というわけで本編どうぞ
魔王ジルの私室では、ベッドの上に腰掛けたジルが紙の束を片手に、笑みを浮かべているところであった。
「……ふむ、これは――」
ジルが最近になって時折時間を見つけては研究しているそれらは、ジルにとってはそれなりに重要度の高いものだ。
少しずつではあるが研究は資料の解読とともに着実に進んできており、ジルの暇を潰す良い退屈しのぎになっている。
だが、退屈しのぎといえば、もうひとつ、ジルが進めているものがあった。
「さて……レオンハルトは今頃、どうしているかな……ふ、くく……」
研究を一段落させながら、ジルは己の下僕である一人の魔人のことを思い浮かべ、口から笑みを漏らす。
魔人レオンハルト。魔人筆頭にして魔軍参謀という地位につく最強の魔人であり、ジルが戯れに性欲を満たす相手として気に入っている男だ。
容姿に優れ、意志の強さも持ち合わせる良い男であり、夜のテクニックの方も素晴らしいものを持っている男。だが、そのレオンハルトは忠実と言い表せる忠誠心は、ジル個人というよりは、魔王という存在に向けられている。
それだけに、戯れとしてレオンハルトを自分の物にしてやろうと試みて――気づけば500年が経った。
自身が暇で気が向いた時は殆どレオンハルトと肌を重ねているため、それだけレオンハルトも遠慮が無くなってきたというか、中々に心に入っていけてるのではないかと思う。
しかし、
……まさか、これだけやっても堕ちぬとはな。
だが、これだけやって堕ちることはないとは、やはり人類最古の王にして魔物界の英雄とも称される程の男は、意思の強さも伊達ではない。
だからこそ、その忠誠心を自分に向けてくれれば面白いと思ったのだが、中々思い通りにはいかないので、さすがのジルも焦れてきた。
堕ちないことを愉快に思いもするが、こうなってくると多少の手を変えることも検討すべきだと、
……この間、何となく読んだ古い文献にも、そんなことが書いてあったな。
かなり古く、翻訳もされずに古代語で書かれていたため、解読には時間が掛かったが、レオンハルトの様なタイプを堕とすためには、様々な手を仕掛けることが重要だと書いてあった。
それを鵜呑みにするつもりもないが、確かにたまには趣向を変えてみるのも大事である。
故に、戯れで魔人にしたアイゼルを使って、レオンハルトを揺らがせてみようを思ったのだ。
……ふふ……これで、少しは動揺するだろう。
アイゼルがあまりにも下手くそだったのはジルとしては萎える一方だったが、そのアイゼルの性技の教育を命令することで、遠回しにそれを伝えながらレオンハルトを動揺させる。
しかもこれで、アイゼルが上手くなるなら、もし仮に今後、気が向いて戯れた時に多少でも愉しめれば良いし、そうならなくても最低限の役割は果たせる。まさに一石二鳥だ。
……この間に、レオンハルトを呼べぬのが面倒ではあるが……。
それも致し方ない。それくらいは甘んじて我慢してやろう。
その分、後で激しくしてもらおうとジルはほくそ笑み、研究を再開した。
……俺は、何でこんなことをしないとならないんだろうな……。
レオンハルトは魔王城の一室で、眼の前の情事を眺めながら、内心で大きな溜息を吐いた。
その分、表では僅かに眉をひそめるだけに留めて口を開く。
「――違う。もっと相手の事を考えろ」
「はい……すみません……」
「ん……で、ですが私は……」
ベッドの上にいるのは魔人アイゼルとその使徒のサファイア。
アイゼルはサファイアの後ろに回ってサファイアの愛撫を行っており、それにサファイアも感じている様子を見せている。
そしてこちらの指摘を受けて、アイゼルは手の動きを変えたりし、サファイアもそれなりに感じている。
見たところ、アイゼルの動きはそこまで悪いわけでもないのだが、
……はぁ……何が悲しくて、別の男女の情事の横でその男に性技の指導をしてやらないとならないのか……。
当たり前だが、レオンハルトの視界の中にいる二人は全裸だ。
サファイアのグラマーなスタイル――まあ、胸は元から見えているが――それは惜しげもなく晒されており、下が濡れているところもばっちりと見えているし、アイゼルのそれなりに整った肉体――レオンハルトからすればまだまだな――も見えているし、下の剣も見えてしまっている。
まあ、魔物界の中には全裸に近いモンスターや、使徒――そもそも魔王が全裸だったりするので、それほど珍しいものでもないし、レオンハルトとしてもただ見えているだけでどうも思わないが、情事の最中だということを加味して見せられるのは何とも言えない微妙な気分になる。
ほんと、何が悲しくて見せられないといけないのだ、という思いだ。魔物や人間が女を陵辱してる光景の方が悲惨だとは思うが、気分的にはこっちの方がげんなりする。――俺は何をしているんだ……、という意味も加えて。
……ジルも、面倒な仕事を寄越しやがって……。
性技の指導など、自分でやれ、と言いたいが、それを本当に言える筈もないし、そもそもアイゼルからお願いさせる辺りがいやらしい。これでは、自分がアイゼルに苦言を呈したところで新人の魔人を虐めているだけになってしまう。ジルに逆らう意志が微塵もないアイゼルでは、こちらにお願いするのみで、それに対してお言葉を返そう、という思いは生まれないし、思ったとしても絶対に言わないだろう。
だからレオンハルトとしては後からジルに言いに行って取り止めさせるようにお願いするにしても、とりあえずは命令なのだから指導は行わなくてはならない。
……くそっ……今日も俺は、予定が詰まっているのに……!
仕事も溜まっているし、やることも多い。
直営のも含めた各地の人間牧場の管理に、部下である魔人達の様子を見に行ったり、身内との予定だって詰まっている。
特に最近は、サイゼルとハウゼルの二人がかなりの頻度で誘ってくるので、更にやるべきことが増えた。
娘の白兎との時間やら、ケッセルリンクとのお茶会。それと今度やるジークとのお茶会もあり、一緒にやらないかということで日程を整えてセッティングしなければならないし、ハンティが模擬戦しろとうるさかったりもする。
そういえばカミーラにも呼ばれていたし、その道中にあるメディウサのところから今月分を徴収しなければならない。
更には他の血気盛んな魔人と遭遇した場合などは喧嘩も売られることが多い。これは最悪無視してもいいのだが、レキシントンやレイなどはしつこくて鬱陶しい上に、放っておくと他の魔人と喧嘩し始めるのでそれを止めねばならなかったりもする。
だがジルとの情事に比べたら、魔人の喧嘩とはいえ、戦闘は多少の癒やしに感じてしまうから何とも言えない。
そもそも情事で言うなら、後で予定も入っている。
だと言うのに、
「っ……だから違う。そうじゃない。もっと相手のことを考えろ」
「! ……すみません。ですが、これでも私なりに努力はしているつもりなのですが……」
「あ、あの……レオンハルト様……? これでも、私は十分……その……グッドだと思いますが……?」
そうじゃない、とアイゼルに注意をすると、今度は謝罪ともに言い訳と、サファイアの十分だというフォローがそれを口にする羞恥とともに齎された。
……くそ、全然なってないな……。
それを聞いて、レオンハルトは頭を抱えたくなる。何となく、アイゼルは上手そうに見えたのだが、と。
しかし下手というわけでもないはずだが、レオンハルトからするとどうしても、粗だらけで下手くそに感じてしまう。まさか他の男はこんなに下手だったのか、と思うが、アイゼルも経験がない訳ではないし、最低限の事は出来ている。やはり自分が気にし過ぎなのだとは思うが、
……やる以上は、半端はしない。
誠に遺憾ではあるし、全くもってやりたくないが、それでもやるとなれば、手を抜くことはしない。どこに出しても恥ずかしくない男優レベルにしてやるつもりだ。
少なくとも少しは上達して貰わないと自分の気が済まない。自分が教えたのに下手のままというのは、何となく気分も悪いのだ。
故にレオンハルトは、段々とスイッチが入ってきた様に、
「相手の事を考えろ、というのは、相手のことを思いやるだけのことではない。間違いではないが、もっと相手の事を探り、それにあったものを試せ、ということだ」
「……と言うと?」
そこから教えねばならないのか、とレオンハルトは一瞬厳しい目を向けそうになるのを直前で頭を振って止めるが、それ自体が、相手を若干だが威圧してしまったのだろう。アイゼルとサファイアが身体を一瞬震わせる。
レオンハルトは気持ちを落ち着かせる。最初は誰もが知らないものだし、未熟なだけの者に知らないからとそこを責めるのは良くない。
故に、熱が入ったとしても冷静に、軍事教練の時のようにレオンハルトは解説する。
「……まずは理論からだな。よし、説明しよう。……アイゼル。お前は戦いの時、まずは何をするべきだと思う?」
「戦い、ですか? それはどういう……」
「何でも構わない。戦争や一対一の戦いだとでも仮定してみろ」
と、告げてやるとアイゼルは少し考え込む。放置されているサファイアがむずむずとしており、居心地が悪そうだが、それを少し無視させてもらって、
「そうですね……まずは、相手の出方を見るのが、好みでしょうか」
アイゼルは戦闘の際の自分の好みをまずは口にする。
しかし、レオンハルトは首を振った。
「いや、そうじゃない。それより前の話だ」
「それより前……? ……となると、相手の確認、などでしょうか」
と、間を置いて答えた言葉に、今度は頷いた。
「そうだ。戦闘や戦の際、まず最初にやるべきことは、相手の確認、自分の状態、その日の天候や戦場の地形、武器の手入れなどになるだろう。――性行為も同じだ」
レオンハルトがそう言うと、アイゼルは僅かに目を見開いた。軽い驚きとともに、
「……なるほど。つまりは、相手の様子も含めて、観察することが肝要だと、そういうことですね?」
「そうだ。身体を綺麗にし、体調やムードを整え、まずは相手をその気にさせる。――自分も含めて、まずは戦いの場を整えることだ」
もっとも、お前はまだ出来ている方ではあるがな、とアイゼルを軽く褒めながら、レオンハルトは告げる。完全には出来ていないのだと。
しかしアイゼルは少し微妙な、言いづらそうな顔で、
「……それは、分かりました。ですが……自分から頼んだ手前、言葉にするのは憚られますが……そもそもこの状況が、相手をその気にさせるのに向いていないのでは?」
「…………確かにそうだが、それを言っても仕方がない。可能な限りは努力しろ。不可能ではないはずだ」
「……分かりました、努力します」
確かに相手役のサファイアが特異な状況にまだ困惑というか、緊張している時点で、その前段階が完了しているとは言い難い。
しかしそれは甘んじて受けいれて貰わないとどうしようもないので、そこは気にしない方向でいく。
次は、
「まあ、それは今はいいとしよう。だが、問題なのは次だ」
と、レオンハルトはアイゼルが出来ていない部分のことを指摘する。それは、
「次に戦いの時にやるべきこと。それは――相手の弱点を探ることだ」
「弱点と言いますと……つまり――」
そういうことだ、とレオンハルトは言葉にする前に頷く。
相手の弱点とは要は、相手の性感帯。性感を感じやすい場所だ。
性行為は準備が3割。精神的なものが3割。そして技術が3割で、残りの1割は身体的な部分だ。
レオンハルト個人としては、精神的なものが5割以上を占めると思っているが、全員がそうとは限らないし、他の部分も絶対に必要であることには変わりないので、この全てをマスターすれば性行為などで失敗することはないと太鼓判を押せる。
「相手のことを考えろ、というのは、相手の弱点を観察して暴き、そこを攻めろ、という意味でもある。確かに、相手を思いやることも大切だが、相手にとって最大限の快感を与えようと思うなら、相手の性的趣向を押さえることが必要だ」
「……では、私のそれは不十分だったということですね。申し訳ありません、サファイア」
「っ! そ、そんなことは!? 私は、十分にエクスタシーを――」
「無論、そのままでも達することは出来るだろうが、それ以上を目指すのならば避けては通れない道だ」
と、サファイアのアイゼルのフォローに対し、それではアイゼルの為にならないと、言外に伝えてやる。
実際にアイゼルは下手というわけではない。ただ、上手になろうと思うのならそこで満足しては駄目なのだ。
とはいえ、サファイアが自ら口にするのは恥ずかしいだろうと、
「大体は、触って反応を確かめたりすれば理解出来るようになる。サファイアの場合は――乳首と……それと、若干だがMの気配がするな。強めにやられるのが好きだが、アイゼルが思いやっていることで裏目に出てしまっている――といったところか」
「わ、わわわホワイッ!? そ、そんなことは……! というか、何で……!?」
と、サファイアは明らかに動揺して、羞恥も含めて声を震わせているが、その反応が明らかに図星だと如実に語っていた。
「……見ただけで、分かるのですか?」
「慣れれば触る前から分かるようになる。大したことじゃない」
「…………そうですか」
アイゼルが再び微妙な表情になる。アイゼルも余裕そうに見えて、微妙に、下手くそだと言われたようで気分が少し沈んでいるのだろう。気にしていないように見えるが、全く気にしていないというわけではないようだ。
だが、何度も言うように下手ではない。ただ自分の方が、経験もあって上手なだけだ。
「相手を観察しながら、弱点を見つけ出せ。そしてそこを適切に攻めれば、百戦危うからずだ」
「……ええ、分かりました。努力します」
アイゼルが頷いたところで、レオンハルトも頷く。
「よし。ならば次は、技の練習に入る。先程告げた弱点を攻め続けろ。その度に修正を加えてやる」
「はい、では――」
「え……? あ、ちょ――」
そうして、今度は遂に技の修行に入り始めたが、その内心では、
……ひょっとして、アイゼルを鍛えれば、俺の仕事も楽になるのでは?
アイゼルの性技を鍛えて、もしそれをジルが気に入れば自分の呼ばれる頻度が減り、もしかしたらそのうち呼ばれなくなるかもしれない。
その可能性があると思うと、レオンハルトの指導も熱が入る。
室内からは、本格的な嬌声が響き始めたが、レオンハルトは我に返ることはせずに、まるで武術の修行の様にアイゼルへの厳しい指摘を続けた。
アイゼルの使徒であるサファイアは、そのシチュエーションに困惑と驚愕を覚えていた。
親愛なる主であるアイゼルの性技の練習相手。それを受けるのは光栄なことではあるのだが、
「あっ、ひっ、んんっ!」
「ふむ……確かに、言われた通りにすると反応が良くなりましたね……」
「ああ。だが、それはまだまだだ。もう少し手をこう――」
最強の魔人であるレオンハルトの指導を受けながらのそれは、サファイアにとっては特殊過ぎた。
しかし、アイゼルの方は真面目に聞き入って学んでいる様子なので、それに水を差すことも出来ない。
というか、百歩譲って見物人がいることはまだいいとしよう。相手がアイゼルなのだから、それくらいはまだ許容範囲だ。
だが、サファイアにとって恐ろしいのが、このレオンハルトのテクニックだった。
アイゼルに技術を教え、サファイアの性感帯を攻めてくる的確なテクニック。それだけでも頭がおかしくなりそうだが、特にヤバいのは、アイゼルに対して技術の指導、ちょっとした指摘を行おうとした時だ。
「手を動かす時には何となく想いを込めてみろ。後、雰囲気を疎かにするな」
「雰囲気……ムード、ということですか。例えば、どのように為されるのです?」
「見てろ」
「っ……!」
と、レオンハルトがサファイアに近づく。一瞬、触られるのかと思ったが、直前で止まったためそういうつもりではないようだ。
あくまでも真面目な指導をしてるし、アイゼルの方もそれを分かっているためなのか、特に気にした様子はない。
だがサファイアとしては、身近でこうやって指導されるのは変な気分になるものだ。
……アイゼル様の手でタッチされながら……アイゼル様に似た、レオンハルト様にルックされる……っ!
インモラルな感覚を覚え、サファイアは歯噛みしながら声を漏らしてしまう。
このレオンハルトの何がヤバいかというと、今、サファイアに触れていないのに、
「…………」
「っ、あっ……あぁっ……やっ、あぁ……!」
何故か感じてしまうことに、サファイアは恐ろしさを覚える。
レオンハルトはサファイアに一切触れることもせずに、ただその目を見つめているだけだ。
だというのに変な快感を感じてしまう。
もはや催淫能力でも持っているのではないかと疑ってしまうほどだが、これもレオンハルトに言わせれば、
「――このように、雰囲気を作るだけで相手はその気になる」
「……ただ、じっと見つめているだけに見えましたが……違うのですか?」
「これは戦闘のフェイント、気当たりなんかと一緒だ。攻撃はしないが攻撃してくるかもしれないという気迫。性行為で言うところの、触れてこそないが、触れる雰囲気。つまりはムードを作り出している。殺気を感じれば身体が強張るように、淫靡な雰囲気を強く出せば、相手は勝手にその気になるということだ」
「……なるほど、道理ですね」
……な、なるほどではないですよ、アイゼル様!?
なんだその滅茶苦茶な理論は。さっきから一々戦闘に例えているが、普通はそうじゃないはずだとサファイアは内心でツッコむ。
しかし真面目に頷いている主と最強の魔人相手にそれを指摘出来るはずもなく、しかも、それで感じてしまっているのが事実なので何も言えない。どう考えても無茶苦茶なのに。
「後は、相手の望む言葉を言ってやるというのも重要だ。焦らすことも必要となる愛撫と違って、言葉の場合は、比較的にストレートに伝えた方が効果的な場合が多い。回りくどい考えさせるようなことを言っては、集中がそっちに割かれてしまうからな。とはいえ、それも使いようだが」
「あぁぁっ! や、うぅ、あ、んひぃっ!」
「なるほど。その辺りも臨機応変に。相手に合わせる、と言ったところですか」
「あぅっ、んんんっ、ひぃぁ、ふぁぁっ!」
「そういうことだ。相手の状況によっては、こちらも手を変えて攻める。ずっと同じ刺激では快感にも慣れが来るからな。手を変えて、慣れさせないようにする」
「んッ、くっ、あぁあああああッ!? んひゃぁっ!」
「……それも戦闘と同じ、ですか。ずっと同じ攻撃では、相手に見切られてしまうと」
「あぅっ、ふぅ、あぁくぁぁぁっ……! あっ、ストッ、ひゃぁぁっ! あああぁぁっ!」
「弱点ばかりを攻めるのも良いが、それだけではなく、他の場所も攻めることも重要だ。一定の快感を与えれば、相手はどこに触れても致命傷となり得るし、技術を極めれば、弱点以外でも感じさせること、つまり調きょ――いや、これはいいか……」
「んひあっ、くあっ、あ、あぁあああああああああっっ!」
……こ、の、魔人……もはや……セックス、モンスター……!
快感が強すぎて頭がおかしくなりそうな中、サファイアは最後のまともな思考で、レオンハルトをとんでもない奴だと内心で戦慄を覚える。
それに、アイゼルのやり方をレオンハルトが適時修正していくのは、
……まるで、二人にタッチされてるようで……!
グツグツと快感が上ってきている。頭や下が煮え滾り、もはやそれのことしか考えられない。
「だからそうじゃない。良くなってはいるが、触れ方や焦らし方、攻める順番などがなっていない」
「! すみません……では、次は――」
「あひっんく、ふぁあああ、やぁッ、あぁああ……っ!」
更に快感が強くなる。
だが、触れずに、指示を出すだけでこれ。しかも、これでもレオンハルトに言わせればまだまだで、先程から違うと何度もダメ出しを受けている。ふと疑問に思うのは――彼の本気とはどういうものかという好奇心にも似た興味。
喉をゴクリと鳴らしてしまうようなそれを、サファイアは快感に喘ぎ、頭を振りながら否定した。
やはりこの男は、セックスモンスターだ。
しかしアイゼルが上手くなっていき、それを味わえるのは、それはそれで役得な気がしてサファイアは複雑に思いながらも暫くの間、与えられる快感に溶けていった。
――その頃。
「アイゼル様、まだかなぁ……」
「レオンハルト様達、遅いですねぇ……これは部屋の中で、いけないことをしてると見ましたよう」
「……はぁ、馬鹿じゃないの?」
「おや、そんなこと言って、始祖様ってば実はそういう話題だと恥ずかしがってるんですよね? 可愛いですよーーーう? うぷぷ」
「雷撃ッ!」
「ひやああああっ!? で、電撃は酷いでひゅうう!?」
「う、うわぁ……痴女だ……」
「いつものことですわ。気にしなくて構いませんのよ」
「しかし、長いですな……」
防音の魔法が掛けられた部屋の外で、使徒達は時間を持て余していたが、それから少しして、ぐったりとしてアイゼルに抱えられるサファイアと、顔を俯かせ、疲れた様子のアイゼル、納得の言ってないような表情のレオンハルトが現れ、使徒達は部屋の中で何をしていたのだろうと、あれこれ想像を働かせたが、正解した人物は一人だけであった。
一番の被害者:サファイア
次回はアイゼルではなく、別の話。エターナルヒーローも近いなって。というか、もう出るかも?