北郷殿に触れられているところが、切ないほどにうずいてしまっている。
稟も風も香風でさえも、この方の手管に蕩かされてしまったのだろうか。そのようなくだらないことを考えてしまうほどに、わたしは昂ぶってしまっているのだろう。
「あの……、北郷殿……っ」
星、星、と耳元で何度も真名をささやかれると、それだけでうっとりとした気分に浸ってしまえるようだった。
このままでは、もうどうにかなってしまう。
たまらなくなったわたしは北郷殿に懇願するような視線を向け、一時の休息を求めてしまった。
「ごめん、ちょっと急ぎすぎたみたいだね」
わたしの様子に気づいた北郷殿は、手を止めるとバツが悪そうに苦笑している。
――そのような顔をされては、こちらも心苦しくなってしまうではないか。
有無を言わせない強引さの裏側に、こうしたかわいげのある部分も存在している。そういうところが、このお方の魅力のひとつでもあるのだろう。
「はむ……、ちゅる……、ちゅう……」
お詫びというわけではないが、今度はこちらから北郷殿の口を吸う。
たどたどしい動きだと思われてもいい。いまはただ、湧き上がる感情をぶつけることが正しいことのように感じていた。
「不躾な話なのですが……」
わたしが口づけを止めて言葉を発すると、北郷殿はきょとんとした表情で見つめ返してくる。
そのように
「わたしだけ北郷殿などと呼ぶのも、なにやら他人行儀なようで」
「なんだ、そんなことか。うん、それで?」
北郷殿は、わたしの話の意図がわかったのだろう。くすりと笑うと強ばるわたしをからかうかのように、鎖骨のあたりを舌でくすぐってきているのだ。
「一刀殿……と、そう諱で呼ばせていただいてもよろしいでしょうか」
天から来た北郷殿にとっては、真名と同じような役割を果たすその諱。胸の内で数度呟いてから発してみれば、それだけで高揚してしまえるようだった。
「そんなのいいに決まってるだろ? むしろそう呼んでもらったほうが、俺は嬉しいんだから」
ゆっくりと顔を上げた一刀殿は、さも当然といった様子で呼び方を変えることをすんなりと受け入れてくれる。
本当に、このお人は……。
「んっ……、一刀殿……」
ぬらりと舌を絡め取られ、一刀殿の唾液をたっぷりと味わわされる。与えられるままに飲み下せば、媚薬混じりなのかと疑ってしまうほどに興奮を誘われ、さらに深いつながりを求めてしまうのだ。
「はあっ……ちゅぷ……んんっ……」
口づけを続けている間に着物をはだけさせられ、夜のひんやりとした風がわたしの肌を撫でる。
一刀殿に見られている。そう思うほどに身体が熱を持ち、ぼんやりとした霧が思考を覆っていくようだった。
「綺麗だよ、星。空に浮かんだ月にだって、少しも負けていない」
「また……お戯れを……っ」
赤子のようにわたしの乳先に吸い付きながら、一刀殿はもう片方の胸を掬うようにして揉んでいる。
話には聞いていたが、やはり男とは女性の乳房に惹かれる生き物なのだろうか。
そこは一刀殿も例外ではないのだろう、先程からちゅうちゅうと音を立てながら乳頭を吸っており、その姿になんとなくわたしは保護欲を駆り立てられるかのようだった。
「ふふっ……。んっ……ふあ……っ」
くすぐったさと気持ちよさ、その両方が同居した感覚が生み出されている。自分でも遊びで胸に触れてみたことはあったが、いまのような気分になるのは初めてだった。
「星の乳首、しっかり固くなってるね。ぷっくりしていてかわいいよ」
二本の指でくりくりとこね回されて、不思議な痺れがわたしを支配しようとする。きっとこれが、感じているということなのだろう。
「一刀殿がそのようにされるからです……っ」
わたしの羞恥しているところをもっと見たいというように、一刀殿は唇と指で巧みに快感を引き出しにかかってくる。強弱の緩急をつけてこねられるほどに、乳房の感度は上がっていくようだった。
「あっ……、いやっ……!?」
なにやら股の部分から、もぞもぞとした感覚が伝播してくるようだ。
よもや、このような場面で粗相をしてしまったのだろうか。一刀殿に悟られぬように恐る恐る下着を確かめてみると、小水とはまた違うねっとりとした水気でそこは湿っていた。
「そろそろ、そっちを触ってもいいかな。俺と星がつながる部分だから、よく濡らしておかないと」
「えっ……? ひゃっ」
本当に、こういうところばかり目ざとい人なのだから……!
生娘染みた情けのない声を上げてしまい、赤面してしまっていることが自分でもよくわかる。
一刀殿はぬかるんでしまったそこを数回撫でると、わたしの耳元で小さく言葉を紡いだ。
「星、結構感じやすかったりして……? 下着の上からでも、濡れてるのがよくわかるくらいだ」
「知りませぬ、そのようなこと……」
わたしがそう言ってそっぽを向くと、一刀殿はガサガサと自身の着衣をいじりだす。なにをされているのだろうと横目で観察していると、立ち上がった一刀殿はいきなり袴をずりおろされたのだった。
「な、なんと……」
そこから現れた大きな逸物に、わたしはつい目を見開いてしまう。
女人の細腕くらいはあるのではないか。そう錯覚してしまうほど反り立った幹は太く、たくましいのだ。それに先端は見たことのない形をしているが、大きく張り出した傘のような部分から、言葉に出来ない類の力強さをわたしは感じさせられていた。
そんな息を呑んで硬直するわたしの顔に触れながら、一刀殿は興奮の入り混じった声で語りかけてくる。
「星のそこが興奮して濡れてしまったのと同じだよ。俺のここもはやくひとつになりたくて、うずうずしてしまってる」
「し、知っています、そのようなことくらい……。そんなにされたいのであれば、さっさと致されればよいでしょう。ほら……っ!」
房事に関する知識の薄さを見透かされているようで、わたしはつい意地を張ってしまう。こんなことならば、愛紗あたりを焚き付けて詳細を聞き出しておくべきだったか……。
「ありがとう。でも、無理したらダメだからね。辛かったら、そこでやめるから」
天の御遣いを表す羽織の上に寝かされたわたしは、捌かれる直前の魚となんら変わらぬのではないだろうか。そんな馬鹿らしいことを想起したくなるほどに、全身が緊張してしまっているのだろう。
「あっ……、一刀殿」
月の光を遮って、筋肉質な身体が被さってくる。
なぜだろうか。一刀殿の姿は普段よりも大きく、悠然としているようにわたしの目には映っていた。
「いくよ、星。なるべく力は抜いておいて」
さすがのわたしにも、これからどういった行為が行われるかといった見当はついている。
女陰に擦り付けられる逸物は熱く、一刀殿の欲情を明らかにしているかのようで。わたしのそこは、先からその求愛行動に本能的な反応を示してしまっていたのだった。
「は……いっ……。覚悟は……、できておりますから」
わたしの言葉にうなずいた一刀殿は、ゆっくりと逸物の先端を入り口へと押し付けはじめる。
あれほどまでに太い逸物が、わたしの中に入ってくる。本当に受け入れることができるのか心配になってしまうが、ここから先は一刀殿にお任せする他ない。
「ぐっ……、ああっ……これぇ……っ」
あのふくれた先端が、股を割り裂くようにして入ってきている。
戦場において、これほどまでの痛みを伴う傷はいまだ負ったことがない。そう断言してしまえるくらいに、貫かれた女陰からは痛みが走っていた。
「はっ……、ううっ……、
「星、平気か? 辛いなら一度……」
当然、優しいこの方はわたしの様子から交わることを中断しようとする。
だが痛みとは別に、好いた人に抱かれる悦びが少しずつ湧き出していることも確かなのだ。
「お願いです、一刀殿……っ! こんな時代にあって、我らはいつ離れ離れになるやもしれません。だからこそ、このうたかたの逢瀬を大切にしたいのです……」
いまこの夜は平穏であっても、明日になればどう転ぶかわからないというのがこの国の真実だろう。幽州にあった大きな反乱の芽は摘んだといっても、いつまたどこで種が芽吹くとも限らない。
それに、一刀殿はこの地にいつまでもいるようなお人ではない。そんな予感が、わたしの頭の片隅には存在しているのだ。
「……わかったよ、星。なるべく気が紛れるように頑張るから、ちょっとの間我慢してくれ」
「はい、お任せください。この程度の苦難を越えられぬようでは、趙子龍の名折れとなりますから」
内に入り込もうとする逸物から来るびりびりとした痛みだけではなく、今度は口づけによる甘い痺れも加わっている。わたしは一刀殿の唇を深く吸い、そちらだけに意識を向けようとしていた。
「んっ……一刀……はむっ……殿っ。もっと、んちゅる……はうっ……」
「その調子だよ、星。いまは気持ちよくなることだけを考えてくれればいいから」
わたしが呼吸をする間隔に合わせて、少しずつ一刀殿が腰を進めてくる。あまり見たいとは思わないが、広げられた入り口はみっちりと大きな逸物を咥えていることだろう。
「はあっ……。ほんとうに、容赦のない太さをしておられるのですから……っ。いま少し、手心を加えていただいても構わないのですがっ……」
「ごめん。星がかわいすぎて、小さくするのはちょっと無理かも……っ」
そんな風に言われてしまったのでは、こちらとしては耐え忍ぶしかなくなってしまう。
まったく、一刀殿はこともなげにこうしてわたしの急所を突いてくるのだから、瞬時も油断することができない。
そうこう話しをしている間にも逸物は随分と深くまで侵入してきており、その熱さによってわたしは内部を収縮させてしまう。その動きがよかったのか、一刀殿は色めいた吐息をもらし、わたしの首元に顔を埋めている。
甘えられているようで幾分嬉しく思えたというのは、内密にしておくべきだろう。
「星の中がきゅって締め付けてきて、俺のことを捕まえに来てるみたいだったよ。どうだろう、少しくらい慣れてきたんじゃないか?」
「む……? そう言われてみれば、あの泣き叫びたくなるような痛みはなくなりましたな。この短時間でわたしの身体を籠絡されるとは、さすがのご手腕」
軽口を叩くわたしの頭を二、三度撫でると、一刀殿は再び口づけを所望される。
その動きといえば口内の舌をたっぷりとかわいがられるようであり、ともすればそれだけで気をやってしまいそうな具合だった。
愛のこもった情交とは、こういうことをいうのかもしれない。そんな市井の年頃の娘のようなことを考えてしまい、わたしはまたしても頬を熱くしてしまう。
「少しずつ動いてみるよ? 苦しかったら、すぐにやめるから」
「はい、どうぞ……。くっ……、はあ……っ。これ、すご……んんっ……!?」
自分では触れることのできない身体の奥深くまで、一刀殿によって貫かれている。長い逸物を引き抜くような動きをされるだけでも、全身が総毛立ってしまうようだ。
「このような感覚、味わったことがありませぬ……。これが、男女の営みというもの……」
一刀殿とつながるほどに、五感がすうっと研ぎ澄まされていく。一刀殿の興奮に染まった息遣いも、腰に備えた槍を突き出してくる筋肉の動きさえも、はっきりとわかってしまうのだ。
「星の中、さっきよりずっと濡れてきてる……。我慢してあげたいけど、勝手にスピードあがっちゃうかも……っ!」
腰を擦りつけるように動かしている一刀殿は、辛そうに顔をしかめて歯を食いしばっている。
気を遣ってくださっているが、すでに荒々しく逸物を打ち付けたくて仕方がないのだろう。
「はあっ……くっ……、星……っ」
消え入りそうな声で真名を呼ばれると、頭の中がカッと熱されていくようだった。
一刀殿のことを考えるほどに切なく中心が疼き、強く愛されることを願ってしまう。
「大丈夫です」
「あっ……、星?」
一刀殿の顔を両手で捕まえ、しっかりと視線を交わす。
どうであろう、いまのわたしは、上手く微笑むことができているのだろうか。
「平気ですから、どうか一刀殿のされたいように……。わたしもいい加減、じれったくなってきたのかもしれません」
わたしがそう言うと、惚けたような表情で一刀殿が「いいの?」と聞き返してくる。ここにきてようやく一本取れた形となり、わずかな満足感が胸中に生じていた。
「ください。あなたの衝動も劣情も、すべて受け止めてみせますから……」
瞬間、それまで優しげに揺れていた一刀殿の瞳に、獰猛な光が宿ったようにわたしには思えた。
「一刀殿……っ、あっ……!? ぐっ……、ああぁああっ……!」
きっとそれは、勘違いや見間違いではなかったのだろう。
ゆるゆるとした動きをやめ、大きく躍動し始めた一刀殿はいかにも楽しげなのだから。
「これはなんと……、はあっ……。無理やり奥までねじ込まれているようで……、くううっ!?」
強弓から引き放たれた一撃を浴びるほどに、熱く、熱く、熱く身体を熱せられてしまう。
肉欲に喘ぐ獣のように声をあげ、残った意識を使い一刀殿の手をわたしは握る。
「どうか離さないでくださいませ……。でなければ、真に狂ってしまうやもしれませぬ」
――心配ない。
短く断言しながら、一刀殿はしっかりとわたしの手を掴んだ。
「星はちゃんと、ここにいるから。それに俺も……ね」
手のひらがぴたりと合う。やはり温かい手だ。
荒々しく責め立てられているというのに、こうしているだけで心がやわらいでしまう。
「はいっ……、一刀殿……っ。ああっ……またっ……!?」
奥までずるりと滾った逸物を挿入され、そのままコツコツと中心部を何度も小刻みに突き上げられる。
その度に脳内ではバチバチと火花が散り、これまで知ることのなかった快楽を呼び覚まされていった。
「たまらないな、星のなか……っ。さっきからチンコにおねだりするみたいに、きゅうきゅう締め付けてきて」
自分ではよくわからないが、どうやらわたしの身体はより大きな快感を求めて一刀殿に食らいついてしまっているようだ。
よくよく考えると恥じらいもなにもあったものではないが、肌を合わせているという状況がそうさせるのだろう。
事実、鉄芯のような逸物が入り込んでいる内側だけでなく、一刀殿と触れ合っているところ全てが心地よいのだ。
「どこもかしこも、疼いてしまって仕方がないのです。佳き男と交わるというのは、こうも……っ!?」
思考が爆ぜるような感覚に再度襲われ、わたしは背筋をつんのませてしまう。
「まだまだ、こんなもんじゃない」
汗の滲んだ両の手を結んだままに、一刀殿が胸と胸を合わせるようにして体重をかけてくる。
ぐっと身体が圧迫されてしまうが、決して嫌な重みではない。これはまるで征服されているようでもあり、手放さぬよう強く抱かれているようでもある。
「ふああっ、んっ、ううっ……!? 一刀殿のものが、ごりごりわたしの中をえぐって……!」
体内で感じる一刀殿の逸物は、交わり始めた頃よりも明らかに太くなっていた。凄まじい密着感にわたしは喘ぎ、悦びの涙で目の端を濡らしている。
「一刀殿のものがすごすぎて、わたしも、もうわけがわからないほどで……っ」
快楽に流されそうなわたしの耳に入るのは、肌のぶつかり合う乾いた音のみ。このまま最後の一本まで理性の糸を切ってしまえば、どこまでいけてしまうのだろうか。
「そのまま、俺のことをしっかり感じてくれればいい。星のことは、ずっと捕まえていてあげるから」
なりふり構わずコクコクと首を動かし、わたしは一刀殿の言葉に甘える。
先程から激しく擦られる度、すっかりわたしの中は弛緩と緊張を繰り返してしまっていた。それがどういった理由からなのかはわからないが、とにかく時折天にも昇る心地になってしまうのだ。
「んあっ、ひゃ……ううううぅううううう……あぁああっ!」
言葉を知らない幼児のように声をあげながら、わたしは一刀殿の手をさらに強く握る。すると一刀殿はなにかを察したのか、さらに腰を素早く振り出した。
「こっちももうちょっとだから、少しだけ我慢してくれ……! 星の感触、しっかり覚えておきたいんだ……!」
「はあっ、はあっ……、くふうぅう……!?」
恐ろしいことに、逸物はさらなるふくらみを見せているようだ。一刀殿の低い慟哭を聞くわたしは、すっかり逸物が与えてくる快楽の虜となってしまっているのだろう。
「あっ……!?」
意識が弾けてしまうような感覚。わたしの表面を焼けたように熱い汁が覆ったのは、その瞬間だった。
「ぐうっ……、星……っ」
まどろむような視界の中にあって、白く濁った汁が飛散していく様だけが見えている。そしてそこから漂う鼻をつく青臭さだけを、わたしは鮮明に記憶することができたのだった。
――星。ねえ、星。
誰かが、わたしの真名を何度も呼んでいる。そう連呼されなくても、充分に聞こえているというに。
――星、平気か。俺のことわかる?
温かな声だ。気怠さを感じる身体に、その声がじんわりと染み渡っていくのは気のせいなのだろうか。
「んん……、一刀……殿」
「よかった、気がついてくれて。寒くないか?」
目を擦ると、ぼんやりと視界が開けてくる。
なんだ、わたしは気を失ってしまっていたのか。しかし、なにゆえ……。
「かわいかったけど、少し無理をさせちゃったね」
その言葉を聞いて、わたしの意識はようやくはっきりとしていった。
そうか、一刀殿に組み伏されて、あのままわたしは果ててしまっていたのか……。
「一刀殿。なにからなにまで、申し訳ありませぬ」
見てみれば、はだけていたはずの着衣が元に戻っている。その前に身体も拭いてくれたのだろうから、後始末をすべて任せてしまった形だった。しかも、このように介抱までさせてしまうなどと。
「いいって。だいたい俺が加減できなかったせいなんだし、おあいこってことにしておいて」
「はい、ならばそういうことにしておきましょう。して、そういえばこの感触は……」
よく確かめてみると、いま後頭部に感じているのは板張の硬さではない。となれば、たどり着く答えはひとつしかなかった。
「女の子みたいにやわらかくはないけど、そのまま寝かせておくよりはましだろうと思ってさ」
半分ほど寝返りをうってみれば、筋肉のしっかりとついた太ももの形がよくわかる。男女反対の構図はよくあるが、こうされるのも悪くないものだ。
「滅相もない。とても、気持ちの良いものです」
手を伸ばせば届く場所に、愛し合ったばかりの人がいる。ただそれだけのことが、これほどまでに喜ばしいこととはわたしは知らなかった。
「ん……、どうかしたの?」
思わず指で、一刀殿の頬にそっと触れてしまう。返ってきたのはやはり優しげな声色で、ついわたしは小さく笑ってしまった。
「いいえ、なんでも」
じゃれ合うように、わたしと一刀殿の指が交差している。絡まりそうで絡まない指は、もしかすればいまの心中を表しているのかもしれない。
――いつの日か、今日ここで結んだ契りをより深くする時が来るのであろうか。
そんな遠きことを考えながら、わたしは逢瀬の最後のひとときを楽しんでいたのだった。