またしてもフラグ乱立と名前だけちらっと出していく感じ。
というわけで本編どうぞ
魔物界の最先端都市──レオンハルトシティ。
そこは相変わらず、世界のおおよその場所と違って、平和そのものであった。
しかし、その中心にある紅魔城は最近、その主を中心に慌ただしい日が続いていた。
「──子作りをしましょう」
「……何故だ?」
「興味深いから。……私が駄目なら別の子を選んでもいいわよ?」
紅魔城の一室。大きなベッドがあるその部屋を訪ねてきたのは、成体になった状態の聖女の子モンスターのベゼルアイと、その声と視線を受けた別の者達で、
「びえええええええええん!! ベーに寝取られたあああああああああああああああ!!」
「別に寝取ってないわ。そもそもレオンハルト君に寝取るという道徳的な概念は通用しないのだし。後、ベーって言うなって言ってるでしょう? ハウ」
「びええええええええん! ベーがベーって言うなってぇええええええええ!」
「そんな理由で泣き続けないでくれる?」
「……床がびしょびしょだな……」
レオンハルトとベゼルアイが呆れる視線の先で泣き続けているのは、ベゼルアイと同じく聖女の子モンスターの一体で、大地のハウセスナースだ。
幼体時のツインドリルではなく、青い短めの髪を持つ成体の彼女は、かなり久し振りに出会ったと思えば、いきなり泣き出したのでレオンハルトもほとほと困り果てているのだ。
そんなレオンハルトの頭上で、声が響く。天のお告げではなく、それは物理的に上に乗っかっている少女の言葉だった。
「にゅ~……そもそもハーちゃん、自分から避けてたからしょうがない……」
「そうね。自業自得って言うと酷いけど、半分くらいはハウのせいよ」
「びえええええええええん!! だってどうしていいか分からなかったんだもん! うわあああああああん!!」
「普通に束縛を止めて、子作りしようって言うだけでしょう?」
「うん……あ、そろそろ子作りする?」
「お前はまたそれか……とりあえず、頭の上から降りろ」
「んあ~……」
上に乗っかっていた聖女の子モンスター、時のセラクロラスを掴んで降ろす。ベゼルアイと同じく、それなりの頻度で遊びに来る相手だが、何故か脈絡もなく結構懐かれているので、レオンハルトとしては気が抜ける相手だ。
しかも今日は、三体とも同じ目的を持って来ているので、レオンハルトはどうしたものかと頭を抱える思いだった。傍らには、一応使徒のペールを控えさせているが、
「うーん、カオスですねぇ。ですが選り取り見取りって感じで。さすがはレオンハルト様!」
「……感心する暇があったらこの場を収める努力をしてくれ」
「あはは~、それもそうですね。それじゃあ──」
と、使徒のペールが前に出る。そして三体の聖女の子モンスターの横に立ち、三体を紹介するように左手を上げると、
「──そこに三体の聖女の子モンスターがいるでしょう? そこから好きな聖女の子モンスターを選んでベッドへ──」
「誰が進行役を務めろと言った? ……それに何かを思い出しそうなフレーズはやめろ。急に冒険の旅に出たくなる」
「冒険の旅?」
なんでもない、と右手で額を押さえながら話を打ち切る。あの作品、今はどれくらい出てるんだろうなぁ……と、懐かしいことを思い出してしまったが、考えてもしょうがないのでレオンハルトはその思考を打ち切る。
そんなことよりも今は眼の前の問題だと息をつき、
「……最近、夜が来る度──いや、昼でもそれなりの頻度で子作りを強請られるんだが、どういう訳だ? 俺は種馬じゃないぞ」
「でもレオンハルト君。魔人なのに最近はポンポンと子供作ってるじゃない。その所為じゃないの?」
「……それは……まぁ……」
微妙に痛いところを突かれて何と言えばいいか分からなくなるレオンハルト。そんなつもりじゃなかったと言ってしまうのは色んな意味で失礼で、冒涜的ですらあるので言わないが、それでも計算外であったことは事実だ。
もし出来たら出来たで良いと覚悟は持っているが、まさか魔人の低い確率を何度も潜り抜けられると、レオンハルトとしても色々と考えなければならないし、メイドなどの多くの女達もそういうことを期待し始めてしまう。別にそういう行為をしたからといって孕む確率が上がるわけではないのだから、何も出来なければそのうちほとぼりも冷めるだろうと思っていたところに、先日の件だ。
それによって再びそういう熱が高まってしまうだけではなく、ベゼルアイを中心に聖女の子モンスターまでもが興味を示し始めた。
ハウセスナースと再会出来たのは喜ばしいことかもしれないが、いきなり子作りとなると、レオンハルトとしても二の足を踏んでしまう。孕んで産むことに掛けては随一の能力を持つ聖女の子モンスター。それは魔人であっても絶対であるのかと悩んでしまうし、その可能性を考えると簡単には手を出せない。というか、
「……お前ら、俺の事が好きなのか?」
問いかける。レオンハルト的には、一番重要なところがそれだ。
好きでない相手とヤるというのは、レオンハルトとしては出来れば避けたい。やむを得ない事情や命令であるというのであれば話は別だが、そういうことを重視するのがレオンハルトの矜持なのだが、
「びええええええええん! 好きいいいいいいいい! 何番目でもいいからあああああああああ!」
「うゆ……?
「好きよ。──子作り相手として」
「……待て待て待て。色々と聞き捨てならないしツッコミどころが多すぎる……とりあえず、ハウセスナースは泣くな」
ハウセスナースのその言葉は微妙に罪悪感を感じるし、セラクロラスからは聞き捨てならないというか、マジだとしたらとんでもない爆弾発言だ。首を傾げて、何故今更そんなことを聞くのか? と言った風な感じなのが、色々と悩ましい。未来の自分をぶん殴りたい気分だ。
そしてベゼルアイに至っては、
「……まぁ、ハウセスナースとセラクロラスは、百歩譲って良しとしよう……」
「ぐすっ……ほ、本当? あたしのこと好き?」
「にゅー……?」
鼻水を咬みながら問うてくるハウセスナースに、先程と変わらず、何故今更そんな話をしているのかと疑問に思っている様子のセラクロラス。
それらに、ああ、と頷きながらも、視線はベゼルアイに向く。相変わらずの澄まし顔の彼女に、
「だがベゼルアイ。お前は……なんだそれは?」
「抽象的な問いかけね。何って聞かれても、そのままの意味よ。子作りの相手として好き。だから問題ないでしょう?」
「ん……いや、それは……」
正しいようで正しくないというか、何ともいえない。その言い方だと、まるで──
「セフレみたいですね!」
「悪いが少し黙っててくれ」
「あぁん、辛辣ぅ! でもそういうのも悪くないですよう!」
ペールが横から、口に出すことを憚られることを平然と笑顔で言うので、冷たくあしらう。本人は冷たくされても悦んでいるので良いか、と視界から外して考え込む。判断に迷うところだが、
「……異性としては、好きじゃないのか?」
「子作り相手として好きってことは、異性としても好きってことになるんじゃない?」
「何でお前の方が疑問形なんだ」
「かっるいですねぇ。私も人の事は言えませんけど」
ペールの言に内心で僅かに同意する。普通、好きかそうじゃないかの話をするのは、それなりに雰囲気が出るものなのだが、この場にはそういった気配が微塵もない。
それだけにレオンハルトも微妙な心持ちでいるのだが、ベゼルアイもそれを察してか一息つき、少し考えてから、
「……そうね。恋愛的な意味かは怪しいけど……異性としては一番仲も良いし、好きだと思うわ。色んな意味で、今一番子作りしたい男性よ」
「結局言ってることが変わってないような気もするが……」
「お互いに裸の付き合いをした仲よ」
「風呂に一緒に入っただけだけどな……」
「セックスに抵抗があるならキスだけでも出来なくはないけれど……」
「ん……うーん……」
レオンハルトは腕を組み、悩む。
最近、とある事情から初めての相手とやむを得ない行為を行っただけに、貞操観念というか、基準がおかしくなっているのかもしれない。
しかし価値観としては人間のそれというよりも、
「……生まれてくるのは、魔物なんだよな?」
「ええ、多分そうなるわね。私達が産めるのは魔物だけだから」
魔人と子供を作ったことがないから実証済みではないけれど、と後につけるベゼルアイに、レオンハルトは思考する。
……魔物ならいいのか……?
魔物の価値観として考えるなら、新しい種を作るだけ、という考え方も出来なくもない。魔物の中には親子としての意識が薄く、生まれてすぐに親元を離れて独り立ちする者も少なくないからだ。
しかし魔物とはいえ、自分の種で生まれてきた魔物ともなると、やはり責任は伴うと思う。というより、構わないでいる自信があまりない。例えただの魔物が生まれて、そこらで過ごしはじめたとしても、やたらと気にかけてしまうだろう。
だが、もしそれでもいいなら──
「……俺はおそらく、その生まれてきた魔物に対しても親として接するし、お前らにもそうあるように言うかもしれない。それでもいいなら……まぁ……」
「別にいいわよ、それで。……まあそもそも、魔人相手だと孕むかどうかも怪しいけど」
「それならそれで構わないんだが……」
「どうなるかは、やってみるまで分からない……」
セラクロラスがそんなことを言ったので、もしかしたらそういうことなのかもしれないと思う。
低い確率の魔人と、絶対に孕む聖女の子モンスターなら、半々くらいの確率になることだってあるだろう。もしそうなら、孕まない確率の方が高いことだってあり得る。
だがそんな中、
「ちょっと! あたしを放って勝手に話を進めないでよね、
既に泣き止んでいたハウセスナースが声をあげる。
ダーリン、という言葉に違和感しか感じないが、そういえば前の騒動の時もそんな風に呼ばれていたな、と思い出し、特にツッコむことはしない。
ハウセスナースは主にレオンハルトではなく、他の聖女の子モンスター達に向かって声を飛ばし、
「事情は色々分かったけど……もしするなら、あたしが一番最初だからね!」
「あら意外ね。てっきり、許さないとか色々言ってまた泣くかと思ったわ」
「ふふん、伊達に千年以上恋煩いをしてないのよ。そう、今のあたしは酸いも甘いも噛み分けた、恋愛マスター……! いえ、恋愛王と言っても過言じゃないわ!」
「どう考えても過言よね。失恋王の間違いじゃない?」
「くどいわ! ダーリンが誰を愛そうとどんなに汚れようと構わない! 最後に、このあたしの横にいればいいのよ!」
「おー……はーちゃんが男らしい宣言をした……」
「どうでもいいけど、ここまで来たらウェーも探して皆で集まりたいわね……」
「どうでもいいとか言うなっ!」
大口を開けてベゼルアイに噛みつかんばかりの声を飛ばすハウセスナース。聖女の子モンスターの賑やかなやり取りを見ていたレオンハルトは、やっと話がまとまってきたと溜息をつくと、
「……とりあえず、繁殖期が来たら相手をすればいいのか?」
「ええ、そんな感じで頼むわ。後は流れで」
「だからあたしを放置しないでよ! ──ダーリン! というわけであたしと新婚旅行に行きましょ!」
「何がというわけなんだ……?」
「んー……お腹すいた……何か食べさせて……」
「食堂に行け。はぁ……」
「レオンハルト様、お疲れのようですね。おセックスでもします?」
「お、をつければ何でもお上品になると思うなよ?」
ペールの脈絡のない下品な誘いを蹴りつつ、レオンハルトは癒やしを求めて部屋の外に出て行くことにした。
すると目の前にメイド長さんが現れ、
「お疲れさまです。ご主人様」
「メイド長か。……二人は今どうしてる?」
どの二人なのかの指定のない問い。だがメイド長はそれだけで誰の事を聞いているのかを察して、淀みなく答える。
「──カイゼル様とルイゼル様でしたら、庭先で飛び回って遊んでいますよ」
その返答を聞いてレオンハルトはほっとする。中庭に繋がる窓の外に視線を送りつつ、
「……そうか。喧嘩はしてないか?」
「今日は大丈夫の様ですが……ご休憩がてら、様子を見に行きますか?」
「ん……」
レオンハルトはその言葉に迷いを見せる。正直なことを言えば、様子を見に行きたいところだが、レオンハルトは考えた末に首を振り、
「……いや、元気であればそれでいい。仕事も溜まっているしな。今日は戻る」
「はい。でしたらそのように、お伝えしておきます」
「頼んだぞ」
と、レオンハルトはメイド長さんが優雅にお辞儀するのを尻目に仕事へと戻っていく。
考えること、やらねばならないことは山積みであり、レオンハルトは今日も忙しそうであった。
スラル「……レオンハルトシティにさよならバイバイする準備はいい?」
ジル「私はお前と、旅に出る(強制)」
レオンハルト「ピ○チュウ!(悲鳴)」
まおうの スラル と ジル が しょうぶを しかけてきた!
聖女の子モンスター、縮めて、聖モン(違