モンスターハンター転生~全てがリアルになった世界で~ 作:メンダコ民族
俺が拾われてから12年程経つ。
ここら一帯の土地にはランポスが住んでいた。
1年に一度程の頻度で村に迷い混んで来るのでよくわかる。村の皆もランポスと呼んでいた。
ランポスの呼び名でこれが世界の修正力か…なんて思っていたら、後に村長が、村の歴史を教えてくれたので合点がいった。
村長の前の前の前の……かなり前の代では元々多くの人が住んでいたドンドルマ、という都市があったが、ある日奇妙な龍がどこからともなく何匹も現れ、ドンドルマを壊滅に追いやり、人々は散り散りに逃げたらしい。
奇妙な龍は黒い龍、嵐を纏った龍、巨大な蛇龍、その他諸々が天変地異とも呼べるような地形の破壊、乱戦の果てに今に至ったらしい。この話の結末は不明。
世代を越えて伝えられた、不透明な部分がかなりあり、謎が残りまくる話だが、まぁこれで大体の想像はついた。
ここはハンターと呼べる頑丈な人種が消え去った世界である。
何故世代を経るごとにこんなに弱くなったのか、黒い龍や嵐を纏った龍などの正体に思い当たる部分はあるが、奇妙な龍とは?
まぁこの先おそらくこの村に一生引きこもる俺には関わることのない問題ではあるだろうが、気にならないと言ったら嘘になる。ちょっと知りたい。
話は変わるが最近母さんが義理の妹を産んで昇天した。
両親共々齢50である。すごいとしか言いようがない。
何故今になって妹を産んだのか?俺には教えてくれなかったが、まぁ察することくらいは出来る。
母さんは自分で子供を産みたかったらしい。弱い体で無理は出来ない。それでも子供が欲しい、そこに出てきたのが俺。それで一時はその念も収まったが、また再燃。
両親がハッスルして母さんは身重になり、出産のショックで死亡。
年齢の問題で産まれてくる赤ん坊は奇形児になったりする確率が高いらしいが、そんなことはなく無事産まれた。
母さんの未練というか、執念というか、本能はすげぇなぁ……
村長は悲しみながら喜んでいた。あの分ならお前が母さんを殺したんだ!みたいな展開にはならないだろう。
俺も悲しいが嬉しい。
妹の名前はミアという。可愛い名前だと思う。ちなみに俺の名前はオリーヴァだ。カッコイイ名前なのか可愛い名前なのかよくわからない。
ちなみに赤子がいきなり言語の知識を持って産まれてくるなんてのは万にひとつもなかった。
赤ん坊の頃から持っているこの言語知識、使い慣れた感じがするのだ。日本語のように……
ちなみに村長としてのお勉強はもう済んでいる。
食料管理、モンスターの特徴に習性、避難指示の手筈……現在の俺の立ち位置としてはちょっと頭のいい子供、となっている。さすが村長の息子!みたいな扱い。
それと6年前に幼馴染が出来た。鍛冶職人の娘、クトゥナだ。
クトゥナには俺の武器を作ってもらう予定だ。片手剣を作ってもらう。
前世でのメイン武器は双剣だったが、はっきり言ってモンスターの攻撃をかわしながら攻撃するなんてとてもじゃないが出来ない。盾って滅茶苦茶重要。え?ランス?あんなクソデカ槍を片手で持ってその上タワーシールドみたいな盾を片手で持って移動できるわけないだろ!スタミナ切れで敵の目前に倒れることになる。
ランスなんて3分くらいしか活動できない。
まぁそれでも活動くらいは出来る。この世界に来てから死ぬほど鍛えたしね。身の危険を感じる事が多々あるので。
ちなみに12歳で武器を持つのに関しては既に承諾をもらった。
この先村長として矢面に立つ場面が来るかもしれないから、身を守る力をつけておきたいと言ったら
「いいぞ。」
結構軽かった。まぁ12才の子供を矢面になんざ立たせる訳ないし、立つとしてもまだかなり先だ。
ちなみに武器を持ってモンスターに挑みに行くという考えは父さんの頭にはない。俺の頭にもない。そんな理由で快諾された。
ただまぁ当然、武器を作るには素材が必要である。
鉄鉱石がいる。当然だ。
村での鉄はかなり貴重だ。畑を耕すのに必要な鍬、汎用性の高いナイフ、建築に使う釘……需要に対して供給が追い付いていない。まぁ当然だ、鉄は外から取ってくるのだから。
この鉄事情も合わせて快諾された理由かもしれない。簡単に鉄は調達できない。
村から片道3km、そこに巨大な岩がごろごろと転がっている採掘地がある。そこから鉄を持ってくる。
たかが3kmと侮るなかれ、村から一歩踏み出せばそこはもう完全にモンスターハンターの世界である。
ランポスに遭遇でもしてみろ、人間より優れた聴覚、視覚、力、そしてそこそこ頭もいい。無理ゲーだ。まばたきした瞬間食い殺される未来が見える。
ただそれでも武器が欲しい。ここ最近ランポスがこの村に迷い混む事が多い。年に1、2回程だったのが2年前あたりから5、6回に増えている。
何か嫌な予感がする。何かしら対策が欲しい。よって俺は自分で鉱石を取りに行ってクトゥナに武器を作ってもらおうと思う。
鍛冶工房を使用することに関してはクトゥナの親父さんに話はついている。
村長の息子といえども12程の少年が武器を持つのに疑問を感じたようだが、身体を鍛えたいといった旨の説明をすると了承してくれた。ランポスの迷い混む頻度や自分で鉱石を取りに行くといった説明はしていない。
ただ親父さんと父さんの仲はそれなりに良好であり、父さんは最近モンスター関係や妹の育児で忙しいのであまり話をする時間はないはずだ。
片手剣の話をしてそこから鉄鉱石の出所に疑念をもたれたりしたら…もうそこは天に祈るしかない。
クトゥナには鉱石関係の話はしてある。まぁ流石に武器を作ってもらう本人には話さなければいけないだろう。
お前にしか頼れないとか、お前を守りたいとかもう滅茶苦茶に舌を回したら頷いてくれた。やったぜ。
決行は今夜、皆が寝静まった後である。
村は基本的にやることがないので早寝早起きが習慣になっている。
(そろそろか…)
時が来た。今こそ計画を実行しよう。初めての冒険だ。
緊張、高揚、不安、色々な感情が胸を支配する。
俺は静かにベッドから立ち上がった。