※この作品はR-18です。

魔軍参謀の憂鬱   作:黒岩

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“令和”らしいですね、新しい元号。
日本語的にはRなので、ランスと呼べなくもない(暴論)
そしてアルファベットで考えるとLとも言えるから、レオンハルトとも言える(暴論)
というわけで現実でも新しい時代が近づいてるなってことで、本編どうぞ


嵐の前の静けさ

 レオンハルトの城で世話になっている二体の魔人、ラ・サイゼルとラ・ハウゼルの姉妹の新人教育は、概ね順調に進んでいった。

 元々、魔物界のルールや傾向、魔人としての生き方や、魔物や魔軍の知識さえ最低限頭に入っていれば問題ないので、教えることも少ない。

 今まで魔人レオンハルトは魔人筆頭として、多くの魔人に魔人としての心構えの様なものを教えてきたが、殆どの魔人はやはり我が強く、自分のやりたいようにやるという連中ばかりだったので、教育は最低限。それこそ1日、2日、教えることを教えたら後は好き勝手し始める者もいた。

 魔人は自由であり、魔王の命令以外では縛られない。一応はそうなっているため、レオンハルトとしても、聞きたくないと言うのなら聞かせる必要もない。本当に最低限出来てさえいれば、後は上から命令して指示するなり、追々憶えていったりすればいいのだ。

 なので、今まで教育をしっかりと受けた魔人はジークくらいのもので、それ以外の魔人はレオンハルトの教育は最低限で、後は自分なりに経験や失敗を重ねて憶えていくのだ。

 だが、この姉妹に関しては、きちんと教育が進んだ。

 妹のハウゼルは、元々真面目なので勉強にも熱心に取り組み、レオンハルトの言うことも素直に聞くため、それは不思議ではない。

 しかし姉のサイゼルの方も、そこまで邪魔をしたり逃げ出すこともなかった。

 というのも、日々の中でレオンハルトと接していく内に、

 

「……ひょっとしてあいつ……悪い奴じゃない……?」

 

 ――という思いが浮かんだためだ。

 考えて直ぐに、まだ早計だと確信こそしなかったものの、自分や妹に全く危害を加えるそぶりもないことから、実際に危ない奴かはともかく、大人しくしてる分には何も問題ないという信用が持てていく。

 更には、

 

「――ほら、もっと撃ってこい。そろそろ一発くらい当ててもいいんだぞ?」

 

「っ、い、言われなくても当ててやるわよ!」

 

 時折、レオンハルトの鍛錬に付いていき、ちょっとした訓練に付き合ってもらうようになった。

 勉強があまり好きになれず、代わりに妹よりも強くなればいい、とアドバイスの様なものを受けてから、サイゼルは何となく気が向いたのと、ハウゼルへの対抗心から積極的にそれに付いていくようになる。

 しかも、

 

「最近は動きも良くなってきたな」

 

「そ、そう? ……まあ、当然よね」

 

「ああ、魔人としては申し分ないな。まあ、俺にはまだまだ敵わないが」

 

「一言多いのよ! ふん、そのうち、あたしも強くなって……」

 

「強くなってどうするんだ?」

 

「そりゃ、あの子をま――じゃなくて………あ、あの子を越えて……」

 

「越えてどうするんだ?」

 

「…………ぎゃ、ぎゃふんと言わせる」

 

「…………そうか。まあ、頑張れよ」

 

「な、なによ! なんか文句でもあるの!?」

 

「いや? ただ、なんか可愛いこと言うやつだな、と思ったくらいだ」

 

「う、ううう、うっさいっ! 何が、か、可愛――」

 

 ――と、この様に、鍛錬の合間や、行き帰りの最中に会話を行うことで、これくらいには普通に会話が出来るようになった。

 そしてやはり、日が経つに連れて、ハウゼルの言う通り、悪いやつでもないし、思ったよりも話せると思えてきたものの、

 ……い、今更そんなこと……。

 ハウゼルにあれだけレオンハルトは危ないと言い続けて、しかも色々と邪魔をしてきたため、今更そんなことは言えないと、サイゼルは未だに当初と同じ様な態度を続けていた。

 勉強や食事などでハウゼルと会った際には、“あんな危ない奴に近づいちゃ駄目よ”とか、“新人教育ってのが終わったらさっさと出ていくんだからね!”などと言っている。

 因みに、自分がレオンハルトの特訓についていってることはハウゼルには内緒にしている。

 ハウゼルへの対抗心もあってか、そういうことをしているとは思われたくなかったし、こっそりと強くなってハウゼルよりも上だということをそのうち見せつけてやろうとも考えていた。

 魔人には頭脳よりも力の方が重要だと聞いたし、ハウゼルはよく本を読んだりして勉強している様だが、どれだけそっち方面で優秀でも関係ない、と自分に言い聞かせているのだ。

 

 ――そして反対に、ハウゼルは、

 

「レオンハルトさん、レオンハルトさん。この本、読みましたか?」

 

「ん? ああ、それなら読んだぞ」

 

「! 面白かったですよね! 最後のネタバラシのシーンまでの組み立てや台詞回しがとても良くて……!」

 

「“それは違わない!”とか”真実はいつも一つとは限らない”とかな」

 

「はい! “ばっちゃんの名にかけて!”とか、“駄目だ駄目だ、全然駄目じゃない!“とかも、私は好きです!」

 

「近代ミステリーの礎を築いたといっても過言じゃないからな……まあ、それを読んだなら、次は――」

 

 と、以前よりも更に読書にのめり込み、殆ど毎日の様にレオンハルトと本の感想を言い合っていた。

 レオンハルトの方は忙しいこともあって毎回図書室まで付き合えるわけではないが、それでもおすすめの本を紹介してもらい、ハウゼルはそれを読んで再び感想を言いに行く。

 ハウゼルのそれは最早完全な趣味となり、日課となっていた。

 本を読み終わると直ぐに、隣で本を読んでいるレオンハルトの服の裾を掴んで控えめに引っ張り、本の感想を言い合い、それが終わればまた本を読むといった日常だ。

 だが、本以外にも趣味を見つけて共有しあったことで、仲良くなってきたハウゼルはそれ以外にも雑談をしたりすることもある。

 そしてハウゼルが思うのは、

 ……やっぱり、良い人です。

 レオンハルトと接すれば接するほど、彼が優しい人であることがよく解る。

 城の者達、街の魔物兵からも慕われている様子は過ごしていればよく解るし、直接話すことでそれを実感してもいる。

 魔軍の仕事についても丁寧に教えてくれるし、やっぱり良い人なのだと。

 だからそれだけに、

 ……姉さんは、なんでレオンハルトさんの事をあんなに嫌ってるんでしょう……?

 姉の行動や態度に疑問を抱いてしまう。

 サイゼルにだって、レオンハルトは優しく接しているはずだし、だからこそあんなに邪険にする必要はないはずなのだ。

 だと言うのに何度も、“あいつは危ない奴だから”と言ってくるのは、ハウゼルとしてもムッとしてしまうし、心に不満が積もっていく。

 喧嘩しそうにもなるが、そういう時はいつもレオンハルトが直前で止めてくれるため、何とか喧嘩しないで済んでいたが、間の空気は未だに微妙な状態で保たれていた。

 ハウゼルにとって、悩みという悩みは、まずそれが一つ。

 後、地味に困っていることがある。それは、

 

「それとハウゼル。この間貸した本は読んだのか?」

 

「っ! あ、あれは……その……よ、読みましたけど……」

 

「……? あまり面白くなかったか?」

 

「い、いえいえ! そういうわけではなくて……! た、ただちょっと……」

 

 と、レオンハルトが貸した本の感想を聞こうとして、しかしハウゼルの対応に訝しむ。

 ハウゼルは顔を赤くし、困ったように眉根を寄せていた。

 というのもその本は、ハウゼルにとっては苦手というか、読むのに苦労する本であるからだ。

 ……あ、あれの感想をレオンハルトさんの前で……そ、そんなの無理です……!

 ジャンルとしては――恋愛小説だ。

 男女が恋仲になるまでの過程を書いたり、その後の甘々なやり取りを書いたりする小説は、ハウゼルにとって刺激の強いものであった。

 手を繋いだりする描写だけで胸がドキドキとしてしまうし、初めてキスの描写を見た時は心臓が破裂しそうなほどに脈打ち、身体が熱くなってしょうがなかった。

 恋愛描写だけでドキドキしてしょうがないのに、恋愛を主軸にするような本の感想を、他人に――それも、男性に言うなんて恥ずかしすぎる。

 それも相手がレオンハルトとなれば、特別恥ずかしい。

 なのでレオンハルトからの感想の追求を誤魔化し続けているのだが、

 ……つ、次は、この間ペールさんに勧めてもらった本を……。

 しかし一方でハウゼルは、恋愛描写のある小説をレオンハルトには内緒で読み続けていた。

 初めて読んだ時から、恥ずかしくてしょうがなかったが、それでも不思議と読むことが止められず、気がつけば図書室にある本からそういう類の本を選んで借りていってしまう。

 しかもその場面にレオンハルトの使徒であるペールに見られ、一時はどうなるかと思ったが、内緒にしてくれると約束してくれた上に、おすすめの恋愛小説を貸してくれるとのことで、お世話になっていた。

 それからは本の調達にも困らないが、過激な描写を見ることも増えたせいで、ハウゼルは油断するとそれを思い出して身体が熱くなってしまう状態に陥っていた。

 レオンハルトと会話する時なども、意識してしまうと小説の描写を思い出したりしてどうしようもなくドキドキとしてしまう。

 だが、頭を振ったり、腕をつねったりしてどうにかこうにか意識を戻したりして、ハウゼルは日々を過ごしていた。

 

 

 

 

 

 ――そしてそんなある日のこと。サイゼルと一緒にいる場で、レオンハルトからこんなことを言われた。

 

「そろそろ、教育も終わりだが……二人はどこか希望の場所はあるか?」

 

「!」

 

「!」

 

 希望の場所。それは言うまでもなく、人間牧場の運営の為に、担当の牧場をどこにするかという問いだ。

 それを問われ、ハウゼルはその瞬間になって一瞬悩んだものの、結局は前々から考えていたことを恐る恐ると口に出した。

 

「……その……もし良ければ、この街の……すぐ隣にある牧場が良いんですが……」

 

「構わない。そこは俺がついでに担当してる場所だからな」

 

 許可を貰い、その上でハウゼルは続きを口にした。

 

「……なら、そこを担当しますので……この城に住まわせて貰ってもいいですか……?」

 

「! それは……」

 

 レオンハルトが何とも言えない表情で言葉を迷わせたが、ハウゼルは再度お願いした。

 

「お願いします。その……こ、ここの居心地が良くて……皆さんと別れるのも寂しいですし……で、出来ればでいいんですけど……」

 

 と、告げたところで、レオンハルトは軽く息を入れた。

 そして僅かに困惑を匂わせながらも、どこか諦めたように、

 

「……ああ、構わない」

 

「! いいんですか!?」

 

「そこまで遠くもない場所だからな。城からでも通えるだろう」

 

 レオンハルトが理由付きで頷きを見せる。

 それを聞いて、ハウゼルは自然と嬉しくなって笑みを浮かべた。

 だが、横のサイゼルは、

 

「……それで、サイゼルはどうするんだ? 空いてる場所ならどこでも構わないが――」

 

「……あ、あたしも、城に近い場所でいいわよ」

 

「……ん? それは……」

 

 レオンハルトがサイゼルの返答に眉を顰める。ハウゼルも首を傾げた。

 だがサイゼルは構わず、もう一度声を発した。

 

「あたしも、まだここにいるから! は、ハウゼルも危なっかしいし、引っ越すのも面倒なのよ!」

 

 と、いつものように強気で言うと、ハウゼルが僅かに眉を立てた。サイゼルに視線を向け、

 

「……姉さん。それはレオンハルトさんが決めることでしょう。なのに姉さんが勝手に決めるなんて……しかもそんな言い方……」

 

「べ、別に良いでしょ。ほ、ほら、どうなのよ?」

 

 サイゼルの問いを受け、レオンハルトがまたしても眉間に皺を寄せる。

 その表情の変化に、サイゼルが微妙に不安そうに表情を歪めたが、

 

「…………まあ、いいだろう」

 

「っ……ほら! レオンハルトがいいって言ってるんだから、ハウゼルが言うことでもないでしょ?」

 

「……そうだけど……」

 

 ハウゼルはその言い方に不満がまだあるのか、何かを言いたそうに表情を少し歪めている。

 そのやり取りを見て、レオンハルトは額を掌で押さえた。

 

「……どのみち、最終的な報告はここまで送られてくるからな。それが省けると思えばメリットの方が……」

 

 そしてぶつぶつと仕事についての考えを小声で口にしながら、姉妹や他のことについても頭を悩ませた。

 かくして、二人の担当も決まり、順調に日々を過ごしているように見えた矢先。

 

 ――とうとう二人の喧嘩は勃発した。

 

 

 

 

 

 ――その日は、レオンハルトにとっての休日であった。

 

 多忙を極めるレオンハルトと言えども、休日は存在する。

 休みを設けているというよりは、仕事を集中的に終わらせておいて、自力で休日を捻出するという強引な方法ではあるが、それは確かに休日であった。

 そしてそういう日は――当たり前であるのだが――決まって仕事以外の事を行う。

 大体は鍛錬に出かけたり、私室に籠もったり、色々なことをするのだが、

 

「レオンハルトさん、今日は魔王城に行ってるんですね……」

 

 ハウゼルが城の廊下を歩きながら、先程メイドに聞いた話を口に出す。

 レオンハルトの休日を聞いて、自分に暇があったので、今日は一緒に本を読もうと誘おうとしたのだが、それよりも早く、レオンハルトは魔王様に呼ばれたとかで城へと行ってしまっていた。

 なので今日は、いつ帰ってくるかは未定。とはいえ、魔王城に朝から行くときはお昼や夕方には帰ってくることもある。

 場合によっては夜遅くになる時もあるが、突発的な呼び出しの際は意外と早く終わるのだとレオンハルトは以前言っていた。

 なのでハウゼルは、レオンハルトが帰ってきたら、一緒に読書しようと誘おうと思っていた。

 この間も、次は一緒に読んだことのない本を探して読もうと約束したし、

 ……楽しみだな……。

 早く帰ってこないかなぁ、とハウゼルはレオンハルトの帰りを心待ちにする。

 それまでは一人で読書するなどして時間を潰そうかとも思う。

 前にもらった剣王伝もまだ途中なのだ。かなりの長編で巻数が多い為、じっくりと読んでいるのだが、これがとても面白く、色んな興奮や感動を与えてもらえるので、続きが楽しみな本の一つだ。

 ……特に、主人公が格好良くて……。

 主人公にとても魅力があって楽しいし、主人公とヒロインの恋愛描写もドキドキさせてくれる。

 しかし、誰かに似ている気がするが、それが誰かまでは分からない。

 そんなことを考えていると廊下の曲がり角まで到達し――

 

「っ!」

 

「っ!」

 

 そこから出てくる相手と、ぶつかりかけた。

 

「――あっ、ごめんなさい。よそ見をして――」

 

「……! ちょっと、気をつけなさ――」

 

 と、お互いに顔を上げて、相手の顔を見る。

 するとそこには、

 

「……ハウゼル」

 

「……姉さん」

 

 自分の姉妹がいた。

 

 

 

 

 

 サイゼルは城の廊下でぶつかった妹を見て早速、声を送った。

 

「鈍くさいわね。ぼーっとしてたら危ないわよ」

 

 と、危ないから気をつけなさい、と言った意味の言葉を、サイゼルが自分流で強気に口にする。

 するとハウゼルは僅かに目を細め、

 

「……姉さんこそ、上の空のまま歩いていたんじゃないですか?」

 

「は、はぁ!? そんな訳ないじゃない!」

 

 ……な、何で解るのよ!?

 嘘であった。

 サイゼルは先程、廊下を歩く際に――“今日はレオンハルトが休日だし、帰ってきたら鍛錬に付いていってやろう”と考え、上の空であった。

 レオンハルトが鍛錬に行くとは限らないのだが、そういう時は決まってサイゼルの方から――“あ、あー。今日はなんか暴れたい気分だから、こ、攻撃させなさいよ”という下手くそな誘い文句でレオンハルトを鍛錬に行かせるのだ。

 攻撃させなさい、とかいう生意気な誘い文句は、どこぞのリスの魔人が聞いたら自殺行為かと思い、即座に洞窟に籠もってレオンハルトが暴れ終わるまで震え続けるほどのものだが、初めて会った魔人がレオンハルトなせいか、彼に対しては強気で通すことが出来る様になっているサイゼルに、そんなことを考える頭は存在しなかった。

 危機意識は有っても頭は残念なので、肝心な部分で失敗することが多いサイゼルの行動だが、それが逆に、“あのレオンハルト様に恐れることもなくタメ口で……ひょっとして、サイゼル様も相当の実力者なのでは……?”という噂が魔物達の間で広がっているとかいないとか。それよりも、“最近、レオンハルト様が美女魔人姉妹の二人と良い仲らしい……”という噂の方が確実に広がっているのだが、そんなことは当人達は知らない。

 ともかく、サイゼルは今日はレオンハルトと鍛錬に行く予定を考えて、ぼーっと歩いていたのである。

 だがそれを悟られるわけにもいかずに、サイゼルは誤魔化そうと話題を探し、そしてあることを口にした。

 

「そ、それより、あんたは今日何するのよ? ま、あんたのことだから何だかよく分からない本を見るんだろうけど」

 

 サイゼルは珍しく休日の話題を出してみた。

 というのも、レオンハルトが帰ってくるのが遅いようなら、たまには妹と過ごしてやろうかと思ったのだ。

 ……あ、あくまでも、この子が一人だと可哀想だし? 姉として仕方なく面倒を見てやるのよ。

 と、納得させ、サイゼルはハウゼルに問いかける。

 しかし、その答えは、

 

「……今日はレオンハルトさんと一緒に本を読む予定です」

 

「っ、レオンハルトと?」

 

 サイゼルは、ハウゼルが嬉しそうに言うその言葉にどきりとし、同時に変な気分が湧いてくる。

 それは、

 ……レオンハルトのやつ、またこの子と……。

 ハウゼルと一緒に過ごしていることに対する羨望や嫉妬のようなものを感じる。

 それに胸の中がもやっとするのが、いつものサイゼルの心の動きだ。

 しかし今日は、もう一つ思ったことがあった。

 それは、

 ……今日は、あたしがレオンハルトと過ごす予定なんだけど……。

 という思いだ。

 そのことに対しサイゼルは、不思議とイラつきを感じさせる。

 自分がやろうとしていたことを、予定を、優秀な妹に奪われるいつもの対抗心がまずひとつ。

 そして、それと似た想いとして、もうひとつが――

 

「……ふーん。でも、それは無理なんじゃない?」

 

「え? どうしてですか?」

 

 ハウゼルが純粋に疑問を抱いた様に問いかけてくる。

 それに対し、サイゼルは直情的に、純粋に、言いたいことを告げた。

 

「だってレオンハルトは今日――()()()()()()()()()()()

 

「…………は?」

 

 それは、妹に対する別の意味での――軽い“嫉妬”だった。

 




次回――修羅場。まだ明確に落ちてはないけど、なんか奪われるのは嫌だよねって。
なおその頃のレオンハルトは……
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