※この作品はR-18です。

魔軍参謀の憂鬱   作:黒岩

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昨日今日は久し振りにテレビとかアニメ見たりゲームしたりして遊んでたら遅くなったわ(感覚麻痺) ごめんね!
本編をどうぞ


舌戦

 戦場で部隊を指揮しながらも自ら戦っていたキャロルは、空気の変化を感じ取っていた。

 戦いの音の響き、魔物兵の声や人間の悲鳴、剣を打ち合わす金属音に空からぷちハニーによる爆発音はあちこちから聞こえていたが、遠くの戦場から聞こえる遠雷のような響きをキャロルは聞き漏らす筈がない。

 

「レオンハルト様、ようやく少しは骨のある相手と出会えたようですわね!」

 

 それは自らの主が戦う気配。忠誠を誓った親愛なる主のそれをキャロルは感じ取った。

 そしてレオンハルトの喜びは自分にとっても喜びだ。今回の戦いはレオンハルトの格好良いところを多く見れているのでキャロル的には満足であったが、レオンハルトの方は色々と考えることがあったりと大変そうであった。

 敵も主の足元にも及ばない雑魚ばかりで、さぞかし落胆したであろう。それを思うとこちらも悲しい。それを払拭するために人間に銃口を突きつけて無理矢理にでも戦わせて喜ばせてあげたいが、それをしても主は喜ばないであろうことも容易に想像出来るのでそれは諦める。正直、さっさと藤原石丸に出てきてもらって、レオンハルト様へ熱い戦いをプレゼントしてやってほしい、とキャロルは思っていたが、この分だと一応それは叶っているのだろう。それを実感すると途端に笑顔を抑えられなくなる。

 

「ふんふ~ん、わたくしも嬉しいですわー!」

 

 ご機嫌になってしまい、鼻歌交じりに戦場を歩いていく。途中で敵を撃ち殺していくのも忘れてはいけない。出来れば今直ぐにでも駆けつけてそのお姿を拝見したいが、主の命令は何事にも優先されるし、そうでなくともお仕事をこなすことが、主の為になる。なのでそれを見ることは叶わない。

 こういう時、身体が二つあればいいのにな、と思う。主の使う分身とか自分も使えないだろうか。しかしあれは主の使う技の中でもトップクラスの難易度を誇る技らしい。今の自分では絶対に無理だろう。

 でもいつかは使えるようになるといいなぁ、と気分良くお仕事をしていたのだが、不意に溜息を吐くと、

 

「折角、レオンハルト様の事を考えて幸せでしたのに……」

 

「――人に近い容姿の魔物、貴様が使徒だな?」

 

 眼の前に現れ、こちらを鋭く睨んでくる人間の女性に目を向ける。黒髪を後ろで一つに結んだ強そうな武士だ。その後ろでは、救援に来たのであろう少し強めの武士達。その名は知っているし、議題にも上がっていた。

 

「如何にも、わたくしはレオンハルト様の第一使徒であり、魔物界一の完璧使徒であるキャロルですわ。あなたは……源頼光。そして後ろにいるのは源氏武士団とやらですわね?」

 

「ふん、知っているなら話が早い。キャロルと言ったな。わしと死合ってもらうぞ」

 

 それくらいは情報として幾つも流れているので知っている。源頼光というと藤原四天王という敵の主力に他ならない。やはり友軍を助けるためにやってきたのだろう。その証拠に奥の部隊は、

 ……撤退をしようとしておりますわね。

 それに気づいた背後の魔物将軍や、魔物隊長らが魔物兵に指示を出して人間を追い詰めようと動く。だが自分達やお互いの側近はその場で変わらずに対峙している。

 使徒を目の前に正面から来るとは随分と不遜な人間だが、勝負を挑まれたなら受けて立つのみだ。結構強そうな相手ではあるがキャロルは胸を張って得意気な表情を浮かべると、

 

「あら、命知らずですわね。レオンハルト様の使徒であるわたくしに挑もうとは」

 

 だが頼光はそこで口の端を上げた。そして煽り気味に身体を反らし、

 

「ふん、何を言う。人類最強であり、世界一格好良い石丸様の臣下であり、最愛の妻であるわしに狙われた貴様こそ、運が悪かったと嘆くのだな」

 

 今まで笑みのままであったキャロルの表情がそこで動く。眉を立てた顔で、

 

「……聞き捨てなりませんわ。――世界一格好良いのはレオンハルト様ですの! そして最強の魔人であるレオンハルト様の方が凄く、完璧! そこらの人間のおじさんと比べられては不愉快極まりないですの!」

 

 言ってやると、今度は向こうもガラの悪い表情で、

 

「あぁん!? なんじゃと貴様! わしの石丸様をおじさん呼ばわりしおって! そんなこと言ったら魔人なんぞ全員ジジイではないか! そして貴様もババアだ!」

 

「ふっ……永遠の美を持つわたくし達に嫉妬する気持ちは解らないでもないですが、そんな下品極まりない言葉を使っては、主の品格が疑われますのよ。従者の振る舞いは、そのまま主への評価に直結し――」

 

「うっさいわババア! 歳の上では年増には違いなかろう! ぶっ殺すぞ!」

 

「……ふ、ふふん。醜い負け犬の遠吠えですわ。それにぶっ殺すなど……そういう言葉は使う相手を選びなさいな。貧弱極まりないただの人間がわたくしの様な使徒にそれを言っても、戯言にしか――」

 

「うっさい殺すと言ったら殺すんじゃ! あ、それとも年食って耳が遠くなったのか? やーい! ババア! ババア!」

 

「……ふ、ふん。幼稚な罵倒ですわね。そんな分かりきった挑発にわたくしが乗るとでも――」

 

「しかも貧乳ではないか! やーい、貧乳高飛車ババア!」

 

「――ぶっ殺しますわよ!?」

 

「キャロル様!? 挑発ですから落ち着いて下さい!」

 

 部下の魔物将軍や親衛隊の者達がぷちハニーを取り出したキャロルを必死に止める。周囲は未だ人間との戦いの最中。味方が巻き込まれてはいけないので使用には注意が必要である。無闇矢鱈に投げてはいけない。

 少し落ち着きながらも、眉を立てた表情のままキャロルは相手を睨み付ける。

 

「ふん、何を言おうとわたくしの方が優れていますし、最強最高完璧で偉大なる御方であるレオンハルト様にその石丸とやらは殺されることとなりますわ。精々、お墓の用意でもしておくんですわね」

 

「わしも石丸様も負けぬわ! 石丸様は最強の剣士であるからな!」

 

 頼光の言葉に、同意するような声が人間たちから上がってくる。負けじとこちらも、

 

「所詮は人間の中で最強ってことですわよね。レオンハルト様は魔人の中で最強ですの。明らかに格が違うってことがわかりませんの?」

 

 背後の親衛隊から頷く音が聞こえる。だが向こうも反論するように、

 

「やってみなきゃわからんじゃろうが! バーカバーカ!」

 

「バカって言う方がバカですのよ!」

 

「じゃあ貴様もバカじゃ! はい貴様の方が二倍バカー!」

 

「わたくしはバカじゃありませんわ! それにその理屈だとあなたの方がもっとバカですのよ!」

 

「うっさいわ! だったらやはりババアじゃ! やーいババア! 貴様の様な貧乳ババアが使徒とは、主の趣味を疑うわい!」

 

「!」

 

 言われた瞬間、キャロルの何かが切れた。

 

「…………」

 

「あ、あの……キャロル様?」

 

 顔を少し伏せて黙ったキャロルを心配して魔物将軍が声を掛ける。それに対する反応は何もなかった。

 だが、ややあって身体を震わせると、懐に入れてあった回転式拳銃の二丁を手に取り顔を上げ、

 

「――――上ッ等ですわ! ならその足りない脳みそに直接鉛玉撃ち込んで分からせてやりますの……! 覚悟しなさいなッ!!」

 

「……!」

 

 敵意と殺気が入り混じった視線を向けられ、頼光や供回りの武士達が目を見開き、身体が震える。

 キャロルの背後にいる者達も珍しいものを見たように呆気にとられつつも恐怖で距離を取り、

 

「キャロル様が怒った……!?」

 

「あの温厚な隊長が……!?」

 

 普段から騒がしいものの、意外にも怒りの感情を見せることがほぼない。あっても少しムスッとする程度だと思っていたキャロルの怒りだが、今回の怒りは普段のそれとは訳が違う。

 

「……ふん、人に近い姿をしていてもやはり使徒じゃな。その魔物特有の気配は隠せておらん」

 

 頼光が警戒しているのか、眉をひそめ、刀を抜きながらそう言う。彼女が言うように、今のキャロルは主のそれに似て、使徒らしい濃密な存在感を放っていた。

 ペールやハンティといった強者に隠れがちだが、キャロルもあのレオンハルトの使徒。そのことを、配下の魔物は改めて思い知る。

 

「……先程、ぶっ殺すとか色々幼稚な事を仰っていましたが……わたくしも少し、あなたのレベルに合わせることにしますわ」

 

「はっ、それがどうし――」

 

 ――――パンッ、と。

 

 一発の発砲音が鳴り響き、飛沫のようなものが頼光の顔にかかる。

 

「――は……?」

 

 先程の煽り気味のものとは別の間の抜けたような声が口から漏れる。

 その発砲。撃ったことに、撃たれてから気づいたのだ。

 そしてそれは、周りも例外ではなく、撃たれた人物もそれに気づくことはなかった。

 

「頼、家……」

 

 頭に一発。

 銃弾で頭を撃ち抜かれ、あっさりとその命を終えたのは、頼光の息子の一人である頼家だった。

 周囲に血と脳髄を撒き散らしながら地面に倒れていく息子を呆然と見詰める。

 そしてそれを見て、キャロルは言う。

 

「わたくしも“ぶっ殺す”と思ったので、実演してみせましたわ。貴方達全員、このようにしてぶっ殺して差し上げますの」

 

「……貴様……!」

 

 頼光は怒りに震える。

 頼光も息子達も源氏という名のある武家に生まれた。

 ゆえに戦場での死は付き物であり、いつ死んでも構わないと、覚悟は勿論していた。

 だが、眼の前で息子を殺されて黙っている母親はいない。

 

 ――パンッ、と。

 また一人、息子が撃ち殺される。

 その早撃ちに、頼光は反応出来なかった。

 

「なっ……!?」

 

 驚く頼光を、キャロルが嘲笑うように、

 

「思ったより動揺していますわね。隙があったのでもう一人、ぶっ殺して差し上げましたわ」

 

「……!」

 

 それは油断。

 特別なからくりは言うほどない。レオンハルトから着想を得て身につけた、単純な早撃ちの技を行っただけ。頼光であれば弾くくらいは出来たであろう。

 しかし、眼の前で行われた初めての身内の死に、思ったよりも揺らいでしまった。

 その揺らぎによって生み出された身内の死。それに震える頼光を見て、キャロルは肩を竦める。

 

「何となく息子か何かではないかと思いましたが……別に狙ったわけではありませんのよ? ただ、()()()()()()()()()()()()()()()殺しただけですわ。まあ、早いか遅いかの違いですので問題はないでしょう。――ご希望の順番があれば、その順番通りに殺してあげますが?」

 

「……貴様……殺すッ!!」

 

 頭の血が身内を殺された恨みで激しく沸き立ち、その怒りのままに刀を強く握り、使徒に向かって駆け出す。

 それを皮切りに、両者の戦闘は始まる。

 頼光らの目的はあくまでも撤退まで時間稼ぎだが、今の頼光の頭にそれはない。

 あるのは、眼の前の使徒を殺すことのみ。それだけを考えて吶喊する。キャロルは銃を二丁構えて、迎え撃とうと腕を交叉させた。

 

「気持ちは分からなくもないですけど、案外武士というのも普通ですのね。もっと鬼みたいなのを想像してましたのに」

 

「黙れ! 貴様は……貴様は殺す!」

 

 血走った眼と剥き出しになった歯で襲いかかってくる様子は、正に“鬼姫”。

 しかしその怒りを受けてなお、キャロルは失笑するように冷たい瞳で彼女を見た。

 

「怒っているのはこちらも同じことですが……まあ相手をして差し上げますわ。ちょうど、実戦で試したい戦闘方法もあったことですし――」

 

「死ね!」

 

 と、刀を上段からキャロル目掛けて振り下ろす。

 身体を真っ二つに両断するつもりで放ったそれは、しかし何かに受け止められる。

 

「何!?」

 

 それは、キャロルが持っている二丁の拳銃。

 それを交叉させて受け止めたキャロルは、口の端を吊り上げて、

 

「レオンハルト様との特訓の成果を見せて上げますの。光栄に思うといいですわ。銃を使った近接格闘術。名付けて――」

 

「っ!?」

 

 キャロルの言葉と同時に、再びの衝撃。二丁の銃が発砲したのだ。

 しかも同時に腕に力を入れており、銃によって刀を持った腕が弾かれるように上がる。

 その間にもキャロルは銃をまるで近接武器か何かのように使って間合いを詰めると、右手の銃を顔に突き付け、

 

「――“ガン=カタ”。存分に味わいなさいな!」

 

「……!」

 

 その引き金と空を撃つ音とともに、両者の戦いは本格的に始まった。

 

 

 

 

「――んー、もう撤退しようとしてますか。呆気ないですねぇ」

 

 口元に指を当てながら言うのはレオンハルトの使徒のペール。

 彼女は魔軍の魔法部隊を率いながらゆっくりと着実に敵を殲滅していっているのだが、

 

「それで、足止めとしてやってきたって感じですかね」

 

「――まあ、そんなところでありますなぁ。小生は菅原ミッチーと申します。お見知り置きを」

 

 ですよね、と告げる先にいるのは着流しを来た中年くらいの男。

 しかしその飄々とした態度とは裏腹に全く隙がないため、部隊を引き連れた後、一人でやってきたミッチーにこうして普通に喋りかけてしまったペールであった。相手はこちらに笑みを見せつつも礼をしてみせ、

 

「というわけで美しい使徒のお嬢さん。良ければ小生に時間を預けてくれませんかな?」

 

 美しい、と言われよく分かってるじゃないですか、と感心しかける。よく見ればダンディなイケメンだし。とはいえ油断することなく愛想笑いで、

 

「それって、戦うってことですかね?」

 

「いえ、小生としては追撃をやめてくださるのなら戦闘はせずにお茶でも振る舞いたいと思うのでありますが……それはそちらが許さないのでありましょう?」

 

 問われ、しかしペールは思考しながら答える。

 

「うーん……別に私も戦いはそんなに好きでもないですし、戦わないで済むなら――」

 

「ペール様!? 馬鹿な事を言わないでください! 相手が逃げるなら追撃しなくては――」

 

「冗談、冗談ですからそんなに声を荒らげないでくださいよう、魔物将軍。せっかちな男は嫌われますよう?」

 

「ぐ……しかし……」

 

 上司にそう言われると魔物将軍も呻くしかない。だが、それを聞いたミッチーがしたり顔を魔物将軍に向けると、

 

「そうでありますなぁ。余裕の無い男は嫌われるもの。気をつけたほうがいいですぞ」

 

「人間如きに言われる筋合いはないわ!!」

 

「そうやって直ぐに怒鳴るのもどうかと……あ、お茶菓子ありますが良ければどうぞ」

 

「そうですよう。少し声を落として、カリカリしないでください。折角ですし、糖分でも補給しますか。皆魔法沢山撃って疲れてるでしょうし」

 

 はいどうぞ、といつの間にかミッチーの近くまで行き、大量の和菓子を持ってきたペールがそれを自然に手渡す。箱を地面に置き、

 

「……うむ、美味いな。よし、ならば全員、おやつ休憩――ってなるかあーー!! 戦場で敵の真ん前でおやつ休憩を取るやつが何処に居る! 悠長の極み! って、お前達も何を身を乗り出している!? 休憩は――って、違う違う! 並べとは言ってないだろう!? 持ち場に戻れ!!」

 

「え? ――あっ! す、すいません……つい……」

 

 お菓子が食べられると聞いて魔物兵達が行儀よく列を作ろうとしたところで我に返る。レオンハルト軍の魔物兵は普段からお菓子を食べたり、人気店の行列に並び慣れたりしているのでこういう時はとても行儀が良い。あと、レオンハルトの方針で“休む時はきっちり休む”という部分も浸透しているので、一瞬、完全に休憩時間に入りかけた。

 弛緩しかけた空気をもう一度締め直そうとしたところで、しかしミッチーとペールが半目で魔物将軍を見ると、

 

「一人だけ食べておいてそれはあんまりでありますなぁ。一人だけ美味しい思いをする気でありますか?」

 

「魔物将軍だけ魔法撃ってないのに、魔法を沢山撃って疲れた兵達には休憩を取らせないんですか!? これ私、知ってます! パワハラ! パワハラですよう! レオンハルト様が酔った時に言ってました! 断固抗議するべきです!」

 

「ペール様はどっちの味方ですか!?」

 

「え? レオンハルト様の味方ですけど? 何言ってるんですか? ひそひそ」

 

「当たり前でありますなぁ……人間の小生でも分かります。ひそひそ」

 

 こいつら……! と、怒りで震える魔物将軍。密かにレオンハルト様に異動届けを出そうとか呟いていたが、残念なことにそれを最初に見るのは私なので意味ないですよう、と内心で肩を竦める。後で却下しておこう。この魔物将軍、ノリが良くて面白いし。

 ともあれ、いつまでもふざけているわけにはいかない。一緒に井戸端会議風の演技をしたところでミッチーに向かって、

 

「じゃあ、時間稼ぎはこれで終わりで」

 

「……これはこれは、気づかれておりましたか」

 

「これくらいは策としては序の口ですよねぇ。ということで魔物将軍、何時も通りボコボコにしちゃいましょうか」

 

「は、はっ! やっと本来の職務に戻れるのですね!」

 

 魔物兵達にも指示を出して戦闘態勢に入る。すると向こうの部隊もミッチーの指示に合わせ、

 

「では、戦闘準備。距離を取って迎撃を優先。時間を稼ぐように」

 

「御意!」

 

 よく見ると遠くに見える向こうの部隊も魔法部隊の様だ。少々特殊な格好をしているが、

 ……もしかして……。

 それを見てペールの脳裏に浮かぶものが一つあった。それは、

 

「……もしかして、陰陽師とかいうやつですか?」

 

「……ほう? 知っておりましたか。いやはや実戦配備するのも初めてでありますし、数もまだまだ少ないので、殆どは大陸の魔法部隊なのですがな。使わずに済むほど甘くはないようで」

 

 ミッチーの飄々としたどこまでが本当か解らない言葉に、やはりか、とペールは思う。

 陰陽師とは、JAPAN特有の魔法使いのようなもので、最近発祥したばかりの技術であったはずだ。まだまだ広まっているとは言い難いらしいのだが、その基礎は既に組み上がっており、教えが徐々に広まっていると聞いた。ペールとしてもよく解らないが、情報部やレオンハルト様が言うにはそうらしい。

 だが、そう来るとなるとちょっと面倒になる。だが主の命令はこなさなくてはならない。ご褒美貰えないし。

 なのでペールは少し目を細めて顔色を見るようにしながら問いかける。

 

「……もしかして、ミッチーさんもそれ使えるんですか?」

 

「さて、どうでありましょう。使えるかもしれませぬし、使えないかもしれませぬ」

 

「ええー、教えてくれないんですかぁ? こんなに可愛い娘が聞いてるのに?」

 

「小生も男として答えてあげたいのは山々ですが、こればっかりはどうにも。――試してみては?」

 

 と、ミッチーの眼光が鋭くなる。

 その眼の奥には、他の武士と同じ様に修羅が潜んでいた。

 ……面倒ですけど、仕方ないかぁ……。

 杖を取り出しながら息を吐く。そして気持ちを切り替えると、

 

「どうしても、教えてくれないんですね?」

 

「……さて、こちらに寝返ってくれたりすればもしかしたら……」

 

「あ、それは無理ですね」

 

「……即答でありますな」

 

 既に眼の奥が笑っていないミッチーに、こちらも張り付けたような笑みで答える。

 

「ふふ、私はこれでも一途なんですよう? レオンハルト様一筋です。だからごめんなさーい。それに実は――人間はそんなに好きじゃないんです」

 

「ははは、奇遇でありますな。小生も――魔物を口説く趣味は持ち合わせておりませんので」

 

 その言葉と同時に笑みがかき消え、お互いの攻撃が炸裂した。




レオンハルト「口喧嘩か……そういえばスラルは強いよな。負けそうになったらむくれるところも含めて」

スラル「むっ、だってレオンハルトが変な事するから悪いんでしょ。べ、別に口喧嘩は強くないし……」

ガルティア「じゃあ誰が一番強いんだ?」

ケッセルリンク「スラル様は強い方だと思うが……」

レオンハルト「ライゼンは雑魚だぞ」

ライゼン「レオンハルトは雑魚だぞ」

レオンハルト・ライゼン「「何だと貴様……!」」

ハンティ「こんなとこで喧嘩するな!!」

ペール「とはいえ誰が一番強いんでしょうね」

レオンハルト「……俺は心当たりがある」

ガウガウ「誰?」

レオンハルト「…………シャロン」

皆「あー……」

シャロン「……失礼ですね。ですがとりあえず、レオンハルト様には後でお話があります」

レオンハルト「……いや、それは――」

シャロン「お は な し が あ り ま す」

レオンハルト「…………わ、わかった」

ラウネア「…………(いや、私が最強だもんね!)」

タルゴ「キシャア! (お前喋れないだろ!)」

サメザン「ピィ! (実は原作で一回だけ喋ってるけどね)」
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