「はぁ……はぁ……生き残りは、どれだけいる……?」
「……残りは、ここにいる者達だけのようだな……」
「くそっ……! 何なんだ、あの天使は……!? 俺達に、何の恨みがあるというのだ……!」
「……ライゼン。頼みがある」
「……何だ?」
「ここにいる者達を引き連れて――逃げてほしい」
「なっ……冗談抜かせ! お前一人で戦うつもりか!?」
「然りだ。あの天使連中、数も強さも尋常ではない。一般兵レベルでは、足手まといに――」
「ふざけるな! だったら俺も戦う!! 俺なら足手まといにはならないだろう!?」
「……それは駄目だ。お前がいなくなっては、ここにいる者達を守る者がいなくなる」
「それは……だが……!」
「……四大聖竜も、残りはお前だけだ。お前にしか、任せられられない頼みだ」
「……俺に生き恥を晒せと言うのか?」
「そうだ。ドラゴン種の未来を、お前に託す」
「…………わかった。ただ、お前も――」
「案ずるな。――俺も、必ず帰ってくるとも」
「……それならいい。絶対に負けるなよ」
「……ああ。お前も、最後まで守りきってみせろ」
ハンティの家の前でスラルが新たな魔人を紹介するのを、レオンハルトは耳にした。
眼前、小柄なスラルの横には、優雅に一礼するケッセルリンクの姿があり、
……何で、そうなるんだよ。
魔人化をした事実に頭を抱える。本当に、どうしてそうなるのか。
二人きりで話し合う。その意味を、レオンハルトは薄々察していた。こちらが話したことに対する補足や、認識の違いを埋める。ケッセルリンクが自分なりの事実を伝えにいったのだろう、と。
もっとも、こちらの狙いが上手くいっているのなら、スラルはそこまで厳しく追求しないだろうと思っていた。そして代わりに、終わった後の自分へのお仕置きが強烈になる。キツいが致し方ない。
だが、予想に反してスラルはケッセルリンクを魔人にした。
……いったい、どんな話をしたんだ……?
ケッセルリンクの魔人化という事実に、頭痛が起こる。それくらい不可思議なことだ。
額を抑えつつ、レオンハルトは視線をケッセルリンク、そして、スラルにやる。
「……何があったのかは聞かないが、お前はそれでいいのか?」
「ああ、問題ないとも」
「……これでいいのよ」
声を掛けると、ケッセルリンクが微笑とともに返事をしてくれる。だが反対に、スラルは若干口を尖らせている。こちらを半目で睨むように、
「……レオンハルト」
「……何だ?」
「…………馬鹿。帰ったら、お仕置きだからね」
「……マジか……」
名前を呼ばれ、不貞腐れたようになるスラル。やはりまだ怒っているのだろうか、お仕置きが確定してしまい、憂鬱な思いが浮かぶ。帰りたくない。
というか今度は何をされるのだろう。魔法か、体罰か。それとも、必殺料理か。どれをとってもキツいものだが最後のだけはやめてほしい。
だが、スラルは言う。
「…………帰ったら、言うこと……聞いてもらうから」
「? ……ああ、わかった」
そっぽを向いた状態でそう言うスラルに違和感を覚えつつも頷く。声が微妙に震えているような気がする。
……なんか、ナイーブになってないか……?
元々気分がころころ変わるスラルだが、今はちょっぴり沈んでいるように見える。やはり気分を害してしまったのだろうか。
それなら、
「……ま、好きに何でも命令してくれ。帰るのが遅くなったのは俺が悪い。無断で仕事を休んだってことだしな。帰ったら、馬車馬のように働いてやるよ」
頭を掻きながら侘びも兼ねてそう言う。実際、休みすぎたという認識はこちらにもあった。
しかしスラルはその言葉を受け、ちらりとこちらを見ると、今度こそ唇を完全に尖らせ、
「…………レオンハルトの馬鹿」
「え? スラル?」
「……ふーんだ」
一言、罵倒すると無視するようにぷいっとそっぽを向いてしまった。
こちらが困惑する中、隣にいたケッセルリンクが視線をこちらに寄越して、
「レオンハルト。あまり主を困らせるのはよくないぞ」
「いや、これは……」
「レオンハルトが悪いな」
「……レオンハルトが悪いね」
……ぐっ、こいつら……!
こちらの抗議を無視して流れるようにガルティアやハンティが便乗してきた。というかケッセルリンクまで敵側になってるような気がする。
今の言葉の何が駄目だったのか、いまいちわからない。だが、軽く肩を落とすこちらの横。キャロルとペールが来て、
「大丈夫ですわ! 例えレオンハルト様が悪くても、わたくしはついていきますので! 悪人上等ですの!」
「え、ええっと……元気だして下さい」
「お前ら……」
励ましてくれる二人に少し感動する。やはり持つべきものは使徒と巨乳。前者はフォローしているのか微妙なので巨乳しか残らない気がするものの。
……とはいえ、事態は収まったか。
色々とやらかしてしまった感はあるものの、一応争いは収束した。帰ったらお仕置きが待っているもののそれは脳の片隅に追いやっておく。
問題はこれからなのだ。視線の先、一通りこちらへの責めを終えた場の空気の中、ガルティアが軽い様子で発言した。
「……それで、これからどうすんだ? レオンハルトも見つけて、新入りも迎えたし、メシ食って帰るか?」
結局メシは食うんだな……、と皆が思う中、レオンハルトは真っ先に口を開く。
それは、こちらにまだやり残したことがあるからで、
「……もう一回、翔竜山を登ろうと思ってたんだが――」
「駄目」
スラルの声が横から飛んだ。皆の視線が集まる。
「レオンハルト、四大聖竜に負けたんでしょ。それなのにもう一回登るとか……無謀だから駄目」
その言葉に周囲から、「あー」と理解の声が飛ぶ。その中のひとり、ガルティアがこちらを見て、
「そういやお前、怪我したんだっけか。だったらやめといた方がいいんじゃねぇか?」
あ? とレオンハルトは微妙な認識の齟齬に声を上げて疑問する。しかしどういう理解を得ているのかわかったのでそれを訂正しようと声を続けた。
「……いや、怪我をしたのは本当だが、四大聖竜には負けてねぇぞ」
「そうなのか?」
「えっ?」
ガルティアの疑問とほぼ同時にスラルが間の抜けた声を上げる。ケッセルリンクを一瞬見て、次に顔をこちらに向ける。
そしてハンティが半目になり、
「……よくわからないけど、じゃあ四大聖竜からは逃げてきたの?」
「いや、戦いにペールが巻き込まれそうだったからな。『被害が出ない場所まで逃して、後で再戦な』って感じで別れた」
「えっ!? は、話せるの!?」
「――――」
ハンティが驚愕に声を上擦らせる。スラルも目を見開いていた。
「……普通に話せたどころか、今まで会ったドラゴンの中で一番話が通じたぞ。あのライゼンとかいうやつ」
今頃、待ちぼうけ食らってるんだろうなぁ、と悪いことをした気分になりながら思い出す様に言う。
疑問の気配と驚きは健在で、スラルの表情は、先程までの不機嫌な顔つきから、真面目な研究時の顔に変化している。もはやこちらへの怒りを忘れたように、ぶつぶつと呟く。途中までは小声で、
「……ドラゴンの殆どは凶暴化してまともに口は聞けない筈だけど……。それなら、レオンハルトはどうして怪我をしたの? 魔法で身体の中調べたけど、瀕死に見えたし……」
……んなことしてたのかよ。
魔法使いって滅茶苦茶だな、と思う。スラルが特別なのかもしれないが。
とはいえ、とレオンハルトはその問いに答える。これは隠さなくてもいいだろう、と正直に、
「ケッセルリンクと会った帰り道で山が崩れて、二人が落ちていったから……まぁ、助けようと思って俺も飛び降りてな。落下中に色々試した結果、二人は助けられたが、俺の身体はボロボロになって――って、どうしたんだ?」
見ると、周囲の空気が妙なものになっている。ケッセルリンクやペールは違うが、他の皆は、こちらを若干引き気味で見ており、
「……お前、とうとう戦闘のし過ぎで馬鹿になっちまったのか? 死ぬだろ、普通」
「……むしろ何で生きてんのよ。いや……人を助けたのはいいことだけど……」
「ま、まぁ、レオンハルト様がそのくらいで死ぬ筈がないってことですわ! メモしておきますの!」
「……ヒーリング」
「俺を化け物みたいに言うんじゃねぇよ……」
スラルの無言のヒーリングで、僅かな傷まで回復してもらう。有り難い。だが代わりに心の傷を負った気がするのは気の所為か。
釈然としないものを感じながらも、改めて心を決めて言う。
「……とにかく、俺はそいつとの再戦の約束があるんだ。だから――」
と、スラルに向き合って、
「――頼む。俺にもう一日だけ、休暇をくれ」
「…………」
頼んだ。スラルが無言でこちらに視線を向けている。レオンハルトは自覚していた。これは、
……俺の我儘だな。
スラルが、他の皆も連れて、ここまで迎えに来た意味は分かる。心配させていたことも。
ならば、これ以上を望むのなら改めて頼まなければならない。自分のやりたい事と、相手に掛ける不安を、了承してもらわなければ。
……断られたら――それはもう、しょうがねぇな。
ライゼンには悪いが、再戦は叶わない、とそういうことだ。そうあってほしくはないが、スラルの性格的に難しい頼みな気はする。どうにか許してくれないものか。
レオンハルトは頭を下げて頼み込んだ。そして、スラルが口を開く。ややあって、溜息をつくと、
「……わかった」
「……!」
聞こえた言葉は了承。故に心に喜びが生まれる。
しかし、それは次の瞬間、ほんの少し驚きと困惑が混じった。
「それじゃ、皆で行きましょ」
「…………皆で?」
言葉をそのまま返す。
しかし応答は周囲から来た。
「お、結局行くのか? なら、今度は山の幸だな」
「……あの、あたしはあまり行きたくないんだけど……」
「何を言ってますのハンティさん! 世界一の山に登るという偉業を達成したのなら、わたくしの目標とする完璧使徒に一歩近づきますのよ! ならやるしかありませんわ!」
ハンティが行きたくなさそうに溜息をつくも、キャロルが発破を掛ける。ガルティアは相変わらずだ。そんな盛り上がりを見た、ペールがおずおずとケッセルリンクに伺うように、
「あ、あの……私も行っていいですか?」
「……ペール。君はそろそろ集落に一度戻った方が――」
「な、なら見に行った後で行きます! だから送って下さい!」
ペールが必死になってケッセルリンクに頼み込む。ちらりとスラルを見ているが、さすがに魔王に直接それを言うのは憚られるのだろうか。ケッセルリンクがスラルに向き直り、
「……ということなのですがどうしましょう?」
「貴方はどうしたいの?」
一度確認を取ったが、スラルに聞かれてケッセルリンクは一瞬沈黙する。そして、
「……私としてはどちらでも。ただ、集落までは危険ですので、出来ればお送りさせて頂ければ……」
「……なるほどね」
答えを聞いてスラルが頷く。そしてややあって、
「…………まぁ、一緒に行くだけなら構わないけど……その代り、貴方が面倒見て」
「感謝します。……ということだ、ペール」
「あっ、は、はい。ありがとう、ございます……!」
ペールが恐る恐るといった感じでスラルにお礼を言う。スラルはそれを見てぼそりと小声で、
「別に……レオンハルトを助けた礼はこれでチャラだし……」
「え、えっ? 何でしょう……?」
なんでもない、とスラルは再びそっぽを向いた。そうなるとペールには何も聞けない。首を傾げながら引き下がる。
レオンハルトはそのタイミングで、スラルに近づいた。そして半信半疑のまま、
「……本当にいいのか?」
「……何? 連れて行きたくないってこと? それじゃ――」
「ペールのことじゃない。……本当に翔竜山に、もう一度行っていいのか?」
自分で言っといて何だが、戦いに行くのだ。登頂はもはやついでとなってしまっている。それはスラルも理解している筈なのだが。
しかしスラルは得心したように一度頷くと、頬を染めながら視線を逸して、
「……別に、レオンハルトの為じゃないから。私にも、一応目的があるし……それが気になるから行くだけ。勘違いしないでよね」
「……そうか」
妙に顔をもごもごとしているが、何なんだろう。目的も気になるが、そっちの方が気になってしまう。
……でもまぁ、許してくれたのは確かだ。
レオンハルトは苦笑しながら、そのことに対して感謝しようと口を開いた。
「何にしても、ありがとな。……後、色々とすまん」
「――!」
バツが悪くもあったので謝る。するとスラルが身体を反応させるも、腕を組んだまま身体を反対側に向けた。
「ふ、ふんっ。そんな簡単に許さないんだから……ちゃんとお仕置きは受けないと駄目だし……」
「ああ、わかってる。悪かった」
「……それならいいけど」
そっぽを向いたままではあるも、スラルから暫定的に許しを得る。それを見て、レオンハルトは改めて思う。
……やっぱこいつ、魔王らしくないな。
容姿や仕草だけではない。こんな風にあっさりと許してくれるところは、普通の人間より、よっぽど人が出来ているのかもしれない。人が良いのか、甘いのか、優しいのか、判断は別れるところではあるが、
……それが良いところだよな。
レオンハルトはスラルの傍らにいるケッセルリンクにも視線を向ける。新たに魔人となった仲間。しかし突然にそうなった者に、どう声を掛けていいか悩む。
だが、そうやって迷っているとケッセルリンクの方から声が来た。
「……レオンハルト。――私は、後悔していない」
と、不意の言葉に表情が固まる。そして何かを返そうとして迷った挙げ句、
「……意味が、わからないな。何でそれを俺に言う?」
「……何、全てを自分の責任だと思われるのは心外だからな。そう思っているのではないかとね」
「…………」
言葉を返すことは出来ない。しかし向こうは続けて、
「これは、私が望んだことだよ。その結果でしかない」
それに、とケッセルリンクは口元に笑みを浮かべ、
「皆のやりとりを見る限り――存外、賑やかで楽しそうだ」
「……そう、か」
レオンハルトはそこでようやく、息を吐き出す。そして心の中に、言葉を作った。
――それなら良かった、と。
森の中で、多くの人間の集団が列をなしていた。
誰も彼もが武器を持ち、開始を一様に待つ中、異様な巨躯を持つ者が姿を現す。
全身を覆う鎧を装着した大男の名は、アーノルド・ホーガン。
この戦士団の長である戦士長であり、最強の戦士だ。
その傍らには、平均的な背丈を持つ一人の男が並ぶ。隊長の鎧を着た男だ。
殆どの隊長格が、魔人に負傷、ないしは死亡させられた中で唯一、彼だけは無傷でその場にいた。
そしてその時がやってくる。アーノルドが声を上げたのだ。
「ようし!! 貴様ら――」
言葉は単純なものでいい。準備を終え、傷も癒えた。兵達の心には、今度こそ、勝利を取る、と闘志がある。
それを呷り、最後に火を点ける言葉を、戦士長は皆に届くように告げた。
「――戦闘を……蹂躙を始めろ――!!!」
「うおおおおおおおおおぉぉぉぉ――!!!」
咆哮にも似た大声とともに皆が剣を掲げて打ち合せる。金属音が森の中に鳴り響く。
戦士達の意思は一つに統一され、それは一斉に襲いかかった。
それを見て、密かに笑みを浮かべるは唯一人。
懐に、一冊の本を隠し持った男の姿で、
「――神よ。ご照覧あれ」
――これよりこの緑の大地を、真っ赤な血で染め上げて見せましょう。
そうして人間の戦士団は、再びカラーの集落を目指して進撃を始めた。
「ん……」
世界一の標高を誇る翔竜山。その上層に差し掛かる部分の広い岩場で、巨竜は身を起こした。
日光がその身を照らし、輝いているのを感じながら、ライゼンは意識を戻し、
……何やら、長い夢を見ていたようだな……。
しかし自分にとっては珍しいことではない。
なにせ夢というのは、記憶や経験によって引き起こされるもの。二千年を生きた自分にとって、それらは膨大で際限がない。その殆どが戦いに関するものなのは、ドラゴン種にとっては誉れなのだろうが。
「……ついつい寝すぎてしまう」
体内時間では、十時間以上の睡眠を取ってしまった、と判断を寄越してくる。それが確かなら今の日数は、
「六日目、か……」
そろそろ一週間。今日で決闘を中断してからそれだけの日数が経ったということになる。故にライゼンは思う。
あのレオンハルトとかいう人間の魔人はいつになったら戻ってくるのだろうか、と。
ドラゴン種にとって、この日数は大した時間ではない。しかし女を帰して戻ってくるには余りある時間の筈だ。
……それとも、人間にとってはこれくらいが普通なのか?
人間のことをそこまで知らない為、そうも思う。しかし話をしたところ、感覚はそこまでズレていない気もした。
とりあえず戻ってきたら真っ先に文句でも言ってやろう。挨拶代わりにブレスをお見舞いしてやる。でも、あの魔人はそれをまたしても剣で斬るんだろうなぁ。変態め。
だが一方で、もう戻ってこないのかもしれないとも思う。
何しろ相手の剣はこちらに通じなかった。こちらの攻撃も、未だ満足に当てることは出来ていないが時間の問題だろう。戦いはこちらの有利の筈だ。そうであるなら、
……逃げるのも、一つの選択か。
不利を悟り、勝機がないと感じたのなら、迷わず逃走するのも賢い選択だろう。ドラゴン種にとっては浸透していない考えだが、人間にとっては普通の考えに違いない。来ないことも充分に考えられる。
「アイツとの戦いは、面白かったがな……」
しかし現れないのでは戦えない。そうなると、
「………………」
どうしようもない絶望が心の隅に湧き上がるのを感じる。
それと同時に考えることが億劫になり、全力で暴れ出したくなる。
頭が狂ってしまいそうな闇を抑えつけて、正気を保ちながらライゼンは吐息した。そうして思うのは、
……俺は、いつ終わる?
何回も、幾度となく、二千年に渡って問い続けてきた問いを再度思い浮かべる。
千年前まで、その答えはあった。
しかし今は、その答えは失われてしまった。ならば新しい答えを出すしかない。
だが、
「どうすればいい……」
分からない。
問いを宙に放っても、答える者は周りにいない。皆すべからく、散っていってしまったのだ。
戦いの中で死ねることが出来ないのなら、終わるには狂う以外にどんな方法があるのか。
どうすれば、自分の生に意味を持たせられるのか。
どれだけ考えても、最終的に行き着くのは、何の捻りもないドラゴン種の普遍的な考えしかない。
「後一日……」
もう縋れるものは、それくらいしかない。
もしそれで終わりを迎えることが出来ないのなら、最早魔王に突撃するくらいしか出来ることはないだろう。
そしてそれでも無理であれば――
「早く、来い……!」
――その先は、考えたくもなかった。
――レオンハルトの休暇が始まって十日目。
翔竜山の麓の大森林では、人間の戦士団による攻勢が再び始まり、カラーの集落はそれを迎撃しようと同じく戦士団を配置した。
魔王の一行は集落への移動を開始し、二千年を生きる巨竜はその時を待ち続ける。
そうして、最後の一日が始まった。
スラル「やっとケッセルリンクが魔人になったわね」
ケッセルリンク「当初は30話くらいに出る予定だったらしいのだが……」
ガルティア「もっと言うなら男になる予定だったな」
ハンティ「だって更に言うならペールもライゼンも出てこないし……」
ペール「え?」
キャロル「当初のプロットには影も形もないですわー!」
ライゼン「」