※この作品はR-18です。

かルとホらーのヒろイんに囲まレた爛レた日常   作:SHV(元MHV)

5 / 17
伽椰子(人妻)に迫る筋肉の影。逃げて。超逃げて。


そしてどうやらR18日間で二位になったようで。みなさんありがとうございますヽ(;▽;)ノ
感想もどんどんお待ちしてますので、どうぞいつでもお送りください!
また評価もありがとうございました!


【入ったら死ぬ家】②

ここは新宿にある雑居ビルのひとつ。そこに、溝呂木が構える不動産事務所は存在していた。

 

全国でも有数の歓楽街を抱える街から程近い距離にあるこの事務所の回りは、あまり治安がいいというわけではない。だがそれでも、溝呂木の不動産事務所に関係した人間であると知られる村上柑菜に限っては、そういったトラブルから徹底的に守られていた。

 

理由は簡単だ。彼女に手を出そうものなら、蔵木(物理的な死)と溝呂木(社会的な死)が待っているからだ。

 

以前彼女が、胡散臭い芸能スカウトに捕まったことがあった。しつこい勧誘に嫌がる彼女が離れようとしたところ、スカウトの男は彼女の手首を掴み強引に連れていこうとした。

 

しかし柑菜が男を張り上げようとした瞬間にはスカウトは姿を消しており、柑菜は不思議そうな顔でそのことを数分後に迎えにきた蔵木へと語った。

 

またある男が柑菜をストーカーし、変質的な行為を繰り返すことがあった。柑菜がそれを叔父である溝呂木に相談すると、数日後には男は会社に自身の変態行為を暴かれ溝呂木から訴訟を受けた上に会社を首になった。

 

素人でさえこれである。ヤクザなどの裏稼業の人間らは、事前に二人から頼(・)ま(・)れ(・)た(・)こともあり、柑菜が事務所に遊びに来た際などはこっそり監視と護衛を兼ねた人間を張り付けるほどだった。

 

なおこれらのことは本人はまるで知らないことである。

 

そんな柑菜は、今これまでにないほど怒っていた。怒りの理由が理不尽な自覚はある。しかし目の前で蔵木の隣に座り、その巨大な胸を押し付ける女を敵として認識せずにはいられなかった。

 

「ど、どうしたんだ柑菜? そそそそんな怖い顔して」

 

震えて吃りながら柑菜にケーキを与える溝呂木。腕を組んで蔵木を睨む彼女の隣には、まったく同じポーズの貞子と美津子が並んでいる。

 

「……べっっっっつにぃ? なんでもないですぅ」

 

ショートケーキを乱暴に口へと放り込みながら、眼前の巨乳(戦艦)を睨む微乳(駆逐艦)達。連合を組む彼女達だったが、最大戦力の貞子でさえ普乳(巡洋艦)だ。戦力差は大きい。

 

「あらあら、怖いわねえ。蔵木さん、なんだか睨まれちゃってるわ。助けてくださらない?」

 

「……む」

 

蔵木は腕にのしかかる柔らかさを思わず堪能しながら、目の前の三対の視線を受けて困り果てる。

 

全員が美女美少女(内二人は幽霊)であるが、その内でも肉体関係があるのは一人に過ぎない。それも夢の中での話である。現実のおっぱいの偉大さを噛み締めつつ、果たして蔵木はどんなコメントをしても責められる気しかしなかった。

 

なお溝呂木はそんな争いをはた目に見ながら、果たして2日後の戦いはどうなることやらと、2年前よりさらに薄くなった頭を撫でながらため息をつくのだった。

 

 

◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇

 

 

そして加奈子が来てから3日後の当日。

 

決戦の地である【入ったら死ぬ家】の前に、複数の人間が揃っていた。

 

加奈子が環境省の役人であることは事実だったらしく、今回の一件を公的な案件とし見なすことで応援の人間を寄越させていた。

 

これには蔵木が反対したが、何かの為にバックアップ要因はいた方がいいと彼女が押し通したのだ。

 

ならばと蔵木は加奈子とその部下達に近隣の住民を避難させた。これからやることを考えれば、最悪周辺にも被害が出るからだ。

 

「観測班は必ずフィルターを五重に通して! 少しでも異変が感じられたら即座にフィルターは交換なさい!」

 

加奈子は自身の力を少しでも強め蔵木の助けになろうと、専用の束帯に身を包んで部下を指揮している。

 

「……大掛かりだな」

 

「本来、これほどの怪異を対処するには専用の設備を建設してもいいくらいなのよ? 生身でこの規模の怪異をどうにかしようっていう貴方が異端なの!」

 

「……むう」

 

蔵木は政府に所属する対霊障組織が存在していることは知っていたが、ここまで本格的なものだとは思っていなかった。

 

「とはいえ、今回のメインは貴方よ。私が出来ることはあくまでサポート。期待してるわよ」

 

「……まあ、少々荒っぽくはなるが。負けることはないさ」

 

蔵木はいつもの黒いワイシャツ姿を脱ぎ、黒いタンクトップ姿へと装いを変える。今回は彼なりの秘密兵器も用意してあった。

 

「霊的な武装をしない、とは聞いていたけど……。本当にそんな格好でいいの?」

 

「ああ、出来るだけ肌がむき出しの方がいい。その方が、気配を感じやすいんでな」

 

「ホントに感覚派なのねぇ。そこまで極端な人って初めて見たわ」

 

加奈子は呆れた様子で蔵木を見る。

 

蔵木はそんな視線を気にすることなく、ゆっくりと呼吸を始めた。加奈子はそれを見て、空手の息吹に似ていると感じる。

 

ゆっくりと息を吐き、ゆっくりと息を吸う。一見するとただそれだけの繰り返しだが、その長さが異常だった。大きく息を吐いて吸っているように見えるのに、一呼吸に一分以上の時間をかけている。

 

やがて蔵木の全身に玉の汗が浮かび出す。呼吸を繰り返す度に汗が浮かび、さらに上昇した体温によって汗は蒸発し湯気となって蔵木の全身を包んでいく。

 

霊的な意味はないと蔵木は言うが、ものの五分程度で確実なウォーミングアップをこなす彼の呼吸法を加奈子は興味深く眺めていた。

 

「……いくぞ」

 

そう言って蔵木は秘密兵器を肩から吊るすと、門扉の前に突き刺した金テコを片手で引き抜く。金テコを刺した深さを見た加奈子の部下から驚く声があがった。

 

すでに庭の木や草は全て枯れ果て、家はむき出しに近い状態となっている。玉砂利を踏みしめ、蔵木はまず一階のテラス部分の掃き出し窓を金テコで粉砕する。周囲に、ガラスが砕け散る音が響く。

 

そのまま蔵木は浴室の窓にある格子を片手で引き抜き破壊すると、外へと繋がる窓を順に全て破壊していった。

 

「なるほど、ああして“呪怨”の結界を破壊しているのね。それにしてもやり方が乱暴だこと」

 

“呪怨”とは、強い恨みを抱いて死んだモノの呪いである。 死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され「業」となり、 その呪いに触れたモノは命を失い新たな呪いが生みだすという、なんとも凶悪な呪いの総称だ。

 

また“呪怨”には結界を生み出す性質もあるため、蔵木はまず結界の礎となる空間そのものを破壊しにかかっていたのだ。

 

蔵木が強制的に設置した地蔵の影響もあるのだろうが、外に繋がる部分が物理的に破壊されることで、【入ったら死ぬ家】から立ち込める呪詛が確実に薄れていくのを加奈子は確かに感じていた。

 

「……ふっ!」

 

気合いを込めた前蹴りによって、玄関扉が一撃でひしゃげ破壊される。

 

邪魔になった扉を引っ張りだすと、蔵木は遠慮なく中へと入っていった。

 

 

◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇

 

 

玄関に入った蔵木は猫の声を聞く。

 

すると、不意に上から子供が蔵木に落ちてくる。

 

「マ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」

 

猫の鳴き声を上げながら、白い肌の裸の子供が蔵木の首を引き抜こうと引っ張る。

 

「……ぐうぅ!!」

 

蔵木はその腕を掴み金テコを壁に刺して持っていかれるのを耐え抜くと、掴んだ腕を逆に引っ張り子供を床へと叩きつける。

 

「……ちっ、逃げたか」

 

しかし床には何も残っておらず、掴んだ筈の腕もいつの間にか無くなっていた。

 

蔵木は金テコを壁から引き抜くと、家に残る鏡を破壊しながら家を進んでいく。

 

鏡もまた、霊的な存在にとっては狭間から干渉できる出入り口になりかねない為だ。蔵木は知識がなくとも、経験則からそれらのことを知っていた。

 

「あ゛……あ゛あ゛あ゛……」

 

2階へと赴こうとする蔵木の前に、不意に掠れたダミ声が聞こえてきた。2階から下りてくる血まみれの女。溝呂木の調べによれば、彼女の名前は佐伯伽椰子、先程の少年は佐伯俊雄といった。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

 

ダミ声を流し続けながら、伽椰子がその全身を這いずらせ近づいてくる。

 

蔵木は容赦せず、階段の中腹で伽椰子を金テコで串刺しにせんと振りかぶる。

 

──が、振り下ろした先に伽椰子はおらず、蔵木の腕は背後から捕まえられる。

 

「……ぬうううんッッ!!!」

 

蔵木は渾身の力でそれを振りほどくと、伽椰子の体を階段へと叩きつける。しかし、その伽椰子もすぐに姿を消してしまう。

 

「……なるほど。この家そのものが“呪怨”ってわけか……!!」

 

蔵木は再び現れた俊雄を裏拳で消滅させると、2階へと上がっていく。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」

 

三度現れた伽椰子。蔵木は今度は彼女へ攻撃するのではなく、金テコに気合いを込めて思いきり家へと突き刺す。

 

「ア゛!!!!」

 

蔵木の一撃で家が揺らぎ、金テコの八割が2階の床を貫きそのまま突き刺さる。背後から迫っていた伽椰子の姿が、僅かだが霞む。

 

「……!!」

 

瞬間、無言で現れた貞子が伽椰子を捕らえる。蔵木は一瞬そちらへ視線を向けると、最も気配を強く感じる領域へとさらに足を進める。

 

襖を開けると、今度はそこに大量の俊雄が現れた。口から黒い血のような液体を垂れ流し、無数の俊雄が蔵木に殺到する。

 

「……ふん!!」

 

蔵木の拳が向かってきた俊雄に炸裂する。一撃ではない。まるでマシンガンを思わせる驚異的な速度で、眼前の俊雄を次々と消滅させていく。

 

背後や頭上からの不意打ちも、もはや蔵木には通じなかった。都合三十四体の俊雄を全て倒し尽くすと、蔵木は遂に目的地である2階屋根裏へと通じる部屋に突入する。

 

「……ここか」

 

蔵木はかつて伽椰子の遺体が2階屋根裏から発見されたことを聞き、そこが“呪怨”の核だと考えていた。

 

飛び上がり、屋根裏へ続く蓋を強引に破壊する蔵木。破壊した穴から、回収されたはずの伽椰子が腐乱した状態で転がっているのが見えた。

 

「あ゛あ゛あ゛……! あ゛あ゛あ゛あ゛……!!」

 

目から蛆虫を垂れ流し、口から腐った黒い血を吐きながら動こうとする伽椰子の遺体。

 

蔵木はそれへ向けて、自身の血を灯油に混ぜさらに出力を改造した火炎放射器を向ける。

 

「……消えて無くなりな!」

 

ハンドルつきの草焼き器を改造した火炎放射器が、凄まじい熱量をもって伽椰子の動く腐乱死体を焼いていく。

 

蔵木の血が混じっている影響なのか、伽椰子の腐乱死体は瞬く間にその全身を炎に包まれ動きを弱めていく。

 

家を取り巻く呪いの力が弱まるのを感じ、蔵木は炎を消化する為美津子に頼んで実体化してもらう。

 

全てが終わったかに見えた。しかし蔵木は、その瞬間何か違和感を感じとる。

 

「……いや、呆気なさすぎる。まさか……!!」

 

蔵木が気がついた時にはその下半身に伽椰子がすがりついていた。引き倒され、火炎放射器を落とす蔵木。家に燃え移った炎が、2階を徐々に焼いていく。

 

「「「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……」」」」

 

蔵木は無数に反響する伽椰子の声から、伽椰子の本体がそもそもここにないことを悟った。漆喰をぶち破り、腕をそこに入れることで伽椰子の強烈な引き込みをどうにか防ぐ。しかしそんなものは時間稼ぎにしかならない。

 

蔵木からすればまさかの判断ミスだった。逃げるべきかもしれないという選択肢が蔵木の脳裏によぎる。

 

「……上等!」

 

それだけはない。逃げることだけはあってはならない。そう考える蔵木は、あえてその腕を離し伽椰子の引きずっていこうとする力に委ねた。

 

闇の中へ蔵木の姿が消え、声にならない貞子と美津子の悲鳴が【入ったら死ぬ家】の中に響いた。

 

 




腹パンで相手を好きになる。略して腹ポ。

ちなみに柑菜ちゃんの前からスカウトが消えた理由は物凄い速さで蔵木さんに拐われたためです(´・ω・`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。