──GI1年。
魔王が代替わりして半年程が過ぎた頃。
その魔王の許しを得た魔人達はようやく魔王城へと集まっていた。
「──魔王ガイ様」
「……………………」
魔王城の玉座の間。
かつてその座にはジルが座っていた、その場所に今は半人半魔の異形の男が腰掛けている。
その男──魔王ガイのことを知らないものはこの場にはいなかった。
なにせ魔人時代から何かと話題だった男である。少し前までは前魔王ジルとも戦っていた。
この場に集まっている魔人の中にもガイと戦ったことのある魔人は多い。
因縁がある者も。
(クソ……なんでジルの姉御が、こんなペテン野郎に……!)
(この男に、頭を下げなければならないとは……!)
(許さぬ……絶対に許さぬ……! だが、今は……)
(ひいいいいい!! お、俺様殺されねぇよな!? あの時戦ったから死ねとか言われたら……い、嫌だ! ど、どうにか機嫌を……いや、それか大人しくして目をつけられねぇようにしねぇと……!)
玉座の間にて膝を突く魔人達──彼らの多くに共通するのは「なぜこいつが」というものである。
彼をペテン野郎と罵ってやまなかった魔人レイ。四天王の座から蹴落とされ、恥辱を味わわされた魔人カミーラ。
信奉する主を封じられ、激情を内に秘める魔人ノス。敵対してしまったことで巨体を丸めて怯えている魔人ケイブリス。──魔人達の多くはガイに対して負の感情を抱いている。
しかし誰も逆らえない。魔王は魔人に対する絶対命令権を持つ上、それを行使せずとも圧倒的な力を持つ地上の支配者である。
どんなに狂った魔人でも魔王に逆らうなんてことは、普通はしない。かつてのガイのようなものでなければ。
それに魔人達にはガイとは別に正しく畏怖する相手もまた存在する。
「魔王ガイ様。我ら魔族一同、ガイ様へ忠誠を誓います」
「……ああ」
それが膝を突く魔人達の先頭に立つその男──魔人レオンハルトである。
その時代の魔王の忠実なる配下として。時には剣にも盾にもなる魔物社会の秩序の維持者であり審判者は魔王に逆らうものを許さないだろう。──噂では魔王ジルが魔王ガイに代替わりしたその瞬間に、まだ生きていたジルを助けようとしたノスを叩きのめしたとも聞いている。
更にここ最近は好戦的で魔人として更に強い覇気を放つその男の前で狼藉を働こうと思う者はいない。全員がレオンハルトの言葉に異を挟まず、その内心はともかく忠誠を誓ってみせる。
それに対してガイは返事をしただけ。何も続く言葉を紡がなかったため、再びレオンハルトが口を開いた。
「我ら魔人に使徒一同、魔物大将軍も含めて一部を除いて集まっております。──就きましては何か御言葉を賜りたく存じます」
「……うむ」
GI期になって新たに生まれた7体の魔物大将軍──ヨシテル、ベニート、ダグラス、チャーチル、テムジン、レーニン、ボナパルトの7体もまた全て集まり膝を突いている。
彼らも含めた魔軍の主だった面々に対し、レオンハルトは魔王として臣下に何か挨拶のようなものを求める。
──そしてこの魔王の挨拶というのは、ぶっちゃけてしまえば何でもいいのである。
文明の発達した人間の国家であれば礼節や作法。あるいは王としての器を示すことが求められるだろう。
しかし彼らは魔族。頂点に位置するのは魔王だ。
その支配は力を背景にしたもの。王としての器など示す必要もない。魔王が魔王であるというだけで示されているのだから。
しかしそれでも配下の魔人も使徒も魔物大将軍も多くの魔物兵も、その言葉や振る舞いで魔王がどんな人物なのか知りたがっている。
つまりは何でもいいが、求められてはいた。魔人としての彼を知っている者達でさえ、魔王になったガイがどのように変わったのかも見定めたいと思う。
だからこそ誰もがその一挙手一投足に注目し、その言葉を一言一句聞き漏らさないようにと意識を向け、息を潜める。しんと静まり返る玉座の間。
そんな中、遂に魔王ガイは魔王として臣下に告げる初めての言葉を口にした。
「──いや知らんわ。俺は好きにするからお前らも好きにしろ」
「……………………」
──と、投げやりな姿勢を見せた。
それはいわば放任主義と言うべきか。魔王として、ガイは自分も好きにするからお前らも好きにしろと言った。
つまりそれは、魔人達や多くの魔物達にとっては最高の言葉である。
好きに暴れて自由に欲を満たす。人間を虐げても何も文句も言われない。
前魔王ジルを超える最高の治世になると、その一瞬だけは誰もが思った。誰かが歓声を上げようとして──魔王ガイが再び発言するまでは。
「──と、言ってみはしたが、そんなわけはないだろう」
「……………………」
──「え?」と誰も声を発さなかったのは奇跡だろう。
先ほど言った言葉。好きにしていいという発言を、即座に翻して魔王ガイは配下の魔人達を睨む。そして、魔王として魔人達に一応の命令を下さねばならないと考えた末に発言した。
「当分は今まで通りで構わない。好きにしろ」
「……………………」
──「どっち?」と声を発さなかった彼らの理性を褒めるべきだろう。先ほどはそんなわけないと否定したが、今は好きにしろという。今まで通りで構わないとも。
だがさっきはそんなわけないとも言っていたし……と、はっきり言ってこの場にいる誰もが困惑していたし、それぞれが意味を量りかねて内心で首を傾げる混沌とした状態に陥っている。
だからこそ多くの者が思ったし期待したし願った。──どうか誰か、魔王様の真意を問い質してくれ、と。
そしてその期待は当然、魔王ガイと言葉を交わしやすいであろうこの場を取り仕切る魔人レオンハルトに向く。
そしてレオンハルト自身も、その思いはもっとも。至極当然のものだと思っていたが……彼もまた「こいつマジで……」と内心でイラッとしながらも、あえて問い質すことを自らの意思で取りやめる。
「──畏まりました。今まで通りということで」
「──それでいい。なら後は…………ああ、もう解散でいい。俺はもう行く」
(え?)
そして魔王ガイは玉座からすくっと普通に立ち上がると、魔人達が膝を突くその広間を普通に横切って玉座の間を立ち去っていく。
その場に集まった魔人も誰も、その背中を呼び止めることは叶わない。
故に殆ど何も見定めることが出来ないまま、魔王ガイは悠然と玉座の間を後にした。その背中に新たに魔人になった2体──魔人レーモン・C・バークスハムと魔人白兎が付いていくが、それに対しても何か言う事は出来ない。
だから代わりにレオンハルトがその場で連絡事項を告げた。
「……魔王様は行ってしまわれたが、連絡事項を伝える。空席となった魔人四天王の席の内、1つは魔人カミーラ。1つは魔人レーモンに与えることとする。──以上だ。魔王様は今まで通りで構わないと仰った。その通りにせよ」
「は……はい……」
辛うじて魔人ケイブリスが恐る恐る返事をしたが、この場にいる誰もが微妙な、そもそもこの広間が微妙な空気になっていた。
そして魔王ガイが掴みどころのない、今までと変わらないおかしな奴だということだけを理解し、魔人達は解散する。
──それが歴代最低と言われる魔王の治世……その始まりの光景だった。
そして魔人レオンハルトは幾つかの指示を魔物大将軍らに行ってから使徒達と共に城を後にしようとしたが……当然だが、廊下で待っていた他の魔人に呼び止められてしまう。
「レオンハルト様」
「……ジーク。それにアイゼルにレイか」
「はい。少々レオンハルト様に聞きたいことがありまして残っておりました。今はお時間宜しいでしょうか」
廊下に出たレオンハルトの前には3体の魔人がいた。
声を掛けたのは魔人一の紳士と云われるまねしたの魔人ジーク。
その隣にはレオンハルトとはまた違った美形の魔人アイゼル。
更にその後ろの壁にもたれかかっていたのは魔人レイだが、彼もレオンハルトがやってきたことで壁から背中を離して向き直る。
魔王ジルによって作られた魔人である彼らはそれなりに話す仲である。──もっとも、魔人にしては、ではあるが。
一部の例外を除いて魔人は普段単独で好き勝手に、思い思いに行動するもの。このように複数の魔人が集まるのは珍しいことであり、それこそ魔王の命令やより強い魔人──魔人筆頭や魔軍参謀、魔人四天王の召集を受けたり、召集でなくても他の魔人からの誘いや便りに乗るなどして気まぐれを起こした時に集まることがある程度である。
そして今回は新たな魔王に対する忠誠を見せつけるために集まっていたのだが、この3名は一様にレオンハルトに聞きたいことがありその場に残っていた。
「構わない。それにその聞きたい内容についても見当がつく──白兎のことか」
「!」
だが先んじてレオンハルトがその名を告げたことでアイゼルが瞠目する。後ろにいたレイなどもそのレオンハルトの反応を見れば既に答えは聞けたようなものだった。
「その反応……ってことはマジか」
「……あの少女は本当にレオンハルト様の御息女なのですか?」
アイゼルが改めて尋ねる。そしてレオンハルトは少しばかり思考して間を置いたものの、淀みなく答えた。
「ああ。正真正銘俺の娘だ」
「なんと……魔人でもそのようなことが……」
レオンハルトの隠すことない返答にさすがのジークも驚きを声に出す。彼らからすれば魔人に子供が出来るというのも驚きだったが、子供を為したのがレオンハルトであることも驚愕に値するものだった。
「滅多に出来るものじゃない。俺だから出来たようなものだ」
「なるほど……」
「……お前ほど女を囲ってる魔人もいねェだろうしな」
「レイ」
「事実だろ。別に喧嘩を売ってるワケじゃねェ」
レオンハルトの説明にアイゼルは頷き、レイは少し言いにくいことを口にしてジークに窘められる。
だがレイの言う通り、レオンハルトの女好きは有名だ。レオンハルトの下級使徒は1000人を超えているが、その大半は数千年かけて集めた絶世の美女ばかりだという。
レオンハルトの生活は仕事、戦い、女──その3つで構成されている。
つまり毎日のようにヤりまくらないと出来ない。レオンハルトもレイも言葉は違えど言っていることは同じで、アイゼルやジークも言葉にせずとも正しくその意味を理解した。
「ならぼく達ももしかしたらアイゼル様との子供が出来るかもってこと……?」
「馬鹿。そりゃできたら嬉しいけど母体が使徒じゃ無理でしょ。……多分だけど」
「アイゼル様とのベイビー……インタレストな響きですが、デリケートな話でもありますね……」
魔人達から少し離れた場所で待機していたアイゼルの使徒──ガーネット、トパーズ、サファイアがその話を聞いて小声で色めき立つが、魔人の優れた聴覚はそのひそひそ話をしっかり拾ってしまう。当然アイゼルも他の魔人に聞こえていることを理解しているため、話題を変えるべく口を開く。
「……そういえばレオンハルト様はまた新たな使徒を増やされたようで」
「ああ」
「3人程知らない顔がいますね。よろしければご紹介頂いても?」
「いいだろう──アイシス。ハウセスナース。セラクロラス」
「は……はいであります!!」
「ええ」
「んにゅ~……」
アイゼルはレオンハルトの背後に控える使徒の数が増えていることに少し前から気づいていた。なのでその話題を持ち出し、ジークもまた話の流れを汲んで使徒を紹介して頂けないかとレオンハルトに頼む。
そしてレオンハルトがそれを了承し名前を呼べば、背後から3体の使徒が前に進み出てくる。
「こ、この度レオンハルト様の使徒になった、あ、アイシスと申します! よろしくお願いしますであります!」
1人はアイシスと名乗る女性だった。
朱色の長い髪を2つ結びにして、黒い軍帽と黒の迷彩柄の女性用軍服のような衣服に身を包んでいる。肌の露出は丈の短いタイトスカートとサイハイソックスの間から白いむっちりめの太腿が覗いているのみだが、胸元を押し上げている胸の大きさは隠しきれていない。胸の下にベルトが付いているのは胸に押し上げられることで衣服を押し上げて太く見せないためか。そのおかげで細い腰回りを含めた身体のラインがよくわかるようになっている──如何にもレオンハルトが好みそうな美少女だと魔人達は思った。おっぱいで特A級に選ばれたのは伊達ではないし、人間街出身の人間は漏れなく見た目が整っている。容姿が可愛いのは当然のことだ。
ただその様子は明らかに緊張していたし、勢いよく丁寧に頭を下げて声を上擦らせているその様は能力面において不安を感じさせるもののそれに言及したりはしない。
「……レオンハルト様の使徒になったハウセスナースです」
そしてアイシスの次は青色のショートカットの美少女──ハウセスナースが挨拶を行う。
ただ彼女の場合は容姿がそこまで変わったわけではない。元々持っていた木製のハンマーが更に大きくなっていたり、衣服がより濃い青と白を基調にした制服にも似たものとなっていたりするが前の姿を知らない魔人達はその変化に気づかない。それと胸も大きいが、それはレオンハルトの使徒なら珍しいことじゃないので違和感は全くない。巨乳美少女はレオンハルトの周りを見ていれば幾らでもいる。
ただハウセスナースの挨拶は淡々としていた。失礼ということもないが、主であるレオンハルトに言われたからやっているだけなのだろう。緊張もなければ好意的に接しようという感じもなかった。
とはいえそれに関しても別に言及するほどでもなかった。
「ん……レオンハルトの使徒のセラクロラス……」
そして最後はまたしても美少女だった。
身長は140センチ前後だろうか。長いストレートの金髪を靡かせた黒いフリフリのお姫様のような衣装に身を包んでいるセラクロラスは初対面で見れば、小柄なただの美少女でしかないがその正体がセラクロラスだと知れば知る人は驚くだろう。
だがそれもそのはず。この姿はセラクロラスの大人形態であり、使徒化の際に変化した姿なのだから。今までは大人も子供も関係ない幼女の姿だったのが、小柄でまだ幼い方だとはいえ美少女となっている。眠そうな瞳も変わっていない。
レオンハルトの使徒なのに巨乳じゃないと驚くこともない。レオンハルトの使徒や女は何も巨乳だけではないからだ。容姿や能力が優れているから使徒にしたのだろうとしか思われない。
それとセラクロラスは奇跡的に挨拶にも成功しているが、未来と過去を精神だけ行き来しているのは変わってない。ただ使徒になった以上は未来でも使徒であることは変わらないというだけのことだ。
「私はジークと言います。よろしくお願いしますお嬢さん方」
そして魔人一の紳士であるジークは相手が誰であろうと挨拶をされたなら挨拶を返す。使徒だろうが、仮に相手が人間だろうと態度は変わらない。
たださすがにそのまま和やかに歓談とはいかず、レオンハルトに向き直る。
「それにしてもさすがはレオンハルト様。使徒を作れば力は落ちると言いますが……レオンハルト様の場合はそれが見られないどころかより力強さを感じます」
「鍛えることをやめていないだけだ。何もしなければ使徒を作らなくとも力は落ちていく」
「はい。私にも使徒はおりますが……全くその通りかと」
「ええ、レオンハルト様の訓言、肝に銘じておきます」
「…………俺は使徒なんていらねェがな」
使徒の作成は魔人の能力であり嗜みの1つだが、作れば作るほど力が落ちていくのは常識である。
しかしそれを全く感じさせないレオンハルトに対し、アイゼルやジークは尊敬の意を示す。レイもまた力を認めていた。以前よりも更に強くなり、更に時には魔王ジルにも似た威圧を行ってくるレオンハルトに対し、以前ほど突っかからなくなっている。
何しろ今は澄ましている感じはない。いや、澄ましたように見えたとしてもだ。魔人として素直に行動しているように見えていた。
だからこそレオンハルトの上からの発言にもそれほど苛立たない。上であるのが当然で、上に相応しい振る舞いをしているから。
むしろレイにとって苛立ちの対象となっているのは──
「……1つ聞きてェ」
「何だ?」
「ガイのことはどう思ってんだ?」
──そう。やはりガイのことである。
ガイは魔王であり自分達魔人の上に立つ支配者だ。それは事実。魔人時代から強くもあった。それも癪だが認める。
だがその振る舞いはどうにも煮えきらず、それでいて力だけは己を納得させるだけのものを持つというちぐはぐ感をレイは好きでいれないでいた。
そしてそれを同じく感じているであろう他の魔人に、とりわけレオンハルトに聞いてみたくなった。レオンハルトの、レイを射抜く赤い双眸。それから見てガイはどう見えているのか──。
「どうもこうもない。ガイ様は魔王だ。魔人として従うだけのことだろう」
「……それだけか?」
「ああ。……そろそろ時間だな。話が終わったなら俺は行くぞ」
レイの質問に短く答え、レオンハルトはその場から使徒達を率いて立ち去っていく。アイゼルとジークは一礼したが、レイは返さずにそのレオンハルトの答えについて思考していた。
(レオンハルトもガイに苛ついてんのか……?)
魔王に対して忠誠を誓うレオンハルトの態度は一見して前魔王のジルに対するものと変わらないように見えるが、あのガイの振る舞いを見た後に語ることを拒否するのはある種の拒否感。抵抗を嗅ぎ取れなくもない。
もちろんそれはレイの想像に過ぎなかったが、そう思ってしまうくらいには魔王ガイという存在は魔人にとって掴みどころがなく、王としては不確かな存在だった。
──そして使徒達と共に魔王城から城へと戻るレオンハルトは、城の前で待っていたライゼンやパープルアイと合流しつつ、そこで背後に控える使徒イヴの言葉を聞く。
「……よろしかったのですか?」
「何がだ?」
「白兎さんに対する注意をせずとも」
イヴの進言。それを聞いたハンティが頷きを入れる。
「ま、レイなんかはすぐ仕掛けそうだね」
「レイ様、怖かったのであります……!」
「ふん。レオンハルトにビビって口数少なくなってただけでしょ。大したことないわよ」
「んにゅ……1人だった……」
「魔人レイはいつも1人ですよう?」
それを皮切りに使徒達も色めき立つが、今は公の場でも何でもないためレオンハルトとしても構わない。むしろその姦しさも嬉しく思う。
だからこそ小さく笑みすら携えてイヴの質問に答えた。
「俺が一々口出しして守ってやるようじゃ今までと何も変わらないからな」
「それは……はい、確かに」
「それにあいつらも馬鹿じゃない。俺を本気で怒らせるようなことはしないだろう。喧嘩を吹っかけても殺すことはない」
友人である白兎に対してまだ一抹の不安があるのだろう。イヴの心配を解消してやるためにレオンハルトはそう言葉をかける。
実際、魔人同士で殺し合うことは基本的にはご法度だ。軽いじゃれ合い染みた殺し合いはしても、殺すことは少ない。──それを行うのは本気で上位者がキレた時だけ。
つまり魔人同士の不殺は、ルールではなく力に対する畏怖で成り立っている。魔王や上位の魔人が統率しているからこそ魔人殺しは中々行われない。
逆に言えば上位者がそれを行おうとした場合はその限りではないが、魔王であるガイや最強の魔人であるレオンハルトが白兎を殺すことは絶対にないため、それはいらない心配だった。
だからこそレオンハルトは守ってやるどころか、試練を与える。
「今頃はもうレキシントンの奴を撃退しているかもしれないな」
「ふふ、ミシェーラは分かります! 白兎様が負けるわけがないと……!」
「藤吉郎に戯骸も付いているしの……いざとなれば……」
──レオンハルト自身が喧嘩をすることを許した魔人でさえ、付いていったはぐれ使徒である藤吉郎や戯骸と共にやり過ごしているだろうとレオンハルトは不敵に笑みを零した。
そして更には。
「──妾もおるぞ」
「ひゃああ!!? え、え、誰でありますか!?」
「……藤原杏か」
「あたしらに気づかせないなんて、相変わらず神業染みた隠形だね……!」
「あーはいはい。始祖様ー、ステイ。ステイですよー」
「どうか抑えてくださいハンティ様」
「ちょっと閃いたんだが、ハンティのパワーゴリラ染みた闘争心を抑える魔道具を私は開発すべきか?」
「え? ハンティ様はパワーゴリラの使徒なのでありますか?」
「そうなの? どう見てもカラーなのに……もしかしてダーリンが女の子にしてあげたとか……え、だとしたら優しい……好き……♡」
「ん……突然変異……?」
「ぶふっ!」
「お、おいペール。お前達の大事な始祖が新入りにゴリラと勘違いされてるぞ……! 注意してやれよ……じゃないとカラーがゴリラと勘違いされるぞ……ぷ、くく……」
「そ、それを言うならガウガウさんも友人を庇ってあげてくださいよう……く、くくっ……」
「……あー了解。じゃあそっちの笑った2人から模擬戦ね。──雷撃」
「「うわぁぁ!?」」
「マスターガウガウ様ー!?」
「俺の背中の上で暴れないでほしいのだが……」
「大賑わいですわ!」
「……とりあえず、何をしに来た?」
──そして突然現れた藤原杏を皮切りに使徒達の間で小競り合いが起こるが、レオンハルトはそれを一旦無視して杏に問いかける。つい先日紅魔城にやってきたことは記憶に新しいが、さすがに魔王城にまでやって来るのは豪胆にも程があるだろうと……そう思ったのだが。
「いや、
「…………は? お前が使徒?」
「レオンハルト様、また使徒を……」
「別にいいですけど出来れば事前に教えてほしいですね……仕事の割り振りもありますので」
「あーん! ダーリンにまた新しい女が! ……でもそういうところも好き……♡」
「早くも後輩なのでありますか!?」
──突然の意味不明な使徒発言にレオンハルトは困惑する。そしてまたしても使徒達が反応する中、レオンハルトは杏の言葉を聞いた。あっさりと、とにかく軽い調子で、ぽんと掌の上で拳を叩いて。
「ああ、そういえば言ってなかったの。──妾はお主の子供である白兎様の使徒になったのじゃ」
「……………………マジか?」
「大マジじゃ。同じ藤原家の血筋だし文句はなかろう。……ああ、それとまた今度夜這いに行くのでよろしく頼むぞ。──では妾は主を迎えに行くのでこれにて御免じゃ」
「……………………」
「……白兎さんらしいですが……なるほど。そう来ましたか……」
「さすがはレオンハルト様のお子様……行動力が段違いですわ!」
「あはは……手が早いところもそっくりですねー……あ、でも大丈夫ですようレオンハルト様! 使徒がいるなら余計に安心ですし! しかもあの藤原杏! えっちで強い! むしろ安心出来るってもんです!」
「…………まぁ……そうだな」
ペールが励ましの言葉をかけてくる中、レオンハルトはようやく思考を回復させて息をつく。そして思った。別に構わない……そう、別に構わないし全然いいのだが──本当に行動力のある娘だと。
──その戦いはあまりにも唐突に始まった。
「ハッハー!!」
「……!!」
巨大な質量が空を切り、魔王城の壁を叩き割る。
破壊だけを目的としたような二振りの金棒、グレイ・レディとレディ・レックスをその剛腕で振るうのは鬼の魔人レキシントン。
魔人の中でも無類の喧嘩好き。戦いを好むその魔人は魔王ガイへの謁見が終わった後、その魔人を待ち続けて唐突に喧嘩を仕掛けた。
その相手こそ魔王ガイによって新たに魔人になった魔人白兎。
あの魔人レオンハルトの娘だというその少女にレキシントンは興味を持った。故に早速、喧嘩を仕掛けてみたのだが──
「ふっ!」
「ぬおっ!?」
金棒の一振りを跳躍して回避し、空中でそのまま斬撃──居合を行ってくる白兎にレキシントンは咄嗟に反対の金棒で防御を行う。
だがその速度はあまりにも速く、その上で技術もまた凄まじいものだ。
「鬼退治は何度か行ったことはありますが、さすがは鬼の魔人ですね。パワーでは敵わないようです」
「!」
レキシントンの背後に回り、冷静に言葉を放つ白兎。遅れてそれに気づいたレキシントンは振り返り様に金棒を振るう。その狙いは正確だ。そのあらゆるものを破壊する膂力を持ちながらも、決して力任せだけに振るっているだけではない。
しかし。
「ですがもう見切りましたよ」
「ぬぅっ! 何を!」
──白兎もまた、レキシントンの攻撃を正確に、紙一重で回避する。
金棒の一撃を直前まで引きつけて回避。続く連撃。嵐のように放たれる金棒も白兎は1つずつ正確に回避だけを行い続ける。
無論、その全てを回避出来たわけではなかったが、当たると思われた攻撃に関しては白兎も自らの得物である名刀「鳴神」を用いてレキシントンの攻撃を逸らす。
「貴方の攻撃は私には当たりません。手合わせは好きなので構いませんが、わたしにもやるべきこと、やりたいことがあるのでここは一旦やめにしませんか?」
「ハァッハッハッ!! むしろやる気が出てきたわい!! ──ぬぅん!!」
「!? なんと……!」
手合わせを中断しようと告げる白兎に対し、レキシントンは更に攻勢を激しくする。一度金棒をその場に置いたかと思えば、両指を城の床に突き刺し、その床を思いっきりひっぺ返した。
途端、視界が防がれ、足場が揺らぐ。そのパワーはまさに鬼の魔人。だが、それ以上に白兎が思うのは──これが本当の魔人の戦闘、ということ。
白兎の父親はあの魔人レオンハルト。そして周囲には魔人や使徒がいる環境だったため今までそれなりに知っているつもりでいた。
だが実際に戦ってみればなるほどと。戦闘における1つ1つのやり取りのレベルが高い。
戦闘技術において勝っていると思い、警告してみたもののレキシントンは鬼の膂力で周囲の環境を無理やりひっくり返して地の利を作ったり、その当たれば問答無用で相手を破壊する打撃を与える隙を作ってくる。
「ハハハ!! 喰らえぃ!!」
「っ!」
足場を砕き、宙に浮いた白兎に向けてレキシントンが金棒を横向きに振るう──白兎の身体が城の窓を突き破り、中庭から反対側の城の壁まで跳ね飛ばされた。
「凄まじいパワーですね……」
「ほう! ガードしたか! なかなかやるなレオンハルトの娘!!」
白兎は己の超感覚──目が見えずともレキシントンの攻撃が見えていたため、それを刀でガードすることに成功する。ゆえにダメージは軽減され、問題なく城の中庭に降り立った。
それを見たレキシントンは歯を見せて大口で笑う。その体躯には大きな差はあったが、実力にはさほど差はない。
白兎は魔人レキシントンはそのイメージに反して戦上手であり、戦いとなれば先ほどのようなパワーで相手の虚を突くような戦法も取ってくる。それがレキシントンの戦闘だと理解し、反対にレキシントンは魔人白兎は父親譲りの剣の腕と見切り能力が戦いの要だと見抜いた。
そして己と互角以上に戦う白兎に対し、そこで初めてレキシントンは問いかける。
「小娘! お前、名前は!?」
「……白兎と言います」
「ふん、そうか! 白兎、お前との喧嘩はそれなりに楽しそうだし今日はこの辺りで勘弁してやる!
「──はい。手合わせ、ありがとうございます」
白兎の名前を頭に入れたレキシントンは喧嘩はそこで終わりだと告げる──己の敗北を認めながら。
レキシントンは戦いと宴とセックスのことしか考えていないが、それでも馬鹿じゃない。先ほどの攻防で、白兎はその気になればこちらの首を落とすことが出来ていたことにレキシントンは気づいていた。
無論、初見でなければレキシントンも防げただろうが、それは言い訳でしかない。初見で見抜けなかったため、白兎がそこで殺す気であれば勝負はついていたのだ。
だからこそレキシントンは引き下がる。強い奴は嫌いじゃない。こいつとは今後も喧嘩を楽しめそうだという直感がレキシントンにはあった。
「アトランタ! ジュノー! 帰るぞ! 帰って宴だ!!」
「了解でーすレキシントン様~!」
「また負けたねぇ、レキシントン。レオンハルトにボコボコにされて次はレオンハルトの娘にも」
「うるさいわい、ジュノー! 次は儂が勝つ!」
「そうよ、次はレキシントン様の勝利に決まってるわ! ──白兎と言ったわね、覚えてなさい!」
「はい。覚えました。決闘の際は日取りや場所の指定を書いた紙を届けてください。でないと予定が空いてない時に困ります」
「……なんか律儀な子だね」
「うーん、確かにあのレオンハルトの娘って感じがするわ」
「ハハハ!! 強けりゃ何でも構わん!! 出来ればもっとエロい姉ちゃんが良かったが──」
「──ぶっ殺しますよ?」
「ぬおっ……!?」
と、レキシントンが軽はずみに白兎の体型を弄った瞬間、凄まじい殺気を感じてレキシントンはビクッと身体を跳ねさせる。殺気を受けて反射的に身体を動かしたが、見れば白兎はその赤い瞳でレキシントンをじっと見つめていた。
睨んではいないが、睨まれているようなその瞳。それを受けてレキシントンは「あー……」と気まずそうにしながらも察する。これは多分地雷だろうと。
「……よし! そんじゃ儂は帰るぞ!!」
「あ、待ってくださいレキシントン様~!」
「逃げたね……」
そうして謝罪することもなくレキシントンは勢いよくその場を後にする。その使徒アトランタとジュノーもレキシントンを追いかけて騒がしく去っていった。
そして戦いが終われば──
「──よう。お疲れさん」
「キキー!」
「……はい。少し、普段よりも緊張しました」
離れた場所で戦いを見ていた2体の使徒──戯骸と藤吉郎が白兎に駆け寄ってくる。
彼らははぐれ使徒であり、その主はかつての魔人四天王ザビエル。
かつて白兎の祖父に当たる藤原石丸によって殺された魔人だが、紆余曲折あって白兎と友人になった彼らは白兎が魔人になったことで自然と彼女に付き従っていた。そのため既に2人は白兎の使徒のように思われている。彼らが元はザビエルの使徒だったことを知っている者は少ない。
「魔人になって初めて他の魔人との戦闘だろ? そりゃしょうがねぇんじゃねぇか?」
「キー!」
「まあそうですね。ですがこの程度では先が思いやられますので」
己を励ましてくれる有難い2人の使徒に白兎は刀を収めながら自らの未熟さを思い知る。
父である魔人レオンハルトに魔王ガイの護衛を命じられ、己自身もガイを助けると誓った身。
だが現実は己の力はそこらの魔人とそう変わらない。弱いわけではないし思ったよりはやれているという実感もあるが、それでも父のように圧倒的に強いわけでは決してない。
「もう一度自分を鍛え直す必要がありそうですね」
「そんじゃどうするんだ?」
「ガイ様には既に許可を取っています。護衛以外の空いた時間で研鑽に励もうかと」
「キー!」
「へぇ、そんじゃまたどっか行くのか?」
「転移魔法陣を張っていつでも行き来出来るようにしてからまたJAPANにでも向かおうかと。あの地は戦いには事欠きませんし、何より落ち着きます」
白兎は己の今後の日々をガイの護衛と己の修行に当てることを決める。
常にガイに付き従う必要はないとガイ自身から言われているため、いつでも戻れるようにしておけば問題はない。
そして魔人としての日々。自分自身に慣れるためにも一通りのことをこなしておかなければと思っていた。
だからこそ己の血を分けた使徒に関しても、力が落ちることを加味しても作る利点は大きい。
多数の使徒を従えている父を思えば己もまた使徒を作ることに対して興味がないかと言われれば嘘になる。
そして白兎は先日出会ったばかりの相手を使徒にすることにしたのだ。互いに意気投合したために──
「ほう。もう終わったのか」
「ちょうど杏さんも来ましたか」
──白兎と同じかの藤原石丸の子孫であり、伝説級のくノ一である藤原杏と血の契約を結んだ。
白兎の母親である紅月からも「彼女なら構わないでしょう」とも言われている。共に藤原の血を持つ者として感じるものがあったのかもしれない。事実、白兎と杏もタイプは違うのにどこか似ていた。全体的に真っ白な白兎と真っ黒な杏だが、小柄な体格と──
「これから城に戻って少し挨拶をしてから修行にでも出向く予定です。杏さんもついてきてください」
「無論じゃ。せっかくじゃし日の下を謳歌しようぞ。──ああ、それと白兎様よ。ふと昨日、セックスして寝る前に考えたんじゃが……」
「破廉恥な話題はやめてくださいね?」
「すまぬ。それで思ったんじゃが……これ、実質藤原家じゃし、藤原四天王みたいな感じで再興……いや、ちょっとした英雄譚というか、そんな感じに出来そうではないか?」
杏がニヤリと口端を歪めながら言うと、白兎もぴこんとアホ毛が立つ。
「なるほど……こう……冒険譚というか、諸国漫遊的な……あるいは正義の侍的な……いえまあ私達魔人と使徒なので正義ではないんですが、確かに楽しそうです……」
「じゃろう? 配下を集めて良さそうな者を2、3人くらい使徒にしつつ兵を従わせれば一国くらい余裕で手に入るぞ」
「ガイ様という主君に仕えるために、兵力は確かにどれだけあっても困りませんね。レーモンさんも親衛隊を作ろうとしていますし、わたしもわたしで近衛的な隊を作るのもいいかもしれませんね!」
「ふっふっふ。じゃろう?」
「ふふふ……」
「キー!」
「お前ら楽しそうだな」
互いにふふふと笑みを浮かべながら顔を見合わせる。見た目的にはJAPANの童がごっこ遊びの話し合いをしているようにしか見えないが、どちらも魔人と使徒。魔人であり剣の達人と使徒であり伝説のくノ一である。
「そうと決まれば行きましょう! いざ東へ!」
「うむ! 参るぞ!」
「キー!」
「まず挨拶に行くって言ってなかったか?」
ドタバタ珍道中になりそうな気しかしないが、それはそれで面白いからいいかとそれを見ていた戯骸はマイペースにキセルを吹かせる。
そうして魔人白兎とその一行は一時、魔王城を離れていくが──
「…………厄介な。儂の存在に気づいておったな……」
──その戦いを隠れて見ていた魔人ノスは低い声で新たな魔人、白兎の能力の感知範囲に舌を巻く。
故に声には出さずに内心に言葉を作った──やはりガイが生きている間に表立って行動を起こすことは難しいだろうと。
「……まあよい……時間は幾らでもある」
魔人ノスは今後、表で動くことをせず謀略と雌伏に徹することに決める。
全ては己の主の復活のために。魔人ノスは己を影とすることにした。
今回はここまで。日常回しようと思ったけど先に魔王ガイの治世についての描写は入れないとね。
次回はエッチなことしつつのカミーラ回になるかもしれない。お楽しみに。
そしてレオンハルトとレオンハルトの使徒達のGI期プロフィールも公開しておきますのでいつも通り適当に覗いてみてね。地味にそちらのコメントにも返信してます。
→https://h.syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=342582&uid=206423
それと日常回書くにあたって参考までにオリキャラのアンケート置いとくんで良かったら投票してくれると助かります。原作キャラ(ケッセルリンクとかラ姉妹とかカミーラとかお町さんとか)は全員書くんで今回は入れずにオリキャラだけで。キャロルとかペール、ガウガウも今回は入れてません。主にGL期キャラやメイドとかのサブキャラのアンケートです。良ければお気軽にどうぞ。
感想、評価、良ければよろしくお願いします。
日常回(エッチ含む)見たいオリキャラは?
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ミシェーラ(使徒)
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イヴ(使徒)
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アイシス(使徒)
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パープルアイ(人工生命体)
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インデックス(悪魔)
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カエサル(女の子モンスター?)
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藤原杏(白兎の使徒)
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ルナ(キリング商会会長)
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アスタルテ(新副メイド長)
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アナノトラ(弱小ロリ悪魔)
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リム(最古参の副メイド長)
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ミオとマオ(双子の副メイド長)
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ベアトリス(エロ料理人の副メイド長)
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エクレア(元姫の副メイド長)
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藤原紅月(白兎の母親)
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師匠(親衛隊副隊長)
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トール(親衛隊四天王)
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神絵師(親衛隊四天王)
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獅子またまた(親衛隊四天王)
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フォーチュン(親衛隊)