魔王城は、混乱の極地にあった。
それは、魔人筆頭であるレオンハルトが告げたとある訃報によるもの。その内容は、
――魔王スラルの死。
そのことを告げられた魔物将軍以下、多くの魔物兵は、一時騒然とした状態になった。
目に見えて士気が落ち、逃げ出す者達すら出てくる騒ぎであったが、魔物大将軍リーを中心としたレオンハルト軍の者達が何とかそれをまとめ上げ、事態をある程度ではあるが、収拾することに成功した。
だがその中に魔人――レオンハルトの姿は無かった。
そんな風に、魔王の死に魔軍が騒然とする中、とある場所で驚愕を得ていたものがいた。
それは、ここではないどこかにいるヒトデのような蜘蛛のような神で、
「……は?」
いつもの様に地上を俯瞰で観察し、時を過ごしていた三超神、プランナーは、魔王が消失したことに唖然とする。
しかもその理由が、
「魔王の血の、容量不足か……」
容量が大きすぎる無敵結界を搭載したことによって、寿命が千年となっていた魔王が、その半分である五百年で、血に飲まれて消えてしまった。
それはプランナーにとっても計算外の出来事である。
直ぐ様、無敵結界に改良を加えなければならないが、それは問題ない。既に要領が掴んでいる。大した作業ではない。
それよりも問題は、
「次の魔王をどうするか……」
そっちの方が重要だ。
何せ魔王が地上にいないということは、自分が築き上げた至上のバランスが崩れるということでもある。
それは看過できない。バランスは何よりも重要だ。
しかし、だからといって適当なものを魔王にするわけにはいかない。それこそバランスが崩れる。
「ううむ」
悩む。
前魔王はバランス感覚に優れていたが、些か魔王らしくはなかった。
もっともそれは、魔王の血に完全に適合していたからだが、また同じでは芸がない。
もう少し残忍な魔王の方がウケは良い気がする。
後は偉そうな奴がよい。それこそ、魔の王らしくなる気がする。
しかし人間個人のことはそんなに知らないからな。だとすれば、
「人類管理局――女神ALICE辺りに選別させるか」
その中から良さそうなのを選ぶとしよう。プランナーはそう考え、女神ALICEを呼びつけることにした。
――魔王城。
その一階では、魔物将軍や魔物隊長らが右往左往としていた。
殆どが同じ姿を持つ彼らだが、今共通しているのは、困ったような表情であり、焦りを滲ませた声だった。
そこに通りがかったのは、緑の髪に褐色の肌を持つ魔人で、
「……こんなところで集まって、何やってるんだ?」
「あ、ガルティア様!」
「す、すみません。色々と立て込んでまして……」
上司である魔人に声を掛けられ、恐縮しつつも頭を下げる。その手には大量の紙束、もしくは何かの指令や要項が纏められている一枚の紙を持っており、
「あー……どたばたしてるのか。そいつは悪かった」
「い、いえ、ガルティア様が謝らずとも結構です」
忙しさを察して軽く謝るも、魔物将軍が畏まる。
その様子に、どうにも疲れの色が見えたことから、ガルティアは気になって、
「やっぱ忙しいのか?」
軽い気持ちで尋ねてみる。
すると魔物将軍は、少し迷う素振りを見せて他の者と顔を見合わせるも、言うことを決めたのかややあって低い声で、
「……はい。魔王様がお亡くなりになられ、魔物兵の混乱が酷く……大将軍閣下が動いてくださってますが、それでも全てが収まったわけではありませんし……せめて、レオンハルト様が動いてくだされば助かるのですが」
「……なるほどな」
聞く限り、やはりレオンハルトは魔軍の業務に関わっていないらしい。
そも彼女が亡くなり、レオンハルトが城に帰ってきてからというもの、ガルティアでさえ未だ顔を見ていないのだ。
それはひとえに、気を使った結果であるが――
「……よし、わかった」
「……? 何がでしょうか?」
決まってんだろ、と、ガルティアは肩をならしつつ、軽い笑みを見せて言う。
「ちょっくら部屋まで行って、レオンハルトに会ってくる」
と、ガルティアは軽い足取りで、レオンハルトの部屋がある上階に向かっていった。
――しかし、
「……お通しできませんわ」
「おお……」
目の前にあるレオンハルトの私室。
その前に立ち塞がるように立ち尽くすキャロルに、ガルティアは止められた。
横には、同じ様にレオンハルトに会いに来たであろうケッセルリンクがおり、通せない、と言い張るキャロルに向かって声を作る。
「……どうしてかね?」
「……レオンハルト様は、誰にもお会いにならないそうですの。ですから、通せません」
「それは、俺達もか?」
返ってきた答えに、引き継ぐような問いを投げる。それは暗に、自分達の間柄なら構わないのではないか、という意味を込めたものだ。
しかし、キャロルは首を振り、
「……レオンハルト様は、“誰も通すな”、と、そう言いましたわ……」
「……ふぅん?」
ガルティアは首を撚る。
閉じ籠もっている理由は、推測で、大まかではあるが解る。ようは塞ぎ込んでいるのだろう。仕事が手に付かず、誰にも会いたくない、という気持ちも、まあ、分からないでもない。
だが、疑問もある。それは、
「それは、いつまでだ?」
「…………」
今度は口を噤ませたキャロル。
沈黙の意味はおそらく、キャロルにも分からない。もしくは、
「……いつまでも、閉じこもるつもりか?」
「……それは……」
キャロルが片腕の震えを止める様にもう片方の手で抑える。
二の句を継げないでいた彼女に、今度はケッセルリンク聞いた。
「……もしや、使徒の立ち入りも禁じているのか?」
「……そうなのか?」
重ねて問う。しかし今度も首を振り、
「……一応、わたくしだけは、入室を許可されてます。……ですが」
と、キャロルはそこで言葉を区切った。
見れば唇が震え、今にも泣きそうな表情をしている。
そこから出てくる言葉は、こちらの想像を超える言葉であった。
「……レオンハルト様は、もう……何かをして、生きるということを諦めましたの」
「――――」
告げられた言葉にケッセルリンクが絶句した。キャロルが続けて、
「誰とも関わらず、ただ……ただ、このまま、緩やかな死を選ぶ……と、そう仰っていましたわ……」
「…………」
言われた言葉に、ガルティアは一瞬固まった。
……何だそれは?
レオンハルトが、死にたがっている、と、つまりはそういうことだ。
理由は解る。スラルを失ったショックだろう。
そう思うのも無理ないかもしれない。冷静な頭ではそう思う。
だがそれは、
「何を、ふざけたことを……」
憤りが胸の内に広がって、溢れてくる。
それは言葉となって口から出るものだ。
「死にたいだと……?」
そんなことを、そんな世迷い言を、口にするのか。
それだけは、そんなことだけは、
……許されねえ。
「っ……おい、キャロル。今直ぐそこをどきな」
「……ガルティア様? それは――」
「いいからどけ。――でないと、怪我するぞ」
「ガルティア? 何を……」
ケッセルリンクの疑問の声を無視し、ガルティアはキャロルの横の壁に向かって、
「――出てきやがれ! レオンハルト!!」
魔人の脚力をもって、思い切り蹴り抜いた。
破砕音とともに、壁が部屋の向こうに崩れる。それを見て、
……ちゃんと、ぶち抜けたな。
壁の向こうに部屋の内装が見える。それを確認すると、頷き、
「よし、じゃあ入るぞ」
「……あ、ああ。そうするとしよう……」
ケッセルリンクが若干狼狽えつつも後に続く。それを見て、口を開けたまま固まっていたキャロルが、再起動し、
「な、な、な……何をしてますのガルティア様――!?」
……お、ようやくいつもの調子に戻ったようだ。
叫ぶように声を上げるキャロルに元気が戻ったか、ならば良し、と感心する。
そんなキャロルは部屋に入っていくこちらに声を上げ、
「だ、駄目ですわよ! レオンハルト様の命令が――」
「――いや、いい」
と、続く言葉を止めた者がいた。
それは部屋の中から聞こえたもので、
「……何だ、ちゃんといるじゃねえか。返事ぐらいしろ」
「……レオンハルト……」
部屋に入ったケッセルリンクと二人で、部屋の主の姿を確認する。
そんな中、律儀にドアの方を開けて部屋に戻ったキャロルが主に向かって、
「レオンハルト様!? それは――」
「……いい、キャロル。いつかは、無理矢理にでも入ってくるだろうしな……それが早まっただけだ……」
「っ、畏まりましたわ……」
主に言われて引き下がるキャロル。その傍らに控える形だ。
ガルティアは、そのベッドの上で上半身だけを起こしている友人の姿を見た。
目は虚ろで、生気のない顔でこちらを見るのは当然、魔人レオンハルトであり、彼は覇気のない声で尋ねてきた。
「……それで、何の用だ……?」
「……ちょっと言いたいことがあってな。邪魔するぜ」
「……そうか。お前の方は……?」
視線だけでケッセルリンクを見るレオンハルト。その様子に少しだけたじろいたケッセルリンクであったが、迷った挙げ句、
「……私は、貴方が心配で……」
「……そうか……」
と、口だけでレオンハルトは言った。身体の動きはない。
その姿は、完全に無気力状態であり、何も見ていない様であった。
心配だ、と言って来たケッセルリンクから直ぐに視線を外す。しかしこちらを向くでもなく、レオンハルトはただ虚空を見詰めながら声を出す。ゆっくりと低い声で、
「……俺には、用はない。言いたいことを言ったら、出ていくといい……」
「っ、レオンハルト……!」
ケッセルリンクが悲痛な表情で名前を呼ぶ。
それを一瞥すらせず、レオンハルトは無言で待ち続ける。
それは、こちらの言葉を待っているのだろう。で、しかもそれに反応する気もない。入室を許可したのは、言った様にいつかは起こることだから。後、義理もあるかもしれない。
ガルティアは思う。確かに、言いたいことがあって来た、とそう言った。
だが、
「……一つ、先に聞くがよ」
「…………」
無視。しかし聞いてはいる気配は感じる。
ゆえに構わず、
「お前が死ぬ気だっていうのは本当か?」
聞かざるを得ないことを聞く。
その問いにレオンハルトは、こちらを一瞥し、
「……ああ、そうだ」
「……!」
答えた。
その答えに頭が沸騰するのを感じながらも、続く言葉を聞く。
それは、
「……俺はもう、何もする気もない……」
何故なら、
「こんな……こんな、あいつのいない世界で、生き続けるなんて、無理なんだよ……」
だから、
「俺はもう……ここで終わりでいい」
「…………テメェは……」
ガルティアは告げられた言葉に怒りを覚えた。
死にたい理由は理解る。言っている意味も理解る。
だが、看過出来るものではない。
ゆえに、
「……気が変わった」
ガルティアは言って、レオンハルトのもとに歩き、近づいていく。
そして拳を強く握りしめると、
「――口だけじゃ終わらせねえ」
「――っ!?」
その拳で、レオンハルトの顔を思い切り殴った。
レオンハルトの身体がベッドから吹き飛び、壁に激突してそこで止まる。
衝撃を受けて息が口から漏れ出たレオンハルトだが、しかし大したダメージは受けていない。
それは魔人としての、レオンハルトの体力の所為だ。
だが、何が起きたのかを理解し、しかし意味が理解出来ていないレオンハルトはこちらを見上げ、
「……何を……」
と、問いかけてくる。
それにガルティアはこう答えた。
答えになってない言葉で、
「死ぬって言ったな、お前……ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!!」
そう。ふざけている。死ぬということはありえない。
それはアイツの願いを踏みにじっている。
だからこれは、
「お前は、アイツに生きろって、そう言われたんじゃねえのか!?」
アイツの拳だ。
レオンハルトは正面のガルティアを見て、言葉を聞いていた。
こちらに向かって数歩を踏み出すと、左手で胸倉を掴まれて持ち上げられる。そのまま右手を振り被り、
「さっさと目を覚ませ……!」
「っ……!」
殴る。今度は左手で掴まれているので吹き飛ばない。
だが代わりに、ケッセルリンクが声を上げ、
「ガルティア!」
「止めるんじゃねえよケッセルリンク……!」
制止の言葉に聞く耳を持たず、こちらを睨みつける様に見るガルティアは続けて、
「弱音を吐こうが、無気力になろうが、それは別に構わねえ! だけどな、死ぬことだけは許さねえぞレオンハルト!」
「……何でだ……?」
「あぁ!?」
怒るガルティアを前に、声を漏らした。
それは単純な疑問と、内心の吐露だ。
「この理不尽な世界で……生きようとすることが、どうして出来る……? アイツは――」
そうスラルは、
「世界を好きだ、と、そう言ったんだ。その上で……理不尽に死んでいった」
この世界に善意も希望もない。あるのは底なしの悪意と絶望だけだ。
自分達はおもちゃだ。面白ければ弄ばれ、飽きれば捨てられる。
あいつがいるなら、それでも我慢は出来ただろう。しかも、
「俺は……何も出来なかった……あいつを守れなかった」
自分の在り方を守るばかり、あいつを救うチャンスをふいにした。
そんな自分に価値はない。意味はない。
だったら、
「そんな俺が……のうのうと生き続けるなんて……そんなことは――」
「――黙りやがれ!!」
「っ……」
続く言葉は、ガルティアの怒声によって止められた。
再度、こちらを強く睨みつけると、語気を荒げてこう言った。
「お前、アイツが俺に……俺に最後、なんて声を掛けたか教えてやろうか!?」
それは、と思う。
スラルが最期の日に、一人ずつ話をしに行っていたのは解る。レオンハルトは一時も離れたくなかったが、身内への最後の言葉だ。送り出すしかなかった。
ガルティアにスラルが何を伝えたのか、疑問が湧くこちらに向かって、ガルティアは続けた。
それは、
「“レオンハルトのこと、お願い”――そう言ったんだ!」
「――――」
分かるか? とガルティアが言う。その意味は、
「あいつは自分が死ぬ最後まで、お前のことを心配してた。自分がいなくなった後のお前のことをな――」
「……スラル……」
名前を呟くこちらに、ガルティアは言う。お前もそうだったんじゃないのか? と、
「なのに死ぬだと? 生きる理由がないだと? 馬鹿言ってんじゃねえ!! やることなら、あるだろうが……!」
それは、
「生きろって言われたんだろ!? 何かを頼まれたはずだ! ――だったらそれをやれ! 死にに行くんじゃねえ、生きに行け! そうじゃねえと、犬死にだろうが!!」
「俺、は……」
「……それでも死にたいって言うんなら――」
と、ガルティアは拳を振り上げて力を込める。
「俺が殺してやる!!」
「――っ」
どうなんだ、と怒りを込めた拳がこちらの頬を撃ち抜く。
痛みを感じながら、レオンハルトはガルティアの声を聞いた。
「答えろ! テメェはどうする!?」
「…………」
問われる。自分の意思を。これからどうするかを。
……俺は……。
自分自身に問う。このまま何もせず、何も残さず死んでいくのか。
何かを成しに、生きに行くのか。
「俺は……」
その問いに答える前に、レオンハルトは横からの声を聞いた。
「……色々と、盛り上がってるみたいだね」
その声は、聞き覚えのあるものだ。
声の飛んできた方向、扉の方を見やる。するとそこにはやはり、
「……ハンティ……か……」
「……かなり酷い有様だね」
レオンハルトの使徒であるハンティが、こちらを呆れた様な表情で見詰めていた。
部屋にいる皆が視線を向ける中、声を上げたのは同じ使徒であるキャロルで、
「ハンティさん! 一体どこに行ってましたの!? わたくし、心配して……」
「ああ、ごめんね。ちょっとやることがあってさ。――そこのご主人様のために」
告げた言葉に、疑念を抱いたのは誰も彼もだ。目を細めて、あるいは眉間にしわを寄せてハンティを見る。
そんな中、ハンティはレオンハルトに視線を向けると、
「……ちょっと、最後の方だけ聞こえたけど……レオンハルト。あんた……死にたがってるんだって?」
「…………」
答えない。しかし無言のこちらを見て息を吐いたハンティは、少し険のある目つきで言う。
「……随分と勝手よね。あんた、あたしと戦うために、あたしを使徒にした癖に、自分だけ先に行こうってわけ?」
ふざけた話、とハンティは短く断じる。
眉を立てながら、
「ほんと、ふざけんなって話よ。勝手に使徒にして、あれだけ戦わせてやる気を出させといて、飽きたらさよなら、なんて……そんな話は通らない。――そう思うでしょ?」
「……?」
と、不意にハンティがこちらではなく肩口に声を乗せた。それは別の誰かに問うような言葉であり、レオンハルトの内に疑念を生じさせる。
だが、次の瞬間。彼女の背後から声が聞こえ、レオンハルトは少し目を見開かせる。
それは、
「――全くですよ。私をあれだけ本気にさせといて。再会して直ぐにさよならなんて嫌ですよう?」
現れたのは、長く青い髪を持つ、長耳の女性だった。
頭に白い帽子を被り、気品ある緩やかなローブに身を包んだ美少女が、その手に大きな杖。そして青いクリスタルを額に持った、そんな相手だ。
その姿を見て、驚いた様に声を上げたのは、ケッセルリンクだ。
彼女の名前を、ケッセルリンクは知っている。皆が知っている。彼女は、
「――ペール……!」
「はい、お久しぶりですケッセルリンク様、レオンハルトさん。そして皆さん」
現カラーの長――ペール・カラー。
八十年前。カラーの森を訪れたレオンハルトと縁を結んだ少女。
その登場に、レオンハルトも唖然として彼女を見る。
ペールの方も、レオンハルトに視線を合わせ、微笑を浮かべると、
「……レオンハルトさん。私、変われましたよ」
「ペール……」
その姿は確かにペールだ。
しかし記憶にある彼女よりも堂々と、そして立ち振舞に余裕が見える。
力も増している様だ。
「レオンハルトさんのおかげで、変われました」
「……そう、みたいだな……」
見違えた、と、素直にそう思う。
見た目はそこまで変わってないはずなのに、随分と綺麗になった。
振る舞いの変化も、きっと今まで必死に頑張り、経験を積んできた成果だろう。カラーの長として。
「レオンハルトさんのために頑張って……変わったんです。立派なカラーの長として、再会するために」
「……そう、だったな……」
自分がそう言ったのだ。別れる彼女を勇気づけるため。
そして自分も、また会いたい、と、そう思って、
「私、頑張りました」
ペールは言う。あの出会いと、言葉を糧に頑張ってきたと。
「カラーの集落は発展しましたよ。人も増えて、畑も増やして、設備を整えて、自分達だけでも集落を守れるくらい、強くなりました。後継者だって育てましたし、私だって、今では集落一の戦士――というか魔法使いですけど、強くなったんですよ?」
どうですか? と、少し自慢気な様子でペールは胸を張る。
「私、ちゃんと立派なカラーになれました。少なくとも、自分を好きになれるくらいには」
なのに、と。
「そんな風に、死ぬなんて言われると……私困ります。確かに……その、スラルさんが亡くなったのは……私も、悲しいです……」
でも、
「レオンハルトさんまでいなくなったら……私は……私達は、困ります……! 悲しいです……!」
だから、と。
「お願いですから、そんなこと言わないでください……!」
「っ、ペール……」
そう言って頭を下げるペールに、レオンハルトは二の句を継げなくなる。
だが、言葉はそこで終わりではなかった。
背後から聴こえる別の声によって、
「――そうだぞ。貴様、何を腑抜けたことを言っている?」
「……!」
その声は、大きくも威厳ある、しかし、どこか親しみやすさが混じる声だった。
声は背後、外から聞こえる。
レオンハルトが振り向くと、突如、窓を無理矢理突き破る様に、白く輝く爪が突き立てられた。
視界に入ってきたその腕、いや、全身は全て――ダイヤモンドで出来ていた。
その姿を、やはりレオンハルトは知っている。その誇り高くも屈強な種族の中にあって、さらに強いその存在を。
50メートルほどの巨体。顔だけをこちらに覗かせ、声を送ってきたのは、
「……ライ、ゼン……か……!」
「久し振りだな、
大いなるドラゴン。四大聖竜の一角――ダイヤモンドドラゴンのライゼンが、そこにいた。
ライゼンは、室内で膝をつくレオンハルトの姿を見て目を細めた。
その姿はかつて、自分と戦い勝利した魔人の姿とはまるで違う。
生気がなく、虚ろなその瞳は、自分が認めた戦士の姿ではない。
しかしその見苦しい姿は見覚えのあるものだ。他人事ではない
ならば、声を送ろう。あの時の様に。
「……あの心優しき魔王は、逝ってしまったようだな……」
城の中にその気配は感じない。すでに失われてしまっている。
「願わくば、再び言葉を交わしてみたかったが……それも叶わぬか」
世界に絶望を与えるはずの魔王だというのに、不思議な雰囲気を持つ少女だった。
らしからぬ優しさを持ち、これだけの人物に慕われているのだ。自分としても、素直に惜しい、と、そう思う。
だが、
「俺は、魔王の死に際を、実際に見てきたわけではないが……」
ゆえに解らない。此奴等の気持ちは。言葉を掛けられたわけではないのだ。
だがそれでも、
「ただ――俺から一つだけ、言えることがある」
「……なんだと……?」
レオンハルトの瞳が疑問に揺れる。
分からないというなら教えてやろう。それは、
「貴様が生きていくことは、間違いではないということだ」
「――――」
レオンハルトの瞳が見開かれる。
この言葉を憶えているだろうか。
「貴様は、あの少女に何かを託されたのだろう? 貴様に――生き延びてほしかったのではないのか?」
「それは……その、言葉は……」
憶えているか。そう、今口に出している言葉は、
……かつて、貴様が俺に言った言葉だ。
死にたがっていた自分を救った。そんな言葉だ。
「貴様が死を選ぶことは、死んでいったあの少女を侮辱することとなる」
「俺、が……」
そうとも。
かつてお前の言葉に救われた。
託されたものを思い出せ。その強さをみせてみろ。生き抜いてくれ、と。
そうして自分は、戦いの果てに救いを得たのだ。
……ならば救おう。
今度は自分が言葉を掛けてやる。思い出させてやる。
「そうだ。今の貴様の姿を見ていても、到底俺を地に付けた存在だとは思えん。死を選ぼうとするなど……貴様、俺との約束を破る気か? あの少女の想いを踏みにじるというのか? ――なら、あの少女はまさしく犬死にだ。何の価値もない」
「っ、テメェ……!」
レオンハルトが眉を立てる。
その言動は許さない、と。確かな魔人の畏怖を見せて怒る。
「アイツに価値がないだと……? その言葉を取り消せッ!! 今直ぐ真っ二つにしてや――」
「ならば――」
言葉を止める。一息で、
……ならば、
「少女が託した、その生き様を見せつけろ。生き抜いてみせろ。そんな情けない有り様では、あの少女が報われん」
「――――」
懐かしい状況だ。
あの時、自分はこの様に見えていたのだろう。随分と情けないものだ。
……気づくがいい。
お前には、まだ残っているものがあるはずだ。
「……それに、貴様は望まれているはずだ」
「何、を――」
後ろを指して言う。
そこにはいた存在に視線を移す中、ライゼンは言葉を作った。
「生きることを」
「…………レオンハルト、様……」
そこには、声を震わせて立ち尽くす。
「……キャロル……?」
レオンハルトの、使徒の姿があった。
レオンハルトは、目の前にゆっくりと歩いてきたキャロルを見る。
その顔は俯いたままで、身体を震わせている。
しかしそれでも確かな歩みで眼前までやってくると、彼女はこちらを見上げてきた。
そして震えた声で言うのは、
「レオンハルト、様……もし、もし……死ぬと仰るなら――」
キャロルは告げた。
「わたくしを先に、殺してから逝ってください……!」
「――――」
告げられた言葉は想像を越えるもの。動揺は隠せず、息を呑んでしまう。
しかしそれでも何とか声を絞り出す。
「何、を……言ってる? そんなこと、出来るわけが――」
「わたくしは!」
と、不意にキャロルが叫ぶように言った。
驚きで言葉を止め、彼女を見る。キャロルは、
……泣いて、いるのか……?
床に、雫が落ちる。それはまごうことなき涙で、キャロルの目元から零れ落ちたものだ。
「わたくしは……レオンハルト様がいなくなるなんて、耐えられません……!」
だから、と。キャロルは顔を上げ、こちらを潤んだ目で見詰めながら言う。
「ですから、死ぬというなら……わたくしを、どうか殺してください……!」
目元を真っ赤に腫らしながらキャロルは懇願する。
「それ、が……っ……無理、なら……っ!」
次々と流れ落ちる涙。声が震え、鼻を啜るキャロルを、レオンハルトは黙って呆然とした様に見詰める。
「お願い、です、から……っ、生き、てっ、生きて、ください……レオンハルト様……!」
「っ……」
手を伸ばし、こちらに縋り付くように服を掴んでくる。
身を前に折り、顔を歪めて、
「ご自愛、くださ、いっ……レっ、オン、ハルト……さま……!!」
その言葉を最後に、キャロルは堰を切ったように泣き崩れ、
「い、嫌っ、嫌です……! レオン、ハルト様……う、うええぇぇん……!」
「キャ、ロル……」
まるで子供の様に。
縋り付いて泣き崩れるキャロル。
嫌だ、死ぬなんて言わないでほしい、と懇願している。
それを、ただ見ていると、
「……私も、同じ気持ちだ」
「ケッセルリンク……」
ケッセルリンクが、一歩前に出てくる。
その表情は、哀しみを堪えているのか、動かさない様に耐えている。
「……スラル様が亡くなり、レオンハルトまでもいなくなってしまったら……私は、どうすればいい?」
静かな声で、ケッセルリンクは問いを投げる。
答えの出せない問いだ。そんなことは分からない。
だが、
「情けない話だが……私はどうしていいか解らない。今でさえ……どうすれば良いのか迷っているとも……」
解らない。だが、
「しかし……生き抜いていかなければならない。これだけは確かだろう、レオンハルト」
「…………」
「私は、レオンハルトに生きてほしい。生きて……ともにこの先に進んでほしい」
そして、
「私を、私達を……導いてほしい……!」
「――――」
レオンハルトは何か――言葉にできない何かを感じた。
その正体は解らない。ただ、一つだけ確かなのは、
「……分かっただろう」
「……ライゼン……」
再びライゼンが声を発する。周囲を見渡し、
「貴様が生きることを望むものが大勢いる。まだ、大切なものが残っている。これは――貴様の生きる理由にならないのか? ――それに、だ」
と、ライゼンは一息ついて、強調する様に言った。
「生きていれば、新しい縁も出来る。生き続ければ、縁を繋げられる。生きる理由が増える」
ゆえに、
「――生きろ」
お前には、その価値がある、と。レオンハルトは確かに想いを受け取った。
……俺は。
自分は、何を思って、何を考えていたのだろう。
スラルが亡くなって、この世界で生きる意味なんてない、とそう思っていた。
……馬鹿なこと、言いやがって。
言うにことかいて死にたいとまできたもんだ。
情けなくて涙が出そうになる。
……スラルは俺になんて言った?
自分に生きてほしい、と、そう願った。
それが最後の頼みだ。彼女の望みだ。
……俺は、あいつの願いを叶えると、そう誓ったはずだ。
悲しくて辛くて、何もしたくない。
そんなことは関係ない。そんなことは許されない。
……例え、あいつがいなくても。
そこで、レオンハルトは周囲を見る。
そこには、ガルティアやケッセルリンク。キャロルやハンティ。わざわざ駆けつけてくれたペールやライゼンまでもがいる。
ここにいないだけで、縁を結んだ奴らだっているだろう。どこかで想ってくれているかもしれない。
そんな奴らが、大切ではないのか?
……そんなわけないだろうが……!
レオンハルトは、目の前を見る。
そこには、自分の身体に縋り付いて泣き続ける使徒がいる。
泣いているのだ。そんなことは、
「……キャロル」
まだ泣き続けている。しょうがない。
「キャロル」
「うっ、な、なん、なんでしょう、か……?」
ようやくこちらを見る。
彼女に視線を合わせる。そして、手を伸ばす。
……こいつは、これが好きだもんな……。
と、
「あ……」
キャロルが声を上げる。
頭の上に置かれたこちらの手を感じて、疑問の色を見せてくる。
「キャロル」
「あ……はい……」
言う。感謝の気持ちを。
「――ありがとうな」
「――っ!」
おかげで目が覚めた。気付かされた。
それは、他の者達のおかげでもある。
「……おい、ガルティア」
「……何だ?」
最初に叱責してくれた友人に声を掛ける。告げる頼みは、
「――俺を、もう一度殴れ」
「…………」
それを聞いたガルティアは、一瞬ぽかんと表情を固まらせたが、やがて、
「……へっ、そうか。でも、もういいだろ」
「……あ?」
ガルティアは言う。口端を釣り上げた笑みで、
「もう十分、
「……はっ、そうかよ」
言われた言葉におかしくなる。苦笑して、
「悪かったな。手間かけさせて」
「いいってことよ」
お互いに笑みを向けあう。こいつとは、短い言葉でも通じ合える。それ以上は必要ない。
「お前達にも……情けないところ、見せちまったな……」
そうやって皆を見渡す。すると最初に反応したのは、
「全くだよね」
「ハンティ……そういえば、わざわざ二人を呼んできてくれたんだよな?」
「……別に。ただ、そんな様子だとこっちの調子が狂うからね。――それに」
と、ハンティは同じ様に苦笑し、
「主人を気遣うくらい、使徒なら普通でしょ?」
「……ああ、そうだな」
全く。随分と頼りになる使徒だ。
これからも、よろしく頼むぜ?
「ライゼンも、よく来てくれた」
「……まあ、
「確かにそうだな。……でもお前、部屋壊しすぎだ。後でその分働いてもらうからな」
「なっ!? 貴様、そこは普通スルーするものだろう!!」
「安心しろ。――まけといてやる」
「ぐぅ……! 貴様、憶えていろ……!」
まあ、冗談だけどな。それでも了承してくれている辺り、随分と律儀だ。
お前の言葉、随分と胸に響いたぜ。
「ペールも……随分と立派になったな。見違えたぞ」
「あ、ありがとうございます! なら、早速で悪いんですけど、後で寝室にでも――」
「……いいぞ」
「えっ!? あ、いや、その……半分冗談だったんですけどー……」
「半分は本気なんだろ? 俺は別に構わん。してほしいってんならしてやる」
「わ、わあー……! 超展開ですよ……! い、いえ、是非お願いしたいんですが、私も久し振り過ぎて準備が……そう! 下着! 勝負下着履いてくるので、それまで待ってください!」
「……お前、変わったなぁ……」
随分とはっちゃけた性格になった。
だが、ほんと立派になったな。誰が見ても、立派なカラーの長だ。
「……ケッセルリンク」
「……ああ」
「俺は、これからも生きる。生きて、お前たちを導いてやる」
「ああ」
「だから、しっかりと付いてこい」
「……ありがとう」
ケッセルリンクが、安堵したように微笑を浮かべる。
ほんと、お前みたいな良い女が俺に惚れてるなんて不思議でしょうがねえ。
これからも、よろしく頼む。
「……さて、それじゃあ、俺は少し行く。お前らは適当にしてろ」
「お? どこに行くんだ?」
ガルティアが首を捻って聞いてくる。
レオンハルトは、一息。
「――ちょっと、あいつのところにな」
そこは主のいない部屋だった。
豪奢だが、実用性を重視した部屋で、沢山の本が並べられた棚が目に入る、そんな部屋。
それでいて可愛らしいデザインの小物が並んでいるのは、やはり、部屋の主の趣味だろう。
「……当たり前だが、そのまんまだな……」
その部屋に、魔人レオンハルトは足を踏み入れた。
部屋を一通り見回し、何となく歩いてみる。
「あの日のままだ……」
ベッドは乱れたまま。椅子は引かれ、クッションの位置は彼女がいつも座る位置に置かれている。
……思えば、俺の生活はここが中心だった。
目を閉じれば、今にも彼女の姿が目に浮かぶ。それぐらいの年月をここで過ごした。
『レオンハルト。この本、一緒に読まない?』
あいつは本が好きで、よく色んな本を貸してきたな。
一緒に読むのはペースが違うし面倒だから、って言ってるのに結局は何度も一緒に読んだものだ。
『レオンハルト……料理、作ってみたんだけど……』
料理が大好きなやつだった。
結局、最後まで不可思議な味は変わらなかったな。もう食べられないと思うと、恋しくなってくる。もっと食べてやれば良かった。
『レオンハルト? ちょっと試してほしいことがあるんだけど、いいかな?』
あいつはいつも色んなことを研究していたな。
随分と熱心で、色んなことを知っていた。もっとそれに付き合ってやれば、こうはならなかったのかもな。
『レオンハルト……ぎゅってして?』
あいつは随分と甘えたがりというか、イチャイチャしたがるやつだった。
抱きしめられるのが好きだって言ってたな。俺も、お前を抱きしめるのが大好きだった。
『レオンハルト!』
あいつの笑顔が俺は――いや、皆大好きだったんだ。
お前の笑顔はいつだって俺達を幸せにしてくれた。
あいつは俺に、沢山のものを与えてくれた。
この世界で楽しく過ごすことが出来たのは、やっぱりお前のおかげってのが大きいよ。
本当にありがとうな。
「……ん、これは……」
ふと、机の上に一冊の本が置いてあるのに気づく。
その上には白い手紙が二通置かれており、
「……まさか」
その手紙と本を手に取る。
中身は、
「……俺宛の」
その内の一つ、自分宛ての手紙を開く。
そこには、
――レオンハルトへ もし、全てを忘れて過ごしたいなら、この手紙は読まずに処分してください。
「……どういう、意味だ……?」
全てを忘れて過ごしたい?
意味が解らない。しかし、
「…………」
そんなことはありえない。
忘れるなんてありえない。
ゆえに、読まないという選択肢はないのだ。
「一体何が……」
レオンハルトは、手紙を開く。すると、
「――っ!? なんだ!?」
瞬間、手紙が発光し、何かを発生させた。
それに見覚えはある。この光は、
「魔法か……?」
魔法の光だ。
その光は、レオンハルトを包んでいくと、
「――っ! ぐっ……うああ……!!」
一瞬の激痛が、全身を走っていく。
痛みに呻きが漏れるが、それは一瞬のことであり、直ぐ様気を取り直すと、
「――何だ、これは……?」
レオンハルトは、驚愕に身を震わせる。
それは予想だにしていなかった事態で、
「……これは……いや、
疑念を抱きながらも推測をする。
「なら、この手紙と本は――」
二つを手に取りながら、レオンハルトはやはり手紙を読み進める。
そこには、レオンハルトが推測したことと、それほどかけ離れていないことが書かれており、
「――っ」
気がつけば、歯を食いしばり、手紙をくしゃりと握りしめていた。
憤りが胸の内を占めそうになる。しかし、彼女のことを思い落ち着いて、
「……そうか。これを――いや、これが託されたことか……」
理解する。何を頼まれ、何をするべきかを。
これからの自分が取るべき道を。
「……なるほどな。最初から、救いなんてなかったわけだ……」
そして、選ぶことの出来る道は、これしかない。
ならば、
「――いいぜ」
自分は全てを懸けてでもその道を行く。
「やりきってやる。他ならぬ……お前のためだ」
そして、それだけじゃない。これは、
「俺の意思で、やり遂げる」
既に俺が決めたことだ。俺が望むことだ。
思う。スラルのことだ。
彼女がいたこの部屋を眺め、レオンハルトは内心に言葉を作る。
――みっともなく泣き腫らしちまって、すまなかったな……スラル。
でも、もう泣かない。泣くのはこれで最後だ。
――俺は……これからどれだけの長い時を、お前のいない時間を、過ごすんだろうな……?
それはとても長い旅路になるだろう。厳しいものになるだろう。
だが、
――お前が言うなら……いや、違うな。俺は、俺の意思で生きてやる。
いつか道半ばで倒れてしまうかもしれない。
それでも、
――大切なものを沢山、お前が羨ましがるくらい作ってやるさ。お前は嫉妬するかもだけどな。
お前は、大切なものがたくさん出来て幸せだったんだろうな。
俺も……お前という一番大切なものが出来て、幸せだったぜ。
――それで、もう後悔はしない。また悩んでうじうじするかもしれねぇけど。それでも足掻いて答えを出し続ける。
大切なものは全部守ってやる。そのためなら良いことも悪いことも、望んでやってやるさ。魔人らしくな。
ひょっとしたらお前に怒られるような事もするかもしれない。でも、そういうお叱りは後からだな。全部終わってから言ってくれ。
――俺は、自分の大切なものは全部守ってやる。俺はお前の魔人なんだ。これくらいはやらないとな。
俺は進み続ける。もう振り返らねぇからな、しっかりと俺のこと――そこで見ててくれ。
「だから――」
だから、もし全部終わったら――その上でもしも、会えたのなら、
「あの時、聞かせてくれなかった言葉を……聞かせてもらうからな――」
アコンカの花は世界中に咲き誇り、次の魔王の名を告げる。
次の魔王の名は――ナイチサ。
古き時代が幕を閉じる。新たな時代が幕を開ける。
古きものから託されたものを胸に、魔人レオンハルトは新しき時代の入り口に立つ。
「――卿は……」
「はっ――」
たとえどれほどの困難が待ち受けようとも、いつか必ず。
「お迎えにあがりました。魔王――ナイチサ様」
いつか必ず――取り戻してみせるから。
というわけで皆様どうも、黒岩です。いつも応援いただきありがとうございます。
とりあえず思ったこと。 ――っ、あー……終わった……! しかもやっちまった……!
てな感じ。SS期がこれで終わりです。長かったですね……
当初は50話程度で終わらせようと思ってたんですが、倍以上になりましたね。しょうがない。
しかし色々と感慨深いものがあります。最初は何となく、スラルちゃんの妄想をメモ帳に書いて、その後で軽い気持ちで投稿しただけだったのですが、まさかここまで続くとは、自分でもびっくりです。
ここまで書けたのも、皆様のおかげです。いや、マジで。需要が無かったら続いてないので。高評価、感想、お気に入り登録、誤字報告、ただ読んでくれるだけでもありがたいことです。私のモチベーションを維持してくださった皆様のおかげなのです。
そして需要がありそうなので、物語はまだまだ続きます! 簡単な予定を書きますと、
NC期『ドキッ、男だらけの血まみれ戦争大会(首)ポロリもあるよ!』
GL期『暗黒牧場物語(ここまでいかないと新しいヒロイン出ないかも……)』
とりあえず二つの時代まで。その先はお察しください。
ちなみに、この作品はとある曲から着想を得ました。今回の話を見たら気づく人は気づくかも。ALICESOFTさんの作品、闘神都市3のOPで、片霧烈火さんの『get the regret over』。知ってる人も多そうだけど、気が向いたら聴いてみて。他にも色々あるけど、曲流しながら書いてると感極まって泣きそうになる涙腺ボロボロな私的にオススメです()
さて、では次からはNC期。直ぐに書ければいいけど、少し見直したり、プロット確認したり、話考えたり、ちょっと休暇も欲しかったりするので、時間かかるかも。いや、普通に明日辺りに投稿してる可能性もありますが()
それでは皆様、本当にありがとうございます。そしてこれからも応援よろしくおねがいします。レオンハルトのこれからの活躍を、どうぞお楽しみくださいな