魔物にとっての理想都市──それは大陸東部にあるレオンハルトシティだった。
それは今も変わらないが……その街を超える理想都市が完成し、大勢の魔物達がその街を一目見ようと殺到した。
「でっけぇ~~……」
「あれがレオンハルト様の新たな城なんだろ?」
「やべぇよな……どんだけ豪華なんだよって」
ドーム型の巨大な世界樹──サイサイツリーの入口には魔物達が長蛇の列をなしている。
その多くは魔軍に所属する魔物兵だが、中には魔軍に所属していない野良の魔物も多く見られた。
サイサイツリーは数百年以上魔軍が管理しており野良の魔物は中に入ることが出来なかったが……それが遂に解禁され、更にはそこが魔物にとっての理想郷であると聞けば一目見たいと魔物が殺到するのも当然だった。
「最後尾はこちらでーす。こちらに並んでくださーい」
「ん? あれは……人間、だよな?」
「いやよく見ろ。服にマークがついてる。あれは下級使徒だ……」
「ってことはレオンハルト様の下級使徒かよ……」
「ああ……すげぇ美人ばっかりだな」
ゆえにサイサイツリーの各入口には新たな住民を迎え入れるための窓口が設けられ、そこには人間のメイドがいた。
彼女達は肌や衣服に紋章のようなものをつけており、それを見た魔物達を萎縮させる──この街を治める魔人レオンハルトの下級使徒。魔物にとっては逆らっても傷つけてもいけない相手。
もしそんなことをすれば地獄を見ることになる。敵対者に容赦がなく、機嫌を損ねれば魔人すら粛清するという噂は大陸西側にも轟いていた。
「それではお次の方どうぞー」
「お……僕の番か……」
そして列が都市の入口に近づくと設けられた幾つもの窓口。そこに立つメイドや女の子モンスターに呼ばれて魔物はそこで受け答えを行う。受付のメイドはそれを聞いて必要事項を記入する。
「ではお名前、もしくは種族名をどうぞー」
「い、イカマンです。名前はありません」
「イカマン様ですねー。イカマン258っと……後で名前を思いついたらいつでも変更可能なのでその際は都市上層部にある総務局までお越しくださいねー」
「は、はい」
必要なのは名前か種族名。年齢。最低限それだけ。
他にも出身や配偶者の有無なども聞かれはするが全ての魔物が細々とした質問に答えられるとは限らないため都市に入るにはそれだけで構わない。
必要事項を受付が記入し、それを傍らにある魔導具──目と口と短い手足を持つ1頭身の白いマスコット『ホワイトアイ』と呼ばれる謎の生き物がそれを大きな口で食べる。するとそのマスコットから無機質な音声が流れた。
『情報読込完了。マザーデータに記録しました』
「はい。それでは奥へどうぞー。都市の説明がありますので案内通りに進んでください」
「わ、わかりました」
見慣れぬ謎の生物に困惑しながらも受付を終えて都市の入口──トンネルを通り、魔物達は再び列に並ぶ。
そうしてある程度まとまったところで彼らはとある映像を見せられた。そう──魔導具と思われるその巨大モニターに映るのはまたしても美女だった。
『お集まりの皆様。この度はサイサイツリーにはるばる起こしいただき、感謝を申し上げます。わたくしはこれより都市の説明をさせていただきます、レオンハルト様の使徒──エクレアと申しますわ』
「レオンハルト様の使徒……!」
「どうなってんだこれ……?」
「つーかめっちゃ美人だな……」
「乳でっか……」
──画面に映るのはラグジュアリーかつセクシーな赤いドレスに身を包んだ金髪縦ロールの美女だった。
レオンハルトの使徒は美女だらけという逸話に偽りなし。レオンハルトの使徒という肩書とその魔物すら見惚れさせる美しさに自然と視線が集中する。
『では早速説明を行わせていただきます。このサイサイツリー内部は全てレオンハルト様が支配する所有物。ですのでレオンハルト様が布くルールに従っていただきます。ルールを破った場合、治安部隊によって捕らえられ、最悪の場合──死罪もありえますのでご留意を。後で聞いていなかった、知らなかったという言い訳は通用しませんわ』
モニターの中で黄金色の瞳が煌めき、魔物達を脅す。あえて不敵な笑みを浮かべてみせて魔物達を恐れさせるのはルールを守らせる上で必要なこと。
ゆえにそれが終えた後は通常の笑みを浮かべる。
『ですがご安心を。よっぽどのことがなければそうはなりませんし、簡単なルールさえ守っていれば守られるのはむしろ貴方達。この都市ではそこに住む全ての生き物が幸福でいられるようになっています』
そうして映し出されるのはエクレアだけでなく文字──ルールの内容が1つずつ、魔物達にも分かりやすく見えるように映し出される。住民の殺害の禁止。盗みを働いてはならない。人の物を奪ってはならない……などのレオンハルトシティにおいても施行されていた基本的なルールが幾つか提示される。
ただそれだけではなく、魔物達にとって聞いたことのないルールもまた聞かされた。
『基本的な禁止事項はこの辺りになります。この後渡されるマニュアルに細かく記載されていますのでそちらも是非確認をお願いしますわ。都市の各地にある魔導具の使い方や各施設やエリアの説明も載っていますので幸福でいるためには隅々まで確認しておくのが賢明でしょう』
「な、なんか色々あんだな……」
「大丈夫かな、不安になってきた……」
だが禁止事項などのルールばかり提示されてはやって来た魔物達も不安になってしまう。魔物の理想郷と聞かされてやって来たのに禁じられたことばかりでは面白くもないだろう。
ただそれに見合ったものがこの都市にはあると魔物達はすぐに思い知ることになる。
『それでは次にこちらをご覧ください。──これはツリー都市内部の映像ですが、今見えるのは皆様の基本的な住居となるツリーマンションとなります』
「うお……!?」
「こ、これは……!」
画面が切り替わり、サイサイツリー内部の映像が映ると魔物達は色めき立つ。
そこにあるのは誰も見たことのない独創的かつ神秘的な都市。
舗装された道。建ち並ぶ幾つもの高い建物。中央にある世界樹には傘のように建てられた階層が幾つも重なっており、それらがドーム天井近くまで続いている。
全体的に白が目立ち、それでいながら緑もまた多く存在する。街道や建物の周囲にも丁寧に剪定されたと思われる草木があり、更には果樹園や牧場のような食料を管理していると思われる場所もあった。
更にメインストリートを含む街の至るところに並ぶ飲食店やそれ以外の店の数々。劇場や大浴場といった施設も健在だが、目を引くのはやはり遊園地だろう。運動場やコロシアムなど他の娯楽施設も存在する。
そしてそれらの店員を行っているのは人間や魔物だけではなく──先ほど見た白い単眼のマスコット、ホワイトアイもおり、彼らは飲食店から受け取った料理を箱に詰めるとそれを注文した者に届けるため走り回っている。
そして魔物達が住む住居は都市内部に建てられた幾つものツリーマンションであり、その一部屋は魔物一体で住むにしては広々とした1LDK。都市を見渡せるベランダと各種番組や都市からの連絡事項などを映すモニター。トイレやシャワーなども完備されている他、魔物の習性に合わせたものまで用意されている。
『これらの住居は魔軍に所属する一般的な魔物兵に与えられるものとなっていますが、観光にやって来た者にも同じような宿泊施設──ホテルをご用意しておりますわ。ただしそれを利用するには換金所で交換出来る専用のチケットが必要になり、それを用いることで飲食店などの各種施設が利用できます』
画面の中で説明を続けるエクレアの隣にその専用チケットが映し出され、続いてそのチケットを手に入れる方法も説明される。外部から持ってきたGOLDや貴重な物品を交換することで手に入れられる他、働くことでもそれは手に入る。
『魔軍に所属する一般兵であれば一日に三食を食べて娯楽施設を利用しても不足のない分のチケットが与えられます。もっとも高級店になればそれ相応の枚数が求められますが、しっかり働いて貯めればそれらを利用することも夢ではないでしょう──そして魔物隊長や魔物将軍であればそれ以上の高待遇……プレミアムカードの付与や高層にある専用の邸宅に住むことが出来るなど様々な特典があります』
魔物隊長以上であればより広い家に住むことが出来るし、飲食店の出前や普通のマッサージ。あるいは性的なサービスのデリバリーも頼める上に、家には一体ずつホワイトアイが配置されて召使いとして言うことを聞いてくれる。
付与されるプレミアムカードには各種施設の優先的に利用し、飲食店も好きなグレードの店で好きに食べることが出来る。物を購入するのも上限内であれば好きなだけ購入できる。
『その他にも怪我や病気をした際は専用の治療院にお越し下されば全て無料で治します。また都市内での移動は魔導エレベーターや魔導モノレールをお使いください』
その他にも街には便利な魔導具の数々が置かれており、文明的な教育機関──魔物隊長に昇進するのに必要な魔軍の士官学校や才能ある人間のみが通うことを許される高等学校なども存在する。
上を目指す魔物や人間にとっては能力があればあるだけ評価されて幸福になれる環境。そうでない一般の者にとっても、最低限の義務を果たしていれば普通の幸せが与えられる。
魔法の文明であり魔物の文明。レオンハルトシティで育まれたあらゆるものの集大成──それがこのツリー都市であり未来都市……サイサイツリーであると。
『では説明は以上になります。この後、魔軍への入隊希望者は案内役に従って移動するように。そうでない者はご自由にお楽しみください──それでは皆様、サイサイツリーへようこそ』
全ての説明が終わり、トンネルを抜ければそこは魔物の理想郷が広がっている。
多くの魔物が魔軍に入隊し、新たな幸福な生活を謳歌し始めるのにそれほど時間はかからなかった。
──サイサイツリー最上層。
そこは魔物将軍や魔物大将軍などが住む高級住宅街であり、内部は緑豊かで長閑な風景が広がっており、そこに幾つもの屋敷が建てられている。
中には高級サロンなどある程度の立場にある者しか利用できな施設なども存在する。そして現在──その中にあるとあるプライベートプールは貸し切り状態になっていた。
「ひゃっほー! たーのしー!」
「ぶっ!? おいこらアプリ! 水かけてきてんじゃねぇよ!?」
「水遁の術……」
「水遁の術……って、ただ浮かんでるだけじゃねぇか!?」
「豚兄うるさい。そんなことより水球しましょうよ」
「豚言うな!」
「兄上。こういうところで騒ぎすぎるのは如何なものかと……」
「いやどう見てもこいつらのせいだろ!?」
──ツリー都市全域を見渡せるそのプライベートプールを貸し切りにして遊んでいたのは姿形もバラバラな集団……この都市を治める魔人レオンハルトの子供達だった。
そのプールでは聖女の子モンスターとの子であるアプリやシュヴァイン、リリーフにメイド長さんことメイルとの子であるミコトにインデックスとの子であるライブラなどもいた。
そしてプールサイドには魔人同士の子供である魔人達──アルベルトにカイゼル、ルイゼルが同じく水着になってサンラウンジャー……いわゆるデッキチェアに腰掛けている。
「──アルベルト様。皆様もどうぞ。ドリンクをお持ちしました」
「ああ、ありがとうメリル」
その子供達の世話を行うためにアルベルトの使徒であり恋人であるカラーの使徒メリルもいた。他の魔人の使徒や関係者は休暇を与えているためこの場にはいない。
そして他の者の目がないということで彼らも憚ることのない会話を行える。カイゼルなども普段は顔を隠している仮面を外し、そのレオンハルトに似た顔立ちを晒してダルそうにしていた。
「疲れた……この街広すぎだろ。観光するだけだってのに一日、二日程度じゃ全然回り切れなかったじゃねぇか……そのくせアプリの奴らははしゃぎまくりやがって……やっぱあいつらいつまで経ってもガキだな。なぁ、アルベルトの兄貴もそう思うだろ?」
「あらぁ、その割にはカイゼルもはしゃいでたように見えたけどぉ~? 特にわたしのセレモニーライブの時なんて声を上げて……」
「う、うるせぇ! あれは違ぇよ! あれはお前じゃなくて……そう、お前の前に歌ってた天満橋えりすっていうアイドルに夢中になってただけだ! いやほんと可愛かったぜ! あの正統派アイドルな感じがいいよな! 顔とか身体が華奢なのにスタイル良い感じとか……あどけないというかちょっとだけロリロリした感じも……ああいう娘ならこの俺のことも──」
「──キッモ。ちょっと口閉じてくれない? 永遠に」
「あァ!? んだと!? えりすちゃんを馬鹿にすんじゃねぇよ!」
「馬鹿にしてるのはえりすちゃんじゃなくてあなたなんだけど~。あの娘は一応このわたしのライバル役のアイドルだし~。それに知らないのぉ? あの娘も技能LV3を持ってるパパの使徒候補なんだから。あの娘自身もパパにゾッコンだし、カイゼルに見向きすることなんて絶対にないし~。童貞に落とせるわけないわよねぇ~」
「ぐっ、この……」
「──やめろお前ら。こんなところで喧嘩しようとするな」
「っ……でもこいつが──」
「いや今のはカイゼルが──」
「だから落ち着け。ふぅ……まったく、お前らこそ子供の頃から変わらないな」
カイゼルとルイゼルがヒートアップしそうなタイミングで的確にアルベルトはそれを止める。怒られた2人は互いにそっぽを向き合ったため、アルベルトはそこで話題を変えることにした。
「……そういえばカイゼル。お前はまた使徒を増やしたそうだな?」
「ん、おお! そうだった。聞いてくれよ兄貴。俺の新しい使徒、アッシュって言うんだけどよ。こいつがすっげぇー頭が良くて俺のことを兄貴って慕ってくれる可愛い奴なんだぜ。今度俺が築く予定の地下帝国でもきっと良い参謀になってくれるに違いねぇんだ。今度兄貴にも紹介するぜ」
「ああ。楽しみにしている」
「……で、また男なんでしょ? というか会ったわよ。急に菓子折り持ってきて『兄貴がいつもお世話になってますんでご挨拶を』とか言ってねぇ。まあ確かにイケメンだしカイゼルとかあのスケアクロウと違ってまともそうだったけど童貞卒業したいって言うなら女にすればいいのに、そういうところほんとヘタレよねぇ」
「う、うるせぇ。女の使徒ならいなくもねぇよ。まあ親父へのプレゼントだったから俺の血は分けたが俺の使徒じゃないんだけどな……」
「……シビュレーだったか」
「おう。そういう兄貴は……あー……エクレアだったか?」
「違うわよ。エクレアちゃんを贈ったのはわたし。アルベルト兄さんは師匠でしょ」
「ああ。下級使徒の中でも能力があり信頼がおける者……それに合致するのはやはり昔からいる料理長や師匠になるだろう。料理長は以前よりその権利を自分を超える腕を持つ者に託すことにしているから必然的に師匠に──今はカレンを名乗っている彼女を贈ることにした」
そう。彼らは使徒として自分の母親を使徒にしてプレゼントした白兎を見習ってそれぞれ父親であるレオンハルトに使徒をプレゼントした。
ルイゼルは副メイド長の中で最も優秀だったエクレアを。
カイゼルは物凄い占い師として城内で有名だったシビュレーを。
そしてアルベルトは当初予定していた相手ではなく、師匠を使徒にしてプレゼントした。
そして最初に3人の候補になっていた相手に関しては──
「メイド長さん──メイルさんはパパが直接使徒にしたからな」
サイサイツリーのドーム頂点に建てられた新たなレオンハルトの城は新・紅魔城と呼ばれている。
だが旧・紅魔城と呼ばれているその城やレオンハルトシティは未だ活気づいている。
転移魔法陣によって城同士と街同士を繋げることで今はまだ魔物兵も行き来しているし、城も使われている。
そしてその旧・紅魔城のレオンハルトの部屋では、魔人レオンハルトが配下の使徒からの報告を受けていた。
「レオンハルト様。ツリー都市の行政は今のところ問題なく回っておりますわ」
「……そうか。高等学校や士官学校の方はどうなっている?」
「それについても松陰さんと擦り合わせを行い、上手く運営していますわ。これにより魔軍ではより優れた士官が。人間の間ではより優れた人材が生まれることでしょう」
「レオンハルト様。こちら今期の成績表になります」
「ああ」
いつも通りしっかりと報告を行う赤いドレスを来た美女──エクレアはルイゼルより贈られ、レオンハルトの身の回りの世話だけでなく、イヴの副官的な役回りや都市運営に関わっている。政治LV2となったことで行政を任せるにはうってつけの相手になったこともあるだろう。元々は国の政治に深く関わっていた王女ということもあり、メイドというよりも高貴な令嬢らしさが使徒になったことでより印象深くなっている。
「治安に関しても問題はなく、今のところは魔物同士が列の横入りがどうとかで揉めた程度です。しかしそれで油断することなく城内や都市内の治安維持とレオンハルト様の警護をしっかりと務める所存!」
「ああ、期待しているぞカレン」
「はっ!! レオンハルト様より頂いた名と役職に恥じぬよう全身全霊で職務と戦いに臨みます!!」
勇ましく凛々しい様相で報告を行うピンク髪。そして長い耳を持つ美女の名はカレン。師匠というソードマスターの突然変異体がアルベルトによって使徒になったことでより強く凛々しくなっている。
その背には槍や刀剣などが幾つも背負われており、師匠の長身や雰囲気も相まって見るからに強者の気配を漂わせているが、胸の谷間や太腿が露出し身体のラインが浮き出るオリエントな道着を身に纏っているため、美しさもまた際立つ。剣戦闘と槍戦闘のLV2など多くの戦闘系技能を持つ武人。最強の女の子モンスターに恥じない強さで彼女は親衛隊や治安部隊を束ねることになった。寿命を気にせず外に出ることが可能になったため、休日は流離って三度笠を被ってダンジョンに潜って様々なものを調達してくるようになった。ダンジョンに潜っていたら現れて身包みを剥がされる流離いのカレンとして有名になっているとかいないとか。
「いやぁ、さすがは閣下。どの使徒も優秀かつ美しいねぇ。新たな城や街も素晴らしいことだし、これは実質閣下が新たな魔王様と勘違いされてもおかしくないんじゃないかい?」
「……囀るより先に報告をしろ、シビュレー」
「おっと、つれないねぇ。これでも新たなレオンハルト様の使徒だというのに。あなた様の子供の血とはいえその血も本を正せばレオンハルト様の血だ。だからこそ子供の使徒でも閣下に対する忠誠心と言うべきそれは機能する。さしずめそれは魔王と魔人の関係のように──」
「シビュレー」
「──というわけで閣下を笑わせる道化師染みたことはここまで。次は優秀な宮廷魔術師の如く報告をしておきましょう。都市各部に設置された魔導具の駆動に問題はなし。都市全域に魔力を供給しているホワイトアイの魔力炉も世界樹の中心で問題なく稼働中……強いて言うならホワイトアイの本体が元になったハンティ殿の影響で戦いに飢えている……と、問題と言えばそれくらいだねぇ」
「……そうか。ならハンティと遊ばせておけ」
「仰せのままに。そう伝えておきましょう──この魔導通信機でぽちぽちと」
そう言って懐から取り出した液晶に文字をぽちぽちと1つずつ入力し始めたのは飄々とした掴みどころのない胡乱な気配を漂わせる美少女──シビュレー。
白いローブとスカート。足を覆う黒いタイツ。綺麗な白い髪は癖があるウルフボブで襟足が長く腰元まで広がっている。中心に水晶が埋め込まれた大きな白い杖に爛々と輝く赤い瞳。口元は常に小さく笑みを携えており、口を開けば人を惑わせる──かつて人間ガイを魔の道に引きずり込んだ悪い魔法使いであり占い師である“C”ことシビュレー・C・バークスハムは今回もどういうわけかレオンハルトの子供であるカイゼルに近づいて血の契約を行い、レオンハルトの使徒として贈られた。
そして現在はレオンハルトの専属占い師であり、ガウガウやハンティにイヴやペールといった魔法使い達が所属する魔法研究室にも在籍して未来視の一族が持っていた禁呪も含めた魔法の知識を以て貢献している。
……だがレオンハルトにとっては使徒として贈られてもなお何を考えているかよく分からない相手であるため、信用していいのかと迷いはしたが──
「ご心配なく。私はもう裏切りませんとも。というより──裏切る理由はもうありませんと言うべきかな」
「……どういうことだ?」
「私の長としての使命はガイを魔の道に引きずり込むこと。それが終わった時点で私のやらなければならないことは終わっているのですよ。となれば後は私自身がどうしたいかですが──」
と、そこでシビュレーはあえて間を取ってから続けた。
「実は私──レオンハルト様のマニアになりまして」
「なるほど…………何を言っている? ふざけているのか?」
「いえ、大真面目ですとも閣下。いえ、レオンハルト様。簡潔に理由を説明致しますが、準備はよろしいかな? 特殊性癖の対象として見られる閣下の精神値がこれから削られる可能性はありますが……まあ閣下であれば耐えうるでしょうな。よし話しましょう」
「良いとは言ってないがいいだろう。説明しろ」
「ええ、では簡潔に──私は一族の長の知識を継承し、更に未来視によってレオンハルト様の過去や、ごく一部とはいえ未来のことを知っています。このことはレオンハルト様もご存知ですね?」
「ああ。未来視の一族は技能LVと長の経験や人格を少しずつ受け継いでいるという話だったな」
「ええ。ですので私の技能LVや経験も次のバークスハムに受け継がれ、そして最終的にはあのレーモンに全て集約されたわけですが……前にも言った通り、個人の意思や性格がないわけではないので何に興味を持ってどのように動くか。何のために働くかはそれぞれ違います。あのレーモンがガイに本物の忠誠を誓い、この私がレオンハルト様の元に居続けているように当然人格は違うわけです」
「理解している。それで? お前が俺の元に居たがる理由は何だ? マニアとか訳の分からないことを言っていたが……」
「訳の分からないとは心外な。レオンハルト様にも収集癖──コレクションを集めているなら分かる筈です。コレクションというものは1度集め始めると止まらないと」
レオンハルトもまた刀剣や武器の類。珍しいものを集めては部屋に飾っている密かな趣味がある。
ゆえにシビュレーの言葉には一部納得出来た。ややあって頷く。
「……そうかもしれないな」
「はい。そしてレオンハルト様の御息女やあのミシュランの末子のようにアイドルという文化が生まれつつありますが……歴史を紐解いていけば、あのように“推し”の人物を崇めるような風潮は珍しくない。古くは英雄や偉人。話題になった踊り子や傾国の美女……そういった存在が人々から尊敬を集め、慕われていましたし、特定の人物を追っかけて情報を収集するストーカーのような人物がいることも珍しくはないでしょう」
「……珍しくないは言い過ぎかもしれないが……それで? まさかお前は俺を推しているとでも?」
「──ええ、そのまさかですとも。最初は使命も兼ねた興味本位でレオンハルト様の情報を収集し、それに関わる事象を観測していたのですが……見ている内に段々と面白くなってきましてねぇ。気づけば魔軍参謀の行く末が楽しみで楽しみで。早く続きが見たいのですよ」
「俺を読み物として消費しようとするな」
「加えて閣下の物語に自分を登場させて、こう……良い感じに関わったらどうも気持ちよくなれると気づきまして」
「……またそれは特殊な癖に目覚めたな」
「本当にそうですかな? 物語を読んでいてその登場人物と己との関わりを妄想し、あまつさえ分不相応な逢瀬やエッチなことを妄想したことは本当にありませんか? それを一切したことのない者だけこのシビュレーちゃんに石を投げなさい」
「……………………」
「まあそうでなくとも推しや憧れの相手と関わりたいと思う感情は普遍的なものでしょう。──ちなみに私は図々しいかつ自分本位なので推しと関わるなんて恐れ多いとか解釈違いだとのたまう者達と違って全然推しとヤれますしむしろ興奮しますとも」
「聞いてないが……」
「あの藤原杏という者の言葉を借りるなら、長く生きていれば性癖は倒錯する──まさにその通りの現象が私に起こっていると言えるでしょう。長らくこの街と城で過ごしてきましたがただ普通の娯楽や惰眠に耽るのは飽いてきましてね。この私も閣下の使徒として面白おかしく働き、ハーレムの一員としてエロいことをしまくって快楽を享受しつつ、自分の趣味さえ満たせる……ついでに我が一族の者達がこの先どう動くかも見れますし、私にとっても閣下にとっても都合が良いかと」
大半の妄言と言うべきか、推しやら性癖がどうのというのはさておき──シビュレーの占いや魔法の力はレオンハルトも認めるところだ。
だからこそ突然使徒として贈られてきたシビュレーのことも受け入れた。この先は人類の時代。幾つもの思惑が交差する。以前ほどシビュレーの占いは完璧なものではないため、それだけを頼りにすることは出来ないが、曖昧な利益を求めるに当たって便利であることに違いはない。
そしてイヴからもシビュレーに不穏な思惑がないことは確認も取れている。これで御しきれないのであればそれは自分が悪いと。
「──なら構わない。俺に傅いて存分に働き、お前の癖を満たすがいい」
「閣下の器の広さに感謝致しますよ。その感謝の証としてどうでしょう、この悪い魔法使いのシビュレーちゃんをわからせてみませんか?」
「まだ仕事がある。お前は先にサイサイツリーに戻っていろ。褒美は夜にでもくれてやる」
「おや残念……ですが畏まりました。それではお先に閣下」
言ってシビュレーは先に部屋を出ていく。それを見送ってからレオンハルトは他の使徒にも声をかけた。
「エクレア。カレンも先に戻っていろ」
「ええ、畏まりました」
「はっ。それでは待機しております」
更にエクレアとカレンも同樣に部屋から退出させる。
そうして最後に残った1人と2人きりになったレオンハルトはそこでようやく息を入れた。
「さて……」
「お疲れ様です。レオンハルト様」
そのタイミングでどこからともなくボトルを取り出し、コップに注いだのはメイド長さんこと使徒になったメイルだった。
メイルはメイド服ではなくその青を基調にしたドレスのまま、しかしメイドらしい完成された所作で主の求めるものをお出しする。紅茶やコーヒーではなく、桃りんごの果実水を注いだのもレオンハルトが最も好む飲み物であることを把握しているが故だ。
それを見たレオンハルトは頷きを入れて喉を潤してから傍らに立つメイルを見上げた。
「お前は本当に気が利くな、メイル」
「ありがとうございます。ですがメイドとして当然のことですわ」
「メイドとして、か。その割には最近のお前はメイドとしての行為を逸脱しているように思えるが」
「ふふ……それはレオンハルト様がこの私を受け入れてくださったからです。女の子モンスターのメイドさんとしては──落第だったこの私を」
「……懐かしい話だな。今では全くそうは見えないが」
使徒となったメイルがまたメイド長さんという呼称もなく、ただの変わった女の子モンスターのメイドさんだった頃──それは今から2000年近い昔のこと。
『ひそひそ……あの娘……掃除とかしたくないんだって……』
『えー……私達と同じメイドさんなのに……? 変わってるんだね……』
『…………』
──SS500年。紅魔城で生まれたメイドさんの内の一体であったメイルは普通メイドさんが好むような部屋の掃除や主人に仕えるということが、好きではなかった。
それはひとえに個体としての強さゆえ。魔物は強さが全て。メイドさんとしては異常な能力を持っていた彼女はそれゆえに部屋の掃除を下らないと断じ、ただそこにいるだけの存在となっていた。
当時はまだ人間のメイドはおらず、周囲にいたメイドさんからはひそひそと悪口……とは言わないまでも陰口を叩かれていた。それもまた構わないと考えていたが、それでも彼女にとって無視出来ない事柄が存在するとすれば──
『……聞いたぞ……仕事をしたくないらしいな……』
『は、いえ……その……申し訳、ありません……』
──その城の主である圧倒的強者、魔人レオンハルトの存在だろう。
掃除を下らないと断じたメイドさんだが、強者である魔人に関しては他の普通の魔物同樣に畏怖を感じていた。
しかも相手は魔王スラルの側近中の側近である魔人レオンハルトだ。彼女が生まれた当時、レオンハルトは殆ど城には帰らずに魔王城に詰め、たまに帰ってきたと思えば陰鬱とした様子で部屋に籠るだけの生活をしており、城に詰めるメイドさんとはいえ姿を見ることは稀だった。
彼女が初めて出会った時もそうだった。使徒からの報告でも受けたのか、部屋に呼び出された彼女はそこで覇気の欠片もない陰鬱とした様子のレオンハルトを見た。
目の下に隈を作り、低く静かな声で声をかけてくるレオンハルトの様子は、ある種恐怖を感じさせる。焦燥し、余裕のない、と言えばいいのだろうか。下手なことを口にすれば即座に殺されてしまいそうな危うさがあった。
だからこそ彼女は謝るしかなく、その場で膝を突こうとした。こうなったら許しを請うしかないと。生き延びるために自らの矜持すら曲げようとした。
そんな彼女に、レオンハルトは待ったをかけた。
『待て……謝る必要はない』
『っ……しかし……』
『俺がお前を呼んだのは……ただ話をしたかっただけだ。働きたくないのなら働かなくても構わない……城からは出ていってもらうがな……』
『……………………』
その寛大な許しを得て彼女は驚きを得ながらも、そのレオンハルトの陰鬱とした様子が気になった。
輝くような金髪と紅い瞳。整った顔立ちに鍛え上げられた引き締まった肉体を持ちながらも彼からは覇気を感じられない。鬱屈とした空気感だけが漂っている。
『……あ、あの……』
『……?』
『その……お辛いのでしたら……ひ、膝で休まれますか……?』
だからだろうか。彼女はそれを放置出来ず、恐る恐るそんな申し出をした。
あんなにも気位が高かったのに。主の世話なんて低俗な仕事だと見下していたのに。
『……そう、だな。なら、少しだけそうさせてもらうか……』
『は、はい……では、どうぞ』
それなのに、自然とこうしてあげたくなったし、実際に彼の頭を膝に乗せれば──どこか幸福感が得られるような気がした。
その理由に当時はまだ気づいていなかったが、それから彼女は短い時間ではあるもののレオンハルトにたまに呼ばれてはほんの少しだけ話をする間柄になった。
話の内容は他愛もないことばかり。食べ物や季節の好き嫌いとか昔の冒険の話とかモンスターや人の話。
それらを聞いて、たまに自分の話もする。そうして彼をたまに癒す。ただそれだけの時間。
そんな時間を過ごすようになってしばらく──彼女は初めてその存在と出会った。
『──レオンハルトー? あれ、いない?』
『っ……!?』
魔物としての本能が自然と膝を突かせる。
唐突にレオンハルトの部屋を訪れたのは黒いマントや衣服に身を包む白い髪と紅い瞳の少女──魔王スラルだったから。
『あなたは……普通のメイドさんっぽくないわね。何者?』
『は、はい……レオンハルト様の身の回りのお世話をしています……メイドさんですが、その、自分で言うのも何ですが、少し強くて……』
『ふーん……突然変異体かな。それで、レオンハルトは今どこにいる?』
『あ……今は少し出ていて……多分、もう少しで帰ってくるかと……』
『……そっか。ならここで待たせてもらうわ』
気軽な様子でレオンハルトのベッドに我が物顔で腰掛ける魔王スラル。
その振る舞いは魔王にしては気安く親しみが持てるようで、圧倒的な存在感もまた持ち合わせているため彼女は何も言えなかった。
だからこそ一声かけて部屋を出ていこうとした彼女に声をかけたのは──スラルの方だった。
『ちょっと待って。お願いがあるんだけど』
『は、はい。何で御座いましょう?』
まさかスラルに呼び止められると思わず緊張する。掃除や紅茶を入れろなどと命令されてもやったことがないため粗相をしてしまいかねない。だからこそ彼女は恭しく返事をしながらも恐怖をしていたが。
『これからもレオンハルトのことを支えなさい』
『……え……?』
だからその願いが、あまりにも意外な、予想外なものだったため彼女は間の抜けた声をあげてしまう。
しかしその間にもスラルは構わず続ける。
『あなた、メイドさんの突然変異体でしょ。なら……メイド長さんってところかな。これからもこの城で働くんならレオンハルトの側で控えてしっかり働いて支えるのよ』
『め、メイド長さん……』
『それじゃお願いね。魔王としての命令よ。レオンハルトをずっと支えてあげて』
『…………』
お願いと言いながら命令とも言い、最後にやはりお願いベースでそう告げてくる魔王スラル。
そのちぐはぐさを不思議に思いながらもメイド長さんと呼ばれた彼女は自然と思った──魔王スラルはレオンハルトを好きなんだと。
そしてそれに気づいた時に、自分もまたレオンハルトのことが好きだったことに気づく。一目惚れだった。レオンハルトに出会って彼を放っておけずに自然と側に控えたその理由は、メイドさんとしての種族的本能ではなく──
『──畏まりました、スラル様。これからもレオンハルト様お支えします。“メイド長さん”として』
『……ん。それでいいわ』
──女として好きな男を支えたいから。
それが魔王スラルとの唯一にして最初で最後の会話だった。
その後、魔王スラルは崩御し、主である魔人レオンハルトは一時死を考えるほどに追い詰められたと聞くが──いつの間にか彼は復活し、精力的に動き始めた。
年号がSS500年からNC1年に変わった頃。彼女もまた。
『──それでは私は掃除をしてきますので皆さんは庭の手入れをお願いしますね』
『は、はいっ!』
『──リムさん。少しずつ慣れていけばいいですから。安心して掃除の仕方を学んでくださいね。お辛ければ部屋で休んでいても構いませんから』
『わ……わかりました……でも、その……助けてくれたレオンハルト様のためにも頑張ります……』
『良い心がけかと。それでは微力ながら私もあなたが1人前のメイドになれるよう尽くさせて頂きますね』
──メイド長さんとして城の差配を行うようになっていた。
そのきっかけをレオンハルトは知らない。知っているのはメイルが本来はメイドとしての仕事を嫌っていたことだけ。
メイルは周囲に昔の自分のことを語らない。知っているのはごく一部の者だけ。
レオンハルトを支えるためにこれまで多くのメイドを教育し、そのメイド達と共にレオンハルトにご奉仕をし続けてきた。
だがメイド長さんは、メイルはずっとメイドの鑑のような働きを行いながらその本心はずっと──女としてレオンハルトを慕う、その一心で行動してきた。
好きな男であれば支えることに何の躊躇いも迷いもない。今でも掃除や家事といった仕事は嫌いでこそがないが、それ自体は別に好きでもない。
ただレオンハルトやその周囲の人物の世話をするのが好きなだけだ。
だからこそ──
「んっ……♡」
レオンハルトに女性として愛され、こんな風に抱き寄せられることにメイルは幸せを感じる。
メイルはこの2000年近く、ただの1回もレオンハルト以外の異性に触れていない。貞淑で気品ある女性としての様相を崩さず、粛々と仕事として美しく優秀なメイドを貫いてきた。
「しかし驚きでした……♡ まさかレオンハルト様が私如きを直接使徒にするなんて……♡」
「……子供達が俺に使徒を贈るという話を聞いた時、お前は俺や子供達のことを考えて辞退する気がした。今までもそうだったからな。自分が使徒になることで力を落とすくらいならと」
「あら、でしたら私がそう望んでいることを汲み取ってくれるものだと、そう思っていましたが……」
女性として触れるのも肌を晒すのもレオンハルトにだけ。こうして大きくなった胸を押し付けたりするのもレオンハルトを喜ばせ、その可愛い反応を見るためにやっている。
本当はメイドではなく女として幸せを望んでいるからこそ、使徒になってメイド服でなくなってしまったのだろう。そのことをメイルは自覚しているし、レオンハルトも気づいている。
「お前は素直じゃないからな。そして……俺も素直じゃなかった。お前は俺から言い出さないといつまでも使徒にもならず、一歩引いて俺を支え続けるだろう。──なら強引にでも使徒にしてしまった方がいい。その方が俺にとっても助かる」
「ふふ……欲張りな人……でもそういう方だからこそ、お仕えしがいがありますわね♡」
これからは外に出ることも増える。優秀な者であれば尚更だ。
メイルはメイド長として城に常に居続けているとはいえ、必要があれば外にも出る。僅かな間ばかりとはいえ寿命を考えるならギリギリだ。死なせるわけにはいかない。だからこそレオンハルトはメイルを強引に自らの使徒にした。
そしてそのことにメイルは喜んでいる。メイドではなく女として。だからこそ──
「レオンハルト様がお望みになったのです。これからはメイドの領分を超えてお支えさせて頂く……それで構いませんよね?」
「ああ。受け止めてやる。好きにしろ」
「──ありがとうございます」
──メイルはレオンハルトを疑うことなく、使徒として女性としてこれからもレオンハルトを支え続ける。
なぜこの紅魔城やレオンハルトシティの代わりとなる城や街を作ったのか──多くの者達が疑問を抱いている。
だが何か理由があるのだろうと多くの者達はレオンハルトを信じていた。レオンハルトは自分と自分の周囲のより良い未来のために戦っている。
つまりこれもまた自分達のためであるのだとそう信じて。
「それでは参りましょうレオンハルト様。新天地……私達にとっての理想郷であり新たな故郷に」
「ああ。そうするとしよう」
──まだ完全に捨て去るわけじゃない。
だが既にその心持ちで動いてきたため、覚悟も完了している。これより先の時代のために、旧紅魔城は異空間に転移させ、街の方は放棄する──その準備は終わり、後は新たな時代の開闢……そのきっかけとなる英雄を出迎えるだけ。
「──キャロル。イヴ。全使徒と配下に伝えろ。これよりあげる特徴の人物を見つけ出し、見つけ出した場合は決して悟られず傷つけるなと」
「了解ですわ!」
「畏まりました」
レオンハルトの使徒──子供達によって贈られた紅月、シビュレー、カレン、エクレアも含めた全員がレオンハルトの未来の知識について理解している。
だからこそ動きは淀みなく、その準備もまた完璧だった。
──誤算が……そう、誤算が1つあったとすれば……。
「──あれが魔王の城……噂通り、とんでもない大きさみたいね……」
──GI11X年……その英雄が、新たな紅魔城を魔王城だという見当違いでありながら妥当な勘違いをしてしまったことだけだった。
色々やったり設定まとめたりして遅くなりましたがここからがようやくGI期の始まり。人類解放編という名のシルキィちゃん編の始まりです。
ちなみにホワイトアイの子機の見た目は白いワ◯ルドゥです。単眼の可愛いマスコット。本体は別にいる。
師匠の名前は最初シレンにしてたけどそれだともう風来のシ◯ンまんまじゃん……ってなったからカレンになった。その辺りも今度プロフ更新します。
そして天満橋えりすはまんま03のあの娘の先祖で見た目はフォトショックなしのまんま。原作キャラだけど原作キャラじゃない。やはりメーカーの看板をモデルにしたキャラは出さないとなのですぐ出てきます。
ということで次回はシルキィの生まれからサイサイツリー潜入編のお話。お楽しみに。
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