※この作品はR-18です。

【NTR】奥手なエロゲー主人公の代わりにヒロイン全員攻略してみた   作:悠木仁

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第7話 帰り道

 

 

 

 図書室の壁に掛けられた時計が19時を示すと、学校中のスピーカーから完全下校時刻を知らせる音が鳴り響いた。これ以上校内にいると、警備員に怒られてしまう。響と凛祢は勉強道具を鞄にしまうと、その場を後にした。

 

「家まで送っていくよ」

 

 靴を履いて外に出ると、響は凛祢にそう言った。日はとっくに落ちており、外は暗闇に覆われている。部活をしていた生徒たちも帰宅し、辺りには静けさに包まれていた。

 

「そこまでしてくれなくてもいいってば」

「俺のせいで遅くなったんだ。これくらいはさせてくれ」

「……そう? それじゃあ、お願いしようかな」

 

 心の内でグッとガッツポーズをする響。どうやら作戦がうまくいったようだ。当然ながら、彼女を家まで送る、というのも館主のアドバイスである。

 

『今日仲良くなったばかりの人に家まで送られるとか、普通に怖いし気持ち悪いですから。送るならそれなりの理由と断れない状況を作ってください』

 

 勉強に付き合ってもらったのも、下校時間を遅らせるためだ。自分のせいで遅くなった、という状況を作り出したかった。

 響と凛祢は並んで歩き、学校近くの駅へと向かった。駅とはいっても、通学の時間帯以外は人通りも少ない、小さい駅である。この時間になると、近隣に住む小中学生も出歩かないので、静かな夜道が真っ直ぐに続いていた。

 

(俺の目的をなしにしても、女の子が一人で出歩くには少し危ないな)

 

 部活の助っ人をよく頼まれる彼女にとっては、こんな時間に下校するのは日常茶飯事なのだろうが。

 駅に到着し、ホームで電車を待っていると、凛祢が響に尋ねる。

 

「神園くんの家はどこにあるの?」

「ここの隣の近く。ちょうど雛守が降りる駅を――って、そっか。凪がいるもんね」

 

 響はこくりと頷く。

 

「でも本当にいいの? 私の駅で降りたら二度手間になっちゃうけど……」

「気にするな。なんなら運動がてら歩いて帰ろうと思ってたくらいだ」

「絶対嘘だ」

 

 クスクスと笑う凛祢。響にとって、彼女のこんなに無邪気な顔を見るのは初めてのことだった。クラスメイトと一緒に笑っているところは普段も見かけているが、それとは少し違う気がした。少なくとも、凪の前では絶対に見せない表情だ。

 彼女にとって、凪はなんなのだろうか。響は改めてそんなことを考えた。

 

***   ***   ***

 

「送ってくれてありがと」

 

 凛祢の家にたどり着くと、凛祢は別れを告げるようにそう言った。

 

「お礼を言いたいのはこっちだ。教えてくれて助かった」

「私もいい復習になったから。お互い様ってことで」

 

 外灯に照らされた凛祢の顔に笑みが浮かんだ。

 響がその場を立ち去ろうとすると、突然隣の家の扉が開かれた。中から出てきたのはーー凪だ。凪は扉を閉めると、すぐに二人に気がついた。

 

「凛祢と――響? どうしてお前がこんなところに……」

「委員会の仕事で遅くなったから、家まで送りに来たんだよ。お前こそ、こんな時間にどこ行くんだ?」

 

 下手に誤魔化すようなことはしない。しかし、念のため勉強会のことは伏せておく。自分も参加するなどと言われたら面倒だ。

 

「ちょっとコンビニに行こうと思って。それにしても、凛祢が誰かと帰って来るなんて珍しいな」

 

 凪は驚きつつも、どこか嬉しそうに言った。彼にとっては、幼馴染に新しい友達ができた、くらいの感覚なのだろう。

 

「……それだけ?」

 

 凛祢がぽつりと呟く。

 

「え?」

「私がこんな時間に神園くんと帰ってきて、珍しいって……それだけなの?」

「それだけって……他に何かあるのか?」

「……もういい」

 

 凛祢はそう言って、扉の鍵を開けた。

 

「神園くん、また明日」

「あ、ああ……」

 

 響が返事をすると、凛祢は凪には何も言わずに、家の中へ消えていった。

 取り残された響は、立ち尽くす凪に尋ねる。

 

「……お前、ほんとにコンビニへ行くために外に出てきたのか?」

「……本当のことを言ったら、大きなお世話だって怒られると思って」

「逆効果じゃねーか」

 

 相変わらず鈍感な男である。きっと今も、どうして彼女が怒ってしまったのかわかっていないのだろう。

 

「じゃあな、凪。あとで謝っておけよ」

 

 響は踵を返し、駅の方へと歩き始める。闇に包まれた暗がりの中で、彼はひっそりと笑みを浮かべた。

 

 

*** *** ***

 

(そうだ。あの人に報告しなきゃな)

 

 帰り道の電車の中で、響はスマートフォンを起動する。開くサイトは当然、恋の館。響が空白の記入欄に指を伸ばすと、そこで館主からの返信が届いていることに気づく。しかし、そこに表示されていたのは『回答』ではなく『メッセージ』。

 

(なんだ……?)

 

 響は右下の赤字を指でタップする。そしてその直後、彼の背筋が凍った。

 そこに書かれていたのは――

 

『次のステップに移りましょう』

 

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