逃避行の汚れを洗い落としてきた三姉妹は、一刀のいる天幕に戻るとかしこまって礼を述べていく。長姉は劉備にも似た明るい桃色の髪をたらりと垂らし、深々と腰を折っていた。
彼女が頭をあげると、見事な大きさをした乳房が一刀の目に飛び込んでくる。いちいち興味を惹かれていてはキリがないという気もするが、性欲旺盛な天の御遣いとあっては無視できない存在なのであろう。
「わたしの名前は
「えっ、張角だって……!?」
劉備が程昱と郭嘉を呼びに行っているために、天幕内には三姉妹のほかには一刀ひとりである。
長姉が口にした名というのは、史実において黄巾党を率いた三名のそれで間違いないであろう。これには一刀も理解が追いつかなくなりそうになったが、天の御遣いという異分子がいる時点でこの世界は正常でないともいえる。
それに、自身の幕下にはすでに蜀や魏の柱石となるはずの将たちが同居しているのだ。なので史実との差異に関してはこれからも出現するであろうし、これはただの一例にすぎないのかもしれない。
(どうりで、いままで張角たちの名を聞かなかったはずだ。しかも彼女たちがあんな奴らに追われれていたとなれば、別に首謀者がいるってことにもなる)
小難しそうな顔をして黙り込んでいる一刀を見て、張宝は不安気に表情を曇らせている。
まだなにも彼の口から聞いたわけではないが、この数日おかれていた環境のせいで思考がネガティブに寄ってしまっているのだろう。先ほどの兵に顔を知られているかもしれないという恐怖心が、そこへさらに拍車をかけてしまっている。
「ね、ねえっ……、どうかしたの?」
「ん、ああ……すまん。ちょっとばかし考え事をね」
こわごわと様子をうかがう張宝だったが、一刀がはにかんで見せると少しほっとしたように息をもらした。
それからはしばらく、あえて少女らの事情に踏み込むこともなく雑談が続く。
「そう、あなたが噂の天の御遣いだったのね。陣のあちこちに変わった旗が立っていたから、もしかしてとは思っていたのだけれど」
「天の御遣いっていうとあれだよね? なんでも、三度の飯より女の子が大好きっていう……」
「なんだよそりゃあ……。稟と風め、恨むぞ……」
なにかと女性に関する伝聞ばかり広がっていくのは、郭嘉と程昱のどちらかの仕業によるところが大きいのであろう。それどころかむしろ両方のせいかとも一刀は思ったが、三姉妹にとってそのあたりは当然埒外のことであった。
追っ手から庇護してくれた男が天の御遣いだったと知り、張梁は眼鏡の奥の視線をわずかに鋭くしている。
この奇異なる男が自分たちの助けとなるか、それともその逆となってしまうのか。そのことだけが、いまの彼女にとっての関心事なのであった。
「ふわあ……あふ……っ」
「ちょっと、天和姉さん……」
気の抜けてしまうような姉のあくび姿に、張梁は思わず頭を抱えてしまう。そのポーズがやけに堂に入っているのは、普段からこうしたことがよくあるからなのだろう。
逃避行の最中は常に気を張っていたせいもあるが、張角は早くも気を許してしまっているらしい。姉のペースが戻ってきたこと自体は喜ばしいのだが、張梁はもう少し北郷一刀という人物を見定めたいと考えている。
「姉さんはこの通りだし、特に用がないんだったらちぃたち早く休みたいんだけど……」
いらぬ詮索をされたくないという考えがあっての発言ではあったが、心底疲れているのもまた事実なのである。こうして立っているだけでも全身が鉛のように重く感じられてしまうし、平静を装っているが張梁もここに来てから何度かあくびをかみ殺していた。
「ん……、それもそうか。寝る場所は用意するように言ってあるから、少し待っていてもらえるかな。それまで、そのへんの空いてるところに座ってくれたらいいよ」
一刀の言葉に従って楽な姿勢でいると、余計に眠気が三人を襲ってくる。
なにはともあれ、ここまで逃げ切ることができたのは紛れもない事実なのだ。誰も欠くことなく、こうして姉妹揃ってうとうととすることができている。
やがて案内された狭い天幕に身体を押し込めるように並んで寝転ぶと、誰からとなく「すうすう」というかわいらしい寝息が聞こえ始めたのであった。
夜半。参軍のふたりと張角らについて軽く協議を交わした一刀は、戦闘を行ったせいもあってかすぐに眠りに落ちていた。
そんな彼が寝息をたてている天幕の入り口に立つ影がひとつ。小さな影は一度周辺を確認すると、意を決したように拳を胸の前で握る。
「ふ……ふふ……。へーきよ、わたし。いくら天の御遣いっていったって、所詮は男に過ぎないんだから」
するりと内部に入り込んだ人物は、ぶつぶつとそんなことを呟いていた。
その様子から推測するに、どうやら一刀を害しに来たというわけではなさそうである。
「ねえ、起きてよ。ねえってば……ね……えっ!?」
その人物は寝ている男の横で膝立ちになると、その身体を揺さぶろうとした。すると寝返りを打ち仰向けとなった一刀の身体から、黒い棒状のものがにゅっと飛び出していく。
得物を抱いて眠っていたのは野営中という事情があってのことなのであろう。しかし黒鞘を首筋に当てられたほうは生きた心地がしないらしく、出てくる声もすっかりかすれてしまっている。
「わ、わたし……ちぃだよお。変なことしにきたんじゃないから、これ……どけてえ……」
「ごめんごめん。ほんとに寝首をかかれちゃ困るから、一応……ね」
涙目になって本気で懇願する張宝からは、殺気の欠片すら感じることはできない。別れ際に賈駆が言っていたこともあってとりあえず警戒してみせたが、逆に悪いことをしてしまったようでもある。
「それで、どうしたんだ? 殺しに来たんじゃないにせよ、俺になにか用件があったんだろ?」
「ん……、こほんっ。どうかしたっていうかあ……、ふふっ」
気を取り直して張宝はくすりと笑うと、身体を寄せて一刀の右肩にしなだれかかった。
どうやらこうすることが当初の目的だったようで、どこか演技じみた感じはするが本人はいたって真剣そのものである。
すりすりと肩に頬ずりをし、艶本の女のように男を魅力で惑わそうとしているのであろう。そうしていると、少女らしい甘い香りがふわりと男の嗅覚をくすぐるのである。
「えへへっ。命の恩人である御遣いさまに、ちぃ……お礼がしたいなーって。あなたもこういうことするの、好きなんでしょ……?」
どうやら張宝は、昼間の礼を返すためにおのれの身体を使おうとしているようであった。肩にかかっていた腕は少しづつ下の方へと向かっていき、いまでは
せっかく本人がそうさせてくれといっているのだから、普段であればこの好色の御遣いは受け入れたことであろう。しかし、このときばかりは彼もすぐには首を縦に振ろうとはしなかった。
「……どうした、怖いのか? だったらなんで、こんな風に男を誘おうとする」
自身の腿を撫でる手がわずかに震えていることを見逃す一刀ではない。
ここ数日たまたま誰とも肌を合わせていないとはいえ、怯える女を抱いたところでいったいなにが満たされるというものか。
張宝のひんやりとした右手を左の手で包んでやりながら、一刀はその瞳を覗き込んだ。
「な、なんでってそれは……。あっ、ひゃっ……!?」
思わず逃げようとした少女の腰を抱き寄せたのは、離さないぞという意思表明でもある。
張宝はそのせいで余計に恐怖をあらわにしてしまっているのだが、事情を聞くにはこうするほかにない。
「俺がきみたち姉妹のことをどうにかすると考えているのなら、それは思い違いだよ。だいたいそんなつもりだったら、こうやって陣内で自由にさせるはずがないだろう?」
「う……、たしかにそうかも……」
少し落ち着いてきたのだろう。身じろぎをやめた張宝は、素直に一刀の言葉に耳を傾けている。
「だからそのために色を使おうっていうのなら、俺は遠慮しておくよ。
一刀はすでに、三姉妹たちから真名を許されていた。張角が
「ふ、ふーん……、優しいんだね、あなた。ちぃ、なんだかほんとにドキドキしてきちゃったかも……」
「ん……、そうか? そうだったら、俺も嬉しいよ」
自分たちの身を守るため、色仕掛をしようとしていたときには湧くことはなかった感情。それに触れ、張宝は鼓動を高鳴らせつつあった。
「ねっ……、一刀って呼んでもいい? だめ……かな?」
すぐに呼び名のことを了承した一刀は、先ほどまでは張宝の腰を拘束していた右手でその頭を撫でている。
張宝は手のひらの感触を気持ちよさげに受け入れると、小動物のようにかわいらしく声を出した。
「ちぃ、口づけ……してほしい……。あっ、んっ、ちゅ……ちゅっ」
キスを強請る張宝の声音は、実に甘ったるい。こういう小悪魔的な要素は、彼女が元来有しているものなのであろう。
求められるがままに可憐な唇に吸い付けば、控えめな動きではあるがなんとか応じようとしてくるのである。そうしたところにもまた、一刀は強く心を惹かれてしまうのであった。
「ふうっ……あ、一刀……ぉ。はむっ、ちゅる……んんっ!?」
ちゅぱちゅぱと音を立てながら唇を吸う傍らで、一刀は細い腰に右手を回していく。すべやかな肌はさわり心地がよく、じっくりと撫で回すように体温を広げていった。
「ちゅぱっ、ふむっ……。一刀の手、あったかくて気持ちいいかも……」
「だったら、もう少し触れてもいいか? たとえば、こことかさ」
腰を撫でる手はそのままに、一刀は左手を使って張宝の胸のかたちを確かめている。姉である張角のように見るからに大きな乳房をしているわけではないが、優しく触ってやればしっかりとした弾力が手のひらに伝わってくるのである。
「ふうっ、やあっ……!? んっ、はあっ……」
手の中にすっぽりと収まってしまうサイズの乳房。それを服の上からむにむにと刺激しつつ、一刀は甘く蕩けた張宝の唇をついばむ。
張宝からしてみれば、さぞかしこの逢瀬を運命的に感じていることだろう。なにせ日中助けられた相手が巷で噂になりつつある天の御遣いで、その彼がこうして未経験な女体をリードしてくれているのである。
こうしたことに人並み以上の興味を持っていただけに、少女の気分は尻上がりに盛り上がりをみせていった。
「こうして、ちゅぷ……、舌を使ってえ……んむっ、んんっ……接吻するんでしょ……?」
恐る恐るといった様子で舌を絡ませてくる張宝の動きは拙かったが、それが余計に興奮を駆り立てる。腰に触れていた手をスカート状になっている着物の下から差し入れると、一刀は火照りかけた臀部を揉みしだいた。
「よく知ってるね。だったら地和の舌、もっと味わわせてもらうよ」
「んっ、やだあ……お尻に……っ。こんな、ふうっ……ぷあっ、しゅご……んんっ……!」
高揚していく感情のままに張宝の唇は唾液に塗れ、知らず知らずのうちに秘部にも染みが作られていく。
どちらかといえば幼さを残した顔つきをしているだけに、痴態がより目立つ格好となっているのであろう。恋人にしているかのように髪を撫で、時折破裂音を交えながら互いの唾液をないまぜにしていけば、覚えのいい少女の身体は面白いくらいに反応を示してしまうのである。
「はあっ、はっ……。一刀、わたし……」
「かわいいよ、地和。疲れてきただろうし、少し横になろうか」
そう言うと一刀は、少女を後ろから抱きかかえるようにして寝床へ背中から倒れ込んだ。小さく驚きの声を発した張宝であったが、それもすぐに別の声色へと変化していく。
左手で愛液の滲んだ下着越しに敏感な部分を擦られて、どうしても快楽による喘ぎを我慢できなくなってしまう。そうしたこともあっていじらしく指を食んでいる張宝を見て、一刀は慈しむようにその頭を抱いた。
「気持ちいいって声、ちゃんと聞かせて? 地和の感じる場所、しっかり知っておきたいから」
「んっ、ふうっ……! ふあっ……んくっ、んんっ……!」
服の上から乳房の突起を探り当てると、一刀はぐりぐりと押しつぶすように重点的に刺激していく。
なにもかも張宝にとっては初めてのことであり、喜びと快楽は混じり合って昇華させられていくのである。
「乳首、気持ちいいんだね。こっちも一緒にすれば、もっとよくなれるかも」
興奮気味に少女の耳もとでささやくと、ごつごつとした指が下着の隙間を縫っていやらしく濡れた肉へと到達した。
彼女の入り口は体格通りの狭さをしているが、愛液の滑りもあってすんなりと指を内部に迎え入れていく。一刀が負担をかけない程度に膣壁をコリコリと引っかくと、張宝は下腹部を震わせて快感をあらわにしたのである。
「ひゃあ……っ、それ……すごいよお!? 一刀の指がちぃのおまたくにくにってしてるの、はっきりわかるの……っ!」
「入り口がきゅうって締め付けてきて、離したくないっていってるみたいだよ? ここ、そんなに好きなんだ」
挿入をより深くしていくと、それと比例するかのように滲み出る愛液の量も増していく。ぬちゅぬちゅと内側をかき混ぜられる音を聞いて一段と気分を高揚させているのか、張宝は「ふうっ、ふうっ」と何度も腹で大きく息をする。
「あ、ああっ、うあああぁあああっ!? しょこ……きもひぃいい……。おっきなゆびでいじめられるの、ちぃ……しゅきなのお……!」
呂律の怪しくなってきた少女をさらに狂わそうと、蜜壺を愛撫する手は激しさを強めていった。それに加えていつの間にやら侵入していた右手が、熱を持った乳房を直接握りつぶしていくのである。
「地和のおっぱい、やわらかくていい触り心地だ。肌もすべすべだし、吸い付いてくるみたいだよ」
「ほんと……? 一刀にいやらしく触ってもらうの、わたしも好き……! だから、もっと……もっとしてえ……!」
秘所をいじられながら赤くなった乳首を摘まれ、張宝は感極まったような声で鳴いた。
上下揃って口はだらしなく開かれており、漏れ出る液体はぬらりと淫靡に光を放つ。小刻みな絶頂はすでに数回続いているようで、身体のほうはいつでもイケる状態になっている。
「これまで色々あったんだろうけど、なにも気にしなくていい。いまは思いっきり気持ちよくなることだけを考えればいいから」
コクコクと頭を振り、少女はさらに快楽に身を委ねていく
言葉によって最後の障壁を取り除いた一刀は、仕上げとばかりに敏感な箇所に愛撫を集中させていった。
「んくっ!? ああっ、ふわああぁああああああ……ッ! 一刀、それ……それえ……ッ!?」
「いいぞ地和、その調子だ。かわいくイクところ、しっかり見ておいてあげるからな……!」
「うんっ、うんっ……! ちぃ、もう飛んじゃいそうなくらい気持ちいいの……っ。ううっ、ひあっ……くあああぁああああああっ……!?」
びくんびくんと跳ねる身体を強く抱きとめながら、愛液のほとばしる膣内を指は走る。
未熟だったそこは急速に開花を遂げていき、ついには全身へと快楽の信号を行き渡らせてしまったのだった。
「かずとぉ、わらひ……、うあっ、んあうぅうううううううう……っ!?」
ぴゅるっ、ぴゅるっ、と数回愛液を噴出させながら、少女は甲高い声で美しく鳴いた。
浮き沈みしている女の腹部を撫でる一刀の手は嬉しそうであり、苦しみから解放された張宝のことを労っているかのようでもある。
「んん、あうぅう……、ふうぅううう……」
「どうかな、すっきりできた?」
絶頂の余韻でぼんやりとなってしまった頭を動かし、張宝はその質問を肯定した。どうやら全身が弛緩したせいか再び眠気がやってきたようで、受け答えはまばらなものとなっている。
「いいよ、このまま寝てしまっても」
「ん……すう、んん……かず、と……」
ゆっくりと身体を動かし、一刀は張宝を寝かしつけていく。
腕を枕として貸してやれば、かわいらしい寝顔が間近に見えている。そんな隙きだらけの額にちょこんと口づけると、くすぐったそうに彼女は小さく身じろぐのであった。
「……さて、こっちはどうしたものか」
相手は眠りについしまったものの、一刀の屹立した剛直は収まるはずもない。とはいえ、いまから己の手を使って鎮めるというのはなんともいえない虚しさがある。
「はあ……、しかたない……。久しぶりに羊でも数えていよう」
際限なく出現する脳内の羊は、それだけ煩悩が強力であることをあらわしているのだろうか。流れに任せて隣に寝かせてやったのだが、その後のことを考えれば大きな過ちだったのかもしれない。
「ううっ……、くそお……」
そのままひとり悶々とし続ける一刀であったが、百数頭を数えたあたりでその光景に靄がかかり始める。
そうして彼もまた、いつしか闇夜へと意識を落としていったのであった。