魔王退治のご褒美にエリス様を娶った僕がアクア様に身も心も奪われる話 作:ブラックマンバ
1:オリキャラ主人公である「僕」がアクア様に寝取られる話です。いわゆる逆NTRや泥棒猫と言われるジャンルです。
2:このすば本編の世界から百~数百年後の世界で色々と変わっています。
3:なので原作キャラはエリス様とアクア様しか出ません(多分おそらくきっと)。
4:※超重要※アクア様が男をちょいちょい喰ってるので性格がだ~いぶ変わってます。
5:エリス様は浮気も寝取られもしませんがちょっと可哀想なことになります……ならないといいんだけどなあ。
このぐらいでいいかな? ではようこそ! この素晴らしい――――に祝福を!
第1話
僕は魔王を倒し、その褒美として女神エリス様を娶った。
そして1年が経とうとしている、もうすぐ結婚記念日だ。
僕のこの素晴らしい結婚生活に祝福を!
――昼頃に目が覚める。ベッドの隣にエリスはいなかった。ぬくもりも感じないところからすると大分前に起きてしまったらしい。
彼女は働き者だからしかたないけど、もう少しこう……ベッドの中でイチャイチャしたかった、と僕は恥ずかしくなって頬をかく。
枕元にメモがあった。
「朝食が用意してあります。温め直して食べて下さい、町内の会合に出かけてきます。お買い物をして夕方には帰ります」とエリスらしい柔らかい筆跡で書いてあった。
さっそくお腹がきゅうと鳴く。エリスの作ってくれる食事は冷めていてもおいしい。思わず生唾を飲み込んだ。
そして1階に下りて食堂に行くとそこには……
「むぐっんぐっ……いやぁ~美味しいわねえ、わざわざこの私のためにご飯用意してくれてたなんて、さっすがエリスね!」
流れる水のように青く輝く長髪、ノースリーブの青い服に天女のような羽衣を優雅に着こなすその姿。
後ろ姿だけでも並々ならぬ気配を持つ女がそこにいた。
だがそいつは我が家に不法侵入しただけでなく、飯を食っていた。
僕の席に座ってエリスが作った朝食を貪っていたのだ。
なんて悪質な奴だ、ゆるせん。
僕は廊下に置いてあるホウキを掴むと女にそっと近づいていく。
「おいお前、何をやってるんだ!」
こつんとホウキの持ち手の先端で頭を小突くと、女は叫びながらこちらに振り向いた。
「ふぎゃ~! あっ、あんただれよっ!」
「この家の主人だっ! お前こそ誰だっ!」
僕の目は、振り向いたそいつの瞳に吸い付けられた。
輝くような大きな蒼い瞳はまるで深い水の底から汲んできたかのような清浄な色で、ピンと張った長いまつげが両目を飾る。
美しい鼻梁と頬のライン、小さい顎のラインは、まるで神業を持つ彫刻家が大理石から削りだしたよう。美しい水の流れのような青い髪と相まって僕の心をドキリとさせた。
驚いたことに、僕の中でエリスと比べたらギリギリエリスに軍配が上がるぐらいには美人だった。こんな人がこの世に存在するとは思わなかった。
だが、ぎゃーすかと叫ぶその口がその神域のごとき顔の造型を幼稚園児の作った粘土細工か何かに貶めている。
「なによなによなによ! こ、ここはねっ! 私が昔住んでた家よっ! だから私の家も同然じゃない! それにそれに……ひぃっ!?」
僕はホウキの先を女の眼前に突きつけて魔力を先端に集中させる。これで小突けば顔面に穴が空いて後頭部まで貫くぐらいの威力になった。
女はその威力に気がついたのか「ぎえっ」と奇声をあげながら顔を引き攣らせる。
「昔っていつの話だ! ここは僕達が住むまで100年は誰も住んでなかったんだぞ! ふざけたこと言いやがって!」
「100年? うそ……え、そんなに経っちゃったの……? やっ、やだも~どうりで屋敷が妙に綺麗になってるとおもったわぁ。リフォームしちゃったのねーあはははーっ♪ あ、ね、マジでやめてよそれの魔力量めっちゃ多いんですけど? 髪の毛ブスブス言ってる! やめてやめてやめて! マジでやめなさいよ! うぎゃああああああ!」
女は情けない叫び声を上げながら椅子から転げ落ち、流れるように正座をしてその頭を床に擦りつけた。
「ごめんなさい! ごめんなさい! 今、土下座してますから! その武器で頭小突くのだけはやめて! マジでやめて! ホントに穴あいちゃう! 死んじゃうっ! 私こんなところで死゛に゛た゛く゛な゛い゛ぃ゛い゛い゛っ゛……いひっひっひぃいいっ~!」
あまりにものみっともない泣き声に僕は文字通り矛先を治める。
「おい、頭は下げたままだ、アンタは誰なんだよ一体」
「私、この家に住んでる子の知り合いで……」
「知り合い? 僕はアンタのことを知らないな。一体どこの誰なのアンタ?」
僕は、ついうっかりコソ泥に聞き返してしまった。「住んでる子の知り合い」だとするとエリスの知り合いか? まさかこんなコソ泥が?
「よくぞ聞いてくれたわ! 私の名前はアクア! アクシズ教団が崇める水の女神アクア様よ! いくらあなたでもアクシズ教の名前ぐらい知ってるでしょう?」
思わず顔が引き攣る、あの悪名高き「アクシズ教団」最低最悪最強少数精鋭信者全員狂信者悪辣卑劣外道の極み、この世の真の絶対悪。魔族でも魔王でもないから討伐できない(ただし犯罪者として立件される)。そんな連中が信望する女神様だって?
そいつ……アクアは、さっと立ち上がると自信満々に神気を発した。可視光線となって放たれるそれは、アクアの後光となって食堂内を照らし出す。たしかにこの神気は女神と言ってもいいだろう。なにしろエリスと同じ波動を感じたのだから。
「それで……アンタ……アクアは……」
「まあまあまあ、そんな他人行儀にならずに私のことはアクア様ってフレンドリーに呼んで!」
「アクアはなんで家に」
「アクア様」
「……アクア様はなんで我が家にいらっしゃったのですか?」
神様マジめんどくせえ。コソ泥なら後ろから襲ってそれでお仕舞いだった。妙な食いっぷりを見てしまって、ついつい確かめてしまったのを悔やむ。今度からは誰であろうと問答無用でぶん殴ろう。
「よっくぞ聞いてくれました!」
うわ、なんでそんなに自信たっぷりなの? 今泣いたカラスがなんとやらだ。
「実はねえ……ぷぷぷ、あのエリスが、あ、エリスって私の後輩なの。エリスが人間の男と結婚したって聞いたからね、わざわざここまで見に来たのよ……へー……ふーん、なるほど……顔は合格っと……ふむふむ」
アクアは僕の顔をじっとみつめてうんうんと頷くと、あっと何か気付いた顔になって聞いてきた。
「念のために聞いておくけどあんたがエリスの旦那様よね? まさか小間使いとか小姓とか執事見習いとかそんなんじゃないわよね?」
ほっとけ。確かに僕は……子供のように見えるが今年で17歳になるし、本当にエリスの夫なんだぞ。背の方はなんとかエリスに追いついたんだぞ。魔王討伐の報酬として身長190cmのゴリマッチョボディにしてと頼むか割りと悩んだんだぞ。
「間違いなく、僕が、エリスの夫だよ」
「まいったわね……まさかエリスにこんな趣味があったなんて……まさかショタコン? ほんとによくもまあこんなのと結婚する気になったわね……いくら魔王討伐の報酬だからって断ってもよかったのに……」
アクアは口元に手をあてて何かブツブツと失礼なことを言っている。やっぱり後ろからぶん殴ればよかった。
「確認したならもういいだろ、早く帰れよ」
「まあ冷たいわねえ、エリスとちょっとおしゃべりぐらいさせなさいよ。それであの子どこにいるの? 呼び鈴を押しても誰も出ないしぃ、鍵かかってたからちょちょいと開けて入っちゃったのよね」
やっぱりこいつは今すぐに叩きだそう。僕はホウキを振り上げた。
◇◇◇
冷蔵庫から昨日の夕飯の残りを出す。パンを適当にカットするとオーブントースターに突っ込んだ。
「あ、私ってさパンの耳を食べると嫌なこと思い出すからカットしておいてねー」
「不法侵入者に出す飯は無いっ!」
結局、用意された朝食はアクアに食べられてしまったので、自分で準備することにした。冷蔵庫だのオーブントースターだのはこの世界にやってきた異世界転生者が数百年前に発明して広めたものらしい、僕も最初それらの文明の利器を見た時は驚いたが、なんだかんだで便利なことはいいことだ。
「あ、そうだそうだ、ここが昔あたしが住んでた家だったって証拠を教えてあげる! ちょっとついてきなさいよ」
僕が遅い朝食を食べ終わると、アクアはそう言って2階に上がって行く。
「おい、ちょっと待てよ! そんな勝手にっ!」
「ふん♪ ふん♪ ふふん♪ うーん、なつかしいわねえ、内装は大分違っちゃってるけど間取りはあの頃のままね~♪」
勝手知ったる他人の家とばかりの動きに、僕は不愉快な気持ちになる。僕とエリスの愛の巣に、勝手に入り込んだ侵入者。その肩を掴んで引きずり倒してやろうと思った時には、もうアクアは僕達の寝室に入り込んでいた。
「うわぁ~! えーっとここってアンタ達の寝室? ふんふんふふ~ん……うん、エリスの匂いがするわね」
「おい、何勝手に僕の嫁の匂いを嗅いでるんだ、さっさと出てけよ」
アクアは僕の言葉を無視すると踏み台を持ち出して、天井の板を外していく。
「この屋根裏にね、秘蔵のワインを隠しておいたの! 昔、私の仲間だった子達に取られたくなくてねぇ~……いやぁ~ここに来るまですっかり忘れてたのよね……お、あったあった」
そして天井裏から埃まみれの木箱を取り出した。木箱の文字は掠れてるしラベルは取れかかっているが、たしかにこれはワイン瓶のようだ。
「それでね、聞いて聞いて! この部屋が私の寝室だったのよ! いっやーホントに全部変わっちゃったのねー……さぁってこの秘蔵のお酒を……ひぎゃああああ! ああっ! これもこれもこれもこれもぉっ! 全部! お酢になってるぅうううううう! ダクネスの御父様にこっそり貰った超高級品なにぃっ! どうしてっどうしてよぉっ!」
100年以上も経てばそうなるだろう、屋根裏なんて夏になれば高温になるんだしそりゃまともに保存できるわけがない。
「ハァ~……わかった、わかったから、もう下に降りましょうアクア様……その瓶は僕が処分しておきますから……ってあんたぁ!」
「はぁ~! 悲しくて悲しくてしょうがないじゃない! んもう!」
そう言いながらこのクソ駄女神は僕達のベッドに飛び込みやがった!
「なにやってんだあんた! 寝るなら外のごみ捨て場で寝てくれ!」
「なんで私がそんなところで寝ないといけないのよぉ……あー、スプリングの良く効いたベッドねー……あははっ! すっごいわこれ羽布団かしら? ほんっと良い生活してるわねーあんたたちは!」
そう言ってアクアはベッドの上でドッタンバッタン、布団に寝転んでゴロゴロとし始める、小学生かこいつは!
「ん~? そんな怖い顔してなにじーっと見てるのよぉ……あらやだ、まさか私のうっつくしい足でも見てるのぉ? いやぁんえっちぃ♡」
「なっ! ば、バカいうなっ!」
とは言うもののこうしてみるとアクアの短すぎるスカートのせいで白い太ももが妙に眩しいし、さらには奥が見えそうで見えなくてもどかしい。うん? なんかお尻の生肌部分がやけに広いな……まさかこいつパンツ履いてないんじゃ……?
エリスに誓って言うがアクアの足の動きに視線誘導されただけであって、僕は少しも悪くない、絶対にだ。
「あーら、どこ見てるのかしらぁ?」
「うおぉっ!?」
思わず食い入るようにして上半身を傾けてしまったのがまずかった。アクアに腕を引っ張られると僕はあっさりバランスを崩して、クソ駄女神の身体に飛び込んでしまった。
「えへへ、つーかまーえたー、さぁーってと、色々と聞かせて貰おうかなー?」
「うあ、ああっ! は、離せっ離せよっ!」
「あははっ! 耳まで真っ赤にしてかーわいいー!」
僕はそうしてアクアにベッドに引きずり込まれてしまった。
後にして思えば……不法侵入したときにアクアをすぐにでも叩き出すべきだったのだ。