げながら、楽進率いる天衛兵が戦闘態勢をとっている。彼女の副将を務める于禁が活を入れると、兵らは引き締まった表情で「応」と返事をした。
「はあああぁああああっ! せいっ……!」
気を乗せた楽進の拳は、雑兵の鎧など苦もなく打ち砕いてしまう。頭にもろに一撃を受けた兵などは、あらぬ方向を向いたまま絶命している始末である。
そんな親友ほどではないものの、于禁も双剣を振るって懸命に戦う。趙雲隊と天衛兵の参戦によって、黄巾軍の戦線は完全に崩壊していくのであった。
彼らは口々に「逃げろ逃げろ」と言いながら、蜘蛛の子を散らすように退散していく。最後まで抵抗を止めなかった兵もいたが、戦闘は昼過ぎには終了していた。
「――関雲長、久しいな。色々と積もる話しもあるが、まずは援軍を感謝しよう」
東へと潰走していく黄巾軍を睨みながら、趙雲は関羽の隣に馬をつける。彼女が意外にも殊勝な態度であったため関羽はふっと笑ったが、闘志の抜けきっていない目はいまだ鋭い。
「礼ならばご主人様に伝えてくれ。本陣まで案内するか?」
「いや、それは遠慮しておこう。せっかく久方ぶりに北郷殿とまみえるのだ、身なりくらい小奇麗にしておきたいのでな」
そう言うと趙雲は、少し待って入城するよう関羽に言伝てる。彼女は踵を返しながら「ご主人様、か……」と小さく呟くと、騎兵を連れて城内へ戻っていく。どうやら公孫賛から留守居を任されているだけに、客人である一刀たちをしっかりと迎えたいようであった。
残された関羽は、兵たちに向き直ると勝どきを上げるように促す。
「応おおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
関家軍に引き続いて、徐晃や楽進の部隊からも鬨の声が発せられていく。それは天をも衝かんほどの勢いであり、戦場に散った命に対する
城内に入った一刀たちは、案内の兵に連れられて謁見場まで足を運ぶ。そこには趙雲と数人の将らしき者の姿があり、少女以外は天の御遣いの出で立ちを興味深そうに観察している。
彼らの主君である公孫賛が不在なので、これといってかしこまった様子はない。各自の紹介を終えて一言二言交わすと、将官らは趙雲を置いてその場を後にした。
「見違えられましたな、北郷殿」
「そうかな? 子龍さんも元気そうでよかった」
趙雲が表情を緩めて一刀に微笑みかけると、程昱や郭嘉も旧交を温める輪に加わっていく。彼女らとこうして無事に再会できたことは趙雲にとっても喜びであり、徐晃の小さな頭をくしゃくしゃと撫でてはむずがられている。
主君然としてきた振る舞いも板についてきた一刀であるが、この地にやって来た時のイメージが強い趙雲からしてみれば、どうしてこのように軍を率いるようになったのか不思議に思うところがあった。
「……して北郷殿。不躾で申し訳ないが、一体何人抱かれた?」
「は?」
その自問への答えを、少女らとの直接的な繋がりに趙雲は求めた。それがあまりに唐突であったために、一刀は豆鉄砲を食らった鳩のようにポカンと口を開けてしまう。
「せ、星!? なにを言い出したかと思えばそのような……!」
狼狽しながら交換したばかりの真名を呼ぶ関羽は、周囲の様子からついに察してしまった。顔を赤らめているのはなにも、たまたま遭遇し交わりを知ってしまった程昱や楽進ばかりではない。
あろうことか義妹さえも「にゃはは……」と照れ笑いを浮かべており、一刀とそういった関係であることを暗に認めている。
「り、鈴々……!? まさか、そんなあ……」
わかりやすくがっくりと肩を落としている関羽と、本気で落ち込んでいるような素振りを見せる郭嘉。この中にあってその二人が手を出されていないというのは、趙雲には意外なことであった。
「む……。これはどうやらいらぬツボを突いてしまったようですな。北郷殿、誠に申し訳ない」
援軍への礼以上に、深々と頭を下げる趙雲。一刀は頬をかきながら、なんともいえない居心地の悪さを感じている。
「やれやれ。ほんとうに業の深い兄ちゃんだぜ……」
飴を舐める程昱は、そんな空気感ですら楽しんでいるようであった。
「わたしは……、わたしは……」
――この時、落ち込んだ関羽が立ち直るまで数刻を要したことは余談である。
――その数日後の夜。
淡い灯火が、寝台に仰向けに横たわる女体を照らし出していた。
「ふぐっ……ふうっ……んっ」
見れば女性は布で目隠しをされ、腹の前で両手首を拘束されている。部屋には誰が焚いたのか香の匂いが充満しており、より狂った雰囲気を強く演出していた。
「んぐっ……! んんっ……ふっ……」
彼女は口にも布を噛まされており、くぐもった声でずっとなにかを主張しようとしている。だがそれらは全てもごもごとした音にしかならず、どこにも伝わることはないのだ。
そして時折身を捩り、逃げるように腰を浮かす。その女の名を、郭嘉という。
「あぐうっ……ひゅう……んんんんっ……!!!」
彼女の淫らに乱れる下腹部の先に、男の影がひとつある。下着を剥ぎ取られた郭嘉は、先ほどから舌によるねちっこい愛撫を受け続けており、もうどうにかなってしまいそうだのだ。
郭嘉の心中には現在、恐怖心とこれが一刀によるものではないのかという希望的観測が同居している。もはや脳内は戦場を冷静に見渡していた時のそれではなく、二律背反の感情から様々なことが崩れかかっていた。
その間にもぬるぬるとした舌の腹で陰核を責められ、郭嘉は首をいやいやと横に振る。しかしもう感じてしまっているのは明らかであり、男の唾液以上に愛液は湿りを発揮しているのだ。
「んぐううううぅううっ……。ふうっ……、ふうっ……」
軽く絶頂したことによって、淫らに開いた花弁にはたっぷりと蜜が浮かんでいる。
いけないと思いつつも快楽の波に押し流されてしまう。それもこれも、一刀が早く自分を抱かないのが悪いのだと郭嘉は考えるようになっていた。
「ひゅううぅうううう、あぐっ…………んんんんんん!!!!!」
誰ともわからぬ者に、敏感な膣の中まで舌で探られている。そう想像するだけで嫌悪感と興奮が彼女の中で爆発しそうになり、鼻から流れた血が一筋の道を作っていく。
この状態でも吹き散らさずに保っていられているのはひとえに恐ろしさからであり、身体が自分のものでなくなっていくような感覚を郭嘉は得ていた。
吸い上げられ、またねぶられ。分泌液でべとべとになった彼女の秘裂は、肉棒を受け入れる体勢を整えてしまったといってもいい。
どうにかこの場を切り抜けなくてはならないと思考を働かせようとするが、男の愛撫によってほとほとそれは中断させられてしまう。
「んんっ……? ふうううううぅううううっ…………!?」
やがて舌技による責めがなくなり、ぽっかりと時間が空く瞬間があった。だがそれは、この淫靡な空間の終わりを告げるものではない。聡い郭嘉は、それがどういうことか理解してしまっているのだ。
それゆえに身体を動かし逃げ出そうとするのだが、とうとう両足を掴まれM字にいやらしく開かれてしまう。悪夢ならどうか醒めてほしいという願望も届かず、男の肢体がぴったりと密着していくのが郭嘉にはわかる。
熱い棒状のものが下腹部に触れ、割れ目から溢れる粘液をすくってその身に纏う。
「んんっ……! んんっ……! んふううううううううっ…………!」
そしてとうとう、彼女にもその時が訪れたのであった――。