1日眼を離したら、評価がとんでもないことになっているのだが?(困惑)
私はどんな表情をすればいいのだ?
数日後、私は食料の補給をするために鎮守府に訪れた。今日も川内の相手をするのかと思ったが、食料を食料庫に運び終えても川内が私の元に来ない。私は気になって川内の部屋に行ってみることにした。
川内の部屋に向かう途中、私は廊下で艦娘を見つけたので川内の居場所を聞いてみることにした。
「すいません、いつも食料の補給を見ている艦娘の人って、今何処にいますか?」
「えっと、川内さんのことですか?川内さんなら今日は遠征です。」
艦娘はそう言うと、部屋に戻っていった。そうか、川内は居ないのか。そういうことなら今日は普通に戻ろうと思ったが、近くの部屋からすすり泣くような声が聞こえた。私は気になり、部屋を覗いてみることにした。
部屋の中には、駆逐艦らしき小さな体の艦娘が毛布にくるまりながら泣いていた。私は少しその少女が気になり、部屋をノックした。
「......はい、今出ます。」
部屋を出てきた艦娘は、茶髪のショートカットで泣いていたせいか目が赤くなっており、どこか見覚えのある艦娘だった。私は、その艦娘に質問をする。
「すまない、何だか女の子の鳴き声が聞こえたから心配になってノックしてしまったんだ。その、大丈夫かい?」
「......大丈夫です。放っておいてください。」
艦娘はそう言って扉を閉めようとしたが、私は艦娘の部屋に押し入った。艦娘は、何が起こったのか分からないように呆けていたが、部屋に押し入った私を再度確認して正気に戻ったようだ。
「い、いきなり何なんですか?憲兵さんを呼びますよ!」
「君の部屋に押し入ってしまい、本当にすまないと思っている。私は君が気になって仕方がないんだ。君のことを教えてほしい。」
「......あなた、学校の先生か何かなの?」
「いや、私は先生という訳じゃない。食料補給の人だ。でも、悩んでいたりする人を助けずにはいられない人なんだよ。」
「......なにそれ、意味分かんない。」
ああ、私は何を言っているんだろう?私はそういう面倒に関わりたくないから提督に成ろうとしなかったのに、何が人助けだ。
軽く自己嫌悪しながら、私は艦娘に話しかける。
「なら、君の夢はなんだい?この戦争が終わって、もう戦わなくていい世界になったら、君は何がしたい?」
「何であなたにそんなこと言わないといけないのよ。」
「なら、君の夢を教えてくれたらお礼をするよ。それでどう?」
私がそう質問すると、艦娘は諦めたような顔で語ってくれた。
「......私ね、大きくなったらお花屋さんに成りたかったんだ。あと、好きな人と結婚してお嫁さんにも成りたかった...。」
「そっか。なら、今度ここに来るときに花の図鑑ときれいな花を君に持ってきて上げるよ!」
これは気休めだと思いながらも、私は彼女を助けてあげたいと思った。
「戦争が終わったら、本当にお花屋さんが出来るように、色んなお花を覚えないとね。」
「......あなたは、本当に戦争が終わると思ってるの?」
「ああ!」
きっと、人類は敗北して終わるだろう。
「戦争に勝って、自由を手に入れるときが必ず来る!」
そんな筈はない。
「無理に相手に勝とうとしなくてもいい。逃げて生き残れば、いつか勝てるときが来る!」
奇跡でも起こらない限り、人類に勝利はない。
「だから、泣くのは止めて生きるために頑張るんだ!」
私がそう言うと、艦娘は首を縦に振って質問してきた。
「あなた、名前は何て言うの?」
「陸人、風海陸人だ。君の名前は?」
「ゆr......ううん、駆逐艦の雷よ。お花、待ってるから。」
私は雷とそう約束し、自分の家に戻っていった。
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一週間後、私は雷との約束通りアネモネの花と花の図鑑を持って食料補給にやって来た。
今日は休みなのか、川内が迎えに来てくれていた。
「風海君、前回は間が悪くて出来なかったから、今日は沢山よろしく!」
「はいはい、ちょっと待っててもらえないかな?川内がいない間に喋ってた駆逐艦の雷ってことの約束で、これ渡さないといけないから。」
私がアネモネの花と花の図鑑を見せてそう言うと、川内は無表情になり私にこう言った。
「無理だよ、渡せない。」
「いや、すぐに済むからさ。」
「そうじゃなくて、その雷って言う名前の駆逐艦、3日前に沈んじゃったから。」
「えっ?」
私は、頭を強く殴られたときのような衝撃に襲われた。川内の言っている意味がわからなかった。川内は、淡々と説明を続ける。
「3日前に軽巡と暁型4隻で初出撃したんだけど、ベテランの軽巡の子が深海棲艦の潜水艦に不意打ちで沈められて、暁型4隻はなんとか撃退したんだけど、4隻中3隻が轟沈寸前で海上機動装置が破壊されてて、その雷って子が残りの3隻に自分の艤装を渡したんだって。
駆逐艦の艤装だと、ギリギリ3人までなら助けられるからって、自分は残るけどすぐに助けを呼んできてくれって言ってたんだって。
でも、雷の救出はされなかった。
鎮守府は、深海棲艦の出現する海域に艤装も無しで海に浮いていれば今頃、海の底だろうから探しても資材の無駄だってさ。」
俺はその言葉を聞いて、持っていたアネモネの花と花の図鑑を落としてしまった。私のその姿を見た川内は、私を抱き締めてこう言った。
「あんまり、気にしない方がいいよ。私だっていつ沈んでもおかしくないし、一人助けたって意味があるとは思えないよ。そう考えないと辛いだけだよ。」
全くその通りだ。だが、私にはそれができない。だから、提督をやろうとは思えないのだ。
提督は、艦娘を指揮して戦争をする。戦争をすれば、全員無事に帰ってきてハッピーエンドになるなんてことはないのも知っている。だから、私には提督は出来ないのだ。こうして知り合いが一人亡くなっただけでこれだけ動揺してしまうのだから。
「......仕方ない、今回も無しでいいよ。次は私の意識が無くなるまで相手してもらうから。今日は帰りなよ。」
川内は、花と本を拾い上げて私に渡し、自分の部屋に帰って行った。
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私は今、海の近くにある花畑に来て墓を作っている。
あの駆逐艦の雷との約束を守れなかった罪悪感が私が、こんなことをさせているのだろう。
自分から艦娘を見捨てた癖に、実際に会ったら助けようとしてしまう自分の矛盾に、私は情けなく涙してしまう。簡易的に作られた雷の墓に私はアネモネを添える。
アネモネの花は、私が強く握りしめてしまったせいか萎れていた。
夢がある(希望はあるかはしらん)
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