曇り空の下、草むらの広がる大地の上で藤原家率いる大軍勢、鎧を着用し槍や剣などの得物を持つ兵士達は緊張感に溢れた面持ちで列を作っている。彼らの正面、北側には主に緑、青、赤の三色で構成された魔軍という名の敵集団が今か今かとその時を待っていた。
200万と230万。約430万もの戦士が集まっているにも関わらず、その場所は妙な静けさで満ちていた。
それは正しく、嵐の前の静けさとも言うべき状況であり、両軍とも敵の姿を注視しながら開戦の号令が鳴るのを待っている。
「いやぁ、これだけの数だとやはり壮観でありますなぁ、石丸殿?」
「――ああ、そうだな」
その人類軍の大将――藤原石丸は開戦の前の精神統一を行っていた。
己の生涯において最大最高の大一番となる勝負を目の前にして、石丸の心にまず浮かんだのは――“愉快”であった。
人類存亡の危機かもしれないというのに何を不謹慎な、と思うかもしれない。
しかし石丸は、この戦が己の魂が最も輝く時であると確信していた。
石丸の歳は既に44歳であり、戦に勝とうが負けようが老いという逃れられない定めによって全盛期を過ぎるであろう。既に限界まで鍛え上げたことにより、これ以上肉体的に強くならないことも理解っている。
――ならば“今”こそが、俺という命の見せ所よ。
今までもそのつもりで戦ってきたが、今回はそれにも増して思う。
なにせ己の夢が間近に、手を伸ばせば届く距離に見えているのだ。ここで振るわねば男ではない。
――俺は、
子供の頃から感じていた疑問がそれだった。
幼少の頃から天禀の才を持っていた石丸は書物を読みながら何度も己に問うていたのだ。
人という存在の儚さを幼き日より知っていた石丸は、この世の無常さを感じては庭に植えられた一本の木を見上げていた。
それは石丸が最も好きな――“桜”の花であった。
幼き石丸は思った――“人の世の儚さは、この桜に似ている”、と。
人の命など、世界から見れば桜が咲いて散るまでの一瞬に過ぎない。たかだか数十年、長くとも100年ほどの短い命であり、天運が悪ければ鬼や妖怪、魔物に呆気なく殺されて死ぬだけのもの。この桜の花びら一つ一つがこの世の何処かで死にゆく人間。あるいは己の未来であると石丸は理解していた。
――ならば人の生に意味などない、と絶望するのか?
石丸はその問いに対して、断じて“否”であると答えを突き付けた。
人の一生が短く、いつ散っていくのか解らないのなら、その分今日という日を全力で生きるのみだと石丸は活力を漲らせた。
やりたいことをやって、夢を叶えてみせる。お前は四男だから当主にはなれないだの、冒険は無謀だの、世の中は魔物の天下であることなど全て知ったことではない。険しい道のりだというなら尚良し。それでこそ挑戦しがいがあるというもの。己がどこまで行けるか確かめられるというものだ。
数や質、将の強さも何もかも、人間は劣っているのかもしれない。
特に相手の大将は己より遥か高みにいる怪物だ。いつもの調子では――いや、例え十二分に力を発揮しても勝てないかもしれない。本来なら恐怖して然るべき相手――であるのに、石丸はその怪物を思うと笑みが浮かんでくる。
不思議なことに、一度として面と向かって話したこともないのに、その怪物とは馬が合い、お互いを深く理解し合っているという気がした。いや、今まさに語り合っているという確信すら持てた。
この戦場のどこかにいる男の姿を思い浮かべ――しかし今一度その幻影を掻き消す。
代わりに思い浮かべたのは先に倒すべき相手だ。
……必ず勝つ。
勝って己という存在を見せつけてやる。今が一番強いのだと証明してやる。
そうして怪物を倒し、己の夢を叶えてみせる。
存分に咲き誇ってからでないと、死ぬには惜しい。
「――ミッチー、後は任せたぞ」
「……は、お任せ下さい」
己や他の者達の代わりに本陣で指揮を執るミッチーに声を掛ける。心強い言葉が返ってきた。
「――麻呂、頼光、黒部、月餅……」
多くの者達の名前を読んでいく。ここまで自分に従って付いてきてくれた者達だ。中には子供達もいるが、他ならぬ己の血が入っている。ゆえに心配はしていない。
そして最後に、
「――春よ」
「はい」
己の最も大切な人を見て言う。
「――俺の活躍を見ていろ」
「……はいっ!」
その声を聞き終えると、精神統一は終わった。
後に残るのは、全身に満ちる鬼気に神気、剣気。そして雑念無しの一念。
「――――必ず、勝つぞ!!」
「――――応!!!」
その一念が乗り移ったかのように兵達が声を上げる。帝の証――帝ソードを天に掲げ、全軍に響き渡るように渾身の号令を上げた。
「懸かれ――――ッ!!!」
人類軍と魔軍の戦闘は両者、遠距離からの攻撃から始まった。
「撃てェェ!!」
「放てッ!!」
人間の将に魔物将軍らがそれぞれ配下に指示を出し、魔法や弓を一斉射撃させる。
上空で矢が行き交い、両軍が盾を上部に構えて防御する中、両軍の間では幾つもの魔法がぶつかり合い、戦場に音を響かせていた。
炎、氷、雷、光、闇。魔法光とともに様々な属性、様々な魔法が打ち消し合うように爆発し、大地が僅かに抉れて焦げつく。
数百数千の魔法の撃ち合いは両軍の前陣をそれなりに崩したが、魔法は一度放てば次に撃つまで時間が掛かる。
その間に進み出てくるのは歩兵。戦の主役たる部隊であり、
「突撃――!!」
「進め!! 人間共を殺し尽くせ!!」
「敵を迎え撃て!!」
両軍の歩兵が一斉に走り出す。敵に肉薄し、その手に持った剣、槍、斧、刀などの得物で敵を屠ろうと裂帛の気合いを持って立ち向かう。
両軍の本格的な戦闘が始まったのである。
「進め進め!! 兵をどんどん進ませろ! 魔物の恐ろしさを教えてやれよテメェらぁ!!」
「はっ!」
一番最初に突出したのは北西に布陣するザビエル軍だった。
ザビエル軍全体を指揮する魔物大将軍コウウは、比較的前線に近い場所で指揮を執ることを好む大将軍であり、時には自ら弓を持ち、槍を振り回して敵を蹴散らすこともある好戦的な男である。
今回もその例に漏れず、前線に近い場所で指揮を執っていたコウウは魔物兵達を鼓舞しながら一斉に突撃させる。
「人間如き、てめぇらなら楽勝だ!! さっさとぶっ殺してやれ!」
コウウがそれだけ果敢に攻めさせるのは上役である魔人ザビエルの意志もそうだが、己の手柄を欲するがゆえだ。
何しろ敵は人間だけではない。東側、魔物にもいるのだ。
……リーの奴に手柄は――いや、誰にも手柄は渡さねぇ。俺だけのものだ!!
今回の大戦争。人間の首魁をぶっ殺し、多くの将兵を討ち取って手柄を上げる。そうして最終的には魔王様にお願いして魔人になるのだ。
魔人になれば他の魔人に気を使わなくてよくなるどころか、何でも好き放題に生きることが出来る。食事、女、金銀財宝、部下の命まで思いのままだ。
ムカつく他の大将軍共――ヴラドにバルカ、リーも殺せる。
今の時点でも実力は誰にも負けていない自信があるが、一人殺したことがばれれば他の奴らに敵視されて殺される可能性もある。ヘタな行動は取れない。
だが魔人となれば無敵結界があるのでどれだけ他の生物と戦ったところで負けることはあり得ない。
……魔人になるためにリーには勿論、ザビエルの野郎にも手柄は渡さねぇぞ。藤原石丸とかいう大将の首は、俺が取る……!
今回はそのために比較的前線に近い位置にいると言ってもいい。大将らしき奴を見かけたら自ら出ていって殺してやろうとコウウは企んでいた。
ザビエルは人間ではなくレオンハルトの方にご執心だし、自分の所の兵や将が討ち取る分には文句は言わないだろう。ザビエル軍の誰かが討ち取ったなら、それはザビエルの手柄になるのだ。文句の付けようもない。
しかし実際に自分が討ち取ったなら魔王様にお目通りを願うことくらいは出来るだろう。そうなったら後は適当にごまをするなり、己の優秀さを見せつけるなりして魔人にしてもらうだけだ。
そのためにも、魔物兵にはさっさと人間の兵を削って貰わねばならない。奴ら、弱い癖に数だけはかき集めてきたようであり、さすがに今自分が突撃するのは面倒だし骨が折れる。効率の良さで言うと魔物兵にしばらく戦わせて、敵が焦れて他の将や大将が出てきたところで自分も出ていくのが理想だろう。魔物に人間が勝てるはずはない。多少強い人間が出てくれば雑兵は殺せるが、逆に言えば偉い立場の奴が出てこなきゃ魔軍を倒す可能性すらないのだ。
ならば俺は命令を出しながらじっくりと待っていればいい。それこそ、魔人のように――とコウウがほくそ笑んでいると、
「うわああああッ!? 出たあ!?」
「や、奴らだ! 奴らが来たぞ……!!」
前線の兵が急に動揺した気配が、怯えた声とともに伝わってきた。コウウは急ぎ、副官の魔物将軍に確認を取る。
「おいっ! どうなってやがる!? ――まさか大将か!?」
「い、いえあれはおそらく――」
魔物将軍も少しだが動揺している。だが心当たりはあるのだろう、その声を放つより先に、前線から魔物兵がやって来た。
「で、伝令!」
「何があった! さっさと報告しろ!」
部下を急かすように言うと、魔物兵は、はっ、と短い声を上げて即座に説明した。
「――ぶ、武士です!!」
「っ……まさかこの前の奴らか!?」
はい! と頷いた魔物兵にコウウは苦悶の声を漏らす。得心したのだ。
人間の部隊など本来憶えるまでもないと思っているコウウだが、今回の戦で例外的に名前を憶えた連中がいた。それは、
「武士だか“源氏”だかいうクソ共が……!! クソが、落ち着いて囲んでやれ! 突っ込んでくるならそれで潰せる!! 魔法でも何でも使え!!」
コウウは急いで指示を出しながら、前線にいる人間共を憎々しく思った。
ザビエル軍と人類軍がぶつかり合う前線。
歩兵同士のぶつかり合いは均衡、やや魔物兵の優勢であったが、その勢いは突如として沈静化した。
その理由が彼らにある。
「――やぁやぁ! 我こそはァァァァァァァ!!」
「ひぃぃ!? がっ――」
猛然と声を上げながら振るった槍が、魔物兵の喉を突く。
「やぁやぁ、音にこそ聞けェェェ!! 近くば寄って目にも見よオオオォォッ!!」
「き、来た――ぐ、ァ……!」
尋常ではない気迫でひた走ってきた男が、やはり凄まじい声を上げながら刀を奮って魔物兵の頭をかち割る。
「我こそはあああああァァァァ!! 源宛の長男!! 渡辺綱なりぃィィィィッッ!!! 死ね死ね死ねェェい!!」
「我こそはあああああァァァァ!! 相模足柄山に生まれた男!! 坂田金時なりぃィィィィッッ!! ブチ殺ォォォォォォス!!!」
「我こそはあああああァァァァ!! 源頼光の長男!! 源頼国なりぃぃィィィィッ!! ヒャッハー!! 首寄越せィ!!」
何故か全員が怒涛の名乗りを上げながら襲いかかってくる兵達。
その名は――武士。
藤原家の本拠地であり主力。鬼、妖怪、地震など危険で人が生きるには適していないJAPANで生まれ育った鬼子達であり、その形相はまさに修羅そのもの。誰も彼もがこの世に生まれ落ちた第六天魔の化身を称する日ノ本の戦士達である。
彼らはJAPANの風習である名乗りを上げながら一切の恐れを見せずに魔物の群れに突撃して刃を突き立てて首級を挙げてみせる。
とはいえ、JAPANの武士の中でもここまで苛烈な戦い振りを見せるのは限られている。
その鎧や羽織に笹竜胆を織り込んだ者達。
そんな武士達の棟梁は――誰よりも深く進んでいた。
「オオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォッッッ!!!」
後方の味方を置き去りにする勢いで魔物兵がひしめき合う中を往くのは一人の美しい女性だ。
既に名乗りも終えて敵陣に突っ込んだ彼女は後ろに束ねた黒髪を靡かせながら戦いを為すだけの羅刹と成り果てていた。
「ひぃ!? 誰かこいつを止め――」
「ば、化け物かッ!!」
化け物、と呼ばれた彼女こそがこの集団――源氏武士団の棟梁であり藤原四天王の一人である源頼光。
“鬼姫”とまで呼ばれるほどの戦好き。女性では人類最強とも噂される女傑であった。
その歩みを、精強な魔物兵でも止められない。
一歩踏み出し、右手の刀で魔物兵を殺し、二歩目の前に左手の槍で魔物兵を数体薙ぎ払って殺すと、二歩目を踏み出して相手の攻撃を避けながら刀を魔物兵の眉間向かって投げつける。三歩目で殺した魔物兵が持っていた斧を空いた手に持ち、すかさず近くの魔物兵も殺すと、四歩、五歩で先程刀を投げつけて殺した魔物兵の近くまで魔物兵を殺しながら近づき、斧を投げて魔物兵を殺すとそのまま刀を回収して再び刀で斬り殺す。
少し遅れて頼光の部下の武士達が追い付いて声を上げるも、
「大将ォォォ!! さすがに突っ込みすぎではなかろうかあァ!!」
「そうですぞ母上ェ!! もう我らしかいませんぞォォ!!」
そう話しながらも魔物兵を斬殺していく彼らも真の武士。源氏武士団の名に恥じない苛烈な戦い振りである。
しかし頼光は魔物の群れに斬り込むことを止めず、笑みの顔を向けながら叫ぶように言った。
「馬鹿者がぁ!! こんな愉しいこと、止められると思うてか!! わしを止めたくば石丸様を連れてこォォォい!!」
言いながら頼光は跳躍し、再び魔物兵の集団の中に飛び込み斬り込んでいく。
そこには魔物隊長がおり、彼らは頼光を見て狼狽えながらも応戦の構えを見せた。
「えぇい!! 好き勝手させるかっ! 囲んで殺せ!!」
「うおおおおっ!!」
魔物隊長の言葉に魔物兵が雪崩れ込むように襲いかかる。魔物隊長自身も大剣を構えて頼光を迎え撃つ。
しかしその光景に頼光は――その口端を深く歪めた。
「――――ニヒッ」
「――ッッ!? お、お前達! 早くそいつを殺せ!!」
その笑みをまじまじと見てしまい恐怖した魔物隊長が後退りながらも切迫した様子で指示を出す。
しかしその時にはもう遅かった。
「一番首見つけたァァァァァァァァァァッッ!!!」
「ッ!? うああああああ、来るなァ!! やめ――」
歓喜と狂気に満ちの表情を見せ声を上げて迫ってくる人間の女性に、魔物隊長が気圧されて大剣を振り下ろすが、
「まずひとぉぉぉつッ!! 魔物隊長何某の首、この源頼光が討ち取ったりィィィィィ!!」
既に頼光は大剣を潜り抜けて魔物隊長の首を斬り落としていた。
その首を取って、周りの魔物兵を槍で殺しながら素早く首級を取ったことを高らかに天に吠えると、その首を槍に巻き付けて再び戦闘を再開する。
しかし周囲の魔物兵は魔物隊長が瞬く間に殺され、現在も戦闘を止めることなく仲間を殺している頼光を見て悲鳴を上げた。
「ひぃぃぃ!! ふ、ふざけんな! こんな化け物とやってられるかっ!!」
「お、押すな!! く、くそぉ! 俺だって逃げてぇよぉ!!」
「どけ、どいてくれ!! 俺を逃がしてくれ!!」
二百名近くの魔物兵が一気に逃げ出そうとするが、数が数なだけに逃げることは難しい。
押し合いへし合いの中で頼光、そして追い付いてきた源氏武士団の面々にやはり素早く殺されると、頼光は再び別の場所に飛び込んでいった。
「姉御ォ! お待ちくだされ!!」
「ハハハハハハ!! 待つかアホンダラァ!! 百――いや、二百は最低でも取ってやるぞぉ!! さぁ、次の首はどこぞ!?」
配下の頼光四天王や息子達を笑いながら罵倒すると、周囲を見渡して楽しそうに次の首を探し始める。頼光は大の戦好き。一歩間違えれば死にかねない窮地を好む戦闘狂は、魔物の血で顔が濡れてなお、目を輝かせながら魔物だらけの戦場を往く。
鬼退治や妖怪退治を得意とし、JAPANでは悪名高い彼女と源氏武士団は大陸で戦っていた時もその苛烈な戦いで恐れられており、今でも大陸諸侯の貴族、兵士には恐れられている。
魔物相手でも一切怯むことなく突き進み、首の山を作り上げて自軍の勝利に貢献する。これが彼女達のやり方であり、名乗りを上げながら攻撃を仕掛けるのも、大陸では名乗りを待ってくれないので仕方なく――“待ってくれないなら名乗りながら攻撃すればいいのでは?”――と、頼光が考えた狂気の風習だった。
返り血や何もかもを一切気にせずに戦う彼女はまさに“鬼姫”の名に恥じず、彼女の配下の源氏武士団もそれに負けじと魔物兵達を集団で飛びかかるように殺していく。
彼らは戦場を自由に駆け、ザビエル軍に少なくない損害を出していた。
敵の指示で囲むように彼女達を足止めしようとするも、中々源氏武士団は止まらない。
それどころか、彼らに手をこまねいている内に前線が崩れて大陸諸侯の兵達も次々に魔物兵相手に戦果を上げていく。
更には、
「どけえええええええええええええええい!!」
今度は茶褐色の肌をした大柄の爺が、風のように素早い動きで魔物兵達を薙ぎ払っていく。
その手に持つのは大型の大刀であり、魔物兵の身体の二倍も三倍もある巨大な得物であった。
それを振り回しながら敵陣に突っ込むのは藤原四天王の一人。
「朕は征夷大将軍――坂上田村麻呂であるぞ! 控えおろおおおおおおおおおおおおおおおおおうう!!」
「ぎゃああああああああ――!?」
大刀を振り回して魔物兵の陣を付き包む姿はまさに暴風であり、その走りに巻き込まれた魔物兵達は皆骨を砕き、身体を吹き飛ばされていった。
坂上田村麻呂は元最強の武士であり、藤原石丸の師を務めていたこともある達人である。
若い頃は毎日の様に戦や鬼退治、妖怪退治に出かけ、JAPANでは知らぬ者がいないほどの有名人であり、歳を食った今でも、日ノ本で二番目の武士で在り続けている。
そんな彼を偶然にも見つけた者がいた。それは、
「だああああああああ!! クソ!! クソがッ!! 役立たず共!! こうなったら俺様が出てやる! うおりゃあああああああ!!」
「――むっ」
乱戦になり、魔物兵の群れの中から出てきた一際大きな魔物に、坂上田村麻呂は目を向ける。傍らの魔物将軍の制止すら振り切って槍を構えたのは、
「コウウ様! お待ち下さい!! 総大将に出張られては……それに、さすがに早すぎます!!」
「うっせえ!! 持ちこたえねぇとやべえことがわかんねぇのか!! このままズルズルと押されたら不利な上に、武士共のせいで士気もガタ落ちだ!! 回復させようと思ったら将を殺すのが手っ取り早えんだよ!! ザビエルの使徒共もいねぇし、その次に強いのつったら俺しかいねぇだろうが!?」
「っ、ですが――」
「ですがじゃねぇんだよ!! 負けたくなかったらテメェも一緒になって戦いやがれ! 今は武士を止めるのが先だ!!」
「は、はっ! 畏まりました!」
魔物将軍が納得したのを見て戦闘を始めたのは魔物大将軍コウウ。
彼は周囲を見渡して敵陣深くまで切り込んできた武士を見つけると、
「――そこかァァ!!」
「むっ! 何じゃ貴様――って大将首か!?」
キラキラした目を浮かべ、襲いかかってきたコウウを見たのは源頼光。
明らかに大柄で偉そうな魔物を見て楽しそうな表情を浮かべている。
だが、その途中に割って入るように、
「どけ小娘ェ!! そいつは朕の獲物じゃあああああああ!!!」
「あぁん!? 出おったな糞爺! こいつの首はわしが取る!! 貴様はほれ、そこの魔物将軍で我慢せい!!」
「んじゃとこのガキャああああああああああ!?」
「やんのか糞爺イイイ――ッ!!」
急に喧嘩を始めた源頼光と坂上田村麻呂。二人の藤原四天王。人間の将を見つけた大将軍コウウは、
「……ははは、ツイてるぜ!! おら、雑魚共!! このコウウ様が相手になってやるから纏めて掛かってきな!!」
「あぁ!?」
「んじゃとぉ!?」
ここで二人を仕留めてしまえば手柄になるし、前線も持ち直せる。魔物大将軍なりに戦況を有利にしようとして選んだ行動だった。
その挑発にも似た言葉に、頼光と田村麻呂は揃って怒りの感情を見せて、得物を構える。
「ふははは! よう吠えたわ! わしが直々にぶっ殺してやる!! 素っ首寄越せええええええええええ!!!!」
「無礼者があああああああああ!! 貴様、朕を舐めておるな!? 斬り殺してやるわあああああああああ!!!」
「一々うっせぇんだよてめぇら! 叫ばねぇと戦えねぇのか!! ――こっちこそ、手柄にしてやらぁぁ!!」
コウウのそのサイズに見合った巨大な槍と、頼光、田村麻呂の刀が打ち合わされる。
戦場は早くも将同士は矛を交える展開となっていた。
レキシントン「超混ざりたい。後、鬼姫欲しい」
アトランタ「今から参りましょう! レキシントン様!」
レキシントン「ハーッハッハッハッ! そうするか!」
鬼達「うおおおおおおおお! 親父いいいいいい!」
ジュノー「……行ったら怒られそうだけどね。でもまあそれでこそレキシントン」
ラウネア「…………(何これ怖い)」