「か、勘違いしないでよねっ!」
「詠?」
「これは、そのっ……、そう! あの子の、月のためなんだからねッ。あんたが無茶苦茶なことをしないか……、えっと……、確認しに来ただけで……」
一刀の陣屋に来たのは自分のためでなく、董卓のためだ、と賈駆は宣言した。
唇には震えが見られ、両肩はすっかり萎縮してしまっている。身体の随所が、一刀と触れ合ってしまっている。思っていたよりも、ずっと分厚くて大きかった。
こんなところにまで来て素直になれない自分が、ひどく滑稽に思えてしまう。これではそのうち、ほんとうに愛想を尽かされてしまうのではないか、という考えが賈駆の頭によぎった。
恐る恐る、一刀の表情を伺ってみる。心底、楽しそうだった。きっと、なにもかも見透かされてしまっている。そう感じてしまい、賈駆は顔を背けた。
「月のためっていう割りには、緊張しているみたいだけど。そんなに力んでたら、確認するにも支障がでてしまうんじゃないか?」
「ちょっ、そんなとこ、やめ……、うあっ……!?」
一刀の右手が、小手調べだというように太ももを撫でている。たったそれだけのことなのに、敏感に反応を示してしまう。
本心では、触れてもらえることを期待していたのかもしれない。密着状態ではあったが、離れようと思えばいつでも離れられたのだ。
また、一刀の手が動いた。ももの肉を、揉んでいるようだった。
行き場をなくした頭を、仕方ないといった感じで胸の上に乗せてみる。温かい。耳をつけてみると、心臓の音がよく聞こえてきた。子守唄のように、感じてしまっているのかもしれない。
ついつい、表情が綻んでしまった。密着して身体を熱くしてしまっているのは、なにも自分だけではない。それがわかっただけで、安堵することができたのだ。
「ね、ねえ。こういうときって、もっと色んな場所……、触るんじゃないの?」
「さて、どうだろうな。たとえば詠は、どこを触ってほしいんだ? 教えてもらわないと、よくわからないかもしれない」
「は、はあっ!? そんなの、なんでボクが……。あんたみたいに何人も女を囲ってる男なら、そんなの知らないはずないじゃない!」
「それは、心外な言い方だな。みんなそれぞれ、同じことを求めているわけじゃないだろう?」
からかわれているとしか、思えなかった。いまもまた、足の肉で遊ばれてしまっている。なにも答えなければ、延々とそこばかり触れるつもりなのかもしれない。
これまで意地の悪いことを言ってきただけに、その意趣返しのつもりでもあるのだろうか。そう考えかけたが、ありえないとも思ってしまった。そのくらい、人のいい男であるというのはよく知っていた。
「あ、あたま……」
「うん、頭?」
「うっ、えっと……、撫でて、ほしいかも……」
ぽつりと呟いてしまったのは雰囲気のせいだ、と心中で言い訳をする。張飛や徐晃が頭を撫でられているところを、何度か見かけたことがあった。どちらも、とても幸せそうだったのだ。
誰かに頭を撫でられたことくらい、賈駆にだってあった。最近でいえば、盧植にもされたことがある。生徒に教えていた頃の感覚が、そのまま残っているのだろう。優しい手のひらではあったが、張飛たちのような気分が味わえているのかはわからなかった。
「よしきた。詠のお願いを聞けるなんて、滅多にないことだろうな」
「馬鹿なこといってないで、さっさとやりなさいよね……っ」
「わかってるって。それなら、早速」
手のひら。ゆったりとした、動きだった。髪を崩してしまわないように、気をつけてくれているのだろうか。
心が、じわりと休まっていく。感触に集中したくて、瞼を閉じた。何回も、頭の上を流れていく。
こんな提案をして、子供っぽいと思われているかもしれない。だが、そんなことがどうでもよくなるほど、夢中になってしまっていた。
自分の顔を見ることはできないが、ニヤけてしまっていることだろう。それを見られたくなくて、胸に顔をさらに埋めさせた。
「撫でるの、上手なんだ」
「詠のことを、大切に思っているからだよ」
ついつい出てしまった悪態は、その上をいく甘ったるい響きでかき消されてしまった。
大切に、思われている。普段であれば、そんな言葉は鼻で笑い飛ばしたかもしれなかった。ここでは熱を、想いを、直に感じさせられてしまっている。そうだったから、なにも言い返すことができなかった。
「ばか……」
「褒め言葉だって、受け取っておくべきかな」
しばらく、そのまま頭を撫でられていた。心地の良い状態のまま、二度寝をしてしまうのもありかと考えてしまうくらいだった。
だけれども、気づいてしまった。腹のあたりに、なにか硬い棒状のものが当たっている。言うまでもなく、一刀の男根だった。
「ねえ……。我慢……、してくれてたんだ。あんたのチンコ、馬鹿みたいに硬くなってるわよ?」
「バレてしまったのなら、仕方ないか。詠がこれだけ近くにいてくれてるんだ。興奮しないほうが、おかしいだろう」
「そうなんだ。ふうん……」
董卓のため。そう言って始めたことだったが、すっかり当初のことは抜け落ちてしまっている。
顔を上げると、一刀と視線がぶつかった。よく見てみると、その頬には傷跡ができてしまっていた。先日の戦で、負った傷なのだろうか。
身体を少し起こして、上の方にずれていく。なにをするつもりなんだ、と一刀の目が言っている。
「ちょっと、じっとしてなさいよね。はぁ、んっ……。ぺろっ、ちゅう……っ」
「くすぐったいよ、詠」
「いいから、あんたは動かないで」
傷跡に、舌を這わせてしまっていた。そうすることが、自然なように感じられていたのだ。
一刀が騎馬を率いて、敵軍の中を駆けていた、というのは賈駆も知っていた。大将自ら前線に出ることで、兵たちを鼓舞しているのだと思っていた。そういう果敢な戦い方は、賈駆も嫌いではないのだ。
それとは別に、心の奥が疼いてしまっている。つけられた傷が、大して深いものでなくてよかった、と安心してしまっている自分がいる。
唾液を塗り薬のようにして染み込ませ、丁寧に舐めあげていった。そのことを、一刀は喜んでいるようだった。
「詠にこんな風にしてもらえるのなら、たまには怪我もしてみるものだな」
「はむっ……。なに言ってんのよ、ばか……」
腹に当たっている例のものが、また硬くなっているような気がしていた。舐められて、興奮してくれているのだろうか、と思う。昂ぶっているのは、賈駆も同じだった。
一刀の右手が、するりとスカートの内側へと入り込んでいった。黒のタイツに包まれた尻を、形を確かめるように撫で回している。身を捩らせ、賈駆は切なそうに吐息をもらしていた。
「場所、交代しようか。つぎは俺が、詠にしてあげたいんだ」
「そんなにしたいのなら、好きにすればいいじゃない……。どうせボクの力じゃ、あんたからは逃げられないんだから」
「ふふっ、そうだね。それじゃ、遠慮なくそうさせてもらうよ……、っと」
身体の上下を入れ替え、今度は一刀が覆い被さる番となった。賈駆の双眸が、緊張で揺れている。冷たい頬にそっと手を当てると、間髪を入れずに一刀は唇を塞いだ。
数回唇を合わせた後、積極的に求め始めたのは賈駆の方だった。一刀はその動きに舌を同調させ、粘膜同士の触れ合いを楽しんでいた。
「詠、もっと……」
「ん、ふう……、こう……?」
すんなりと、賈駆が頼みを聞き入れてくれている。普段厳しい態度を見せられることが多いから、これはとても貴重な機会でもあった。
好きだという気持ちを織り交ぜて、ねちっこく舌を絡ませていく。賈駆も、同じように感じてくれているのだろうか。この場では、言葉よりも饒舌なものがいくらでもあった。
「服、脱がせてもいいかな」
「ボクが嫌っていっても、どうせあんたは勝手にやるんでしょうが……。ん……、ちゅぷ、れろ……」
「そうだね……んっ、そうして……しまうかも。俺も後で脱ぐから、お相子ってことにしておいて」
キスをし続けながら、賈駆の上着に手をかけていく。すっぽりと頭から被って着るような構造になっていたから、脱がせる瞬間だけは唇が離れ離れになってしまう。ほんの数秒。それだけのことなのに、ひどく寂しく思えてしまった。
布を取り去ると、無垢な肌が目の前にあらわれる。賈駆は下着も着用していたが、なにか言われてしまう前に素早く取り外すことに成功した。
口づけをしたまま、手のひらサイズの乳房に触れていく。ほどよい弾力をしており、感度も上々のようだった。
胸を愛撫されていることで、賈駆の口内はさらに熱く蕩けていった。羞恥に塗れた艶声は、一刀がすべて飲みこんでしまっている。
「あ……っ、ふうっ、らめ……え、ちゅく……、ちゅうっ」
乳房に刺激を加えながら、一刀は賈駆の内股を膝で割っていった。タイツ越しに下着を撫で、隠された割れ目を挑発する。じっとりとした湿り気が、指にまとわりつくようだった。
心の中で詫びをして、爪でぴっちりとした黒生地を切り裂いていく。直接下着に指が触れているのを感じ取ったのか、賈駆はぴくりと肩を震わせた。中心部を押し込んでみれば、秘裂から染み出た愛液が指を濡らしていた。
そのことが恥ずかしかったのか、賈駆はより激しく舌を動かしている。一刀はそれに応えながらも、下着をずらして内部に指を侵入させていった。
「ふぐっ……!? んんっ、んふう……っ!?」
「大丈夫、まだ一本しか入れていないから。もっと太いものを入れるためにも、ほぐしておかないと」
「入っちゃうんだ。あんたのチンコ……、ボクのなかに……」
「詠と繋がれると思うと、すごく興奮してしまうんだ。わかるだろ?」
そう言って、勃起したものを太ももに擦りつけてみる。顔を赤らめながら、賈駆は男根に指でそっと触れた。服の上からだというのに、形がくっきりと浮き出してしまっている。ごくり、と賈駆が唾を嚥下していた。
反応を確かめたところで、一刀も肌を晒していった。腹に向かって反り返った逸物に、賈駆の視線が注がれている。期待と不安。二つの感情が、入り混じっている。
「無茶なことはしないから、心配しなくてもいい。俺だって、詠とするのは初めてなんだ。大事に、するつもりだよ」
「そ、そんなの、当たり前でしょ!? ボクだってこんなこと、あんた以外とするつもりなんてないんだから……」
賈駆のいじらしい言葉に、一刀の心は突き動かされてしまう。一心不乱に口づけを交わし、互いの体温を混ぜあっていった。
膣内をうごめく指は次第に本数を増やしていき、入り口を確実に広げていった。
早く、賈駆とひとつになってしまいたい。頭の奥の方では、そのことばかり考えてしまっていた。
「いいんだよ……? きっとボク、もう平気だから。優しく……、してくれるんだよね、一刀?」
理性のネジが飛ぶか飛ばないか、一刀はそんなぎりぎりの状態にあった。獣欲を押し殺すかのように、賈駆の唇を再び貪った。
なんとか心の波が鎮まったところで、挿入を開始していく。先端が、柔らかな肉を押し開いていった。腰を押し込む。賈駆の表情が、少し歪んでいた。
「もう、結構入ったのよね?」
「まだまだ、先だけかな。辛いか、詠」
「平気よ。この賈文和が、チンコなんかに負けるはずがないじゃない。だからさっさと、続けなさいよねっ……!」
「了解。もうちょと、我慢しておいてくれ」
眼鏡をしているせいでわかりにくかったが、目尻に僅かながら涙が浮かんでいた。
だからといって、中断しようとは思わない。賈駆が最も、そんなことなど望んでいなかったからである。
締め付けが激しい。初めて男を受け入れた膣が、拒絶反応でも示しているのだろうか。無理に突きこんでしまえば、賈駆を傷つけてしまうかもしれなかった。
破瓜の血が、股を伝って流れ出ている。純血を奪った証拠。一刀の興奮は、より高まっていった。
「ちょっと、どこまで大きくすれば気が済むのよ……!? 一刀のチンコで、ボクのそこ広げられてくみたい……」
「自分の意思では、こればっかりはどうにもならないんだ。愚痴だったら、あとでいくらでも聞いてあげるからさ……っ」
無遠慮に膨張してしまう下半身を、恨めしく思ってしまう。ただ、時間をかけて進んでいっている分、内部も潤滑してきているようだった。愛液によって、男根全体がコーティングされていく。滑りが良くなって、先程よりかは賈駆も身体が楽そうだった。
気が紛れるようにと、乳房に舌を這わせてみる。思った通り、意識がこちらに向いていた。
乳首。きれいな色をしている。初心な突起を口に含み、舌の上で転がしていった。時には音を立て、母乳を吸い出すつもりでむしゃぶりついた。
賈駆の口から、気持ちよさそうな声が聞こえている。同時に挿入も続けていき、奥を目指して進んでいった。
「そんなに胸ばっかり……、はあっ……、しないでよお」
「でも、そのおかげでしっかり奥まで入れられたよ。ほら、わかる?」
こりっ、とした子宮口に、亀頭の先で触れてみる。相変わらず締め付けは激しかったが、多少は緩んでいるような気もしていた。
「ん、やあっ……!? ボクのお腹のなか、一刀のでいっぱいにされちゃってる……?」
「ああ、そうだよ。キツめだけど、すごく気持ちいい。案外、詠の性格そのままかもね」
「そんなことで褒められても、んはあっ……、嬉しくなんか……っ」
ぎっちりと自身の股間を埋められている様子を見て、賈駆は気分を高揚させているようだった。
一刀が愛おしげに腹を撫でると、呼応した膣内が甘く男根を締め付ける。思わず笑ってしまい、賈駆の怪訝そうな視線に晒される。
「なんだか、よからぬことを考えてた、って顔してるわよ」
「二人でよからぬことをしてるんだから、言いっこなしだって。それより」
「ん、ああっ……、ボクのなかで、すごい……っ!? ふうっ、はあっ……、一刀、動きたいんだ……?」
「そりゃあ、ね。詠の中が気持ちいいから、ずっとお預けくらうのはキツイかも」
「ふ、ふーん。そんなにしたければ、動いても、いいわよ。そのかわり、痛くしないことッ」
ぴしっ、と額に指弾が飛んでくる。賈駆なりの照れ隠し、だったのだろうか。
動いていいと言われて、嬉しくないはずがない。お礼に首筋に口づけて、ゆっくりと腰を引き抜いていった。
蕩けてしまうような感覚が、頭の奥深くまで達している。ぞりぞりとした肉壁が、次々に快楽を生み出してきている。
賈駆も、いくらかは感じてくれているのだろうか。そう思って、じっと顔を見つめてみた。
「な、なによ、そんなに見つめちゃって。感じてなんか、んっ……、いないんだからね! こんな太くて、はあっ……硬いだけのものでえ……、感じて……なんか」
「そう? だったら、もっと頑張らないといけないな」
一刀の瞳が、怪しい輝きを放っている。賈駆の雌の本能を刺激し、さらに引き出そうとしているようであった。
ぶるり、と賈駆は背筋を震わせていた。それとは別に、膣肉は期待に沸き立っていた。
隙間なく、体内で密着している。組み伏せるように賈駆の両手を掴み、肌と肌とで温度を感じあっている。一刀が身体を軽く揺すったことで、陰核を潰されてしまったのだろう。賈駆はあられもない表情で嬌声をあげ、頭を左右に振っていた。
その様子を見て、一刀は抽送を開始した。しっかりと肌を合わせてしまっているから、大胆な動きをすることはできない。だからその分、最奥部を重点的にいじめ抜いてやるつもりだった。
賈駆の身体に体重をかけ、押しつぶすくらいの気持ちで小刻みに突いていく。面白いくらいに膣内は収縮をみせ、熱く滾った男根を迎え入れていた。
「はあっ、はあっ、なんなのよ、これえ……っ!? 頭、ぐちゃぐちゃにされちゃう……! 一刀のチンコ、熱いよお!」
「詠の声、もっと聞かせてくれ。俺だけに、かわいい姿を見せてくれ……!」
休まずに突き続けた。少し前まで初心そのものだった膣内は、一刀の男根の味を覚えようとしていた。溢れ出た愛液が、白く泡立っている。
賈駆の口はだらしなく開かれ、顎のあたりまで唾液で汚れてしまっていた。
心も身体も、堕ちてしまいつつあった。抑えられ、征服されているような感覚が、肉欲に火をつけていた。
「あっ、ぐうっ、うああっ……。一刀、一刀……ッ」
覚束ない口振りで、何度も名を呼ばれていた。
普段接している限りでは、想像もつかないような姿だった。それだけに、男根はより力を増していく。
「しゅごっ……、まだ大きくなってるっ!? これ、へえっ……だめっ。だめなの、ボク……、おかしくなっちゃってる……。一刀のチンコすごすぎて、ひゃう……っ、もうわけわかんないのお!」
絶叫。下手をすれば、外にも聞かれてしまっているかもしれない。劉備が人払いをしていることなど、一刀は知る由もなかった。
自分の風聞が落ちることに関しては、今更どうでもよかった。ただし、賈駆からすれば、それは本望なことではないだろう。
「詠、このまま中に出してしまってもいいか」
「うん、うんっ! 一刀の熱い子種で、ボクのお腹いっぱいにしていいから、だから……! んむっ、ちゅば……んんっ!?」
まともな答えが返ってくるとは考えていなかったが、それでも了承は得られた形だった。
ならば、と一刀は賈駆の腰を両手で掴み、唇を塞いだ。
大きく力強いストロークで膣肉を抉られ、賈駆の脳内は急速に快楽で満たされていった。膨らむ。無垢な子袋を犯さんがために、男根は射精に向けて最大限の膨張を見せていた。
強烈な圧迫感。荒々しい吐息を感じながら、一刀は締め付けに耐えていた。最奥に打ち付けるたびに、先走った汁を吸われているようだった。
ぶつかり合う肌が、乾いた音を生み出している。動きそうになる賈駆の腰を、がっちりと押し留めている。逃さない。このまま、胎内を蹂躙してしまいたい。その思いだけを持って、極太の男根を打ち付けていった。
「んぐっ、ふうっ、んんんんんっ……!?」
賈駆の身体が、これでもかというくらい快楽で震えている。
絡み合った舌を、力の限り吸われているようだった。一刀のほうも、これ以上堪えることはできなかった。ぐっと締まった膣内を駆け抜け、子宮口に到達する。煮えたぎった精液が膣内を埋め尽くしたのは、実に一瞬の出来事だった。
「んぶっ、ふううぅううううううううう!?」
嬉々とした表情で、賈駆は射精を受け止めていた。子宮で飲みきれなかった精液が、膣口で溢れかえっている。洪水そのものであり、賈駆の四肢はいまもびくりと痙攣の動きを見せていた。
「ああっ……、すごいよお……! 一刀の精液、こんなに出されちゃった……。熱くて、どろどろで、ボク、ボクっ……。あっ、へへっ……、ごめんね、ゆえぇ……」
感極まって泣き出してしまった賈駆を、一刀が抱きしめる。これまでずっと董卓一筋でやってきただけに、心が混乱しているようだった。
「大丈夫、大丈夫だから。俺は詠のこと、独占しようなんて考えていない。それに月がこんなことで、詠を責めるはずもない。だから、大丈夫」
「うん、ぐすっ……、うんっ……」
「詠が落ち着くまで、ずっとこうしているから。嫌だって言われても、やめないよ」
「ばか……。一刀の、ばかあ……!」
賈駆による嗚咽は、しばらくの間終わることはなかった。感情を吐き出し、再び収めなければならないのだから当然のことだった。
瞳からこぼれ落ちた涙を、一刀が指で拭う。乱れてしまった心の内だけは、どうしてやることもできなかった。してやれるのは、頭を撫でてやることくらいだった。
「それじゃあね、一刀」
「ああ、またな、詠」
賈駆は泣き止むと、別れを告げて出ていった。午後からの出発に備えて、やることはいくらでもあるのだろう。その表情は来た時と違って、さっぱりとしていた。
「ご主人様、それでどうだったのかなあ?」
「うん? どういうことだ?」
代わりに入ってきた劉備が、なにやらニヤつきながら質問をしてきた。
「別にいいんだけどねー。詠ちゃん機嫌よさそうだったから、きっとそういうことだよねー」
「なんだよ、そりゃ。まあでも、仲良くなったのは確かかもしれないな」
肝心な部分は濁して、一刀は劉備にそう伝えた。隠しておくようなことでもなかったが、いまは二人だけの秘密にしておきたい気分だった。
「一刀さま、ようやくご起床なされたようですね」
陣屋の入り口から、郭嘉の顔が覗いている。どうやら、相談したいことがあるようだった。
そうして、寝過ごしていたことにされていた分、慌ただしく朝は過ぎていったのだった。