モンスターハンター転生~全てがリアルになった世界で~ 作:メンダコ民族
ベッドの下に隠したピッケルと大きめの袋を慎重に持つ。
この世界のピッケルは3~4回採掘したところで壊れはしない。
ちなみにこのピッケルは昼間に倉庫から拝借してきた。
袋に関してはモンハン世界特有の頑丈なツタでできている。これも倉庫から拝借。
音を立てずに家を歩き、扉を開く。
この村の扉は現代日本と違い、扉を開けるとギィィ、ときしみ、かなりの音を立てる。
ただこれは扉を滑るように、スッと開けることで音はしなくなる。
こんな感じで音を立てないように行動する訓練を常日頃からしている。モンスターとか相手に不意を突けるのはかなり好ましいのだ。そんな場面来てほしくないが。
村の家、倉庫、建築物の影に隠れ進んでいく。
何故村民が皆寝静まったのにここまで慎重なのか?答えは簡単、見回りをしている狩人がいるからである。
夜にモンスターの襲撃を受け、寝てる間に食われるなんて最悪なシチュエーションだ。警戒するに限る。
ちなみに狩人の仕事は夜の見回りの他、薬草なんかの採取、今目当ての鉄鉱石の採掘、モンスター関連の対策、稀に罠にかかったケルビを村に持ってきたりする。
人気の職業の一つだ。殉職率も高いが。
無事に狩人の見回りを抜け、村の出口、採掘場への道へ赴く。村長の息子(の権限)を舐めるな、狩人の巡回ルートなんざ頭の中に入ってるわ。
村を取り囲む環境はちょっとした秘境になっている。よって採掘場への道、方角はわかっても帰り道がわからない、なんてことは洒落にならない。
よって緑の布を行き先の木々に目印として結んである。緑である理由は頭のいいモンスターの警戒の為だ。どこまで頭がいいかわからないので緑、という保護色を採用している。
狩人は数をこなし布の道を見極め、慎重に行く。
対する俺は完全に初見。ただ昔から刃物の綻びを見つけたり、人の得意なことを見分けたりする観察眼は俺の少ない誇れる特技の一つだ。まぁなんとかなる。
無事村の外にでる。
やはりこの村は半秘境だ、外と村に境界線でもあるかのようにハッキリと空気が違うのがわかる。完全な秘境ではない理由としては、緑の布を目印としてだが出入りが自由な所だ。まぁ秘境自体原作知識なので、これ以上の秘境があるかというとわからないが。案外チコ村、という遭難した人間しかたどり着けない島があるが、それと同じ、と言われれば否定は出来ない。
森を歩いていると所々にアオキノコや薬草、その他用途不明の植物、キノコを見つける。ゲームじゃアイテムの画像なんて見れないし…毒でもあったら困るし触らないでおこう。
毒性のあるキノコや植物は狩人が調査してくれているだろうが…村に戻ったら聞いておこう。
ただ毒の有無はわかっているだろうが、何に使うのかはわからないんだろうなぁ…ドンドルマからの集団がここに行き着いたとはいえ、アイテムの用途や調合の知識が伝わっていたら、大樽爆弾なんかでモンスターの撃退は容易だろうと思うしなぁ…
そんなことを考えながら採掘場にたどり着いた。
そこは辺り一面に大小様々な岩が転がっている。前世では確実に出来ないであろう体験に胸を高鳴らせるが、片手剣を作るほどの鉄鉱石を採掘しなければならないので、胸の高鳴りもすぐに収まってしまった。
近くに見える場所には巨岩が多くあるが、ここはその周辺の小岩が散乱している場所だ。巨岩が時を経て崩れ、手頃なサイズになったのだろう。
さて採掘だ。
背負ったピッケルを手に持ち、手頃な岩を見つけ、そこに向かう。
さて採掘、ピッケルを振り上げ、やめた。
(……なんだあれ?)
影が飛来した。
驚愕、一瞬の出来事に少しの間呆けたが、すぐさま近くの岩に隠れる。
それは少し距離のある、遮蔽物となる巨岩が多く転がっている場へと着地した。
薄紅色の体表、頭の大部分を占める巨大な嘴、たてがみを連想する頭部の耳、翼竜の翼のような形だが、そこから進化したのか攻撃性を秘めている爪つきの翼。
イャンクックと呼ばれる大型モンスターが、そこにいた。