※この作品はR-18です。

北郷当代記   作:KKS

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五章 狼煙
一(鈴々)


 馬家のふたりが逗留している屋敷。朝方、その厨房では馬超自らが食事の準備をしていた。昨日の当番は馬岱だったから、その次は自分。基本的には、馬家の食卓は日替わり当番制となっていた。

 鍋にたっぷりと張った湯のなかでは、米がぐつぐつと躍っている。いい具合になったところを匙ですくい、馬超はふたつの椀に分けてよそっていった。

 

「……っとと、危ない危ない。また、焦がしちまうところだったぜ」

 

 鍋の隣では、羊の干し肉が焼かれていた。いかにも香ばしく、食欲をそそるような匂いが厨房全体に漂っている。焦げる寸前であった肉を慌てて退避させると、馬超は身を裂いて湯気の立ち上る粥の上に盛り付けていった。

 

「これでよし……っと。さてと、蒲公英のやつは……」

 

「おはよー、お姉さま。わかってはいたけど、今朝もそれだよねえ」

 

 作ってもらえるのはありがたいことだったが、たまには別のものを食べさせてはもらえないだろうか。そんな風に微妙な心境で、馬岱は小さくため息をついた。とはいえ、武一辺倒である従姉妹の料理の腕がどのくらいなのかはよく知っている。だから、粥はもっとも安全な選択肢だともいえるのだ。下手に刺激をして、想像の斜め上を行く料理を出されたのでは朝からげんなりとしてしまうに違いない。

 

「なんだよ、蒲公英。文句があるのなら、あたしが全部食っちまうからな」

 

「えー、それはだめだってば!? はあ……、叔母様はともかく、(るお)くらい一緒に連れてくればよかったかもー」

 

 自分の椀を確保しつつ、馬岱はそうポツリと洩らした。

 (るお)、というのは馬超の妹である馬休(ばきゅう)のことである。真面目な性分をしており、なにかと奔放な姉妹たちの面倒をみていることも多かった。それだけに家事の才能には秀でており、馬休がいれば日々の献立に悩むことなどなかったはずなのだ。

 さすがに自領の備えが薄くなるからと馬騰は手元に末妹の馬鉄(ばてつ)共々置いているのだが、無理矢理にでも引っ張ってくればよかった、と馬岱はいまになって後悔しているのである。

 

「そういえばさ~」

 

「蒲公英、まだなにか言いたいことでもあるのか? 肉を箸で突っついてないで、さっさと食えっての」

 

 少々声を荒げながら、馬超は椀を傾けて粥をかきこんでいった。今日はこのあと、関羽の騎馬の調練に付き合う予定なのである。

 始めた頃から比べてみれば、見違えるような動きをするようになっていた。北郷軍が涼州産の良馬を買い入れたことも要因のひとつではあったが、広大な原野を連日駆け回っているだけに動きのキレもよくなってきているのである。

 だが、まだまだ自分の率いている騎馬兵には及ばないだろう、とも思っている。自軍の実力を過信しているわけではなかったが、それだけ馬超には自信があったのだ。

 連携ひとつとっても、馬超の麾下の兵は一糸乱れぬ動きをする。一本の槍のごとく突き進むときも、翼のように拡がって敵を包み込むときも、それは同じだったのである。

 

「くすくすっ。いやいや……お義兄(にい)さまとは、どこまで進んでるのかな~なんて」

 

「は、はあっ!? それになんだよ、そのおにいさま、ってのは……!?」

 

「うふふ、お姉さまったら動揺しちゃって可愛いんだからあ。だって北郷さんは、お姉さまにとっての良い人なんでしょー? そのうち結婚とかもするんだろうし、たんぽぽからしてみれば義理のお兄さんになる、ってことだよね。だからー、お慕いしてお義兄さま、ってお呼びしてるんだよ」

 

 結婚、という言葉を聞いて、馬超の顔が瞬時に赤くなっていく。

 確かに、馬岱のいっていることに間違いはない。まだ口づけを交わしただけの関係ではあったが、そのこと自体予想だにしなかったことなのである。出立の日に見た母の顔が、馬超の脳裏に浮かぶ。からかわれているだけだと思っていたが、半分は本気だったのだろう。

 やがては、あのひとの妻となる。これまで欠片ほども考えていなかったことが、いまは現実としてはっきりと存在していた。

 

「け、けけ……結婚って、あたしたち……まだそんな」

 

「この前聞いたんだけど、近いうちに叔母様と会談するつもりなんだって。お義兄さまってすごく甲斐性があるし、きっとそういう話しにもなると思うんだよねえ。お姉さまだって、そのへんはっきりしてもらえるほうが嬉しいでしょ?」

 

「はっきりって、ええ……だってそれって一刀殿と!? う……、ああああああ、あたし……っ、ごちそうさまっ!」

 

「え……、ちょっと、お姉さま……!?」

 

 馬超は朝食の残りを胃に流し込んだかと思うと、物凄い速さで屋敷を飛び出していった。その姿を呆然と見送るしかなかった馬岱は、やはり馬超は馬超のままか、と左右に首を振った。

 

「お姉さま、いつまでもあんな感じで大丈夫なのかなー? お義兄さまの周りには素敵な女の人がたくさんいるし、下手したら放ったらかしにされっちゃうかも」

 

 相変わらず、戦場以外では手のかかる従姉妹である。残った椀を渋々洗いながら、馬岱はそんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 城内の一角では、剣術の稽古が行われていた。師事するほうとされるほうでは、力量の差は火を見るより明らかである。

 

「え、ええいっ! たあっ!」

 

「だめだめ、そんなの当たりっこないって。ほら、一本だ」

 

 先祖伝来の大ぶりな剣を必死に振るう劉備。対する一刀は真剣ではなく、(いかめ)しい木刀を手にしていた。

 劉備による腰の入っていない弱々しい一撃を最小限の動きでかわし、頭頂部を木刀で軽く小突いてやる。これが戦場であれば、とっくに決着はついている。向き直った劉備の額には、汗の筋が何本もできていた。

 

「はあ、はあ……。ごめんなさい、ご主人様。せっかくこうやって教えてもらっているのに、ちっとも上手くならなくて……」

 

「こっちも好きでやってるんだから、気にしなくたっていいさ。これだって、剣を使ったことのない新兵に教える場合の参考にもなるしね」

 

「な、なんだか、それはそれで心に突き刺さるものがあるかも……?」

 

 全てを修めたわけではない自分が師範面をして指導するのもどうかとは思ったが、このところ旗本の兵たちに請われて示現流兵法を教えることもあった。

 もし、このことを祖父たちが知ればどう思うのだろう、とたまに考える。

 未熟者がしていいことではないと叱られるのか、それとも異国の地でよくやっていると認めてもらえるのだろうか。しかし、自分がいるべき世界はもはやここなのである。だから、一刀が故郷を脳裏に思い描くのは、恋しさからではない。

 

「もう一回お願いします、ご主人様。いきます……っ」

 

 戦場経験のある兵であれば、ある程度のかたちはそれほど時間をかけずに作ることはできた。それとは別に、真っサラな新兵を教えるときは、さらに丁寧に行う必要がある。

 劉備ほど指導に難義する生徒はなかなかいないが、それはそれでやり甲斐があるともいえよう。

 

「いたいたー、お義兄さま。鈴々、いまってなにしてるとこなの?」

 

「んー? なんでも、お姉ちゃんが剣を習いたいっていうから、お兄ちゃんが教えてあげてるところなのだ」

 

 鍛錬をしている二人の近くにいた張飛を見つけ、馬岱は声をかけながら駆け寄っていく。芝生に座っている張飛は、蛇矛を磨く手を止めずに振り向いた。

 

「へえ、桃香さんがねえ……? それで、上達しそうなの、鈴々?」

 

「にゃはは、ちょっと難しい……、かも? お兄ちゃんはがんばって教えようとしてるけど、さっきからずっと一緒なんだもん」

 

「あはは……、だよねえ。兵を動かすだけならともかく、桃香さんは自分で剣を振るう、って感じじゃないよ」

 

 再開されていく稽古に、馬岱は目を移す。

 斬り結ぶ前の段階から、勝敗は決しているようなものだった。一刀の木刀の切っ先は、ぴたりと天を向いて静かに佇んでいる。それとは対照的に、劉備の剣はふらふらと左右に揺れているのだ。

 これでは、振るった剣で自らを傷つけかねない。

 

「桃香は、どうしてもその剣で闘いたいんだよな」

 

「うん、これじゃなきゃ、きっとだめ。この剣には、ご先祖様たちの志も宿っていると思うから。そういうのも全部背負って、わたしは闘いたい。ご主人様の闘いだって、そうだよね?」

 

 優しいところに目が行きがちだが、ある部分では頑固なのが劉備だった。

 一刀の行く道が、平坦なものでないということは理解している。それでも、ついていきたいと決意した。あの日から、その思いは少しも変わっていない。

 

「そういうと思ったよ、桃香。だったら、もう少し基礎的な部分からやっていこうか。次までに訓練用の木刀を作っておくから、いまはこれでやってみよう」

 

「ありがとうございます、ご主人様。あ……、これ結構重いんだね」

 

 剣を鞘にしまった劉備は、一刀の使っていた木刀を受け取った。

 汗で張り付いた衣服が、艶かしさを放っている。本人がそのつもりでなかろうと、豊満な身体からは雌のフェロモンが漂っているようであった。

 

「ねえねえ、鈴々」

 

「なんなのだー? 鈴々、これでも武器のせいびに忙しいのだ」

 

 確かに、武人にとって愛用の武器の手入れは重要だ。馬岱だって、それはよくわかっている。

 

「鈴々も、お義兄さまに愛してもらうときがあるんだよね。それって、どんな感じなの?」

 

 唐突な質問だっただけに意味がよく通じなかったのか、張飛はしばらく困ったように眉根を寄せて考え込んでしまう。

 単に閨房の感想を求めるのであれば、程昱や于禁あたりに尋ねるのが早いのだろう。それでも張飛を選んだのは、より純粋な話しが聞きたかったからに他ならない。

 

「えっとね……。お兄ちゃん、すっごく優しくなでなでしてくれるのだ。にゃんにゃんしてるときはずっと、鈴々のことかわいー、って抱っこしながらたくさんちゅーまでしてくれて……えへへ」

 

 一刀との逢瀬を思い出してか、幼いながらも張飛は恥じらいを見せている。つい先日も、閨で抱きしめられながら一晩中愛されたばかりなのである。

 そのとき感じていた熱い吐息や、荒々しい男根の硬さ。生々しく蘇っていく感覚に、張飛はぶるっとつま先までを震わせてしまう。

 兄のようであり、父のようでもある男。普段は無邪気に触れ合える存在だというのに、閨に入るとそれはしばしば一変してしまう。

 未熟な窄まりを遠慮なく突き上げ、子供らしくない声を上げさせようとしてくる男根。小さな身体の中も外も、熱く煮えたぎった精液によって散々交合のよさを覚え込まされてしまっている。

 いま思い出すだけでも、腹の奥の部分が疼いてきてしまう。体験を語る張飛の頬は、うっすらと上気し始めていた。

 

「へええ……、そうなんだ。いいなあ、鈴々」

 

「だから鈴々も、にゃんにゃんがおわったら、ちゃんとお兄ちゃんのちんちんきれいにしてあげるのだ。お口のなかでもごもごーってしてあげると、お兄ちゃんすっごく喜ぶんだよ? こうして、ちゅぷ、じゅる……っ」

 

 交合の内容を包み隠さず話しつつ、張飛は自身の指を何本かまとめて咥えてみせた。それがなにを意味しているのかくらい、馬岱にもわかる。

 張飛からしてみれば遥かに物足りない太さではあったが、男根に見立てた指に唾液を絡めてじゅぷじゅぷと吸っていった。

 

「にゃあ……。お兄ちゃんのちんちんのおっきさは、このくらい……かも」

 

「ちょ……、あの……鈴々っ!?」

 

 本能に火がついてしまったのか、張飛は磨いていた蛇矛に跨ると満足そうに微笑んだ。

 水気の増したスパッツ越しの秘裂を、得物の太い幹がぐっと押し上げている。ぷっくりとしたそこからは、いまにも粘液の音が聞こえてきそうなくらいだった。

 張飛は自身の指に奉仕を加えながら、恐る恐る腰を前後させていく。

 いきなり始まってしまった、青空の下での自慰行為。成り行きによって見守っている馬岱も、そのような痴態を見せつけられて次第に感覚が麻痺していったのかもしれない。

 一刀にされている場面を想起しながら軽く胸を揉みしだくと、甘い痺れが心地よく拡がっていった。

 

「んっ、あふっ……。鈴々、そんなにお義兄さまのこと好きなんだ……」

 

「うん、大好き。んっ、にゃあっ、くふっ……。優しいところも、かっこいいところも、怖いところも……鈴々、ぜんぶ好きだもん……んやあっ」

 

「素敵だもんね、お義兄さま。わたしも、触ってもらったら鈴々みたいになっちゃうのかな」

 

「ぜったい、そうなっちゃうの……だあ……っ。はあっ、んくっ、あっ、んううぅうう」

 

 スパッツの擦れ合っている部分から、愛液が滲みだしている。張飛はいま、どれほどの快楽を得ているのだろう、と馬岱は羨ましく思った。

 いくら知識として知っていようが、所詮はそこまでのことなのである。

 愛するひとに触れられ、高みに導かれるという感覚。それがどういうものか、自分はまだよくわかっていない。一抹の寂しさが、馬岱の心中を過ぎっていく。

 

「鈴々、そこクニってされたら……、やああっ。お兄ちゃんにされてると思うと、とっても気持ちいいの……。いけないことなのに、もっと、もっとって……んんっ!?」

 

 蛇矛の硬い柄で、敏感なクリトリスを押しつぶしてしまったのだろう。自身では加減を知らないだけに、強い快楽を求めてぐいぐいと何度もそこに押し付けてしまう。

 張飛は指を咥えた口から唾液をこぼしながら、あられもない姿で自慰を続けていく。布地に隠れて幼気な乳首は強く隆起し、摩擦によって身体へ快感の波を送っていった。

 こうなることの切欠を作ってしまった馬岱は、ただその姿を見ているしかなかった。

 いや、それだけではない。年下の少女の色気にあてられて、女の部分がじんと熱くなってしまっている。一刀に力いっぱい抱かれたい。そのことだけを、馬岱の身体は求めかけていた。

 

「あっ、んぐっ、んぶうぅ……! じゅぱっ、れろ、はっ、んひぃ……っ!?」

 

「もしかしなくても、鈴々イッちゃいそうなんだ……? お義兄さまのこと想像しながら、たくさん気持ちよくなっちゃうんだね」

 

「うんっ、お兄ちゃんすきぃ……! 鈴々、お兄ちゃんにたくさん見てもらいたいのだあ……っ。お兄ちゃん、お兄ちゃん……んんっ……♡」

 

 腰を前後させる動きが、明らかに加速していった。

 絶頂を迎えようという張飛は、しきりに一刀の名を呼んでいる。その声は、当然本人にも届いていたのだ。

 

「なんだー、鈴々? 桃香の鍛錬も一旦終わったし、飯にでもするかー?」

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん、んぐぐっ……お兄ちゃ……んあう、ううぅううう♡」

 

 絶妙な距離感だ。

 一刀のいる位置からでは、馬岱の身体が盾となって張飛の行為がはっきりとは見えていない。喘ぎ混じりの声を不審には思ったようだったが、馬岱がまたなにかイタズラでもしているのか、と笑いかけてくる程度だった。

 

「え、えへへっ、もうそんな時間なんだ。たんぽぽも、お腹空いちゃったかも」

 

 全身を突き抜けるような快楽に身を震わせる張飛のことを誤魔化すように抱きしめ、馬岱は苦笑いを浮かべた。

 思えば、別に隠す必要のないことなのである。ここで一刀がやる気になってくれるほうが、むしろ馬岱にとっては未知の経験をする好機でもあったのだ。

 

「あははっ、どうしたの鈴々ちゃん。すっごく汗かいてるけど、平気なの?」

 

「う……、うぅうう、ん……♡ 鈴々はへーきだよ、お姉ちゃん」

 

 幸せそうに声を絞り出す張飛の姿には、やけに艶めかしさがあった。絶頂の余韻は、まだその身体に残っている。

 

「そ、それならいいんだけど。今日の鈴々ちゃん、なんだかすごく色っぽいね……」

 

「は、はははー、それはきっと桃香さんの気のせいじゃないかなー? それよりお義兄さま、たんぽぽもお昼一緒に行っていい?」

 

「ああ、言われなくても誘うつもりだったからな。この前行った鈴々お気に入りのラーメン屋がうまかったから、またそこにしようと思うんだけど」

 

「うん! たんぽぽはなんだっていいよ! ほら鈴々、立てる? お義兄さまが、ラーメン奢ってくれるんだって」

 

 そう言って、馬岱は張飛の身体を引き起こしてやる。湿り気を含んだ熱っぽい息が、首元に吹きかけられた。馬岱は洩れそうになる声をなんとか我慢し、張飛の肩をぱんっと打った。

 

「お寛ぎのところ、申し訳ありません。殿、少しよろしいでしょうか」

 

「なんだ胡車児。こうやって出てきたっていうことは、急ぎの用件か」

 

「はい。我が手の者が、殿にご報告があるようでして」

 

 胡車児が相変わらず神出鬼没な登場の仕方をするので、それに慣れていない劉備などは驚きで目をパチクリとさせている。

 配下に加えてから、胡車児にはまず五人の間諜を鍛えさせていた。それらの者はこの涼州内部だけでなく、各地向けて放ってある。

 益州、荊州、兗州、そして洛陽のある司隸。今回報告に戻ってきたのは、司隸方面に潜ませていた間諜のようだった。

 

「そうか。都に、動きがあったのか」

 

「どうやら、そのようです。詳しいことは、当人よりお聞きください」

 

「わかった、それなら役所のほうに連れて来てくれるか。桃香、鈴々、蒲公英。今度また付き合うから、今日は俺抜きで行ってきてくれ」

 

 民政を担う役所には、外出していなければ郭嘉と程昱が詰めているはずである。

 中央の政治に関わる大きな報告であるだけに、この二人にもまず知らせるべきだと一刀は判断した。

 

「わたしたちのことは気にしないで、ご主人様。都のお話しっていうことは、きっと月ちゃんたちのことでもあるんだよね」

 

「助かるよ、桃香。みんなにも後で集まってもらうことになると思うから、そのつもりでいてくれるか」

 

「はーい、お義兄さま。それなら、今のうちに腹ごしらえしておかないとね」

 

 客将の立場ではあったが、董卓の行動の如何(いかん)は馬家にとっても気になることである。この場では、張飛ひとりだけが心ここにあらず、といった感じになっていた。

 いよいよ、時代が動く時がやってくる。晴天を真っ直ぐに見上げ、一刀は董卓たちの無事を祈るのだった。

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