キナニ平野中央部の空では、戦闘の音と空気が響いていた。
「お、おい……見ろよ、あれ……」
「ハンティ様と、戯骸様か……?」
「あんな姿見たことねぇ……」
最強の使徒と名高い二体の争いに、思わず息を呑んでしまう。
その姿を初めて見る、というのもそうだが、その戦闘の凄まじさに見入ってしまうのだ。先程までの戦いも凄まじかったが、今目の前で生じている戦いは、まるで、
「魔人同士の戦いじゃねぇ、よな……?」
そう思ってしまうほどの戦いだ。
少なくとも、魔物兵達には違いが解らない。解るのは、自分達よりも遥かに高いレベルで戦っているということ。そして、
「――あれは……」
二体の戦いに気づいたのは、地上にいる者達だけでは無かった。
空を行き、平野に近づいてくる白の巨竜も、遠くの空で戦う同胞と、火の鳥に気づき、
「……フッ、なんだ。中々に良い空気を吸っているではないか」
要らぬ心配だったな、とドラゴンは滑空するように徐々に高度を落とし、地上へと近づいていく。そして空に向かって言葉を放つ。
「久し振りの空だろう、存分に楽しむといい――空は、誰にでも平等だ……!」
そうして白の巨竜は、再び空に舞い戻ってきた同胞と、それと向き合う勇敢な戦士への、自分なりの敬礼として、
「――――!」
空に響く咆哮を発した。
ハンティは、再開された戦いで、久し振りの感覚を味わっていた。
懐かしい、空を飛ぶ感覚だ。
……ほんと、懐かしいね……!
確かめるように、背の翼を動かして飛ぶ。この翼を動かす感覚も、自分が足の付かない場所にいる感覚も、空気を突き抜け、風となっていく感覚も――全てが久し振りの感覚だ。
空を故郷とするドラゴンとして自由に飛び回っていたのは、もう千年以上昔のことだ。人の姿となり、一時的に跳び上がったり、魔法の力で宙にいることはあっても、こうやって飛べるようになるとは思いもしなかった。
……そう考えると、使徒化も悪くはないかな。
悪いことばかりではないことはとっくに解っていたが、空を往く感覚を思い出すと、改めてそう思う。
しかし、かなり久し振りだというのに問題無く飛べるのは、一度染み付いたものは忘れないということだろうか。ドラゴンであった頃の感覚を、身体は憶えているということかもしれない。
……気持ちいい。
そして、楽しい。
戦闘中、戦争中で不謹慎かもしれないが、素直にそう思う。
いや、戦うことも楽しいとも思う。それが意味するのは、ここが自分の戦場だということだ。地上もそうだが、空だとより一層そう思う。
「――――!」
そんな時、空の向こうから、聞き覚えのある音の震えが来た。
思わず視線を向けてみれば、遠くの空に、白の巨竜の姿がある。ここからでも見えるとは大したものだ。そう思いながら、ハンティは同胞の咆哮を受け取り、
……ああ、そうだね。
帰ってきた、という想いがある。以前とは違った存在、違った姿だが、確かに自分は、空に帰ってきたのだ。
ドラゴンでも、人でもない。使徒という存在でも、空は変わらずそこに在り――平等に自分を受け止めてくれる。
「ハッ、すげぇ愉しそうじゃねぇか。高く飛びすぎだっての」
そう告げてきたのは、こちらを追いかけて炎を飛ばしながら、しかし途中で止まってこちらを見上げる不死の鳥だ。躰の殆どが炎で出来たような伝説の鳥に、ハンティは見下ろしながらも苦笑付きで答える。自分の心境の変化を、認めるしかないと、
「そうね……結構、愉しんでるかも」
「そいつは良いことだな。――だが、どこまで行く気だ?」
ええ、とハンティは頷き、答えた。
「――
「! ……お前――」
驚いたように言葉を無くす朱雀。それに対し、ハンティは背の翼を動かすことで更に上昇を掛けながら炎を躱し、その上で朱雀を笑みで見下ろし、誘うような言葉を掛けた。
「ほら、もっと来なよ朱雀! あたしは、もっと上を望んでいく。あんたも付いてきな! ――それとも、不死の鳥はこれ以上高くは飛べないの!?」
「……! ――いや、そんなこたぁねぇ!」
なら、
「――もっと速く、あたしに負けないくらいの力で昇ってきな!」
朱雀が言う。こちらの笑みに、笑みで返し、
「もっと高く、もっと熱く行くぜ……!!」
と、朱雀が上昇を掛け、こちらを追いかけてきた。それを見て、ハンティはやはりと自覚する。
……ああ、駄目だ、あたし……!
今まで抑え込んできたはずの昂ぶりを抑えきれない。ドラゴンの姿に近い、使徒としての力を解放したせいもあるのかもしれない。本能に近い趣向が、内側から溢れ出してくる。
少なくとも今の自分は、空を飛ぶのも、強い相手と戦うことも、力を出すことも、その何もかもが、
――愉しくて、しょうがない……!
ゆえに、ハンティは己の戦うために培った、剣や魔法などの技術、ドラゴンカラーやヒューマンカラー、使徒として力を存分に引き出し、それを朱雀に向けて、存分に振るっていった。
「さあ、どんどん行くよ!」
真の姿を解放した朱雀は、同じく真の姿を解放したであろうハンティと空の戦いを行っていた。
既に地上は遠く、曇天の雲が近い。羽を動かし、一瞬の上昇を続けながら、相対するハンティに炎の連射を行う。同時に突撃を仕掛け、相手も炎を紙一重で躱しながら飛翔し、こちらと交叉した。
炎で相手を飲み込もうとし、相手は剣でこちらを斬り刻もうとしてくる。だがその交叉は一瞬で、お互いが通り抜けるように位置の入れ替えを行うと、身を大きく回しながら反転し再び相手を見据えて攻撃を仕掛ける。
8の字に近い軌道で戦闘を行い、しかし上昇の飛翔を続けた。距離を置き、相手が魔法の雷撃を飛ばしてくるのに合わせて炎の塊をぶつける。再び、近距離での交叉が始まり、朱雀は笑みを浮かべながらもこう思った。
……中々にキツいな!
真の姿を解放した同士の戦いではあるが、朱雀は目の前の相手に付いていくことが苦しくなっていた。
まるで別人の様だ、と朱雀は感嘆と苦さが混ざった様な思いを感じる。本当に魔人じゃあねえだろうな、と。――それくらい、ハンティの能力は向上していた。
しかもそれでいて、地上で戦っていた時に用いていた様な技術も失っていない。宙で翼を羽ばたかせながらも、その戦闘技術は確かなもので、こちらを追い詰めてくる。
己も魔人級の強さを持つ、最強の使徒だ。などはよく言われていたが、それでも今のハンティを見れば、苦笑を浮かべるしかない。能力の上では、確実にこちらが劣っている。だが、
「負けるわけには、いかねぇよなぁ……!」
「……! やるじゃない……!」
放射状の炎を吹き、相手を焼き尽くしてやろうと試みる。だが、焼いたはずの相手の肌を、朱雀は見た。
……高速で再生してやがるな!
不自然な程の速度で、相手の傷が塞がっていき、10秒も経たない頃には綺麗な肌色に戻っている。驚異の回復力だ。再生力、と言うべきもの。それを目の当たりにしながらも、
……負けるわけにはいかねぇし、負けたくもねぇ!
例え勝ったところで、仲間達の運命は変わらないかもしれない。ならば、不死とはいえ、命を懸ける必要はないかもしれない。
だが朱雀は、不死だからこそ、命を懸けたいと思う。何故なら、
……仲間だからな……!
朱雀にとって、使徒の仲間達や主は仲間なのだ。
不死の鳥として気づけばこの世界に生まれ落ちていた朱雀は、生まれた瞬間から一人であり、孤独であった。
話し相手くらいは出来たこともあったが、不死である己と違い、余人は直ぐに死ぬ。寿命が存在しない自分にとって、数十年で死ぬ他の生物は、一時の相手でしかない。
だが、そうして孤独でつまらない日々を何百年と過ごしてきた己の前に現れたのが、今の主人と仲間達であった。魔人と使徒。見るからに傲慢で、性格の悪そうな奴等ではあったが、己が必要だと、そう誘ってくれた初めての相手であった。
不死でこそないが、寿命が存在しない仲間が出来た。人を苦しめるのが好きなイカれた連中だったが、自分にとっては初めて出来た仲間だ。
そんな仲間が、これから死ぬ。既に一人は死んだ。主のために命を懸けたのだ。
他の者達も遅かれ早かれ死んでいくだろう。最後は主も死に、遺るのは死んでも蘇る自分だけだ。そんなのは、
「寂しいじゃねぇかよ。なぁ……!」
生きて馬鹿をやるのが面白いし楽しい。悪いことだって、それを一緒に感じられるなら、そこにあるのは連帯だ。今、眼前の相手と戦い競い合うのも一種の連帯であり、己にとっては楽しい出来事だ。
そこで朱雀は、己の主を思う。
……ザビエル様も、こんな風に楽しめばいいのによ……!
そうすれば、もっと楽しい時間が過ごせたかもしれない。妬んで怒って、それを発散するために他者を苦しめるばかりでは勿体無い。
もっと向き合っていってほしいのだ。自分にも、相手にも。色んなことに。
……ここからだと見えるかよ……!?
ゆえに、朱雀は相手に先導されるように天高く昇り、命を賭して戦う。
死んでも生き返る不死の身で命を懸けたところで、その重さはたかが知れているかもしれない。
だが、それは解らない。解らないなら、
「試してみるのも悪くねぇよな……!」
楽しんで行く。朱雀は、己と同じ不死の存在に言葉を放った。
「不死の命が軽いとは、限らねぇぜ――!!」
ハンティは、不死の鳥が叫びとともにその身を大きくしたのを見た。
大部分が炎で出来た巨大な躰。それは、朱雀のこの戦いに懸ける重さそのものであり、
「良い気合だね……!」
不屈の闘志を持った不死鳥を前に、ハンティは口端が緩むのを自覚する。そしてそれは、相手も同じだ。戦いを、この状況を楽しみ抜こうとしている。楽しむこちらに呼応するように、しかし負けないと、命を懸けて挑んでいる。先程の言葉の意味はそれだろう。ハンティは理解した。だが、
「勝つのは、あたしだ……!」
「いいや、俺だ……!」
だから、ハンティは行った。
翼をはためかせ大気を叩き、一瞬で100メートルを駆け抜ける加速を行う。速度は十分だ。
だが、ハンティは更に加速した。これでは足りないと。
その証拠に相手は炎の躰で同じ様に加速し、同時に炎の砲撃を翼から飛ばしてくる。朱雀はこちらの上に位置取り、頭上から獲物を狩るような動きで襲いかかってくる。
それは空の戦いだ。敵をより有利である頭上から強襲する戦い方。死角であり、空を飛ぶ者にとっては翼があり、傷つけば致命となるその狙い。それを感じ、ハンティは嘴と爪による攻撃を、下に潜り抜けることで躱しながら言葉を作った。
「空の戦いなら、こっちも得意だよ!」
「おお、見せてみろ! ドラゴンの戦い方ってやつをよ!」
言われずとも、ハンティは行った。
相手の下を潜り抜ける際に、宙返りを行い、その
「っ……!?」
それが朱雀を打撃する。理解が及ばぬ一撃に、しかし直ぐに朱雀は得心した。
ドラゴンの背、そこにあるのは翼だけではない。その答えを、朱雀は位置取りを優先しつつ答えた。
「ドラゴンの尻尾か……!」
「背後を取ったからって油断しないことだね!」
振るったのは、腰から生えている黒い尾だ。
それを朱雀の背中目掛けて叩きつけた。
炎に覆われた朱雀の躰に攻撃を加えれば、その部分は当然炎に焼かれる。こちらの尾も熱さと痛みを感じて一瞬歯噛みするが、徐々に火傷は治っていく。
この身に宿った呪いというべき加護。傷の治りが高速化しているのだ。
何故こんな呪いが宿っているのかは解らない。ドラゴンでなくなった頃からずっとあるものであり、ハンティとしても慣れたものだ。自分の運命や異常さを表しているようで好きではない時もあったが、
……戦いに使えるだけ上出来だね……!
戦いは別に好きではなかったが、好きになると使えるだけ好ましいとも思う。ドラゴンとしても、使徒としても、戦闘に使えるならそれは立派な武器で、有効に用いるべきものだ。
そして今の自分は、昔よりも確実に強いと確信出来る。
それは使徒になり、千年近くも同僚や主と切磋琢磨し続けたからだ。模擬戦を行い、身体を鍛え、時に技術を教わる。その積み重ねこそが、今の自分なのだ。
……今度はこの姿で戦ってみようかな!
避けていたことだが、次からはやってやっても良いと思う。どこまでやれるか興味があるのだ。空にずっといながら魔法でも撃ってれば労せず勝てるかもしれないし、
……そんなことしてると、そのうち飛べるようになったりして――。
嫌な想像をしてしまい、その考えを振り払う。翼が無いのだから物理的に不可能なはずなのだが、あいつなら、“宙を高速で踏みしめれば、飛べるようになる”とか意味不明なことを自信満々に言って、追いかけてきてもおかしくない。それくらい滅茶苦茶な奴だ。これを口にするのはやめよう。ほんとに空中ジャンプを習得しかねない。
とはいえ今の己がここにいるのは、皆のおかげなのだ。
相手も負けるわけにはいかないのかもしれないが、身内のためにも負けられないのは自分だって同じだ。
そして思う。負けない、ではない。勝つ、と。
その覚悟を決めて、ハンティは攻めに出る。相手もそれに応え、
「おお……!」
燃え盛る火炎と、風が吹き荒れる中、ハンティは一度動きを止めるように翼で大気の溜めを作り、
「……!」
それを一気に解放することで、真っ直ぐに朱雀へと突撃した。
……無茶苦茶だな……!
朱雀は、炎の中を正面から突き進んでくるハンティに、見事という思いを得た。
剣の連撃や尾、時には翼も使って炎を払い、真っ直ぐに向かってくる。その紅い瞳には、“これで決める”という強い意志が見えた。
「……させねぇよ!」
声とともに、炎を重ねる。鞭や槍のように炎を伸ばし、放つのは数十本の炎だ。だがハンティは変わらず炎を払いながら真っ直ぐに突撃してくる。
炎の層を恐れることなく突き進む姿はまるで、
……主の真似事か……!?
と、思ってしまうほどに、真っ直ぐで堂々としている。
己の邪魔をする障害を斬り払い、敵を倒さんと迷いなく突き進んでくる姿は、正に王道。覇者の前進だ。
そしてその剣技は、
「――面白れぇ!」
ならば自分も、魔人ザビエルの使徒として、それを受け止める。
炎の連射を、朱雀は行った。
極大の熱。相手を燃やし尽くさんとする、数百の炎の群。それを幾重にも重ねて飛ばし、
「最強の使徒だって言うなら、これくらい余裕だよなぁ!?」
「っ――当たり前だよ!」
最早隙間が無いほどの炎の雨の中を、ハンティは迎撃しながら進んでくる。
飛翔しながらの回避は完全には防ぎきれず、幾つもの炎が相手を焼いていくが、それでも相手は止まらない。
炎を砕き、払い、時には構わずに進んでくる。こちらを倒そうと向かってくる。再生はしても痛みが無くなるわけではない。痛みはあるはずだが、それだけでは止められないのだ。
止めるには、最大の一撃を以ってして、焼き尽くすしかない。
だからこそ、朱雀は力を溜めて、
「――最後の炎だ!!」
吠える声とともに、己も突撃した。
炎の群を突破したハンティは、朱雀の突撃を見た。
だがそれは、ただの突撃ではない。
己が纏う炎を何十倍にも膨れ上がらせた、莫大な炎の玉。
曇天の空に浮かんだ極大の太陽の如き炎球であった。
避けることは出来ないし、
「勝つ……!」
ハンティは、真正面から太陽に突っ込んだ。
高温の炎の中を、強引ともいえる動きで突き進む。この中心に、朱雀がいるのだ。勝つためには、正面から乗り越え、相手の身体に剣を突き立てるしかない。
翼で炎と空気を叩き、全速を出しながら中心にいるであろう朱雀を探す。
何十もの炎の層を突き破った先、白の鳥がいた。
「――!」
――来い、と。
そう言われているような視線を感じて、ハンティは返答するように、その通りにした。
……行くよ!
炎の中心にいた朱雀に、剣を振りかぶりながら飛翔する。
身体能力はこちらが上。強化系の魔法を掛けた時よりも速い高速の状態で行う一閃は、この距離では防ぐことも躱すことも出来ないだろう。
「おぉ……!」
だが、相手は諦めなかった。
羽を広げ、嘴で迎撃するように、熱い戦意を向けてくる。
勝ちを諦めない。全力の姿勢を前に、ハンティは歯を見せて笑い、
「――!」
高速の一撃を、朱雀に叩き込んだ。
身体に剣を突き立てられた朱雀は、天から落下する自分を自覚した。
……俺の負け、か……。
羽を動かそうとしても力が入らない。
空で敗れた者は地上へと落ちていく。それは、空に生きる生き物にとって当然の理だ。
その前に、朱雀は滞空する勝者に声を掛けた。
「……どうだったよ、俺の命懸けの戦いは」
「……あたしは楽しかったけどさ。――自分の価値は、自分で決めなよ」
言われ、朱雀は考える。
考える前に、笑みが浮かび、答えは出た。
「……楽しかったな」
「なら、そういうことだよ」
空に浮かぶ勝者に、穏やかな笑みで言われ、朱雀はそこで痛快さを覚えた。
「は、ハハハ! ――俺の負けだ!」
最強の座は掴めなかった。最初から未来はないと、負けると分かっていた戦いだった。
だが、
「今回の生も……楽しかったな――」
命も尽きようとしている。直に死に、そして生き返るだろうが、
……ハハ、今回の復活は、時間が掛かりそうだな……。
力を使い過ぎた。自分にとっても、今回の死は長いものとなるだろう。
次に起きた時には、主はいないかもしれないが、
……今回は俺にも、死ってのを感じられるかもな……。
次の状況がどうなるかも解らないが、絶望することはないと思う。
生きていれば、また楽しいこともある。また仲間と会えることもあるかもしれない。
……人の何十倍も生を感じられるんだ。楽しまないと、損ってもんだよな――
そうして朱雀は次の生を楽しみに、安らかな死というものを感じながら、地上へと墜ちていった。
地上を照らしていた炎は消え、曇り空が広がる。眼下では、未だ多くの魔物、人間が戦っており、
「行かないと、ね……」
まだまだ己の戦いは終わっていない。
これから人間との戦い、場合によってはそれ以外との戦いも待っている。
自分に敵うものは人間には殆どいないかもしれない。一方的な虐殺となる可能性だってある。
だが、
「逃げるのは、性に合わない」
仲間が戦っているのに、見捨てることは出来ない。
今の自分には、立場というものがある。その立場を想い、命を懸けて戦いを挑んだ者がいるのだ。それを蔑ろにはしたくない。
最強の使徒。強大な力を持つ者として、それを振るい、多くのことを成せる。人だって多く救えるし、戦いを楽しむことだって出来る。
生きていれば、また戦うことも出来るだろう。だから、
「――またね、
空から地上に墜ちて消えていった戯骸を見て、ハンティは別れと再会の言葉を送った。
使徒バトル終結。
次回からはようやく石丸が出せそうかな……?