午後十時、既に夜も遅く灯りもまばらになったロイヤル領内のとある鎮守府。その廊下を一人の女性がエナメルポーチを手に提げ優雅に歩く。愛らしい純白のフリルカチューシャで飾られた腰まで伸びる絹の様な銀の髪、上品さを感じさせる白と紺地のロングスカートは裾に愛らしい白のフリルが飾り付けられ、胸元が大きく肌蹴た様なノースリーブのブラウスは男性の目を引き付ける魅力的なボディラインを隠すことなく曝け出す。此処に配属されている艦船少女達の中で唯一女中姿をしたその女性の名はエディンバラ級二番艦ベルファスト。メイド長と呼ばれる特別な役職に就いている彼女はロイヤル最大の巡洋艦をモデルとした艦船少女でありこの鎮守府における最古参の一隻。そして最高戦力でもある重鎮だ。
そんな彼女が夜遅くに向かう先、それは居住用に設けられている棟の中でも一際大きな一室。プレートに“鎮守府指揮官”と書かれた扉の前に立つと彼女は“トン、トトン”と三度、独特な間隔を空けながらノックを行う。すると部屋の中からまだ幼く、そして何処か震えた様な声色で“どうぞ”と入室を許可する声が響く。
「失礼致します。ご主人様、本日の“特別訓練”に参りました」
その言葉を聞けばベルファストは部屋に入り満面の笑みを部屋の主に向ける。ご主人様と呼ばれた彼――この鎮守府の指揮官は未だ少年と呼ぶのが相応しい十代前半の男の子で、その顔色は真っ赤に染まっていた。
時を遡り今からおよそ一年前。
セイレーンの脅威に対応すべく設立されたものの人員不足などによりずっと未稼働状態のまま放置されていたこの鎮守府に新たな指揮官が着任した。それはまだ中等教育を受けていてもおかしくないような年齢の小柄な少年だった。体つきは細く、その掌は銃など一度も撃ったことが無い様に傷一つなく、とてもこの様な場所に居て良いとは思えない様なものだった。
そんな幼い彼を秘書艦として身心共に支え、時として彼の教育と矯正を行って欲しい――そう命を受けて鎮守府に配属されたベルファストの胸中、それは決して期待や歓喜に満ちた希望溢れるものでは無く。むしろその正反対に失意と諦観ばかりが渦巻き、その沈んだ感情のままにある一言を彼にぶつけてしまった。
「…………貴方の様な幼子を戦地に送らねばならぬほど、この国は。人類は追い詰められているのですね」
初め、ベルファストは彼をセイレーンの出現によって人生を狂わされた哀れな子として考えていた。自分がなんとかしなければならないという使命感と幼い彼への庇護欲求に突き動かされるようにして必要以上に激務をこなそうとする。指揮官が書類に手を付けようとすれば“こちらは私が処理しておきます”と奪い取り、作戦の殆ども“このベルファストの過去の経験と知識に基づき、事前に作戦計画書を纏めさせていただきました”と自分が立案しようとした。
秘書艦としての業務と指揮官が本来せねばならぬ業務、その二つを一人で処理しようとしたベルファスト。そんな彼女が受け持つ膨大な作業量は、しかし彼女の思惑に外れて日々減っていく事となった。
ベルファストが彼を“ご主人様”と呼ぶようになったのは果たしていつからか。並居るロイヤルの指揮官達との演習に連戦連勝を重ね始めた頃からだろうか、それとも数々の作戦を成功に導き遂にはドーバー海峡からセイレーンを完全に退かせた頃からだろうか。
艦隊指揮、とりわけ艦船少女の指揮という分野に関してのみ天賦の才を抱いていた彼はみるみる内にその才能を発揮していった。時としてベルファストも彼の指示に従い前線に赴くこともあったが、それぞれが自我を抱き強い個性を持つ“彼女達”に不平不満を発生させずを上手く采配を振る彼の手腕は実に見事なもので。その指揮には様々な戦いを潜り抜けてきたベルファストをして唸らされた物だ。
そして彼が着任してから一年が経とうとしたある日の事。
いくら指揮官として有能であるとはいえ所詮彼は年端もいかぬ男児で、なによりも彼は丁度性に目覚め始める年齢の思春期の男の子。そんな彼がベルファストをはじめ見目麗しい艦船少女達に囲まれながら日常生活を送っていく中で、幼いながらも確かに存在した性欲を抑え続ける事など不可能だった。
――ぁ、ぅっ……べ、ベルファストっ……♡ ベルファストぉっ……♡
ある日の深夜。たまたま執務室に忘れ物をしてしまったベルファストは眠りについているであろう指揮官を起こさないようにとノックをせず、そっと執務室の扉を開けて中を覗く。
しかし予想に反して指揮官はまだ眠りについていなかった。
テーブルランプの僅かな灯りに照らされた彼は下半身だけが生まれたままの姿。まだ毛も生えていない小さく、しかし立派に膨らんだ肉棒を乱雑に片手で何度も何度も擦りながら敏感な性感帯から上ってくる快楽に必死に悶え。蕩けた様な甘い声で何度も何度も彼女の名を呼んでいた。
ベルファストとてそういった事に理解はある。彼がそういった行為――オナニーを行い、そしてその滾った情欲をぶつける対象に空想の中でとはいえ己を選んだ事に対して一切の不快感は無く、むしろ一人の女性として彼に認められたかのような悦びすら感じていた。
しかし思春期の彼がそんな事をしている場面を、ましてやその性欲をぶつけたい相手見られてしまっていたとしれば彼はどう思うだろうか。少なくとも決して良くは思いはしないだろう。
だから、ベルファストはその晩のことを見なかった事にして部屋を立ち去る事も出来たのだ。
――ベルファストっ……好きっ……♡ ぅ、だめっ……もう、出そうっ……♡ あっ、で、でるぅっ……♡
彼が、ベルファストが部屋に置いていった忘れ物である白いグローブの匂いを嗅ぎながら。そして最後にはソレを使って自分の肉棒を扱き、恍惚とした表情でソレに白濁を染み込ませていなければ。そしてそれを見たベルファストが自身の下腹部に熱い疼きを覚え、理性の糸を断ち切られていなければの話だったが。
“何をされていらっしゃるのですか、ご主人様?”
射精の余韻に浸る彼に、そうベルファストが声をかけた時の指揮官の狼狽ぶりは凄まじく。そしてその慌てふためく表情はベルファストの内に密かに眠っていた少年性愛という性癖と嗜虐的な欲求を目覚めさせ、また自覚させるには十分なものだった。
「さてご主人様、“特別訓練”の内容とその意義についてはもう十分に説明したかと思いますが。あえて再度語らさせて頂きたいと思います」
ベッドの縁に腰かけたままで緊張して身を強張らせてしまった彼の隣に座り、ベルファストはいつもと変わらず端正な笑みを浮かべながら口を開く。
「ご主人様……いいえ、男性にとって性行為によって女性を性的に満足させることは義務と呼んでも差し支えありません。ましてや御身は一軍の指揮官、ゆくゆくは将官のご息女の様な止ん事無き身分のお方と結ばれるでしょう」
「そしてそのお方と子を成すというその時に女性を満足させることができず……それどころか女性の愛撫に情けなく嬌声を漏らしてしまわれたり、呆気なく絶頂に導かれてしまわれたりしようものならば…………くす、言うまでもありませんね? 性生活で女性に主導権を握られるような情けなく弱い殿方は、やがて私生活でも尻に敷かれてしまわれます」
「ですので、ご主人様が将来夜伽においてその様な醜態を晒してしまわぬようにベルファストが“特別訓練”を。いえ……直球に言ってしまえば性教育をさせて頂いております」
ベルファストの発言はほとんどが嘘と屁理屈だ、確かにベルファストにはまだ幼い指揮官を公私の両面において教育することが命じられている。しかしその内容に性教育など含まれているわけもなく、仮に教育することになったとして性の実践指導など普通はするまい。しかしベルファストは指揮官の“恥ずかしい行為をシている場面を見られてしまった”という精神的な弱みに付け込んで無理矢理にこの特別教育に対する彼の合意をこじつけただけ。
要するにこの行為はベルファストの胸中にある“目の前の彼が好きだ、彼の顔が羞恥に染まりながらも快楽に蕩けてしまう痴態を見たい”という好意と嗜虐心の入り交じった欲求を満たすためのもの。そしてそれは彼もなんとなくではあるが理解しており、かといって負い目がある以上反抗できる訳もなくて。辛うじて“わかってるよ、そんなこと……”と不満げに一言漏らす程度だったのだが……。
「いいえ、ご主人様は分かっておりません」
しかしこの従者はその些細な反抗心すら許そうとしない。
「初めて特別訓練をした時のことを覚えていらっしゃいますでしょうか? えぇ……ご主人様のペニスを手で愛撫して差し上げた時のことです♡ 今までご自分の拙い自慰行為しか経験したことのなかったご主人様のペニスは非常に弱く敏感で、ベルファストが指先で軽く擽るだけで必死に声を堪えながらもペニスは何度もビクビクと震えて……結局、私の指二本で射精してしまわれましたね? 時間は……確か四分三十秒」
彼女の淡々としたその言葉に指揮官の目は大きく見開かれ、頬は羞恥に赤く染まる。しかしその程度でベルファストの口撃は止まらない。
「二度目の特別訓練……ご主人様のペニスが余りにも敏感なものですから少しずつ快楽に慣らしていこうと優しく手で包み込むように愛撫させていただきましたね。そうしたらご主人様……我慢出来ずに自分から腰をヘコヘコと動かされて……♡ ご主人様の情けない腰振り射精おねだり、ベルファストは鮮明に覚えておりますよ♡」
「ベルファストの手を本物の女性器と勘違いしてしまわれたのですよね? 一生懸命へこ、へこ……と腰を動かすご主人様の姿は確かに可愛らしく愛らしくございました♡」
「ですが、それを仮にも“特別訓練”の最中に披露してしまわれるのは流石に如何なものかと♡ 女性にペニスを触れられただけでまるで発情した犬のようになってしまわれるなど……恥ずかしくないのですか?」
“も、もうやめて……”と俯いた指揮官が震えた声で哀願する。しかしその怯える小動物のような態度はベルファストのサディスティックな一面を刺激するだけだった。
彼女はずいと距離を詰めると彼の下半身、既に衣服の下で大きく膨らんでしまっている彼の肉棒に指を伸ばし“カリカリ……♡”と軍服の柔らかな生地越しに優しくソレを引っ掻くように刺激する。着衣越しとはいえ敏感な裏筋へのピンポイントな刺激に彼は堪らず声を漏らし、更にベルファストの興奮を煽ってしまう。
「もうやめて、ですか? 私の目にはご主人様が過去の情けない醜態を口頭で掘り起こされ、それに羞恥心と屈辱を覚えながらも性的に興奮されているようにお見受けしますが……♡」
「三度目は確かお仕置きとして足で特訓して差し上げましたね♡ 四度目は私の前でオナニーを披露していただきました♡ 五度目は無機質な機械によって長時間にわたり微弱な刺激を受けていただきました♡ にも関わらずご主人様のペニスは相変わらず弱いまま、現にこうして指先で軽く弄ばれるだけで反抗の気概もなにもかも奪われて。射精することで頭がいっぱいになってしまう……♡」
「果たしてご主人様はなにが“分かった”のでしょうか? この特別訓練の意義を本当に理解しているのならばもう少し成果を見せていただきたいものですが……♡」
カリッ、カリッ……♡ ツーッ……♡
“や、やめっ♡ ごめんなさっ♡ ゆるしてぇっ♡”
ベルファストの指が動く度にそれに合わせて彼は嬌声を漏らし身悶えする、それは普通の性行為とは全く逆の様相を呈していた。
いくらまだ若いとはいえ指揮官も立派な男だ。にも関わらず一人の女性に逆らえず、それどころかなすがままに指先一つで篭絡される。そこに雄々しさや甲斐性といったものは微塵も存在せず、ただ上位者たるベルファストに指揮官が弄ばれ嬲られているだけ。
もしもこんな場面を艦隊の皆に、ましてやまだ幼い駆逐艦の娘達にでも見られてしまおうものなら彼がこれまで培ってきた威厳や信頼は即座に吹き飛び、からかわれ馬鹿にされる日々が訪れるに違いない。彼とでそれは理解している、理解しているからこそ今この現状が堪らなく悔しくて。それでいてどうしようもなく興奮してしまうのだ。
「お遊びが過ぎましたね、そろそろ本題に入らせて頂きます。本日のには少々特殊な“玩具”を使わせて頂きたく思いこちらをお持ちしたのですが……」
遊び飽きたとでも言いたげにベルファストが不意に指を離す。既に指揮官は“出来上がった”状態になってしまっていて、漏れ出た先走り汁ははしたなくもズボンにべっとりと染みを作り若い精臭を漂わせてしまっている。はぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返しながら蕩けた視線をベルファストに、そして彼女が取り出した“玩具”とやらに向ける。
大きさはベルファストの手に収まるか収まらないかと言ったところ、彼女の手のひらの中でふにふにと形状を変えているところから見るに柔らかい材質で出来ているらしくスベスベとした質感から察するに材質は樹脂だろうか。首を傾げる彼の様子をベルファストはくすりと笑い、その玩具の片側に空けられた穴の中に透明なボトルに込められた粘っこい液体を注ぎ始めた。
「ではご主人様、お立ちになってお召し物を脱いで頂けますでしょうか?」
命令にも似た彼女の言葉に指揮官はいそいそと服を脱ぎ始める。もう何度目かも分からないのにやはり裸を晒すのは恥ずかしいのか下着に手をかけた時に一瞬だけ許しを乞うような視線をベルファストに向け、しかしそれが意味の無いことをすぐに知って衣服をすべて脱ぎ捨てた。
顕になったのはまだ二次性徴も迎えておらず、体毛も殆どが生えていない華奢な体躯。傷一つ付いていない色白な肌からはとても彼が軍人であるなどとは思えず、どこか少女らしさすら感じさせる。しかし彼が男である象徴、ペニスは先程ベルファストに弄ばれただけの刺激で発情しきってしまったらしい。ピンとそそり立ったそれは先端から透明な粘液をトロトロと零し、彼女から与えられる刺激を今か今かと待ちわびている。
それをベルファストはちらりと一瞥すればくすりと微笑み……裸のままで直立した彼に擦り寄り、屹立した肉棒の先端に先程から手に持っていたソレを被せるように触れさせた。
「さて、ご主人様。今日の特別訓練の内容ですが……今回はご主人様が実際に女性と性行為に及んだ際に快楽に耐え、そして女性を感じさせることができるかどうかを確認させて頂きたく思います。要するに……擬似的な性行為を経験するといったところでしょうか♡」
「ふふ……ここまで言えば“コレ”が何かはもう理解出来たかと思いますが。ええ……はい♡ オナホールでございます♡」
“っ……や、やっぱりちょっと待ってっ!”
ベルファストの言葉を聞いた途端に少年は腰を引いて逃げようとしてしまう。きっとそれが齎すであろう強烈な快楽が期待を通り越して怖くなってしまったのか、しかしそんな抵抗をベルファストが許すはずもない。咄嗟に彼の腰に回された片手が既に艦船少女の膂力で動きを止めてしまったのだ。
「ほら、ご主人様……じっくりとご覧になってください♡ 大事なご主人様の童貞が、よりにもよって玩具如きに奪われてしまうところを……♡」
「ペニスの亀頭に合わせて玩具の入口が大きく開いて、ゆっくり……ゆっくりとオナホールに飲み込まれてしまっておりますよ♡ 」
“や、めっ……♡ これっ、だめぇっ……♡”
敏感な肉棒が少しずつ得体の知れない快楽に飲み込まれていく。
人肌ではないそれは冷たく、しかしローションで十分に滑りを帯びた柔らかな樹脂製のヒダは決して敏感な彼の亀頭に苦痛を加えることは無く。それどころか……
“ぁ、っ……♡ っ~~~……♡”
彼は声も出さずに悶絶してしまっていた。
これまで手や指での刺激しか経験をしていなかったお子様なペニスには快楽を与えることに特化した性玩具との擬似性行は余りにも強烈な快感を与えているのだろう。
なんとか腰を後ろに引いても回された彼女の手がそれを許そうとしない、ならば身動ぎして彼女の腕から逃げようとすれば……
“ぁ、っ……ひぅっ……♡”
その動きはぴんと立った肉棒に伝わり、左右に揺れたぶんだけ柔らかなヒダや凹凸に擦れ嬲られてしまう。
彼に出来ることといえば最早歯を食いしばって少しでも快楽に耐えることだけなのだが……しかしベルファストはそれを許さない。これはあくまで性行為の練習という建前で行われてる責めなのだ。であるならば……
「もう限界、というお顔をされていますね……♡ ですがご主人様、これで性行為の訓練が出来ているなどとはまさか思っておりませんよね?」
「セックスにおける男性の役目など語るまでもありません……♡ ペニスを女性の最奥まで挿入し、激しく突き入れ嬲り、女性を絶頂させて自分も子種を吐き出すこと。この程度、先っぽを少し挿入した程度ではとてもセックスと呼ぶことはできません♡」
“ま、待って、だめ、やめて”という少年の哀願をベルファストはあえて無視する。普段はメイドとして彼の言葉に忠実なベルファストは、しかしこの特別訓練の間はその限りではない。
「では、失礼します……♡」
“だ、だめだめっ……♡ や、ぁぁぁぁぁっ……♡”
――にちゃっ……♡ くちゅっ、ぐちゅっ……♡
粘っこい水音と共に、彼のペニスはオナホールに“捕食”されてしまったかの様に見えなくなってしまう。
その玩具の内部では至る場所にある膣壁を模した柔らかな肉ヒダや凸凹、緩急ある締め付けに粒々状の細かな突起……。挿入した肉棒に快楽を与えるために用意された様々な構造に肉棒が擦れ、絡まり、嬲られるかのように責め立てられる。
“ひ、ぁっ……や、ぅっ……♡”と動いているわけでもないのに嬌声が漏れだしているのは挿入しているだけでも感じてしまっているということなのか。生まれたての小鹿のように足はがくがくと震え、腰は後ろに引けてしまった情けないへっぴり腰。ましてや全裸でその様な痴態を晒してしまっている彼の隣には優雅なメイド服に身を包んだベルファストがいて、その構図が生み出すギャップは尚更彼の惨めで情けない醜態を強調していた。
「さて……それではご主人様、次はお腰を…………くす♡ ふふ……♡ そう言いたいところですが、どうや早くも限界のようですね♡」
彼の肉棒が玩具に飲み込まれてから十数秒。未熟な彼には強すぎたであろう快楽も流石にそろそろ落ち着いただろうとベルファストは声をかけるが、しかし彼からの返答はない。
口にする余裕が無いだけで反応自体はあったのだ、ふるふると首を横に振って。それは“まだだめ、もう少し休ませて”という必死な彼の意思表示。しかし少年は未だにその行為の意味に気付けていなかった。
「(あぁ、全く……本当に困ったご主人様です……♡ そのように戸惑われたり、困ったり、涙ぐむ様な表情を見せつけられては……♡ このベルファストの抑えが効かなくなってしまうというのにっ……♡)」
そういった、まるで飼い犬が主人に媚びるかのような細かな所作が逆に彼女の嗜虐心を煽り火をつけているのだと。
「……申し訳ありませんがその命令は承服できかねます。もし仮に、これが本当のセックスだったとしてご主人様は今のように腰を振ることも出来ず必死に女性に懇願するおつもりなのですか?」
「“今動いたら射精しちゃいます♡ 休憩させてください♡”などと懇願し、女性の側に主導権を譲るような惨めな敗北宣言をしてしまうおつもりですか?」
「もしもその様に弱みを見せてしまったら……ふふ、主導権を握った女性に犯されてしまわれますよ? 例えばそう、この様に……♡」
――ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡ ちゅっ……♡ にちゃっ♡
“やっ♡ はひっ♡ まっ♡ まってぇっ♡ やっ、あっ、ひぅぅっ♡”
そうしてベルファストは“女性に犯されてしまう”という言葉を再現するかのように玩具を持った手を激しく上下に動かして中の肉棒を責め立てる。
まだ射精の回数すらようやく2桁になったところかという余りにも経験の少ない敏感なお子様ペニスにその刺激は余りにも強すぎた。
「ふふ……先程から可愛らしいお声が止まりませんね? この玩具はそれほどまでに心地よいですか?」
――ぐちゅっ♡ ぢゅぷっ♡ くちゅっ♡
“も、やらっ♡ まけっ♡ ぼくのまけだからっ♡”
「ヒダヒダや突起がご主人様のペニスの気持ちよい所に絡んで、ローションでぐちゅぐちゅにされて……例えば、この様にすると♡」
――ぐっちゅ♡ ぐっちゅ♡ じゅぷぅっ……♡ くちゅくちゅくちゅ……♡
“や、ひぃぃぃっ♡ こっ、小刻みにうごかさないでぇっ♡ だめっ、それだめぇぇっ♡”
「おや……一番気持ちよい所を細かく刺激されるのはお気に召しませんでしたでしょうか♡ では、次はゆっくり優しく……♡」
――ちゅぷちゅぷっ……♡ ぐちゅっ……ちゅぅっ……♡
“や、ひ、ぁぅぅっ……♡ だめ、ぇっ……でちゃう、からぁっ……♡”
部屋中に響く卑猥な水音、声変わり前の甘い嬌声。
早くも限界が近ずいてきたのだろう。少年の声には早くも余裕は無く、逃げるように必死に腰を引きながらもペニスは一層硬さを増して小刻みに震え、陰嚢は中の精液を全て押し出すようにして吐き出す準備を整えているかのようにぴったりと竿にくっついている。
オナホールで激しく扱かれ始めてから1分と経たず、少年の頭の中は射精することで一杯になってしまっていた。
“で、でるっ……ベルファストっ……♡ だめっ……でるっ♡ でちゃうっ……♡”
「……左様でございますか。では……ここで止めさせていただきます♡」
“ゃ、ぁっ……い、いくっ♡ せーえき、でちゃっ……♡ ぁ、ぇ……? へ……な、なんでっ……?”
しかし絶頂直前でその強烈な快楽は取り上げられてしまい、目の前にぶら下げられた餌を突如として奪われた少年は蕩けきったままに呆けた表情を晒してしまう。
オナホールから引き抜かれた肉棒はあとほんの数瞬で射精出来るといったところまで迫っていたのか。びくっ……♡ びくっ……♡ と何度か虚空で震えこそしたものの、待ち望んだ刺激は与えられず惨めに先走り先端から漏らすだけ。
「ご主人様、先刻ベルファストがなんと申し上げたか覚えておいででしょうか?」
「今回の特別訓練の目的はあくまで擬似的な性行為の経験、と申し上げました筈ですが」
“そ、それならさっきまでやってたじゃないか”と震えた声での反論。しかし彼女は容易くそれを切り捨てる。
「くす……ご主人様はあれが性行為だと仰るのでしょうか♡」
「ご自分で挿入することもままならず♡ 腰を振ることも出来ず♡ 一方的にペニスを嬲られて一分と経たずに敗北射精寸前……♡」
「それともご主人様の望む性行為とはあの様なものなのでしょうか? ふふ……きっとこの噂が広まってしまえば誰にも馬鹿にされてしまわれますね♡」
「昼は立派な指揮官として振舞っている彼も、夜はベッドの上でどんな女性にも連戦連敗……♡ あんなに強気に指揮官として振舞ってるくせに女性とのセックスでは弱々な泣き虫男の子になってしまう早漏くん……と♡」
“う、うぅっ……そ、そんなわけないっ……!”
しかしどうやら、そこまで馬鹿にされるのはいくら大人しい彼でも我慢できなかったらしい。涙目になりながらも珍しくベルファストの言葉にかみつく意志を見せつける、それを彼女は最初こそ驚いた様に見つめていたが。しかしすぐに面白いことを思いついたとでも言いたげに瞳をすっと細めて一言を口にした。
「では……今の言葉、証明していただきましょう♡」
先程まで彼の横に立っていたベルファストは、今彼を背後から抱きしめる様にして両手を前に回している。伸ばされた両手の先は肉棒を包んだままのオナホールを保持していて、しかし自分からそれを動かす気配はない。姿勢をかがめる様にして彼の耳元に唇を寄せれば、当然その動きに合わせて豊満な乳房が彼の背中に押し付けられる。
“っ……♡”
その柔らかな感触とボリュームに思わず唾を飲み込んでしまった少年の初心な動作を見てくすりと笑みを零せば、そのまま小さな声で彼の耳に囁き声を告げ始める。
「では……今度こそ性行為の練習と致しましょう♡」
「先程も申し上げましたがセックスとは男性が女性をリードするもの。挿入した途端に動かなくなるなど、それでは女性を悦ばせることなどできません♡」
「ですから今度はベルファストの声と一緒に、自分で腰を動かしていただきます♡」
「“そんなわけない”と言った先程の言葉……証明して頂けますよね? ご主人様……♡」
挑発するような彼女の言葉に少年はコクリと頷いて同意してみせた。それを見て満足したかのように微笑んだベルファストはゆっくりと、小さな声で彼の耳に掛け声を送る。
「では、私の声に合わせて腰をお振り下さい……♡ ワン……ツー……♡ ワン……ツー……♡」
――くちゅっ…………くちゅっ……ちゅっ……♡
「ご安心ください、最初はゆっくりとカウントして差し上げますから……♡ ワン……ツー……♡ ワン……ツー……♡」
――ちゅぷっ、ぐちゅっ…………ちゅっ、くちゅっ…………にちゃっ……♡
「……ご主人様、ちゃんと私のカウントに合わせて腰をお振りいただけますでしょうか?」
最初はゆっくり、焦らすように彼に腰を振らせる。
つい数分前にベルファストに与えられた強姦紛いの強烈な性感のお陰で多少は耐性が付いたのだろうか、先程のように挿入しただけで動けなくなってしまうという事は無かったものの。しかしその腰の動きは拙い物だった。
本人はこれでも一生懸命ベルファストのカウントに合わせて動かしているつもりなのだろう。しかし必至に快楽を耐えながらのへっぴり腰ピストンは“へこ、へこ……”とまるで発情期の犬が手近な物に肉棒を擦り付けるかのような無様なもの、それにすぐに射精してしまいそうになってしまう早漏おちんちんはところどころで休憩するかの様に止まってしまう為にリズムもばらばらだ。
「優しく、ねっとりとペニスを包まれ。細かなヒダにぞりぞり……♡ と擦り上げられるのはそれ程までに心地よいのですか?」
「手で扱かれるのとはまた違う、ぬるぬるとしたローションにペニス全体を蕩けさせられて。ただでさえ敏感なペニスがより感じやすくなってしまわれて……♡」
「そうしてその弱い部分を……カリ首、裏筋、そして亀頭……♡ 全部が一緒に責め嬲られて……♡」
――くちゅっ………………ぐちゅっ……♡
「ええ、言われずとも分かっております♡ 先程からずっとうっとりとした表情をされて……口端からははしたなく涎を垂らしてしまわれて……♡」
「このような顔、女性に見せてはいけませんよ? 本来であればご主人様が女性を昂らせ、蕩けさせ……寝台の上で女を一匹の雌に堕とさなくてはいけないというのに♡」
「それでは堕とされてしまっているのはご主人様のほうで御座います♡ 女性にセックスで負けるなど、屈辱的な思いはしたくありませんよね?」
「ええ……♡ でしたらば、もう少し奮起していただけないかと♡ ほら、ワン、ツー……♡ ワン、ツー……♡」
――ちゅっ…………くちっ……♡
そんな拙い腰使いですら射精が近づいてきたのだろうか、少しずつ動きがより弱弱しいものへと変わっていく。
「ぐちゅぐちゅ……♡ へこへこ……♡ ……ご主人様?」
「先程よりも腰の動きが遅くなっておりますよ? ベルファストはまだピストンの速度を落として良いとは申し上げておりませんが……♡」
「再度、ベルファストの声に合わせてくださいませ♡ ワン、ツー……♡ …………ご主人様、如何されましたか?」
「腰の動きが完全に止まってしまわれましたが……まさか、もう限界。などとは……仰りませんよね?」
そうして遂に、下半身をふるふると小刻みに震わせるだけになってしまった。
蕩けきり開きっぱなしになってしまった口からは何度も何度も“もうむり、もうでちゃう、もううごかせない”と甘えた声の敗北宣言が漏れだしていて、最早誰の目にも彼の理性が限界なのは明らかであった。
しかし理性が限界を迎えたのはどうやら後ろで彼を責めたて続けていた彼女もまた同様だったらしい。
「っ……♡ 本当に、情けないですね……ご主人様は♡」
「やはり先程ベルファストが言った通り。敏感で早漏すぎるせいで自分から腰を振って女性をリードする事も出来ないのですね……♡」
「いえ――ご主人様のモノをペニスと呼ぶには相応しくありませんね。これは“おちんちん”で御座います……♡」
「異論がありますか? 本来ならば男性がリードしなくてはいけないセックスでも、敏感すぎるせいで女性に翻弄されっぱなし……♡」
「ちょっと手や足で弄ばれるだけ。ほんのそれだけで“あんっ……だめっ、やめてぇ♡”などと女子の様な嬌声を漏らし、三分も持たずにいつも射精してしまわれて……♡」
「ふふ……ご主人様。もしも、本当の女性とのセックスで今のご主人様の様に情けなく弱弱しい姿を見せたらどうなってしまうか――ご存知でしょうか?」
冷たく問うてくるベルファストの言葉に、彼はどこか恐怖を感じながらもふるふると首を横に動かす事しか出来ない。
そんな様子もまた、実に彼女“好み”の反応だったようだ。不意にベルファストは彼の肉棒をずっぽりと飲み込んでいたオナホールをゆっくりと、まるで抜いてしまうかのように少しずつ引いていく。また寸止めされてしまうか、それとも今日はこれで終わりなのか……そう不安に思ったのだろうか、少年は思わず後ろに立つベルファストの方を振り向いてしまう。
視界に映ったベルファストはまるで小悪魔の様に嗜虐的な笑みを浮かべていた。もともと切れ長だった彼女の瞳は獲物を前にした肉食獣の様にスゥ……と細まり、そして刑罰の執行を告げる様に一言。
「――女性に、“食べられて”しまうのですよ♡」
――ぐちゅぅっ♡
その言葉と同時に、ぎりぎりまで引き抜かれていたオナホールが一気に彼の肉棒を飲み込んで。そしてそれだけで終わらない。
ぐちゅぐちゅっ、にちゃっ、ぱちゅっ、くちゃぁっ。と淫猥な水音が激しく部屋に響き渡る。与えられる暴力的なまでの快楽に最早少年は声を出す事も適わず、必死に逃げようとする――が、背後からベルファストに抱きかかえられている現状では腰を後ろに引くことは出来ない。つまり彼は与えられる快楽をただ享受することしかできないのだ。
「おちんちんが弱い男性はセックスにおいて主導権を握ることなど出来ません。ならばどうなってしまうか……♡」
「こうなってしまうのですよ♡ 女性に押し倒され、あるいは抑えつけられて♡ 女性の望むタイミングで腰を振られてしまう♡」
「気持ち良すぎて自分から動くことなどできない♡ ただただされるがまま、おちんちんを嬲られてしまうだけ♡」
「ぬるぬるのおまんこ……♡ こんな玩具などとは比べ物にならない程に熱くて、気持ち良い肉穴におちんちんを食べられてしまうのです……♡」
「今のご主人様の様に“やぁっ♡ ひゃっあぁっ♡”と喘がされて……♡ 果たしてどちらが女の子か分からないセックスをされてしまうのですよ?」
「よろしいのですか、ご主人様……♡」
「あぁ……ところでご主人様、このオナホールのモデルとなった女性のタイプでございますが♡」
最早理性は消失してしまったのだろうか。されるがまま喘ぎ、敗北射精寸前の彼を更に追い込む一言をベルファストは注ぎ込む。
「――このベルファストで御座います♡」
「正確には十代後半から二十代前半、それでいて私に近い体型の女性をモデルにしているのですが……ええ、もう理解出来ましたようですね♡」
「ご主人様はもしも仮に私とセックスした場合、こうなってしまうのです♡」
「自分から満足に腰を振ることはおろか、挿入すらも自分で出来ず……♡」
「ベルファストに押し倒され、主導権を一方的に奪われ。犯され、嬲られ、蕩けさせられ――そして最後にはイカされてしまうのです♡」
そして、彼女の手の動きも彼を射精させるための動きに変わっていく。
オナホールを先程よりも強く握り込めば、中のヒダヒダはより激しく彼の肉棒全体に絡みつく。そのまま小刻みにくちゅくちゅくちゅ……♡ と動かせば、オナホールの内側では彼の敏感なカリ首も、裏筋、亀頭が小刻みなストロークで執拗に嬲られる。睾丸はきゅぅと引き締まってせり上がる。
「ふふ……もう、限界のようですね……♡ では最後に……ご主人様に一つお伝えする事が御座います♡」
そして、最後の一言。それはこれまで彼女が発したどの言葉よりも甘く、優し気な響きで――
「ご存知でしょうか、ご主人様……♡ どうやらベルファストは困ったことに、ご主人様のその情けなくも愛らしい表情が大好きな様なのです……♡」
「ええ、はい……♡ その余裕なさげな甘い喘ぎ声も、快楽に悶える表情も、身悶えする所作も――その全てが大好きなのです♡」
「だから、ご主人様……♡ どうか安心してお射精……いえ、お漏らししてくださいませ♡」
「普通の女性であれば情けないと思ってしまわれるかもしれませんが……ご安心ください♡」
「ベルファストは全て受け入れ、愛して差し上げます――♡」
その言葉に、彼は想像してしまった。自分を押し倒して乱暴に犯し、けれど最後は優しく射精させてくれる彼女の姿を。
そしてその映像が脳裏によぎった瞬間が、彼の我慢の限界だった。
「どうぞ、存分にお漏らしなさってくださいませ……♡ 愛しておりますよ、ご主人様……♡」
――どぴゅっ♡ どぴゅっ♡ ぴゅっ、ぴゅぅぅっ……♡
熟成されたどろどろで濃厚な精液が尿道を遡り、ゾクゾクとした快楽を齎しながら吹き上がる。前立腺がきゅぅと収縮して快感神経が圧迫されて腰の奥から甘美な快楽が頭の中を真っ白にする。オナホールごしに握っているだけでもはっきりと分かる程に彼のペニスは何度も何度もびくびくと震えながら精液を吐き出して、溢れてしまった白濁がごぽりと音を立てながら零れ出す。
これまでした射精の、その全てを上回るかのような強烈な快感に彼の表情は完全に蕩けきってしまっていて。
「っ……♡ ご主人様は、本当にっ…………♡」
ベルファストはその表情を、瞳を潤ませながらいつまでも見つめていた――――。