※この作品はR-18です。

魔軍参謀の憂鬱   作:黒岩

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前回のあらすじ
主人公がラスボス。(魔物の)希望回。今回こそが本当の希望回です。一応
本編をどうぞ


二人の英雄

 人類軍。藤原家の本陣に、武士達の声が響いていた。

 

「お下がりを!」

 

「ええい! ならん! どけ……!」

 

 五人の武士が一人の暴れる男を取り押さえている。

 それは戦場を見て、放っては置けないと戦場に出ようとしている藤原石丸だった。

 その直ぐ近くでは、同じく戦場を見て苦々しい表情を浮かべている菅原ミッチーと、表情こそ解らないが、嘆いているであろう月餅の姿があった。

 

「……撤退の準備を」

 

「……やはりそれしかないでありますか……」

 

 彼らは同じ結論に達した。

 戦闘が始まって僅か一時間。既に前線は崩壊し、魔軍によって蹂躙されている。更には魔人レオンハルトが軍の中央で暴れており、もはやそれは戦闘ではなく虐殺の様相を帯びていた。

 だが、石丸はそれを聞いて武士達の拘束を振り解きつつ、苦悶の表情を浮かべ、

 

「俺が出る! 俺が奴と一騎打ちすれば――」

 

「……お言葉ですが、今の状態では勝つことは……」

 

「勝つ! いいや、俺は勝たなくてはならん!」

 

「……あれを見て、尚勝つ、と仰っしゃりますか」

 

 戦場で行われているのは当然戦争であったはずだ。

 前線の魔軍との戦争はかろうじて戦闘になっているかもしれない。

 だが、魔人レオンハルトとの戦いは、()()()()()()()()()

 まるで路傍の石のように兵隊を蹴散らして真っ直ぐ進むレオンハルトのその紅い瞳には修羅が潜んでおり、揺るぎない意志を秘めている。

 敵である人間を見ながらも、見据えているのは()()()

 本陣に向かって真っ直ぐに突き進むレオンハルトは、もう一時間か二時間もすればここに辿り着くだろう。そうなれば軍は完全に崩壊する。200万の軍勢が全滅させられる。それだけは避けなくてはならない。

 そのためには今の段階で撤退を行わなくてはならないが、それでも勝とうとするならレオンハルトを倒すしかない。

 だがそれは無謀にも思えた。第三階級悪魔であり悪魔界の多くの強者を見てきた月餅ですら、勝てないと諦めてしまいそうな強さ。

 見立てでは第二階級に匹敵。或いは第一階級悪魔に届くやもしれない――実際には違うかもしれないが、底知れ無さという意味では同等――と思わせてしまうその強さは魔人としては異常。悪魔界の戦でも将としてやっていけるであろう実力は、地上では過剰戦力だ。

 まるで大人と赤子。巨大な獅子と蟻の対決。生物としての格が違う。事実、月餅にはその人間大の男が実物以上に大きく感じられた。

 それほどの差がありながらも慢心せずに、敵を本気で狩りに来るその姿勢は付け入る隙を見つける方が難しい。単騎でありながら剣の一振りで百の敵を一蹴し、あらゆる策を踏み潰して踏破、将としては本来破綻している行動も、かの魔人であれば英雄の振る舞いとなる。

 剣の王。剣王伝に記された伝説以上の光景が、今ここに具現している。

 敵は即ち人間。この戦場は舞台装置であり、自分達は彼の英雄譚を彩るための脇役に過ぎない。

 それに対抗出来る者がいるとすれば――――()()()()()()()()()

 

「俺はあいつに勝つために生きてきた! ここで行かなくてどうする!」

 

 この場に於いて、それは藤原石丸。

 史上初、魔人を討ち倒した人類最強の剣士。彼に他ならない。

 彼の振る舞いを見れば、敵の英雄に砕かれた闘志が再び奮い立ってくる。

 人を導く覇者の器。人の上に立つために生まれた王の中の王。強大な敵を前にしても悠然と立ち向かい、己の勝ちを疑わない。

 事実、魔人に蹂躙されてなお、戦場が未だギリギリのところで保っているのは、石丸の存在のおかげであった。

 石丸がいれば魔人を相手でも勝つことが出来る。今まであらゆる戦に勝利した石丸であればこの絶望的な状況をひっくり返してくれる。先の戦で魔人を倒した偉業を忘れることはない。人類は皆、それだけを頼りに踏ん張っているのだ。

 それはここにいる者達も例外ではない。月餅は悩んだ末に、

 

「……分かりました」

 

「む……ははは! それで良し。俺は勝ってみせるぞ!」

 

 月餅の許可を得たことで石丸が笑う。だがミッチーが静かな声で問うた。

 

「……良いのでありますか?」

 

「構いません。……ですが石丸様。その代わりに――」

 

「何だ?」

 

 ミッチーの視線には言外に、負ければ終わりである、と語っていたがそれは百も承知だ。

 そしてその通り、今の石丸ではあの魔人に勝てないであろうことも。

 だが月餅は、勝利するためには一度、あの魔人と石丸を戦わせる必要があると見ていた。その上で死なせず生き残らせるために、月餅は提案をする。それは、

 

「儂も付いていきまする。そして、撤退の指示にだけは従って貰いたい」

 

「む、だが……」

 

「味方が撤退するまでの殿として、石丸様には戦って貰います。勝てばそれで良いですが、どちらにせよ軍を立て直さなければなりません。それまでの戦いです」

 

 渋る石丸に、月餅は敢えて負けた時の話はしなかった。

 勝つ気で戦うことは戦士という人種にとっては大切なことだ。可能な限り雑念は混じえたくない。それでこそ、石丸の勝利の可能性が生まれる。

 自分の仕事は、負けて殺されることが無いように“保険”を掛けることだ。撤退が出来る段階になれば、勝負が続いていようが石丸を連れて逃げる。全ては成長の為。その先にある“勝利”の為だ。

 その意志を込めて、石丸に提案した。だが不意に横から、

 

「そういうことであればわしらも行かせて貰おうぞ」

 

「ちょうど身体を動かしたいと思っておった所じゃ」

 

 告げたのは源頼光。そして坂上田村麻呂の二人。

 どちらも、先の戦いの重傷から後方に控えさせていた者だ。

 その二人が何故ここに、と思ったがその表情を見れば分かりきったことであった。

 ――このような戦を目にして、この二人が()()()()()()()()()()()()()

 石丸と同じように、居ても立っても居られなかったのであろう。自分の部下達は戦っており、今なお強敵を相手に蹂躙されようとしている。そんな場面を見て、動かない武士ではない。

 二人は据わりきった目で更に告げる。

 

「報告を聞いたぞ。使徒が暴れておるとな。其奴らの相手は任せて貰おう。後、あのクソ大将軍もいるであろうしな……」

 

「引かせるならそちらの対処も必要である。前線の指示は征夷大将軍である朕に任せて貰おう」

 

「……相分かった。御二方の好きにされると宜しい」

 

 思考し、許可を出す。石丸は元より許可を出す気満々であったのもそうだが、この二人であれば余程の相手でなければそれを成功させるであろう。そちらを避けさせればどうにかなる。

 そして続いて声を上げたのは、同じく藤原四天王の一人だ。

 

「……そういうことであれば、小生も出ましょう。撤退の指揮は他の者でも出来ますし、今は武勇の持ち主が必要な時でありましょうからな」

 

「ほう、ミッチーも来るか。珍しいな」

 

 と、石丸が言うように、確かに珍しい。普段は後方で指揮に専念し、前線にはあまり出たがらない。だが、

 

「今が正念場でありますからなぁ……面倒などと言ってはおれませんでしょう。死ぬ気でやらねば一事成すことも出来ますまい」

 

 苦笑しながらもそう言うミッチーに、頼光が不敵な笑みを浮かべた。

 

「よくぞ言った! それでこそ武士ぞ! よし、貴様は死んでこい!」

 

「いや、死ぬ気でやるだけで死ぬのはちょっと勘弁してほしいのですが……」

 

「根性無しめ! 貴様、それでも武士か!?」

 

「……まあ、程々で良いでしょう。それより、そろそろ――」

 

 このままいつもの調子でやり取りをするのも緊張の緩和としては悪くはないだろうが、今は一分一秒が惜しい。こうしている間にも、魔人は凄まじい勢いでこちらの兵を減らしている。迅速に行動をしなければ全てが手遅れになる可能性もあるのだ。

 だがここにいる者達は長年戦に身を投じ続けた武士達。直ぐに戦いのための覚悟を終えると、それぞれの得物を手にしていく。

 

「……石丸様」

 

「……春か。どうした」

 

「いえ、あの――」

 

 その直前、本陣に詰めていた春姫が石丸に声を掛ける。

 彼女は何かを言おうとしてそれを取り止めると、迷った挙げ句に微笑みを見せ、

 

「何でもありません。――いってらっしゃいませ、石丸様」

 

「……うむ。行ってくるぞ」

 

 と、やり取りを終える。それは明らかに、何かあるような様子だったが敢えてそれを指摘するようなことはせずに、石丸は本陣を後にしていく。

 そして道中、ミッチーが石丸を見て、

 

「……勝たなくてはなりませんなぁ、石丸殿?」

 

「――元よりそれは変わらん」

 

「これは失敬。そうでありましたな」

 

 その言葉を最後に、それぞれがそれぞれの道を行く。

 別れ際、何も言わずとも皆の心は一つであった。

 

 ――勝つ。

 

 負けないのではなく、勝利するのだと。

 魔人の脅威を目にし、撤退することを決めて尚、彼らの瞳には揺るぎない意志が色濃く残り続けていた。

 

 

 

 

 

 戦場を駆ける存在は、何も魔人レオンハルトだけではなかった。

 周囲に兵も付けず、単騎で敵の群れに飛び込むのは長い黒髪と赤いクリスタルを有する女だった。黒のレオタード風の衣装に身を包んだ彼女は、右手を振ると、

 

「――雷神雷光!」

 

「ああああああッ!?」

 

「っ……ぁ……!」

 

 雷の雨が、人間達を襲う。その中心にいた多くは黒焦げとなって命を失くしてしまう。続けて殺到していた反対側の敵に対しても、少しの間を置いて魔法を発動し、敵を屠る。

 それを為しているのはレオンハルトの使徒であるハンティであった。

 彼女は感情の見えない表情のままひたすらに人間を絶命させていたが、不意にその表情が変わった。

 ……空気が変わった?

 と、訝しげに目を細める。

 戦場を覆っている恐れといった空気はレオンハルトが作り上げたものであった。味方にとってのいい空気を作り出してもいるが、ハンティがいるのは敵の真っ只中である。多くの敵兵、指揮官を討ち取っているのだ。

 ゆえにこのような空気が流れるのは状況が変わったということだ。

 ……誰か来る!

 おそらく敵の将。それも一線級の主力。

 そう思考した直後、大柄な黒い影が来た。

 

「奴はここか……!?」

 

「っ、あんたは……」

 

 と、現れたのは人ではなく妖怪であった。ハンティは直ぐにその正体に気づく。

 妖怪王黒部。藤原家、人類軍の主力である妖怪軍団を率い、魔人級の戦闘力を持つと噂される存在。ハンティが目を向けると、こちらに気づいた黒部と目が合った。

 

「てめぇは……使徒か。強そうな匂いがするな」

 

「……妖怪王黒部ね。悪いけど、相手になってもらうよ」

 

「っ、上等だ……!」

 

 こちらの力を感じ取ったのだろう、警戒し、敵意を露わに爪と牙を剥き出しにする黒部。積極的に探し出してまで相手をするつもりは無かったが、

 ……眼の前に出てこられちゃ、相手せざるを得ない。

 一応主の命令だ。ここで黒部を見逃しては、他の仲間が黒部と相対することになってしまう。簡単に負けることはないだろうが、実際に目にしたところ、確かに他の者では荷が重いだろう。

 ならば自分がここで倒してしまうのがいい。しかも妖怪であれば、どれだけやったところで死ぬことはない。気兼ねなく相手が出来るというものだ。それに、

 ……これなら、相手にするには申し分ない。

 敵意をぶつけられ、ほんの少しの武者震いを感じる中、ハンティはそれを隠すように剣を構えた。

 

「ほら、掛かってきな。先手は譲ってあげるよ」

 

「舐めやがって! ――噛み殺してやる!」

 

 黒部の爪の一撃を、ハンティは受け止めた。

 

 

 

 

 

 人類軍の中央では、魔人による蹂躙が続いていた。

 

「ひっ、やめ――」

 

「た、助けてくれええええ!」

 

「命だけは……!」

 

「…………」

 

 魔人の脅威に恐怖して逃げ惑い、命乞いをする人間の首を容赦無く斬り落としていく。

 辺りは蜂の巣を突いたような騒ぎであり、殆どの者が戦意を喪失している。中には戦意を保って剣や槍を構える戦士もいるが、力量差はどうしようもなく、戦士でないものと一緒に屍となっていく。

 そんな中にいて、レオンハルトは思うのは“落胆”の感情だった。

 人類を統一し、総力戦で挑んだ今回の戦い。弱者を虐げることの憂鬱さもあったが、それでも戦いが楽しみでなかったと言えば嘘になる。

 こんなにも呆気ないのか、とレオンハルトは感じていた。

 彼は、今回の戦いにおける自軍の不利を感じ取っていた。魔人を倒され、士気はどん底。数の上でも負けており、幾ら己が手塩にかけて育てた軍団とて、厳しい戦いになると予想していた。

 しかしだからこそ、レオンハルトはそれを覆してみせると、そう意気込んでいた。自ら剣を取り、敵陣に突っ込んだのは味方の被害を出来るだけ減らす為でもある。

 その上で勝ってみせる、と烈々たる気合を持って戦いに臨んだ。

 しかしレオンハルトの予想に反して、敵は呆気なく瓦解してしまう。

 人間の意志の強さとはこの程度なのか。そう落胆した。

 英雄に率いられ、これだけ意志を統一した人であれば、どれだけ圧倒的な力を前にしても立ち向かってくるであろうと期待していたのだ。

 だが、()()()()()()()()。言葉にすればそれだけのことだ。

 ……こんなものか。

 それでも落胆は生じてしまう。

 魔軍の指揮する立場として見れば喜ばしいことなのは勿論だが、私人としては全力を尽くしてぶつかりたい。そんなままならない我儘ともいえる望みをレオンハルトは夢想していた。

 人という生き物の弱さは知っていたが、同時に無限の可能性があるとも信じていた。

 だからこそ、眼の前で起きる命乞い、戦いを放棄するような振る舞いはレオンハルトを失望させる。

 隣人を守るため、そして生き残るために解っていて抗っているのではないのかと、剣を以って問いかける。

 そんな様では不可能だ。可能性すらない。先程まではまだ相手が勝つ可能性はあったが、今はそうではない。

 勝ちが決まった戦いは戦いではない。一方的な暴力だ。

 守る者のためならばそれも辞さない覚悟はあっても、それが好きかどうかはまた別である。

 故に暴力ではなく、“戦い”をさせてほしいと、レオンハルトは願った。

 

 ――だが、こちらの勝ちが決まり、相手の負けがほぼ決まっているからこそ、()()()()()()()()()()は現れる。

 

「――――遅かったな」

 

 レオンハルトは不意に動きを止めて言葉を放つ。

 視線を向けた先、人混みの間から現れるのは精悍な顔つきをした一人の男だ。

 

「……待たせてしまったか」

 

 周囲を見て、そしてこちらを見て言うのは人類軍の総大将――藤原石丸。

 己を倒し、敗北に傾いた勝負の天秤を勝利へと傾けようとする、己が待ち望んだ相手。

 魔人を倒した最強の英雄の登場に、周囲の人間の眼に希望の光が僅かに宿る。

 

「ああ、待っていた。貴様がいつ我慢出来ずに来るのかとな」

 

「……ふ、そうだな。居ても立ってもいられなかった」

 

 やはりか、とレオンハルトは内心で仕方のない相手を思う。

 おそらく万全ではない石丸が己との戦いに挑むのは、自殺行為に近い。勝ち目はほぼないだろう。ゆえに待ち望んではいても、()()()()()()()()()()

 だが同時に、この状況で来ないはずがないとも思っていた。この戦いに、万一の勝ちの可能性があるとすれば、それは藤原石丸が自分に勝つしかない。

 その状況を作り出さなければ、戦意を失った人間は魔物に蹂躙されてしまうだろう。戦いを続けるにはこの手しかなかったのだ。

 ゆえにレオンハルトは喜び、しかし残念に思う。来てしまったか、と思う。こうなれば戦うしかない。万全ではない状態で戦っても、元々細かった勝利への糸筋が完全に切れてしまう。

 最終的な勝利を得るためであれば、石丸は逃げるべきであった。兵にどれだけの被害が出ようと、我先にと逃げ出すべきであった。

 それゆえの落胆。先程とはまた別のそれが湧き立つのを感じながら、レオンハルトは剣を構えながら口を開く。

 

「是非もなし、か……」

 

 相手を摘み取ってしまうという残念を感じながらも、義務としてそれを行う覚悟を決める。周囲の景色を歪ませるほどの闘気を発し、それを石丸にぶつける。もはやお前達に勝ち目はない、と。

 だが、

 

「――言っておくが、負ける気はないぞ」

 

 その圧倒的不利な状況に於いて、石丸は不敵な笑みを浮かべた。

 

「戦いにおいて、万全という状況はそれほどない」

 

 地の利、人の利、如何な不利な状況であっても、戦わなくてはならない時はある。

 

「だがそれでも――俺は勝ってきた。だから、お前にも勝つ」

 

「――――」

 

 不遜にもそう言い切る石丸に、レオンハルトは言葉を失った。

 

「お前を前にし、俺はかつてない程に燃え立っているのだ。ならば今の俺こそが一番強い己であろう」

 

 帝の証である帝ソードを構え、石丸はそう言い放つ。

 額には帝ハチマキ。首に掛かっている紐には帝リング。三種の神器を手にした帝は、魔人を討ち倒さんとその威光を発する。

 レオンハルトはその言葉を受け、萎え掛けていた戦意が再び湧き立つのを感じた。

 

「……なるほどな。確かに、お前は強い」

 

 この男はかつての自分などよりも、よっぽど強い。

 

「人という括りで、お前に勝てる人間は過去を含めてもいないだろう」

 

 魔人に為す術なくやられただけの自分など、足元にも及ばない。

 だがそれは、過去のことだ。

 

「――それは人間の中での話だ。ザビエルを倒したことは称賛に値するが……それでも、俺に勝つことは出来ん」

 

 今の自分の方が強い。そう信じ切ったレオンハルトはその意志を石丸にぶつける。

 闘気の乗ったこちらの視線を浴びた石丸が口元に笑みを携え、

 

「やってみなくては解らんだろう?」

 

「然り。そうだな。ならば――」

 

 お互いが、剣を引き構え、

 

「――その剣で、証明してみろッ!」

 

「ああ! 最強の剣、挑ませて貰う! ――いざ征かんッ!」

 

 二人の英雄の戦闘が、今ここに始まった。

 

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