黄巾・烏丸連合との戦いから幾日か経ち、北平へと帰還した将らはしばし平穏な時を過ごしていた。
今回の戦いでさらなる名声を得た天の御遣い、北郷一刀。骨休めをしているのは一刀も例外ではなく、朝は劉備がやって来るまでのんびりと睡眠を満喫しているのであった。
「おはよう、二人とも」
起こされてから朝食を摂った後に、一刀はその日の予定を劉備と確認している。そうしていたところで、一刀は参軍二人の訪問を受けたのであった。
特に彼女らに急ぎの用件があるようには見えなかったが、気を利かせた劉備はぺこりと頭を下げるとそそくさと退室してしまう。
「あっ……。これは、桃香ちゃんには悪いことをしてしまいましたねー。なんなら三人一緒でも、風としては構わなかったのですが」
訪問とはいっても、なにも郭嘉と程昱は堅苦しい相談をやりに来たわけではない。
立ち上がってどういった用があるのか尋ねる一刀に対して、二人はわずかに妖艶な視線を覗かせる。
するとまずは生真面目そうな表情を崩さないままに、郭嘉が主君に口づけを行っていく。郭嘉の動きは改めて忠義の証を立てるかのようであり、丁寧に一刀の唇のラインをなぞっていくのであった。
青年は少々面食らいながらも接吻を受け止めると、郭嘉に合わせてちょんちょんと唇を食んでいく。
その間にベルトの留め具に手を伸ばしていた程昱は、撫でるような指遣いでズボンの内から肉の暗器を解放しようとしていたのだった。
「ちゅぷ……んっ……。一刀さま、どうぞそちらへ。そのまま楽になさっていて結構ですから」
「ん……、これでいいかな」
二人にされるがままに一刀は下腹部を露出させ、どっしりと寝台に腰掛けている。そうして外気と視線にさらされて半立ち状態となったペニスを見ると、少女らはくすりと微笑むのであった。
「それでは一刀さま、失礼いたします」
「では風はこちらから。……まさか稟ちゃんとこのように同じ殿方にご奉仕する間柄になるとは、さすがに想像していませんでしたねー」
二人はそれぞれ一刀の足に絡みつくかの如く身体を寄せると、挨拶代わりに竿先へ左右から口づけをしていくのである。
「ん……ちゅっ……、ふふふー。ご主君さまのここ、今日は珍しくかわいげのある形をしているのですよ。いつものように凶悪な形になって反り返る前に、仕返しをしておくべきなのでしょうか?」
「ちゅう……んっ……。風、いくら一刀さまが性欲に長けた雄とはいえ、なにもしないままに滾らされていたのではわたしたちの面目がないでしょう?」
郭嘉がそう反論すると、「それはそうかもしれませんねー」と程昱はいつものように笑みを浮かべた。
ひとしきり肉竿全体を唾液で濡らすと、二人は目線で合図をしあってさらに口による奉仕を続けていく。
「一刀さまのしっかりと硬くなって……、んちゅる……。ふふっ、嬉しいです」
「この反応の良さ、さすがは女たらしのご主君さまなのですよ。このくびれの部分もとってもいやらしい形をされていて、どきどきしてしまいます……」
程昱は舌先を丸めると、それを使って裏筋へと押し付けていった。まだ限界まで勃起していない肉棒をふにふにと愛撫しながらの奉仕であり、緩めの刺激に一刀は興奮を高めていく。
理由は不明であるが、金糸を揺らしながら口淫をする少女の虹彩には、どこか様子をうかがっているような色が見えた。
それが気になった一刀は程昱の首元でくすぐるように指を動かし、少女の動揺を誘う。
「ぺろ……、ちゅ……。ふふっ、くすぐったいのですよお……」
くぐもった笑い声と共にいやいやという動きをして、程昱は奉仕の動きを止める。そして上目遣いに一刀のことを見つめると、秘していた考えを打ち明けるのであった。
「このような最中につかぬことをお聞きしますが、ご主君さまは星ちゃんを口説かれるおつもりはないのでしょうかー?」
「星を? 本当にいきなりだな」
少し集中がそれてしまって萎みかけた幹の部分を支え、郭嘉は舌の表面全体を使ってぬらりと舐めあげる。
そんな少女の瞳には徐々に情欲の炎が宿りつつあり、口から漏れ出る吐息も熱いものとなり始めていた。
「れろ……、んはあっ……ちゅる……、ふう……。星が良き将であることは、一刀さまもご承知のはずです。それだけではなくあの子も、あなたさまのことは気にかかっているのではないでしょうか」
性欲に押し流されそうになった心をつとめて落ち着け、郭嘉は友人について述べる。
先の連合との戦いにあっても常山の昇り龍は称賛に値する働きをおさめ、その名にさらなる箔をつけていた。
やはりどうにかして彼女の合力を得たいと考えた二人は、一刀による直接の説得を望んでいたのである。
「それに……じゅるっ、一刀さまのこのたくましいおチンポを味わえば星だって、うふふっ……」
「あのー稟ちゃん? ご主君さまのおちんちんさんは確かにものすごいですが、それはちょっとあまりにも……ねえ?」
明らかにスイッチの入ってしまった様子で亀頭をしゃぶる郭嘉を心配そうに見やり、程昱は親友と目を合わせた。
じゅぽじゅぽと唾液を絡ませながら夢中でフェラに耽る郭嘉はとても淫靡で、同性である程昱ですらドキリとしてしまうほどである。
「じゅう……ちゅぽっ……。この裏側の濃い味も匂いも、感じているだけでたまらなくなってしまうのです……。はあ……っ、一刀さまのおチンポ……わたしにもっと味わわせてください……」
「くっ……、稟……っ」
あっけにとられたままの程昱を置き去りにして、郭嘉は血管の浮きでる肉棒を独占していった。
口淫による興奮で、既に少女の下着は秘裂が透けて見えてしまうほどに濡れそぼっている。大胆に開かれた内股は一刀の目にも入っており、淫らな想像は性的衝動をふくらませていった。
「おいおい兄ちゃん、いったいこの嬢ちゃんにどんな調教をかましたっていうんだい」
「調教って……。稟のしたいだけ付き合っていたら、どんどんこうなってしまったというか……うん」
これにはさすがの一刀も返す言葉が見つからない。それに郭嘉の熱心な口淫が気持ちよく、どうしても意識がそちらへ向いてしまうのであった。
「それで兄ちゃんは、星の嬢ちゃんもその恐ろしいチンコで躾けてしまおうっていうのかい?」
宝譿の力を借りてどうにかそれてしまった話をもとに戻し、程昱は一刀の答えを待つ。
乱れた頭を振り絞って一刀はそのことについて思案をしていたが、最終的には首を横に振った。
「やっぱり、俺はあんまり賛同できないかな。世話になっている白蓮にも不義理になるだろうし……ね……っ」
郭嘉の激しい責めによって言葉尻はかき消されてしまったものの、一刀は参軍からの提案をきっぱりと断ったのである。
残念ではあったが、一刀の性分を考えればこの選択は当然のように思える。程昱はそう思考を切り替えると、郭嘉に負けぬように肉棒への奉仕を再開していくのであった。
「あっ……こら、風っ。そこはいま、わたしが舐めて差し上げているのですからあ……」
「稟ちゃん、ケチケチしたこと言うのはなしなのですよお? こうして分け合ってぺろぺろしてあげれば、ご主君さまだってお喜びになるのですから」
我慢汁の滲んだ先端を奪い合うようにして顔を寄せ、郭嘉と程昱は息荒く赤い舌を突き出していた。
二人の舌は尿道口をぐにぐにと刺激し、粘っこい精液を早く出せとせがんでいるようにも見える。
「なんだかんだ言いながら、二人仲良く責めてくるんだよね……」
「ご主君さまの心地よさそうな顔を見るのは、こうしている時の楽しみのひとつでもありますからあ……。それはもう、頑張ってしまうのですよ」
程昱の甘い息が、ふーっと亀頭の表皮をくすぐった。そのようなささいなことでも、鋭敏になった肉棒はぴくぴくと反応を見せてしまう。
責められているばかりなのも嫌いではないが、先のこともあるしここは少し手綱を引いておくべきか。一刀はそう考えると、夢中で奉仕に浸る二人に声をかけた。
「風と……、稟はいまは聞いてくれそうにもないか」
「ふぁい……? なんでしょう、ご主君さま」
いまだ涎を垂らしながら肉棒にむしゃぶりつく郭嘉を尻目に、程昱はすっと顔をあげる。とはいえ彼女も指ではころころと睾丸で遊んでおり、一刀の射精感を高めることに余念はなかった。
「ちょっとした戦術の話をしたいんだけれど、聞いてもらえるかな」
「えー、戦術ですかあ? それは閨でのもの、ということなのでしょうか」
程昱の発言には否定を入れ、一刀は思考を纏めていく。
黄巾との戦いでは、敵の奇襲部隊にさらなる奇襲を加えて打ち破ったようなものである。なるべくなら、そういった状況を作られる前に勝敗を決したいところであった。
そこで思い起こされるのは、北郷家にとっても馴染み深い薩摩島津のお家芸。それこそが大小数多の戦場で敵軍を打ち破ったとされる、釣り野伏せである。
「俺のご先祖たちがよく使っていたもので、釣り野伏せっていう戦術があるんだ」
「釣り、野伏ですか。釣るという言葉が入っているということは、なにか奇襲作戦のようなものなのでしょうかー?」
興奮状態にあっても、さすがに程昱は頭がよく働く。
よくできましたというように少女の頭を撫でると、一刀はさらに説明を続けた。
「例えばいまのこの状況。風と稟は俺のチンコをいいように責めていて、完全に自分たちのほうが優位だと思っているんじゃないか?」
「はい、それはもう。ご主君さまのおちんちんさんはこんなにも嬉しそうにとろっとろのお
程昱の回答にそうだろうなと頷くと、わずかに一刀は眼光を鋭くする。
そうしていつの間にか二人の股下に潜り込ませていた足を動かすと、反撃を開始していくのであった。
「あうっ……そこお……っ!? んんっ……ああっ、……ご主君さま……ぁ!?」
「ん゛ぐっ……、ひゅう……んぐう……!? そんな……、いきなりされては……っ」
一刀は足の指を器用に使い、下着越しに程昱と郭嘉の割れ目をぐちゅぐちゅと刺激していく。
彼女たちのそこは一刀の読みどおり、優しく触れる必要のないほど濡れていた。
蜜の滴る入り口は強引と思えるほどに抉られようとも淫らに形を変え、雄の愛撫を受け入れる。
いきなりの愛撫によって程昱は膝を震わせ、肉棒をいじる勢いは急速に衰えていった。さらに内股に流れるほど愛液を潤滑させていた郭嘉には、その効果はより顕著に表れた。
「う……、ああ……っ。一刀さまの指ぃ、ぐりぐりってされると恐ろしいくらい気持よくてえ……」
びくっ、びくっ、と肩を上下させ、郭嘉は小さいながらも連続で達しているようである。体温の上昇によって少女の眼鏡にはくもりが見え、情欲のこもった双眸を秘匿しているようでもあった。
郭嘉と程昱からの攻勢が弱まるにつれ、一刀はみるみる内に余裕を取り戻していく。
島津家自慢の戦術も、まさかこのような場所で使われるとは考えてもみなかったであろう。しかしこの北郷の名を継ぐ天の御遣いからすれば、これは至って真面目な話しである。
言葉の端々にも興奮がうかがえるのは、まさにそのためでもあった。
「どうだろう、身をもって実感してもらえたかな? 標的を餌で釣っておいて油断を誘い、懐に入ったところで一気呵成に打ち破る。それこそが、この釣り野伏せの醍醐味ってやつなんだ」
過去に読んだ史料や小説から思い描いていたものとは随分と違ってしまったが、かくして一刀による釣り野伏せの披露は成功したのである。
「あのー、ご主君さま……」
快楽により頬を赤く染めながら、程昱は一刀のことを呼んだ。
どうしたのかと青年は尋ねるが、少女からすればそれどころではない。痛撃を受けて火照った身体は、愛する人の精液を求めて発情を強くしているのだ。
「見事に釣られてしまった風と稟ちゃんは、このままどうされてしまうのでしょうかあ……? もしかするとこのまま生殺し、なんてことはありませんよね?」
程昱は懇願するような視線のまま、一刀の脛を使って陰部からぬちゅぬちゅと粘っこい音を立てる。
そこから溢れるねっとりとした愛液の感触は一刀にも充分に伝わっており、早く絶頂させてほしいという思考がストレートに表されているようでもあった。
「まさか。かわいい二人をこんな状態で放っておけるほど、俺も悪人じゃないさ。せっかくだから風と稟の気持いいところ、同時に感じさせてもらおうか」
そう言うと一刀は少女たちを寝台にあげ、折り重なるように寝そべらせていく。
動きの流れで下になった郭嘉の服をはだけさせると、程昱は貝合わせの要領で互いの秘裂を擦り合わせた。
「どっちのおまんこもぐしょぐしょになってて、待ちきれないって言ってるみたいだね。それじゃ、いくよ……」
すっかり濡れてしまい役目を果たすことのできなくなった下着を剥ぎ取って、一刀は二人の割れ目の間に肉棒を挿入していく。
たっぷりと潤った上下の壁をじっくりと味わいながらかき分けると、丁度郭嘉のクリトリスを押しつぶすような形となった。
「あ゛あ゛っ……、ぐうっ」
急激に快楽をもたらされた郭嘉は、くぐもった声を喉奥から嗚咽するように響かせる。
「稟、とってもいやらしくてかわいいよ。でも、このくらいじゃ満足なんてできないよね」
そのまま一刀は背後から程昱の唇を奪うと、腰を使って合わさった秘裂をぐにぐにとさらに強く擦っていくのである。
「ん……ちゅぱっ……。ご主君さまに口づけされながらおまんこいじめられると、お腹の奥がきゅうってなっちゃうのですよお」
「ああ……、そんな風ばかり……。一刀さま、どうかこちらにも……んっ……ちゅる……」
唇を離されると程昱は一瞬さみしげにあっ、という表情となったが、キスができない代わりにと一刀は服の中に手を入れると胸をまさぐった。
一刀はまだまだ成長途中といった胸をやんわりと揉み込みながら、興奮で勃起した乳首を指でいじってやるのである。
そうして程昱のかわいらしい悲鳴を耳で受け止めながら、青年は郭嘉の縦横に動く触手のような舌を捕まえにかかったのであった。
「稟も風もすごいよ……っ。あれだけ濡れてたのに、いくらでも溢れてきて……!」
「一刀さまのおチンポ、こうして擦られているだけなのにすごく気持がいいのです……っ。それに風の身体もとても熱くて、これで感じないほうがどうかしています……、んんっ!」
「あはあ……っ、ほんとに稟ちゃんすごいですねえ。やあっ……ご主君さま、そんなに風の胸の先っぽで遊ばれてはぁ……」
少女らの痴態によって充血した肉棒は、にじみ出る愛液を泡立てながらなおも責め立てることをやめはしない。
亀頭からびりびりとした快楽の信号が走るたびに、一刀の内側でふつふつと欲望の種がふくらんでいく。
――早く二人のことを、煮えたぎった精液でどろどろに汚してしまいたい。
そう決意した一刀はふるふると揺れる程昱の小ぶりな尻を両手で握り込むと、射精目掛けてラストスパートを開始していくのだった。
「んはあ……、んぐ……う。おチンポのごりっとした部分が、わたしの敏感なところを擦って……ひゃう……あああぁあああ!」
「おちんちんさんが熱くて、風はもう我慢できそうにありません……。はあっ……、稟ちゃん……、ちゅう、ちゅぷ」
目の焦点を虚ろにさせて、程昱は倒れ込むように郭嘉と唇を合わせる。
大切な友人である少女とのキスは、恋人同士のものとはまた違った興奮を呼び起こす。感極まったように二人は夢中で舌を吸い合って、絶頂へと突き進んでいくのであった。
「はあ……、風……。んむ……んんっ……」
「いいよ、二人とも……! 俺もこのまま……」
郭嘉と程昱を絶頂へ導こうと意識的にコリッとした肉芽を突きながら、青年は込み上げてくる射精感をコントロールしている。
しばらく一刀は寝台にほのかに咲いた百合の花を楽しげに眺めていたのだが、やがてそれも終わりの時を迎えるのであった。
「くうっ……、はああぁああああっ……。一刀さま、来てくださいっ。わたしは、もう……っ!」
「ご主君さまのとろとろの精液、風たちにかけてほしいのですよお……っ」
「ああ、俺もさすがに限界だ……っ。どうせなら、三人で一緒にっ!」
一刀が最後の一撃を強烈に見舞うと、我慢の糸が切れた少女たちは嬌声を上げながら意識を快楽で染め上げていく。
「ぐうっ……。出るっ……!」
痙攣してさらに気持ちよさの増した割れ目のサンドイッチから肉棒を引き抜き、一刀は二人の顔目掛けて射精を行った。
洪水の如く飛び出した射精の波は郭嘉と程昱を襲い、その顔面を真っ白に変えていく。
「わぷっ……!? ひゃう……!?」
「もっと……、もっとたくさんわたしの顔にください……! 一刀さまの匂いで、全部染め上げてほしいのですうぅう!」
顔中どろどろになるまで精液を受けてなお、郭嘉は悦楽の証を欲していた。
眼鏡のレンズまで白濁で塗り上げられたその姿は非常に刺激的であり、一刀が竿をしごくスピードも加速していく。
「稟の好きなだけ出してあげるから、しっかり受け止めてくれよ……!」
淫欲の権現と化した一刀の身体からは、どこにそれほど溜めていたのかと聞きたくなるような量の精液が放たれていった。
二人は顔を受け皿にして精液を恍惚として浴び続け、いつ終わるとも知れない淫欲の波に身体を預けていたのである。
「――ふうっ……はあっ……。ご主君さまのこれ、相変わらずとんでもない量と粘りなのですよお」
「ほんとうですね……。ん、ちゅ……。ですが、そうでなくては我らの主君など務まりませんから」
程昱はかわいらしい手のひらの中で出された精液を弄び、郭嘉は眼鏡に付着したものを美味そうに舐め取っていた。
勢いのままに出し切った一刀は少々疲労を感じていたが、寝台で胡座をかいて少女二人の肌の感触を楽しんでいる。
揃いも揃ってこのような状態であるため、三人共動き出すには多少の時間が必要であろう。当然参軍二人には、一刀に今日一日急ぎの用事がないことは計算済みであった。
「もうちょっと、このままのんびりとしていようか」
そんな予想通りの言葉が一刀から出ると、郭嘉と程昱はしめしめと笑いあったのである。
同日の夕刻。たまたま城壁の近くを通りがかった一刀は、階段を上がっていく人物の白い着物の一端を見た。
その少女のことで今朝はわずかばかり気を揉んだのであるが、ふとその行方が気になった青年は影の跡を追うように自らも段を登っていったのである。
「おっ……、やっぱり星か。こんなところでどうしたんだ?」
「おや、これは北郷殿。いやはや、あなたも何気に素晴らしい嗅覚をしておられる。ですが、少しばかりお待ちいただきたい」
一刀が追いかけた少女の正体は趙雲であった。
普段は気さくできっぷの良い少女ではあるが、いまはなにやら考えごとをしているらしい。
「もしかして、お邪魔だったりする? それなら俺は、これで戻ることにするけれど」
「いえ、そうではないのです。ただし北郷殿の返答によっては、すぐにでも立ち去っていただくことになるやもしれません」
瞬間、武人の顔となった趙雲に、一刀は思わず背筋をピンと伸ばす。
人気のない城壁の上を、真剣を使った立ち合いさながらの雰囲気が包んでいる。
――趙雲からこのような闘気を向けられたのは、そういえばあの日以来になる。そんな思いが一刀のなかを過ぎったのであるが、いまは思い出に浸っている場合ではない。
「わかった。星の話を聞かせてくれ」
ここに対峙する二人は、見事な夕日に照らされて赤く輝いていたのであった。