※この作品はR-18です。

魔軍参謀の憂鬱   作:黒岩

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ケッセルリンクの休日

 ──大陸北部。

 

 その地域にしては緑が溢れるその領地に、魔人四天王の1人である魔人ケッセルリンクの城はあった。

 

「おはようございます、ケッセルリンク様」

 

「うむ。おはよう」

 

 かつて魔人になる前は夜の王と呼ばれ、魔人になってからも夜間においては無類の強さを誇るケッセルリンクだが、朝日が昇ると共に寝て日が沈む頃に起きるという夜型の生活はしていない。

 毎朝きっちりと同じ時間になれば目を覚まし、同じ時間にメイドが──ケッセルリンクの使徒である少女達がやって来る。今日の起床の挨拶にやってきたのはその使徒メイドの中でも最も古株であるシャロンだった。

 

「本日はお昼にレオンハルト様とアルベルト様がお越しになられます」

 

「うむ……それまでに準備をしておこう」

 

「はい。材料は既に揃っています」

 

「ありがとう」

 

 普段、魔軍に出入りしている時。魔王に謁見している時などは高位の魔人らしい凄まじい圧力を放っているケッセルリンクだが、自分の身内しかいない場においてはその表情も声色も優しさに満ち溢れていた。

 それも特に今日は、ケッセルリンクの愛する男と愛する息子がやって来る。それもあっていつもよりも更に穏やかな面持ちであった。

 シャロンの淹れた紅茶を一通り楽しむと、ケッセルリンクは立ち上がり、自ら城の厨房へと向かっていく。普段はケッセルリンクのメイド達が用いるそこに、高貴なる魔人であるケッセルリンクが立つのは息子がそれを楽しみにしているためだ。

 

「おはようございます、ケッセルリンク様」

 

「パレロア。エルシール。加奈代。バーバラ。おはよう。……少し場所を借りるが構わないかね?」

 

「ええ、勿論ですケッセルリンク様」

 

 メイド一人一人の名前をきっちり呼んで挨拶を行う。彼女達もまた、今日のために食材の下ごしらえを行っているところだった。

 メイド長であるエルシールに一応の許可を取り、ケッセルリンクは自分用のエプロンを身に付ける。

 それは服飾を担当している加奈代が、息子のために時たま料理を行うケッセルリンクのために作ったものだった。

 

「うふふ。相変わらず似合ってて素敵です、ケッセルリンク様~♡」

 

「ふっ……」

 

 加奈代の言葉に微笑を浮かべながら準備を始める。

 その作業は材料の調達を除いて全て一から始めるものだ。

 

「…………」

 

 しかしその手際は良い。何度も何度も行った動作。そこに淀みはなく、メイドの中で最も料理の上手なパレロアに匹敵するものだった。

 ゆえに準備を含めても時間はそれほど掛からない。出来上がった料理は約束の時間よりも早くに出来上がってしまうが──

 

「どうぞ、ケッセルリンク様」

 

「ありがとう」

 

 使徒メイドのバーバラが持ってきた皿に乗せるクロッシュ──魔法の刻印が施されたそれには「MADE IN GOWGOW」の文字も小さく刻印されている。

 これは魔物界で流通するおおよそ全ての魔道具に刻印されているもので、ガウガウ・ケスチナという現在はレオンハルトの使徒となった魔法学者の作成した魔道具である証だ。

 そしてそのクロッシュもまた、中に入れたものを入れた時の状態のまま保存しておけるという優れものである。

 ガウガウ自身が研究やサボりで引きこもっている際に、いつでも温かい料理を食べられるようにと作成した10も出回っていない希少な魔道具の1つを用いて料理を保存すると、ケッセルリンクはメイド達と共に他の料理も作り始める。

 普段であればここまではしないが、それでも行うのは今日が大事な日であるからだ。

 何しろ──息子が、大切な人を自分達に紹介しに来るから。

 そのためにケッセルリンクとその使徒メイド達は時間までに準備を行った。

 

 

 

 

 

 ──そしてお昼になるとまずはレオンハルトとお付きとして使徒のペールがやって来る。

 そしてそれから少し遅れてケッセルリンクと同じ髪色をした美丈夫がやって来た──レオンハルトとケッセルリンクの息子である魔人アルベルトだった。

 

「ただいま、ママ。それにパパも」

 

「ああ、おかえり。アルベルト」

 

「半年振りだな。……そちらの娘も久し振りだ」

 

「ああ──メリル、挨拶を」

 

「は、はいっ!」

 

 レオンハルトとケッセルリンクが視線をアルベルトの隣に向けたことで、そのカラーの少女は一歩進み出る。

 そして何度も練習したかのように礼をした。

 

「お、お久しぶりですレオンハルト様。ケッセルリンク様。アルベルト様の下級使徒を務めさせて頂いているメリルです。そ、その、この度は……」

 

 メイド服を身に付けたメリルはその艷やかとなった髪を靡かせ、緊張がありありと伝わってくる様子で一礼する。

 その動作はお世辞にも慣れているとは言い難い。が──それでもケッセルリンクの表情は穏やかだった。レオンハルトもまた特に気にした様子もなく頷いてみせる。

 

「ああ、その話は聞いている。……が、まずは食事でもしながらゆっくり話そう。座るといい」

 

「あ、はいっ……!」

 

 レオンハルトに着席を促され、アルベルトに続いてメリルは席につく。その様子はやはり恐縮した様子だが、それも仕方ないだろう。ただでさえ魔人。それも、魔人の中でも頂点に位置するレオンハルトとそれに準ずるケッセルリンク。その息子であるアルベルトの3人の食事の場に列席しているのだ。緊張するのも無理はない。

 

「最近、森の方はどうかね?」

 

「ああ。一時期は少し襲いかかってくる人間も多かったが今は安定している。……それと、今度街を参考にして村に温泉施設を作ろうかと思っているんだが……パパ。許可をくれないか?」

 

「良いだろう。工事で足りない物資、人員が必要ならいつでも言え。最近はどちらも余ってるくらいだからな」

 

「ありがとうございます」

 

 だが一方でいつも冷静なアルベルトもまた、少し緊張していた。それもあって、好物であるオムライス──ケッセルリンクが作ったそれを前にしてもいつもより嬉しそうな面持ちではない。手をつけることなく、少し視線を迷わせていた。

 

「……パパ、ママ」

 

「……食べないのかね?」

 

「いや……このままでは緊張してメリルもそれどころではないだろう。だから……最初に改めて告げておきたい」

 

 だが隣で自分以上に緊張するメリルを横目で見て、アルベルトは意を決して口火を切る。真剣な眼差しを両親に向けた。そして食器を一度置いて。

 

「オレはこのメリルを……下級使徒から、正式な使徒にしようと思っている。その許可をくれ」

 

「…………」

 

 そう。今日の家族での集まりは、アルベルトから伝えられたその許可を両親である2人に求めるためのものだった。

 レオンハルトの子供の中で、使徒を作ることの出来る魔人は3人いるが、その3人には使徒を作るのであれば許可を求めるように命令が出ている。

 ……もっとも、アルベルト以外の2人は許可を取ることなく勝手に使徒を作り、罰を受けていたが……真面目なアルベルトはルールを破ることなく、正式に場を設けて2人に許可を取りに来たのだ。

 ゆえに2人は緊張していたが……その緊張の中には、使徒化というものに対するだけでなく、また特別な感情も含まれていることをレオンハルトもケッセルリンクも見抜いていた。

 

「アルベルト」

 

 だからこそ、ケッセルリンクは息子の名前を呼んで伝える。微笑を浮かべた上で。

 

「好きにしなさい」

 

「!」

 

 ケッセルリンクは息子を信頼している。

 そして、息子が選んだ相手を信頼していた。

 

「使徒を選ぶ権利は魔人にある。永遠を共にする相手だ。親とはいえ私が口出しすることではないとも」

 

「ママ……」

 

 言葉数は少ない。だが、それもまた信頼の証だった。

 アルベルトもまたケッセルリンクの言わんとしてることを汲み取っている。自分を信頼していること。そして自分が幸せであればよいと思っていること。

 それらを理解し、アルベルトは深く感謝した。──だが、もう1人。父親からの声が飛ぶとその穏やかな空気はほんの僅かに引き締まることになる。

 

「アルベルト」

 

「! ……はい」

 

 アルベルトは父である魔人レオンハルトを厳格な魔人だと思っている。厳しいだけじゃない。優しさも持っていることは理解しているが、教育方針はどちらかと言うと厳しい寄りだった。

 娘ではなく息子であるのも関係してか、戦闘訓練を義務付けられたし、その内容も何度もアルベルトを実戦で叩き潰す苛烈なものだった。

 ある程度成長してからはそれらもなくなってたまに軽く手合わせをする程度であるが、それでも父親が厳しい印象は拭えない。魔軍においても使徒においても人選は能力を重視することも知っている。

 だからこそ凡庸なメリルを自らが使徒にすることを認めてくれるかどうかが不安であった。断固として拒否されるかもしれない。そう思うとどうしても固くなってしまう。

 だが今回ばかりは引き下がるつもりもなかった。机の下で拳を強く握る。あるいは、認めてもらうために久方ぶりに戦うことになるかもしれないと。そんな覚悟もして。

 そうしてアルベルトはレオンハルトが言葉を発するのを聞いた。短くも、はっきりとした声で。

 

「好きにしろ」

 

「え……?」

 

 それは、母親と全く同じ言葉だった。

 てっきり厳しい言葉が飛んでくると思っていたアルベルトはその発言に虚を突かれ、間の抜けた声を出してしまう。

 だがレオンハルトはその様を見てふっと短く笑いながらも表情を引き締めて告げてきた。

 

「お前は強くなった。少なくとも、大切な人1人くらいは十分に守ることが出来るくらいにはな」

 

 レオンハルトは言う。父親として、大切な人を見つけた息子に対する薫陶を授ける。

 

「だが決して慢心はしないことだ。大切な相手は何が何でも守り抜け。失ってから後悔しては遅いからな」

 

「……! はい……!」

 

 父親からの厳しくも己の為を思った確かな言葉に、アルベルトは強く覇気を持って返事をした。かの魔人レオンハルトの長子として、その期待には応える。

 

「メリルもアルベルトを支えてやってくれ」

 

「何かあればいつでも声を掛けてほしい。息子の使徒であれば私にとっても身内のようなものだ」

 

「は……はいっ! ありがとうございます……! 私なりに全力で……アルベルト様を支えさせていただきますっ!」

 

 レオンハルトとケッセルリンクの温かい言葉に、メリルもまた精一杯の感謝を述べた。

 そうして許可が取れれば、後は家族での食事の時間だ。

 

「さて、そろそろ料理を頂くか。今日の料理の一部はケッセルリンクが作ったそうだ」

 

「え……そ、それは……私などが頂いてもよろしいのですか……?」

 

「構わない。むしろ君にこそ召し上がってほしい。……息子の好きな味だ。君に覚えてもらえるなら息子も喜ぶだろう」

 

「……な、なるほど……!」

 

 メリルがちらりと横目でアルベルトを見るが、アルベルトはその視線に気づいて視線を逸らした。──照れ隠しのように目の前のオムライスを口に運ぶ。

 どうやら関係としては進展しているが、親の前ということもあってクールを気取っているようだった。レオンハルトとケッセルリンク。そして周囲で見守る給仕の使徒達も微笑ましくそれを見守る。

 そしてレオンハルトの背後についていた使徒のペールもレオンハルトに耳打ちし。

 

「レオンハルト様レオンハルト様」

 

「何だ?」

 

「私もせっかくですし、後でプレゼントを渡してもいいですか? ほら、やっぱり夜の生活に不安があるでしょうし、ここは性技指南書を渡してアルベルト様の性欲を存分に受け止められるように教育した方が……」

 

「…………」

 

 レオンハルトは耳元で聞こえるその言葉に、一瞬「馬鹿なのか?」と声を返そうと思ったが、冷静に考えると魔人が全力で性衝動をぶつけると他の生物では中々厳しいものがあるということも理解している。

 とはいえアルベルトがそれを理解していないようにも思えないし、何だったらもう肉体関係は結んでいるようにも見える。なので改めて教育する必要はないようにも思えるが……。

 

「…………変なことを教えるなよ」

 

「わかってますよう。ただ指南書を渡して、アルベルト様の性癖を教えるだけですから。ふふふ……」

 

「…………」

 

 なんでこいつが息子の性癖を知っているんだとレオンハルトは思う。そしてどんな性癖を抱えてるのか少し気になりはしたが、親に自分の性癖がバレるのは恥ずかしいどころの騒ぎじゃないだろうと思い、聞くのはやめておくことにした。

 そしてその日──メリル・カラーは魔人アルベルトと血の契約を交わし、使徒になった。

 

 

 

 

 

 ──メリルがアルベルトの使徒になり、2人の住居があるペンシルカウに帰ったその日の夜。

 

 ケッセルリンクの寝室。その上品なベッドの上には、レオンハルトとケッセルリンクの姿があった。

 

「ん……レオンハルト……」

 

 レオンハルトは背中をベッドに預け、上から抱きついてくるケッセルリンクを抱きしめ返す。

 互いに衣服は何も身に付けていない。ケッセルリンクの均整の取れた肢体。女性としての1つの完成形とも言える美しさを持つその肉体は惜しげもなく晒されている。

 そしてその肌を、隙間もないくらいに強く密着し、擦り付けていた。──レオンハルトはその肌の感触に息を漏らす。

 魔人となると生物として、その個人が持つあらゆる部分が強化される。

 ゆえに女であればその美しさ。肌の柔らかさ。その感触も人間における絶世の美女すらも超えた魔性の物となる。レオンハルトはそれを知っていた。

 魔王の血を受け継いだジルが、その肌を撫でただけでも童貞なら達しそうになるような快感を齎す凄まじい美貌を持つように──上級魔人のケッセルリンクの肌もまた極上のすべすべさと柔らかさを持っている。

 ゆえに肌を擦り合わせているだけでもその快感は凄まじいものがある。レオンハルトの身体の上で、豊満な乳房が押し潰れて柔らかさを伝え、臀部の下ではレオンハルトの魔剣を咥え込んで深く深くつながっている。そこに確かにあることをレオンハルトが尻を撫でることで確かめるとケッセルリンクの抱擁もより強くなった。

 だが互いに激しく動いたりはしない。レオンハルトとケッセルリンクの二人きりの逢瀬はいつもこうだった。

 互いの肌を、熱を、存在を、確かめるかのようにゆっくりと長い時間を抱擁したまま過ごす。古い魔人として時間の流れが常人とは違う2人にとって、その長く濃密な抱擁は終わってみれば一瞬に等しいもの。

 だがその間は何よりも落ち着ける時間だ。そうでありながら、何よりも濃密な性感を感じるという矛盾の時間ともなる。

 それを1時間、2時間、3時間……と続けていく。

 

「んっ……ちゅっ……はぁ……♡」

 

 時折舌を絡め、唇と舌を合わせ合う。それもまた長く濃密なものだった。

 仮にどちらかがただの人間であればその愛情と快感は飽和して何度も達しておかしくなるか──とっくの昔に。最初の段階で耐えきれずに欲望のままに動き始めるかのどちらかの現象が起きるだろう。

 しかし、この2人に限ってそんなことはありえなかった。互いに互いを抱きしめあい、1つになったように感じられるほど深く繋がり続けて4時間。

 

「っ……イクぞ……ケッセルリンク……」

 

「はぁ……んっ……きてくれ……♡ あっ……♡」

 

 互いにもうトロトロであり、煮詰まってグツグツになった性感が一線を越える。たまらなくなったレオンハルトが、ケッセルリンクをこれまで以上の強く抱きしめ動き始める。

 そうするとケッセルリンクもまた間近でレオンハルトを誘った。その表情、その声色は普段の優しい彼女でもなければ、公の場の厳しい彼女でもない。──ただの女の顔をしている。

 その自分にしか見せない女の顔と声。その仕草に、レオンハルトは激しく興奮する。気づけば彼女の臀部を鷲掴み、下から突き上げるように魔剣を激しく突き動かしていた。

 

「あっ……あっ……♡」

 

「っ……く……!」

 

 そして少しして──互いに一線を越える。

 その快感は快感も含めたあらゆる感覚に強い2人をして、頭の中が真っ白になる程のものだった。4時間分に煮詰まった末に吐き出される剣気は膨大であり、ケッセルリンクの鞘はそれを満杯にしてなお受け止めきれずに零れ落ちる。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「ん……レオンハルト……」

 

 そして長い長いその時間もまた終われば、また少し落ち着いて互いに唇を交わし、身体を擦り付け合う。魔剣を鞘から抜くこともしない。互いに互いの身体を抱きしめ続ける。時折、レオンハルトが彼女の胸や腰に触れたり、ケッセルリンクも唇を落としてきたりとするがそれくらいの動きしか行わない。

 言葉数も基本的には少ないが──その少ない数の言葉もまた愛情に溢れたものだった。

 

「今日もまた……女としての幸せを貰った……ありがとう……」

 

「……言っただろう。俺の女になったからには、絶対に幸せになってもらう。これからも、幾らでも味わってもらうからな……」

 

 ケッセルリンクの言葉は、女として愛した男に愛され、その男との間に愛する息子を儲け、その息子がまた大切な人を連れてくるという普遍的な幸せを与えてくれたことに対する感謝だ。

 何しろ魔人になった身で、そのような幸せが得られることは本来ありえないこと。

 だがレオンハルトはそれを与えた。そして、レオンハルト自身にとっても子供が出来たことは意外だったとはいえ……その言葉は自分の女に対しての宣告であり誓いの言葉だった。

 ケッセルリンクだけではない。他の大勢の女を幸せにする。そのために最大限努力するし結果も必ず出すと強く決意をしている。

 そしてその意志を誰よりも深く理解しているのがケッセルリンクであった。

 

「愛しているぞ……レオンハルト……」

 

「ああ……俺もだ」

 

「ふふ……」

 

 誰よりもその想いを、過去も含めた苦悩も理解している。

 ゆえにこそ彼を癒やしたいと思い、ケッセルリンクは魔人四天王という誰からも傅かれるような高貴である立場をレオンハルトの前でだけは脱ぎ去り、1人の彼の女となる。

 

「ん……ふぁ、む……♡」

 

「……っ……」

 

 何度か達した後。そろそろ朝日が昇り始める夜明けが近づいてくる頃に、ケッセルリンクはレオンハルトの魔剣を自らの口に収めて綺麗にしていく。

 その行為はケッセルリンクという魔人を知る人であれば信じられないような行為である。高貴な彼女がそのような奉仕を行うのは想像しにくい。

 だが愛しい男の前ではその限りではなかった。髪をかき上げて少女らしい仕草すら見せて、ケッセルリンクは口を動かす。

 そしてその様を見てレオンハルトは毎度のことながら息を漏らすしかなかった。もう何度もケッセルリンクと夜を共にしているとはいえ、何度見ても彼女のような高貴な女性が自らの魔剣に屈服して甲斐甲斐しくお世話をしてくる様子にはクるものがある。2000年以上。ほぼ毎日、様々な美少女達と寝ているレオンハルトですら軽く声を漏らしてしまうほどに。

 

「っ……く……!」

 

「んんんっ……♡」

 

 そして程なくして再び剣気を放出することになる。

 ケッセルリンクはその剣気も飲み干してみせた。そして全てが終わると、カーテンの隙間からちょうど朝日が差し込んでくる。

 

「もう朝か……」

 

「足りなかったか……?」

 

「そりゃ本音を言えばずっとこうしていたいくらいだけどな……そうもいかないだろ」

 

「そうだね……」

 

 終わりの時間が近づけば、互いに少しだけ残念そうな雰囲気を醸し出す。たった一晩だけで満足しきれるほどその愛情は薄くない。

 だがそれで愛情が醒めるほど薄くもなく、名残惜しさはいつものことだ。そしてこれもまた愛情を更に深める要素となり得る。

 

「とはいえ……」

 

「んっ……♡」

 

 そして──たまには延長戦が行われる日もある。

 一緒にシャワーを浴びようと浴室に入ったところで……レオンハルトは背後からケッセルリンクを抱きしめ、その胸を背後から揉みしだく。

 

「……たまにはもう少し楽しんでも構わないだろう」

 

「ん……そうだな……ふっ……それにしても、レオンハルトは本当に胸が好きだな……全く飽きもしない」

 

「いつも言っているが人並みだ」

 

「その割には胸に触れるといつも大きくしているがな……あっ、んっ……♡」

 

 ──そうして朝日が昇ってからも、浴室では2人の声が静かに響き続けた。

 




今回はネタも何もないイチャイチャ回でしたがどうだったかな? 後半はいつも通りただの剣を磨いてるだけの健全なシーンなのでご了承ください。アンケでケッセルリンクが大人気だったので書いてみた。残りは
・カミーラさんとのデートの話
・メイド長さんとお町さんの話
・ハンティとガウガウの話
を予定しています。上位4名に相性の良さそうで票も多かったお町さんとガウガウさんを組み合わせますのでお楽しみに。

良ければ感想よろしくねー
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