※この作品はR-18です。

そこから決して出る事は出来ない   作:ちんぐりまん

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判決

 

 

「これです」

 

 

 神通の太ももから証拠とやらの長方形型の黒い物体が出てくる。恐らくガーターベルトにしまっていたのだろう。同時にナイフみたいなのも見えたし。それでいつか殺されないよう祈ろう。

 

 

「その形はボイスレコーダー……か?」

「はい。今聞かせてあげますね」

「……ああ、聞かせてくれ」

 

 

 神通が俺に渡してくれれば自分で聞けれる、と言おうと思ったがこれ以上神通を刺激してはいけないのと考えて言わなかった。いや、正直言う勇気も無かったですごめんなさい。

 

 

『……廊下には誰もいません。出てきて大丈夫ですよ、提督』

『よし、じゃあ行くか。誰かに見られたらかなりマズイから、慎重に行こう』

『了解です』

 

 

 ま、マジか……これ部屋から出るときの会話じゃん。最初から後ろをつけられていたのか。それは怖すぎない? 今日から戸締りちゃんとしとこ……。

 

 

「どこまで聞いてたんだ?」

「提督が大井さんに対してフラグやめろと言った辺りまでですかね」

 

 

 わあ〜、すごいなあ。すごすぎて白目向きそうになっちゃったよ。

 今思えば鹿島に会う直前まで全部聞かれてるのか。しかもそのあと鹿島の背後に回り込んだわけなんでしょ? 普通無理だろ……。

 

 

「そして何よりーーー大井さんから提督の匂いがするんですけど、どういう事でしょうか?」

 

 

 それは体温を感じさせない、冷気が含まれているような声であった。

 これには流石に大井も驚いたみたいだ。俺はもう一周回って驚かないわ……。

 

 

「そうなの? それは流石に気付けなかったよ……那珂ちゃんも、もっと努力しなきゃ」

 

 

 そんなの気付けないほうが正常だからな? それ以上努力してどうするんだよ。将来の夢は警察犬なのか? 艦隊のアイドルから警察犬……それはそれで悪くないな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、私たちをまた置いていこうとしたわけじゃないよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 川内が唐突にそう一言発した瞬間、ここの空気がどこか冷たくなるのを感じた。

 

 

「そ、そんな事あるわけないよ! 提督はあの日私たちにちゃんと約束してくれたから……そんな事絶対ないもん……うん……」

 

 

 那珂は最初の方は力強い声だったが、最後は弱々しい声になっていた。

 うぐっ……そんな顔されたら罪悪感が出ちゃうじゃん……。

 

 

「那珂の言う通り、それは違う。俺が君たちを置いていくわけないだろ」

「そ、そうだよね……あはは。ごめんね、おかしな事言っちゃって」

 

 

 川内はそう言っているものの、不安や怯えで瞳が揺れているのが見えた。これはまずい、と心の中で察する。

 

 

「……嘘です。信じられません」

 

 

 神通が俺の腕を掴む力を強くする。

 

 

「そうやってあの時私たちを置いていきました捨てて行きましたもう嫌です無理ですあんな思いをしたくありません私頑張りますからいい子でいますから提督のためなら何でもしますからオイテイカナイデステナイデツキハナサナイデミハナサナイデ━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッショニイテ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神通を見るとその顔には不安がありありと表れており、その目は海の底のように暗く濁っていた。

 

 

「……神通、落ち着け。ちゃんと一から話すから聞いてくれ。な?」

「……」

 

 

 神通は俺の腕を掴んだまま、俯く。その姿は、はじめて怒られた子供のようで弱々しく、抱きしめれば折れてしまいそうだった。

 最近落ち着いたかと思ったけどまた発作が出てしまったのか……やっぱり医者に診てもらった方が良い気がする。まあこれを発作と呼んでいいのか正確には分からないが、少なくとも俺に対する依存度が高くまたトラウマも未だに消えていないのは確かだ。心の病気の対処なんて俺分からないからなあ……。

 

 

「……ただ大井とここから近くのコンビニに行こうとしていたんだ。最初大井は行くのを拒否していたが、俺が無理やりキスして一緒に行くのを強制させた。多分その時匂いがついてしまったんだと思う。その……迷惑をかけてすまない……」

「……! アイドルはー、寛大だからー、提督のこと許しちゃうよ! だからそんな顔しないで! でも匂いだけは気を付けてね。一応今回で注意するの二回目だから」

 

 

 俺がそう言うと、那珂はすぐさまフォローを入れてくれた。めちゃくちゃいい子じゃん。

 

 

「そうだな……気を付けるよ」

「あ、そうそう! ん~と……はい、これ!」

 

 

 那珂からお洒落で可愛らしい小さなボトルを貰う。

 

 

「……香水?」

「せいか~い! 那珂ちゃんの、お気に入りの香水なんだよ! このままじゃ皆から怒られちゃうでしょ?」

「いいのか? この後すぐ風呂入ってくるが」

「いいのいいの! 使って使って!」

「ありがとう……助かったよ」

「どういたしまして! この匂い、どうかな?」

「……柔らかい匂いで好きだ」

「良かったぁー……えへへ、好きって言われちゃったよぉぉ~」

 

 

 香水の話で合ってるよね? 間違えてないよね?

 

 

「……まあ私も良いよ。ちゃんと本当の事言ってくれたしね。でもなんで大井さんがこんな朝から提督の所にいたの?」

 

 

 確かにそれは俺も思った。昨日はえ~っと……あれ。何したっけ?

 

 

「昨日提督に『一緒に飲まないか?』って誘われて、提督の部屋で一日過ごしたからよ」

「そうなの? 提督」

 

 

 そうなの?って聞かれても俺はそんな覚えないんだが。まあ一応肯定しておくか。

 

 

「そうだ。昨日は誰かと飲みたい気分だったからな」

「ふぅ~ん……じゃあ今日夜に私たちの部屋に飲みに来てよ」

「……まあ今日もどうせ暇だろうし、いいぞ」

「ちゃんと夜空けといてね! ずっと、ずっと待ってるから!」

「ああ、了解した」

 

 

 川内と那珂からは許しをもらえたものの神通だけ何も言わず、未だに俯いでるままだった。

 はい駄目でした。神通を病ませちゃったし、那珂には慰められるし……しっかりしろ俺。大丈夫、俺なら出来るはずだ。

 

 

「……提督」

 

 

 川内は意味ありげな視線を俺に送ってきた。

 多分神通の事だと思う。珍しいな、こんな事滅多にないぞ。

 

 

「……本当に良いのか?」

「まあ今回だけだよ。一応神通のお姉ちゃんだしね。でも約束を一つ、してくれない?」

「ああ、言ってくれ」

「神通の言う通り私たちは提督の為なら何でもするし尽くすからさ……だから━━」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モウドコニモイッチャダメダヨ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……分かった。約束しよう」

 

 

 正直コンビニくらいええやん。匂いも別にええやん。この子達の考えている事がどうしても理解出来ない。

 

 

「なら良いよ。那珂、もう行こう」

「もう少し匂い嗅ぎたかったよぉ……」

「ほら、行くよ! じゃあ神通の事頼むね?」

 

 

 俺は無言で頷く。

 そうすると二人は自分たちの部屋に戻っていった。

 

 

 ふぅ……ようやく離れてくれた。三人に囲まれるのは少し暑苦しいな。

 今考えると今回の事は疑問点が沢山あるな。だいたい川内達はどこまで今回の事について知っていたんだ?調べる必要……は別にないか。もう終わったことなんだし。

 

 

「……言いたい事は沢山ありますが、今回は私にも責任がありますので何も言いません。私も自分の部屋に戻りますね。あ、川内さんが鹿島を忘れて行ったので代わりに独房にぶちこんでおきましょうか?」

 

 

 大井っち~! やっぱ良い奴だよ大井っちは!! この姿を北上にも見してやりたいなあ。本当に、見してやりたいなあ……。

 

 

「本当か? そうしてくれるとありがたい」

「大丈夫ですよ。これも提督のためですからね……! ちなみに監視はつけますか?」

「監視はつけなくて良いんじゃないか? 脱走するならするでそれでいいよ」

「分かりました。では、ここで私は失礼します。あ、そういえば一応言っておきますが、今日の秘書官は阿賀野型ですからね」

「あいつらか……。教えてくれてありがとな」

「はい、ではこれで」

 

 

 ……とうとう神通と二人きりになってしまった。とりあえずいつも通り慰めておくか。

 

 

 不安と恐怖によるものなのか、神通の手が震えて冷たくなっている事に気付く。

 空いている手で神通を抱きしめ、掴まれている手で髪を梳くり、優しく頭をなでる。

 

 

「大丈夫……俺はもう君を置いていかないから」

「……ッ」

 

 

 軽く柔らかい声で、神通を落ち着かせていく。

 セリフがくさい。俺なんかよりもっとイケメンで若い子が言うべきセリフだろ。

 今思えば今年でもう三十二歳か……人生振りかえっても碌な人生送ってきてねえなあ。父親が軍人だからって無理やり軍学校入れられてから、ひたすら忙しかった覚えしかない。青春が全部勉強と訓練とかなんなの本当に。戦争なんてどの時代いってもクソだよクソ。

 なでていると、神通から発せられていた重苦しい雰囲気が居心地がいい雰囲気に変わっていくのを感じ取れる。しばらくすると神通は俺の胸に顔を埋めてきた。

 

 

 このまま落ち着いて大人しく帰ってくれれば非常にありがたい。まあ、あの時に比べればだいぶ良い方か。あの時はもう……うん、カオスだった。みんな発作が起きるから、一日十回は誰かの叫び声を聞いた気がする。

 

 

「提督……」

 

 

 神通は顔をあげ、何かを期待するような表情になっていた

 

 

「どうした?」

「提督は、大井さんの事が、好きなのですか……?」

「いや、そんな事ないが……どうしてだ?」

「だって、提督はあまり接吻は好まないじゃないですか……」

「別に嫌いじゃないぞ。だが、君たちが匂い云々でな……」

「なら、私にも、してくれませんか……?」

 

 

 さっきそれで怒ってたのは誰だよ。まあ、神通を落ち着かせるためだ。こればっかしは仕方ないだろう。

 

「……分かった」

 

 

 期待に応えるように唇を近づけ、神通の唇にそっと重ね、身体をリラックスさせてゆく。

 完全に身体がリラックス状態になった事を確認し、一拍置いて次は薄く開いた神通の口内に舌を差し込み、優しく舌を絡めとり、徐々に激しくしてゆく。

 

 

「んっ……!!♡ あふ、ぷぁっ♡♡」

 

 

 神通は俺の口内に唾液を流し込んできた。俺はそれを抵抗しないで、飲み込む。

 今度は俺から神通の口内に唾液を流し込むと、神通は飲み込んでからまた俺に唾液を流し込んでゆく。

 何度もそれを繰り返し、唾液を交換しあい、飲み込み続け合う。

 

 

「んぐっ……♡ ていひょく、もっと……♡♡」

 

 

 落ち着くどころか興奮してないか?続けるにしても、ちょっとここではなあ……。

 

 

「……場所が悪い。俺の部屋に移動しよう」

「わかりました……♡」

 

 

 今日の朝ご飯何にしようかな。今日はなんかガッツリとしたものを食いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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